ホーウィック&トール&ポーター【さまよう骸】
概要
呼称 | さまよう骸 |
陣営 | グレイヴボーン |
ストーリー
ホーウィック、トール、ポーター。
彼らはもともと一人ずつの人間だった。
では、なぜこのような姿に
なってしまったのかーー
その昔ーー
ギャンブル中毒の
ホーウィック、トール、ポーターは、
借金を山ほど抱えていた。
そして、借金取りに追われていたため、
ラスティーアンカー付近の海域に逃げ込み
海賊をしながら生活していたのだった。
狙う船が一隻もない時は、
自分たちと同じような境遇で
逃げてきていた他の輩たちと一緒に、
船の上で酒を飲みながら
夜が明けるまで大騒ぎをする。
いい感じに酔いが回っているホーウィックと
トールは歌いながら踊っていた。
このチビとノッポ、
デブとガリガリの組み合わせが、
ならず者たちにとても人気があり、
歌のサビ部分に入ると、
ポーターも自身の義足で甲板を叩き、
二人のリズムに合わせるのだった。
酒を飲んでいる時の三人は大の仲良しだった。
だが、内心ではお互いを憎んでいる。
表面上で仲が良いように装っていただけなのだ。
これはこの三人に限ったことではなく、
隙を見せるとすぐにだまし取ろうと企む
海賊たちはみんなそうだった。
しばらくしてーー
下っ端の海賊でしかなかったこの三人に
チャンスが巡ってきたのだ。
彼らは伝説の偉大なキャプテンが
隠したといわれる宝を見つけてしまう。
三人ともこの宝を
独り占めしようと考えていたが……。
一番年上のポーターは警戒心が強く、
どんな小さな手がかりも見逃さない性格だ。
あっという間に
一人で見つけてしまうかもしれない。
トールは三人の中で一番の力持ちだ。
もし三人が同時に宝を見つけたとしたら、
勝てる気がしない。
ホーウィックはとてもずる賢い性格だ。
なんだかんだ言っておきながら、
最後に出し抜く可能性が高い。
そして何よりも……。
彼らは仲間がいるわけではない。
一斉に戦ったとしても、
二対一に持ち込まれたら太刀打ちできないのだ。
彼らは渋々、互いに協力することになった。
そして、他の海賊の目を盗み、
小舟で宝のある洞窟へやってきたのだったーー
洞窟は半分水に浸っていて、
いたるところに骨が落ちているような
不気味な場所だった。
最深部に入ると、人間の骨やサメの歯、
動物のしっぽのような正体不明な物が
宝箱の周りに散らかっていた……。
その中で三人の目を一番惹きつけたのは
宝石が散りばめられた純金の冠だった。
これを見た三人は、
ニタニタと悪い笑みを浮かべて……。
「きっと古代王国を支配していた王様の冠だ!
この中で一番値打ちがあるに違いない!」
冠を手にしながら、
これで借金を全部返してやる、
一生遊んで暮らしてやると浮き立っている。
ふと、王冠の内側に文字が刻まれていることに
ホーウィックが気づく。
「勇敢な冒険者よ、
この王冠がお前たちの
どんな願いも叶えてくれよう……だが」
『だが』の続きがない。
三人は頭を捻りながら、
続きの文字を探していると、
不思議なことに次の文字が
浮かび上がってきたのだ。
「代わりにお前たちの最も嫌なことが
現実となるだろう」
三人は顔を見合わせた。
「借金をしてこんな海をさまようことよりも
嫌なことなんて他に何があるっていうんだ」
確かに、借金取りに追われることより
嫌なことなどないと二人もうなずく。
「どんな願いもか……」
「っていうことは、
永遠の命も授けてくれるのか!?
今日はついてるぜ!」
そうして……。
三人は冠を手に入れたのだった。
だが喜びも束の間、
あまりにもはしゃぎすぎたのか、
いくら探しても最初に入ってきた入口が
見つからない。
洞窟は複雑に入り組んでいて、
進めば進むほど迷っている気がする。
三人は出口を完全に見失ってしまい……。
月は雲に隠れ、
暗闇が全てを覆い隠したのだったーー
百年後ーー
三人はついに入口を見つけることに成功し、
一緒に洞窟を抜け出すことができた。
そう、『一緒』に。
なんと三人の身体は、
肉は朽ち果て、骨だけになり、
一つに縫い合わさって、
気づけば巨大な骨と化していたのだった。
意識がはっきりとしている時もあれば、
朦朧している時もある……。
冠は確かに『永遠の命』を授けてくれたようだ。
だが、彼らにとって嫌なことが
現実となっている。
本来彼らは、互いに憎んでいるのだ。
そんな奴と身体が一緒なんて
気が狂いそうだった。
そしてこの怪物の背中にあった冠が落ち、
洞窟の奥へと転がっていき……。
再び宝箱の中に入っていったそうだ。
冠は今でも宝箱の中で、
貪欲な人間が自分を見つけてくれることを
待っているーー
「おい、聞いてくれよ。悪い夢を見たんだ。
俺が一番嫌いな二人がな……」
「うん?ホーウィックどうして俺の耳に
へばりついているんだ?」
「……まさか、これは夢じゃない!?」
トールの驚愕の声が
洞窟に虚しく響いていたーー
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