トリス

ページ名:トリス

トリス【森の遊び好き】

概要

呼称 森の遊び好き
陣営 ヴェルディア連盟
種族 ヒューマン(ヴェルディアの民に育てられた)
身長 164㎝
趣味

・ブランコに乗る

・森を探検する

好きなもの ソーンベリー
嫌いなもの

・悪い密猟者

・雨の日

現在地 ユグドラシル
現在の身分 森の遊び好き

ストーリー

両親と見た目が似ていないトリスは、

これまで何度も友人たちに

好奇の眼差しを向けられていたが、

あまり気にしていなかった。

だがそんなある日、

『茨の清算者』と名乗る者が家を訪れた時、

その眼差しがどういう意味を持っていて、

どれだけ重大なことだったのか、

トリスはようやく気づいたのだった。

普段はトリスに惜しみなく愛を注ぎ、

どんな問いかけにも答えてくれる両親が、

『茨の清算者』を見つめる好奇心に満ちた

彼の視線を初めて避けたのだ。

両親は『茨の清算者』たちを連れて

部屋にこもり、

コソコソと話し始めた。

その直前にトリスが

『茨の清算者』たちとすれ違った時、

嫌悪するような目を向けられ、

トリスの心臓は嫌な音を立てた。

『茨の清算者』たちは、

過去にもこの村を訪れたことがあった。

人間がヴェルディアの民に対して

どんな悪行を繰り広げてきたのか

語りだした時の憎悪に満ちた表情や

目つきは、

まさにさっきトリスに向けた目と

同じだった。

トリスはようやく友人がなぜ

好奇の眼差しを向けていたのか気づく。

鏡に映る自分の姿には、

ヴェルディアの民が持つ尻尾も爪もない。

頭の上にある大きい自慢の耳も、

父親が作ったものだ。

森の仲間に比べたら、

己の姿はまさに『茨の清算者』たちの言う

人間に近かった。

『茨の清算者』たちが帰るのを

じっと待ってから、

トリスは両親に自分の出自を尋ねた。

(きっと……何言ってるの! 

私たちの子供よって……

笑って言ってくれるよね!?)

だが両親は予想外の反応をした。

互いに視線を合わせて

バツが悪そうに口ごもったのだった。

2人の様子を見たトリスの心は

どんどん沈んでいった。

自分の頭上にある大きな耳に触れて、

泣き出しそうになる気持ちを

ぐっと堪える。

トリスは目の前の2人を『家族』ではなく、

見知らぬ誰かのように

感じてしまったのだった。

トリスは両親に気づかれないように

家を出て、あてもなく森の中をさまよった。

歩いた先に大きな木を見つけて見上げる。

その木を登り、てっぺんに立って

いつも落ち込んだ時にやるように、

広大な樹海を見渡そうとしたその時だった。

下の方で、

何者かが声をひそめて話していることに

トリスは気づいた。

「早くしろ! 

これを運んだら次の獲物が

待ってるんだからな!」

枝葉をかき分けてみると、

声の主が人間だということが

ひと目でわかった。

彼らは瀕死の小動物たちを抱えて

いそいそと森の外に運び出そうとしていた。

トリスは木の葉で身を隠し、

枝を伝ってそっと見知らぬ人間たちの

後についていった。

細心の注意を払って後をつけたはずだが、

彼らは異変に気づき警戒を強める。

「気をつけろ。

また『茨の清算者』どもに見つかったら

終わりだからな」

リーダーらしき人間が、

声をひそめて仲間に警告する。

(もしかして……! 

アイツらが『茨の清算者』が言ってた

密猟者!? 

すぐに小動物たちを助けなきゃ!! 

でも……

今から村の人たちに助けを呼びに行ったら

アイツらは森を抜けちゃう)

うーん……と顔をしかめて考えたトリスは、

ひとまず人間たちを食い止めることにした。

木の上から俊敏に飛び降り、

密猟者たちの真ん中に重々しく着地する。

その時に生じた突風と大きな衝撃で

密猟者たちは地面に倒れ込んだ。

「ねぇ! 

キミたち何者? 何しに来たの?」

トリスは何も知らない子供のフリをする。

衝撃が届かなかった場所にいた1人が

まじまじとトリスを見て、

突然驚きの声を上げた。

「こ……こいつ! 人間のガキか!?」

「いや……

ユグドラシルに人間のガキがいるわけねぇ。

それよりも見てみろよ、あの格好。

頭にかぶってんのはなんだ?」

「おい、まさかこのガキ……

昔、ブーズの爺さんが

森に捨てた赤ん坊じゃねぇよな?」

「……はっ、なんだそういうことかよ」

いきなり現れたトリスに警戒していた

密猟者たちだったが、彼の姿を見て

いつの間にか持っていた武器を手放し、

互いに見合わせて高笑いをした。

「ガハハハ! 

おい、ガキ! こっちに来い!」

リーダーらしき人間がそう言って、

言葉を続ける。

「人間のガキがこんなとこで

何してやがる! 

俺が知ってるお前と同い年くらいの

ガキどもは、

オモチャで楽しく遊んだり

ウマい菓子食ったりしてるぞ? 

ボロボロの服着て

森の中走り回ってるガキなんか

いやしねぇ! 

羨ましいか? お前もそうしたいよなぁ? 

ああっ! そうだ! 

ヴェルディアのヤツらが

どこにいるか教えてくれよ。

言う事聞いてくれたら

こんな森から連れ出してやる。

オモチャも菓子も待ってるぜ? 

生みの親も見つけてやるよ」

リーダーらしき人間の話に乗るように

隣りにいた人間が話を続ける。

「ああ、ああ! そのとおりだ! 

お前、自分の姿を見てみろよ! 

まるで野蛮人じゃねぇか。

外の世界はこんな森よりも

ずっと楽しいぞ!」

それまで黙って聞いていたトリスが

怒りの声を上げる。

「ボクは野蛮人なんかじゃないよ! 

ボクはーー!」

怒って反論したが、何か考えついたようで

すぐに自分の気持ちを落ち着かせた。

「…………いいよ、教えてあげる。

ボク、この森のことなら

なんでも知ってるから。

でも……」

丸い目をくりくりと動かしながら

トリスは続ける。

「約束は守ってよね」

トリスは密猟者たちを低木に囲まれた

場所に連れていき、

ヴェルディアの民はこの向こう側にいると

伝えた。

「ここで待ってて。

今みんなを騙して連れてくるから」

そう言って、すぐさま茂みの中に入り、

駆けていく。

しばらくして……

期待に満ちた密猟者たちの前に現れたのは、

騙されたヴェルディアの民ではなく、

怒気を孕んだ大勢の『茨の清算者』だった。

密猟者たちは呆気にとられて

何も反応ができないまま

徹底的に制圧されたのだった。

すべてが終わった頃に

『茨の清算者』たちの後ろから

トリスはひょっこりと姿を現し、

いたずらっぽい笑みを浮かべて

口を開いた。

「約束は守ったよ。

ちゃんとヴェルディアの人を

連れてきたでしょ!」

『茨の清算者』の小隊長は、

完全制圧したあとも

険しい表情を崩さずにいたが、

トリスに向ける眼差しは

今までと比べ物にならないほど

柔らかかった。

口下手な小隊長は、

手柄を立てたトリスに向かって

感謝の気持を込めてうなずく。

トリスは一瞬恥ずかしくなったが、

その気持ちに応えるように顔を上げた。

大きな耳が揺れて、

それが誇らしげに見える。

トリスの表情は晴れやかで、

さっきまで感じていたモヤモヤや

悲しい気持ちは、

もうなくなっているようだった。

この上なく痛快な気分のトリスは、

森の中を飛び回った。

宙を舞うフックも

小気味いい音を出している。

(早く父さんと母さんに言わなきゃ! 

ボク、すごいことしたよって!

今までで一番すごいよって!)

嬉しい気持ちを全身で表現するように

飛び跳ねながら家に帰っている途中、

心配そうにトリスを捜している両親に

出くわした。

「トリス!! 

かわいい私の坊や……

こんなところにいたのね!」

トリスを抱きしめた母親は、

心の底から悔やんでいる表情で

何度も無事を確かめるように

キスをした。

「ごめんなさい……! 

この間はまだ、

あなたにどう話せばいいか

わからなかっただけなの……」

言いながら母親は手を伸ばす。

いつの間にかトリスの頬についていた

泥を拭い、

昔を思い出すようにポツリポツリと

話し始めた。

「何年も……何年も前に、

私たちは森で偶然あなたを見つけたの。

それでーー」

「それで、ボクの父さんと母さんの

子供になったんでしょ!?」

言葉を遮ったトリスに一瞬驚くも、

両親は徐々に穏やかな眼差しへと

変わっていく。

トリスは安堵に包まれた。

両親の眼差しは

彼に大きな勇気を与えてくれる。

「父さんと母さんは、

ボクをここまで育ててくれた。

ボクはずっと父さんと母さんの子供だよ! 

ずっとずーっと、

この森がボクの居場所だよ!」

 

ドリーのコーナー

6歳の頃、トリスは初めて不眠というものを味わった。

その日の午後、一緒に遊んでいた子のひとりが、また身長が伸びたと自慢し、子供たちもこぞって身長比べを始めた。

その時唐突に、どこからともなく

「トリスはなんだかみんなと違う」

という言葉が聞こえたのだ。

そして、子供たちは口々に話し始めた。

ーートリスには尻尾がない。

ーーとがったツメもない。

ーーそれでなにより、大きな耳がない!

身長比べでは誰よりも背が高かったものの、トリスはどうしても喜べなかった。

普段は大好きなご飯も、まったく味がしない。

トリスは耐えきれず、母に尋ねた。

「どうして自分は、他の子と姿が違うのか?」と。

母はしばらく黙り、そして再び絵本を読み聞かせてくれた。

もう眠っただろう、と母が思い、静かに部屋を後にした。

しかしまだ昼間のことを考えているトリス。

いくら考えても答えが出ないのだ。

そして、うつらうつらとし始めた頃に、部屋の外から微かなろうそくの灯りが見えてきた...

そうして目を醒ました次の日、お父さんがプレゼントを用意してくれたと、トリスに母は言った。

そして、自分の姿が見えるようにと、トリスを川辺に連れてきてくれた。

己の姿を見たトリスは、そのまま森の中まで駆けて行き、嬉しそうに木のてっぺんまで登った。

ーーみんな!

ボクにも大きな耳ができたよ!

 

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧