ヴィラネル【影に潜む赤サソリ】
概要
呼称 | 影に潜む赤サソリ |
陣営 | ババリア部族 |
身長 | 175㎝ |
趣味 |
・情報収集 ・新しい変装を試すこと |
好きなもの |
・珍しい秘宝 ・異国の美酒 ・高い報酬 |
嫌いなもの | サンドクローの手先 |
現在地 | タスタン砂漠 |
現在の身分 | タスタン砂漠に潜む盗賊 |
ストーリー
ソルトウォーターにある酒場。
薄暗い店内にはカウンター席に座る二人の客のみで、手持ち無沙汰な店主が酒棚に寄りかかっている。
二人はすでに酒が回っているようで、大きな声が店内に響いている。
「聞いたか、ヴィラネルがまた現れたらしいぞ。交易路を移動するのも気が気じゃねえよ、いつ自分の貨物が狙われることか…」
ペラペラとまくし立てるその客は、肩に荷物を掛け、痩せた体には似つかわしくない大きなローブを身に纏い、顔をベールで覆っている。
ベールの角を持ち上げて酒を飲むそのしぐさは、典型的な砂漠の商人だ。
「あの女泥棒のことか?」
ボロボロの軍服を着た男があざ笑うように言った。
「あの女が商人の荷物なんか狙うと思うか? 嗅ぎまわるだけ無駄だ」
「じゃあ…あんたは会ったことがあるのか!?」
興奮してきた商人が男に詰め寄ると、袖に隠された汚れだらけの武器が目に入った。
彼はしばし沈黙したあと、振り向きざま店主に向かってかすれた声で叫んだ。
「同じのを2杯!」
店主が2杯の酒をカウンターテーブルに出すと、商人は2杯とも男の目の前に置き、用心深く尋ねた。
「あんたは…彼女のような絶世の美女が、どうしてこんな汚い仕事をしていると思う? あの美貌なら、盗みなんかしなくても何でも手に入りそうだ。ほら…『ヴィラネルのスカートは、砂漠に咲く最も艶やかなバラ』とか言われてるよな」
「だが、バラには棘がある。彼女のスカートの裾にはサソリの尾が隠されていて、誰にも気づかれず人を殺すこともできるらしい」
「でも…金さえあれば飛ぶ鳥も落ちるんだよ。いくらあれば、彼女を食事に誘えるのか…」
商人はぎこちなく手をこすり合わせ、男の嘲笑を買った。
「ヴィラネルは金のためならどんな仕事でも引き受けるようなケチな泥棒じゃねえよ! あの女は冷酷非道、バカげた妄想はしないほうが身のためだぜ」
そして男は少し間を置いて、
「だが、お前がサンドクローの代物を狙うというのなら、興味を持ってくれるかもな」
「あの連中だけはごめんだ…」
商人は声を落として言った。
「アイツらは気が狂ってる…」
タスタン砂漠を往来する商人にとって、サンドクローはひどく恐ろしい存在だった。商人は恐怖のあまり声を詰まらせ、目の前の男を少し警戒し始めたようだ。
「まさかヴィラネルとヤツらに何か関係が?」
「ああ、深い因縁がある。サンドクローはヴィラネルを捕らえるために大勢を送り込んでいるが、身を隠すのが上手い彼女を何年経っても捕らえられない!」
そう言って、男は酒を一気に飲み干した。
「サンドクローに追われてるって、彼女はいったい何を…?」
商人は矢継ぎ早に質問をしかけたところで、男の鋭い視線に気づき、思わず震え上がった。
そして慌てて店主を呼び、追加の2杯を頼んだ。
男はその酒に満足したのか、ようやく表情を緩めた。
「彼女はかつて、サンドクローの貴重な代物を強奪し、大きな損失を負わせたと言われている。それもかなりの大損だ!」
「サンドクローが長年負い続けるって、どんな貴重な代物なんだ?」
商人は好奇に目を輝かせている。
「あれは小さな女の子たちだったな。貴重であることには違いないだろ?」
「まさかサンドクローは、ラスティーアンカーのような薄汚い商売にまで手を染めていたのか!?」
商人は怒りに震えながら吐き捨てた。
「シッ、声がデカい!」
男はしばらく間を置くと、こう付け加えた。
「当時も大騒ぎだったようだが、彼女が連れ帰った女の子たちは、未だに見つかっていないんだ!」
「それなら、なぜ彼女は女の子たちを…ただの盗みじゃないのか?」
商人は首をかしげた。
「それは誰にも分からん! これはあくまで俺の推測だが、彼女もサンドクローに捕まった経験があって、同じ苦しみを味わう人を見たくなかったのかもしれない」
しばらく黙っていた商人が、やや憤慨した声を絞り出すように言った。
「サンドクロー、ここまでロクでもないヤツらがいるのか…」
「とにかく、サンドクローはかなり厄介な相手を敵に回してしまったことだけは確かだ! その後も、サンドクローが関わる取引とあれば、彼女はその妨害に向かった…サンドクローは何年もかけてかなりの損失を生み、彼女を捕らえるためならと傭兵に大金を費やした。その結果は、お前が予想がつくだろう…サンドクローに送り込まれた人物だと彼女に気づかれたら最後、彼らは全員…」
「ところで、なんであんたはそんなに詳しいんだ?」
「ああ、この傷はどこで負ったと思う?」
男は座り直すと、軍服をめくり痛々しい血痕を露にした。
赤く膨れあがった腕をさすり、まるでそれが自分を楽にする唯一の方法であるかのように、何度か力なく振った。
「あの女泥棒、二度と顔も見たくない! さもないと痛い目に合わせてやるぞ!」
夜も半ばに指しかかり、商人は荷物を整理し、よろめきながら立ち上がり、男の肩をそっと叩いた。
「今日は俺のおごりだ。ヴィラネルのこと…いろいろ教えてくれてありがとう」
男はおごってもらうことなど意に介さない様子で、面倒くさそうに手を振った。
商人は軽く微笑むと、数枚のコインをカウンターテーブルに放り投げた。
ローブを振り払いながらドアに向かう商人を、喜色満面の店主が見送っている。
すると突然、男は胸に刺すような痛みを訴え、そのままカウンターテーブルに倒れ込んだ。
店主の悲鳴が響くなか、男は凍りついたような目でドアの方向を見た。
そこには、商人のローブへ潜り込もうとする巨大なサソリの尾があった…
ドリーのコーナー
ヴィラネルは影と復讐に彩られた人生を送っていた。
孤児としてサンドクローに引き取られたその日から、普通とはまったく異なる道を歩む運命にあったのだ。
他の孤児たちとともに、将来の盗賊として厳しい訓練を積み、まるで道具のように扱われる日々を過ごした。
暴力と裏切りに満ちた環境の中、ヴィラネルは次第に美貌と知性で身を固めることを学び、狡猾で冷酷な人物へと変貌していった。
サンドクローの支配からようやく解放された後は、異なる部族の下を転々とし、厄介な汚れ仕事などを引き受けることで生計を立てていた。
しかし、優秀なヴィラネルに仕事を任せるには、高い報酬だけでは十分ではなかった。
彼女が仕事を選ぶ基準は、サンドクローが関わっているかどうかにあるのかもしれない。
ヴィラネルのサンドクローに対する復讐心は、単に個人的な恨みだけにとどまらなかった。
彼女は、少女たちとともに任務に当たっている間、何人もの幼い命が奪われるのを目の当たりにしてきた...
時が経つにつれ、サンドクローに対する不信感が憎しみへと変わり、復讐の原動力となっていった。
サンドクローの支配から逃れた日以来、彼女は自分の自由のためだけではなく、同じように苦しんでいる罪のない人々のためにも戦っている。
かつてサンドクローの下で学んできたことは、ヴィラネルにとって最高の武器となっていた。
自分の痕跡は一切残さず、常に主導権を握りながら目の前の障害を一掃する。
立ちはだかる脅威には冷酷さをもって立ち向かう。
この不公平な世界では、他者を破壊することもまた、生き残るために必要な手段なのだ。
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