ナロコ【砂丘のいたずらっ子】
概要
呼称 | 砂丘のいたずらっ子 |
陣営 | ババリア部族 |
身長 | 133㎝ |
趣味 |
・はしゃぐこと ・隣にいる人をからかうこと |
好きなもの |
・サンドワームのナータ ・両親や家族 |
嫌いなもの |
・楽しい時間を邪魔してくる人 ・頭をよく見せようとしている愚か者 |
現在地 | 流浪の地 |
現在の身分 | 虫使い部族のはぐれ者 |
ストーリー
砂漠のど真ん中で、
盗賊のボスであるレックは
仲間たちと大声で歓喜していた。
つい先ほど奪い取った高価な銀器が、
馬の鞍の両側にある布袋の中で
カチャカチャと音を立てている。
それが砂の下の奥深くに
伝わっているとも知らずに……
喜びもつかの間、突然全員が異変を感じた。
馬の足元で妙な砂の流れが起きているのだ。
次の瞬間ーー
馬を含めその場にした全員が
奇妙な砂の穴に落とされる。
同時に、不思議な髪形をしていて
衣服の袖に大きな鈴がついた少女が
砂の中から飛び出してきた。
少女を下から支えているのは、
二人がかりでやっと抱えられるほどの
太くて大きなサンドワームだ。
「うるさい!」
ナロコという少女は
怒りに満ちた表情で声を荒げた。
高価な銀器が灼熱の日光で
美しく輝いているが、
ナロコはそれを蹴り飛ばした。
目の前にいる間抜けどもは、
地中の穴倉で気持ちよく眠っていたのを
邪魔した上に、
サンドワームのナータを
攻撃しようとしたのだ。
ナータは砂を巻き上げ、
盗賊どもをさらに深く埋もれさせる。
すると、盗賊どもはナロコにとって
ゴミ同然の銀器を差し出して
許しを請い始めた。
「そんな飴すら入ってないの、
いるわけないでしょ!」
ナロコの怒りは少しも収まっていない。
「お前らみたいなのは、
砂漠で干からびちゃえばいいんだ!」
少女は鈴を鳴らして、
ナータを呼び戻し地中に帰ろうとした。
「俺らのアジトにいけば、
美味しいものがたくさんあるぞ!」
盗賊のボスのレックは慌てて言う。
「実は先月、
虫使いの部族の友人と別れたばかりなんだ。
こんなところで今日また会えるとはな……
さっきのは全部誤解なんだ!」
「虫使いの部族に会ったことがあるの?」
ナロコは緊張の中に
期待を滲ませたような表情をする。
それを見たレックは予想が当たったと
確信したのだ。
虫使いの部族というのは、
砂漠の奥地に住む不思議な部族だ。
生まれつき小さな体をしているが、
巨大な砂虫……サンドワームを
操る力を持っている。
この部族はめったに姿を現さない。
目の前にいるこの少女は、
おそらく何か想定外の出来事が起きて、
一族とはぐれてしまったのだろう。
レックは砂に埋もれたまま笑顔を見せた。
「あぁ、そうだ。
偶然にも行き先が同じでな。
半月も一緒に行動しーー」
レックが言い終わる前に砂が蠢く。
盗賊たちは再び砂の上に立つことができた。
そうして……
ナロコがレックたちとともにアジトに
到着する頃には、夜の帳が下りていた。
「そのサンドワーム……ナータを使って、
キャラバンを流砂で足止めしてくれれば、
虫使いの部族がどこに向かったのか
教えてやるよ」
「本当に!? 約束ね!」
ナロコは感激のあまり、
その日の夕飯が
ものすごく粗末だったことに対し、
まったく気にすることはなかった。
だが、ナータは少し
イライラしているようだった。
巨大な牙が所狭しと並んだ頭を
ナロコの足に擦りつけている。
その時、ナロコは初めて一連の流れが
妙だと気づき、ナータに伏せるよう
指示を出した。
盗賊たちは、少女が何をするつもりなのか
理解できていなかった。
直後、ナロコは自分の髪についている針を
ナータに突き刺したのだ。
ナータは身震いをして、丸まってしまう。
盗賊たちは低い声で驚きの声を上げ、
互いに顔を見合わせる。
ナロコもまた、盗賊たちが緊張している
様子を見て驚いた。
「まさか、知らないわけじゃないでしょ?
虫使いの部族の針には猛毒が
仕込まれているの。
そうじゃなきゃ、
サンドワームを操れないからね」
「あ……あぁ、そうだな!
久しぶりに見たから、少し驚いただけだ」
ナロコの近くに座っていたレックは、
瞬時に誤魔化した。
そして、ナロコの針を避けるようにして
パンを渡す。
ナロコはパンを受け取りながら
ナータをポンポンと叩いて口を開いた。
「ドラゴンベリーはある?
サンドワームは、
ドラゴンベリーが大好きなの。
知ってるでしょ?」
レックは顎を触りながら、
これから手に入れるドラゴンベリーは
すべてナータに与えると慌てて約束した。
「わかった!」
そう言って、ナロコは大きな口で
パンをかじったのだった。
少し時間が経った頃ーー
「何個か砂丘を越えたところに
大きなキャラバンがいるよ」
照りつける太陽の下、
砂から出てきたばかりのナータに
手を触れながらナロコは言った。
「ナータが振動を感じ取ったみたい。
今すぐ行こ!」
レックは一瞬考えて、
ナロコとナータは先に行って
キャラバンの足止めをするように
指示を出し、
自分たちは後から馬で追いかけると伝える。
だが、その提案にナロコは同意しなかった。
砂漠ではぐれるのが嫌なのだとごねたのだ。
そんな少女にレックは呆れて文句を言う。
「俺たちは砂の下じゃ動けないんだよ!」
ナロコは、はっとして鈴を鳴らすと、
ナータはすぐに体をくねらせて
大量の粘液を吐き出したのだ。
「これを体に塗れば、
砂の下でも皮膚呼吸ができるよ!
前にやってもらわなかったの?
虫使いの部族の友達に」
ナロコは笑いながら言った。
「いやー、あの時は急いでいたからな」
無駄なおしゃべりを
もうしたくないレックは、
手を伸ばしてひどい臭いがする粘液を
塗りたくった。
全員粘液を塗り、ナータに続いて
砂の下に潜り込んだが、
レックはすぐに息苦しさを感じ始めた。
体に塗った粘液のせいで砂がまとわりつき、
身動きが取れなくなってきたのだ。
絶望を感じながらナロコを探したが、
少女の姿はどこにもない。
レックは永遠に知ることはないだろう……。
飼い慣らされたサンドワームは
食事など必要ないのだ。
もちろん、
虫使いの部族が持つ針に毒もない。
むしろ、それを使って
自分のエネルギーをサンドワームに
与えることができるのだ。
本当に毒を持っているのは、
サンドワームの粘液だったーー
数マイル離れた場所で、
ナロコは前日騙されたことに
腹を立てていた。
「あんなに毒液を吐き出して、
疲れたでしょ?
直接引き裂いてやっても良かったけど、
こっちの方が楽しくて……ごめんね」
ナロコはナータの首元に抱きつき、
続けて言った。
「さあっ! 帰ろ!
お昼寝の続きをしないと!」
ドリーのコーナー
タスタン砂漠で最も荒れ果てた流浪の地。
まさに死の地である。
だが果てしない黄砂の奥地には、「虫使い部族」と呼ばれた謎の一族がひっそりと暮らしている。
虫使いたちは生まれつき体が小さいが、巨大砂漠生物であるサンドワームを操ることができる。
サンドワームは調教を行うと、虫使いと一緒に狩猟や防衛を行うことができる。
その特性と生活方法故に、虫使いたちは外界の出来事に対して疎遠になり、結果砂の海の地下でひっそり隠居することになった。
だが、ナロコはほかの族人とはまったく違う。
彼女は生まれつきの暴れん坊で、よく何の躊躇いもなく地上に出かけてしまう。
彼女は虫を操る才能が少々あるものの、まだ若すぎたため、その実力を語ることはできなかった。
時々、外で手強い相手に遭遇し、彼女自身とサンドワーム・ナータに何度か傷をつけてしまうが、それでもナロコを止めることはまったくなかった。
ある時、大地震が一族を襲った。
部落で地割れが発生したため、一族は仕方なく住処の移動を強いられた。
これからはどうなってしまうのか、と悩む人たちを傍らに、ナロコだけは遠出をとても楽しみにしている。
しかし、移動の途中で彼女は一族とはぐれてしまう。
両親や長老たちの束縛から解放されたナロコ。
彼女はナータと一緒にこれまで以上にワクワクできる砂漠の冒険を始めた。
彼女たちは楽しく遊びながら、族人たちの痕跡を一緒に探した。
トラブルがあれば、彼女とナータの連携によってスムーズに解決していた。
しかし、時々、無神経な通行人がナロコを困らせることがある。
その時、ナロコは鈴を振り、ナータを操って、黄砂の奥地に彼らを追いやって罰を与える。
そしてその無様な姿を見ながら、ナロコはどうやらとても楽しんでいるようだ。
ある日、ナロコは自分の昼寝の邪魔をした盗人を罰していたところ、相手の口から「虫使い部族を見たことがある」と言われる。
ナロコは大いに喜び、一族の情報を教えてもらうために、盗人たちの手伝いをするようになった。
だが盗人たちはナロコを軽く見ていたようだ。
彼女はすぐに彼らのウソを見抜き、そして復讐を誓った...
盗人たちが全く死が迫っていることに気づかずに、ナータが吐き出す毒液を全身に塗っていた。
その様子を見つめるナロコは、ついに満足の表情を浮かべた。
「砂漠はあたしの遊び場! 誰もあたしに勝てないよ!」
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