カッシオ【孤独な刃】
概要
呼称 | 孤独な刃 |
陣営 | ババリア部族 |
身長 | 196㎝ |
趣味 | 武器の手入れ |
大切な人 |
・姉 ・リア |
嫌いなもの | 特になし |
現在地 | 消息不明 |
現在の身分 | 変節者 |
ストーリー
親愛なる姉さんへ
一言だけ言わせてもらう。
もう俺のことは探さないでくれ。
姉さんも知っているはずだ。
俺がその気になれば
誰も俺を捕まえることなんてできないって。
この手紙が届く頃には、
もうお腹の子供も生まれているだろうな。
その子が元気に育つことを祈っているよ。
少なくとも、俺たちみたいな
貧しい子供時代を過ごすことはないはずだ。
小さい頃は過酷だった……
ロドリーの父親は俺たちみたいな
餓死寸前の孤児を軍隊に引き入れてさ。
俺たちも含めて、
あいつの過酷な訓練を乗り越えた子供は、
アンサットやファルコン族、
『サンドクロー』と戦うための
消耗品として駆り出されただろ?
だから俺たちは
お互いの身を守ろうって誓い合った……
だけど、姉さんとロドリーの結婚式で
気づいたんだ。
姉さんがあいつを見つめる眼差し……
俺はひと目見てわかったよ。
姉さんは自分の居場所を見つけたんだって。
その瞬間、俺は姉さんを失ったって思った。
だからまた放浪者に戻ったんだ……
いや、俺に文句を言う資格なんてないよな。
俺はロドリーの優秀なスパイだった。
あいつの命令どおりに暗殺を繰り返し、
あいつは軍を率いて土地を征服していった。
その結果、多くの子供が親を失ったり、
親が子供を奪われたりした……
かつての俺や姉さんのようにね。
俺は他人の話はめったにしないけど、
リアのことを姉さんに話したのは
覚えているか?
彼女は花を髪飾りにするのが
好きだった……
リアはよく俺と一緒に
任務をこなしていたんだ。
あれは凍えるくらい寒い日だったな。
俺たちは砂丘の上から
難民キャンプを監視していたんだ。
あの日の星空は
ひときわ輝いていたのを覚えている。
その時突然、彼女は俺にこう聞いたんだ。
「もし自分たちがこのキャンプの場所を
報告したら、難民たちはどうなるの?」
だから俺はこう答えた。
「知ってるくせにどうして聞くんだ?
いつものようにロドリーが
ここを更地にするだろ」
当たり前のことを言っただけなのに、
リアは少し悲しそうな顔して
黙ってしまったんだ。
だけど夜明け頃になって、
ようやくリアが口を開いた。
彼女は俺に、この場所をロドリーに
言わないでほしいって言ってきたんだ。
もしかしたら、難民の中に自分の部族を
見つけたのかもしれない。
もしくは、ただ自分の仕事に
辟易しただけかもしれない。
俺は彼女の目をじっと見つめた。
ロドリーの決めた規則に従うなら、
俺はここで裏切り行為をする彼女を
殺さなければならない。
だけど、俺は彼女の提案を受け入れた。
リアは嬉しそうだったよ。
彼女は俺にこう伝えてきた。
「でも……
こんなことをしたらもう部族には戻れない。
だから、もしあなたさえよければ
ユグドラシルの辺境で小屋を建てて、
そこに住まない?
時々キャラバンの護衛とかしながら
一緒に旅するの。
暗殺なんてやめてさ……」
俺も嬉しかった。
だからなのかな……
次の日の夜、
俺は不覚にも熟睡してしまったんだ。
姉さんと俺が生まれた
オアシスの夢を見た気がする……
だけど目を覚ました俺が見たのは、
そんな輝かしいものじゃなかった。
俺たちが見逃した難民たちが
リアの背中にナイフを突き立てて、
彼らに分け与えようとしていた食料を
奪っている光景だったんだ。
涙を流しながら俺を見るリアの口からは、
ゴボゴボっていう血を吐く音しか
聞こえなかった。
だけど、思い違いかもしれないけど、
俺に許してほしいって
言っているように聞こえたんだ……
これが俺の身に起こったことだ。
あの難民たちはほとんどが死んだよ。
俺はリアをあの星空の下に埋めた。
姉さんには悪いけど、
俺はもう部族に戻るつもりはない。
そこにいる意味もないからな。
裏切り者でも、逃亡兵でも
好きに呼ばせておけばいい。
ロドリーにはこれ以上無駄な兵力を
割く必要はないと伝えてくれ。
俺はもう昔の仲間を傷つけたくないんだ。
女神デューラが俺のことを
哀れんでくれるなら……
もう一度姉さんと俺が生まれた
オアシスをこの目で見てみたいと
思っている。
もしくは、ユグドラシルに向かうのも
いいかもしれないな。
姉さん、色々とすまなかった。
俺のことはもう忘れてくれ。
カッシオ
ドリーのコーナー
冷淡を絵に描いたようなカッシオは、何にも興味を示さない。
軍に戦功を讃えられても、誇らしくは思わず、流れ者たちに残酷だと罵られようとも、心は痛まなかった。
彼はロドリーの物言わぬ剣だ。
ロドリーが自分の事を家族だと思おうが、道具と見なそうが、カッシオにとっては何の意味もなさない。
彼が唯一気にかけるのは、ずっと一緒にいてくれた姉だけだ。
しかし、互いに支え合おうと誓い、カッシオの生きる意味であった姉も、ロドリーと結婚し、自分の人生を歩み始めた。
かつての誓いも、もう誰も口にすることはなくなった。
難民を見逃してあげたいと言った時、もし目の前の男が本当に感情のない道具なら、次の瞬間に自分の無防備な首に鋭い切っ先が突き立てられるだろうと、リアは覚悟していた。
だがカッシオは彼女の願いを受け入れ、共に裏切り者となり、難民キャンプの場所を隠し通してくれた。
リアの勇敢な告白は、カッシオに新たな生きる意味をもたらしてくれた。
ロドリーの刺客をやめ、ユグドラシルに家を建て、隊商の護衛をするというのも悪くない未来だと思えた。
だが甘い夢は脆く儚い。
恐怖と空腹に駆られた難民が、リアの背後から刃物を突き刺し、彼女が難民に分け与えようとしていた食糧を奪った。
彼らを守るために選んだ裏切りをあざ笑うかのように、純粋で優しいリアは命を奪われ、カッシオは大きな代償を払って「本来の仕事」を遂行した。
リアの死で命の虚無を悟ったカッシオは、これ以上何かに期待を抱くことを恐れ、永遠に心を閉ざした。
この世を去った愛する者との約束通り、カッシオは守護者となった。
だがそれは「守る」ことの意味を肯定したわけではない。
彼にはもうその約束しか残っていないからだ。
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