シエン

ページ名:シエン

シエン【風を追う青い羽】

概要

呼称 風を追う青い羽
陣営 竜族

ストーリー

「血筋が運命を決める」

ーシエンが幼い頃から聞かされてきた言葉だ。

彼は亜竜の家系に生まれ、純血竜たちの目には、亜竜は卑しい下等生物に過ぎず、竜族の栄誉に浴する資格もなければ、平等な尊重を得ることすら叶わない。

シエンは幼い頃から同年代の者を超える天賦と実力を見せたものの、冷ややかな目を向けられ、いじめられることはすでに彼の日常となっていた。

どれほど頑張っても、耳元で囁く声は絶えない。

「卑しい亜竜は認められることはない」と。

しかし、シエンはこれらの抑圧と差別に屈服することはなく、彼はまるで嵐の中に立つ盤石のようにますます強くなっていく。

彼に必要なのは自分を証明する機会だけだった。

そして、エリート守備隊の候補者を選抜するために竜族議会が執り行った試練は、まさに彼のために用意された絶好の舞台だった。

 

長年の準備を経て、シエンはついにフィールド上に立った。

これは単なる力の勝負ではなく、試されるのは心と意志、そして戦術全般だった。

数多くのエリートたちがここで挫折し、亜竜が予選を突破したことは一度もなかった。

疑惑の声が渦巻く中、シエンは見事な戦いぶりで予選を突破し、最終試練を迎えた。

それは、数多くの挑戦者を打ち倒してきた凶暴な巨獣と戦うことだ。

シエンは巨獣と真正面からぶつからず、鋭い洞察力と俊敏な動きで弱点を探り続けた。

そして、隙を見せた瞬間、回転斬りで急所を衝き、決着をつけたのだった。

シエンの勝利にフィールド上は静まり返り、議会のお偉いさんたちが顔を見合わせ、驚きを隠せない様子だった。

激しい議論の末、議会はシエンをエリート守備隊の候補生として迎え入れることを決定した。

この決定は大きな波紋を呼んだ。

今まで亜竜がエリート衛兵の資格を取得した前例がなく、これは間違いなく竜の島で古くから続く「身分制度」への挑戦だったからだ。

 

候補生として入隊を果たしたものの、シエンの境遇はそれで好転することがなかった。

隊員たちは彼に敵意を剥き出しにし、公然と彼を「雑種」だと罵り、さらには意図的に最も危険で困難な任務を彼に割り当てた。

これは明らかに、彼を追い出すためのいじめであることは誰しもわかっていた。

「努力したって何の意味があるんだ? こんなんで血筋に勝てるとでも? 考えが甘いにもほどがある」

教官の言葉がまだ耳に残っている。

言葉を失ったシエンは、深夜の訓練場で一人で汗を流し、動きの一つ一つを極限まで磨き上げ、彼を疑う隊員たちに追いつき、さらには追い越そうと必死に努力を重ねた。

しかし、どれだけ懸命に練習しても彼らに認められることは叶わず、相変わらずシエンは無視され貶される存在だった。

少し落ち込んだあと、彼は再び立ち直った。

なぜなら彼は信じていたからだーー

チャンスは準備した者だけにやってくるものだと。

 

この日、シエンの小隊は竜の島の国境へ派遣され巡回の任務を任された。

これは極普通な任務に過ぎなかったが、シエンが常に警戒している様子が皆に嘲笑された。

「なにビクビクしてんだ、雑種! ここに敵なんかいないんだぞ」

隊長は皮肉な口調で言って彼を見つめ、他のメンバーもそれに同調した。

シエンは反論せず、依然として周囲を注意深く観察していた。

彼は急激な天候の変化に気づき、厚い雲が押し寄せ、空気中に異常な元素の波動が漂っているのを感じ取った。

彼はすぐに隊長に引き返すよう忠告したが、隊長は気にも留めず、「当初の計画通りに進め」と頑なになっていた。

突然、一筋の稲妻が空を引き裂き、雪を伴う強風や落雷が襲いかかってきた。

「エレメントストームだ! 撤退せよ!」

隊長は即座に命令を下し、隊員たちを率いて安全地帯へと撤退した。

しかし、激しい旋風が巻き起こり、隊員の一人を巻き込んでしまった。

悲痛な叫び声は、瞬く間に轟く雷鳴に飲み込まれてしまった。

一行は動揺を隠せなかった。

隊長はすぐに救助を試みたが、絶え間ない稲妻がまるでバリアのようだ。

強烈な電流を前に彼らは何度も押し戻され、これ以上一歩でも近づけば、雷に打たれる危険があった。

 

「中に入れない!」

何度か試みて失敗した後、絶望感が隊員たちの間で広がっていた。

「俺たち、ここで死んでしまうのか...」

嵐はますます激しくなり、巻き込まれた隊員の姿が雷光の中に見え隠れしていた。

シエンは深呼吸をし、風盾を張り、嵐に近づいていった。

「無理をするな!」

隊長が怒鳴りつけ、彼の肩を押さえつけた。

「亜竜の分際で、出しゃばるな!」

「すぐに援軍を呼んでくる! 彼がもう少し持ちこたえていれば...」

「援軍が来るまで持ちこたえられる保証なんてない!」

シエンは隊長の手を振り払い、果敢に嵐の中へ飛び込んだ。

吹き荒れる気流が稲妻を伴って容赦なく彼の体を引き裂き、骨身に染みる寒風が彼の知覚を麻痺させたが、彼は鋭い感覚を頼りに、激しい雷と風の渦の中を素早く移動し、ついに嵐の奥深くで既に気を失っていた隊員を見つけ出した。

シエンは隊員を抱きかかえ、歯を食いしばり、骨を刺すような寒気と咆哮する狂風に耐えて、よろめきながら外へ向かって突破を試みた。

その一歩一歩が深淵を越えているかのようで、雷撃の一つ一つに砕かれてしまいそうだった。

裂けた傷口から血が滲み、やけるような痛みが体を走ったが、彼は一歩も引かなかった。

 

嵐の中から抜け出そうとした瞬間、突如として激しい雷が落ちてきた。

シエンは躊躇なく自分の体で隊員をかばった。

激痛が瞬く間に全身に広がり、視界もぼやけてきた。

嵐の外で、不安そうに待っていた隊員たちが稲妻の光を隔ててよろめく姿を目にした。

彼らは風盾を張り、全力で致命的な雷撃からシエンたちを守り、生還への道を切り開いた。

みんなの助けを借りて、シエンはついに隊員を嵐から連れ出すことができた。

彼は倒れ込み、意識を失い、駆けつけた医療班に運ばれていった。

 

目が覚めたとき、シエンはすでにキャンプに運ばれており、教官や隊員たちに囲まれていた。

かつて彼を軽蔑していた隊長が真剣な顔で感謝の意を伝えた。

救出された隊員は感動のあまり言葉を詰まらせた。

シエンは仲間を救っただけでなく、彼を冷ややかに見ていた純血竜たちにも、その実力と勇気を認めさせた。

教官は議会に表彰申請を提出し、シエンも今回の任務での活躍により、候補生から無事卒業し、晴れてエリート守備隊の正式メンバーとなった。

今や彼は、卑しい「雑種」ではなく、真の竜として認められた。

 

エリート衛兵となったシエンは、常に最前線で戦い、鋭い洞察力と優れた実行力で幾度となく危機を乗り越え、徐々にチームの中核となっていった。

それでも、彼は少しも怠ることはなかった。

血筋の束縛を打ち破るには、絶えず強くならなければならない。

真の試練はまだ始まったばかりだ。

「ボクの未来は、血筋なんかに縛られない。それを証明してみせる」

嵐が去り、朝日が雲を突き抜けて、竜の島をすみずみまで照らした。

シエンが信じていたように、闇を越えた先には、きっと光が待ってる。

彼は準備を整えたーー

自分自身のためだけでなく、偏見に束縛されたすべての亜竜のために、新たな道を切り開く準備を。

 

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