ラウル【悪人探偵】
概要
呼称 | 悪人探偵 |
陣営 | ブライト王国 |
身長 | 180㎝ |
趣味 |
・カードゲーム ・人間観察 ・夜の散歩 |
好きなもの |
・新しい薬と道具 ・複雑な謎 |
嫌いなもの |
・偽物の正義 ・官僚仕草 |
現在地 | ケイリン城 |
現在の身分 | ケイリン城の私立探偵 |
ストーリー
ケイリン城の街中の薄暗い一角。
新聞売りの少年が大慌てでラウルの古ぼけた事務所へと駆け込んできた。
あまり評判がよくない私立探偵のラウルはイスにもたれかかって居眠りをしていた。
イスの背もたれに掛けられたコートは、何が詰め込まれているのか、大きく膨れ上がっている。
「ラウルさん!」
息を切らしながら、トミーが飛び込んできた。
薄っすらと目を開けたラウルは、『良い夢を見ていたのに』とばかりに少年を一瞥し、ダルそうに尋ねた。
「何だ?」
「エレノアお嬢さんがいなくなったんだ! 父親のエリック卿から手を貸してほしいと頼まれた。金はいくらでも払うそうだ」
それを聞いた探偵はようやくパチリと目を開け、イスから立ち上がった。
「よし。その家へ案内しろ」
家に着くと、ラウルはエレノアの部屋へと案内された。
エリックが落ち着かない様子で部屋のドアのそばに立っていた。
「警察はまったく当てにならん。あなたならなんとかしてくれると聞いた。頼む! 娘を助けてくれ!」
ラウルは部屋をぐるりと見回すと、鼻にシワを寄せた。
どうやらなにかを感じ取ったようだ。
次にコートから試験管を取り出した。
中には特別な薬剤が入っている。
それを床に吹きかけると、空気に触れた薬剤が青く光りはじめた。
そして、隠れていた足跡が徐々に浮かび上がってきた。
それを見たエリックは驚いた。
「何だ、これは?」
ラウルが詳しく調べた結果、その奇妙な足跡は人間のものではないことがわかった。
ラウルの目つきが険しくなった。
「これは面倒なことになったぞ」
時間がない。
ラウルはすぐに行動を開始した。
出発する前、ラウルはエリックに伝えた。
「新聞社に連絡しておいてくれ。特別に頼みたいことがある」
ラットバーの出入口に身を潜めたラウルは、慌てて逃げようとする客の足を引っ掛けて捕まえた。
そいつの名はボルダーという。
ラウルを見て、逃げ切れないと悟ったボルダーは、恐怖と怒りの混ざった声で叫んだ。
「何の用だ!? オレはもうとっくにダーククロウから足を洗ったんだ!」
ラウルは黙ったまま一枚の写真を取り出すと、それをその男の目の前でチラつかせた。
ボルダーの顔は真っ青になり、唇もブルブルと震えはじめた。
「ど…どうして、お前がこれを…」
「ある手段でな」
ラウルは脅すような口調で続けた。
「ダーククロウがまた動き出した。この写真を警察に突き出されるのが嫌なら、奴らが人質をどこに隠してるか言え!」
ボルダーはゴクリとツバを飲み、ついに根を上げた。
「東の外れにある廃墟倉庫だ。厳重な守りが敷かれている」
ラウルはニヤリと笑うと、ボルダーの頬を軽く叩いた。
「協力に感謝するぜ」
夜の闇の中、ラウルは音を立てずに廃墟倉庫へと近付いていった。
ダーククロウのメンバーが入口を守っている。
ラウルは一人でパトロールをしていた守衛を襲い、その服を奪った。
そして、倉庫の中へと紛れ込むことに成功した。
エレノアは倉庫の奥の部屋に閉じ込められていた。
ぐったりとしているが、意識はしっかりしている。
ラウルは優しく声をかけた。
「シーッ! 助けにきたぞ」
エレノアは黙ったまま、うなずいた。
その目には希望の光があふれていた。
だが、人質が逃げたことに気付いたダーククロウが犬のように後を追ってきた。
ラウルとエレノアは複雑に入り組んだ路地を逃げ回ったが、結局、袋小路に追い込まれてしまった。
エレノアは地面に落ちていたレンガを拾い上げ、最後まで抵抗する姿勢を見せた。
だがラウルの顔に焦りの色は見られない。
彼はコートに突っ込んだ手をゴソゴソと動かしていた。
なにかを組立てているようだ。
「ハイ! チーズ!」
ラウルはコートから古いカメラを取り出すと、パシャリとシャッターを切った。
フラッシュの光が暗闇の中で弾け、そのまぶしさにダーククロウたちは思わず目を覆った。
彼らが目を開けた時、そこに二人の姿はなかった。
空が明らみ始めた。
静かな路地の一角。
マンホールの蓋がわずかにふわりと浮かび上がった。
その隙間から誰もいないことを確認すると、ラウルはエレノアを抱きかかえ、急いで下水道からはい出てきた。
エレノアは全身泥だらけで、顔にはかすり傷もできていた。
エレノアは自分の腰に回されたままのラウルの手をパシリと叩くと、『まだ追ってくるかしら?』と心配げにつぶやいた。
ラウルは意味深に微笑んだ。
「大丈夫さ。それどころじゃないだろうからな」
街では、トミーをリーダーとする新聞売りの子供たちが、至る所で号外を配って回っていた。
「号外だよ! 号外だよ! ダーククロウ内部のスキャンダル! ナンバー2に裏切りの容疑!」
ラウルはガハハと笑った。
「偽のニュースに踊らされて、今頃は火消しに大忙しだ! 俺たちを追ってるヒマなんてないだろうよ」
呆れた様子のエレノアだったが、最後にはたまらず吹き出した。
「よくもまあ、こんなにずる賢いことを思いつくわね!」
ラウルは眉を上げて、少し体を前に傾けた。
「それは光栄だ、お嬢さん。ここで自由に生きていけるのは、ずる賢いやつだけさ」
ドリーのコーナー
ラウルの人生は、ダウンタウンの狭くて薄暗い通りで始まった。
彼はそこで、決して素晴らしいとは言えない幼少期を過ごした。
ケイリン城の地下街は混沌としていて、ごろつきやスリ、ギャングが集う場所になっていた。
法の届かない場所では、力と狡猾さがものを言った。
そんな環境で育ったラウルは、闇と裏切りをさんざん目にするうちに、ここでは道徳心が贅沢なものであることを次第に理解していった。
ラウルは子どもの頃から突出した聡明さと軽やかな身のこなしを見せ、混沌の中で生きるすべをすぐに身につけた。
自身を守るため、彼は迷うことなく詐欺や賄賂、暴力に手を染めた。
それらは、正義などなく、利益と権力だけがある地下街ではよくある手段だった。
生き残りたければ他人より狡猾で非情でなくてはいけないことを、ラウルはよく分かっていた。
大人になるとラウルは私立探偵になり、ケイリン城の荒れ果てた一角に事務所を構えた。
つまり、街の暗部とは依然として密接に関係しているのだ。
どれだけ評判が悪くても、ラウルは探偵としての優れた腕前と、円滑に物事を進めていくスタイルで人々から恐れられ、敬われた。
ラウルは古くからある意味での正義と道徳など、気にしたことがなかった。
彼の信条はシンプルだ。
目的を達成し、真実を突き止めるためならどんな代償でも払う。
この道を歩む上で誠実さが命取りになることを知っている彼は、冷静に嘘と欺瞞に対峙する。
他人の弱点を突くのが得意で、情報を得るためなら甘い言葉による教唆でも武器による脅しでもいとわない。
ラウルは自身の用いる手段を恥じたことはない。
事件の捜査で公正な手順を踏んだことなどなく、生死をかけた博打をしている。
数々の不可解な事件を前に、彼は真実と犯罪をつけ狙うハンターとなるのだ。
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