ノクス【役立たずの魔法職人】
概要
呼称 | 役立たずの魔法職人 |
陣営 | カタストロフ |
身長 | 162㎝ |
趣味 | 奇妙な発明品を作り、改良すること |
好きなもの | レアな機械部品と奇妙な素材 |
嫌いなもの | 平凡なデザイン |
現在地 | 世界を放浪中 |
現在の身分 | 流離の発明家 |
ストーリー
聖光に仕える仲間たちよ、最近各地で立て続けに起こっている異常な「襲撃」事件についてようやく手がかりが得られた。
カヴェンディッシュ領で起きた災害の調査で、裁判所が重要な証言を入手した。
城ごと燃やしたイカれ野郎のせいで、カヴェンディッシュ卿邸での仕事もパーになった。
その日の朝、城に干し草を届けに行く途中で、みすぼらしい老人が荷車を引きずって歩いているのを見かけたんだ。
悪臭を放つそいつは、時々後ろを振り返ったりして、まるで誰かに追われているかのように神経質な様子だった。
そうだ、荷車には奇妙な鳥が動かずに止まっていて、気味が悪かったよ。
俺たちは城門の前で足を止めた。
俺は門が開くのを待っていたが、そいつは旗を立てて呼び込みを始めた。
「さあさあご覧ください。台所仕事を楽にする強力なサポートも、仕事の負担を軽くする秘訣も、全部このノクスの素晴らしい発明品にあります!」
ってな。
そいつのしわがれ声はすぐに人々を引き寄せ、周りに人だかりができた。
穀物倉庫の番人がそいつに「おい、何を売っているんだ?」と尋ねた。
そいつは箱をあさり、はずみ車のついた重そうな鈴を取り出した。
「猫の鳴き声を発するこれを穀物倉庫に置けば、もうネズミが入る心配はありません」と言った。
はずみ車を回すと、本当に鈴から猫の鳴き声が聞こえた。
まるで中に猫が隠れているみたいだったよ。
そして彼は、「はずみ車を15分ごとに10回回せば、鈴が鳴り続けます」と言った。
「15分ごと? それじゃあ一日中これを回すだけで終わっちまうぞ」
周りの人々も笑い出した。
大工が尋ねた。
「もっと実用的なものはないのか?」と。
そいつは、「では、これはどうでしょう」と言って、吹き口のついた木管を取り出した。
彼がその管に息を吹き込むと、中から青い花火が「ポン」と音を立てて打ち上げられた。
「これからは棺桶を作る時に、蓋にこれをはめ込んでください。もし埋葬された人にまだ息があれば、息を吹き込み続けることでこの花火が上がり、その人がまだ助かる可能性があることを示すんです!」
この話を聞いてすぐに、周りの奴らは爆笑した。
酪農家は、「墓地でドーンと花火が上がるのを見たら、必死で逃げ出すだろうな!」と言った。
騒がしくなったその時、城の執事が門を開けて出てきた。
人々が老人を囲んで笑っているのを見て、彼は老人の襟首を掴んで城内へ連れて行きながらこう言った。
「やっと来たか、今日は旦那様のところに貴賓が来ているんだぞ」
そして俺たち召使いにも中に入るよう合図した。
近隣の領地から大勢の騎士が来ているらしく、みな宴会の準備でバタバタしていて、俺もワインを注ぐのを手伝った。
旦那様はすぐに音楽に飽きて、手を叩いて執事に言った。
「ピエロを呼んでこい」
執事は下がり、しばらくするとなんとあの爺さんを連れて戻ってきた。
旦那様は不思議そうに尋ねた。
「これは誰だ?」
執事は言った。
「旦那様、この者は見かけによらず、今朝は城門前で村人たちを大いに笑わせていたのですよ」
旦那様は眉をひそめたまま、老人に尋ねた。
「お前は何ができるのだ?」
爺さんは緊張しているのか興奮しているのか、震える声で言った。
「旦那様、私には独創的な発明品がたくさんございます。あなた様の生活をもっと快適で便利にすることができますよ」
旦那様は興味を示して言った。
「ほう、新しい手品か何かか? どんなものがあるか、見せてみろ」
爺さんは「はい!」とでかい声を上げて荷車に止まっていた奇妙な鳥を手で追い払い、大きなペンチを取り出した。
だが、そのペンチの先端には入れ歯がついていた。
客人たちが首を伸ばして覗くと、爺さんが説明した。
「旦那様、ご覧ください。もし硬い骨を噛めないのなら、この入ればをつけて、ペンチの柄を握る両手に少し力を入れるだけで、骨を砕くことができますよ」
そう言いながら、爺さんは入れ歯をつけて木のスプーンを口に含み、ペンチを動かすと「ガチャン」という音と共にスプーンを噛み砕いた。
旦那様は笑って言った。
「面白い、もっと見せろ!」
すると爺さんは懸命に探し、とても小さな物を取り出した。
「旦那様は普段、闘鶏をされますか? 闘鶏用の眼鏡を作りました。これをつければ、相手に目をつつかれる心配はありませんよ!」
旦那様はすぐに「早く持ってこい!」と言った。
その小さな鶏用眼鏡は細部まで作り込まれていて、客人たちが代わる代わる見ては、大笑いしていた。
旦那様は笑いが止まらず、執事にこう言った。
「こんな面白いピエロは見たことがない。どこで見つけてきたんだ?」
その言葉を聞いた爺さんの表情が強張り、こう言った。
「私はピエロではありません。旦那様、私は発明家なのです!」
彼の言葉に、客人たちはさらに大笑いして、旦那様は息も絶え絶えに言った。
「お前が発明家だと? ははは、今年聞いた中で一番面白いジョークだ!」
爺さんの顔が紫色に変わり、こうつぶやき出した。
「...私にはまだ秘蔵の発明があります。私が優れた技術を持つ発明家であることを、旦那様にも必ず認めていただけるはずです」
そいつは持ち物を床に散らかし、最後に大きな鎌を2本ついたかかしを取り出した。
爺さんはそれをどんと地面に置いて言った。
「皆さま、ご覧ください。この農具一号は効率的な収穫機です。1日で30人分の仕事をこなせます」
そう言いながら、彼はその不気味なかかしを起動させた。
2本の鎌が冷たい光を放ち、どんどん速く振り回され、悲鳴を上げる女性もいた。
執事はしびれを切らして進み出て、「もういい、下がれ...」と言ったが、彼が爺さんに近づくやいなや、かかしの鎌が一瞬で飛んできて、なんと執事の腕を切り落としちまった!
この出来事に全員が呆然とした。
突然、宴会場の上空から耳障りな「ガァガァガァ」という笑い声が聞こえた。
顔を上げると、あの奇妙な鳥が梁に止まっていて、血のように赤い目を瞬かせながらその奇妙な笑い声を発していた。
旦那様がようやく我に返り、衛兵に老人を捕まえるよう大声で命令した。
爺さんは「私のせいではありません!」と叫びながら、荷車を押して逃げ出した。
全員が大混乱に陥る中、衛兵がイカれた爺さんを転ばせて、棺桶用の花火を床に落とした。
するとそのヘンテコな花火が宴会場で一気に爆発した。
その時、ある騎士が叫んだ。
「こいつだ! こいつが、我々の領地に火をつけたんです。この炎には見覚えがあります。ずっと犯人を探していましたが、まさかこんな奴だとは!」
騎士たちが一斉に押し寄せると、奇妙な鳥が「ガァ」と鳴きながら急降下してきた。
その時にその鳥が「邪魔をするな」と言ったような気がする。
すると、青い炎がまるでその鳥の指示を受けたかのように騎士たちの行く手を阻んだ。
ある騎士が跳ね上がった入れ歯ペンチに顔面を打たれ、顎が外れてしまった。
鶏用の眼鏡が旦那様の喉に詰まった。
猫の鳴き声を出す鈴がメイドの頭を打ち砕いた。
最高に混乱した状況の中、奇妙な鳥の笑い声が絶え間なく続いた。
俺が逃げ出した時には、あの臆病者はとっくにいなくなってた。
大勢の人が亡くなった。
俺は誓ったよ。
今後、くだらない発明家なんて奴を見かけたら、この手で懲らしめてやるってな!
証言で言及された「発明品」を調べた結果、それらはすべて例外なくカタストロフの魔力に汚染されていることが判明した。
最も賢明な聖職者たちは、カタストロフが容疑者を監視して深く蝕んでいた可能性が高く、それを楽しんでいたのではないかと推測している。
容疑者は深刻な固執状態に陥っており、カタストロフの干渉を認識できていなかった可能性がある。
容疑者は強力な破壊力を持ち、逃亡に長けているため、できるだけ早く彼を逮捕しなければならない。
ドリーのコーナー
ノクスは幼い頃から「偉大な発明家」になるという夢を抱いていた。
子供時代の彼は、発明家はいつも巧みなアイデアと精巧な設計によって、人々の生活を変え、時には世界を救うことさえある、尊敬すべき存在だと思っていた。
ノクスは、いつの日か自分も伝説の発明家たちのように、世間を驚かせるような作品で賞賛と喝采を浴び、人々の語り草になることを夢見ていた。
そのため、ノクスはよく一人で様々な機械を葬り、古びた鉄器や木材をあれこれ組み合わせて、絶えず「実用的な道具」を発明しようと試みていた。
しかし、彼の才能は限られており、それらの発明品のほとんどは実用性がなく、大半は荒唐無稽なものだった。
それでも彼のやる気は削がれず、むしろ彼はますます頑固で偏執的になった。
ノクスにとって、失敗した発明の一つ一つが成功への階段であり、いつかは「偉大な創作」によって世間に認められると信じていた。
ノクスは次第に変人になっていった。
彼は自分の発明に夢中になり、その安全性や実際の影響さえも無視するようになった。
ノクスの「奇想天外なアイデア」と執着に気づいたカタストロフは、それを楽しむ材料と見なし、密かに彼の創作に影響を与え、これらの小さな発明品にカタストロフのエネルギーを徐々に混ぜ込んでいった。
これらの汚染された発明品は奇妙に見える上、一度使用されると一連の災難を引き起こすことになる。
ノクスはこのことに全く気づいておらず、災難を引き起こすたびに素早くその場から逃げ出すが、自分の発明品の安全性を疑うことなく、災難を「他人が使い方を知らない」や「場所が適切でない」のせいにしていた。
ノクスは自分はただ誤解されていて、ただアピールする機会や舞台が与えられていないと信じていた。
偉大な発明家は一時の失敗で打ちのめされることはない。
彼は日々、きしむ荷車を引きずりながら、決して到達することのない成功を目指して彷徨い続けた。
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