ゼロム

ページ名:ゼロム

ゼロム【海を征く大将】

概要

呼称 海を征く大将
陣営 ブライト王国
身長 195㎝
趣味

・海賊狩り

・部下を鍛えること

好きなもの

・副長くん(ゼロムのペット)

・火継丸

・海の魚を焼いたもの

嫌いなもの

・甲板の桐油

・ウッドレッグ号

故郷 ブライト王国の沿岸にある小さな漁村
現在地 ブライト王国
現在の身分 千帆艦隊の大将

ストーリー

少年が目を覚ます。

飢えで倒れていた少年を

ゼロムが担いで家に連れ戻り、

すぐに魚を焼き始めると、

こんがりと焼かれた魚の匂いが、

少年の鼻腔をくすぐったようだった。

「ちょうど魚が焼けた。食ってみるか?」

魚を焚き火台から取り外しながら、

ゼロムは少年に尋ねる。

この時のゼロムは30代後半で、

千帆艦隊の指揮を執るのは

10年先のことだ。

少年はゼロムの質問には答えず、

武器になりそうな石を手探りし始めた。

少年たち含む『船員』は、

出航前に必ず親玉に言われる。

『ブライト王国の海軍を見かけたら

なんとしてでも倒せ』と。

「腹減ってないのか?」

ゼロムが振り返って少年にもう一度聞く。

「ここは孤島だ。

海賊だろうが海軍だろうが関係ない」

少年は疑り深くゼロムを見つめるが、

グーッと鳴るお腹が

先に答えを出してしまう。

「ゼロム船長と呼んでくれて構わない」

少年に焼き魚を手渡しながら言った。

その名前を聞いた少年は

明らかに動揺したが、

空腹には抗えなかったのか

無言で焼き魚を受け取り、かじりついた。

「俺のこと知ってるのか?」

ゼロムが尋ねた。

「みんな知ってる。

『海賊軍』のゼロム。親分が言ってた。

お前のせいで、

僕らは何ヶ月も逃げ回るハメになったって。

ものすごくずる賢い海賊よりも

怖いやつだって」

『海賊軍』

それは海賊たちから呼ばれていた二つ名だ。

ゼロム率いる最も狡猾で

海賊よりも恐ろしい海軍という意味が

込められていた。

「ハハハ! 

褒め言葉として受け取っておこう」

ゼロムは魚にかぶりつきながら笑った。

「お前は自分がどこから来たのか

覚えてるか?」

ゼロムは言葉を続ける。

『どこから来たのか』

そんなこと聞かなくても

ゼロムはよく知っていた。

かつての自分のように、

この少年も海賊に拉致され、

『ウッドレッグ号』に売り飛ばされたのだ。

そういう子供たちの運命は、

海賊たちにボロ雑巾になるまで虐げられ、

運が良ければ13歳まで生き残り、

その一員になれる。

拉致される前は……

恐らく貧しい漁村の平凡な家庭で

生まれたのだろう。

「船に乗る前のことは覚えてない……

記憶が何もないんだ」

少年は沈黙した。

なぜ記憶がないのかは、

わかりきっている。

子供の過去を抹消するのが、

『ウッドレッグ号』の伝統だからだ。

ゼロムは少年を見つめた。

「お前、何歳だ?」

「11、12くらい」

それを聞いたゼロムは、

勢いよく魚の骨を吐き出した。

「どっからどう見ても

9歳ぐらいが限界だろ? 

嘘つく必要はないぞ」

そう言われて少年は恥ずかしそうに

座っている。

少年はすでに焼き魚を

1匹食べ終わっていたが、

残りの魚も食べるようゼロムは顎で指した。

「ここを出られるとしたら、

行きたい場所はあるか?」

「わから……ないっ」

少年の目には涙が溜まっていたが、

ひたすら食べることでそれを隠している。

「よく聞け。

お前の親分はもう死んだ。

お前はもうあの船の船員じゃないんだ」

自分の船を持つようになってから、

ゼロムはずっと『ウッドレッグ号』の

動向を探っていたのだ。

悪名高い海賊船は、

ブライト王国の沿岸を襲い、

子供たちをさらっていった。

30年前ーー

幼いゼロムは『ウッドレッグ号』に

連れ去られ、故郷を焼かれてしまった。

王国は海賊船を追うために

3隻の軍艦を送る。

最後には、海賊の船長が船員たちを次々に

海に投げ捨てて海軍を牽制して終わった。

ゼロムはその時に助けられた

数少ない船員のひとりだった。

それ以来、

ゼロムにはひとつの願いしかなかった。

それは『ウッドレッグ号』を

徹底的に追い詰めて

跡形もなく消し去ることだ。

彼は、昼は水兵たちと共に帆を掲げ、

櫂を漕ぎ、

夜は文字の読み書きができなかったため、

勉学に励んだ。

それからなんとか海軍学校を卒業し、

少しずつ昇進して

最終的に船長にまで上り詰めた。

ゼロムは教科書や教養にこだわらなかった。

海軍を倒す方法は、

最も狡猾な海賊と同じように

考えることだと知っていたからだ。

他の船長たちは彼を異端者と見なし、

海賊たちは天敵として

恐れるようになっていった。

つい先日、

ゼロムは『ウッドレッグ号』の

手がかりを見つけた。

霧と岩礁を越え、

周到に計画して不意打ちをかけ、

ついに海賊船を追い詰める。

「ーー思いがけなかったのは、

あのクソったれな海賊が自爆したことだ。

まさか『ウッドレッグ号』ごと爆破して、

俺の船も道連れにするとは……。

最後の最後に、

俺に一矢報いたかったのかもな。

その後、この島で3日間捜索したが、

生き残っているのはお前だけだった……」

ゼロムは悔しそうに言った。

もっと多くの子供を救いたかったからだ。

「もし帰る場所がないなら、

俺の艦隊に来てもいいぞ」

その言葉に少年は戸惑った。

「まぁ、まずは海軍学校を卒業しないとな。

卒業したら俺の新しい船の

副船長にしてやる。

俺の側で、立派な大人になれるよう

手伝ってやるよ」

ゼロムは陽気に笑った。

学校、副船長などの言葉は、

少年にとって非常に尊いものだった。

自分のために生きていいのだと、

少年はここ数年で初めて思えた。

「本当に、いいの?」

「当たり前だ! 

海軍は今、人出不足だ。

誰もが価値ある存在だぞ!」

ゼロムは立ち上がり、

竜骨のような背骨を伸ばして、

背後の帆布をめくって言った。

「ここに無傷の小舟がある。

これに乗って島を出よう」

ゼロムは少年を先導し、

浅瀬から一生懸命小舟を押し出して

一緒に乗り込んだ。

「この小舟には、

2人のすごい人物が乗っているような

気がするぞ。

お前、名前はなんだ?」

ゼロムは漕ぎながら聞いた。

「ボクの名前はナット」

「今日からお前は王国海軍の一員だ! 

ナット、胸を張れ!」

 

ドリーのコーナー

ゼロムは海軍に所属する、思慮深い大将。

海兵学校出身の彼は、陰険かつ容赦ない規格外の手段を用いる。

彼は、優秀な海軍なら勝利のためには手段を選ばなくて当然だと考えている。

そのためゼロムは、規則に忠実過ぎると艦隊の活力や士気が下がるとして、軍の厳しい教えには賛同していない。

低い身分に生まれ、子どもの頃に「ウッドレッグ号」で奴隷として働かされたことで、海賊の凶悪さを身に染みて体感した。

またその経験は、彼に海賊と同じ思考を身につけさせ、軍の中で異色の存在となった。

ゼロムは、これまで海軍が「ウッドレッグ号」をどうにもできていない理由が分かっている。

あの憎き海賊たちは非常に陰険で、海軍が彼らを窮地に追い込んでも、彼らは規律を遵守する海軍の弱点を逆手にとって逃げてしまう。

海軍はもう何年も「ウッドレッグ号」に大打撃を与えられずにいて、海賊たちは日に日に傲慢になっていく。

だがゼロムは命令を待ち、規則を厳格に守る船長たちとは違う。

家族が焼かれたあの日から、彼はどうやって「ウッドレッグ号」を一網打尽にするか方法を常に考えている。

自分が彼らと同様、冷徹で、狡猾で、相手の思惑通りにならなければ渡り合える可能性があると分かった。

そして彼は遂に、海賊の痕跡を見つけた。

この時既に、彼は綿密な計画を練っていて、それを頭の中で何度もシミュレーションした。

案の定、海賊はまたしても同じ手を使ってきた。

ゼロムはこの戦いで犠牲が出ることは覚悟していたが、冷徹さは、海賊たちよりもわずかに劣っていた。

「ウッドレッグ号」は壊滅させられたものの、ゼロムもすべてを失った。

後悔先に立たず。

すぐに危険から抜け出さなくては。

ゼロムは自分と同じように島に取り残されていた少年を保護し、2人はボートで大海へと漕ぎ出した。

ボートで基地まで戻るのは、ゼロムにとっても大きな挑戦だった。

最初、少年は彼の後ろで身を縮めているだけだったが、ゼロムが男としての手本を見せていると、少年の目に光が宿った。

それを見たゼロムは、少年が軍で大きな功績を上げることを確信した。

「俺が海軍の上級大将になれたら、こいつは俺より遠くへ行けるだろう!」

 

スキン【華麗なる紳士】

 

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