SPアタリア

ページ名:SPアタリア

SPアタリア【天穹の剣】

概要

呼称 天穹の剣
陣営 セレスチアル

ストーリー

ぜいぜいと息を切らすアタリアは、

これまでにない疲労感に襲われていた。

荒れ果てた教会には、

剣痕がいたるところにある。

それは彼女が目の前にいる

カタストロフのリーダーと戦った証だった。

彼女の手に握られた鋭い剣は、

身につけている鎧と同じぐらい

亀裂が入っていた。

目の前にいるカタストロフのリーダーは、

アタリアがこれまで遭遇してきた中で

とても強いという相手ではなかったが、

間違いなく最も手強い相手だった。

さらに、ブライト王国の辺境には

カタストロフがたくさんいる。

得体の知れない不吉な流星を追って

ここに来てからというもの、

ほぼ毎日のようにカタストロフの群れと

戦っていた。

長きにわたる戦いで、

彼女は力尽き満身創痍だった。

アタリアの背後にある

デューラの女神像の下に、

カタストロフに苦しめられてきた

難民たちがうずくまっていた。

彼らは安全な場所を求めて、

荒野にある唯一の教会にやってきたところ、

この凄惨な戦いに遭遇してしまったのだ。

逃げようとしたが、

カタストロフの凶暴な視線に驚き

腰が抜けて動けなくなる。

結局、女神像の下にうずくまり、

目をぎゅっと瞑って震えていることしか

できなかった。

(人間というのはそういう生き物だ。

臆病で弱い……)

アタリアはそのことを

よく理解していたーー

かつて、反逆的で無知な人間を

彼女は憎んでいた。

だが、人間界で長い年月を過ごすうちに、

見方が変わったのだ。

女神デューラが言っていたように、

人間は神の力を持っていない。

病、飢え、老い、死……

神々には考える必要すらない苦難と

人間は常に隣り合わせなのだ。

女神デューラがこの世を去った後、

アタリアは人間界を彷徨い、

邪悪な異教徒に刃をもって

神罰を下していた。

彼女は一部の信者たちに崇拝されていたが、

同時に恐れられてもいた。

アタリアを神として崇めながらも、

無慈悲な処刑人と呼んでいたのだ。

長い年月を経て、

アタリアはさまざまな人間と出会ってきた。

新兵をいじめる古参兵。

辺境の地でババリアの侵略者に立ち向かい、

1人で町を守っている男。

川の真ん中で船を停め、

高額な船賃を要求する渡し守。

砂漠で最後の一口の水を分かち合う、

宝目当ての2人組。

ギャングに潜入し、

ブライト教会に異端者の情報を

提供する青年。

1日に3つの仕事をこなし、

朝から晩まで働く母子家庭の多忙な母……

だが、この情報だけでは

人間の善悪を定義することはできない。

知り尽くしたと思っている相手でも、

ときに予想を遥かに上回ることがある。

古参兵は新兵を庇って

戦場で敵の刃を体で受けていた。

1人で町を守っている男は、

侵略者に立ち向かっている最中、

背後から襲われ致命傷を負っていた。

高額な船賃を要求する渡し守は、

その貯めた金を使って川に橋を作っていた。

砂漠で最後の一口の水を分かち合い、

窮地を乗り越えたはずの2人組は、

お宝まで分かち合うことができなかった。

ブライト教会に異端者の情報を

提供する青年は、

ただギャングを粛清したいだけだった。

朝から晩まで働く母子家庭の多忙な母は、

嫌がる娘に富豪の家に嫁ぐよう

強引に事を運ぼうとしていた。

アタリアは女神の教えを

だんだんと理解するようになった。

「同じ人間でも、

心が飢えれば殺戮に手を染め、

心が豊かであれば慈しみを施す。

人間とはそういう複雑な生き物だ。

様々な角度から見なければならない」

もちろん、それだけではない。

善意と悪意は必ずしも

裕福さや心の豊かさとは関係しないのだ。

たとえ裕福な商人でも、

時には手段を選ばず私腹を肥やそうとする。

たとえ飢えと寒さに苦しむ平民でも、

見知らぬ人に善意を尽くすことがある。

鋭利で冷徹な神と言われてきた

アタリアでも、

見返りを求めない人間の優しさを

何度も感じてきた。

手作りの人形で感謝の気持ちを伝える、

家を失った少女たち。

重傷を負って意識不明だったアタリアを

荒野から救い出し、

彼女の折れた剣を修復した

体に障害のある鍛冶屋……

このような経験は決して多くはないが、

彼女は徐々に、デューラが教えてくれた

人間にはあって神々にはない、

輝きに気づき始めた。

これまでアタリアの目に

人間は善か悪か、白か黒にしか

映らなかった。

カタストロフの力に

染まっているかどうかを

唯一の評価基準とし、兵器のように

邪悪な異端に審判を下していたのだ。

だが、人間は単純に善悪で区別できる

生き物ではない。

彼らは常に善悪の間で揺れ動き、

一歩間違えれば罪の深淵に落ちてしまう。

そういう生き物なのだ。

アタリアは変化した。

彼女はエスペリアの蒼穹で

俯瞰する剣となり、

人間の心が邪悪に打ち勝てるよう、

抑止力として動き始めた。

とはいえ、

自ら進んでいたんに身を投じる人間には

決して容赦はしない。

彼女は冷徹な兵器ではなく、

兵器を手にした神となり、

より合理的に力を

行使するようになったーー

教会の中で、アタリアは

カタストロフのリーダーに倒される。

鍛冶屋が修復してくれた剣も

砕け散ってしまった。

彼女は立ち上がることすら

できなくなっていた。

カタストロフのリーダーは

声高にアタリアの無力さを嘲り、

彼女が死んだ後、

女神像の足元にうずくまる

臆病な人間たちをカタストロフの手先に

すると言い出した。

カタストロフは一歩一歩と

アタリアに近づき、

神を完全に葬り去ろうとする。

「慈悲あふれるデューラ様……

どうかこの世の恐怖を

追い払ってください……」

「聖なる光よ……

どうかカタストロフに苦しめられてきた

魂を救ってください……」

人間たちの震える声が聞こえてくる。

避難民たちは自分たちのために、

そしてアタリアのために祈り始めたのだ。

彼らの声はどんどん大きくなる。

カタストロフは怒りだすが、

彼らを止めることはできなかった。

祈りの声は教会中に響き渡り、

カタストロフの嘲笑する言葉さえも

かき消した。

女神が人間たちの祈りに

応えたのかもしれない。

アタリアの体に薄い光が浮かび上がり、

彼女の背後に聖なる光が集まって

輝く刃となった。

アタリアは凝縮された聖なる光とともに

空に舞い上がる。

やがてその体は巨大な剣に変わり、

眩しい光は教会の屋根を貫くかのようだった。

そして……

轟音とともに、蒼穹から巨大な剣が

振りかざされたのだったーー

 

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