ブライト王国の起源

神々と肩を並べた時代

ホーナスは天と地を創り、そして人類が誕生した。

彼らは周囲の世界について無知であり、自然の危険性や文明の安全性も知らなかった。

無教養で無力で、病気や災害に見舞われ、貧弱な生活を強いられていた。

 

生命の女神デューラは、これらの人間の窮状と苦しみを目の当たりにし、彼女の心は重くなった。

そこで彼女は残忍で無教養な人類に魔法の秘密を惜しみなく開示した。

彼らが魔法を習得するのを助けるために、デューラは人類に神聖文字と竜の言葉を教えた。

それ以来、彼女は人間たちから「豊かな炎を授ける者」として知られるようになった。

 

わずか2000年足らずの間に、人類は魔法の神秘を習得し、驚異的な時代が始まった。

それは記録された歴史の中で最も輝かしい時代であり、後に「神々と肩を並べた時代」として知られるようになった。

 

当時は魔法の知識が豊富だったため、後世の人々は失われた知恵を羨むだけだった。

真に優れた魔法使いは虚空さえも操り、無形のものを形作り、成形して望む現実を作り上げた。

自然を支配し、世界を思いのままに適応させた人間は、魔法を使って乾燥した砂漠に豊かなオアシスを作ったり、時空の境界を曲げて魔法で時間を巻き戻し、自らの運命を変えることさえできた。

この黄金時代には、骨の折れる労働は必要なかった。

魔法で動くゴーレムが農作業や機織りなどの面倒な仕事を担い、人々は十分な食事と衣服を与えられ、日々の生存競争という残酷な存在は次第に忘れられていった。

 

数え切れないほどの魔法の流派が開花し、互いに競い合った。

星力、元素、次元、神秘、呪術...。

人類は日夜、あらゆる魔法知識の可能性を探り、利用するために奔走した。

 

魔法は人類に自然本来の残酷さに対抗する手段を与えたが、これは逆に人間の傲慢さと尊大さを助長した。

人類は神々への畏怖を失い、その代わりに力に酔いしれた。

人類は魔法を駆使し、雲高くそびえる壮大な建造物を建てた。

彼らは神々の聖なる山々や神々自身に対して競争し、挑戦し、そして最終的には主権を主張しているように見えた。

人類は魔法を駆使して、荘厳な宮殿の上空を空天艦で航行し、神々に自分たちの業績を厚かましく自慢した。

 

彼らの中には神々を服従させようとする者もいた。

神々の山の最高峰を踏みにじろうとする覇王カイザーの雄叫びが響き渡った。

 

大分裂

このような人間の傲慢さに刺激され、神々は激怒した。

人類を脅威とみなすようになった神々は、増大するリスクにどう対抗するのが最善か協議を重ねた。

死の神であるアナイは人類を分裂させるという邪悪な計画を思いついた。

彼は、人間の本質が強欲で、飽食で、貪欲であり、魔法のような不老不死を切望していると考えた。

そのため、狡猾な神は人間の欲望を利用し、人類に自らの破滅の種を蒔かせようと提案した。

アナイは人間に「死の錬金術」として知られる禁忌の術を教えようと企んだ。

狡猾なアナイは、人間が適切な活性エッセンスと融合して変身を遂げさえすれば、永遠の存在が彼らのものになると断言した。

神の不老不死は手の届くところにある。

しかし、この狡猾な策略の裏に隠されたアナイの真の意図は、人類の間に致命的な分裂を引き起こすことだった。

 

デューラはただ一人、アナイに激しく反対する声を上げたが、無駄だった。

他の神々は、差し迫った人間の脅威を恐れ、死の神の側に立った。

唯一の反対者は最終的に譲歩を余儀なくされ、アナイの計画に同意した。

 

その後、人間たちは急いで死の錬金術を習得し、実践に移した。

優れた魔法使いたちが死の錬金術の実験のために民間人を誘拐し始めたため、思いやりと道徳心が最初の犠牲者となった。

この熱狂的な魔法使いは、他の動物の活性エッセンスを抽出し、それを捕虜の肉体と融合させた。

その結果、劇的な変身を遂げ、その体は注入された動物の特徴を持つようになった。

これらの存在は「亜人」として知られるようになり、この難解な実験によって絶え間なく歪んだ形態が生まれた。

しかし、アナイの約束した不老不死は、純粋な欺瞞にまみれていた。

魔法使いたちがどんなに努力しても、その悲願の成果は得られなかった。

彼らの錬金術の実験は、数え切れないほどの民間人をグロテスクに変貌させたが、それでも彼らは取り憑かれたように続け、狂気を止めようとしなかった。

増え続ける亜人は失敗作として軽蔑され、残酷な流刑地に追放された。

 

やがて、魔法使いたちの専制政治は生まれなくなり、避けられない激しい争いが勃発した。

人間の手によって最も非人道的な扱いを受けてきた亜人たちは反乱を起こし、人間性を放棄し、血なまぐさい戦争を引き起こした。

相互の不信がまず人類に亀裂を入れ、次に分裂させ、その頂点に達したとき、人類は12の別々の国に引き裂かれた。

これらの新しい国家は相互の憎悪に満ち、憎悪と戦争の炎はますます大きく広がった。

 

すべてはアナイの計画通りに進み、彼の手先である人間たちは互いに敵対し、残酷で残忍な争いを繰り広げた。

しかし、アナイの計画を嘆き、糾弾し、非難してきたデューラは、生き物がこのような悲惨と苦しみに陥るのを見るのが耐えられなかった。

彼女は、戦争を嫌う穏やかで優しい性格の亜人を探し出し、彼らを流血と戦いから遠く離れたユグドラシルへと連れて行った。

この亜人の避難民がヴェルディア連盟の祖先となる。

 

何世紀にもわたって戦争が続き、魔法を習得した人間たちは、際限なく破壊的な呪文を放ち続けた。

魔法によって荒廃した土地は壊滅した。

都市は洪水に飲み込まれ、古代の森は灰と化し、人類がかつて誇りにしていた素晴らしい建造物は無惨にも倒された。

魔法使いたちは戦いで命を落とし続け、その勢力の衰えとともに、魔法の知識も徐々に失われていった。

神聖文字と竜の言葉は人類から忘れ去られ、この輝かしい魔法文明は衰退し、朽ち果て、やがて闇に包まれた。

こうして人類は「凋落の時代」を迎えた。

 

第一次カタストロフ戦争と王国の勃興

戦後、生き残った人類は、荒廃した世界の残骸に直面した。

彼らは悔い改め、傲慢な魔法の乱用と甚だしい不敬を告白した。

彼らは神々に許しを請うたが、彼らの嘆願に応えたのはまたしてもデューラただ一人だった。

デューラは神の力を使って、生命のない土地を蘇らせ、乾燥した農地を再び肥沃にし、残された人間の生存を守った。

これらの人類の残党は、デューラの無私の精神と過去の罪に対する赦しに感謝した。

特に敬虔な信者の中には、荒廃した土地からレンガやタイルをかき集め、デューラを崇拝するための簡素な聖域を建設した者もいた。

これが最初のブライト大聖堂となった。

 

しかし、哀れな人類にはさらに別の大惨事が待ち受けていた。

偽りの死の錬金術の本質に気づいた人々は、死の神の陰険な裏切りを非難し始めた。

すでにデューラを妬んでいたアナイは、自分が疎まれ、彼女が受け入れられているのを見て、激しい嫉妬を抑えきれなくなった。

彼の悪意は沸騰し、カタストロフと呼ばれる悪魔の奔流となって現れ、傷ついた土地にさらなる破壊の雨を降らせた。

 

戦争の傷が癒えず、今また新たな災難に直面している哀れな人間たちには、ほとんど休息の暇がなかった。

依然として分裂状態にある人類の勢力の大半は、カタストロフとの衝突を完全に避けようと、宥和政策を選んだ。

しかし、彼らに選択の余地はなかった。

人類は疲れ果て、散り散りになり、戦争に疲れ果てていた。

この悪魔の災厄と戦うことは、できるのだろうか？

 

しかし、傍観しておとなしく死を待つことを拒む者たちもいた。

若き戦士シレンは、聖域の信者たちによって選ばれ、神聖な使命を託された。

生まれながらの指導者であり、魅力的でカリスマ性のある彼は、人類の再統一に成功し、新しい秩序「ブライト王国」を築いた。

分裂していた人類は再び立ち上がり、一つの旗の下に団結した。

危機を乗り越えて築かれたこの駆け出しの王国は、壊れた世界の灰の中から生まれたため、よろめきながらも堅持された。

シレンは人類に新たな勇気を与え、王国はカタストロフの脅威と戦うために亜人と同盟を結び始めた。

 

最終的に、デューラの助けにより、カタストロフは撃退され、破滅の深淵の向こうに封印された。

 

数千年が経ち、初代皇帝シレンの偉業は単なる寓話となり、吟遊詩人の歌の中でのみ語り継がれる遠い伝説となった。

しかし、シレンの子孫たちは、先祖の栄光を決して忘れず、領地を拡大し、王国を強化するために、優れた統治を行おうと努力を続けている。