クレゴ

ページ名:クレゴ

クレゴ【竜の島の守護者】

概要

呼称 竜の島の守護者
陣営 竜族
身長 230㎝
趣味 勝手に境界を越えようとした竜族を捕まえること
好きなもの

【昔】

・美酒

【現在】

・自分の庇護下で竜族が安全に過ごしていること

嫌いなもの ルール違反
現在地 竜の島
現在の身分 竜鱗部隊の隊長

ストーリー

夜が更け、エリックとレーナは塔の下の木陰から、そっと頭を覗かせた。

どうやら、竜の島の国境線をこっそり越えるタイミングをうかがっているようだ。

「大丈夫、クレゴさんには見つからない...十分に注意さえすればね」

エリックは声を潜めて言った。

額からにじみ出る汗が心臓の高鳴りを物語っている。

レーナはうなずき、二人は静かに塔の下の物陰へと移動した。

「そこで何をしている?」

クレゴの声が夜の静寂を切り裂いた。

そのガッシリとした体格に厳しい視線。

二人の若い竜族に逃れる術はなさそうだ。

「クレゴさん、俺たちはただ...」

エリックが口ごもりながら説明する。

「何度も警告しただろ、ルールはルールだ」

エリックが離し終わるのも待たず、クレゴが冷たく言い放った。

「誰であろうと正式な手続きなしで、外界に渡ることは許されない。それとも、鞭打ちを味わいたいか?」

クレゴの怒気を含んだ声に、二人は震え上がっている。

エリックとレーナは恐怖と怒りの感情に任せて、クレゴへの不満を訴えながら自分たちの住まいに逃げ帰った。

まるでハンターの仕掛けた罠から、命からがら逃れた獲物のように。

「彼はルールのことしか頭にない! 彼がいたんじゃ、誰も竜の島から出られないよ!」

エリックは同意してうなずいた。

「なぜ、ここまで厳しく取り締まるんだろう? 権力のある貴族さえ、漏れなく審査される...この前なんか長老が止められているのを見たよ」

「それ、私も覚えてる! 長老は部下を任務に連れていく必要があったんだけど、あまりに緊急だったから、その部下の渡航許可がまだ下りてなかったの。結果、国境線でクレゴさんに止められて...」

「そうそう、そのせいで任務の期限に遅れたんだ!もちろん長老は、融通の利かない彼を𠮟りつけた。長老には許可証を発行する権利があるからな...でも、何せ緊急だったんだ!それでも、あの石頭は聞く耳を持たない。まだ正規の手続きが、とかほざいてやがる!」

「毎日毎日、ルール、ルール。とにかく規則への執着がすぎる! 遅かれ早かれ、竜の島全体が彼に耐えられなくなるわ!」

しかし二人には、こうして憂さを晴らすことしかできない。クレゴがいる限り、彼らが外の世界に行くことは、手の届かない遠い夢なのだ。

クレゴは「公正無私」な門番として町中で知られる存在だ。

竜鱗部隊の長になってからは厳格な姿勢を常に崩さず、国境守備隊である竜鱗部隊を率いて、竜の島を外界から守ってきた。

しかし辺境の島で暮らす竜族のところに、わざわざ侵攻しようとする海洋生物などめったにいない。

むしろ竜鱗部隊の任務は、竜族の越境を防ぐことが中心となっている。

エリックやレーナのように、竜の島をこっそり抜け出そうとする若い竜族は少なくない。

彼らが外界について知っているのは、太古の昔に巨竜と人間が争っていたことくらい。

外の世界の記述がほとんど残されていないからこそ、新しい世代の好奇心は高まる一方なのだ。

しかし竜の島を出ることは、一般の竜族にとって決して簡単なことではない。

任務としてソトロン大陸に派遣される一部のエリートを除いて、許可が下りることはほとんどない。

さらにクレゴが着任してからは、彼のあまりの厳格さから「故意に難癖」をつけている、と多くの竜族がいっそう嫌悪感を募らせている。

彼は島から抜け出るあらゆる可能性を排除し、長老の外出さえも精査していた。

こうした仕事に対する厳しい姿勢には驚嘆させられるばかりだが、自分の主義主張を貫く頑固さはやはり何とかしてほしい。

結局のところ、こっそり抜け出そうとする竜族にとって、クレゴは決して越えられない高い壁。

彼の管理下において、竜の島の防衛戦は一分の隙もない。

「レーナ! 長老会議でシルヴィン長老が...カタストロフに抗戦中の人間を支援すると提案した!」

エリックが息を切らしながら駆け戻ると、レーナは一瞬にして眠りから覚めた。

「外界に出られるチャンスだ!」

決議内容が島全体に知れ渡ると、国境周辺が忙しくなり始めた。

派遣されるエリート以外にも、かなりの数の一般竜族が渡航許可を得ているようだ。

まだ多くの制限があるものの、ソトロン大陸への移動はそれほど難しいことではなくなったのだ。

エリックとレーナも、対外交流を理由に渡航許可を得ることに成功した。

すべての手続きが整い、もはやクレゴを前に怯むこともない。

「これであなたの顔色を伺う必要がなくなりますね! ねえ、クレゴさん。毎日毎日、ルール、ルール。どれだけ多くの人を苛立たせれば...」

「手続きは問題ない。お前たちは通っていいぞ」

エリックの挑発に顔色ひとつ変えず、クレゴは淡々と渡航者の列を捌いている。

「フンッ、あんなのただの強がりよ! だって、これだけ多くの竜族が外に出るということは、これまでの厳しい管理が無意味だったってことじゃない!」

強い言葉をぶちまけるレーナだったが、国境線を跨いだ瞬間、そんなレーナの不満は新しい世界への期待に変わった。

遠ざかってゆく頑固者の背中が、いつもより小さく見える。

エリックとレーナが竜の島に戻ったのは、それから数カ月後のことだった。

ソトロン大陸での異文化交流、竜の島とはまったく異なる生活を経験した二人は、一刻も早くそこで得たものを故郷に持ち帰りたいと考えていた。

しかし、竜の島に上陸するにはクレゴの審査を通過しなければならない。

そう考えると、二人はまた顔をしかめるのだった。

「ねえ、レーナ。あの門番、またいちゃもんつけてくると思う?」

「どうかな、人間に寝返ったとか言って、入島を拒否されたりして...」

国境に到着した二人は、竜の島まではまだ少し距離がある。

彼らの挑発的な言葉を聞いた竜鱗部隊のメンバーが足を止め、話しかけてきた。

「君たちはクレゴ隊長に強い敵意を抱いているようだね...」

竜鱗部隊のメンバーは頭をかきながら、少し困った様子で言った。

エリックはクレゴに難癖をつけられたことを思い出し、あの古臭い門番への不満をこぼし始めた。

国境を守ることが職務とはいえ、今思い返してもやはり苛立ちは募るばかり。

エリックとレーナの愚痴を一通り聞き終わると、このクレゴと旧知の同僚は深くため息をついた。

「多くの竜族がクレゴに不満を持つことは知っている。だが、仕事に対して真面目すぎるがゆえなんだ。彼も以前はこうではなかった...」

「じゃあ何か? 彼の頭がおかしくなったとでも言うのか?」

エリックの怒りは収まらない。

「違う! 君たちはクレゴのことを根本的に誤解している! 今の頑固さからは想像もつかない、それは面白いやつだったよ!」

レーナは少し驚いた表情を見せ、

「彼が面白い...じゃあ、どうして今はあんな風になってしまったの?」

「話せば長くなるのだが...昔、彼は酒にはまっている時期があってな。

勤務中にもかかわらず飲み過ぎてしまって、塔の上で眠ってしまったことがあるんだ...結果、二人の幼竜がトーテムを盗み、そのまま国境の結界を開けて出て行ってしまった...」

「ハハハ! それで、彼が捕まえに行ったときに痛い目に遭ったのか?」

「違う。そのうちの一人が外で事故に遭い、そのまま死んだ...」

入島者の列がゆっくりと進む。

エリックとレーナの耳には、周囲の喧騒が静寂を溶け入るように感じられた。

「だから...余計な偏見は持たないでほしい。彼は、君たちが想像もつかない苦悩を抱えているんだ」

エリックとレーナの審査の順番が回ってきた。

クレゴは相変わらず険しい顔をしている。

「何をぐずぐずしている。後ろの列が見えないのか?」

審査を通過すると、エリックは

「ありがとう...」

とささやき、足早に立ち去った。

レーナが彼に追いつくと、国境を守ることに人生を捧げてきた門番の方を振り返った。

二人は、なぜ彼がルールや規則に病的なまでに固執するのかを理解した。

おそらくこれが、救えたはずの命を失った幼竜への償いなのだろう。

クレゴは越境しようとする竜族に難癖をつけるつもりなどなく、ただ竜族を守ることに全力を尽くしていた。

彼はこの責任を全うするだろう。

そうすることで非難を浴びようとも、彼の信念は未来永劫ゆらぐことはない。

「よく考えてみたら...俺たちは何度捕まっても、注意されて帰されるだけだった。刑罰をくらってもおかしくないはずなのに...きっと彼は、俺たちが外に出たら、その幼竜の二の舞になるかもしれないと、心配してくれてたんだな...」

「そうだね。竜の島には彼のような頼もしい門番がいる...だから、みんなが安心して暮らせるのよ」

二人は久しぶりに竜の島の大地を踏みしめ、かつてない安心感を心に抱いていた。

「ああ、彼さえれば、竜の島は世界一の安全な場所だ」

 

ドリーのコーナー

竜の島の守り人であるクレゴは、かつてはユーモラスで、時に大らかな竜族の戦士だった。

酒と人付き合いを好み、よく辺境付近にある高い塔で同僚たちと酒を飲んで楽しんでいた。

今の厳格な彼とは大違いである。

彼は人助けが好きで、笑みを絶やさず、パトロールの合間を縫って若い竜族と戦術の研究を行うこともあった。

仲間がやり過ぎることはないと考えていたため、ルールに対してそこまで厳格ではなかった。

そう、彼が油断したことにより、取り返しのつかない悲劇が起こるまでは。

彼が酒に酔って職務を怠ったせいで、一匹の幼竜が勝手に竜の島の境界を越え、異郷の地で命を落とした。

それ以来、彼はすっかり変わってしまった。

昔の愉快で穏やかなクレゴは永遠にいなくなってしまったようだ。

この悲劇は消えない心の傷となり、彼は今でもその日のことを忘れられずにいる。

その光景は、塔の上で酔いつぶれて眠っている自分の姿と共に繰り返し夢に現れ、一生かけても抜け出せない悪夢となった。

彼は「もしあの時気を抜いていなければ、酒に酔っていなければ」と自問し続けている...

後悔が毒のように彼の心を蝕んでいるせいで、彼は自分を許すことができずにいる。

それ以来、クレゴの性格が大きくかわった。

彼は酒を断ち、異常なほど厳格になり、特にルールに対して病的に固執するようになった。

守り人の仕事は竜族が外に出ないようにすることだけでなく、外の世界から攻撃を受けないよう皆を守ることでもあると、彼はよく分かっていた。

どんな仕事にも一切手を抜かず、最も親しい仲間だろうと高貴な貴族だろうと、許可なしに竜の島を出ることは決して許さなかった。

多くの竜族が、今のクレゴを頑固で近寄りがたい存在だと思っているが、彼は未だにあの時のトラウマから抜け出せないままだ。

全力で竜の島の辺境を守り、ルール遵守を徹底することが、彼の贖罪であり、竜族に対する深い忠誠の表れでもあった。

それでどれだけ誤解されたり非難されたりしようと、憎むことも悔いることもない。

 

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