メルジーナ

ページ名:メルジーナ

メルジーナ【バーバ・ヤーガ】

概要

呼称 バーバ・ヤーガ
陣営 ボイドビジター

ストーリー

(1)

その1

暗い森の中をじっと見てはいけない。

その2

森の奥に入ったり、

長い間同じところにいたりしてはいけない。

その3

森に鶏の足が生えた生き物はいない。

もし見かけたも下を向いて来た道を戻れ。

その4

鶏の足が生えた生き物を見かけたあと、

後ろから自分を呼ぶ声が聞こえても、

決して振り向いてはいけない。

その5

赤、緑、白に気をつけろ。

その6

森から出る時、出発した時の人数と

同じかどうかよく数えろ。

その7

もし人数が違ったとしても、

消えた人を探そうなど愚かな真似はするな。

すぐに森を離れて、

自分が助かったことだけでも

運が良かったと思え。


(2)

友人であるジェイソンの仮住まいを

調査していたあなたは、

なぐり書きにされたメモを見つけた。

あなたが彼に手紙を出したのは14日前。

返信するには十分時間があったはず。

だが、一向に返事は来なかった。

賞金稼ぎであるあなたは、

ジェイソンがなぜこの奇妙な森の中に

やってきたのかをよく知っている。

彼は高額の報酬がもらえるという、

とある失踪事件の調査依頼を受けていた。

幼児、赤ん坊、女の子、男の子と、

年齢に多少差はあるが、

失踪しているのはすべて子ども

という事件だ。

だが予想外だったのは、

この案件を手伝ってほしいと

ジェイソンから手紙を受け取って

ここに来た時には、

彼自身も行方不明となっていたことだ。

この村の人たちにジェイソンの

居場所を聞いても、

適当な返事しか返ってこない。

しかも、虚ろな目で見られる。

なにかと違和感を覚えるが、

この村ではすでにたくさんの子どもが

失踪しているため、

村人たちの無気力な反応もうなずける。

あなたはなぐり書きされたメモを置き、

ほかに手がかりになりそうなものを探した。

だが、メモ以外に糸口となるものは

見つからなかった。

ジェイソンが村のそばにある、

薄暗い森に入ってから

連絡が途絶えたのは確かだ。

子どもの失踪事件で一番怪しい場所が、

この森だろう……

誰であっても、きっとそう判断したはずだ。

あなたはそれを確かめるため、

森に入ることを決意する。

だが、ここは普通の森ではない。

入る前にしっかりと準備する必要があった。

村人たちに話を聞こうと

森のことを尋ねるも、

『森』という言葉を聞いた瞬間、

村人たちは全員口を閉ざしてしまった。

これ以上、聞き込みをすることは難しい。

不審に思いながらも、

あなたは森の中へと入っていったーー

早朝の森は霧がかかっている。

あなたは慎重に森の奥へと進んでいった。

木の幹にジェイソンが付けた印を見つける。

それをたどっていくと、開けた場所に出た。

風が吹くと、草の擦れ合う音だけが響く

静かな草原だった。

そこには誰かが休んでいた形跡があった。

よく調べてみると、

草の中から少し丸まっているノートを

見つけた。ジェイソンの持ち物のようだ。

うっかりして落としたというより、

誰かに見てほしくてわざとそこに

置いていったように見える。

いや、そんなことを考えている

場合ではない。

早く中身を確かめて、

友人の行方の手がかりを見つけることが

先決だと思ったあなたは、

すぐさまページをめくった。

最初の数ページは何も関係がない

日常のメモだったが、

ページをめくっていくと……

ついに、彼が行方不明になったであろう

日と一致する日付を見つけた。


(3)

・9月23日 曇り

ついにエレンもいなくなってしまった。

彼はこの村で最後の子どもだ。

なんとしても見つけなければ。

子どもたちが森の中に入ったことは

ほぼ間違いない。

子どもなら自ら森の奥へ入っていくことは

ないだろう……

と普通だったら思うかもしれない。

だが、私は確信していた。

子どもたちは暗闇に潜む怪物に

攫われたに違いない。

あの日、私が出くわした

あの巨大な黒い影に……

森に入るのは二度目だが、

この異様な雰囲気は初めて入った時と

変わらなかった。

私はさらに奥へと進む。

実は前回この森に入った時、

私は仲間を失ったのだ。

今度はしっかり準備をしないと。

決して、ここでは長い間同じ場所に

留まってはならない。

・9月24日 霧

今日は森全体に霧がかかっていて、

なんだか嫌な予感がする。

ただでさえ迷いやすい森なのに、

ますます方角がわからなくなってしまった。

私はエレンの足跡をたどって

ここまでやってきた。

だが、足跡がここで突然途切れている。

エレンを探す手段がなくなり、

私は途方に暮れた。

カタストロフの前であっても、

こんなに自分の無力さを感じたことはない。

例の怪物は突然ここに姿を現し、

痕跡を消していったようだ。

どこから来たのかまったくわからない。

これは覚悟を決める時が

きたのかもしれない……

・9月28日 暗闇

森の中で迷ってしまった。

何か目印はないかと暗い森の中を見渡す。

だが、見つけてはいけないものを

目にしてしまった。

あの時の巨大な影だ。

今回は以前の時よりも

はっきりとその姿が見えた。

その怪物には断崖ターキーのような足が

生えていた。

おお、神よ。

こんなに巨大な鶏のような足は

今まで見たことがない! 

幸い、やつはまだ私を発見していない。

気づかれる前に急いで逃げなければ。

そう思って踵を返そうとした時、

女性の姿が視界に飛び込んできた。

こんな危険な場所でなぜ1人でいるのか。

探るように女性を見ていると、

ふと目が合ってしまった。

私を見るその瞳は、

エメラルドのように輝いていたが、

とても憂いに満ちていて、

見て見ぬ振りなどできなかった。

物音を立てないよう細心の注意を払い、

女性を保護した。

そして一緒にここから逃げ出そうとしたが、

怪物に見つかってしまったのだ。

巨大な鶏の足は草むらをかき分け、

私たちを追いかけてきたた。

気づけばカラスが頭の上をぐるぐると

飛び回っていて、

まるで私たちの追悼の歌を歌うように

鳴き続けていた。

私は振り返ることなく、

ひたすら森の中を駆け抜けるしかなかった。

無我夢中で走っていると、

ふと背後から何も聞こえなくなった。

聖なる光に再び救われたようだ。

息を整えながら隣を見ると、

エメラルドのような瞳を持つ美しい女性が

座っていた。

これだけ走れば疲れるだろう。

先程まで深く被っていたフードが、

はらりと脱げ艶やかな白い髪が露わになる。

この女性にいったい何があったのか、

なぜここにいるのかを尋ねなければ……

・9月29日 曇り

くそっ! 

森だけでなく、

あの村にも秘密があったとは! 

高額な報酬に釣られて依頼を受けたことを

ひどく後悔している! 

メルジーナという女性の話によれば、

あの村では男だけを求めていて、

女の子が生まれた場合、

赤ん坊だろうがなんだろうが

森に捨てるという狂気な風習があるそうだ。

そして、この森の中に

子どもを攫って食べる怪物が住んでいる

という噂を広めて、自分たちの罪を

なかったことにしているらしい。

まれに捨てられない女の子もいるようだが、

それには理由があった。

ほかの村に売られて誰かの妻になるか、

男の子を産む母親として

あの村に残されるかだ……

まったく信じがたい事実だ。

これが本当なら、私があの村に来た時の

村人たちの反応も頷ける。

だが、やはりおかしい。

もしそうなら、

なぜ男の子がいなくなるのだろうか? 

男の子はあの村で重宝されている。

村が嫌になったという子が

続出しているのか? 

メルジーナは細長い脚を組み、

膝の上で両手を合わせて私を見つめた。

「それはもちろん、

彼らが罪を犯しているからよ」

そう話すメルジーナの声が

なんとなく不気味に聞こえた。

(以下、すべてはなぐり書きの

メモ内容である)

・9月30日

私は逃げ出した! 

ついにメルジーナから逃げ出すことが

できた! 

彼女こそが本当の怪物だったんだ! 

そしてあの鶏の足の怪物は、

女の住処だった! 

夜中に目が覚めて、

森の奥に入っていく女に

こっそりついて行かなかったら、

私は真相を知らないまま

ここで死んでいただろう! 

行方不明になっていた子どもたちや仲間が

どうなったのか、ようやくわかった。

仲間やエレン、それから男の子たち……

それだけじゃなくこの仕事を依頼した

あの男も。

元はと言えばすべてはあの依頼が

災いの元だった!

「あら、びっくりした?」

私が女を追跡したことを

知っているかのように

慌てる様子もなく追いかけてきた。

「あなたに話してなかったかしら。

私、バーバ・ヤーガになる前、

娘を失っているのよ。

もうずっとずっと昔の話だけどね」

笑いながら私の方を向く女の体は、

だんだんと前に折れ曲がり、

皺だらけの老婆となった。

「年を取るとねぇ……

昔の記憶がより鮮明になるんだよ。

娘を森に遺棄された痛みとか、

無力な自分への憎しみとかねぇ」

美しいエメラルドのような瞳は、

気づけば濁った濃い緑色になり、

奥に隠されていただろう狂気が

徐々に露わになってきた。

女は精神がおかしくなったのか……

いや、もともとおかしいのかもしれない。

1人でブツブツ話し始めた。

「あんた強そうだねぇ……

私に必要な強さだよ。

そうでないと娘を守ることができない……

待っておくれ。

ちょっとだけ借りるだけ、すぐに返すから」

意味がわからない! 

女の言葉を無視して、

私はひたすら森の中を走った! 

なんとか逃げ切ったが、

体の様子がおかしい。

体中の何かが

彼女に奪われた気がしてならない。

もしこのメモを見た者がいるなら、

今すぐにここから離れるんだ、永遠にーー

(この行は何十にも線が引かれ、

黒く塗り潰されている。

すぐ下の行には綺麗な文字で

訂正された内容が加えられていた)

もしこのメモを見た人がいたら、

私のところまで来てね。

絶対に見捨てたりしないから。

絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に


(4)

ーーメモの内容はここまでのようだ

あなたはさらにページをめくり続けた。

行方不明のジェイソンを見つけるためには、

この森や謎の女、そして女の住処について

もっと手がかりが必要だった。

だが、ノートにはこれ以上のことは

何も書かれてはいなかった。

とその時、背後から若い女性の声がした。

「あの……

ちょっと困ったことがあるんですけど、

助けてもらえませんか?」

振り向くと、そこには真っ白な長い髪の

女性が立っていた。

彼女は赤いフードに手を添えながら、

笑顔で見つめている。

その時、彼女の背後にある森の奥深くで、

何か巨大な影が横切ったような気がした。

ジェイソンのメモにあった怪しい住処、

「メルジーナ」という若い女性、

思わず後ずさり、女の動きを警戒する。

あなたのその動きから、

女は取り繕うのをやめたらしい。

女の笑い声は次第に大きくなり、

濃い緑色の瞳は暗い森の中で

ますますその輝きを増したのだったーー

 

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