ラバトゥオン

ページ名:ラバトゥオン

ラバトゥオン【深淵ロッカー】

概要

呼称 深淵ロッカー
陣営 カタストロフ
身長 183㎝
趣味 即興演奏
好きなもの

・荒々しいフレーズ

・満席のコンサートホール

嫌いなもの 『ロアー』をギターと呼ぶ人
現在地 ケイリン城
現在の身分 ケイリン城のアンダーグラウンドなバンドマン

ストーリー

ある日の午後ーー

風変わりな服装をしたミュージシャンが

私に推薦状を求めてやってきた。

ミュージシャンの名は、『ラバトゥオン』。

ケイリン城のアンダーグラウンドな

音楽界隈ではちょっとした有名人で、

熱狂的なファンがついている。

彼はもっと大きなステージに

立ちたいそうだ。

そのため自分の実力を見せようと、

即興で演奏したいと言ってきたが、

私はそれを断った。

彼の音楽にまったく興味がなかったからだ。

名の知れた音楽評論家である私は、

ひとたび筆を取れば、

ミュージシャンの運命など

軽く決めることができる。

ライブを見なくても、

私ならその音楽に『公正な』評価を

簡単に下せるのだ。

コインがじゃらじゃら鳴る音以上の

素晴らしいメロディーは存在しない。

忠実な客がいるということは、

私が投資した証なのだ。

だが、私は彼と契約を結んだ。

理由は簡単だ。

この業界は私が推薦することで

より多くの客が集まる。

私が集客する代わりに、

彼には私の要求に従って

ライブを開催してもらうのだ。

契約書はごく普通のものだが、

びっしりと書かれた文章には、

私が彼に仕掛けた巧妙な罠が潜んでいる。

彼がライブ中にミスをした場合、

法外な違約金を支払うか、

自身の価値を搾り尽くされるまで

私にこき使われることになる

という内容だ。

「自身がどんな罠に

足を踏み入れたのかも知らないとは……。

悲しき青二才よ」

ラバトゥオンの最初のライブは、

小さなコンサートホールで開催された。

演奏が始まる前、

私は観客の中に部下を忍ばせた。

部下たちに与えた任務は、

気づかれることなく騒ぎを起こし、

ラバトゥオンのミスを誘うことだった。

……そう。

かつて私が

若いミュージシャンたちにしてきたことと

同じように。

私はただ家にいるだけで、

契約違反をしたミュージシャンたちが

涙を流しながら私に許しを請い、

最終的には私のために金を稼ぐ

道具となっていく。

だが意外なことに、

ラバトゥオンは無事にライブを終えた。

私が手配した部下は、

命令をすっかり忘れて、

彼の熱狂的なファンになっていたのだ。

私の制御が及ばないところで

何かが起こっているようだ。

この事態に不安を覚えた。

契約通り、

ラバトゥオンはそれからすぐに、

より規模の大きなライブを

開催することになった。

今回は私自身が会場に足を運び、

彼の演奏にどんな魔力があるのか

探ることにした。

ライブ当日ーー

私は部下に、

客席からラバトゥオンの演奏を

邪魔するように命じる。

そして、私は契約書を懐に忍ばせて、

契約違反を即座に指摘し、

自分の勝利を宣言しようと構えた。

徐々に照明が落とされ、

ライブが始まろうとした時、

ステージではラバトゥオンの

狡猾そうな顔だけがぼんやり照らされた。

私は彼が落胆するところを

早く見たくて仕方がなかった。

「イッツショータイム!」

ラバトゥオンがステージで叫ぶと、

手にした楽器で深い音色を奏で始めた。

私は部下に行動を開始するように合図したが、

彼らはうつろな目をして応えない。

少しすると、

会場が得体の知れない熱狂に包まれ、

思わず身震いをした。

ラバトゥオンの演奏は徐々に激しくなり、

メロディーひとつひとつが

鋭利な刃物のように私の鼓膜を貫いて、

魂まで突き抜けてきているようだった。

観客はビートに合わせて体を揺らし、

音楽に夢中になっている。

音と音が絡み合う中、

会場に硫黄の匂いが漂い出した。

無数の手によって

魂が引き裂かれるようなこの奇妙な旋律に、

私は抗うことができなかった。

ラバトゥオンの音楽は

次第に狂気を増していき、

鋭い弦の音が幽霊や怪物の咆哮のように

聞こえてきた。

観客の目には狂気の輝きが宿り、

まるでラバトゥオンの信者に

なったかのように熱狂と崇拝に満ちている。

彼らがラバトゥオンの名前を

叫び続けると、

ピアノの音と折り重なって

恐ろしい交響曲となった。

突然音楽が止まり、会場が静まり返った。

観客全員が一斉に振り返り、

不思議そうに私を見つめる。

ラバトゥオンが

ステージの真ん中に立つと、

私の心を見抜いているかのように

怪しげに目を光らせた。

そして彼の髪が真っ赤になり、

鋭く、凶暴そうな角が生えてきたのだ。

「ようこそ、評論家さんよぉ」

ラバトゥオンの声が、

深淵から聞こえてくるようだった。

「お前は自分が

このゲームの主催者だと思っているようだが、

実際は俺の駒に過ぎねぇんだよ」

(くそ……

契約相手は本物の悪魔、カタストロフだったのか!)

この事態に目眩がして

なんとかここから逃げ出そうとしたが、

無駄だった。

ラバトゥオンが再び音楽を奏で始めると、

今度はもっと狂気に溢れ、

観客の目がまるで崇高な神々を

見ているかのように熱狂的になった。

耳をつんざくような音楽の中、

私は見えないロープに

引っ張られるように体が勝手に

立ち上がった。

「契約を破る気か?」

ぞっとするような笑みと共に、

カタストロフのささやき声が聞こえてきた。

胸元が焼けるように熱くなり、

懐に入れていた紙の契約書が灰と化したが、

その文字は私の胸に焼きついた。

もはやカタストロフの支配からは逃れられない。

契約によると、

私は死ぬまで彼のために新たな観客を

集め続けないといけないそうだ。

私は自分の失敗を受け入れられなかった。

他人の運命を操ることを

楽しみとしてきた私にとって、

他人の奴隷となることは

死ぬより耐えがたいことなのだ。

最後の力を振り絞って、

持っていた短剣を取り出し、

自分に向けて突きつけーー

数日後。

ラバトゥオンは予定通り、

新たなライブを開催した。

 

スキン【一人のロック】

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