オルガ

ページ名:オルガ

オルガ【果て無き砲煙】

概要

呼称 果て無き砲煙
陣営 カタストロフ

ストーリー

勃興する王国の足元には、

いつも無数の国の廃墟が並んでいる。

オルガの母国であるオルス王国も、

そのひとつだったーー

当時、人間最強の国と言われていた

ブライト王国は、戦火の中で急速に発展し、

多くの弱小国を滅ぼしていた。

その手はどんどん伸びていき、

オルス王国の近くまで

領土を広げていったのだった。

ブライト王国は、

オルス王国を従属させ公国とするため

使節を派遣した。

つまり降伏を求めているのだ。

オルガの父親であるオルス王国の王は、

従属国になることを拒み、

独立国として認めてもらえるよう

使節に交渉をする。

だが、相手は圧倒的に強いブライト王国だ。

『交渉』が成り立たないことなど、

火を見るより明らかだった。

王が従属国を拒否したという噂は

オルスの国中に広がり、

王国は未曽有の混乱に陥った。

そしてクーデターが起こったのである。

オルガの叔父ロマン……。

王国の将軍でもあるロマンは、

王室の血を引く者たちを1人ずつ処刑し、

ブライト王国の実権のない爵位と

引き換えに、

オルス王国を使者に差し出したのだ。

その反乱の中で、

オルガは奇跡的に生き残った。

オルガの命を狙う銃弾を

妹が代わりに受けてくれたからだ。

だが、命は助かったとはいえ、

銃弾は妹の体を貫通していて

オルガに命中していた。

一命は取り留めたものの、

その傷は身も心もボロボロにする。

母国が滅亡し、愛する家族も失い、

親族に裏切られたオルガは

気が狂ってしまった。

自分の手でロマンを始末することしか

考えられなくなったのである。

だが、銃弾を受けた体は

うまく動かすことができない。

普通の生活を送れないオルガは、

廃墟の中でゴミを拾い集めながら

生き延びたのだった。

時々、オルガと同じように

ゴミを拾いながら生活している者たちに

不自由な体を笑われるも、

反撃する力がなく昏睡状態に陥ることも

あった。

夢の中でもオルガは

苦しみから逃れられなかった。

両親や妹が絶えず夢の中に現れ、

彼に問いかけるのだ。

「なぜまだ仇を取らないのか!」

「お兄様、痛いわ! 

どうして仇を取ってくださらないの!?」

オルガが答える前に、

家族の背後で銃を構えているロマンが

引き金を引く。

家族が殺される悪夢は何度も繰り返され、

無力感と怒りが相まって

身が引き裂かれそうな思いになる。

そうしてオルガは絶望に陥るのだった。

彼の魂から発せられる強烈な絶望の匂いは、

カタストロフを呼び寄せた。

オルガが悪夢に苦しむ中、

邪悪な虫が1匹、彼の手のひらに止まり、

傷口から体内に侵入していく……。

その夜ーー

オルガは家族が殺される夢を見なかった。

それどころか、

虫のような歪な形をした大砲を操り、

ロマンを消し炭にしたのだ。

すると、その大砲がオルガを見つめ、

気味の悪い粘液を吐き出し彼を飲み込んだ。

暗闇の中で虫はオルガに問う。

「仇敵を滅ぼすために、

すべてを差し出す覚悟はあるか」

次の日ーー

夢から覚めたオルガは、

自分の体が信じられないほど

変わっていることに気づく。

彼を悩ませていた傷の痛みがなくなり、

不自由だった手足に感覚が戻ったのだ。

そして……視線を落とすと、

オルガの手には

夢の中に出てきた大砲が握られていた。

オルガは力を手に入れた。

だがそれは、カタストロフの力だ。

十分な力を発揮し、復讐を果たすためには、

カタストロフにより多くの命を

捧げなければならない。

こうしてオルガは殺戮者になったのだった。

彼は自分を笑ったゴミ拾いたちを

砲火で焼き尽くし、廃墟を出た。

オルガは力を蓄えながら、復讐の時を待つ。

時は流れてーー

ついに復讐の舞台が整った。

家族を売って豊かな生活を手に入れた

裏切り者のロマンは、

とある祝祭に主賓として招待されていた。

オルガがやることはただひとつ。

礼砲が鳴る瞬間に、叔父の命を奪うことだ。

街は祭りで賑わっていて、

昔、家族と一緒に似たような祭りに

行ったことを思い出す。

だが、今となってはその家族は誰もいない。

天涯孤独の身だ。

思い出を頭から追い出し、

物陰で近づいてくる復讐の相手に

集中する。

彼から家族を奪った元凶は、すぐに現れた。

ロマンはパレードの馬車に乗りながら、

笑顔で民衆たちに手を振っている。

その優しそうな笑顔は、

群衆に隠れるオルガの傷ついた心を

抉るようだった。

(まだだ……今は我慢しろ……)

ロマンを乗せた馬車の列が街を出ると、

次々と礼砲が鳴り響いた。

オルガはすぐさま礼砲に合わせて

馬車に向かって砲撃する。

さっきまで笑顔で溢れた街が

一気に悲鳴と砲煙に包まれる。

人々が逃げる中、オルガは衛兵を倒し、

ロマンに近づいた。

「お前は……!」

ロマンはオルガの正体に気づき、

必死に命乞いを始める。

だが、その言葉がオルガに届くわけがない。

オルガは躊躇なく

砲口をロマンの頭に突きつけ、

死の苦痛を味わわせたのだった。

オルガの復讐が、ついに決着する。

膝から崩れ落ち、至上の喜びに満たされた。

だが、その後に果てしない虚無感が

襲ってきた。

ぐったりしながら、

オルガはカタストロフが

自分の命を奪いに来るのを待つ。

その時だ。

カタストロフが再び彼に囁いた。

「俺様が求めるのは、多くの命だ」

カタストロフはオルガの

ボロボロの魂だけでは満足していなかった。

オルガを利用して、もっと生命を

奪い取ろうとしているのだ。

「ブライト王国こそが、真の仇敵だろ?」

カタストロフはオルガの心を

揺さぶるように囁き続ける。

空虚な心が再び憎しみで満たされると、

オルガの理性はカタストロフによって

侵蝕されていった。

気づけば手に持っていた大砲から

悪臭漂う液体が滲み出てきた。

液体がオルガの全身に広がった瞬間、

カタストロフとオルガは

完全にひとつになる。

骨の鎧に包まれた手が大砲を握り締め、

オルガは立ち上がった。

あたりには人ひとりいない。

粉々になった馬車、瓦礫と化した建物が

あるだけだ。

廃墟の中を歩くオルガという男が、

やがてブライト王国全土に

砲火と戦乱をもたらすのだったーー

「花火は散る瞬間が一番美しい。

人の命も同じだ」

 

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