ヴィラリス

ページ名:ヴィラリス

ヴィラリス【惑わしの魔女】

概要

呼称 惑わしの魔女
陣営 カタストロフ
外見年齢 23歳
身長 165㎝
趣味 嘘をつくこと
好きなもの 勇敢で正直な人を騙して陥れること
嫌いなもの 嘘に騙されない勇敢で正直な人
現在地 群山麓のカタストロフを封印した塔

ストーリー

夢の中に出てきた予言のように、

受難の女神を拘束している聖堂は、

山々の麓に鎮座していた。

私は山の隙間から夕日が見える位置に立ち、

辺りを見回した。

この建物は聖堂というよりは、

扉がない塔と呼ぶほうがしっくりくる。

私は夢の中で見た神殿の光景を思い出した。

 

ーー聖なる女神は、カタストロフによって

聖堂の壁に鎖で繋げられ、

その翼は杭で貫かれていて血が滲んでいた。

彼女は私に悲痛な叫びを吐露した。

 

名前はヴィラリス。

信者たちに騙されて山頂を離れ、

この聖堂にやってきたと教えてくれた。

カタストロフに惑わされた人々は

彼女に秘められている神力を搾り取るため、

絶えず苦痛を与えたらしい。

夢の中で、私は彼女と約束を交わした。

深い夜が訪れる前に、

彼女を拘束したカタストロフを倒し、

苦しみから解放してあげると……。

 

月が昇り始める頃ーー

私は憎きカタストロフを見つけ、

剣を向けた。

カタストロフの顔は血まみれで、

表情を読み取ることができなかった。

だが、こいつは私を見るなり

体をこわばらせたのだ。

今までカタストロフとは

何度か戦ってきたが、

このように躊躇するカタストロフは

初めてだった。

こいつは何か、

語りかけようとしているように見える。

 

「うぅうぅ」

 

だが、彼の喉からは

唸り声しか聞こえなかった。

カタストロフの言葉は知らないし、

敵の戯言に惑わされたくもなかった。

向けていた剣を握り直し、

私はカタストロフに斬りかかる。

 

しばらく剣を振るうも、

一筋縄ではいかず苦戦を強いられた。

何度も危険な目に遭ったが、

その末、私はついにカタストロフを倒した。

剣によって貫かれた胸から、

赤い血が流れ出ている。

カタストロフも

人間と同じ血の色をしているようだ。

呼吸が乱れ、強い疲労感を抱くが、

私は最後の力を振り絞って、

女神を壁に繋いでいた鎖を断ち切った。

拘束から解き放たれた女神は、

微笑みながら私に近づき、

優しく抱きしめたのだ。

私も女神を救えたことに安堵する。

 

だがその時だったーー

 

私を抱きしめていた優しい手に、

突然鋭い爪が伸びたのだ。

そして黒い光に包まれた私の体は、

鎧とともに粉々に砕けてしまった。

あれは魂を糧とする滅びの光だった。

 

「本当にバカ正直な勇者様ですわね。

まるで先日の可哀想な方と同じ……

ああ、先程あなたと戦った方のことですわ」

 

体は粉々に砕け散っているのに、

なぜか首から上だけで生きている。

だが、痛いという感覚は脳に伝わり、

私は苦痛に耐えきれず叫び声を上げた。

すると、ヴィラリスの鋭い爪が

私の顔を突き刺し、舌を切り取った。

 

「はぁ……

あなたたちを殺すなんて、

可哀想過ぎてできませんわ。

だって、愚かにも私を捕まえることが

できると思っていたのでしょう? 

そんな価値のない愚かな人間を

私の手で殺すなんて……

可哀想だと思いません? 

この私が!」

 

圧倒的な力の差を見せつけられ、

私はさっき自分で剣を突き刺した

『カタストロフ』に向かって助けを求めた。

 

「うぅうぅ」

 

だが、それも虚しく、

『カタストロフ』から聞こえるのは、

唸り声だけだった。

彼が私に何を語りたかったのか、

今になって理解する。

非人間的な拷問を受け、

顔をずたずたに切り裂かれ、

苦しんでいたのだ。

今まさに自分が同じことをされて、

なぜ彼の顔が血まみれだったのか、

話すことができなかったのかがわかった。

 

そうして深い夜が訪れた……。

私は本当のカタストロフを

倒すことができなかった。

両目も奪われ、哀れな聴覚だけが残る。

ヴィラリスの歌声に絶望しながら、

暗い闇へと堕ちていったのだったーー

 

「人間は戯言に酔いしれるのです。

なぜなら人間は、自分が信じたいことしか

信じないからですわ」

 

ドリーのコーナー

ヴィラリスが目を開けると、自分がどこから来たのか、何のためにこの塔に幽閉されているのかなど、いろいろなことを忘れていた。

ここでいう暗闇とは、耐え難い息苦しさ、そして恐怖と無力感に苛まれる。

終わりの見えない苦痛のことである。

こんな絶望の中、女神は助けを求める声を聞いた誰かが助けに来てくれるよう、祈り続けた。

そしてこの暗闇にもついに光が差し込んだ。

光の先には剣を持った騎士が立っていた。

そして周りには真っ白な花が騎士の周りに咲き乱れていた。

純白の羽を持つ若く美しい女神は、宝石のように輝く涙を流しながら、か弱い声で苦しみを語り、助けを求めた。

勇士はカタストロフを倒し、幽閉された女神を救い出した。

勇士の物語はこうしてロマンチックなエンディングを迎えるはずだった......

でも、そんなありふれたハッピーエンドで終わるなんて......

つまらないわ。

辺りに咲き乱れた白い花は瞬時にその花びらを開き、赤紫色のトゲには毒液が塗られている。

純白の女神は暗黒に包まれ、邪悪な笑みを浮かべた。

心臓を貫いたトゲが女神の周囲をぐるぐる回っている。

騎士は突然の出来事にパニックに陥り、恐怖に満ちた感情は美味しい養分としてヴィラリスに吸い込まれ、体の隅々まで満たしていった。

そう、まさに彼女が腕に抱かれた瞬間、見覚えのある景色が彼女のすべての記憶を呼び覚ましたーー

女神?

英雄に救出される物語?

そんなものは嘘と破滅の魔女が仕組んだゲームに過ぎなかった。

ゲームに自らの身を置き、嘘に溶け込むことによって、自分を助けに来てくれた勇士を完璧に騙し、最高級の盛宴を開くことができるのだ。

物語のクライマックスで生まれた絶望、それこそヴィラリスが長い間待ち望んだ、最も美味しいアフタヌーンティーなのである。

 

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