メルクリ【風の伝書使】
概要
呼称 | 風の伝書使 |
陣営 | セレスチアル |
身長 | 165㎝ |
好きなもの |
・手紙の配達 ・羊皮紙の香り |
嫌いなもの |
・うるさいこと ・もたもたすること |
故郷 | 群山の頂 |
現在地 | エスペリア |
現在の身分 | 神々の伝書使 |
ストーリー
カタストロフが破滅の深淵を突破してから、ブライト王国から遠く離れたサンドスティ城は、未だ硝煙に覆われていない数少ない場所となった。
人々はただ運がよかったのだと考えていたが、町の外に広がる金色の野原の奥深くに、町民のために暗躍し、悪を駆逐したセレスチアルが隠れていることは誰も知らない。
ドンドンドン、とドアが力強くノックされた。
セレスチアルが立ち上がって外に向かうと、数歩も歩かないうちに外にいたはずの客人の姿はすっかり消えていた。
木の板の隙間には、薄い封筒が1通挟まれて、かすかな風に揺られていた。
そうしたそそっかしい振る舞いに、彼はふいにある懐かしい友人を思い出した。
その友人は専任の伝達人をやっていて、少し頼りなさそうに見えることもあったが、彼女はいつも正確な情報を真っ先に伝達していた。
だが、ハトール深海での戦いの後、彼女は謎の失踪を遂げ、それ以来彼女の姿を見た者はいない…
そこまで考えて、セレスチアルはその中から少しでも手掛かりを見つけようと思いながら慎重に封筒を開けた。
手紙の最後に署名はなかったが、この筆跡にはとても馴染みがあった。
親愛なる旧友へ、久しぶり!
私がどれだけの労力を費やしてあなたを見つけたかは神のみぞ知るってところだけど、私の可哀想な乗り物も奔走しているうちに泥だらけになっちゃった…それでもこの手紙を受け取れたなら、そのことを喜ぶべきだよ!
もちろん、私がどんなことを経験してきたか、あなたは興味津々だよね…
数年前、神々がハトール大陸の深海でイグテスの手先に抵抗してた時、破滅の深淵ではカタストロフたちがそれに手を貸して再びこの世に戻ってこようと企んでた。
私はその情報を受け取ってすぐに最速で駆けつけたんだけど、不幸なことに、その途中でカタストロフの手下に奇襲をかけられちゃったんだ。
どうやっても包囲網から抜け出せなかった私は、自分の神力を燃やし尽くして鳥の群れを生み出して、せめて情報をあなたたちに伝えようとしたの。
でも私の鳥たちは、方々へ飛び去ろうとしていたところをカタストロフの追撃に遭って、最後には一番小さな1羽だけがなんとか逃れた…
正直、その時の私は自分が生き残れるなんて期待していなかった。
でも力を出しきって体が消えたその時、私の意識が最後に生き残ったあの小さな青い鳥と一緒にエスペリアを飛び回ってるのを感じたの。
でも、神々が知らせを受け取った時はもう手遅れなんだと思い知った。
破滅の深淵は撃破されて、戦局は防波堤を決壊させた洪水のように劣勢に追い込まれ、神々さえも悪の勢力によって分裂して、それぞれが戦うようになってた。
私は自分の最速スピードを誇りに思っていたけど、そのスピードでは、現実となってしまった悪い結果を覆すことができなかった。
カタストロフが再び現れたら、私には何ができるんだろうって考えてた。
私は小鳥と共に大地を見た。
そこには見渡す限り、戦争と硝煙が広がってたわ。
ほとんどの伝達人が危険を恐れて、とっくに自分の仕事を放棄してた。
大地はひび割れ、情報も隔絶された。
人も神もそれぞれ戦っていて、みんな自分を孤独だと思い、数千里遠くに、そして数十里ほどしか離れていないところにも、自分たちと同じ境遇の人がいることを知ってる人はいなかった。
カタストロフたちはそのことにつけ込んで勝ち続け、そいつらの次の標的なんて誰にも分からなかった。
ある村では、カタストロフを前に勝ち目がなく、誰もが生気を失って家の中で死を待ってた。
一方で20里離れた町では、指揮官が自ら書いた知らせを運べる者がいないことを思い悩んでた。
そこで私は小鳥を操ってその手紙をくわえさせて、村まで届けたの。
手紙には、町で彼らを受け入れる準備が整っていることや、すぐに援軍を派遣して彼らを迎えに行くことが書かれてた。
カタストロフを倒すことより、援軍が来るまで生き残る方が現実的だもの。
彼らの目には光が灯り、突然これまでにないほど、強固な意志を抱いたの。
このことに対して彼らが真剣に祈ったおかげで、私の消えていた力が再び集まった。
あぁ、オル、あなたもこのことはよく分かってると思うけど、彼らは私たちより弱い。
でも彼らが生み出す奇跡はいつだって私たちの心を動かすのよ、何度もね。
私は突然、これから自分が何をすべきか分かったわ。
伝達人として、私の使命は知らせを伝達することだけじゃない。
揺らいでる人には信念を、臆病な人には勇気を、絶望してる人には希望を届けられる。
そうして私は再び大地を歩き、各地の人々に彼らが一番必要としてるものを届けた…そこには私たちも含まれているわ。
カタストロフのあげた戦火はもうすぐあなたのところにも届こうとしてる。
1人で戦うのは、バカな奴のすることよ。
今や、群山の秩序はつくり変えられた。
あなたは私が誘った最初の神でもないし、最後でもないわ。
懐かしい旧友よ、私を信じて。
一緒に戦うのよ。
「あぁ…メルクリ、私の忠実な友よ」
招待を受けたセレスチアルは軽くため息をついて手紙をしまい、そして微笑んだ。
「君はいつも、私たちが最も必要としてる時に、求めていたサプライズと希望を届けてくれるんだな。なんていいところに来たんだ、と言わざるを得ないよ」
ドリーのコーナー
伝書使であるメルクリは、誰よりも速く仲間に情報を届けることを己の使命とし、それを誇りに思っている。
人々の間では、「届いた手紙に使われているインクが乾いていなければ、それを届けたのはメルクリだ」という噂が流れるほどだ。
メルクリは活発的で熱い心を持ち、この世界に対する好奇心も強い。
だけどもしかしたら、彼女が考えているのはいかに速く手紙を届けられるかだけなのかもしれない。
真実を知る者などいないのだ。
伝書使が届けるのは、そこに書かれている情報だけではないとメルクリは信じている。
手紙には、遠くの相手に対する想いも込められているのだ。
そのため、彼女は毎日情熱を持って仕事に取り組んでいる。
しかし、破滅の深淵の陥落で、すべては失われてしまった。
この情報をもう一つの大陸にいる神々に伝えようとしていたメルクリ自身も、危うく命を失うところだったのだ。
彼女は残された最後の力で鳥と化し、カタストロフが我が物顔で凌辱する大地の上を彷徨った。
戦いにより行き場を失った人々を見ているだけで悲しみがあふれ出す。
その時、初めて己が今まで一番に求めていた速度というものに疑問を抱いた。
そして、メルクリはとある者に出会い、彼らのために難民受け入れを知らせる手紙を届けた。
そんなことでは何も変わらないと思っていたが、届けられた知らせにより目的地ができた人々が再び希望を抱いた姿を見た時に気がついたのだ。
難民たちの瞳に映る恐れと戦慄が勇気に変わったのは自分のおかげなのだ、自分こそが希望の伝達者であるのだと。
その時、メルクリの心にも再び光が射し、行方が分からなくなっていた者たちを探す役割を果たすようになった。
そして群山の頂が秩序を取り戻した後、メルクリは急いでそのことを各地に散在する神々に伝えた。
今のメルクリには迷いなどない。
彼女はこの大地の上で力の限り、離れ離れとなってしまった星明りを繋ぎとめている。
「新たな仕事」は、思っていた以上に忙しい。
相手が扉を開けるよりも早く、次の目的地にたどり着いているということも珍しくはないのだ。
希望は小さな火種。
その光を伝書使が集め、各地へと届けていく。
それは少しずつ世界に広がり、真の変化に繋がるだろう。
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