レディー・シモナ

ページ名:シモナ

レディー・シモナ【災禍を呼ぶ鈴】

概要

呼称 災禍を呼ぶ鈴
陣営 グレイヴボーン
身長 183㎝
趣味

・布教

・お香の配合

好きなもの

・上品なお香

・美しいティアラ

嫌いなもの うるさい犬
現在地 灰潮城
現在の身分

・ブライト貴族の『スペシャルコンサルタント』

・悲しき弔鐘の上級執事

ストーリー

灰潮城の異端裁判所で、

神父たちが激しく言い争っている。

イスミン神父は無意味な言い争いに辟易し、

憤然として立ち上がった。

「デューラ様! 

このような汚れた名を

口にするのをお許しください。

だが、バンティスの秘密宗教組織

『悲しい弔鐘』が国に蔓延っており、

切迫した問題なのです。

市民や貴族はもはや

死霊の教養の信徒となってしまっています。

皆様の中で疑っている方が

いらっしゃるなら、これを見てください!」

そう言うとイスミン神父は

破れかけた紙を机に叩きつけ、皆に見せた。


「高くそびえる木の枝を支えているのは、

大地の奥深くまで広がっている根だ」

私がこの職に就いた時、

当時の編集長が教えてくれた言葉だ。

何年もの間、私はずっとこの言葉を

信条として守ってきた。

そして、これがいつか出世の機会を

もたらしてくれると信じていたのだ。

少し前、私は独立した。

今は自社の新聞の創刊号のために、

スクープを探している。

『レディー・シモナ』ーー

上流階級で密かに囁かれているこの名前は、

私が見つけた獲物だった。

彼女はいくつもの異なる顔を

持っているようで、

尋ねる人によって印象はまちまちだった。

だが彼女の『仕事』のことになると、

誰しもが口をそろえて称賛していた。

貴族や大商人がその権力、

財力をもってしても

解決できない問題がある場合、

レディー・シモナは最後の希望となるのだと。

私は彼女が多くの人物と密接な関係を持ち、

彼らをコントロールしていることを

証明できる。

彼女のことを魔術師と言う人もいれば、

毒薬使いあるいは高貴な者の愛人だと

言う人もいる。

このようなペテン師を暴く話は、

庶民の噂話の最高のネタになるのだ。

ついでに帰属のスキャンダルも暴けば、

きっと私の新聞はこの記事で

大ヒットになるに違いない! 

……私はなんて単純だったんだろう。

あの日ーー

私は港の辺りで最近生業を始めた

田舎の男爵を装い、

何度も『ご挨拶』を経て、

ついにレディー・シモナに会うことができた。

部屋に満ちたスモークと

薄いカーテンを隔ててもなお、

背が高くて痩せている体形と、

妖艶な彼女の容姿が見てとれる。

レディー・シモナは口数が少ないが礼儀正しく、

話すときは少し古風な言葉遣いをしていた。

短い面会時間のほとんどは、

だらしない男やもめが

いかに私の新生活を邪魔してくれたという

作り話を迫真に訴えるというものだった。

別れ際、レディー・シモナは淡々と告げる。

「あなたのお悩み、

解決のお手伝いをしましょう」

獲物が罠にかかったと思い、私は微笑んだ。

代金について問うと、

レディー・シモナはカーテン越しに

1つの小さな鈴を渡してきた。

彼女の細く色白な手で

持っていた鈴を軽く揺らすと、

不思議な音色が脳内に響き渡る。

ほんの少しの時間だったと思うが、

私はぼうっとしていたようだ。

はっと気がついた時、彼女が口を開いた。

「この鈴を家に置いてください。

私の仕事が終わった時、

また持ってきてください」

私は鈴を受け取り、

彼女の言う通りに部屋の窓辺に

掛けておいた。

彼女が何をしでかすか、

見てみたかったのだ。

3日目ーー

パートナーのダリが来ない。

彼は私の作り話上での『男やもめ』だった。

私たちは顔を合わせて、

レデイー・シモナの行動について話そうと

約束していたのだ。

何かがおかしい。

そういえばこの頃、

レディー・シモナに渡された鈴が

時おり不意に鳴り出すのだ。

その音を聞くと、

私は少しの間、意識を失ってしまう。

なぜだか私は、その夜ダリの家に

行ってみようと思った。

いつもならダリの隣の家あたりまで来ると

部屋の明かりが見えるのだが、

ダリの家に明かりがついていない。

不審に思って扉に手をかけてみると、

なんと鍵が開いていたのだ。

私は中に入り、静かな声でダリを呼んだ。

だが返事はなかった。

暗い部屋の中、

壁を伝って書斎まで辿り着いた時、

あの鈴の音が突然脳内に響いた。

同時に、

月明かりの中で机に突っ伏している

ダリの姿が見えた。

眼球が飛び出て、口を歪ませた彼からは、

全く生気が感じられない。

机の上の羊皮紙に

でかでかと書かれていたのは、

私の名前だった……。

私は驚いて地面に座り込んだ。

パニックになっていると、

ふいに背後に何かを感じた。

振り返ってみれば、

レディー・シモナが立っていたのだ! 

彼女の蒼白な肌は、

月明かりの中でより鮮明に見える。

「男爵閣下。

あなたのお悩みは無事に解決いたしました」

彼女のその言葉に、怖くなった私は

慌ててその場から逃げ出してしまった。

あれから数日ーー

私は田舎に身を隠していたが、

どんなに離れていても脳内にあの鈴の音が

鳴り響いてくるのだ。

その音が聞こえるたびに、

私はダリの惨状とレディー・シモナの声を

思い出す。

何度も悪夢を見る私に選択肢はなかった。

私は自宅に戻ってきた。

あの小さな鈴は、

変わらず窓辺に掛かっている。

どれだけ海風が吹こうとも、

一切動かなかった。

私は鈴を取り外すと、

まるで何かが取り憑いたかのように、

無意識に鈴を揺らしたのだ。

「チリン」

奇妙な音が部屋の中にこだまし、

まとわり、ぶつかり、跳ね返り、

そして窓の外へと逃げていく。

最後にはまた私の耳に戻ってきて、

脳髄を刺した。

この感覚は苦痛であるはずなのに、

苦しみに対して

初めて少しの欲求が生まれる。

2回、3回と揺らさずには

いられなかったのだ。

そして一晩中、鈴の音に浸っていた。

音は私の魂を支配し、死を味わわせ、

破滅と再生を強要した。

その鈴は私にこう呼びかけ続ける。

「戻してくれ、戻してくれ」

私はその呼びかけに応えた。

ぼうっとしたまま鈴を持ち、

言われた通りにレディー・シモナの居室に向かう。

彼女は薄いカーテンの向こうで

私を待っていた。

鈴は私に手にしている鈴を

差し出すようにと、命令する。

私がそれに従い、

レディー・シモナに鈴を手渡した瞬間、

脳内の音がピタリとやんだ。

まるで一度も聞いたことがないかのように、

あの音が思い出せない。

どうやら魂の一部分を

奪われてしまったようだ。

「契約は果たされました。男爵閣下。

それとも……

編集長とお呼びすべきでしょうか。

もうお帰りください」

レディー・シモナは淡々と告げる。

失敗した……。

野心のために残酷な代償を払ってしまった。

この世には、

私の手が届かないところに

闇があるということを知った。

今私にできることは、

このすべてを記録し、

後の者に警告することだけだ。

(記録の最後に、

歪んだ筆跡で1行付け加えられている)

あの音から離れられない、戻らなければ。


「この編集長の新聞は、

死霊の教養を広める疑いがあります。

これは彼の家から発見された原稿ですが、

本人は自分のものではないと

否定しているのです。

『レディー・シモナ』の捜索も、

貴族たちによって密かに妨害されています。

そこで提案します。

挙手で表決をとり、

この事件を王国聖裁所に報告し、

支援を求めましょう!」

だが意外なことに、

イスミン神父の提案に賛成し、

手を挙げた者は数人しかいなかった。

そして再び口を開こうとしたその時、

不思議な鈴の音が、

彼の耳元で鳴り響いたのだったーー

 

ドリーのコーナー

レディー・シモナの伝説は、灰潮城で密かに沸き起こり続けている。

街中の老人たちは時折、レディー・シモナにまつわる噂や怪談を聞いて育ったと言うが、彼女がいつから存在しているか、知っている者は誰もいない。

レディー・シモナは「スペシャルコンサルタント」という身分で、ブライト王国の貴族の中に混じり、貴族たちのお悩みを解決している。

彼女は家の掃除や宿敵の殺害など、あらゆる要求に応じるのだ。

しかし、レディー・シモナのサービスが無料だったことはない。

彼女は悲しき弔鐘に隷属し、死霊の教義を広めて、ケハディマンがより多くの契約者を吸収できるよう暗躍している。

レディー・シモナが手にしている鈴は奇妙な音を立てる。

彼女は欲望を餌にして、それに引っかかった者を知らず知らずのうちに、死霊の教義の最も忠実な支持者に変えてしまう。

レディー・シモナと関わった者は寡黙になり、社交力を失う。

そして性格が急変し、怪しい行動をとるようになり、次第に生者の世界を嫌い、死を味わって生まれ変わりを経験しようと渇望する。

最終的に、彼らは生者としての基本的な欲望を失い、単純な行動能力だけを保ち、腐敗した死霊の教義の信者になってしまう。

異端裁判所が灰潮城に満ちていく異常な空気に気づいた。

彼らはこの地に漂う不正の風潮を粛清しようとするが、徹底的な妨害に遭う。

死霊の教義は既に、街の暗部に深く根づいていた。

レディー・シモナの鈴の音は至るところで鳴り響き、大人しく魂を差し出すよう顧客たちを誘惑している。

 

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