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更新日:2023/12/14 Thu 10:50:32NEW!
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『もし木を切る時間が6時間なら、私なら最初の4時間を斧を研ぐのに使うだろう』
(エイブラハム・リンカーン)
概要
斧とは、対象を叩き斬る為の刃物である。英語ではaxe(アメリカではaxとも)。
主に木製の柄の先に、斧身と呼ばれる刃を括りつけた形状をしている。
元々は樹木伐採用の道具で、戦闘用に適化した大型の物は戦斧と呼ばれる事もある。
▽目次
歴史
斧の歴史は非常に古く、旧石器時代には既に斧の先祖である石斧が存在していた。
その遍歴は、前期旧石器時代の礫器から始まる。
自然石を打ち欠いただけの、ざっくり言えば「割れた箇所が尖った石」である礫器は、旧石器時代前期から中期にかけて、より握り易く加工した握斧に変化した。
どちらも柄は無く直接手に握り、突く・切る・削る・叩く・割る等に用いる、スコップ等の様な利器である。チンパンジー等の知能の高い類人猿もこれらを使う事がある。
握斧は土を掘ったり獲物や樹木の皮をはいだりできる便利な道具として役立ち、原人の生活を豊かにした。
しかし当時は狩猟が食の基盤となる時代である。握斧はリーチも威力も肉食獣の牙や爪にさえ及ばず、狩りに用いられる物では到底なかった。
この頃の原人達の武器は、せいぜいが棍棒と投石。小さく素早い動物には当てられず、大きすぎる動物には力不足。
当時は集団で取り囲んでも孤立した中型草食動物一匹狩るので精一杯で、常に餓死の危険と隣り合わせだった。
だが握斧のおかげで新たな武器が生み出される。
固い細木の先端を尖らせた『木槍』である。
槍の「突き」「投げ」により、素早く跳ねまわる小型獣や飛んで逃げる鳥、更には中型草食動物なら20m離れていても狩れる様になり、食糧問題は大きく改善した。
しかしこの木槍、材料の調達や加工等、量産には手間がかかる。
また槍投げには技術が必要で、野生動物にも気付かれれば逃走、または最悪反撃を受ける事になり、安定して狩れる訳ではない。
何より当時最大の獲物であり敵でもあった大型獣には、槍をもってしてもなお力不足だった。
一点集中で貫通力はあれど傷口は小さく、急所を正確に貫かないと大型獣は倒しきれない。
その為には、かするだけで致命傷になる巨大な爪や牙の間合いにまで入る必要があったのだ。
飢えた原人達は、握斧を握りしめ思ったのかもしれない。
「奴らの爪の様に、こいつで奴等の身体を引き裂く事ができれば…」
「この石の様に固く鋭く、木の様に長い、簡単に多く作れる武器があれば…」
そしてある時人類は、木や骨の溝に石の刃(握斧)を固定する事で、石器の硬さや鋭さに柄の長さや軽さ、“しなり”による強度・速度・威力が加わる事を発見した。
これらが複合する事により驚異的な破壊力…棍棒や石、木槍では成しえなかった
「斬撃」が人類の手にもたらされたのである。
対象を引き裂き打ち割り切断する斬撃は、大型獣にも致命傷を与える事ができ、更に獲物の肉を潰さずに切り分ける事で食糧・資源としての利用を容易にした。
こうして敵を打ち倒しより多くの恵みを得られる様になった人類は大繁栄への足がかりを掴んだのだ。
これが人類史上最も古い石器、打製石器の石斧の誕生だった。
『火』『塩』『石器(石斧)』は原始時代の3大発明である。
人類史上、初めての複合型マルチツール
斧は「別々の素材を組み合わせた、全く新しい道具」という人類初の『複合』型道具である。
最初は握斧の発展形として土を掘る、固い物を割る、木を切り倒して利用する等、便利な万能道具として用いられた。
狩猟にも用いられ、上述の様に木槍だけでは狩れなかった獲物も手に入った。
製造がやや手間だがリーチと速度に秀でた木槍と、製造が比較的簡単で威力がある石斧の組み合わせは相性も良かった。
それまでの棒と投石に加えて木槍使いと石斧隊も編成し狩りを行っていたとされる(人数は棒と石>石斧>木槍)。
そして何より「別々の素材を組み合わせる事で新たな選択肢が増える」という成功体験は、人類の知性をいかんなく刺激し、技術の劇的な起爆剤となった。
後期石器時代には技術力の向上により強度が増し、更には刃の部分を磨いて研いだ局部磨製石器が登場。
大型獣の安定した狩猟に耐えうる局部磨製の石斧、石槍、石の矢じり、石のナイフが現れる。
その後、縄文時代に入ってより鋭く研いだ磨製石器が登場し、石器全盛期を迎える。
なおよくある誤解として、漫画等で木の柄に紐で石刃をくくり付けた道具が石斧として出てくる事がある。
だが、紐で縛っただけでは強度・耐久性が不充分で使用に耐えず、こういった石斧が実用された例は見られない。
当時の紐に当たる物は乾燥させたツタやツル、イネ科の植物等の茎であるが、当時はそもそもこれらで「縛る」という技術自体が無かった。
ロープの原型とも言える紐が登場したのが大体約7万年前で、それまではぐるぐる巻きに絡ませるのが関の山と考えられている。
石斧の基本設計はT字型、長い棒や骨の側面に溝を作り、その溝に石の刃を差し込む様に固定させ、隙間に細い枝等を沢山突っ込んだ物が第一世代。
第二世代で木を割った楔を使い、第三世代で木タールや天然アスファルトで固着させている。
後期石器時代には、これらを施した上で補強の為に革や動物の腱で作られた紐が使われた。
この頃には弓矢の製造過程でしなる木の棒に紐を引っ掛ける技術の発展で、ロープも作成されていた。*1
新石器時代後期に従来のスリーブソケット差し込み式が登場し、強度が劇的に上昇する事になる。
この様に石斧は技術力と素材の発達に合わせ進化し、刃の部分の素材も石製から青銅製、更に鉄製と進歩していったのだ。
エジプトのヒエログリフにも斧を示す象形文字がある様に、当時から最も生活に密接した道具の一つだった。
日常だけではなく祭事にも用いられ、それに纏わる技術から古代の文化・文明の進度を示す指針にもなっている。
縄目文土器文化は別名「戦斧文化」*2と呼ばれ、ここから本格的な斧の進化が始まっていった。
云わば斧とは人類技術史の縮図とも言える。
道具としての斧
斧の重い刃は叩く力と切り裂く力を併せ持ち、更にその刃が長く軽くしなる柄で振るわれる事によって、遠心力と弾性の力が加わりすさまじい威力で対象を潰し斬る。その為に鈍器として扱われる事もある。
但し大きく振りかぶり叩きつけないと威力を発揮できない為、小さく動き回る相手にはなかなか当たらない。
なので斧は基本的には「動かない・的の大きい物を叩き割る」為に用いられた。
狩猟においては前述の通り、有史以前の原始時代から木槍と共に主力武器として活躍。
木槍では貫けない様な大型動物の頭部でも、石斧なら叩き割る事が可能。足でも当たれば骨折させられる。
また獲物を「潰す」のではなく「切り裂く」「切断する」事により食糧や資源としてより良質な状態で獲得できた。
当たりさえすれば致命傷を与えられ、量産も木槍より簡単な為、木槍使いと石斧隊で狩りをする事でより多く、より大きな獲物をより良質な状態で獲得できたのだ。
勿論倒した後の獲物を解体するのにも用いられた。頑丈な関節も強靭な腱も、斧ならばたやすく切断出来た。
これにより獲物の運搬も加工も容易になり、食肉としては勿論皮革等の加工産業も大いに発展したのである。
こうして原始時代の最大の難所である飢餓と寒さに対処する事ができ、衣食住の安定に繋がり、人類は生き延びる事ができたのだ。
石斧が生まれなければ、恐らくは人類は絶滅する側になっていたと思われる。
狩猟以外の第一の使い道はやはり大木等を切りだす道具としてである。
ハンマーと違い対象を「打ち割る」事により、砕かずに形を揃えて切り出す事ができた。
砲兵が戦場での砲撃に邪魔な木の枝等を斬る為の道具として用いた事もある他、工兵も作業用の道具として斧を所持していた。
現在でも薪割りには手斧・まさかりが欠かせない道具である。
実際、カナダには過去現在未来における林業の重要性を示すモニュメント「世界最大の斧(World's largest axe)」がある。
その名の通り、高さ15mの両刃斧として造形されている。
なお穴掘りや登山等に使う鶴觜(ピッケル)も斧の一種である。系譜的には石斧の子孫の様な物だろう。
そして第二の使い道としてはこれも「動かない相手を叩き斬る」使い方…
すなわち屠殺・処刑用の道具としてである。
斧の大きく重い刃は堅い頸椎もやすやすと斬り離し、速やかな死を与える事が出来たのだ。
なので家畜の屠殺は勿論、祭祀の場で生贄に対して、また裁断の場で罪人に対しても用いられた。
その為斧は権力、司法の象徴としても扱われる様になったのである。
古代ギリシャの『ラビュリス』、古代ローマの『ファスケス』がその代表だろう。
日本でも神功皇后が自ら兵を率いる際に斧鉞を手にしていたという記録が残る。詳しくは後述。
古くはメソポタミア神話においても神々の王マルドゥークが労働力として人間を生み出そうとした際、神の血や骨が材料として必要になった為。
ティアマトの11の怪物より戦犯であったキングーを生贄に選び、「私は斧を沈める事で彼の罪を除こう」と宣言して実行している。
横斧
横斧とは鍬の様に刃を横向きに取り付けた物で、縦向きに刃がついた縦斧と比べるとより道具としての側面が強い。
後述する「トキ」等は戦闘にも使われていた様だが…。
日本だと「ちょうな」(「手斧」や「釿」と書く)がこれに当たり、木材の外皮を削って形を整えたり、内側を刳り抜いて船や臼等を作るのに使われる。
英語では「adze」。手元で使ったり片手用程度の大きさの物をハンドアッズ、長柄で足元まで振り下ろす様な物をフットアッズと呼び、それぞれ船大工用や樽職人用等、用途に応じて様々な形状がある。
横斧の中でも「マトック」は特に土木用とされ、T字の頭部両端が横斧+ツルハシの物をピックマトック、横斧+縦斧だとカッターマトックと呼ぶ。
シュメール神話において『鶴嘴讃歌』や『鍬の創造』と呼ばれる一編では、エンリル神が天地を引き裂いたあとツルハシ(鍬とも)を振るう。
すると大地から神々の為の労働力として人間が生えてきて、彼らに「アル(al)」という道具が与えられている。(木製である事を表す限定符「GIŠ」がつく事もある)
このアルというのが古代シュメールにおけるツルハシだとか鍬だとかマトック等と言われている。
ポリネシアのマオリ族等では木製柄に石の刃の「トキ」という横斧が伐採やカヌー作りに使われている。貝を刃にした貝斧も一部では見られる。
中でも緑石(翡翠)を刃とした物は象徴的意味合いが強く、現代でもトキの刃を模した緑石はペンダントトップ等にも用いられている。
マオリの伝承を記録した中には同じ話の同じ斧でもaxe表記とadze表記が入り混じっているので、これらの斧がトキ様式の横斧だったと考える事もできるだろう。
武器としての斧
斧の一撃が大型獣をも切り裂く程強力なのは先述の通り。
この斧の特性は、石器時代が終わり古代人類史が始まった後も古代エジプト等で十二分に活かされていく。
戦闘における斧は高威力と広い応用性を兼ね備えた、非常に効率的な武器だったと言える。
薪割りの生活用具であり伐採用の道具であった為、戦闘訓練を受けた兵士でなくても扱い慣れている人が多かったし、
重心が手元から遠くにあるので取り回しは難しいものの、その分訓練していない者による一撃でも威力が高い。
それに全体が金属で出来ている刀剣と比べると、必要な金属量が少なくすむ為、製造コストも安かった。
時代と地域によっては、正規軍でも武器兼工事作業の道具として制式採用されていた。
機関銃が出回ってきた近代戦争でも、携帯用トマホークが重宝されている。
但し、欠点も多い。
柄に金属を用いない分だけ剣よりも構造が脆弱で、相手の攻撃を受け止めるのには向かない。
また「突く」事が出来ず「振り回す」しかない為、狭い場所では使い辛く更に攻撃速度や射程では剣、そして槍に遠く及ばない。
軌道が限定されている為に読み易く、慣れれば相手が振り被ってから間合いを詰めるか離れるだけで躱せる。
何より先端に偏った重量と広い刃渡りから、一度振るうと反動で保持者の重心が揺らぐという重大な欠点を持つ。
上述の様に躱され体勢を崩すと動きが止まり、格好の的になる。
斧はあくまで道具であり、高度に思考し動き回り反撃してくる相手と「戦闘」するのには使い辛いのだ。
そもそも大型獣相手ならともかく、人命を奪うだけなら刺し傷でも充分な訳で、斧程の威力は必要ない。
要するに斧は「戦闘」より「破壊」に向く武器なのである。
言い方を変えれば、一撃の威力に全振りした武器だと言える。対人戦ではこの特性は活かし辛い。
最初の一発が確実に決まるであろう状況でこそ最も効果を発揮するのだ。
それが最大限活かされるのは、やはり奇襲であったろう。
広い平原で向かい合ってヨーイドンで始まるいくさでは、斧では槍や弓の餌食となるだけである。
また踏みとどまって戦いあう様な状況では、突く事も敵の攻撃を受けたり払ったりもできる剣にはかなわない。
ただ相手が気が付いていないうちに斧を手にしてなだれこみ一気に乱戦に持ちこんでしまえば、その威力で敵に甚大な被害を与えられる。
なのでこういう戦い方を旨とする者達…すなわち侵略や略奪を行う蛮族達に好んで用いられたのである。
斧は生活用品であり、剣や槍に比べ所持していても怪しまれにくい為、暗器としての暗殺にも向いている。
建物の城壁や扉の破壊にも力を発揮し、襲撃者の侵入や脱出を容易にした。
それに彼らは戦闘し続ける必要は無いので、奇襲の一撃で敵を倒しきれなければ逃げてしまえばいい。
また略奪を行う為に、非戦闘員を一方的に虐殺するにはこれ以上適した武器はなかっただろう。
弓矢の様な貫通力や射程距離はないが、投擲するだけで脅威になり、矢では不可能な家屋や防具も破壊できる。
更に投げつけるという動作は構えて撃つ弓矢より素早く、しかも訓練を受けなくても腕力さえあれば誰でも可能。
投げつける為に量産しても、略奪の成否に関わらず無駄にもならない。余ったら売るなり自分達の生活で使うなりすれば良い。
こうして斧は侵略者の武器として定着していったのである。
この利便性に気付いたヴァイキングをはじめとした海賊達も、武器や道具として斧を多用している。
そして武器として定着した事で有用性を見出され、より戦いに向いた戦斧(せんぷ/バトルアックス)が生み出される。
こちらは伐採斧や薪割り斧と違い、柄を長くし先端の刃をより大きく重くする事で遠心力による破壊力を増大させた。
かつての石斧が巨大な獣を叩き割った様に、重武装の敵兵を盾ごと鎧ごと切り裂いてみせた。
そればかりか、歩兵ではとても相手にならない様な騎兵ですら馬ごとぶった切ってのけたのである。
更に破壊力を一点集中できる様に刃を丸くしたり尖らせたりし、ネックであった速度と射程をカバーする「突き」も可能にした。
突き崩しに使える様に先端をやや突出させてあり、これにより攻撃を防いだり受け流したり、シールドバッシュの様に扱う事も可能。
手槍と共にポールウェポンの始祖に当たる存在。
但し大型化に伴い投擲には不向きとなり、これを機に作業用に効率化された手斧と分かれて進化していった。
手斧・投斧(ハンドアックス)
片手で使う為の短い柄を持つ斧はしばしば手斧(ハンドアックス/ハチェット)と呼ばれる。
戦闘用に大型化していった戦斧と対照的に、手斧はより作業の効率化の為に小型軽量化されていく。
武器である戦斧とは反対の進化だが……軽量化により投擲距離が延び、効率化の為に切れ味が増して殺傷力も上がり、片手斧は「投擲武器」として進化していった。
携行しやすく元来のマルチツールとしての側面もあり、好んでサブ武器として用いる者も少なくなかった。
- ハンドアックス/ハチェット(Hand axe/Hatchet)
上記の様に小型の片手斧全般を指す。道具兼サブ武器としてどの時代のどこの国にもあったもの。
森林での進軍時に枝を払ったり家屋のドアを叩き割ったり長物が使えない屋内の戦闘で使ったり牽制で投げ付けたり…と、用途は多岐にわたる。
要するに有名な投げ斧と言えるのは下記のトマホークとフランキスカで、あとは名もない手斧が活躍していたのである。
ただトマホークの知名度が一番高いせいもあり、トマホークでも何でも無い投げ斧までトマホークの様に呼ばれつつある。
なお厳密にはハンドアックスとハチェットは別物で、戦闘用に作られた手斧をハチェットと呼ぶ事が多かった。
ハンドアックスは刃の反対側が平坦なのに対し、ハチェットは金槌の頭部が付いている。
もっとも区別してたのは中期英語圏位か。
- トマホーク(Tomahawk)
投擲用の斧としてよく知られる、北アメリカのインディアン(アメリカ先住民)が使っていた斧。
先住民の言葉で「切るための道具」を意味するトモハーケンが語源で、斧本来の「重さに任せて叩き割る」よりも、「刃で切り裂く」方に重点が置かれている。
包丁代わりは勿論、髭剃りに使う事もあった。柄の長いナイフと考えてもらえばよい。中には柄の部分がパイプになっている物も作られた。
現在でもアメリカ軍のミサイルの名称として広く知られているが、前述の通り実際は汎用的な生活刃物であり、さほど投擲には向かなかった。
(但し専用品より劣るが、切れ味を重視している為に殺傷力が高く汎用手斧としては十分な能力が有る)
ならばなぜ投擲用のイメージが強いのかというと、アメリカ先住民と白人移民との衝突の歴史においてよく利用されていたからである。
当時、侵略者であった白人移民の武器は銃。遠距離武器がせいぜい弓矢しかない先住民達が対抗するには、銃で狙えない素早い動きが必要だった。
ここで白人達が持ち込んだ馬による高速強襲戦法が脚光を浴びるが、そもそも馬を見た事さえ無かった先住民達では、乗馬中に両手を放して弓矢を撃つのは困難。
なので手綱を握りながら石槍や鉄槍や片手斧を投擲するスタイルをとるようになった。
後に西部劇映画でしばしば先住民達は「蛮族」として扱われ、襲撃シーンでトマホークを投げる姿が印象に残るようになったのである。
このようにイメージが先行しているが、先住民達も南北戦争の頃には馬を乗りこなし銃で戦う様になっている。
それに先住民だけが使っていた訳ではなく、鉄を手に入れた先住民が自前の石斧を改良後、改良したそれを白人移民が回収し更に改良。
それをまた先住民が回収して改良……と、双方で投げ合いながら改良を繰り返した代物である。性能が高まったのもこのせい。
また、先住民はかつて使っていた石斧を「トマハック」と呼んでおり、白人が持ち込んだ鉄斧は最初「トレード・アックス」と呼ばれていた。
上記の投げ合いの末に先住民が呼んでいた名に倣った「トマホーク」に名前が定着したのである。
英語で和平を結ぶ・矛を収めるという意味の言い回し「bury the hatchet(斧を埋める)」も、元々は先住民の文化からきた言葉。
これは部族間の闘争が終わり和平が結ばれた時、族長が武器を埋めていたという風習に由来する。
移民との和平を記念した式典でもトマホークを埋める儀式が行われたりした事から定着したとされる。
ちなみに逆に戦争を始める、戦闘準備をするという英語は「dig up the tomahawk(斧を掘り起こす)」である。
- フランキスカ(Francisca)
3世紀頃にヨーロッパに存在したフランク族が使用していたとされる投げ斧。
投擲用に調整された純粋な戦闘用投げ斧として有名。大体が湾曲した刃を持ち、刃の部分が小さく柄の部分が短く太い。
形状が特殊な為、逆に叩き斬るのには向いておらず、フランク族も接近戦ではもっぱら剣で戦っていた。
射程は10m前後だが、単に投げると回転し柄の方が当たってしまう可能性が高い為、間合いを取り刃が突き刺さる様に当てる技術が必要となる。
弓よりも熟練が必要で、斧のメリットである「誰でも扱えて利便性が高い」点が失われてしまっているのに、弓矢より射程が短いのでどうしようもない。
そのため「何本も持って投げまくり、防具を破壊したり衝撃で消耗させる」という戦略で使われていた。
また文献によると、フランク族は弓矢の扱いが下手すぎる為、使い慣れている斧の方を遠距離武器に最適化していったそうだ。
「熟練が必要」とは書いたが、単純に「投擲に最適化された斧」としての性能として見れば、トマホークとは比較にならないほど優秀な手斧である。
盾に当てれば破壊、鎧であっても打撲や骨折、しかも柄は折れやすくしてあり投げ返せず、着地すると変則的に跳ねて敵の足を襲う。
戦場ともなればこれが何十本も降ってくるのだから、やられる方はたまったものではない。矢とはまた違った脅威である。実際イギリスまで波及した。
だが最終的にはやはりリーチの差で弓矢に負け、その弓矢もやがて銃にその座を譲っていく事となる。
一説にはフランキスカこそフランク族の名前の由来とも言われる。
複数のフランク族をまとめフランク王国を築いた初代国王クロヴィス1世もフランキスカを用いていた様で、「ソワソンの花瓶」の逸話で知られる。
事の起こりは486年のソワソンの戦いで、教会から奪われた花瓶の返還を求められたクロヴィス王がそれを承諾し戦利品から分けようとした。*3
しかし一人の兵士が戦利品の分配はくじによるものという風習から反発し花瓶に斧を打ち下ろし、この花瓶は自分の物だと示した。
その場はスルーして花瓶を返したクロヴィス王だったが根に持っており、一年後その兵士と再会した時には
「テメエがソワソンの花瓶にしたようにな!」と自身のフランキスカで頭を叩き割り処罰したという。*4
なおこの斧をフランキスカとは限定せず、単に戦斧(手斧)とされる事も多い。
- 髭斧(ビアード・アックス/ビアデッド・アックス)
ヴァイキングが愛用していた手斧。
ヴァイキングと言えばゴツイ両手戦斧の印象が強いと思うが、実際には「色んな斧を使ってた」が正解。
戦斧としては後述の「デーンアックス」が有名で、ヴァイキング・アックスとも呼ばれるメイン武器だったが、実はヴァイキングだけでなく広く流通していたとされる。
対してこちらの通称「髭斧」はサブ武器に当たり、8~11世紀頃に使われていた。ちなみに実は最も多用していた一般的な武器は斧じゃなく槍なのはナイショだ。
刃の下端が顎髭の様に四角く突き出ており*5、この下端を登山用ピッケルや鉤の様に敵船に引っかけ、乗り込むのに用いた。
小回りが利いて動作の隙が少ない為、障害物破壊や狭い場所での戦闘、更に投げ斧としても重宝した。
盾の裏やマントの陰に隠しておいて不意打ちに使うといった戦い方も記録に見られ、ヴァイキングの恐ろしさを後押しした。
更に小型のビークド・アックス(くちばし斧)という物もあったが、全長約20cmと手回しドライバー並に小さく、乗り込み用ツールとしての側面が強い。
- マンベレ(マンベリ)
アフリカの投擲斧…というか湾曲した七支刀の様な武器。
『アフリカ投げナイフ』という名でも呼ばれており、ナイフ扱いされる事の方が多い。
金属の刃が先端部で前方で湾曲し、刃の途中からは前後に枝分かれしている。
権威の象徴として複雑化したという説も。
回転させて投げてもかなりの確率でどこかの刃が刺さる仕組み。
最近ではゴブリンスレイヤーも使っているらしい。
大型の卍手裏剣とも言え、『落第忍者乱太郎』ではカラスタケ忍者がよく似た投げ短剣を使っている。
戦斧・長柄斧(バトルアックス)
古代から斧は世界中で使われてきた為、挙げ連ねたらキリがないほど種類がある。
但し名前で種別されている物の方が珍しく、ざっくばらんに全部「バトルアックス」と呼ばれる事が多かった。
下記にはその中でも歴史的経緯や有名な物、また特徴的な斧等を挙げていく。
- 鉞(まさかり)
伐採用の和式の大型斧。金太郎の代名詞として有名だろう。
英語ではフェリングアックス(伐採斧)。ちなみに薪割り用はスプリッティングアックス、叩き割る為に分厚くて重いのが特徴。
だが鉞の形状は刃広であり、西洋式のそれとは趣きが違うので、ブロードアックスと呼ぶのが正しいのかもしれない。
有名な鉞ではあるが、日本では斧を戦闘用に特化していったのは14世紀頃からと結構遅い。
また、道具としても地域や用途に応じて形状が細かく調整され、ものすごい種類がある。
・和斧の種類(折り畳み)
- 根切り斧 … 刃が薄く刃幅が狭い。木の根を切断するための斧。
- 薪割り斧 … 刃が厚く刃幅が狭い。木材を繊維方向に割るための斧。薪割りにはこれ。
- 鉞 … 刃幅が広い。丸太を削いで角材にするための道具で、薪割りには不適。
日本で戦斧が多く使われ出したのは南北朝期からの事であり、文献では『太平記』で長山遠江守が赤松氏範との一騎討ちで大鉞を使用している。
基本的に戦場での斧は武器よりも兵站の建設、あるいは城門の破壊が主な用途だった。
小柄な日本人にとって戦斧は重過ぎ、よほどの剛の者でなければ扱えなかったのである。
そもそも日本は鍛冶の鍛錬技術が優れていた為、軽く切れ味の鋭い日本刀や薙刀、槍が主力として発展していったのもある。
しかし太刀や弓矢を通さない重騎馬武者に対し、唯一と言える必殺武器であり、馬の脚を折ったり鉄鎧の上から骨を砕いたりと、剛勇の士が扱えばこれほど恐ろしい武器は無いとされた。
先の大鉞はその頂点と言える物で、鎧騎馬武者を鎧ごと馬もろとも叩き割ったという。どこの斬馬刀だ。
戦闘用に改良され薄い金属板を柄に巻き付けて補強した「蛭巻したる斧」や斧刃にくり抜きを施し軽量化した「猪目刻みたる斧」といった物も存在する。
猪の目を模した猪目は一見只のハート型だが歴とした厄除けで、猪突猛進の意味も兼ねて武士に好まれた紋様だという。
一ノ谷の合戦の折道中の岩で斧を研いだとされ「弁慶のよきとぎ岩」の名を残した武蔵坊弁慶も「猪目刻みたる斧」の使い手。
『義経記』においても「刃八寸(約24cm)の猪の目彫りたる鉞」を得物の一つとしており、土佐坊昌俊の襲撃を返り討ちにした時には馬の胴に猪目が隠れる程刃を打ち込み、力尽くで引き倒している。
- デーンアックス/デーニッシュアックス
北欧のヴァイキングの斧として知られる。名の意味は「デーン人の斧」。長い柄の先に鋭い刃を付けた斧で、後のヨーロッパにおける戦斧の祖と言われている。
また彼らが使った斧でハルバードと似た物だったとか両刃斧だったとか言われるブリュントロールは、名前の意味が「鎧の敵」であり、その攻撃力の高さが窺える。
この様な長柄斧はやはり扱いが難しかったのか、歴戦のエリート戦士向けだったと考えられている。
新兵や雑兵は伐採用の斧を使っていたが、後にそれを少し改良した「ブロード・アックス」が主に用いられる様になる。また手斧として上述の髭斧も用いている。
永く恐怖の対象だったヴァイキングも「ヴァイキングの時代最後の戦い」と評されるスタンフォード・ブリッジの戦いでの敗戦を機にやがて歴史から消えていく。
が、この戦いにおいても「スタンフォード・ブリッジの四十人斬り伝説」なんてものが残されている。
味方が陣形を組む時間を稼ぐ為、斧を手にした一人の名も無きヴァイキングが橋上でイングランド軍に立ちはだかり、上流から樽を舟代わりに近づいて橋の下から強襲。
橋諸共槍で突くという奇策で彼を討ち果たした時には英軍兵の亡骸は四十を数えたという、ヴァイキングの戦闘力の高さを伝えるエピソードである。
研究によればヴァイキングの文化では斧が道具や武器として広く普及していたのに対し、使う金属の多い剣は権威の象徴として特別視されていたという。
とはいえ斧が見下されていた訳ではないと思われる。
権威もつ王と斧の組み合わせとしては「ノルウェーの永遠の王」と称され、ノルウェー国章に描かれた「斧持つ獅子」が表すとされるオーラヴ2世(オーラヴ聖王)は斧を象徴とするし、
その息子マグヌス1世(マグヌス善王)がラスコフ・ヒースの戦いで振るった斧「ヘル」は父である聖オーラヴから受け継いだ冥府の女王の名を冠した斧である。
即位前の逸話になるがオーラヴ2世の弟であり後の苛烈王となるハーラル3世はビザンツ帝国客将時代に数多く成した要塞都市攻略の武勇伝の一つとして、
自らの死を偽装して棺に入り、葬儀の為都市内部に運び込ませた所で斧を手に飛び出して暴れ回り、門から友軍を引き込んで陥落させたというものがある。
また血斧王の威名を持つエイリーク1世は即位時に政敵となる兄弟達を斧で殺した事から「Bloðox(血の斧)」の名で呼ばれた。
斧が王からの贈り物とされた例もある。
『エギルのサガ』ではエイリーク血斧王から豪華な装飾を施された斧「コヌングスナウト」(King's giftの意)を賜った。
しかし牛の屠殺に使ったまま置いてたら錆びてしまったので売り払ったと言う顛末が語られている。
サガにおける斧の名前アレコレ
アイスランドに入植した人々が当時の出来事の記録として伝えたサガの数々はヴァイキングの文化を知る上で貴重な資料であるが、その中には名有りの剣や槍と同様に固有名のある斧が多数登場する。
中には「ストゥルラの家に押し入った強盗は斧のヒミンテルギャとスナガ、金がはめ込まれた槍二つ、宝石に指輪を取っていった」
みたいな形で名前が残っている物もあったりして名有りとはいえ特に活躍していなかったり、魔法の力を持った斧も見当たらなかったりして、
伝説の斧とはいえリアル寄りな、名斧や宝斧、業物といった趣になるかと思われる。
多く見られる命名パターンとして貰い物系は○○snautr(スナウト)という名前が多いが
王様(コヌング)から貰った→コヌングスナウト
首長(ヤール)から貰った→ヤルルスナウト
ステインさんから貰った→ステインスナウト
巨人(リシ)から奪った→リサナウト
等そのまんまな為、剣や槍など別物とたまに名前が被っていたりする。
他に関しても意味の英訳が広まっているもの等は合わせて見てみるとイメージが掴みやすいかもしれない。古ノルド語の響きも格好良いので幾つか挙げてみたい。
(発音はグーグル先生任せなので怪しいものだが)
- Himintelgja (ヒミンテルギャ?):”heaven-scraper" 『ストゥルルンガ・サガ』
- Snaga(スナガ?):”hook" 『ストゥルルンガ・サガ』
- Sveðja(スヴェジャ?) :”glancer"『ストゥルルンガ・サガ』
- Stjarna (スチャルナ?):”star" 『ストゥルルンガ・サガ』
- Svartleggja(スヴァルトレッギャ?) :”black-legs/black-hafted" 『ストゥルルンガ・サガ』
- Tjaldsperra(チャルドスペッラ?):”tent-spar"『ストゥルルンガ・サガ』
- Jarlabani(ヤルラバニ?):”jarl's bane/jarl's death"『ストゥルルンガ・サガ』
- Rimmugýgr(リッムギューグ? リッムギュグル?):”battle-hag"『ニャルズのサガ』(※ギューグまたはギュグルは北欧神話における女巨人。霜の巨人と呼ばれるヨトゥンのうち男がヨトゥンで女がギュグルとされる)
- Droplaugar(ドロプラウグ? ドロプロイグ?) :”drip-water"『ストゥルルンガ・サガ』(※『ドロプラウグの息子たちのサガ』のヘルギとグリム兄弟の母親等、人名としても見られる)
- Arghyrna(アーギルナ? アルグヒルナ?):”weak-horn" 『詩語法』※
※詩語法原文及び英訳だとこう
Öx.
52.
Öx, jarðhyrna
ok járnsparða,
skjáfa ok skeggja,*6
skráma ok genja,
reginspönn, gnepja,
gýgr ok fála,
snaga ok búlda,
barða ok vígglöð,
þveita ok þenja,
þá er arghyrna,
hon er efzt talið
öxar heita.
これはスノッリさんが詩作技法の一つヘイティ(言い換え)のリストを纏めてくれたうち斧の項目になるが、意味を拾っていくと
斧だと大地の角と鉄の刃、
削るものと髭*7、
切るものと割るもの、
力の間合い、聳えるもの、
女巨人と恐怖、
棘と膨らみ、
髭*8と戦の誉、
刻むものと広げるもの、
それから軟らかい角、
これなんか斧の名前として最高だよね。
となるのでアーギルナという斧が実在したかは定かではない。(人名としては確認でき『エイステインの子、ハーフダンのサガ』でハーフダンを治療した老夫婦の妻が同名)
女性の名前が多い様に見受けられるがこれも彼らの命名パターンとして見られるもので、斧に女巨人のイメージを仮託したり女神や戦乙女の名を付けるのは一般的だった様だ。
前述の「ヘル」(女神)も含めて「スカジ」(女神)、「フロック」(戦乙女)、「ランドグリーズ」(戦乙女)、「サクサ」(女巨人ヤールンサクサを指すと考えられる。サクサ自体は短剣saxの女性形)
等の名前が記録に残されている。斧を指すケニングとしても女巨人グリーズに由来する「グリーズの兜」等。
また戦乙女姉妹の一柱スケッギョルドは名前の意味が「斧の時代」という事で、ちょくちょくゲーム等の斧の名前に採用されている子である。
- ハルバード
14世紀のヨーロッパにて登場する、戦斧と槍と鉤を合体させた武器。
非常に長く重いが、斬る、突く、叩く等様々な使い方が可能。
ポールウェポンの中でも最も洗練された代表格だが、取り回しには熟練の技術が必須とされ難易度が高い。
構造としては、斧頭全体を一枚板で加工した「スイス式」と、各パーツを独立して錬成し溶接した「ドイツ式」の二種がある。
ちなみに日本の薙刀も「ジャパニーズハルバード」と呼ばれているが、薙刀はどちらかと言えば槍(グレイブ)の部類。
他にも似た様な武器に、フランスのベク・ド・コルバンがある。こちらは槍とピッケルがメイン。
物によってはピッケルの逆部が斧状の場合もあるが、バトルアックスではなくウォーピックやウォーハンマーに分類される物だろう。
この時期の戦争風景を描いた絵画等でも長柄の戦斧を持った兵士等もよく描かれているが、名前が残っている様な面々も勿論存在する。
中世ヨーロッパにおける戦斧使いアレコレ
- 1141年、イングランド王スティーブンはリンカーンの戦いでデーンアックスを手に戦い、斧が折れれば剣で(逆に剣が折れたので斧で、とも言われる)と伝えられるほど奮戦したが兜に受けた攻撃で気絶し、マチルダ女帝の軍に捕らえられた。
- 1192年、イングランド王リチャード1世(獅子心王)はヤッファの戦いの折、船が上陸するより先にデーンアックスと盾を手に海に飛び込み、群がってくる敵兵と戦い始めた。
彼の死後もサラセン人方で恐れられた伝説によれば、獅子心王の斧はイングランドの鉄20ポンド(約9kg)で斧頭をなしていたという。 - 同じく第三回十字軍に参加したクルセイダーの一人にして、婚姻によってエルサレム王となったギィ・ド・リュジニャンとは実の兄弟に当たるジョフロワ・ド・リュジニャンも戦斧の使い手として知られ、
橋を抑えられて友軍が分断された折5人の騎士を伴った突撃で30人を殺して道を拓く。敵を見てとるや斧を手に単騎突撃して10人殺し、それ以上の捕虜をとる。等の武勇伝を持つ。 - 1263年、「戦斧のギリアン」ことスコットランドのギリアン・ナ・ツァーグはラーグスの戦いでロッコバー・アックスを振るってヴァイキングと戦い、王や将軍の目に止まった事で領地と紋章を授けられマクリーン氏族の祖となった。
- 1314年、スコットランド王ロバート・ブルースはバノックバーンの戦いでイングランド軍のヘンリー・ド・ブーンと馬上一騎打ちを行い、突き出された槍を躱して手斧を打ち込み、これに勝利した。
- 1356年、フランス王ジャン2世はポワティエの戦いの折、捕虜目的で狙われるのを撹乱する為に十七人の騎士に自分と同じ格好をさせ自らも戦斧を振るい戦った。そして捕まった。
- そのジャン2世の馬の頭を一撃で切り落とした「戦斧のホーウェル」ことウェールズのホーウェリー・フウィオール(ホーウェル・アプ・グリフィズ)はその功績によりエドワード黒太子より騎士の叙任を受けた。
黒太子が指示したとされるホーウェリーのポールアックスの前にはいつも肉を一皿捧げておく様にという習慣は後のエリザベス女王の治世でも確認されていたという。 - 1388年、スコットランドの第二代ダグラス伯ジェームズ・ダグラスはオッターバーンの戦いでヘンリー・パーシー率いるイングランド軍に夜襲を受けるが戦斧を手に率先して戦う事で味方を奮起させ、夜襲を退け敵指揮官を捕虜にする戦果を挙げる。
しかしジェームズは実は乱戦の中で肩・腹・腿に槍を受けており、自分の死で戦局を傾けないため敵味方に悟られないよう言付けて命を落としていた。遺言は実行され、彼が生きて戦い続けているかの様にその旗は掲げられ続け、ウォークライは上げられ続けた。
夜が明けその死が広まると、スコットランド軍からはこの勝利は死んだジェームズ・ダグラスが戦い続けてくれたおかげだと称されたという。 - 1415年、フランスのアランソン公ジャン1世はアジャンクールの戦いにおいてフランス軍劣勢の戦況の中ヨーク公エドワード・オブ・ノリッジを討ち、イングランド王ヘンリー5世にも肉薄する。しかしその戦斧の一撃は「黒太子のルビー」ことレッドスピネルを嵌めたヘンリー王の冠を割ったものの命を奪うには至らず、近衛兵の反撃によりアランソン公は命を落とした。
- 1424年、イングランドのベッドフォード公ジョン・オブ・ランカスターはヴェルヌイユの戦いにおいてフランス軍の接近を許し混戦となったため総大将自ら戦斧をとって戦った。
その戦いぶりは熟練したものであり、「その刃が沈む先には高価な鎧も薄い缶の様に割り開かれ、下の体ごと切り刻まれた」と伝えられている。 - 1443年、スイスのチューリッヒ市長ルドルフ・シュトゥスはジール川沿いのザンクト・ヤーコプの戦いで敗走するチューリッヒ軍を援護する為、甲冑と長柄のブロードアックスで武装して橋上で同盟者軍を迎え撃つが、橋の下に隠れていた敵兵に討たれて命を落とす。
彼の最期には異説もあり、そちらは撤退するチューリッヒ軍を押し留めようと斧を振り回していたら「諸悪の根源はお前じゃねえか、天罰を受けろ」とチューリッヒ兵によって槍で貫かれたというもの。
元々ルドルフがチューリッヒの勢力拡大を狙ってトッゲンブルグ伯の遺領に手を出したのが古チューリッヒ戦争を招いたので、その批判だと思われる。 - 1485年、イングランド王リチャード3世はボズワースの戦いで裏切りにより戦死するが、最後の得物としたのは戦斧だったと伝えられる。
- リチャード3世が湿地で落馬した所を取り囲み、ポールアックスで仕留めたとされるウェールズの大地主リース・アプ・トマスは先祖は円卓の騎士の一員であったユリエンス王に連なると言われる人物で、
ボズワースの功績で騎士の叙勲を受けてウェールズ総督となり、後にガーター騎士団の一員にも列せられている。
他に英語版wikipediaによれば百年戦争期のフランス司令官ベルトラン・デュ・ゲクランやオリヴィエ・ド・クリッソンにも戦場で斧を振るっていたという記録があるそうな。
ただ斧に関する逸話としてはオリヴィエの母ジャンヌ・ド・ベルヴィル(ジャンヌ・ド・クリッソン)も強烈で、妖精の如き美貌と謳われていたジャンヌ夫人は夫がイングランドへの内通の嫌疑で処刑されてしまう。
城壁に晒されたその打ち首を見てフランスへの復讐を誓い「復讐の女神」「ブルターニュの雌獅子」と恐れられる女海賊となったジャンヌは貴族を捕えると自ら斧を振り下ろし首を刎ねていたという。
ヨーロッパ以外だとロシアのヤロスラヴリの伝承では「賢公」ことヤロスラフ1世がこの地を訪れた時、現地に住んでいた聖なる熊を崇める一団と遭遇。
彼らは守護獣として育てていた雌熊にヤロスラフを襲わせたが、戦斧によって返り討ちにされたという。
後に興されたヤロスラヴリの街ではこの逸話にちなんで、ハルバードを担いだ熊がシンボルとして愛されている。
- バルディッシュ
西ヨーロッパではハルバードが有名だが、東ヨーロッパからロシアではこちらが広まっている。
全長150cm以下と長柄斧の中では短めで、それに対して全長約60cmという、実に全体の2/5を占める巨大な刃が特徴的な片刃斧。
その形状から三日月斧、半月斧等と呼ばれる事もある。作られた初めの頃は突きもできる少し刃渡りが広い程度だったのだが…。
威力と確実な殺傷性を求め、最終的には60cmも超えていく。あまりに大きな刃の為、複数個所で固定されているのが特徴。
多彩な機能を統合し熟練の技術で華麗に戦うのがハルバードなら、バルディッシュは斧本来の長所を伸ばし威力に全振りした破壊斧と言える。
その威力は人間を容易く両断出来る程で、人道的理由でローマ教皇庁に使用を禁止されたとさえ言われている。
後年では刃渡りを更に伸ばし、100cm近いナタ状の刃をガッチリ留め、大剣と斧の中間の様な物も出ていた。
こちらは刃の峰側の柄を掴む事で、ポールウェポンの弱点である接近戦闘の間合いでも戦える等、意外とトリッキー。
直撃すれば盾を構えたフルプレートアーマーでさえ無事では済まないという。
その恐ろしさから「処刑斧」の異名を持ち、16世紀頃のロシアでは銃兵の主装備として用いられていた。
(但しもっぱら重いマスケット銃の銃身を支える銃架(カメラでいう三脚)として活用されていたという)
- 方天戟(ほうてんげき)
ハルバードに似た中国の武器。戈と矛をミックスした戟に、更に斧を混ぜた物。
そこから呂布の武器である方天画戟へ発展していった。
槍の様な刃の両側に左右対称に「月牙」と呼ばれる三日月状の刃が付いている。月牙が片方にのみ付いている物は青龍戟、戟刀と呼ばれる。
- 斧、鉞
中国の神話では武器の開発者である軍神蚩尤が他の武器と共に斧を作ったとされており、 古くから現代に至るまで、斧と鉞は十八般兵器の内二角を占めている。
この十八般兵器の分類としては斧は短柄の物・鉞は長柄の物を指して区別しているが、常にそうした分類という訳ではない。
中国における戦斧アレコレ
- 板斧
板状の刃を持つ一般的な斧。大板斧と呼ばれる長柄の物もあるが、単に板斧と言えば普通は片手サイズの物を指す。
中国武術の器械としては両手斧1つか片手斧2つを用いる為、板斧は二丁持ちの双板斧(雙板斧)として用いられる事になる。
『水滸伝』に登場する“黒旋風”李逵は特にこのスタイルの二丁板斧使いとして有名。
因みに三板斧というのもあるがこちらは別名馬戦斧(马战斧)と呼ばれる古代の大斧。刃の広さが五寸(約16cm)で柄は七尺(約2m)程度らしい。
こちらに関しては「程咬金三板斧」と言われる様に『隋唐演義』等に登場する “混世魔王”程咬金の武器とされる事も多い。
ただ程咬金の武器としては八卦宣花斧という物も有名で、更に言えば程咬金三板斧には彼の使った三種の絶招を指す意味合いも含む。
伝説によれば唐代の武将程咬金(程知節)は夢の中で仙人と出会い斧を使った型を数多く教えてもらったが、起きた時には「劈脑袋」「鬼剔牙」「掏耳朵」の三種しか覚えていなかったと言う。
ここから生まれた古事成語として「採る方法がワンパターンで通用する相手には嵩に掛かれるがしない相手には遅れをとる人」と言った意味合いでも使われる。
- 大斧
言ってしまえば大きい斧だが、種別としては特に金国の重装騎兵に対抗して発展した南宋の物を指す事が多い。
「上砍騎兵,下砍馬蹄(上は騎兵をぶった切り、下は馬の脚をぶった切る)」と評された大斧の威力は金国にとって脅威であり、金の王子であり将軍でもあった斡啜(金兀朮、完顔宗弼とも)は「宗軍の装備のうち優れた物は第一に神臂弓、第二に大斧、他は恐れるところなし」という言葉を残している。
宗代に纏められた『武経総要(武經總要)』では大斧に類する開山斧(开山斧)、静燕斧、日華斧(日华斧)、無敵斧(无敌斧)、長柯斧(长柯斧)等の名も挙げられているが、名前が違うだけで形は同じ様な物とも書かれている。
- 開山斧
中国の伝説においては山を割る斧、即ち開山斧が度々登場するが、戦斧としての開山斧はおそらくそれにあやかって名付けられた長柄の物。
名高い品としては金兀朮の金雀開山斧(作品によっては螭尾鳳頭金雀斧や、単に金雀斧とも)や、『三国志』における魏将・徐晃の金背開山斧など。
また戦斧以外でもアウトドア用の手斧をこの名で呼んだりもする模様。
- 長柯斧、大柯斧
柯は斧の柄を指す字で、即ち長柄斧の事。大柯も同様の意味合いだがこちらは兵法書『六韜』の中で語られている。
武王姫発に王者の軍について問われた太公望が軍の装備を挙げていく中で刃が八寸(約26cm)で重さ八斤(約4kg)、柄が五尺(約1.6m)以上の大柯斧を1200個、これを「天鉞」という名とする事を語っている。(この場合の天の字は天子の軍である旨を指しているのだろう)
- 鳳頭斧(凤头斧)、峨嵋斧
どちらも刃の反対が嘴の様に突き出ている斧。元々は坑道等で使われていた工具が戦斧に転用されたのだという。
鳳頭斧の方は背の突起をまさしく嘴として鳳の頭部を模した装飾が施されている。
峨嵋斧の方は蛾眉とも書く様に蛾の触覚の様な装飾がされた物も一部ではある様だが、多分なくてもいい。
一応『武経総要』では鳳頭斧は柄が二尺五寸(約70cm)程度で峨嵋斧は三尺(約1m)程度と書いているが、鳳頭斧が大斧の一種と紹介されたりもするので、実際の所は長さでの区別ではなく、鳳の装飾があるかないかという話なだけな気もする。
- 魚尾斧(鱼尾斧)
斧頭に装飾を施し魚を象った物。
魚の口の側から斧刃が飛び出し、背の側に突き出た魚尾が打撃に使えたり引っ掛けたりできる形状の物もあれば、逆に斧刃の方が魚の尾びれの様な形になった物でも魚尾斧の名で呼ばれたりする様だ。
- 剉子斧
通常上下に広がる斧刃の両端が柄の左右に広がる様な斧頭の形状をした守城兵器。剉手斧とも。
城壁に掛けられた梯子や登ってくる敵兵を叩き落とす為に壁の上から振るわれた。
- 錨斧(锚斧)、鎌斧(镰斧)
モンゴルの兵が入ってきた元の時代に使われていた戦斧。
錨斧は錨を横にして取り付けた様な斧で、鎌斧は斧刃の反対側が鎌刃となっている。
- 車輪斧(车轮斧)
両側の刃の外縁が合わせて円形となる両刃斧。柄の先端は突き出している。
使い手としては『楊家将演義』に登場する楊五郎こと五男延徳が有名で、彼は出家した際斧刃を取り外して棍とし、五郎八卦棍の開祖となったという。また後に下山して楊家に助力した際、遼国の天門陣を破る為に斧の柄として降竜木という霊木を求める一幕もある。
また『封神演義』に登場する崇黑虎が両手に持つ板斧も車輪に似ていたという事なので、これも車輪斧と言っていいかもしれない。
- 宣花斧
宣花は散花に通じるという事なので、おそらく原義としては花を散りばめた様な装飾が施された斧。
その為か『武経総要』でも宣花斧の特徴は刃の面積が広い事だとされている。また、刃の両端が他よりも突き出ているらしい。
使い手としては『西遊記』では花果山に攻めてきた天界の将の一員である巨霊神や観音菩薩の騎獣が変じた賽太歳が持っていたり、講談等で創作された人物とされる戦国時代の斉の武将・袁達の武器ともされている。
また唐の程咬金の武器も宣花大斧や八卦宣花斧として知られている。これ等は字面を見た感じ八卦図の装飾が施されていたのだろうか。
- 金蘸斧
程度は不明だが金色の着色を特徴とする斧。蘸は浸すや付着させるという意味とされる。『水滸伝』においては“急先鋒”索超の振るう大斧として有名。
また禁軍側でも周昴が斉の袁達の物という触れ込みの金蘸斧を振るっており、銘として袁達が燕将・石丙を生け捕りにした武勇に因む「赛石丙」(石丙を凌ぐの意)が用いられたりしている。
- 偃月斧
偃月(半月)状の刃を持つ長柄戦斧。『水滸伝』中において、開山斧や宣花斧とともに軍の装備として名前が挙げられるシーンがある。
他にも斧刃を月に例えた物として月牙斧があり、「斧劈華山(斧劈华山)」で知られる劉沈香の開山斧も月牙鐡斧と呼ばれる事もある。
- ブージ
インドの戦斧。先端が両刃で縦長の刃を薙刀の様に柄に付けた物。
刃の付け根に象の頭をかたどった装飾がよく見られる事から、エレファントナイフとも呼ばれる。
縦長の斧頭は非常に重く、振り下ろしで打ち切る事を目的としている。柄にはナイフが収納されており主に日常生活に使われる。
今で言う軍用スコップの様なマルチツールの先駆けで、主に騎兵の指揮官によって使われ、細かな装飾等から指揮官の身分証としても機能した。
なおインドには他にもタバル(タバール)という戦斧があり、こちらは斧頭が半月形の一般的な斧である。
- パラシュ
こちらは古代インドにおける戦斧の総称。別名ファルシャともされる。
そもそもサンスクリット語におけるपरशु(parashu)が戦斧を指す単語なので大きさや形状は様々。
両刃斧だったり反対がスパイクになった片刃斧だったりするし、多くは1~1.5mだが長い物は2mあったりもする。
主に神話で語られる武器で、特にシヴァ神がヴィシュヌ神第6のアバターであるパラシュラーマ(斧を持つラーマの意)に与えたパラシュは象徴として名高く、日本の創作でパラシュの名が出る時は大体これを指す程。
ちなみにWikipediaによればこのパラシュの固有名はविद्युदभि(Vidyudabhi)との事。ヴィデューダビー?
パラシュラーマは最後この斧をガネーシャ神の牙を折ったお詫びに献上したとも、戦いに倦んで海に投げ入れた所、陸地が隆起して現在のインド南西部・ケーララ州が生まれたとも言われている。
なおケーララ州の開闢神話では異説としてパラシュラーマが水神ヴァルナと地母神ブーミデヴィから剣一振り分の土地を約束された際、ゴカルナからおよそ750km先のカンニヤークマリまで斧を投げ、間の土地が海から切り離されてケーララの大地が生まれたというものもある。
以上のシヴァ・パラシュラーマのパラシュが特に有名だが他にもパラシュ持ちとしてガネーシャ神やアグニ神、ドゥルガー女神といった神々が挙げられる。
勿論人間の中にもパラシュを振るった者はいて、パーンダヴァ五兄弟の五男サハデーヴァは優れた剣士であると同時に斧も同等に修めており、仇敵シャクニを討ったのもパラシュであったとされる。
- サガリス
古代スキタイやサカの民に使われた戦斧。
また彼らの女戦士がモデルとなったとも考えられているギリシャ神話のアマゾネスの武器としても登場する。
神話内では両刃斧とされる事も多いが片刃で反対側がピックになった物や斧ではなくハンマーだった物もあったようだ。
スキタイの祖をギリシャ神話のヘラクレスとも同一視されるタルギタオスとする伝説でも登場。
彼の息子の三兄弟が野にある時、天から黄金の両刃斧・盃・鋤と軛という四つの神器(牛に付ける鋤と軛はセットなので三種と数える場合も)が降ってきたという。
長男と次男が手に取ろうとしても炎を噴き上げて拒んだ神器は三男コラクサイスのみが手に出来た為、天より王権をもたらされた王として認められた。
文化的に考えてこの斧はおそらくサガリスであり、武力の象徴と考えられている。(他は盃が祭礼、鋤が農耕の象徴)
その他の斧
その他にも戦斧は各地に存在する。
- ビペンニス
新石器時代から古代全般にかけて用いられた両刃斧の総称。
厳密な定義はないが、柄の上方に木の束を巻いたり、斧頭を大きくしたりと、とにかく重量を嵩ませる工夫がされていた。
- イプシロン・アックス
ギリシア文字のε(イプシロン)に似た形状の斧刃を持った片刃斧。古代エジプトで使われた。
この名は後世で付けられたもので、古代オリエント世界の戦斧はまとめて「アクゥー(Aque)」と呼ばれる事もある。
- タバルジン
古代ペルシアや古代インドの伝統的な戦斧。時に"saddle-hatchet"(鞍斧)と訳される。タバールやチャクマクとも呼ぶ。
イスラム世界においてはアブー・ムスリムやナーディル・シャー、オスマン帝国のトゥルグト・アルプといった優れた将や戦士の得物として知られる。
その他、修行僧の一派ダルヴィーシュらが遍歴の旅に携え、彼らの象徴の一つとされている。
- ザグナル
インドに伝わる戦闘用のピック。先端部に設けられたツルハシ部分の反対側が戦斧や戦鎚となっている物も存在する。
- セルティス
古代ローマ時代にイタリアに住んでいたエトルリア人が用いたL字状の形状が特徴的な斧。本来は建築用だった。
斧刃の切刃が柄と垂直真一文字になっており、横薙ぎに振るって相手の喉元をかき斬るという使われ方をした。
- ビークド・アックス
全長約20cmと非常に小型の片刃斧。詳細は上述の「髭斧」を参照。
- ブロード・アックス
伐採用の斧を改良した幅広斧。全長は1.5~2mで斧頭の長さは30~45cm。両手用の片刃斧でヴァイキング愛用品。
その破壊力は高く、当時の主な鎧である鎖帷子(チェーンメイル)を一撃で斬り裂く威力を持っていた。
剣や盾でも防ぎきれず、ヴァイキングの恐怖をヨーロッパに知らしめた。
- グレート・アックス
両手用大斧。
簡単に言えば「馬鹿でかい両刃斧」の総称。刃をやや小さくし取り回しを楽にした物はダブルヘッドアックスとも言う。
ファンタジー系に出てくる様な斧頭だけで1mはありそうな両刃斧は実在しないが、「普通よりデカい戦斧」はこう呼ぶ事があった。
ただ実戦用というよりは祭事や宮廷の衛兵が持つ権威の象徴的な物で、見る者を畏怖させる為に処刑等にも用いられた。
- クレセント・アックス
刃渡り60~80cmある巨大な三日月(クレセント)状の斧刃が取り付けられた戦斧。14世紀頃のイタリア斧。
バルディッシュの異名としても呼ばれるが、実際はクレセントは通常の斧同様一カ所で固定されている違いがある。
- ジャッドバラ・アックス
名前は「ジャッド湖畔の町の斧」という意味。長い柄に斧刃と鈎爪を持った戦斧。大英帝国騎兵と戦う為に用いられた。
刃の逆側に簡易フックがついた薙刀の様な形状で、火器が登場した後も農民出の雑兵がこれで帝国を苦しめた。
- ロッコバー・アックス
スコットランドのハイランダーと呼ばれる高地人が使った幅広く薄い刃を持つ長柄斧。
フロックと呼ばれる鈎爪を持ち、馬上の相手を引き落とす為に使う。ジャッドバラ・アックスと共に大英帝国を苦しめた。
しかし双方とも帝国に吸収された際に姿を消す。
- フットマンズ・アックス
ドイツ式ハルバードの廉価量産型。斧+つるはし+槍。
名前の意味が「歩兵用の斧」な為、斧の様な長柄武器の総称でも用いられるのでややこしい。
イギリスでも同時期に同名の武器が存在するが、形状が異なる。
- アーチャーズ・アックス
中世の弓兵に用いられた戦斧兼工具。
接近された時のサブウェポンであると同時に接近を阻む陣地作りに役立てられた。
まず丸太を切り出すと下側を尖らせて杭とし、斧刃の反対側をハンマーとして地面に打ち込む。
最後に上側も削って尖らせると言う手順を一本でこなせる優れ物。これを並べて取り付き難い防御柵を作っていく事が出来た。
- ポール・アックス
鈎爪・金槌・斧刃と鋭い切先を持ち、柄に円形の鍔まであるよくばり全部乗せハルバード。
構造が複雑化したせいで生産コストが馬鹿高くなり、しかもハルバードより重くなったので宮廷の精鋭部隊でしか扱えなかった。
- イシゼンゼ(Isizenze)
ズールー族が用いた片刃戦斧。棍棒の様な柄と突きも出来るよう上に突き出た刃を持つ。
武器としての用途の他、戦闘前にこの斧で雄牛を犠牲に捧げ神々や祖霊の加護を得る儀式にも用いられた。
- ガノ
後世になる程コストが嵩む進化をしたハルバード系統とは真逆に、徹底的にコストダウンさせた戦斧。
金属を節約する為に先端が丸まった棍棒に三日月型の斧刃が打ち付けられただけの簡素な作り。
レソトとボツワナ辺りに棲むソト族の王モシュシュ一世が上のイシゼンゼを参考に作ったとされ19世紀まで使われていた。
- チュイロバァー
アフリカ製ハルバードの様な物。先端が槍状に突出しており突きが可能な他、引っ掛けたり打撃にも使える。
- ビリオン
マレーシアはボルネオ島のサラワク州に見られる超マイナー戦斧。四角い斧頭をL字型の弾力のある柄に打ち込んだ物。
- カリンガ
フィリピン出身の手斧。その名は現地の言葉で「首刈り」を意味する。欧米では「ヘッドアックス」という。
- ンザッパザップ(Nzappa zap)
コンゴに伝わる手斧。金属刃と棍棒の様な形状の木製の柄を持ち、柄はしばしば銅や青銅、黄銅でコーティングされた物が見られる。
接近戦だけでなく投げ斧としても用いられ、刃の装飾によって持ち主の権威の象徴としても扱われるという。
- モール
戦斧…じゃなく薪割り用の斧のこと。木の繊維を縦に割り裂く為に刃が厚く楔状。
ハンマーにもモールと呼ばれるタイプがある為、区別してスプリッティングモールとも呼ばれる。
象徴としての斧
上記の通り、斧は狩猟や伐採といった日常生活から祭祀・司法等の文化的活動、そして闘争・戦争と人間のあらゆる活動に必要不可欠な道具として用いられた。
結果、斧にはその存在自体に新たな意味づけがなされるに至るのである。
斧はまず狩猟・伐採の為の道具であった。言い換えれば自然と戦う為の道具だった。
当時の人々にとって狩猟も伐採も単に日常生活での生産活動にとどまる物ではなかった。
大きな獲物と戦う為の狩猟は勿論の事、当時の人達にとって伐採とは森、そして山との戦いであった。
古代の原生林は中に入れば欝蒼と茂った枝葉が人の足を止め視界を遮り、葉擦れの音が耳をも塞ぐ。
そして獰猛な獣達が藪の中にも枝葉の中にも、つまりは上にも下にもどこにでも潜む魔性の闇である。
なので木々を切り倒し獣を打ち倒して森の闇を光の差す開けた土地へと切り拓いていく作業はまさに魔物と人との戦いであった。
また斧はしばしば雷と関連付けられた。
雷は閃光と轟音をともない真上から一閃し大木を打ち割って炎と変えた。
斧も同じ様に鋼の閃きと高らかな音とともに木を唐竹割りに両断し焚き木、すなわち火をもたらす。
また古代においては火打石の斧が時に放つ火花と天空の稲光とが同種の物と考えられていたという説もある。
山や森の闇を打ち払い火をもたらすこの二つが関連付けられたのは自然な事であったのだろう。
そのため斧は闇を打ち払い魔物を倒し光をもたらす神聖な道具とされ、各地の信仰で祭事に用いられた。
そして更にそれをもう一つ進めて神の武器として神話や伝承で扱われる様になったのである。
雷神はどの時代どの地域の神話でも例外なく高位のものとして扱われ、そしてしばしばその手に斧を携えている。
また雷が落ちた後に斧が残されていた、という伝承も存在する。
雷の一撃は堅牢な巨岩をも両断せしめる。雷によって断ち割られた岩の破片は、人の手では作りえない鋭利な刃となったのかもしれない。
そして前述した通り、斧は屠殺・処刑においてもしばしば用いられてきた。
家畜やいけにえの獣、罪人達に速やかな死を与える斧を手にする事は彼らの生殺与奪をその手に握る事であった。
日々の糧を得る為、神に感謝をささげ慈悲を乞う為、法の下に罪を裁く為。
そういった厳粛な場で使用されてきた斧はそのまま権力・司法の象徴となったのである。
これは権力や司法が神の手を離れたのちになってからも定着し続け、権力者と斧を関連付ける多くのエピソードが近代になってからも語り継がれている。
信仰・祭事と斧
神社によっては式年遷宮や斧始式において料木に忌斧を打ち込む儀式が行われる。
また日本式の進水式では支綱切断に専用の進水斧が使われる。
縁起物である銀の斧に神の加護を表す三本線と四本線を入れた物で、現在ではそれぞれ三貴子と四天王を指すというのが定説になっている。
伐採斧にも伝統的に刃の片側に三本線、逆側に四本線が入った物が多いが、これは危険に対して三(身)を四(避)けるという厄除け説、
三気は御酒を表し、四気は四大の気によって育つ植物を表し、伐採する木に対して酒と五穀を供える儀式を簡略化した物という説がある。
斧を「よき」と呼ぶのもここから来ているんだとか。
修験道においては入峰修行の際に入峰斧が使われる。
元は枝を打つ、下草を払う、杖として突くなど実用面が大きかった。
障害を打ち払うという性質から魔性をも祓う力があると考えられる様になり、祭器としての役割も持つ様になった。
修験道の開祖役小角に仕えた前鬼・後鬼の二体の鬼神のうち役行者の前方に立つ前鬼が斧を持った姿で描かれるのも、一行の道を切り開くという役割からである。
チベット密教における法具の一つカルタリ(金剛斧や宝斧、曲刀等と訳される)は大黒天の持ち物ともされており、悪縁や煩悩、魔や厄を絶つ力を持つと言われる。
ヒンドゥー教の象頭の神ガネーシャが持つ斧は物質的執着を断つとして信仰される。
キリスト教の聖人には斧を象徴とする者も何名か存在する。
これはそもそも宗教画では文字が読めなくても描かれている人物がわかるよう絵の中に象徴物というそれぞれのアイテムを配置する為、聖人達には何がしかの象徴が設定されるのだが、
聖オーラヴや聖ヘルメネギルド*9、聖ボニファティウスといった斧を武器や道具として使った場合のほか、襲撃や処刑に斧が使われて殺された場合でも殉教の道具として神聖視されてその聖人の象徴物として設定される為である。
他の場合としては、聖ヴォルフガングの象徴物としての斧は彼がザルツブルグに教会を建てる際、神の思し召す場所に建てようと斧を投げて場所を決めた逸話から、
洗礼者ヨハネの「斧を添えた切株」は説法における喩えが彼の象徴の一つとなったものである。
曰く洗礼を受けようとする人の列に向かって
「形だけ洗礼を受けてもダメ、お前達は腐ったミカン根元に斧が添えられた木みたいなもんだ。良い実を付けない木は切り倒されて燃やされるんだからな!」と心から悔い改めるよう説いたんだとか。
またフン族の矢で殺された聖ウルスラは斧を象徴物とする訳ではないのだが、巡礼中の彼女と一万一千人の乙女の命を奪ったフン族の襲撃で使われた斧の一つはロンドンのセント・メリー教会にて聖遺物として保管され、セント・メリー・アクス教会の名の由来となったと言われる。
教会は現存していないが、セント・メリー・アクス通りという通りの名前に面影を残している。
フィンランドの宣教師であったヘンリー司教も農民ラッリに斧で殺されたとされるが、これに付随して近隣では病人が回復した等の奇跡が起こったとされており、殺したラッリも奪った司教帽や指輪が外れなくなって皮ごと剥げたり、鼠に追い立てられて木に登ったら根本が齧られて倒れたため湖で溺死したりと報いを受けている。
ちなみに元はと言えばヘンリー司教が旅の途中食料を分けてもらおうと訪ねたラッリの家で奥さんに断られた為、金を渡して無理矢理奪っていったのがラッリが怒った原因だったりする。
前述の宣教師ボニファティウスはドイツへの宣教に際してトール信仰の象徴であるオークの木を切り倒すという手段を選んでおり、この時集落の民からは天罰が下るぞと呪われたものの逆に強風が吹いて木が倒れた為、これこそ主の奇蹟として改宗を推し進めたとされる。
この斧による神木破壊は後世にも見られ、ドイツ語でこの用途に使う斧を指すハイリゲンバイル(聖斧の意)は現ロシアのマモノヴォの旧名の由来として知られている。
秘密結社フリーメイソンのスコティッシュ・ライトにおける22番目の階級「王者の斧の騎士、またはレバノンの王子」ではノアやソロモンの名やレバノンやシドンと言った地名が刻まれた斧が儀式に使用される。
これはシドンの人々がノアに雇われてレバノンから杉を伐ってきて方舟建造に協力したり、ソロモンの神殿建造の際にも同様に協力してきたと言う伝説に由来する。
神話・伝説での斧
神話や伝説における斧の登場率はそう低くない。というかむしろ多い。
特に雷神とはよく結びつけられ、世界各地に斧を持った姿で描かれた雷神の姿が残されている。
斧持つ雷神たち
- スラヴ神話の最高神ペルーンは雷鳴の戦車を駆り稲妻の矢を放つとされるが、斧や棍棒を持った姿でも描かれる。彼の斧を模した「ペルーンの斧」(古スラヴ語だと「Секира Перуна(セキラペルナ)」、ロシア語だと「Топор Перуна(トポルペルナ)」)はお守りとして有名。
- リトアニア神話の雷神ペルクナスは悪を打ち倒す正義の神でありその斧は投げても手元に戻ってくると伝えられる。
彼は同時に天候神という性格から豊穣と再生を司る神でもあり、手にした両刃斧はその二面性を反映して破壊と創造を象徴しているという。
なおペルクナスの持つ武器には「ミルナ」という名有りのハンマーが伝えられるが、これを斧の名前とする説もある様だ。 - フィンランドの雷神ウッコの武器「ウコンバサラ」は先端から稲妻を放つ石斧(またはハンマー)と伝えられる。
なおUkonvasaraがそのまま「ウッコのハンマー」の意味である為、「ウッコの斧」として区別して「ウコンキルヴェス(Ukonkirves)」と呼ばれる場合もある。 - ヒッタイト神話の嵐の神テシュブは三又の稲妻と斧(特に両刃斧)もしくは棍棒を持った姿で描かれる。
一説にはテシュブ自らが仇敵イルヤンカと諸共に雷で討ち滅ぼしたともされる自身の息子シャルマも斧を手にした姿で描かれる山の神である。 - メソポタミアの天候神アダドは手に片刃斧と稲妻を持ち、牡牛や神輿の様な物の上に立った姿で描かれる。アッシュールにあったアダドの神殿の基礎には守護の為に斧が埋められていたという。
- ウガリット、フェニキア、エジプト神話等に広く伝播した稲妻と疫病の神レシェフ(別名ラシャプ)は斧を持った姿で描かれる。
- インド神話における雷神インドラは最も象徴的な金剛杵の他にも様々な道具を持った姿で描かれており、その一つとして斧(鑿とも言われる)である「タンカ(Tanka)」がある。
インドラのお仕事には斧で山や谷を削って川を作るというものがあり、ヒマラヤのダンカル湖の様なインドラが斧を投げつけてできたという言い伝えを持つ湖もあるので、タンカはそういった作業に用いる斧だと考える事もできるだろう。
またインドラがアスラであるバラとパーカを討った際に投げつけて両者の首を落とした稲妻の武器は「クリサ(Kulisa)」として知られているが、サンスクリット語におけるクリサは他にも幾つかの意味を持ち、その一つとして『リグヴェーダ』では戦車を造ったりそのまま戦闘にも使える戦斧・手斧の一種として言及されている。
となれば「インドラが投げつけた稲妻のクリサは斧だったんだよ!」とか「インドラのクリサ=タンカだったんだよ!」とこじ付ける事も不可能ではないかもしれない。
尚クリサにはクリッシュ(Kulish)呼びもありインド海軍のコルベット艦クリッシュもこのインドラの雷霆を由来とする。 - タイの民間伝承で雷様にあたるラマスーンは女神メカラの水晶の光に斧を投げつけ、両者の喧嘩が地上からは稲光と稲妻として映るとされる。
隣国カンボジアでは伝統舞踊の中に雷鳴を呼ぶ斧を持つ悪魔レアム・イサウが登場する。ラマスーンとは同一神格であろう事が窺えるが、こちらでは単にメカラに退治される悪役となっている。 - ベトナムの雷神天雷は玉帝から罪人の裁きを任じられており、武器である二丁の斧のうち鉄の斧で人を討ち、石の斧で獣や悪霊を討つとされる。
彼が地に投げた斧はおよそ百日後地中から発見され、呪術師達によって魔除けや呪具として用いられたという。 - マヤ神話の天候神チャクは手に持つひょうたんから雨を降らせ、魔法の石斧から雷を放つとされる。
研究によれば「バトチャアク(bat chaak)」または「バアトチャク(baatchak)」で「チャクの(石)斧」という意味になる様で、「バトチャアク」がチャクの持つ火打石の斧を意味する語として紹介されたり、
焼畑のあと地中から発見された石斧がチャクの投げ入れた物と信じられて「バアトチャク」と呼ばれていた事等が記録されている。 - マヤ神話における稲妻の神にして王家の守護神カウィル(後にボロン・ザカブと呼ばれた)は頭部の黒曜石の鏡から斧や煙管が生えた姿で描かれ、マヤの歴代王は片足が蛇であるこの神の姿を模した儀仗をレガリアとしていた。
彼ら王や雨の神が持つ稲妻の斧が擬神化された存在こそがカウィルであるとも考えられている。 - アフリカヨルバ族に伝わる雷神シャンゴはブードゥ教やカンドンブレといった民間信仰でも神格の一柱となっているがもとは雷を操る人間の王で両刃斧を象徴としていた。
- ガーナでは出土した石斧を稲妻の先頭を走って地に落ちた物と捉え、天空神ニャメの斧を意味する「ニャメアクマ」と呼んだ。
- オーストラリアのアボリジニ神話における天空神の一柱ドゥラムランは叫びは雷鳴、振り下ろす斧は稲妻であると伝えられる。
- 同じくアボリジニの信仰した雷の精霊ナマルゴン(別名ママラガン)は両肘両膝につけた石斧を打ち合わせて稲妻を作り身に纏う。
- オーストラリアのワルダマン族の雷神トカブインジとワグドジャドブラという稲妻の兄弟は兄トカブインジの妻をめぐって争い、兄が弟を石斧(ブーメランとも)で殺したとされる。
- メルヴィル島のアボリジニにおける稲妻の女ブメラリは長く曲がりくねった柄を備えた二丁の石斧で地を叩き、その火花で稲妻を起こすとされる。
彼女と雷鳴または雷雨の男パカドリンガ、モンスーンの女トミトゥカは雨蛙の女神クォーク・クォークの三姉兄妹(パカドリンガが二柱の夫とも)であり、雨季になると雷雲の中に移り住み、母を喜ばせる為雷雨を起こすのだという。 - 古代中国でも発見した石器時代の石斧を雷神の落とし物と考えて「雷斧」と呼んでいた。
- まさかり担いで金太郎という歌い出しで有名な金太郎がまさかりを持った姿で描かれるのも雷神の息子という出自から雷神の象徴である斧を持っているのだという説がある。
雷斧信仰の原点となったのは雷の落ちた場所から石斧が見つかった事とされており、この斧は雷と共に落ちてきたんだ→雷様は斧を持っているんだ、という具合に考えられたのだと言われている。
世界各地に同様の伝承が見られる以上理由があるとも考えられるので、雷が落ちて割れた木の根元から過去の石斧が発見された為とか、雷雨によって地表が削られ埋まっていた石斧等の石器が地表に露出した状態で発見された為とか言われている。
この様に発見された石器は落雷と結びつけられ雷避けのお守りとして使われたりした。
ちなみに日本だと土砂崩れのあと発見された石斧が「天狗の鉞」と呼ばれていた。なお由来としては別だが富士山五合目の小御嶽神社には大天狗である正真坊が使ったという百貫の斧がある。
雷神以外でも仏教や道教の多腕の神様もよく腕の一つに斧を持つし、死と再生のサイクルを持つティルスの主神メルカルトが生の象徴としてエジプトのアンク、または蓮の花を持ち、死の象徴としてイプシロンアックスの様な穴あき斧を持つと伝えられる様に、近隣の冥界神の何柱かに共通する要素でもある。
前述のレシャフは死の神でもあるし、同じエジプト神話における東部国境の守護神ソペド(ソプドゥとも)も時に斧を手に描かれ、自身の領域である東部砂漠においては戦神にして死者を裁き導く冥界神としての役割を持つ。
権能の近さから時にレシャフと同一視されるバビロニアの戦神にして冥府神ネルガルは冥界に攻め入った際には一時は冥界の女主人エレシュキガルの首をはねようと斧を振り上げる所までいったが、そこで請われて夫婦となったという。また死後の安寧を願う商家の息子がネルガルの為の斧を作って奉納するという献身行為を行ったという記録も残っている。*10
古代バビロニアにおける一地方での冥界の門番たる双子神、ルガルイラとメスラムタエアはネルガル神と習合関係にある神だが彼らはそれぞれが棍棒と両刃斧を持っており、その姿を天に見出された星座が現在の双子座だとされる。
ギルガメッシュやヘラクレスといった有名な英雄も斧を使っているし、武士階級クシャトリヤを殲滅したインド神話のパラシュラーマや、千を越えるガリア兵を戦斧で殺したとされる『ブリタニア列王史』における後の初代コーンウォール公コリネウス等、斧を得物に無双の活躍を見せた英雄もいる。
中には神様由来の斧という物もあり、パラシュラーマがシヴァ神からもらった斧や、
トロイア戦争でトロイア側の援軍にきたアマゾネスの女王ペンテシレイアが不和の女神エリスから授かった両刃斧、
アッバース朝イスラム帝国の英雄アブー・ムスリムが夢の中で大天使ガブリエルを伴ったムハンマドから渡された斧等がある。
ロシア民話(?)「Секира обоюдоостроя」(両刃斧の意)ではラジガスト神の名に懸けた誓いを反故にして兄弟を殺した王子ヤロポルクの非道を神に訴えた甥のラチボール(殺された側の王子の息子)に対して、ラジガストは助力を約束して相手の最も得意な武器で決闘するよう両刃斧を与えており、
約束通り決闘の最中劣勢となったラチボールを助ける様に空から白熱した光線が降り、隙ができたヤロポルクは討たれている。人々がこの奇蹟に神の正義を改めて感じる中、与えられた斧は天に消えたとされる。
ほか古代インドはグプタ朝の二代目であるサムドラグプタ王の時代に鋳造された貨幣の中にはサムドラグプタ王が死の神クリタンタ(ヤマの別名)の斧を振るう姿とされる物があるが、これが神授の武器であるとか死をもたらすという点からあやかってそう呼ばれたとかの由来は不明である。
インカ神話における創世神ビラコチャにも初代皇帝マンコ・カパックに頭飾りと戦斧を授けたという伝承があるが一般的には初代皇帝が授かったのは黄金の儀仗タパク・ヤウリとされており、これが斧の様な形である事から戦斧を授けたというのもこの儀仗を指している可能性も高い。
また神から人だけでなく神から神へという例もあり、インド神話のドゥルガー女神は誕生に際して神々から十の宝物を授かっており、工匠神ヴィシュヴァカルマン(同じく工匠神であるトヴァシュトリとも)から鎧と斧、もしくは棍棒を授かったとされる。
トヴァシュトリはまた創造神ブラフマナスパティ(ブリハスパティ)との間でも斧のやりとりがあり、ブラフマナスパティの金の斧(鉄の斧とも)を作り、研師の役割も担っているのもこの神とされる。
ギリシャ神話におけるウラノス神の去勢においてガイア女神がクロノス神に与えたのは一般に金剛の鎌とされるが、訳によってはこれが金の斧とされる事もある。
特殊能力付きの斧という例もあり、ハワイ神話の女神ヒイアカが蜥蜴男パナエワとの戦いで振るったのは燃える戦斧と伝えられている。
ルーマニアに伝わる悪魔が教える魔法学校ショロマンツァ(またはソロモナリエ)出身の魔法使い達ソロモナルは彼らのマジックアイテムの一つである鉄の斧によって雹を降らせるとされる。
ロシアの伝承に登場する人喰い妖婆リーハ(Лихо одноглазое)の金の斧は獲物に対する罠として機能しており、一度はリーハの家から逃げ出せた鍛治師が木に突きたった斧の見事さについ手に取ったところ離れなくなり、泣く泣く手を切って逃げ出したりしている。
カナダ東部の先住民族ワイアンドット族(ヒューロン族とも)の伝説では、ある時川岸に置き忘れられていた斧が彼らの敵である人食い巨人ストレンドゥの女が吐いた唾を偶然被った事で意図せず呪術的効果が付与され、巨礫を一撃で粉々にする力を得たという。
ウガンダの伝説において地上における最初の人間であるキントゥは天神ググル(グルとも)の娘ナムビとの結婚を許可してもらう為の試験の一つで銅の斧を与えられ、木の薪ではなく岩を薪とするググルの為に岩を切り出す事を課せられる。
本来斧の側が壊れる所だがナムビが斧に岩を裂く力を与えてこれをクリアしている。(元々亀裂が走っている岩を探し、こじ開けて破片を集めたパターンもある)
他にもアーサー王の親戚キルッフが持つ戦斧は離れた敵に斬りつけられるとされるが、ものによっては斧ではなく剣や槍の能力とする本もある。
ケルト神話フィニアン・サイクルにおける一篇「フィン・マックールと全斧の騎士」でフィンとともに妖婆と戦った小人の騎士Ridiri na lan tur(Knight of the Full Axeの意)は斧を力の源としており、妖婆に斧を投げつけて手放した際には無力となってしまっていた。
また脳天に斧が刺さった妖婆も致命傷ながらも斧の力で生き長らえており、傷を治すと偽って近づき斧を引き抜いて止めを刺したフィンも、戻って騎士に斧を返すまで自身の力+斧の力によって地上で最高の力を得ていたという。
義賊として知られるスロバキアの実在の盗賊ユライ・ヤーノシークは伝説の中で三人の魔女(妖精とも)から三つの魔法のアイテムを貰っており、
それぞれ銃弾さえ防ぐシャツ、木を引っこ抜く様な怪力を与えるベルト、山を一跳びする様なジャンプ力を与える斧となっている。
この斧はスロバキアでヴァラシュカと呼ばれるタイプで柄を杖の様に突く事ができ、山岳を行く羊飼いが多く使う事から英語でシェパーズ・アックスと呼ばれる。
なおヤーノシークの魔法のヴァラシュカの能力は持ち主を集団のリーダーたらしめる力で、ジャンプ力はベルトの能力とするものもある。
中国の少数民族回族の伝承「阿当寻火种(阿当尋火種)」において阿当(イスラム教徒である回族にとってはアダムに由来する名)は火焔山の麓で悪龍が隠していた雷公斧を手に入れている。
行く手を阻む高熱の河もこの斧を翳すと石の道に変わり、また斧の背にある蓋を開くと中に火種を入れられる様になっており、これによって村に火種を持ち帰るのに成功した。
回族が腰に火打袋を吊り下げるのはこの時の阿当のスタイルに由来し、中の火打石が火種、火打鎌が雷公斧であるという。なお雷神の斧を意味する雷公斧の名の通り、阿当が火焔山で火種を入れた途端雷雨が巻き起こったとされる。
また古くから木を伐る道具として使われてきただけあって、伐採用の道具としての採用が語り継がれている物もある。
斧持つ伐採者たち
- ギルガメッシュは森の守護獣フンババを退治する際、薬草を塗った斧と大刀を用意してフンババ殺しの武器としてだけではなく森を伐採する道具として使っている。
バージョン違いの中にはこの武器は太陽神シャマシュが用意したとするものがあり、そちらでは斧と剣に加えてアンシャンの弓も授けているほか、
斧にもá-nam-ur-sag(アーナムルサグ?)という固有名が付く様だ(英訳文だとMight of Heroes)。 - メソポタミア神話の太陽神ウトゥ(アッカド語ではシャマシュ、ウトゥはシュメール語)は妹のイナンナ(イシュタル)に頼まれて青銅の斧で世界樹からベッドを作っている。(ウトゥが拒否してビルガメス(ギルガメッシュ)が作るパターンもある)
なおウトゥはもともと山々の間から昇る太陽の象徴として山を切り開く斧(鋸とも)を持った姿で描かれる。 - メソポタミア神話の森の神にして大工の神ニニルドゥは「天の偉大な大工」や「斧の運び手」の名を持ち、その斧は太陽の斧や輝く手斧、金の斧と紹介される。金色で反射してる辺りが太陽の斧なんだろうか。
マルドゥークの玉座を作ったり神像作成の儀式で人の職人の手を離れて神性を与える大工の神としてもその斧は振るわれるが、神像に使われる神木「メス」の伐採者としても知られる。 - ケルト神話の女神ティルテュは夫であったフィルボルグ族の王をダーナ神族との戦いで喪った後ダーナ神族の男と再婚し光神ルーの養母にもなるが、以降は農地開拓に乗り出し、アイルランドの全ての森を斧で伐採してクローバーの平野に変えた後過労死したという。
- ガリアの地で信仰されていた神エススは斧を手にした伐採者として描かれている。この神は森の神にして工芸や商売の神、あるいは生贄を求める戦いの神であったとも考えられている。
- フィンランドの叙事詩『カレワラ』において原初の大地に蒔かれたオークの木は当初育たなかったものの、海の巨人トゥルサスが牧草に火をつけると灰の中から急成長し太陽や月の光を遮る程の巨木となる。
賢者ワイナミョイネンが海の母に願うと海中から全身銅の装備に覆われた小人が現れ、瞬く間に雲を衝く大きさとなると銅の斧を三度打ち込み、このオークの木を倒した。 - ギリシャ神話の女神アテナは神話に名高きアルゴー号の造船にあたって自ら青銅の斧でペリオン山の頂から木を伐ってきて、アルゴスに協力した。
- ギリシャ神話のエリュシクトンはデメテルの聖域にあった神木を斧で伐り倒した罰で飢餓の呪いを受けた。
- 同じくギリシャ神話におけるトラキア王リュクルゴスは酒神デュオニソスを牛追棒とも両刃斧とも伝えられる「ボウプレクス(Bouplex)」で打ち払い信仰を禁止した事で呪われ、狂気の中で葡萄の木を斬り刻む。
が、実はそれは自らの妻子であり、更に土地も枯らされて民に殺される。彼の顛末には他にもデュオニソス信者の娘を追う途中伸びてきたツタを斧で切ったら誤って自身の足を切ってしまった、等もある。 - ジャックと豆の木のジャックは雲の上まで届く豆の木を斧で伐り倒して降りてくる途中の巨人を退治している。
- オズの魔法使いのブリキの木こり(本名ニック・チョッパー)は生身の肉体だった頃斧に魔女の呪いをかけられ、伐採仕事のたびに操作を誤って自分自身を傷つけてしまい、ブリキの義肢で欠損を補っていった結果全身ブリキになってしまった。
- イソップ寓話「ヘルメスと木こり」においても川に落とした斧をヘルメス神に拾ってもらって金の斧銀の斧を授かるのは作業中の木こりである。(一般的には泉の女神が出てくる話として知られる)
メジャーな童話であるため派生も多く、ベトナム版では拾ってくれるのは川の竜で、正直な木こりの真似をした欲深男が自分が落としたのはその金の斧ですと嘘を吐くと怒ってそのまま金の斧で男の首をはねてたりする。めでたしめでたし。
日本でも類似した民話が多く存在し、淵に落とした斧が水底の大蛇を殺したため川の女神に感謝される「まさかりが淵」や同様に化け蟹のハサミを切った「蟹淵」、取りに潜ったら竜宮に辿り着いたという「機織淵」や「龍宮淵」等。
日本の民話だと歓待されたり宝物を貰ったりもするが、この事は言わない等の約束を破った結果宝物や命を失ってハッピーエンドといかなかったりもする。 - ロシア中部ウドムルトの民話「топор-саморуб」(self-cut axeの意)において貧農の息子である三兄弟が家を出て都に向かう途中、三男イワンは振るうものが居ないのに勝手に動いて木を伐る斧、同じく土を掘るツルハシ、水を吐き出し続ける弾む小石(クルミとも)の三つと出会いそれぞれの持ち主となる。
辿り着いたコンスタンティノープルでは成長し続けるオークの木に困った王室が王女を報酬として解決できる者を募っており、イワンは自動斧によってこれを伐採する。
報酬を出し渋った王は続けて王宮に井戸を掘れ、近くの森を根城とする巨人を退治せよと次々難題を課すが、イワンはツルハシで掘った穴に小石を入れて水を出してもらう、自動斧で森の木を全部伐り倒すぞと脅して巨人を降伏させてしもべとする、と解決していき遂に王女を伴侶に迎えると兄弟とともに幸せに暮らすのだった。 - アメリカ開拓者達の与太話から定着した巨人ポール・バニヤンは山を一日で伐採する木こりとして生み出された。
- スロベニアの民間伝承をもとに成立したマルティン・クルパンの物語において、馬一頭を軽々持ち上げる怪力の持ち主マルティン・クルパンはオーストリア=ハンガリー帝国の皇帝から帝国を脅かすトルコ兵の巨人との決闘を依頼される。
しかし宮殿の名剣名槍でも彼の怪力に耐えられなかった事から鍛冶場を借りて「まるで肉屋の斧」と称される両刃斧を自作しており、これを庭園の桜を伐る道具としても使っている。
クルパンは決闘において伐った桜で作った棍棒でトルコ兵の刀を受け止めると刃を食い込ませて武器を封じ、棍棒を放して両手持ちにした斧で勝負を決めている。 - ベトナム神話の伝説上の祖・貉竜君は人食い妖樹モックティンを斧で伐り倒して退治している。
- チベットの伝説的な英雄ケサル王は魔王ルツェンを倒す際魔王の力を弱める降魔法の一環としてルツェンの魂の木を斧で伐り倒した。
なおケサル王は即位時に神々から授けられた多くの武具の一つとして山を割る斧も持っていたが、ここで使ったのは降魔法の条件である魔王自身の蔵に収めていた金の斧である。 - 中国少数民族壮族の神話における最高存在布洛陀は天地がまだ狭かった時代人々に請われて老鉄木を神斧で伐ると山の頂上から突き上げ、天を押し上げたとされる。
また火種を求めて旅した時には落雷によって割れた木が発火していたのを参考に自身の斧を木に切り付け、火花を起こして着火させると壮族に火種を与えた。 - 呉剛伐桂という中国の伝説において仙人の呉剛は月の宮殿に生えている桂(中国では木犀を指す)を切り倒すという罰を受けている。この木は傷つく端から成長して元通りになるので呉剛は永遠に斧を振るい続けなければならない。
- アフリカのヨルバ族の神話における鉄の神オグンは最初に神々が地上に降り立った時、茂みに邪魔されて身動きが取れなかった中で自身の斧(鉈とも)で道を切り開き、彼らを先導したとされる。
- アフリカのムブティ=ピグミー族の神話ではある木の中から水が流れる音がするのを不思議に思ったカメレオンが斧で木を割ると中から水が溢れて大洪水となり、洪水の後木から現れた一組の男女が人間の祖となったという。
- ポリネシア各地に伝えられる航海者ラタの伝説において両親の復讐または供養の為カヌーを必要としたラタは精霊の森の樹を伐る為に斧を求め、
父または祖父の魔法の石斧を受け継ぐ、あるいは賢者を訪ねて授かった緑石を斧の刃とし、砥石の女神である祖母の背中を使って研いだり砂浜に一晩埋めておくという儀式を経て鋭くしてから伐採に向かっている。
(一部資料によるとトゥアマトゥ諸島ではラタの斧としてカカウファヌイ(Kakaufanui)の名が伝わっているそうだ) - 大分県玖珠町の伐株山にまつわる民話では昔この山は天まで届く巨大な楠で、巨人の樵が人間と協力して斧や鋸で伐り倒した切り株が山になったのだという。
- 栃木県にある喜連川にまつわる民話で、語源を「狐川」とする物ではかつて都を追われた九尾の狐が川縁の槻の木の根元に隠れ潜んだ際、妖狐を追ってきた勝善卿はこの木を伐ろうと斧を振るったが妖力によってか一日毎に切り屑が元に戻り適わなかった。
対処として竈を作り切り屑を都度焼いていくと流石に元通りにはならず、隠れ家を失った狐は那須野へ逃げて行ったという。この切り屑を焼くと言う対処法は上の伐株山の大楠伐採や安倍晴明が託宣した熊野の四村神社の大楠伐採にも見られる一種の類型と言える。
他にも山や太陽等、結構大規模なものを斧で切り開いた伝説というのも多く、ものによっては開拓を象徴していると考えられたりしている。
また大きさも様々であるが巨人の武器であったり、逆に巨人殺しの武器となる事も多い。
天・天体
- 中国神話の原初の巨人である盤古は天地開闢に斧と鑿を用いたとするものがある。(使わないバージョンもある)
- マオリ神話では原初天である父ランギと地である母パパが固く抱き合っていたため地上は暗く閉塞しており、二神の間に生まれた兄弟達は協議し、森の神タネは天を持ち上げようとした。
しかし父母の抱き合う力があまりに強かったため兄弟に頼んで「アフィオランギ(Te Awhio-rangi)」「フィロヌイ(Te Whiro-nui)」という二丁の斧で腕を切ってもらって天地開闢を成している。 - 別のパターンではタネが兄弟達と協力してランギを持ち上げたあと「トコフルヌク」「トコフルランギ」「ラカウトゥケ」という三本の柱で天を支えて天地開闢を果たしており、
柱を作るのに使った三本の斧「アフィオランギ(Awhio-rangi)」「パレアライマラマ(Pare-arai-marama)」「モトゥファリキ(Motu-whariki)」は三本まとめて「カウェカイランギ(Kawe-kai-rangi)」と呼ばれた。 - ハワイ神話の半神マウイは高速かつ高熱で動く太陽を戒める為、魔法の石から作り出した斧で脅し付けて太陽の運行を正した。
同一の物かは不明だが大鰻トゥナ・ロア退治の伝説ではマウイの石斧の名は「マトリトリ(Ma-Tori-Tori)」(the severerの意)とされる。 - アフリカはスーダンのシルック族の初代聖王ニイカングは当時地上にいた太陽と戦い斧を投げつけて天空まで撃退したとされる。
- アボリジニのヨルング族における月神ンガリンディは太った怠け者と伝えられており、若い頃こそ細くてハンサムだったが仕事もせず食事も分け与えない為妻達は怒って斧で彼を刻み始め、太陽に近づく様に逃げた末木の上で命を落とす。
月の男の死によって夜は新月となるものの、ンガリンディは三日後には復活してまた太り始め、満腹になると妻達に刻まれるというサイクルを繰り返しているとされる。 - 「玉斧修月」や「修月之斧」と呼ばれる中国の伝説では月には八万二千戸の民が住んでいて、翡翠の斧で月の形を整えているのだとされる。
- ルーマニアにおける土着の星座伝説は天高く去った神を追いかけるため男が仲間や道具を集めて旅立ち、途中で邪魔しようとする悪魔が呼び出したドラゴンや魔物との戦いの様子が地上から見えているのだとされるが、その中で斧座(BardaまたはToporul)は戦車の御者が振るう斧で、悪魔の鞄から出てきた髑髏を叩き潰しているとされる。
斧座も髑髏座も88星座においてはペルセウス座の位置にあたるという事なので、叩き潰しているのは変光星アルゴル(ペルセウス座においてはゴルゴンの首とされる)の辺りだろうか。 - 韓国の伝説において北斗七星は柄杓の部分を歪んだ家、柄にあたるε星を家主、ζ星を怒って大工を追いかける家主の息子、η星を建築に失敗して逃げる大工と捉えるが、この時ζ星の脇にある所謂「死兆星」アルコルは息子が振りかざす斧とされる。
海・大地
- 北欧神話の裁定神フォルセティは船上で嵐に遭った賢者達を癒す為、上陸した島で金の斧で地を割り泉を湧き出させている。
- ヘラクレスの十二の功業八つ目の難題はディオメデスの人喰い馬を捕えよというものであり、その攻略において一説にはトラキアの半島の先まで馬を追い立てたヘラクレスは手早く斧で溝を掘って水を流し、島として孤立させてこれを封じている。
その後折り良くディオメデス王が追いすがってきたのでそのまま斧で戦ってこれを殺すとその肉を馬達に与える事で彼女達を手懐けたとされる。 - アイルランドの伝説において七世紀の聖人ともダーナ神族の鍛治神ゴヴニュと同一ともされる建築家ゴバン・サオールの父トゥイルベ・トラグマーはその名が「斧を投げる者」と伝えられる様に、自身の魔法の斧を斧の丘から海へと投げ、陸地に届く前に高潮を鎮めたとされる。
- 上述のラタの伝説においてラタは航海中相次ぐ魔物達との戦いの中で魔法の槍をメイン武器にしているが、仇をプナ王とするパターンでは最後に差し向けられた七つの大波や上陸を阻む珊瑚礁を斧で断ち割り航路を切り開いている。
- 伝説上のニュージーランド発見者クペは大蛸テ・フェケ・ア・ムツランギをも倒した自身の石斧「ラカツフェヌア(Rakatuwhenua/Ranga-tu-whenua)」で島を切り開いてクック海峡を作ったとされる。
- 伝説上のニュージーランド移民船団の長ラーカイハウトゥは伝説の地ハワイキからニュージーランドへの航海の途中空と海の収束により塞がれた航路を呪文と共に振るった自身の横斧「カパキトゥア(Kapakitua)」によって切り開き、南島へと到達したとされる。
タイエフ等ラーカイハウトゥ以外の者を移民団の長とするパターンもあるがそれぞれ斧で空と海の収束を断ちニュージーランドへ到達したという筋書きは共通する。一説には空と海との収束とは海上が霧で塞がれた状態という説明がなされる事もある。 - タヒチ島の伝説において、かつて巨大な魚だったタヒチを安定させるため多くの戦士達が魚の腱を断とうと挑むが神の加護なき当時のタヒチでは叶わず、戦士の長タファイはオーストラル諸島トゥブアイのマレレヌイ・マルアトア王を訪ねると王の斧「テパフルヌイマテヴァイタウ(Tepahurunuimatevaitau/Te-pa-huru-nui-ma-te-vai-tau)」(一部テパフルヌイ表記もあり)を授かり帰還する。
この斧はあまりに大きく重く、常人に使える物ではなかったがタファイは海神ティノルアの加護によりこれを振るうと遂に島魚の腱を断ちタヒチを安定させた。現在タラバオと呼ばれるタヒチの地峡はタファイが島魚の喉を切り裂いた跡だとされる。 - ニュージーランドのフィヨルド地形ミルフォード・サウンド(現地語でピオピオタヒ)はマオリの伝説においては半神や巨人と伝えられるトゥテラキファノアが自身の斧「テ・ハモ(Te-Hamo)」で岩肌を切り裂いてできたとされる。
山
- 二郎神君と甥の劉沈香にはそれぞれ劈山救母の伝説があり、神斧でもって山を割り母親を救出している。
この斧は『二郎宝巻』によれば「開山斧」、ほか開山神斧、宣花開山神斧等と呼ばれたり、上の盤古斧と同一視して開天神斧とされる事もある。 - 黄河の治水で知られる禹王はこの任を果たす時黄河の河伯から「河洛圖(河図洛書)」「開山斧」「定海針(または避水剣)」という三つの宝物を授かったとされ、開山斧は一度振り下ろせば地動き山揺らす物だったという。河南省にある三門峡も禹王が神斧によって高山を割り、人門・鬼門・神門の三つの水路を作った事に由来する。
また「禹王鎖蛟」(大禹鎖蛟とも)という伝説において水妖・無支祁を追う中で、これが荊塗山へと潜んだ際には淮河の水神である淮河竜王から輝く斧を授けられており、この斧で山を割る事で西が荊山、東が塗山と分かたれたという。 - ジャイナ教の第十五代祖師ダルマナータは一万二千頭の象を集める途上において「ヴァジュラダンダ(Vajra Dund)」の銘を持つ自身の戦斧で山を真っ二つにすると蛇に食べ物を与えて救けたという。
- 古代ペルシャの伝説的な人物ファルハードは恋い焦がれるシーリーンとの結婚を許してもらう対価としてホスロー王からビーソトゥーン山を削って水路を作る(壁面に階段を彫るとも)という難題を課せられ、独り斧(pick-axe=ツルハシと記述される場合も)で山を削り続けた。
長年の苦役の果てついには水源に辿り着いたともされるが、そこでホスロー王の流したシーリーン死亡の偽報によって発狂し、身投げまたは斧を自身に打ち込み自殺した。
放り投げられた斧の柄から生えたザクロは病を癒す実をつけたとか、血溜まりからは赤いチューリップが生まれたとも言われ、古く人気のある題材なので設定が異なる派生も数多い。 - 前述のポール・バニヤンは伝説中で相棒の青牛ベイブと共に五大湖やミシシッピ河を作り、グレートキャニオンも彼が斧によって削りだした。
建造物
- 古代メソポタミアの王サルゴンは「ウルクの城壁を斧で壊した」と自ら語ったと記録されている。
- 『アガデの呪い』ではサルゴン王の孫であるナラム・シン王は神をも恐れずエンリルの神殿をアガシリグ斧で破壊したとされる。このため神罰を受けアッカド王国は滅ぼされたという。
- 北欧神話における海神ニョルズはヴァン神族の長としてアース神族を攻めた際自身の斧でアスガルドの門を打ち壊したとされる。戦斧の言い換えの一つ「Gaut meginhurder galli」(ガウトはオーディンの別名の一つ)はこの伝説に由来するとされる。
- ギリシャ神話に登場するトロイアの王女カサンドラはアレス神により予知の力とそれを他人に信じてもらえない呪いを受けており、トロイの木馬の危険性を警告しても信じてもらえない事から片手に斧、片手に松明を持って自ら破壊しに行くが、トロイアの民に阻止されて目的を果たす事はできなかった。
- 『コーラン』において真の神への信仰に目覚めた預言者イブラヒムは故郷の偶像崇拝を批判し、町の外で行われる祝祭に一人参加せず礼拝所の偶像を最も大きな一つを除いて斧で破壊し、その像の肩に斧を掛けて帰宅した。
これは人々がこの惨状を見ても残った像が動いて他を壊したとは考えない=偶像は所詮石の塊だと内心理解しているという信仰の矛盾を突き付ける為であった。イブラヒムは火刑に掛けられるが、神の守護により無事生き延びると町を出て伝導者となった。 - アフガニスタンのイスラム王朝ガズナ朝の王にして「偶像破壊者」として知られるマフムードはインド侵攻によって略奪を繰り返したが、最もよく知られたソムナート寺院襲撃においては奥院にて高さ7キュビト(約3.5m)のシヴァの男根像を見るや激怒して自身の戦斧(戦鎚や鶴嘴とも)を叩き込んだとされる。
するとこの像は空洞になっていた内部に長年寄進されてきた宝石や財宝を溜め込んでおり、マフムードはこれらと共に石像の破片も持ち帰ると王宮やメッカの入り口の敷石として人々に踏み躙らせたという。
巨人
- インド神話『マハーバーラタ』においてインドラはトリシラス(別名ヴィシュヴァルーパ)の成長を恐れてこれを殺した時、亡骸が未だ生きているかの様な威光を放っていたため偶々近くにいた木こりに命じて三つの山が並んでいるかの如きトリシラスの三つ首を斧で切り落とさせた。
木こりは当初自分の斧ではこの様に巨大なものは切れないと拒否するのだが、インドラは自身の加護によりその斧は我が雷霆と同等であると告げこれを遂行させている。*11 - 北欧神話の雷神トールの従者シャールヴィは天を衝く巨人モックルカールヴィを脚に斧を打ち込んで倒したとされる。
- ケルト神話アルスターサイクルの一篇『ブリクリウの饗宴』においてクー・フーリン、ロイガレ、コナルの三者は誰がアルスター1の勇士かで揉めた末、それぞれクー・ロイ王の変化した巨人ウアトから首切りゲームを持ちかけられる。
互いの首を交互に切りつけ合うというそのゲームに乗った三人は先攻として巨人の首を斧で落とすが、首が落とされても死なない巨人に手番が来るとロイガレとコナルは逃げ出してしまい、恐れながらも唯一斧を受け入れようとしたクー・フーリンがアルスター1の勇士であると認められた。
この首切りゲームの伝説はアーサー王伝説にも影響を与えたと考えられており、『ガウェイン卿と緑の騎士』や腕萎のカラドク卿の伝説でも類似の様式が見られる。 - イングランドの騎士道物語で知られるガイ・オブ・ウォーリックはその武勲の締めくくりとなる巨人コルブランドとの決闘で自らの剣が鎧に弾かれ折れてしまった為、降伏勧告を尻目に決闘前に巨人が広げていた武器群から斧を奪って腕と頭に切りつけ、これに勝利した。*12
またガイは他にも多くの武勇伝を持つが、魔牛ダン・カウ退治ではダイヤの如く硬く矢も刺さらないダン・カウに対して耳の後ろに戦斧を叩き込みこれを仕留めたという。 - 日本における「大工と鬼六」の原型として知られるオーラヴ聖王の教会建立伝説において、建立を手掛ける代わりに王が自身の名前当てに失敗した時は食べていいという契約を交わしたトロールが最終日に名前を当てられた際、基本的には石になって落ちて砕けるという顛末なのだが一部では飛び掛かって王を襲うというものがある。
この展開においては襲撃を躱した聖オーラヴは斧を投げつけて膝から下を切り落とし、以降自身の玉座の下にこのトロールを封じたとされる。 - 『アンバレス・サガ』では王子アンバレスの父王サルマンが戦死するスキタイからの侵略戦争において、サルマン王の戦士の一人ヴィクトルは重戦斧を持つ巨人ロソーと戦い、馬から飛び降りて斧を躱すとそのまま斧を持った腕を肘から切り飛ばし、手放された斧を奪って脳天に叩きつけて巨人を討った。
ヴィクトルはその後戦場で命を落とすが、戦利品の斧はサルマン王の元へ渡り、王はこれを旋風の如く振るい獅子奮迅の戦いを繰り広げた。
この斧は王の手に渡って以降は「リサナウト(Risanaut)」と呼ばれる。直訳すれば「巨人の贈り物」となるが、英訳文で書かれた「Giant's Treasure」の意味でも知られる。
竜・大蛇
- 台湾の湖「日月潭」の伝説において、かつて二匹の龍が日と月を呑み込んで世界が闇に包まれた時、漁師の大尖と妻の水花は光を取り戻す為に旅に出て、遂に湖で遊ぶ龍を発見する。
近くの洞窟で龍に世話係として捕えられていた老婆から阿里山の下に龍を殺す力を持った金の斧と金の鋏が隠されている事を聞いた二人はその武器を取ってくると、日を呑んだ雄龍を金斧で、月を呑んだ雌龍を金剪で殺して日月を取り戻した。
ただ日月には自力で天に帰る力は無かった為、二人は龍の瞳を呑んで巨人に変じると日月を放り投げ、更に巨大な棕櫚の木で押し上げて元の場所に固定した。二人はその後湖のそばで大尖山・水花山という山となり、再び日月が奪われないよう護っているという。 - ベトナムの伝説上の英雄石生は幼くして両親と死別したあと樵として生活し、後に兄貴分となった卑劣漢・李通の策略によって人喰いの怪物である大蛇の生贄として捧げられるが、知らずにこれと斧で戦い勝利している。
彼はその後も大蛇殺しの後で得た金の弓矢でお姫様を攫って飛ぶ大鷲を射たり、助けたお姫様との結婚に反対する勢力との戦いでは魔法の竪琴で戦意を失わせたりと活躍するが、実は元々は玉帝が自分の皇子を人間へと転生させた存在なのだという。
貧しい樵の家に産まれるが孤児となった後に天からの使者によって武術や魔術を学んでおり、父の形見の仕事道具であり大蛇殺しの武器としても用いた斧は本によっては刃が欠ける事もない強靭な物だったともされる。 - ギリシャ神話においてヘカトンケイルの一体ブリアレオス(別名アイガイオン)はティタノマキアにおいて本来ゼウスに味方する存在とされるが、上半身が牡牛で下半身が大蛇という怪物オフィオタウルスにまつわる伝説においてはティターン神族側としてこの怪物を金剛の斧で殺している。
本来ならその内臓を燃やして犠牲に捧げる事でオリュンポスの神々を殺す力が得られるとされていたが、ゼウスの遣わした鷲(鳶とも)によって内臓は奪われ失敗、ティターン神族は敗北している。 - 奈良県大峰山百貝岳における理源大師聖宝の大蛇退治の伝説では、大蛇が棲みついた事で山の行き来ができなくなったため助けを請われた理源大師は先達を務める箱屋勘兵衛と山に入ると、百貝岳の名の由来となる程の大音量で法螺貝を吹き鳴らして大蛇を呼び寄せるや法力で縛り付け、その隙に勘兵衛が斧で両断し仕留めたという。
権力・司法と斧
- ラブリュス
古代ギリシャの、柄の両側に刃がついた斧。主に祭事や伐採に使われたが、勿論有事の際には武器にもなる。
語源は現在のトルコ西部にあったリディア王国だとされ、他の地域ではペレクス(ギリシャ)やサガリス(スキタイ)等と呼ばれていた様だ。
伝説によれば英雄ヘラクレスがアマゾネスの女王ヒッポリュテから奪った両刃斧がリディアの女王に献上され、国旗にも描かれたという事なので、リディアにとって重要なシンボルだった事が窺える。
なおその斧は後にカリアの地でゼウス神像に持たされ、この神はラブランデス(ラブラウンデウス)と呼ばれたとか。
祭器としては形状的に落雷だとか月の満ち欠けを象徴しているらしい。
ゼウスの雷霆「ケラウノス」は形状に諸説あるが雷斧信仰の一環として両刃斧として扱う物もあり、斧を持つゼウスの彫刻や絵も数多く遺されている。
ちなみにギリシャ語では"ἀστροπελέκι"="星の斧"で雷霆の意味を持つ。
また鍛冶神ヘファイストスがアテナ誕生の際ゼウスの頭を割るのに使われたのもラブリュスとされ絵画等に描かれている。
伐採斧としては片刃ずつ研ぎを変える事で柔らかい木には鋭い刃、硬い木には鈍い刃と一振りで使い分けられる利点があり、地元クレタ島では今でも愛用されている。
武器としては「両側に刃がついている分バランスが取れてスイングが安定する」「振ったあと刃を返す動作を省略できるのが利点」等と言われているが、「その分重い」「振りかぶった得危ない」等の指摘も多い。
ただ『イリアス』においてはパトロクロスの葬送競技の弓術部門において、主催のアキレウスは賞品として一位に両刃斧十丁、二位に片刃斧十丁を用意しているので、両刃斧の方が価値が上と考えられていた様に見受けられる。
(例えば象徴的意味合いも含むとか、単に刃が多い分金属量も多いので資産価値があるという理屈等も考えられるが)
トロイア戦争後のアガメムノンをめぐる悲劇では両刃斧が復讐の連鎖の象徴の様に描かれており、
アガメムノンが出征時に娘であるイピゲネイアを犠牲に捧げた事を恨む妻クリュタイムネストラは遠征中に彼の従兄弟であるアイギストスを情夫とし、帰還したアガメムノンが入浴している隙に両刃斧を用いて殺害する。
埋められたこの斧を掘り出したアガメムノンの娘エレクトラは弟オレステスにこれを託し、オレステスは父の仇として、父を殺した斧で母達を討っている。
またアルゴナウタイの一員であるアルカディアのアンカイオスも熊の毛皮に両刃斧という装備がトレードマークだが、これについては孫を心配した祖父がアルゴナウタイに参加できないよう他の武器防具を隠した為それしか装備できなかったという事情がある様だ。
アンカイオスは金羊毛皮探索からは無事帰還したものの、カリュドンの猪狩りにおいて振り上げた斧を打ちおろすより速く猪の突進を受けその牙で突き殺されたという。
迷宮の語源に関わっているという説もあり、
クレタ島で信仰されていた事やミノス王家の家紋が両刃斧だった事もあってミノタウロスが持っていたのもこれではないかとか言われる。
ほかミノア文明においては特にブリトマルティスと呼ばれる女神が古い時代には両刃斧を持った姿で信仰されていたが、後に零落したとされる。
現在はトルコのボズジャ島と呼ばれるギリシャ神話におけるテネドス島でも法の厳格さを示す「Τενέδιος πέλεκυς」(テネドスの斧の意)という語が伝わる様に両刃斧は重要なシンボルだった。
テネドス島では名の由来である初代王テネスの定めた法により、裁判官の傍らには常に両刃斧を掲げた処刑人が立って裁判での虚偽を許さなかったといい、テネドス人は厳格で正直と知られていたという。
またテネドスの斧(テネスの斧)はもう一つ「制御できない激しい怒りや拒絶」という意味合いも持ち、「テネスの斧で切る」といった形でも使われる。
これはそもそもコローナイの王子だったテネスが継母の求愛を拒絶したため濡れ衣で妹とともに海に流され、祖父にあたるポセイドンの助けで島に流れ着き王として迎えられたという経緯があり、後に真実を知った父はテネドス島へ使者を送るがテネスは激怒し、斧を持って港へ行くと使者の船の係留策を叩き切って拒絶したという伝説に由来する。
- ファスケス
木の棒を束ねた太い柄に斧を取りつけた様な形状の道具。
斧は王、棒は民衆の象徴と言われ、王が人々を束ね団結している事を示しているとされる。
命令権を持つ要人にはファスケスを手にした専門の役職であるリクトルが警護や先ぶれを担当していた。
ローマのカエサルがモデルとされるトランプの「ダイヤのK」が他のキングと違って剣でなく斧を持つのもファスケスを表していると言われる。
イタリア語で団結を指す「ファッシ」という言葉の語源。つまりは「ファシズム」の語源でもある。
- 古代中国・日本と斧
古代中国で鉞は正義や指揮権を象徴する儀礼的な斧となり、
天子の代理として全権を与える際には、黄金で装飾された『黄鉞』と、牛の尾を飾りとした旗『白旄』が総帥に授けられた。故に「白旄黄鉞」とは軍権の象徴となっている。
殷王武丁の妻にして女将軍としても知られる婦好の墓からも婦好鉞と呼ばれる銅鉞が発見されており、
彼女は軍事権を預かる証として賜ったこの鉞を掲げて遠征の指揮を執っていたと考えられている。
封神演義の舞台としても知られる殷周革命において、武王姫発は牧野の戦いで白旄黄鉞を携えて軍を指揮し、焼け跡の都から発見された紂王の遺体の首を自ら、または部下の手によって黄鉞(金の斧)で落とし、夫人達の首も玄鉞(鉄の斧)で落としたとされる。
日本でもヤマトタケル、神功皇后、物部麁鹿火等が天皇の全権代理人として斧鉞を手にした。日本書紀にもそう書かれている。
後に斧鉞ではなく節刀を預ける様になった。
- アメリカ合衆国と斧
近代になって設立された国家であるアメリカは国一丸となって開拓を行ってきたからか大統領と斧にまつわるエピソードが多い。
作家の創作だという説が濃厚だが、初代大統領のジョーシ・ワシントンが桜の木を斧で切り、それを父親に正直に告白し許されるエピソードは有名な所だろう。
第16代アメリカ合衆国大統領エイブラハム・リンカーンにも冒頭文をはじめとした斧にまつわる逸話が幾つかある。
彼は幼少期から斧で材木を割ってフェンスの横木を作る仕事に従事しており、政治家の道を歩みだしてからは「横木割り」のニックネームで労働者出身である事をアピールし得票につなげた。
大統領となってからもその斧使いの巧みさは錆び付いておらず、暗殺される一週間前にピーターズバーグ近くの野戦病院を訪問した際の記録では、置いてあった斧によるデモンストレーションで他の兵士が真似できないほど遠くに木片を飛ばして見せたという。そりゃヴァンパイアハンターもこなせますわ。
現代での斧
斧は石器時代から中世まで長きに渡り、生活用品と戦場の武器の両面で活躍していた。
しかしそんな斧も、最強最良の歩兵用武器である銃が登場すると、武器としては戦場から姿を消していった。
軍用ツールとしても、軍用スコップの登場*13でかつて程の存在感はない。
伐採に関しても、より効率的な鋸やチェーンソーの普及により出番が減っている。
しかし第一次大戦では塹壕戦で作業用及び武器として多用された他、アメリカ陸軍は柄が強化プラスチック製の合成素材で作られたトマホークを正式採用し、イラク戦争から使用され続けている。また柄まで含めて一枚板から整形された製品もある。
事実、米トマホーク社のVTACはアフガニスタンで使用され、近接武器としてだけでなく非爆発性物質の破壊・障害物除去・扉の破壊開閉・IED*14除去等に用いられている。
ピーター・ラガーナが提唱した近代トマホーク着想からも、斧の有用性は証明されている。これは「斧はナイフより殺傷力が高く多目的に使えるので、携行する道具の量を減らし、より機敏に活動できる」というもの。軍用スコップは斧より軽すぎるのと、構造上やや耐久性に難があり、手入れをしないと切れ味も落ちる。戦況が長引く程その差も開くらしい。
民間用としても木の根を掘ったり、枝を払ったり、刃の背をハンマー代わりにしたり、一振りで薪を割ったりと、適度な重さがあり荒っぽい使い方にも耐える斧や鉈の様な重く厚い刃物は今なお重宝する。
現代でも、アウトドアなど斧と人の生活は切っても切れない間柄なのだ。
なお余談になるが、薪割りの様から英語ではカカト落としの事をAxe kickと言う。
その他、火災現場で扉や窓を打ち破る為に「マスターキー」と呼ばれ、消防斧や防災用の常備斧として用いられている。マスターキーはショットガンだろって? 火事場に火薬持ち込む気?
斧を使うキャラクター(斧がモチーフのキャラクター含む)民話・伝承・古典編
•金太郎
•両面宿儺
•赤頭四郎将軍
•前鬼
•長山遠江守
•ミノタウロス(ギリシア神話)
•ヒッポリュテ
•ペンテシレイア
•オレステス
•エリュシクトン
•木こり(金の斧・銀の斧)
•ジャック(ジャックと豆の木)
•ブリキの木こり(オズの魔法使い)
•血斧のエイリーク(エイリーク1世)
•聖オーラヴ
•聖ボニファティウス
•緑の騎士
•パラシュラーマ
•ラマスーン
•チャク
•ラジガスト
•ティルテュ
•インテルキドナ
•盤古(中国の神話)
•禹王
•刑天
•周の武王
•二郎神、沈香
•徐晃、潘鳳、韓徳、徐質、邢道栄(三国志演義)
•黒旋風・李逵、急先鋒・索超、出林竜・鄒淵、独角竜・鄒潤他(水滸伝)
•巨霊神、賽太歳(西遊記)
•サルゴン
•ラタ
•クペ
•タファイ
•ユライ・ヤーノシーク
•獅子心王リチャード(リチャード1世)
•ロバート・ブルース(ロバート1世)
•ホーウェリー・フウィオール
•ジェームズ・ダグラス
•マルティン・クルパン
•”斧のジャンヌ”ジャンヌ・レスネ
•リジー・ボーデン(マザー・グース)
•キャリー・ネイション
•ハンナ・ダストン
•与作
•カマキリ(蟷螂の斧)
フィクションでの斧
映画や小説での斧
ホラー界では黎明期からそれなりの立場を保っている。
ゾンビ相手には首を刎ねる事で致命傷を与える事が出来るし、祭事で使われてきた経緯から霊的な作用も連想させられる。
一見優しげな人物でも、斧を隠し持っていると一気に善良な仮面を被った殺人鬼、という演出が可能になる。
広い刃渡りにべっとりとつく血糊等、見た目の禍々しさは一級品といえよう。
ヨーロッパ等一部地域では処刑に使っていたりもするので、そういう連想で恐怖が増す部分もあるかもしれない。
更に斧は「隙を突いて先手を打てば一撃必殺」という特徴がある為、咄嗟に防ごうとした武器や腕ごと対象をぶった切る凶悪性も好まれている。
一般市民が持っていてもおかしくはなく、非常用の斧を常備している環境(船舶や山小屋等)であれば登場させやすいという面もある。
現代が舞台の推理小説等では殺害道具からトリック道具の一部まで幅広く出番が多い。
斧、鉈、ナイフはホラー三大刃物と言って過言ではないだろう。
チェーンソーを使ってると思われがちあるあるで有名なジェイソンもこちらの三点セットが愛用品。
「シャイニング」で主人公ジャックが斧でぶち破ったドアから狂った笑顔を覗かせるシーン等も印象的。
但しモブが斧かショットガンを手に取るのは大体死亡フラグ。これは敵を一撃で倒せそうな威力のある武器をモブに使われても困るからである。悲しい。
ゲームでの斧
どこかしら不遇なイメージがあるが、昔のゲームで実際そうだったのだから仕方ない。
ファンタジー界隈では剣、槍と並ぶ近接武器の代表格の一つ。だが、それらと差別化を図る為に
- 攻撃力は高いが、命中率が低い。あるいは攻撃モーションが遅く鈍く、隙ができやすい
- 範囲攻撃がなく、数を頼みにやってくる相手の処理が遅れ、ダメージがかさみやすい
- 重たいので装備可能者が少なく、使いまわしがきき辛い*15。物価指定によっては厳しい
といった「重さ」「大振りさ」から、マイナス面の特徴を付加される事が多いのが厄介。
「ネーミングやエピソードの引き出しが多く、安定感のある性能になりやすい剣」や、「重すぎないイメージがあり後方支援できる槍」の方が戦術を立てやすく、
「ドラゴンクエスト」「ファイアーエムブレム」「ファイナルファンタジー」といった有名どころのゲームシリーズすべてで冷遇を達成した事も大きな痛手となり、斧は使い辛い印象を与えてしまった。
パワーキャラの得物としても大剣や鎖鉄球といったロマン系武器や、鉄拳など怪力による格闘の方が優先されがち。
アクション系だと振りは大きいのに当たり判定は先端のみだったりと、あまり力任せに使えないタイトルさえある模様。
まさに当たらなければどうという事はないを地で行く悲惨さが露骨にでている。
時にはゲームの内容によっては[[剣や魔法や槍はあるのに、斧自体が敵の武器としても、味方の武器としても登場しない>ルドラの秘宝]]なんて事例さえあった程。
世界樹の迷宮シリーズではまさかのナックル(メリケンサック)に取って代わられリストラされた。ひどい。
更に有名な固有名詞としての「強い斧」のバリエーションが少ないのも、文字数制限などもあり分かりにくく嫌われる傾向にあった。
剣ならエクスカリバー、槍ならグングニルと、伝説・神話級の大物武器が登場する一方、ヨーロッパ神話ではそういったメジャーな伝説の武器が無い斧は、中世系ファンタジー界で立つ瀬はない。
ゲーム終盤では種類の多さや最強武器の層の厚さで負け、唯一の利点であったはずの攻撃力ですら追い抜かれ終盤には姿を消すという、悲惨な扱いになる事も珍しくなかった。
上の【神話・伝説での斧】の項目で説明した様に、登場する例もあるとはいえ、それらはただ「普遍的な武器」として斧を使っていたに過ぎず、そういった斧には固有名詞はなく、目立った活躍もない事も多い。
単に「両刃斧」とか「雷」等で呼んだり、せいぜい便宜上「○○の斧」と呼ぶに留まるのである。(例:ミノタウロスの斧)
なので、こういう『例えとして挙げられる固有名詞の斧がない』事もマイナー枠からの脱却を遅れさせており、それまでは創作力に頼らざるを得なかった。
特に古いゲームでは文字数の制限がかなり厳しいのもあり、固有名詞がない事から武器の説明もプラスとなると採用しづらい。
最強武器としての神話・伝説級のメジャーな斧が無いのは、同カテゴリの武器を登場させるにあたって優遇不遇に少なからず影響を与えただろう事は想像に難くない。
ハンマーは不遇近接武器仲間だが、そちらには北欧神話最強の戦神トールが操る『ミョルニル』という、とっておきの切り札がある。
ムジョルニア、トールハンマーとも呼ばれ、かの全米人気ヒーローコミックMARVELの映画『アベンジャーズ』で大活躍するソーの愛用武器。
もともとミョルニルは斧と伝えられていたものがハンマーに取り違えられていつしかそっちで定着したという説もあるらしいので、そうだとしたら逃した魚は大きかった。
また、神話が関係なくともミスター・ビデオゲームや有名なピンクの一頭身の武器として80~90年代辺りで活躍しているのも、斧との相違点。
更にピコピコハンマーというイメージし易い玩具もあり、ネタの幅が違う。
RPG以外のクラフト型ゲームでは、伐採による開拓や素材集めで活躍するが、時にはハンマー等に押され負けたりする。
「ハンマーほど便利じゃないけど、工作に使えるし刃がついてるから威力がある、主力武器より中途半端な存在」にもなりかねない。
『ラグナロクオンライン』等一部のMMOでは、鍛治屋や薬師といった商人系の職が使う武器として選ばれる事がある。
鍛冶屋であればハンマーは言わずもがな、斧も鉱石や燃料の調達に使うと考えれば納得のチョイスだが…
お世辞にも斧に縁のなさそうな普通の商人や薬師がカバンやフラスコと一緒に斧を持ち歩くのは中々にシュールな光景。
そして武器の性能面という意味ではやはりパッとしない…戦闘職用じゃないので仕方ないのだが。
戦闘に不慣れな商人でも扱えるシンプルな武器という事か、あるいは「各地を旅して商いをする為のサバイバル用具兼自衛武器」という商魂の表れなのか。
同じく不遇扱いのオッサンキャラ、そして土属性と合わさったりした日には、もう活躍の場なんて無い事が確約している様なものである。
怪力自慢の筋肉マッチョが斧を持ったらかませ犬にされるなんてのは見慣れた光景だろう。
序盤のザコ敵が持ってる武器だったり、役立たずの味方キャラの武器だったり、斧はちょうどいいやられ役二軍ポジションが定着していた。
どちらかと言えば悪人・蛮族・殺人鬼御用達だからか、敵側が持っている武器という印象が強い。
恐怖要素を与える武器としての立ち位置はあるが、大鎌というライバルがいたり、サイバー要素が入るとチェーンソー辺りに美味しい所を全て持って行かれがち。
アクションゲームともなればはずれ武器として半ば地雷やトラップ扱いされる始末。
この様に長らく不遇気味だったが、21世紀になってからは有名シリーズ・新規シリーズ等で見直しが図られてきており、最近は味方が斧を使えるゲームで目に見えて斧が冷遇される事態は減ってきつつある。
例えば前述の冷遇ゲーとして挙げたファイアーエムブレムでは、「剣・槍・斧の三すくみ」が基本システムとして定着したことで、一転して斧が主流の武器の一つとして剣や槍と対等の扱いを受け続ける奇特なゲームシリーズへと生まれ変わることになった。
時には…
- モンハンのスラッシュアックスやチャージアックスの様に十分な性能を持たされ、当て馬とは言えない一角を担う
- 魔界戦記ディスガイアシリーズでは高ATKと引き換えにHITにマイナス補正を持ち、武器技も全武器中最も範囲が狭いと武器としては重武器のテンプレの様な性能だが、初代作からの伝統として技にDEF低下の追加効果を持っており、同じ敵に連続して攻撃する場合はとりあえず初撃に斧技をぶち込むという戦法がスタンダード。
一方で、武器を強化するとマイナス補正も一緒に上昇するやり込みシステムとの相性が致命的に悪いのが難点*16。 - 土属性複合でも『グランブルーファンタジー』のサラーサの様にいろんな意味で厚遇されているキャラも出ている
但しオノ=おっさんという偏見自体はとある例外を除いて回復していない
余談になるがその歴史上、ヴァイキングやネイティブアメリカン(インディアン)をモチーフにしたキャラクターが使う事が多い武器である。
前述の通り手斧が投擲武器として活躍する事も多いが、その独特な形状からか何故かブーメランの様に投げた後手元に戻ってくる不思議武器になる事もある。ゲーム的には助かるが。
これは後述のゲッターロボの必殺技として有名な『ゲッタートマホークブーメラン』の影響が大きいと思われる。
また、剣や銃等を持っていない村人など一般人が武装発起した際に武器として用いられる事も多く、レジスタンス等が良く使う。
…まあその場合、槍や剣や銃等「正規の戦士や兵士が戦う為の兵器」の引き立て役として扱われがち。
ほか、ドワーフの武器としてよく知られている。ただ、ドワーフがなぜ斧を持っているのかはよくわからない。
ドワーフ族は鍛冶に長けるから燃料採取用斧の流用だろうか。
マンガやアニメでの斧
近~現代を舞台にした作品に目を向けると、鎖で縛られた相手の戒めを解く、筋骨隆々な主人公が一時的に使う等、決して主役級ではないものの縁の下の力持ち的な活躍を見せる。
年代が進むと武装錬金のヴィクターの『フェイタルアトラクション』やDOG DAYS、碧の軌跡等、斧使いが最強クラスのキャラクターとして登場した。
更に幼女と組み合わせる事でギャップ萌えを狙う等、色々と属性小物としても重宝されている。
少なくとも、他の武器と比べて露骨に冷遇されるといった様な事はなく、探せばおいしい役どころを持つ作品は増えた。
「盾の勇者の成り上がり」ではものの見事にハブられたけどな!※しかも盾に負けて(例によって悪人御用達としては出番あり)
時には物騒な描写の無い、アニメ「アイカツ!」にて、思い出のクリスマスツリーを再現してクラスメイトを元気付ける為に、
主人公・星宮いちごとその仲間達が協力して雪山に出向き、
庭掃除のお兄さんから借りてきた斧で大木を切り倒すというエピソードがあり、斧のあり方に一石を投じた。
以後、アイカツ世界ではクリスマスにアイドル達が斧をふるってまき割りやツリーの伐採をする伝統が生まれた。
「歴代のアイドルがもみの木を切り倒したという伝説の斧よ!」
なお、日本SF界の金字塔の一つに数えられる銀河英雄伝説では敵味方問わず白兵戦のメイン武器として扱われている。
これは強化装甲服の鏡面加工の為にブラスタービームが弾かれやすい事と、閉鎖空間では「気化爆薬」とでも言うべきゼッフル粒子が散布され、高熱を発する重火器の使用が事実上封印される設定に由来している。
この為、銀河帝国軍でも自由惑星同盟軍でも白兵戦は珪素クリスタル製のトマホーク、大型戦闘用ナイフ、クロスボウが主に使用されるのである。
ちなみに、帝国軍製ブラスター・ライフルは銃床部分に銃剣ならぬ「銃斧」を接続可能。
著名なロボットアニメにおいても、ガンダムシリーズにおいては初代のザクⅡがヒートホークを装備していた事もあって、以降の作品でもヒートホークやビームホークといった斧型武器が定着している。
だが、やはりザコご用達で強いイメージはなく、味方側の武器としてクローズアップされる事はなかった。
クローバーから発売された亜鉛ダイカストの「ガンダム合体セット」ではハルバート型のソード・ジャベリンを装備していたが本編には登場せず、
本編外では『ナイトガンダム物語編(新SDガンダム外伝)』で創造主に由来する伝説の聖騎士の武器として白金のハルバードが登場したりしたものの、
公式に後継者が出るのはユニコーンガンダムのハイパー・ビーム・ジャベリンまで待つ事となる。実際には原作には登場せずOVA版でも使用したのはガンダムではなくクシャトリヤ・リペアードだが。
しかし同じロボットアニメでもゲッターロボシリーズは例外。
主役機にてエース機のゲッターの主武装はトマホーク。
もはやこれハルバートかグレートアックスかサイスだろって感じになってもゲッタートマホーク。
トマホークと言うからにはトマホークなのである。ソードトマホークとかトマホークランサーって名前にもなった事もあるけど
最強クラスまでいくと木星を飲み込んだ惑星サイズの敵を星ごとぶった切るというエクスカリバーも真っ青な破壊力を誇り、トドメを飾ってくれた。
(ちなみにこの際、木星の衛星ガニメデ(地球の半分、月よりでかい)も進路上にあったので“もののついで”で全部ぶった切っている)
まあゲッターは後々トマホークで神すらぶった切るのでこの程度で驚いてはいけない。
ここまでのインフレに足を踏み込む以前にも、「トマホーク(手斧)は投げると手元に戻ってくる物」という誤解新解釈を生み出した存在である事も見逃せない。
流竜馬/大道剴役の神谷明氏の「トマホゥクッブゥメランッ!!」「ゲッタートマホゥクッ!ブゥゥゥゥゥメランッ!!」の熱演の賜物。
手斧がブーメランしてきたら大体ゲッターのせいだと思いだしてもいい。
もっとも、左右対称の大きな刃を持つ斧という点でG以降のゲッタートマホークに一番近いのは前述の「ラブリュス」なんだけどな!
このゲッターロボの影響もあってか、ガンバスター等スーパーロボット枠ではドリルと並び強武器扱いされる事がある。
特撮での斧
特撮においては「玩具化しやすい」という側面があるとされている。例えば剣だと安全性の面から幼児向けの玩具化の際に刀身を短くされるが、斧ならそこまで形状を変える必要がない。
事実、仮面ライダーシリーズでは結構な数を脇役怪人どころかメイン格ライダーが装備している様が見受けられる。2017年の戦隊モノ『ジュウオウジャー』や『キラメイジャー』でも巨大ロボの上位武器は斧。
特にオーズのプトティラ、ウィザードのインフィニティは劇中最上位クラスの形態で主力武装として斧を装備している。
ドライブでも剛とチェイス、二人のサブライダーを通して非常に印象的なシーンで使われる(というか往生際の悪いラスボスにトドメを刺した)等、扱いはむしろかなりいい方である。
その他でも二号ライダー、三号ライダーのメイン武器として採用される事が多い。
最強武器として採用される事は少ないが、定番の武器カテゴリーとして安定した活躍をみせる存在といえる。
斧を使うキャラクター(斧がモチーフのキャラクター含む)フィクション編
映画・ドラマ
•ウィリアム&リチャード・チャップマン兄弟(悪魔のサンタクロースシリーズ)
•ジェイソン・ボーヒーズ(13日の金曜日シリーズ)
•アクセル(血のバレンタイン)
•ジェリー(THE WALKING DEAD/ウォーキングデッド)
•モーガン・ジョーンズ(THE WALKING DEAD/ウォーキングデッド/フィアー・ザ・ウォーキングデッド)*17
•斧頭会(カンフーハッスル)
•ミッキーマウス(ファンタジア、ファンタジア2000)
•グーン*18(眠れる森の美女)
•リッパー(ラスト・アクション・ヒーロー)
小説
- リタ・ヴラタスキ(All You Need Is Kill(原作))
戦闘機の翼を加工した大型のバトルアックスを得物としている(実写映画版では使用せず、代わりにヘリのテールローターを加工した鉈が登場している)。
その大きさと重さから、常人にはとても使いこなせない代物であり、ループを経験して技術を磨き続けた彼女にしか扱えない。
無謀にも彼女の真似をした兵士が過去にいた様だが、その者は背骨を壊して自力で歩けなくなったという。
後に主人公のケイジもループを経験し、同じバトルアックスを使う様になる。
- クリストファ・アーマライト(スクラップド・プリンセス)
王国特務兵という任務に置ける必要性から、携帯性、隠匿性に優れた組み立て式のバトルアックスを操る。
訓練により使おうと思えばあらゆる武器を使えるし、身の回りの物をとっさの武器として活用する方法や素手での戦闘術にも長けているが、手に馴染んだ武器として信用はしているらしく最後までメインウエポンとして愛用している。
様々な武器の扱いに長けるが、それまでの戦功により、楯としても使える分厚い刃と柄尻に鎖でつながれた開閉式アームのギミックを備える特注の戦斧ウィッチクラフトを与えられてからは、これと拳銃をメインの武器として使う。
幾つもの戦いを共に潜り抜けた信頼のおける武器として思い入れがあるらしく、戦後は軍を離れた際に所有権が譲渡された。普段は会社の秘密倉庫を借りて保管しているが、必要とあれば持ち出す。
•ギム、フレーベ(ロードス島戦記)
•ギムリ(指輪物語)
•五河琴里(デート・ア・ライブ)
•ルードルフ・オイスタッハ、牛頭王の琥珀(ストライク・ザ・ブラッド)
•オルガ=タム(魔弾の王と戦姫)
•ロゥリィ・マーキュリー(ゲート 自衛隊 彼の地にて、斯く戦えり)
•三ノ輪銀(鷲尾須美は勇者である)
•ザ・ヴァーティゴ(ニンジャスレイヤー)
•レスター・マクフェイル(学戦都市アスタリスク)
•メル・ギザルト、ミスシス・V・エクスファー(最弱無敗の神装機竜)
•ディアス・ネッツロース(領民0人スタートの辺境領主様))
ゲーム
『マイクラ』の愛称でお馴染み、大人気オープンワールドビルダーゲーム。
木を切り倒したり木製ブロックを壊す為の道具として斧が登場する。が、斧が適正ツールのブロックは大半が素手でも壊せるので別に必須という訳ではない。
攻撃力は剣と比べて低く武器としてはいまいち……だったのは昔の事。Java Editionのv1.9からは剣よりも攻撃力が高くなり、ダメージ増加など剣のエンチャントが付与できる様になった。
攻撃速度は遅く、ダメージを与えると耐久値を2倍消費するという欠点もあるが、今ではメイン武器の1つとしてプレイヤー間に定着している。
なお、Bedrock Editionでも攻撃系エンチャントを付与できるが、攻撃力は剣より低い。
また、プレイヤー以外にもヴィンディケーターやピグリンブルートといったMobも斧を持っている。どちらも素早い上に攻撃力が非常に高く、防具を着ていないと1、2発でお陀仏になりかねない強敵。
ゾンビは基本的に素手だが、稀に斧を持ったタイプもいる。
- ヤンガス、グレイグ、オルネーゼ、少年シドー
- あくまのきし、しにがみのきし
- さつじんき、エリミネーター、デスストーカー、カンダタ
オルテガ - くびかりぞく、バーサーカー
- まさかりぞく、バーバリアン
- サイおとこ、ライノソルジャー、ライノスキング
- アックスドラゴン、ドラゴンソルジャー、バトルレックス
- デビルアーマー、てっこうまじん、ガーディアン、マジックアーマー、サタンメイル
- からくり兵、ポンコツ兵、プロトキラー (以上全てドラゴンクエストシリーズ)
国民的RPGの一角の斧キャラ/モンスター達。
プレイヤーの武器としては剣系が非常にメジャーであり、斧(ついでに槍も)は長い事冷遇傾向であった。
序盤から中盤にかけて「てつのおの」が意外と強かったりしたものの、終盤に通じる斧のレパートリーがあまりに少なく、命中率は少し低いが会心の一撃が出やすい「まじんのおの」位しかなかったのが痛い。
そうした斧不遇の脱却が図られたのがシリーズ八番目「ドラゴンクエストⅧ 空と海と大地と呪われし姫君」であり、メインキャラの一人であるヤンガスの主力武器としてお世話になる機会が急増した。
対抗馬であるハンマー・鎌に比べて覚えられるスキルに癖がなく、「まじん斬り」系統による破壊力に加え、全体攻撃「オノむそう」やルカニ効果のある「かぶとわり」等、引き出しの豊富さで人気を集める。
斧系武器自体も、入手手段さえ適切であればお世話になる「ムーンアックス」「キングアックス」、明確な最強の斧ポジションとして「はおうのオノ」が名を連ねだし、攻撃力方面でも一安心。
後の十一番目の「ドラゴンクエストXI 過ぎ去りし時を求めて」でも一番遅くに仲間になるグレイグ専用の武器種として登場。上記の特徴をおおむね継ぐだけでなく、盾との併用ができる点も評価されており、メイン武器となる器がそこにあった。
RPG以外でも斧をメイン武器として戦う勇壮な女戦士・オルネーゼがDQヒーローズ2に登場。少年シドーも時にはプレイヤーの手によって斧を与えられたりする。こちらは最終的にハンマーに落ち着くが…。
敵の武器としては「悪人御用達」のイメージなのか、第一作の時点から斧を武器とするモンスターは「あくまのきし」をはじめ数が多く、これだけ列挙できる。
「痛恨の一撃」を得意とする種族が多く、そいつらに絡まれると守りを固めててもHPが低いと、あっという間に死んでしまう羽目になるので注意したほうがよい。
- ガイ、レオンハルト(FF2)
- シド、ルカ、ゲッコウ(FINAL FANTASY Ⅳ THE AFTER YEARS 月の帰還)
- バイキング、バーサーカー、レンジャー(FINAL FANTASYシリーズ)
国民的RPGの一角の斧キャラ/ジョブ達。
上記のドラクエシリーズに比べると強武器の層は厚めだが、ゲームでの斧が不遇になりがちな要因「命中率が低い」に加え、
「最強武器がほかに負ける」(FC版FF3)、「両手持ちが多く盾と併用できない」(FF4)、「ダメージ幅が大きすぎて不安定」(FF5、FFタクティクス)というデメリットに悩まされがちで、なかなか安定して使い辛い。
「出れないナンバリングタイトルも多い」ので、強い斧に出会えたという実感を得辛いのも不遇度アップに貢献してしまった。
目立って不遇脱却できたのはFF11やDS版Ⅲ辺り。一方でFF2でも序盤の層こそ薄いものの命中率は悪くなく、
我慢して熟練度を上げていけば最強の斧「ルーンアクス」がラスダンで大活躍する等、剣に並んで強い武器が多いので最後まで使えた。
また、「FINAL FANTASY Ⅳ THE AFTER YEARS 月の帰還」ではこれをメインにしたいキャラクターが複数登場。欠点のフォローもしやすく、ハンマー共々磨けば光る様になっている。
ちなみにガイのそれはあくまで初期装備であり、レオンハルトも「前衛武器全般が得意」であり、厳密には斧キャラではない。
有名なSRPGシリーズにおける斧使いの兵種達と、斧キャラのあけぼの。
シリーズ全般において純粋な斧使いは正規の軍人としてよりも、賊徒・義勇兵・傭兵という立場での登場が目立つ。
サジマジバーツのトリオは記念すべき第一作に登場する辺境の部族兵達で。生業は木こりであり、斧を用いて戦う。
しかしこのシリーズは素早さの重要度が高い、いや高すぎる*19ゲームシステム上、基本的に重い・命中率が低い・ついでに調達が不便な斧をメインにするのは厳しい。
他の武器種には由緒ある最強の武器が設定されている一方で、呪われた武器「デビルアクス」が最強に設定されているのも、ネタ性の加速に一役買ってしまっただろう…。
但しバーツの成長率だけはガチだった為、アクセントとして採用する価値はあった。
ところが、ほぼリメイクでありかつ続編と言える『紋章の謎』の2部では登場しないので誰も斧を使えないという有様になってしまった。
そして換金しろとばかりに、売値の高い「銀の斧」だけやたら手に入る。そして未開地の敵雑魚の武器としてデビルアクスが猛威を振るう光景は、過去の斧冷遇を象徴する事例の一つ。
シリーズを重ねた後のリメイクである『新・暗黒竜と光の剣』ではバランスが整えられ、斧や3人の使い勝手は大きく向上し、バーツに至っては主力として活躍する。
このリメイクでは自由にクラス変更ができるのが特徴だったが、その中でバーツに向くクラスは斧をメインで扱う戦士や海賊→ウォーリアーやバーサーカーであり、斧キャラの面目はバッチリ保てている。
更に『新・紋章の謎』では3人揃えばトライアングルアタックが使える様にもなり、必中必殺となるこの技が斧の弱点を補う相性の良さも見せた。
ちなみに、FEシリーズでは間接攻撃が出来る「手斧」やその系譜を投げるとブーメランの様に戻ってくる。
伝説の武器ならまだしも一般の武器でもこういう有様で、時にスピーディー、時にいい音立てて風を切る。ゲッタートマホークの影響か?
- ドズル家関係者(ファイアーエムブレム 聖戦の系譜)
伝説の武器の一つ、聖斧スワンチカを用いた斧戦士ネールの血を引く者達。ドズル公国自体も斧騎士団「グラオリッター」を擁する。
シリーズの伝統となる剣・槍・斧の三すくみが導入され、「伝説の斧」が登場する等、「剣・槍と相並ぶ武器としての斧」がゲームバランスに取り入れられた。
…という点では革新的な本作だが、作品自体の斧は敵が使う物としてデザインされ気味であり、性能からしてあからさまに剣・槍より使い辛い。
実態は剣一強であり、進行しやすさに考慮したゲームバランス調整の犠牲、もとい当て馬に近い状態であった。
武器としても重さの与える影響が大きく、追撃できる機会や回避できる機会をむざむざ失い易い事から、「キャラの能力は良いのに斧を使うせいで台無し」と言われる有様。
このタイトルは最も斧不遇の風潮に貢献していたフシがある。
斧をメインで使う味方も相変わらず圧倒的に少なく、ドズル公国は全体としては敵方に属する為スワンチカも敵専用。
しかし、親世代の味方では実質唯一の斧使いであるレックスは高い防御力を持ち成長も早い為優秀。
恐らくアーマー系より盾役しており、魔法を使う敵も少ない親世代では間違いなく活躍する。
子世代でもヨハンは似た様な感じだが…魔法系が増えてくるのでお察し。
結局、斧が真っ当に剣・槍と並び立つ武器と呼べる様になるのは、次作『トラキア776』からとなり、『封印の剣』で少し落ち、『烈火の剣』で持ち直してゆく。
同作の主人公の一人で、斧系+アーマー系という過去に不遇気味だったキャラの特徴を持ちつつも、立派な強キャラであった人物。
『トラキア776』で斧の立場は持ち直したものの、新体制に移行した『封印の剣』ではサブ武器としての需要はあるが、槍共々命中率自体が悪いのと、有力な使い手が多くないつらみを背負っていたが、
振り子調整の波に乗り使い勝手が向上。斧全体の命中率が上方修正され、従来の主人公武器であるレイピアと同特性の「ヴォルフバイル」、本来なら最も苦手な剣歩兵へのカウンター武器「ソードキラー」、
武器レベルSの者に使用が許される王者の斧「バシリコス」、ラスボス戦でバッチリ活躍する天雷の斧「アルマーズ」等、ユニークな武器も多く、メインの一翼を担う様になった。
ヘクトル自身も本来の斧キャラのコンセプトと思われる、攻撃力と守備力に優れた初期値と成長率でもって、安定したパワーキャラとして運用可能。
スピードに優れた剣系ユニットといえど、槍を操るナイト系相手だと三すくみもあって処理が遅れ被弾しやすく、紙装甲にはつらい…そんな流れを若様はパワーで解決する実力者であった。
三すくみシステムで、槍装備が多く守備の高いアーマー系を楽にカチ割れる武器としても使える。
突っ込みどころ満載のボルトアクス将軍。詳しくは項目を参考にされたし。
そして同作における斧は過去作以上に「重さ」を相殺しやすい上に、数の多い槍装備の敵に対して効果的に戦えるので強武器といっても差し支えなく、ここらでようやく不遇脱却を果たしたのであった。
攻速落ちの問題は後に「武器の重さ撤廃」等で更に解消され、剣・槍・弓と対等な立ち位置どころか、極まれば一枚抜ける位の地位を得た事も。
最近のタイトルではプレイヤーフェイズで仕留める武器として人気が高く、2021年最新となる『風花雪月』では斧使い系クラスに「アタリ」も多い。
また、斧を使う下級職としてドラゴンナイト系も加わっている。
三すくみシステムを導入したRPGである本作において斧を担当するミラージュ。盾役としてだけでなく回復役までこなす器用さである。
アドラステア帝国の皇女で、後の皇帝。
ヘクトルを思わせる高い成長率と強化版「疾風迅雷」を引っ提げた女傑。
自分のルート以外ではいずれも終盤の強敵として立ちはだかる。
- ディアン・アグザル・ダウド(ベルウィックサーガ)
上記のファイエムブレムシリーズを手掛けた加賀氏がエンターブレインに移籍して開発したSRPGで、2005年と『蒼炎の軌跡』と同い年に発売。
こちらではSFCやGBA頃に比べると本家とは逆に斧が無茶苦茶強い。
というのも、”回避に影響するのが基本俊敏と地形効果だけで幸運や指揮効果や支援効果はない”、
”他武器より重いのは事実だが体格ではなく筋力で重量を緩和するのでそれらが上がりやすい斧使いはえてしてペナルティを相殺しやすい”、
”防御の高い重騎士に対する対策武器やスキルが充実している為、魔法防御が高い装甲兵にも対応しやすい”、”大抵の斧使いは堅い敵対策以外にも得意分野がある”とこのゲームはシステムが斧に有利にできている。
そのため、技能の伸びが高く命中補正スキルが充実し見切りを持つため重騎士にもアサシンにも対応でき更には連続で波状攻撃が出来るディアン、短剣でダメージが通らず脆い盗賊二人よりも頑丈な為素材集めが安定し更には水面を移動でき潜むで足止めできるアグザル、只でさえ防御が堅いのに成長パターンの所為で育て方次第では人間離れしたステータスになり重騎士顔負けの壁になり攻撃力もすさまじいダウド”と、下手な剣士や魔術師が涙目になる程の人材が揃う。
…え?あらゆる面でへっぽこなデリックはどうなんだって?いや、彼の本職は装甲兵じゃないし。
- 武装商船団、ノーマッド、サラマンダー(ロマンシング サ・ガ2)
- エレン・カーソン、ハーマン(海賊ブラック)(ロマンシング サ・ガ3)
- タイラー、プルミエール、ミーティア(サガフロンティア2)
サガシリーズは上記の3シリーズに比べればメジャー度は落ちるが、斧の優遇度が高いタイトルが多数存在する。
斧不遇の風潮がまだ強かった20世紀頃から引用できる伝説の武器が少ないとされたジャンルにおいて、
「ジルコンの斧」「デストロイヤー」「ホークウィンド」「魔王の斧」「君主の大斧」といった創作された伝説級の武器を多数送り出した事に加え、「斧技」というジャンルを送り出した点も見逃せない。
技能的にひとくくりにされる事が多い棍棒系よりも総じて威力があり、計算式上防御を破りやすい、即死も狙いやすい、範囲攻撃も覚えられる等、おおむね安定した使い勝手を誇る。
時には「腕力」が命中率に関わる事で、武器の重量に負けずこれを振り回せるキャラクターの個性付けを演出する事も。
ある意味極めつけの事例は、ロマンシング サガ -ミンストレルソング-において、過去のタイトルのセルフパロが大爆発した武器がすべて斧系統として登場した*20点も斧マニアにはおいしい話。
斧技もゲッター線の影響を感じさせる「トマホーク」「ヨーヨー」「スカイドライブ」といったブーメランの如き投擲技、
斧という武器のパワフルなイメージをいかんなく発揮する「ブレードロール」「デッドリースピン」といった切り払いの技、
ネーミングと性能の両方でカリスマ性を発揮する「マキ割り」シリーズ、「高速ナブラ」→「シヴァ・トライアングル」等がシリーズファンの間でも語り草。
ダームの街の住人で主人公のデューンを慕っている少女。ゲーム中のグラフィックではシスター姿。
仲間にもなるが初期装備欄にはまさかの「まさかり」。しかもリメイク版でも変化なし。当然のごとくプレイヤーに絶大なインパクトを与えた。
- アーフェン・グリーングラス、ハンイット(薬師/狩人)、アーチボルド、オマール、山賊(OCTOPATH TRAVELER)
同作の世界観ではマルチツールとしての見方が強いらしく、本格的な戦士系以外のジョブの武器になっている。
この中でも薬師は「大切断」「死中活撃断」と、破壊力を引き出すスキルを修得可能。
ゲームシステム上多くの属性を使える様にしておくと有利なタイトルであり、埋もれてはいない。
山賊達は一部のマップで斧を担いだ雑魚敵として登場する一方、商人の「傭兵よび」で味方側の攻撃要員としても登場。
唯一の「斧の全体攻撃」であり、取り巻きを排除する必要があるボス戦では活躍の場が巡ってくる。
- タウロス種(風来のシレンシリーズ)
「ミノタウロスの斧」を持ち歩いて、不意の「痛恨の一撃」をお見舞いしてくるパワー系モンスター。
これだけだと厄介に思えるが、登場タイトルにおいては「対処しやすく経験値がおいしい」「なにより、倒してるとそのうちミノタウロスの斧を奪える」という狩られる対象でもある。
最近はそのポジションを巨大な蛮刀を持つ処刑者種に譲っている。強力な斧を落とす事が問題視されたのだろうか。
シレンシリーズは意外と斧がおいしい役どころになっており、
ノーリスクで会心の一撃効果を放てる様になる 「ミノタウロスの斧」「戦神の斧」
両手装備ではあるが合成素材として使う分には問題なく、攻撃成功時に確定で追撃攻撃の発生する「追撃の大斧」
攻撃力、成長速度、合成印数全てが優秀な上に攻撃後にランダムで混乱を付加させる「混乱の手斧」
…と、いずれも魅力的な能力を持っており、入手できれば冒険がどんどん楽になる代物が揃っている。
ローグライクつながりでもトルネコの大冒険シリーズだと流石に優遇度は劣るが、上記の「ミノタウロスの斧」に相当する武器として「エリミネータの斧」もあるし、
シリーズ全体では「鉄の斧」が中々心強い。序盤に拾える武器としてはシレンシリーズのカタナ位の安心感があり、2では戦士のわざ「モノおとし」のトリガーに指定できるので、餓死に気を付ければ打開のキーになる事も。
※どう見ても斧なのに片手剣や双剣等に分類されている物もある。
「~アックス」はともかく、大剣?ここは斧の項目だろ?と思われるかもしれないが、大剣カテゴリの中には斧型の武器も割とある。
武器自体が大きい為、基本が振り回して使う…すなわち弾性と遠心力を用いて叩き切るモーションは実際の斧の使い方に近い。最近のシリーズでは踏み込んでから溜め切り・タックルによる奇襲等、狩猟に用いた戦い方に近くなっている。
後述のアックス組がどいつもこいつも普通の斧じゃない機構を備えているので、ある意味もっとも斧らしいアクションをしている近い武器かもしれない。
またモンハンで最初に考案されたのも大剣である。巨大ゆえに動きにくく、後に初心者にも扱いやすい武器として片手剣が考案された。そのせいか片手剣カテゴリにもタバルジンやカリンガといった斧が存在する。
でかい得物で巨大なモンスターを狩る。そんなゲームコンセプトを生み出し現在でもシリーズの基礎となる先駆けであるのだ。
スラッシュアックスは斧と剣に変形する機構を持つ武器。略称は剣斧。
リーチに優れた斧モードと威力に優れた剣モードを持ち、更に「ビン」という特殊な内蔵機構も備えている。
変形の仕方は文章では極めて説明しづらいので各自調べられたし。
スラッシュアックスFは「フロンティアナイズ」されたスラッシュアックス。見た目や名前こそほぼ同じだが中身はまるで別物。
チャージアックスは通常時は剣&盾だが、剣と盾を合体させて斧として振るうという驚異の合体機構を持つ武器。略称は盾斧。
スラッシュアックスと同様用にこちらもビン機構を持つ。変形合体、分かりやすい大技などロマン要素たっぷり。
アクセルアックスは外伝作品にのみ登場する武器。略称は爆斧。
見た目は大型の片刃の斧だが、刃と逆側に砲撃機能が備わっており、これを利用した急加速によるアクションが持ち味。
まだ若い少年だが盗賊の親分であり斧の使い手。
シナリオ上はユグドラの方が主人公だが、ミラノはプレイヤーの分身であり、ユグドラの一時退場時もミラノと共にシナリオは進む。そして性能も高い。
1マップに付き1回の使用制限があるカードを使ったSRPGだが、斧用のカードであるスティール(敵の武器を盗む)、グラヴィティカオス(呪い付与で弱体化)が対ボスで活躍する。
そしてボス撃破経験値がカードとキャラに溜まっていく為、勝手にドンドン成長していく。世にも珍しい主役級かつ強力な斧使い。
- トマホークマン(ロックマン6 史上最大の戦い!!、ロックマンエグゼシリーズ)
インディアン(ネイティブアメリカン)の戦士がモチーフで投げ斧型武器「シルバートマホーク」を発射する。『エグゼ』版では直接スイングもして戦う。
ヒュッケバインキラー。斧と銃を融合させた「バスタックス」を携行している。敵のモブ兵からは斧寄りに認識されているらしい。
- エメラルダン(第2次スーパーロボット大戦Z破界篇)
背部に巨大な「阿鬼」・「吽鬼」と呼ばれる二つの斧をマウント。必殺技「阿吽斬魔」で相手を両断する。
しかし登場から何からで察せるだろうがやられ役に…獲物ではなく立場の問題が大きすぎるだけだと思うが。
軍配と大斧を組み合わせた巨大な得物を振り回して戦う。
- シモン・ベルモンド等ベルモンド一族、グランド・ダナスティ、アルカード、オールドアックスアーマー(悪魔城ドラキュラシリーズ)
サブ武器として、放物線を描いて飛んでいく手斧を使う。ムチの死角をいい感じにカバーしてくれる。
斧がモチーフのポケモン。その名の通り斧の様な牙をもつ。こうげきの高さと「かたやぶり」が自慢。
- アックスナイト(星のカービィ)
メタナイツの一員。
- バッツ(星のカービィ2)
アックスナイト(特に旧デザイン)と酷似しているが関係は不明。
- マスクド・デデデ、ブラックデデデ(星のカービィ)
「トリプルデラックス」で形態移行時に近くの像の斧を奪って使用した。
三魔官シスターズの一人であり、彼女は氷の属性を持っている。
斧で薙ぎ払うほか巨大な刃で攻撃する。ちなみに名前の由来は上記のフランキスカであり、彼女の武器もそれだとされている。
余談だが、コピー能力には斧を使ったコピーが一切存在しておらず、上記のデデデも自分の意志で使った事が全く無い。
この世の悪を守る為マリオ達の前に立ちはだかるカジオー軍団の一員達。
人型合体ロボまでは持っていないが、代わりに斧をモチーフにした移動要塞「オノフォース」を擁する。
悪役御用達ではあったものの、90年代にしては脚光を浴びている方である。
- ホワイトハート(超次元ゲイム ネプテューヌシリーズ)
変身前ではハンマーを使っていたが、変身すると斧に変化する。変身前後で武器が変わる希少なキャラ。
ちなみに攻撃方法が劇的に変化する事は無く、重戦車型のステータスで戦うスタイルもそのまま。
- コンゴール(レジェンドオブドラグーン)
ギガント族最後の戦士。
『不遇のオッサンキャラ、そして土属性と合わさったりした日には、もう活躍の場なんて無い事が確約している様なものである』を体現してしまった男。
HP、攻撃力はあるが、素早さが高い程行動できる回数が増えるシステムのため火力で優位に立てない辺りが辛い。
- サラーサ、ガウェイン等(グランブルーファンタジー)
大鎌やギター、ソーセージの様な「ゲームシステム上は斧として扱われる武器」も含めれば多数の斧使いが登場する。
斧とは大雑把な分類でしかないのか…。
- サバット、ドラコ、フレアデス(モンスターファーム2)
それぞれSUBがドラゴンのケンタウロス、チャッキー、ジョーカー種。
このゲームのドラゴンは別に武器を持っている訳ではないが、何故か手持ちの得物が斧に変化するという不思議な共通項がある。
フレアデスの場合は大鎌の反対側が斧っぽいので厳密には異なるかも。
槍・剣・斧を装備できるが、大抵初期装備で2マス先まで攻撃できる槍か、途中で勧められる高攻撃力・特殊効果付与が優秀な剣かのどちらかのほうが使いやすい。
本作では斧派は少なく不遇である事を体現している。しかも続編では斧が装備できなくなっている。
- ラルク(聖剣伝説LEGEND OF MANA)
かつて「砦落としのラルク」と呼ばれた獣人の戦士で片手斧の使い手。
過ぎたる野心により奈落に落とされた竜帝ティアマットの要請を受け、彼のドラグーンとなっている。
- アマゾン(ドラゴンズクラウン)
両手武器(斧)を好んで使う、恐れを知らない屈強な女戦士。
攻めを継続させ続ける事により「バーサーク」特性でパワーアップする、攻撃的な立ち回りを要求するキャラになっている。
典韋は手斧系統、張遼は6から両手に一本ずつ携える「双鉞」、徐晃は大斧(たまに戟)を使いこなす。どれもゲームジャンルに合わせてガンガン敵を薙ぎ払える。
賈充は二丁一組の「舞投刃」なる手斧系統の武器を投げて操るが、6~7の晋勢力の武器らしく挙動が中々トンデモ。
辛憲英は8より登場し、ゆるいキャラの雰囲気に反して攻撃が高く防御が低い「大鉞」を得意とする。
柴田勝家は二丁斧の使い手。質実剛健な雰囲気と使い勝手を併せ持つ。
- ガスコイン神父(Bloodborne)
本作に登場する仕掛け武器の一つ獣狩りの斧の使い手で、ストーリー上の最初のボス。
最初のボスだからそんなに手強くないなんて事がフロムゲーたる本作にある筈もなく、
撃破トロフィー取得率が50%前後=挑んだプレイヤーの半数程の心を折ってきた序盤の壁。
その初心者プレイヤーにとっては凄まじい強さに加え、プレイヤーには使えない専用モーション、具体的には「先端を地面に擦り付け地面と斧の先端から火花を散らしながら斬り上げ」、「両手持ち形態を片手で振り回しつつ銃を使う」等を駆使したパワフルな戦闘を見せてくれる。
獣狩りの斧は初期装備として貰える武器の一つでもあり、仕掛けによりリーチが少々短い代わりに変形後よりは素早く振れる片手持ちと、
柄を長く伸ばした攻撃範囲とリーチに優れる両手持ちを切り替える事が出来る筋力系武器となっている。
他の初期装備と比べて比較的攻撃速度が遅い代わり、攻撃力とリゲイン*21の量が高く、敵を怯ませる力も強い。
特に変形後の溜め攻撃はかなりの広範囲を2度に渡って斬り付けられる上に吹き飛ばし作用もある為、群がる雑魚を一気に掃除する他では味わえない爽快感を楽しめる。
一体の強敵エネミーに対しても、溜め時間とヒット後の吹き飛ばし・起き上がりのタイミングを上手く良く合わせれば一方的に殴り続ける事も可能。
対人戦用武器としてはあまり向かないため対人志向のプレイヤーからは人気とは言えないが、ストーリーを遊ぶ分には十分な性能を持っている。
総じて「ノコギリ鉈」と並んで初心者にオススメされる人気の初期装備であり、強化すれば最後まで頼りになる優秀な武器である。
ゲームに出て来る斧(使い)としてはかなり優遇されている方と言え、ブラボプレイヤーから「斧は地味・不遇」という言葉を聞く事は無いだろう。
- CZ75(ドールズフロントライン)
同名のハンドガンを扱う戦術人形……なのだが、もう片方の手には斧を手にしている。
ドルフロにおけるハンドガンはバフスキルや陣形効果による補助役が基本だが、彼女はあろう事かスキルで斧をぶん投げる。
単純火力はライフルの狙撃スキルに劣るものの回転率で勝る為、主にハンドガン5人による省資源のボス周回に利用される事が多い。
- ナイト・アーサー(魔界村シリーズ)
シリーズ通して一貫して凄く使い辛いハズレ武器。
前方少し上に手斧を投げ、小さな放物線を描いて落下していく。貫通するので雑魚をまとめて倒せる。
ただ逆に貫通する為単体には1Hitしかせず、接近戦では火力も範囲もたいまつに劣り、消えるまで連射も効かず飛距離も短いので遠距離戦では槍に劣る。
思いつく限りの相性の悪い点を寄せ集めた様な存在の武器で、斧でなければクリアできない場面はなく、逆に斧だとクリア困難な場面が多い。
大魔界村では魔法の鎧で爆発魔法を発動できるが、範囲が狭い上に攻撃判定が主に真上というどうしようもない仕様。
更に「大」では最初は『斧』として登場したのに、なぜか移植版で特に見た目の変更もないのに『大鎌』という名目にされた。おのれカプコン。
超魔界村では多少は横に飛ぶ様になったが、パワーアップすると死ぬ程使いにくい軌道を描くので、雑魚が押し寄せるだけで死ぬ。
特に天井が低いと接触して消える為、実質敵を攻撃できないという事態に陥る。もういっそ前作の大剣みたいに握って斬れよ…。
斧魔法ライトニングも全8方向と広範囲に攻撃できるが、当たり判定が微妙過ぎてまともに当たらない上に威力が弱い。更に鈍い。
但し多段ヒットするので大きくて動き回る敵になら多少ダメージも上がる。「超」ではクロスソードと底辺争いをしている。
そして極魔界村と帰ってきた魔界村では未登場。ちなみに帰ってきた魔界村ではハンマーがシリーズ初参戦を果たした。おのれカプコン(2回目)
- むらびと(どうぶつの森シリーズ)
木を伐採する為の道具としてオノを使用可能。あくまで木を切る為の物であり、他の住人を攻撃する事は出来ない。
そしてスマブラに外部出演する際にも採用されたが、こちらは木が生えた状態でなら他のファイターを直接攻撃できる様になってしまった…。
- フェンサー(THE 地球防衛軍シリーズ)
強化外骨格を纏った重装兵科。普通の人間には到底扱えない、巨大な武器や機関砲で戦う。
「フォース・アックス」という超巨大な両刃斧を扱う事が可能。射程は短いが威力が高い。
更にこの斧、なんと斧系統のマイナス属性筆頭株の「重い、鈍い、取り回しが難しい」という面を全て克服している珍しい斧。
攻撃速度・チャージ速度・リロード速度が速い為、使いこなせる様になると大体のミッションで使える汎用性の高い武器となっている。
但し空中の相手への攻撃判定がない為、切り替え武装には射撃系等、対空装備が必須となる。
- ディアーネ(モンスターメーカー)
『モンスターメーカー』シリーズ第1作からの皆勤賞キャラで、主にセンターを飾る事が多い女戦士。
空色の鎧に大きな両刃斧を武器として愛用する。豊かな栗色の髪と、水色のヘアバンドが特徴。
コミカライズ作品『モンスターメーカー・サガ』では主人公に抜擢された。究極武器のホーリーアクス(一部ではホリーアクス表記)は神々でさえただでは済まない。
男戦士のアルシャルクも長柄斧を持った重装戦士だが、勇者になると槍に持ち替える。裏切り者め!
- レジスタンス、王国騎士(ガーディアンヒーローズ)
レジスタンスは特定のルートのみ登場するモブ、王国騎士は全編に登場する中ザコ。
王国騎士はグレートアックスとも言える長柄斧を振り回し、キャラ性能もそれなりに高い。
レジスタンスはバケツと薪割り斧で戦う村の青年達で、攻撃判定が刃の部分しかない。
どちらにしろ優遇されているとは言い難いやられ役のザコ担当。
- ロック(ソウルエッジ)
ソウルキャリバーではメイスに変更。
- アスタロス、リザードマン(ソウルキャリバー)
リザードマンはIIIから使用。
- アクスリー(スラッシュアウト)
長い柄の斧が武器。
- ハントレス(Dead by Daylight)
初期から登場する女性の殺人鬼。常時動物の仮面をつけていて素顔が見えず、ロシア民謡の子守歌を口ずさむ。
投斧と薪割り斧を使い分け、特に投斧は熟練プレイヤーが使うと視認距離を超えた遠投攻撃も可能。
ハントレスの過去を語る文章では、ロシア帝国領内に侵攻してきたドイツ軍兵士に斧一つで渡り合うシーンがある等、数ある殺人鬼の中でも屈指の戦歴を持つ。
- ギリウス=サンダーヘッド、デス=アダー、ゴア、ダムド=ヘルストライク、ギリウス=ロックヘッド(ゴールデンアックスシリーズ)
地の神が命を込めて鍛え上げ、巨人族を封印した「ゴールデンアックス」をめぐる物語における斧使いのキャラ達。
ギリウス=サンダーヘッドはドワーフの中でも極めてたくましい男であり、兄の形見の斧を使って戦う。
デス=アダーはシリーズの顔となるラスボスで、封印されていたゴールデンアックスを卑劣な手で奪い取り悪用しようとしている。
Xbox360で発売された初代リメイクの『Golden Axe Beast Rider』ではプレイヤーキャラがゴールデンアックスを使いデス=アダーに挑むという展開に。
ほぼ全員に共通して斧を武器とするクラス。
その名の通り所謂山賊であり、「攻撃特化で防御力は紙(中には攻撃力を大幅強化する代わりに防御力を0にするスキルを持つ者も)」
「鎧を着込んだクラス『アーマー』に対して特効を持つ」といった斧使いのイメージの典型的なステータス傾向を持つ。
リリース初期やプレイし始めたての頃はまま頼りになったが、ゲームの進行やリリースから年数が経ってのインフレの波に飲まれ、
後から出て来るより強力な性能を持ったクラスには流石に勝てず、遺憾ながら現在も第一線で大活躍しているとは言い難い。
一応、ユニットもまだ出揃っていない様な初期の頃なら今でもバンデットのお世話になるだろう。
•ワッツ(聖剣伝説)
•降神あから(スクールガールストライカーズ)
•リッド、プレセア、マリー、ロニ、バルバトス、フォレスト(テイルズオブシリーズ)
•グリシーヌ・ブルーメール(サクラ大戦シリーズ)
•鋼鉄参謀ユーミル(クイーンズゲイト)
•リーゼリット(Fate/stay night)
•ヘラクレス、坂田金時、アステリオス、ダレイオス三世、エイリーク・ブラッドアクス、ポール・バニヤン(Fate/Grand Order)
•長宗我部モトチカ(戦国乙女)
•竜宮レナ(ひぐらしのなく頃に)
•メルヴィア(トトリのアトリエ ~アーランドの錬金術士2~)
•シグムント・オルランド(英雄伝説 碧の軌跡)
•アイアンナック(ゼルダの伝説 時のオカリナ)
•Chariot(Type 27)(ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド)
•クアール(ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド2)
•パーシパル(ナイツオブザラウンド)
•ドワーフ、ミノタウルス(キングオブドラゴンズ)
•マムシ(闘いの挽歌)
•斧男(クロックタワー3)
•稲葉正男(女神異聞録ペルソナ(PS)/ペルソナ(PSP))
•荒垣真次郎(ペルソナ3)
•ラビリス(ペルソナ4)
•奥村春/ノワール(ペルソナ5)
•メノウ、ユウオウ、クビラ、ヤエギリ、T-elos Re:(ゼノブレイド2)
•エリック(ワールドヒーローズ2)
•高橋名人(高橋名人の冒険島)
•ゴーガン(魔境伝説)
•アバ(A.B.A)(ギルティギア)
•バド(エルドラドシリーズ)
•ディゴス(ラングリッサー)
•ヨルムンガンド(絶対防衛レヴィアタン)
•祀(閃乱カグラNewWave)
•黄金の戦斧ゴールディー(クイーンズブレイド グリムワール)
•オオオニバス、ネモフィラ、イフェイオン、イソギク、ネジバナなど(FLOWER KNIGHT GIRL)
•クレイトス(ゴッド・オブ・ウォー2018年版)
•アルシャルク(モンスターメーカー)
•マテライト、ヘビーアーマー系の皆さん(バハムートラグーン)
•ウウマ(マジックソード)
•バルク将軍(ラングリッサーⅣ)
•ツインザム1(超鋼戦紀キカイオー)
•接ぎ木のゴドリック、最初の王、ゴッドフレイ(ELDEN RING)
アニメ・漫画
炭治郎や父・炭十郎は代々炭焼きを生業にしていた為、本来カタナは持っていない。(そもそも廃刀令が出ている)
その為、日輪刀の存在を知るまでは斧で義勇や鬼と戦っている。
特に父・炭十郎は生まれながらに体が弱かったが、ヒノカミ神楽の呼吸を体得していた為、斧一本で大熊を一瞬のうちに斬首した。
他にも鬼殺隊の柱・悲鳴嶼の日輪刀は隊士の中でも最も異質で、なんと手斧+鎖+トゲ鉄球。日輪…刀?
この鎖鎌ならぬ鎖斧、作中でも屈指の威力と性能を誇り、悲鳴嶼が柱最強なのもあって敵副将を斃し、ラスボスを追い詰めた程。
手斧、鉄球、鎖の全てが高純度の猩々緋砂鉄と猩々緋鉱石で製錬されており、蓄積された陽光の力も非常に強い。
その為、手斧の斬撃や鉄球の打撃だけでなく鎖が絡み付くだけでも鬼への致命傷となり得る。
しかも単なる怪力と破壊力任せの力押し等ではなく、これらを巧みに操り変幻自在の攻防一体の武器となしている。
刀が主役のはずの物語で、まさかの斧使いがリーダーで最強という、マンガ斧界隈の超新星である。
第一部(心の叫び~拳王様御帰天)では斧を持ったモヒカンが雑魚として大量に出現する。
村人達を脅かすものの、ケンシロウに投げた斧を投げ返されて頭をかち割られたり首ちょんぱしたりともれなく不遇、もとい安定と信頼の殺られ役。
時が流れてからはヘルメットをした天帝軍兵士や、スキンヘッドな連中に立場を譲りほぼ絶滅した。
突風を起こす『真空の斧』を使いこなす豪放なリザードマン。驚異的なタフネスさを持つ。
彼の場合、武器は補助的な扱いであり、怪力と闘気による戦いがメインとなっている為、劇中ではよく破壊される。
斧を持ったパワータイプの末路とでもいう様に、劇中では「く、クロコダイーン!!」される。
終盤ではロン・ベルク謹製で業火と爆音を巻き起こす大戦斧『グレイトアックス』を武器にするが、やっぱりカマセ扱いなのは否めない。
もっとも、その驚異的タフネスで相手の大技を引き受け浪費させる役割も果たしている。斧関係なくなってるけど
前述の通り、トマホークがブーメランになる解釈の元になったロボット。尚、斧を装備するのはゲッター1系列のみである。
必殺技はビームやエネルギー系に譲りがちだが、ほとんどの戦闘ではトマホークが大活躍する。というかトドメ以外ではビームの方がかませ犬。
アニメ版『ゲッターロボ號』後半では当時の風潮に便乗して剣と斧を合体させたマルチウェポン・ソードトマホークが活躍した。
OVAシリーズではトマホークに全エネルギーを集中させたファイナルゲッタートマホークが猛威を振るっている。
刃を加熱して対象を溶断する「ヒートホーク」が初代から登場。
コロニー建設作業用の工具から発展した白兵戦用武器で、ビームサーベルとも切り結べる。
MS用の斧型武器はジオン系の量産機の多く(ザクⅡ関係、ドライセン、ギラ・ドーガ、ギラ・ズール)が装備している。
ほか、宇宙世紀以外のガンダムシリーズでも、ジェニス(ガンダムX)のヒートホーク、ジラ(ガンダムAGE第一部)のヒートホーク、グレイズ(鉄血)のバトルアックスと、似た様なポジションの敵側量産機の標準武装として採用されるケースが多い。
- ビアレス(聖戦士ダンバイン)
クの国で独自に開発されたオーラバトラーの一種。斧や鎌の様な形のオーラソードを2本持ちしているのが特徴。投擲する事もあった。
- ゴダード/テッカマンアックス(宇宙の騎士 テッカマンブレード)
主人公とそのライバルである弟。その敵味方に分かれた二人の師匠にして父親代わりだったゴダードが変身するテッカマン。
斧を主武装としながらも、師匠という大事なポジション、劇中でも屈指の実力者として描かれている斧界では割と珍しい存在。
- 星宮いちご(アイカツ!)
戦闘ではなく、クリスマスツリー用の木を調達するのに使用。創作物では珍しく日用道具としてのみの登場。
ちなみに劇中でこの伐採は伝統行事と化し、彼女の後輩達も斧を振るっている。
戦闘で使うのは一部ゲームのみ。
- ビィト(冒険王ビィト)
剣、槍、盾、銃、斧の5種類の武器を生み出して使う。しかし、当然の如くメインは剣。
一方肝心の斧の方はといえば、重たく制御が難しいが破壊力は随一といった特性から何度か一か八かの切り札として使われ、主人公の危機を何度か救うなど扱いは恵まれている。
メイン武器は牙斬刀だが、二丁拳銃「ブレストリガー」を合体させると巨大な戦斧「ブレストマホーク」になる。
- ヴィクター・パワード(武装錬金)
ラスボスにして最強の武装錬金「フェイタルアトラクション」の使い手。
ラスボスで最強の斧使いという斧界のレジェンド的存在。
電撃大斬剣グリッドマンキャリバーが変形したパワードアックスが武器。
- サファイア(リボンの騎士)
本来はレイピアを使って戦うが、X連合に立ち向かう際には王家の珠から斧を作ってもらった為それを装備してエックスとの最終決戦に臨んでいる。
また、斧とモーニングスターを合体させた様な武器を持って戦った事がある。
剣が主役のはずの物語で、ラスボス戦で斧が活躍し、斧とモーニングスターを合体させた様な武器が登場する点は案外『鬼滅の刃』と似ているかも知れない。
いずれも斧をメインの凶器として使用する怪人。前者はストーリー上の都合で4件中2件しか使ってないけど。
被害者の脳天を叩き割る光景を生中継する、死体の顔をグチャグチャに切り刻むといったなかなかエグい使われ方がされている。
本来の武器ではないが、オリジナルダイノボットとしての最後の戦いにおいて、
武器を失い棍棒でメガトロン(ビーストウォーズ)に殴りかかるも通じず窮地に陥った際に倒れた先にあった石を棍棒に突き刺して石斧とし、メガトロンに一瞬のスキを作る事に成功した。
この戦いで直接人類を救ったばかりか、この石斧が人類の成長を促した事も示唆されている。
•ランバーガンダム、アラクノガンダム(機動武闘伝Gガンダム)
•ガンダム・グシオンリベイク、グレイズ系統(機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ)
•龍機ドラグーン(ナイトガンダム物語編(新SDガンダム外伝))
•ガ・オーン(伝説の勇者ダ・ガーン)
•ドリルシルバー(黄金勇者ゴルドラン)
•グラチェス&リューチーフ・シャインバラム(覇王大系リューナイト)
•コンボイ(戦え!超ロボット生命体トランスフォーマー)
•フェクダのトール(聖闘士星矢)
•比婆王ダン(天空戦記シュラト)
•ガドウェド、ディアブロ・オブ・マンデイ(ガン×ソード GUN SWORD)
•レッド(RED)
•レオ閣下(DOG DAYS)
•小南桐絵(ワールドトリガー)
•三宮三葉(終わりのセラフ)
•四ノ宮キコル(怪獣8号)
•エスカノール(七つの大罪)
•琥珀の騎士タリスカー、<不死身>のドロナック(黙示録の四騎士)
•阿武隈四入道(るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-)
•ペガント(グラン・バガン)
•アースグランナーバッファゲータ(トミカ絆合体 アースグランナー)
•武威(幽☆遊☆白書)
•ゾンゲ(トリコ)
•斧手のモーガン、スコッパー・ギャバン(ONE PIECE)
•三冠王(逆転イッパツマン)
•アレッシー(ジョジョの奇妙な冒険 Part3 スターダストクルセイダース)
•天津影久、荒篠獅子也(無限の住人)
•ファラー・ウムラウフ(ブブキ・ブランキ)
•ロボクレス(ブロッカー軍団IV マシーンブラスター)
•カゼノオ(ヤマトタケル)
•ブザライ(金色のガッシュ!!)
•花村理一郎、白龍、阿権(我間乱〜GAMARAN〜)
•デバレス(魁!!男塾)
•ジェロニモ(暁!!男塾)
•ゾンビマン(ワンパンマン)
•"ミノタウルス"のバッキー・ブライアント(TOUGH 龍を継ぐ男)
•トルケル(ヴィンランド・サガ)
冥冥(呪術廻戦)
アメコミ
- ソー、エクスキューショナー、 ブラッドアックス、デサック、ラウフェイ、アレス(マイティ・ソー)
ハンマー『ムジョルニア』だけだと思った?残念、実は斧も使っている。
その名も大戦斧『ストームブレイカー』。見た目は武骨な石斧にも見えるが、「アスガルドの歴史上最強の王の武器」と称される。
但し高潔な魂の者しか扱えない『ムジョルニア』と違い誰でも使えるという利便性が後に仇となり悪役が使う武器の因果からは逃れられなかった。
•テラックス (シルバーサーファー)
•アナクロニズム(アベンジャーズ)
•ステッペンウルフ(DCコミックス)
特撮
アシストウェポン・バリアーシールドはサンダーアックスという斧に変形するが、使用したのは第9話のシノビラー戦のみ。
- デーボ・ブレイブスキー(獣電戦隊キョウリュウジャー)
典型的なオタクイメージのポスターと旗をモチーフにした「マニアックス」を持つが、最大の特徴は柄の方に形成されるエネルギーの刃で切り裂き、一般的に刃がついている方は盾以外に使い道がないただの頑丈な板の為、アックスという名前でありながら斧みたいにでかいプレートのついた短刀と言った方が正しい変な武器となっている。
- 将軍ケスノーチ(恐竜戦隊コセイドン)
両刃の斧が武器で、自身も斧がモチーフ。
- コング(ゴジラVSコング)
クライマックスで、コング種族の先祖が作り出した武器コングアックスを使って戦った。
ゴジラシリーズの生身の巨大怪獣でありながら武器を使うキャラクターというのは何気に本作のコングが初。
ゴジラシリーズに限らず怪獣もの全般でも怪獣と言えば「知能は低く本能で戦う」「自分の肉体が最強の武器」というキャラクター付けが多く武器を使うものは少ない。あるとしてもせいぜい岩等を拾って投げつけたり大木を棍棒代わりに使う等その場の物を一時的に活用する程度で、本作のコングの様に正式に武器として作られた物を装備して使うというのは珍しい。
しかもそのコングアックスはゴジラとも因縁深い武器でありストーリー的にも重要な役割を果たした。
•モルド(アンドロメロス)
•モルド・スペクター(ウルトラマンX)
•バトルフィーバーロボ(バトルフィーバーJ)
•マサカリベアー(科学戦隊ダイナマン)
•モンスター、アックスメガス(超電子バイオマン)
•ドクター・オブラー(超獣戦隊ライブマン)
•ジェットイカロス(鳥人戦隊ジェットマン)
•マンモスレンジャー/ゴウシ(恐竜戦隊ジュウレンジャー)
•オーグリーン/四日市昌平(超力戦隊オーレンジャー)
•ゾクグリーン(激走戦隊カーレンジャー)
•メガブルー/並木瞬、ネジブルー(電磁戦隊メガレンジャー)
•黒騎士/ヒュウガ、合身獣士ブルタウラス、破王バットバス、ザッカス(星獣戦隊ギンガマン)
•ガオブラック/牛込草太郎、シュテン、タイヤオルグ(百獣戦隊ガオレンジャー)
•轟雷神(忍風戦隊ハリケンジャー)
•マックスオージャ(爆竜戦隊アバレンジャー)
•マジグリーン/小津蒔人(魔法戦隊マジレンジャー)
•オウガ(轟轟戦隊ボウケンジャー)
•ゴーオングリーン/城範人(炎神戦隊ゴーオンジャー)
•ゴセイブラック/アグリ、ゴセイワンダー、惑星のモンス・ドレイク、オルトウロスヘッダーのナモノ・ガタリ(天装戦隊ゴセイジャー)
•ギガントキョウリュウジン、哀しみの戦騎アイガロン(獣電戦隊キョウリュウジャー)
•トッキュウ4号/ヒカリ(烈車戦隊トッキュウジャー)
•シュリケンジン・パオーン(手裏剣戦隊ニンニンジャー)
•キューブクマ、ワイルドジュウオウキング(動物戦隊ジュウオウジャー)
•オウシブラック/チャンプ(宇宙戦隊キュウレンジャー)
・グレイトフルフェニックス(魔進戦隊キラメイジャー)
•ドントラボルト/桃谷ジロウ(闇ジロウ)(暴太郎戦隊ドンブラザーズ)
•キングコーカサスカブト、ダイゴーグ(王様戦隊キングオージャー)
•ピッケルシャーク、ドクトルG/カニレーザー(仮面ライダーV3)
•荒ワシ師団長(仮面ライダーストロンガー)
•仮面ライダータイガ(仮面ライダー龍騎)
•仮面ライダーカブト(仮面ライダーカブト)
•織田秀成/仮面ライダーヘラクス(劇場版 仮面ライダーカブト GOD SPEED LOVE)
•仮面ライダー電王・アックスフォーム、ウイングフォーム、キンタロス(仮面ライダー電王)
•仮面ライダーオーズ・プトティラコンボ(仮面ライダーOOO)
•仮面ライダーウィザード・インフィニティースタイル(仮面ライダーウィザード)
•仮面ライダーソーサラー(劇場版 仮面ライダーウィザード in Magic Land)
•仮面ライダー龍玄・ヨモツヘグリアームズ、シンムグルン(仮面ライダー鎧武)
•仮面ライダーチェイサー(仮面ライダードライブ)
•天空寺龍、斧眼魔(仮面ライダーゴースト)
•仮面ライダーパラドクス・パーフェクトノックアウトゲーマー レベル99(仮面ライダーエグゼイド)
•仮面ライダーゲイツ(仮面ライダージオウ)
•仮面ライダーゼロワン・シャイニングホッパー/シャイニングアサルトホッパー(仮面ライダーゼロワン)
•ロード・オブ・ワイズ スパルタン(仮面ライダーセイバー)
•仮面ライダーリバイ(仮面ライダーリバイス)
•ビートフォーム(仮面ライダーギーツ)
•松本(時空戦士スピルバン)
•カバドス(テツワン探偵ロボタック)
•秋月ダイゴ/獣身騎士・戯牙(牙狼-GARO- -GOLDSTORM- 翔)
•バトルホーク、ビッグホーク、クインホーク(バトルホーク)
•ドワルキン(小さなスーパーマン ガンバロン)
•マサカリデスパー(イナズマンF)
•オノ男(星雲仮面マシンマン)
•インパクター・ラディア(超星神グランセイザー)
•ビートルセイザー(超星艦隊セイザーX)
玩具
追記・修正は斧を片手にお願いします。
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*2 紀元前2900~2400年頃の新石器時代末期から銅器時代を経て青銅器時代初期にかけ、ヨーロッパ北部一帯に広まった一連の考古文化。
*3 ちなみに花瓶を返却しようとしたのは、彼が惚れてたキリスト教徒の娘の気を惹きたかったから
*4 王が「おい兵士、お前そのサンダルどうしたんだ?」と尋ね、兵士が足元を見ようと前屈みになった所を不意打ちで頭蓋を叩き割った。
*5 ソバ切り包丁の柄を長く伸ばした具合
*6 skeggjaではなくskekkjaと記述されたものも見られる。そちらだと歪みや誤りといった意味になる
*7 上述の髭斧からか
*8 こちらも髭斧を指すと考えられる。バルザはアックスの一種でスケッギャはハルバードの一種と紹介する資料もあるので長さ大きさで区別していたのかもしれない
*9 実際の所、聖ヘルメネギルドの象徴物としての斧は彼が斧によって殺された殉教者である所が大きいのだが、妻が信仰上の対立により自身の継母に虐待された事を知って激昂した際、自身の戦斧を部屋の扉に投げつけたというエピソードがある
*10 曰く「本日ご紹介するこの錫の斧、ネルガル様の為に特別にあつらえた逸品となっておりまして木の部分はアラルの石より優れましたるアルガナムの木を山から取ってきております! 更に石の部分はなんとアンタスラ! 並ぶものなき石を贅沢に使っております。その出来の素晴らしさたるやいくら振るっても持ち主を疲れさせるという事がありません! 勿論アフターケアも万全で故障の際は修理させていただきますし、紛失した際は新しいものを作って交換対応させていただきます! そして気になるお値段はなんと水だけ! 私が生きている間見守っていただいて、死んだ後は冥界で綺麗な水を提供していただければこれで充分でございます! 何卒宜しくお願い致します!」by商人ルガルクバの子、ニブルタル
*11 より成立が古い『リグ・ヴェーダ』ではインドラはトリタ神に命じてトリシラスを殺させており、自ら手を下した『マハーバーラタ』版でも命令を遂行させたという構図を引き継いでいるのではないかという見方もある
*12 なお伝説の中にはこのパターン以外にも自分の剣を使ったとか自分の戦斧を使ったというものもある。
*13 ホームセンター等で売っている物からは想像しにくいが、軍用スコップはきちんと手入れすればそれこそ戦斧の代わりになる位には刃物として使える様になる
*14 廃品等を利用した即席爆弾
*15 実際は槍の方が余程重いし、槍を振るうなら構造上はもっと腕力がいるのだが…。
*16 特に強化の上限が無いせいで正攻法ではまず攻撃が当たらなくなるディスガイア5
*17 「フィアー・ザ・ウォーキングデッド」シーズン6から使用。途中から柄の先を尖らせ槍としても使用出来るよう加工。
*18 ワニ(アリゲーター)型のみ。鷹型は弓、コウモリ型は包丁、ヤギ型とハゲワシ型は槍、イノシシ型は剣が武器。
*19 素早さから各種要素を引いた数値が敵のそれを上回ると、追撃(再攻撃)ができてダメージが更に上乗せされる為。タイトルによっては回避率への影響も大きい。
*20 魔界塔士に対応した「ビルキース」、ロマサガ2に対応した「エピックヒーロー」、ロマサガ3に対応した「デストロイヤー」、サガフロ2に対応した「コスモエッグ」、アンサガに対応した「ロードオブカオス」の5つ。
*21 攻撃を受けた直後に反撃する事で、受けたダメージを回復できる機能
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