登録日:2018/03/14 Wed 03:08:34
更新日:2024/02/19 Mon 13:16:15NEW!
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突然ですが、ここでクイズです
「金太郎」の正しいストーリー、説明できますか?
制限時間は3分。よーい、スタート!
……たぶんこう言われても戸惑う人が大多数だろう。
それもそのはず、この物語は異説が非常に多く、クライマックス以外のほぼ全てが語られている媒体によって異なっているのである。
「足柄山に住むまさかり担いだ金太郎がクマと相撲したりクマに跨って御馬の稽古をする」以外ほとんど何もわからない、という人も多いだろう。
桃太郎、浦島太郎と並ぶ日本三太郎の一角であり、EH500形の愛称(ECO-POWER金太郎)で有名であるが、
桃と浦島は細部は多少異なっても大筋のシナリオは日本人全員が共通のはずなのに、金太郎はまず誰も説明できない。
テレビ番組『トリビアの泉』では「どれくらいの日本人が昔話「金太郎」の大筋のシナリオを話せるのか」という検証がされたが、正確に話せたのは4700人中67人、割合だとなんとたった1.4%という散々な結果だった。同時に行われた桃太郎は91%、浦島太郎は73%だったのに対し明らかに少な過ぎる。
というわけで、ここでは「金太郎」について少しばかり説明したいと思う。
そもそも金太郎とは?
金太郎とは、坂田金時(さかたのきんとき)の幼名である。
……決して銀魂の主人公ではない。元ネタではあるけれど。[[ついでにパロディキャラの偽者が元ネタと同名という訳の分からない事態も起きたけど。>坂田金時(銀魂)]]
坂田金時とは、源頼光の部下である「頼光四天王」の一角。
他の三人は恐ろしくマイナーだが、渡辺綱、碓井貞光、卜部季武。
しかも筆頭格とされるのは渡辺綱で、金時ではない*1。
江戸の和泉太夫が語り始めた古浄瑠璃のひとつ『金平浄瑠璃』では
息子である坂田金平(公平)が主役で人気となった。
実在性についてだが、「恐らくは架空の人物、ただしモデルはいる」と言ったところか(頼光の方は実在の人物である。ただし酒呑童子退治はさすがに創作)。
「下毛野公時」(しもつけのきみとき/きんとき)という人物がモデルになったと思われる。
次代が下るにつれて「公時」がいつの間にか「金時」となり、その幼少時の名前として「金太郎」が創作されたと思われる。
なお、この時代としてはむしろ「○○太郎」は元服後に良く見られる名前である。
活躍としてよく知られるのは、大江山の酒呑童子退治。というかむしろこれしか活躍がない……。
なお、退治した方法は「眠り薬入りの酒を飲ませて不意打ち」でトドメを刺したのも主人の頼光なので、ぶっちゃけここでも大した活躍はしていない。
ただ、流石にこれではアレなので後世の金太郎伝説では大幅に脚色されて、金太郎が鬼たちを相手にちぎっては投げの大立ち回りを演じることが多い。
おとぎ話によくみられる金太郎
昔々、足柄山というところにお母さんと二人で暮らしている金太郎という元気な男の子がいました。
金太郎はいつも元気いっぱい。重い鉞を背負っては、山の動物たちを相手に相撲を取って遊んでいました。
金太郎は熊*2相手にも負けたりしません。とうとう彼は山一番の力持ちに育ちました。
谷の向こうに動物たちが渡ろうとして橋がなくて困っていた時は、木を倒して橋にしてやることもありました。
ある日、「源頼光」という偉いお侍さんが金太郎のことを見て、彼を武士にしてやろうと言いました。
それを受けた金太郎は「坂田金時」と名を改め、とても立派な武士になったそうです。
……というのが比較的一般的な金太郎のストーリーである。
とりあえず、これだけでも説明できれば立派なものだろう。
ちなみに「少年時代の金太郎に頼光が出会ってスカウトした」というのが良く見られる金太郎伝説だが、
実際の金太郎伝説では、頼光と金太郎が出会ったのは数えで18歳の時であり、どう考えてもこの時代なら成人である。この歳になって腹掛け一枚というのはただの変態でしかない……
色々と異説の多いストーリーであり、ぶっちゃけ「金太郎という力自慢の少年が頼光にスカウトされる」という大筋以外に共通点はないと言っても過言ではない。
ざっと上げるだけでも……
- 母親の正体は山姥
- 母親の名前は「八重桐」
- 父親は赤い龍or雷神
- 山の動物たち全員と綱引きして負けなかった
- 池の主である巨大な鯉を捕まえた
- 烏天狗と遭遇
- 卜部季武がきこりに扮して金太郎と相撲を取り、彼の力を見定めてスカウトする
……など、種々多様なエピソードが挿入されるため、人によって知っている話がまるで異なるという事態が頻発するのである。
そもそも、この話には桃太郎の「桃から生まれた男の子がきび団子で犬と猿と雉を仲間にして鬼ヶ島で鬼退治をする」、浦島太郎の「助けた亀に乗って海底にある竜宮城に行っておもてなしを受け、お土産の玉手箱でおじいさんになってしまう」といったわかりやすいインパクトのある個性がなく、童話としてはあまり印象に残らない側面もあるのかもしれない。イマイチ「教訓」的なものが足りないため子供の教育に役立てにくいのも理由の一つか。
基礎となる物語も上述したようにプロローグというかキャラ紹介というか、そういう物語としてもある種完成している構成とも言えないことも大きな理由だろう。
こうした理由からか、学校などでのお芝居や紙芝居では桃太郎や浦島太郎などのメジャーな昔話と比べて金太郎はあまり行われず、漫画やアニメで登場人物が昔話の芝居をする話でも金太郎はほとんど見かけない。バラエティ等で金太郎の童話がネタにされた場合、「物語として面白くないからあまり伝わっていない」と言われる場合も。
ただ、金太郎とその息子のキャラクター自体は国民に大変愛されるものとなり、
五月人形のモチーフになったり、「金太郎あめ」「金平牛蒡」などの日本文化の一端を担うこととなった。
ちなみに『今昔物語』には、頼光四天王がアホをやらかすというエピソードがある。
今昔物語集巻二十八第二『頼光の郎等共、紫野に物見たる語』がそれである。
古典の教科書に載っているので、学校の授業で触れた人も多いだろう。
頼光四天王は賀茂祭の見物に行こうとするが、馬に乗っていくのは見苦しいし、牛車に乗っていくと貴族に因縁をつけられるかもしれない。
じゃあ牛車を女性風に仕立てて乗って行こうという話になった。
しかし、普段乗り慣れない牛車に乗ったものだから、ひどい乗り物酔いになってゲロを吐き散らかし、見物どころではなかった。
帰りも牛車に乗って行くのはもう嫌だということで、人通りが少なくなるのを見計らって、顔を隠しながら徒歩で帰ったという話である。
なお、この話では四天王のうち、リーダーの渡辺綱は参加しておらず、ゲロ吐かずに済んだ。
今日のサブカルにおける金太郎キャラクター
ストーリーがうろ覚え、という人は多くとも、そこは日本三太郎の一角、知名度は抜群であり、金太郎をモチーフとしたキャラクターも存在する。
前述したとおり、主人公「坂田銀時」の元ネタは金太郎こと坂田金時。
何でも屋を営む無気力でギャグ時空を生きる二十代(アラサー?)だが、かつては白夜叉と恐れられた攘夷志士で、今でも決めるべきときはカッコよく決めてくれる。
平安時代の侍が何で宇宙人の蔓延るヘンテコ幕末で侍志望のツッコミメガネと毒舌チャイナ娘を率いて主人公を張ってるのかは不明。
衆合地獄のガードマンとして登場。CV:羽多野渉。
立派な成人男性だが、イメージを守るため(ファンサービスも兼ねて)幼少期の前かけ(+褌)スタイルを貫いている。
困っている人を放っておけないお人好しなため、地獄の女性たちの憧れの的。
お香からも「優しい人」と思われており、鬼灯も彼のお人好しぶりに感心していた。
桃太郎と一寸法師、芥子ちゃん*3とは日本昔話の主役同士で意気投合している。
主人公・野上良太郎の仲間イマジンズの一人が金太郎(とクマ)をモチーフとするキンタロス。
関西弁で浪花節が好きな人情家であり、居眠りの常習犯(時の列車の中でもだいたい寝ている)。
その怪力を活かし、イマジンズ4人の中で最もパワフルな戦い方をする。
- Fateシリーズ
坂田金時名義で登場。
むっきむきマッチョの大男で金髪&サングラスというヤクザかチンピラにしか見えない風貌だが、中身はヒーロー然とした快男児。
- auのCM「三太郎シリーズ」
演じるのは濱田岳。桃ちゃん(松田翔太)、浦ちゃん(桐谷健太)とは幼少期からの親友。
たまにお金絡みで興奮すると銭ゲバムーブを始めるため、「金太郎というよりカネ太郎」と呆れられたことも。
「怪童丸」として登場。CV:小西克幸。
基本コンセプトはまさかりを担いだSUMOU相撲取りで、移動速度は遅いが各動作は敏捷である。
豪快な性格をしているがそれは元々の気質もあるが実は身体に雷神を飼っており、弱気や臆病風を考えれば一瞬で食いちぎられてしまう為である。
ifを書いたアナザーキャストとして宿敵の酒天童子に身体を貸した(もしくは乗っ取られた)「邪道丸」も登場しているが、こちらは人格者…いや鬼格者となっている。
追記・修正は熊と相撲を取りながらお願いします。
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▷ コメント欄
- 水曜日のダウンタウンでも金太郎のストーリー知ってる人0人説やってたな -- 名無しさん (2018-03-14 06:53:46)
- あくまでも金太郎は「頼光の鬼退治伝説エピソード0」であって、単体で語られるべき話ではないって事なんだろうなあ。だからピンだとヤマもオチも意味もない話になっちゃう。 -- 名無しさん (2018-03-14 11:37:21)
- ↑1,2,3って続いたシリーズの前日譚みたいなものだよね、確かに。しかも単体で話がきちんと完結してるとも言い難い構成 -- 名無しさん (2018-03-14 11:39:30)
- 今なら「人気に乗っかって作られた感で正直必要性が見出せない。こういうのばかり作られてはシリーズ人気も落ち込みそう」とかレビューされそうだな -- 名無しさん (2018-03-14 12:03:52)
- 言ってみれば本の冒頭のキャラクター紹介の部分だよね。「オッス、オラ足柄山の金太郎。母ちゃんはヤマンバで父ちゃんは知らねぇ。毎日クマと相撲をとるぐれぇ強えんだ。ワクワクすっぞ」←ここまでしか書いてなくてブルマが出てこないんだから独立した話になる訳がない。 -- 名無しさん (2018-03-14 12:57:58)
- 頼光四天王を描いた絵画では、山姥とのハーフらしく坂田金時だけ鬼みたいな赤色の肌のゴリマッチョとして描かれる事が多い -- 名無しさん (2018-03-14 14:07:01)
- 鯉の話は小さい頃読んだ絵本にあったな。しかもそれを見た頼光が鯉のぼりを作りそれが端午の節句になったとかとんでもないことが書いてあったような・・・ -- 名無しさん (2018-03-14 18:57:56)
- 絵本によっては一休さんのように武勇伝を纏めた短編集みたいな構成になってる。 -- 名無しさん (2018-03-14 19:06:21)
- 月曜から夜ふかしでも現地の人はストーリーを正しく説明できるのかって検証があったね。んで鬼退治に行ったっていう回答が不正解だったけど酒呑童子討伐にも参加してるから実は不正解じゃないんだよね。 -- 名無しさん (2018-03-14 19:51:32)
- JR貨物の電気機関車が真っ先に思い浮かんでしまう -- 名無しさん (2018-03-14 20:42:02)
- ↑2 なんだその検証する側が答えを正しく把握してないって…。ちなみに自分が昔読んだ絵本ではむしろ酒呑童子退治の方がメインだった -- 名無しさん (2018-03-14 23:29:40)
- ↑5 ちなみに背中に金太郎が取り付いた鯉のぼりは実在する。 -- 名無しさん (2018-03-15 06:50:40)
- 大抵の昔話は地域ごとに差異が見られるし場合によっては別の話と混交してるケースすらあるんだから何処のが正しいなんて口が裂けても言えないわ -- 名無しさん (2018-03-17 20:04:32)
- イマジンあにめで同じネタでもめていたな。 -- 名無しさん (2018-03-29 09:47:19)
- 物語によっては金太郎スカウトしたのは「卜部末武」ということになっている。 -- 名無しさん (2018-03-29 09:48:51)
- ↑ 碓井貞光の方じゃね? 山の中を探索する話(金太郎、温泉、大蛇)は碓井、弓と産女が卜部 -- 名無しさん (2018-03-29 09:55:34)
- 子供の頃に読んだ絵本では、木を倒して橋にする様子を頼光の家来が見ていて、それが縁で頼光にスカウトされたことになっていた。 -- 名無しさん (2018-03-29 11:17:10)
- 教えてFGOでも、ぐだ夫がろくにストーリー覚えていないのはネタにされてたね -- 名無しさん (2019-03-03 20:02:30)
- 自分が見た話では、オヤジがクマなんて大した事ねぇと嘯く>実際に相撲でクマすら圧倒した>このままではDQNになると危惧したオヤジが”馬”を恐るべし動物に設定>頼光が馬に乗って訪問>金時頼光を尊敬し部下になるって流れだった -- 名無しさん (2019-06-03 18:29:16)
- 「まさかり担い“だ”」じゃなくて「まさかり担い“で”」だよ!間違えないで! -- 名無しさん (2019-06-03 19:25:25)
- ↑ だ だとずっと思ってたので衝撃 ありがとう -- 名無しさん (2019-10-17 15:11:40)
- モンストでは例によって女体化してるが、神化形態のインパクトが凄まじいんだよな…(個人的に) -- 名無しさん (2020-05-01 21:02:59)
- ヒグマより小さいとは言え、ツキノワグマも生身の人間ではまず太刀打ちできないような相手だよな。ツキノワグマが人を襲った事故の話を聞くたびに金太郎さんパネェ…と思ってしまう -- 名無しさん (2021-07-31 22:29:10)
- 永井豪の「手天童子」の事も追記したいけど、コンパクトにまとめるのが難しい。 -- 名無しさん (2023-07-02 19:05:49)
- 絵本としては令和の今も出版されてるんかな -- 名無しさん (2023-07-17 20:46:31)
#comment
*2 足柄山を含め、本州に生息するクマはニホンツキノワグマ(ツキノワグマの日本産亜種)。北海道に生息するヒグマに比べれば小柄ではあるが、現実にも死傷事故が起きていることからもわかるように、生身の人間では大人でもまず太刀打ちできない相手である。
*3 『かちかち山』のうさぎどんに相当。
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