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プロファイル
基礎情報
【コードネーム】バグパイプ
【性別】女
【戦闘経験】五年
【出身地】ヴィクトリア
【誕生日】7月17日
【種族】ヴイーヴル
【身長】167cm
【鉱石病感染状況】
メディカルチェックの結果、非感染者に認定。
能力測定
【物理強度】優秀
【戦場機動】標準
【生理的耐性】優秀
【戦術立案】標準
【戦闘技術】優秀
【アーツ適性】標準
個人履歴
ヴィクトリア王立前衛学校卒業。ヴィクトリア軍に三年間服役した後、チェン警司の紹介によりロドスに加入した。
軍事教育を受けた軍人であるため、ロドス加入からしばらくの期間を経て、様々な任務においてプロフェッショナル級の戦闘技術と戦術素養を見せた。
健康診断
造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。
【源石融合率】0%
鉱石病の兆候は見られない。
【血液中源石密度】0.11u/L
源石との接触は極めて少ない。
ヴイーヴルの中でも、この小娘の身体はトップクラスだと思うぞ。もし鉱石病に感染したら、その身体に備わった回復力だけで鉱石病を抑え込めるかどうか、この目で見てみたいほどにな……ふむ、流石に無理だな。試してみるか?いや、やめておこう。
——ワルファリン
第一資料
ヴィクトリア出身のパワフルな女の子。
オペレーターたちには「いつも親しげで、ほぼ無自覚で他人を気にかける親切な子」と評価され、ロドスに入ってまもなく、大半のオペレーターと良い関係を築いた。
生活態度に関して、彼女はよく言えば些細なことにこだわらない、悪く言えば大雑把であるため、一見軍人の堅苦しいイメージとは結びつかない。少なくとも日常生活においては、軍人としての一面をめったに表に出さない。
かつて彼女はチェン警司と共にヴィクトリア王立前衛学校に在学しており、本人によると、二人は学生時代から深い友人関係にあったという。 一方のチェン警司はバグパイプの名前を聞くと溜息を漏らすようだが、彼女がバグパイプの身元保証人を引き受けたという事実から推測するに、やはり二人の関係は決して悪くないのだろう。
第二資料
彼女が人に与える印象は明るく親切な女の子であるが、バグパイプはれっきとした元ヴィクトリア軍人であり、しかも非常に優れた軍人だったようだ。
ヴィクトリア王立前衛学校は独自の教育方針を採用しており、学生ごとに大まかに三つの教育方針が採られている。「近衛」として訓練された学生は卒業後、王室、貴族などの要人の警備に、「将校」として訓練された学生は軍の上級指揮官に、「士官」として訓練された学生は前線で軍隊を率い、戦地責任者を担当するようになるとされている。
「士官」として卒業したバグパイプは、間違いなく優れた軍事的才能を持っていると言えよう。
実のところ、オペレーターと軍人の育成では、圧倒的に規模感が異なっている。
オペレーターは、個体や小隊規模の作戦を重視し育成される。オペレーターの教育では、一人ひとりの個性に応じて訓練プランを与え、個々の強みを最大限に引き出すことに重きが置かれている。ロドスには個性溢れるオペレーターが多くいるが、各自の個性を最大限に発揮し、少数精鋭として互いに協力し合い、目標を達成することを狙いとしている。
一方の軍人は集団性を重視している。軍人にとっては、オールラウンドな能力に加え、マニュアル化と代用性が必要とされている。部隊の安定性と効率を確保するために、軍は個人の特徴ではなく、部隊の機能に基づいて意思決定を行う。
理論上、一人の軍人の総合的作戦能力はオペレーターより高いと考えられる。だが、そもそも元より両者は比較できるものではない。なぜなら、「オペレーター」は最初から戦争のために生まれた職業ではないからである。というよりも、戦争を可能な限り避けるためのものであると言えよう。
つまり、軍人としてのバグパイプは、そのままオペレーターの手本となり彼らに指導することは難しいだろう。教官のドーベルマン、元軍人のジュナーや耀騎士のニアールなどのメンバーたちがロドスに加入した際も、すぐにロドスの状況を飲み込んだとは言え、最初は自分たちが受けた軍事化訓練の影響で、ロドスの作戦方針に反する行動を取ったことが多々ある。
しかしながら、完璧な成績をもって軍事訓練試験を通過し、前線部隊の一員として戦争に参加していた軍人として、バグパイプはロドスに優秀な軍人としてあるべき姿を見せてくれたことは言うまでもない。己一人の力で軍隊に対抗できると考える、あるいは軍隊に対する知識が乏しい一部のオペレーターに対して、彼女は警鐘を鳴らす存在となっただろう。
彼女の破城矛は射撃機能が取り除かれたとは言え、恐ろしい戦争兵器には変わりない。命を危険にさらしてまで彼女に挑戦することはおすすめできない。
また、ここで評価すべきなのは、明るい性格が原因なのか、あるいは王立前衛学校の優れた教育のおかげなのか、彼女は軍人からオペレーターへの転向をあまり苦とせず、すぐにオペレーターとしての生活に馴染んだ点である。
オペレーターとしての彼女は、兵士のタフさと規律正しさを備えている。一方、兵士としての彼女は、オペレーターの機動力と柔軟さを備えている。教官のドーベルマンは個人的にこう評していた――「ヴィクトリアが他の国に勝るのは、兵士たちのプロとしての素質だろう。」
第三資料
王立前衛学校、そして現代社会からの洗礼を受けても、ヴィクトリアの遊牧村出身のバグパイプには、変わらず田舎の素朴さが残っている。
それは田舎育ちの影響というだけでなく、幼い頃からの母による教育の結果でもあるらしい――周知の通り、ヴイーヴルの女性は大抵強いのだ。
子供時代より家の牧畜や畑仕事を手伝っていた彼女は、ロドスに入ってまもなく、支援部で関連業務を担当するオペレーターたちと良い関係を築き、ロドスの栽培と牧畜業務に貴重な経験と強みをもたらした。支援部に異動でもしたのかと思われるほどに、彼女は凄まじい熱意を示した。
また、彼女は様々な大型農用機械の運用もかなり心得ているようだが、惜しくもロドスではスペースが限られているため、栽培規模に合わせた小型トラクターしか使用できず、彼女のその特技を活かせる場は少ない。流石にロドス本艦の操縦を任せるわけにはいかないだろうし。
また、彼女は都市での生活に疎いというわけではなく、ただそれに挑戦して、失敗し続けているだけなのである。他のオペレーターよりやや頻繁に出される設備の修理申請が、その証拠だろう。
さらに、本人によれば、学生時代に貴族の同級生からおめかしのコツも学んだが、ひどい結果に終わったこともあるという。時間の流れとともに、その方面への努力は諦めたものの、いまだに自身の着こなしや顔つきを気にしているようだ。軍人の格好をしている時の姿に申し分はないが、普段着や顔の話題になると、彼女はいつもそんな悩みをあらわにする。
そんな必要はありませんよ、バグパイプさん。ありのままのあなたを、もう十分に可愛いと思っているオペレーターは大勢いますから。
第四資料
前述の通り、彼女にその気があれば、ヴィクトリア第二師団で誰もが羨やむ地位につくことも可能だった。ヴィクトリアはこの大地で最も繁栄した帝国であり、その領土は強大な軍事力と密接に関連したものである。「士官」として卒業した彼女は、通常の兵士よりはるかに優待されるはずで、それに加えて彼女の優れた能力と親和性を鑑みれば……優秀な軍人に始まり都市の寵児に至るまでの道は、既にできているも同然である。
しかし、彼女はその道を歩むことはなかった。軍隊を去り、仲間と別れ、ヴィクトリアを出て、この危険な大地を漫遊することを選んだのだ。
文明社会を離れ、荒野に踏み入れることは、都市の住民からすれば想像できないことである。なぜなら、都市や集落を離れることはほぼ「死」と同じ意味をするからだ。旅の途中、彼女はトランスポーターと共に旅行したり、傭兵に力を貸したり、通りすがりの車をヒッチハイクしたり、様々な都市を訪ねたり、パスポートや国籍の問題で都市から追い出されたり、恨まれたり、陰謀に巻き込まれたりと、無数の経験をしたという……彼女曰く「経験できることは全部経験してきたべ~」だそうだ。
彼女がロドスに着任すると、オペレーターたちは彼女に好意を示し、手を差し伸べた。しかし彼女は、それを受けて逆に戸惑いを見せた。
ロドスを理解すればするほど、彼女の何かに対する迷いは大きくなっているように見える。そして、一連のテストと情報交流を経てリードというオペレーターの存在を知った彼女は、普段の陽気さはどこへやら、露骨に落ち込んで見せた。
彼女に重くのしかかっているものは何なのか?ヴィクトリアの軍事力をもってしても解決できない問題とは一体何なのか?ヴィクトリアで一体どんなことが起き、彼女と彼女の部隊は何に遭遇したのか?
「うちはヴィクトリアの元兵士だけど……でも、この件はロドスが首を突っ込むべきじゃないべ。うちはもう軍人じゃなくなったけど……ごめん……やっぱりうちが責任を取らないといけないべ。こりゃヴィクトリアの軍人の義務だし、うちたちが出奔する理由でもあるから。」
時がまだ来ていないようだ。
バグパイプは、一体いつになったら、何が起きたか教えてくれるのだろうか?
また、優秀な軍人としての彼女は当然皆に好かれているが、農地で汗を流し、なみなみに入った鍋を三つも一気にテーブルまで運び、ロングスカートを身に付け、くるくる踊りながら歌を歌い、故郷の話をするとどこか呆けたようになる彼女も……
同じように、皆に好かれているのだ。
昇進記録
バグパイプ自身が言うように、これまで感染者から遠く離れていた彼女にとって、ロドスでの全ては未知の存在である。
非感染者であり、感染者と無縁な生活を送っていた彼女からすれば、ロドス内部や周りで起きている全てのことは、簡単に飲み込めるようなことではないのだろう。
自分と無関係なことは無視すればいいという考えを持つ者がいたとしても、それは誰にも責められないことだ。だが、彼女は逃げなかった――十分に気を払いながらも、それらと交流を深めていく道を選んだ。
怖いものは怖いが、逃げるわけにはいかない。
もし「ロドスで最も友人が多い人ランキング」を集計したとすれば、バグパイプとグラニの二人がランクインすることは間違いないだろう。彼女がグラニを背負って廊下を走り、一部のオペレーターに「ちょっかいを出し」に行く姿は、とても微笑ましいものだ。
ボイス
ボイス(デフォルト) | |
---|---|
秘書任命 |
秘書?あー、人のそばにずっと突っ立ってるあれだべ?軍にいた頃は見たことあるな。えっ?机仕事もしなくちゃいけないの?戦況の把握も?告知も!?し、七面倒くさ~! |
会話1 |
チェンちゃんってずっとしかめっ面だべ?学校の時もあんなんだからさ、めっちゃ嫌われ者だったべ。でも最後になったらみーんな見る目を変えちまったんだ!まあ傷の手当をしてあげたり、料理を作ってあげたり、一緒に戦ったりとかで、うちも大変だったけどさ……。 |
会話2 |
機械の操作ならうちに任せてよ!コンバインでしょ、トラクターにティラー、全部動かせちゃうんだから!んあ?携帯端末にスクリーンと無線装置……?いや、ちっちゃい機械はちょっと……わわっ!?ちょこっと触っただけなのに、どうして煙が!? |
会話3 |
昨日ちゃんとご飯食べなかったべ?仕事仕事って!仕事を言い訳にしないの!体を壊したら何もできないんだよ。何か食べたいものがあったら言って。作って来てあげる!あっ、手の込んだやつはダメだよ、あんなのうちには無理だべ。 |
昇進後会話1 |
このロドスの船さぁ、ほんと……ヴィクトリアの軍艦よりず~っと良いよね!日の光、麦畑、家畜の群れ……ドクター、うちらもなんか育てようか!じゃがいもとかいいんじゃない?じゃがいも栽培ならお手の物よ! |
昇進後会話2 |
ドクターは、どこまでを「ふるさと」って呼ぶべきだと思う?トラックの車庫から一番離れた家?大地と空が交わる場所?それとも地図にいろんな色で描かれてる線?こんなに戦いに明け暮れてると、時々、故郷がどんな風景だったのかも思い出せなくなるんだよ。 |
信頼上昇後会話1 |
あのリードって娘、うち絶対会ったことあるんだべ。でも今あの子の雰囲気、なんだか寂しげで近づきづらいっていうか……本当にうちが見てたあの怖い人なの?おっかしいなぁ。よし、本人に聞いてみ……ん?あの子とのおしゃべりは禁止?えぇっ、なんでよ! |
信頼上昇後会話2 |
軍学校に進んだのはお母ちゃんがいつも言うから。「ヴイーヴルの女は強くなり続けなきゃ」とかって……それに対する意地みたいな?今思えば、お母ちゃんみたいに強くなる必要はなかったなぁ。ほら、うちってどっちかというとかわいいほうなんだよね。そうだべ? |
信頼上昇後会話3 |
軍にいた頃、幽霊みたいな謎の部隊にとーっても手を焼いてたんだ。ヴィクトリアの裏で暴虐非道を尽くしてて、目撃者も大半は行方不明になっちゃって。うちはやつらの正体を暴かなきゃって思うんだ。これがうちがそこら中駆けずり回ってる本当の理由。あ、ドクターは気にしないで。自分の天職があんべ? |
放置 |
あ!サボりだべ!うんうん、いいよね~お昼寝。でも藁におの上で寝るのが一番気持ちいいべ?ふわぁ~考えてたら眠くなってきちゃった……うちもちょっと寝ていい? |
入職会話 |
こんにちは!おめーさんがドクターだべ?龍門のチェン警司から、ここでは助っ人が見つかると聞きまして!ん?まずはサイン?えーと、バ、グ、パ、イ、プ、っと。よし!んあ?「オペレーター契約」?「全日滞在」?なんだべこれ! |
経験値上昇 |
おおーっ。ロドスの戦い方、結構サマになってるな~! |
昇進Ⅰ |
昇進?うーん……嬉しいとも嫌とも言えないかな。軍人にとって責任というのは、更に多くの戦い、ひいては更に多くの過ちをも意味するものだからさ。 |
昇進Ⅱ |
うちにとって、ロドスへの加入は儲けものだったよ。鉱石病も感染者も、最初は怖かったけど、逃げてちゃ何も解決できない、そうだべ?うちも自分のすべきことがはっきりわかったよ。ドクターのおかげだね。 |
編成 |
気を付け! |
隊長任命 |
自分が率いるからには、即座に作戦を執行する! |
作戦準備 |
命令に従い、出撃! |
戦闘開始 |
総員、散開! |
選択時1 |
ご指示を。 |
選択時2 |
待機中。 |
配置1 |
進め! |
配置2 |
ヴィクトリアのバグパイプ、破城矛と共に、参る! |
作戦中1 |
「思考を明晰にするは戦術」! |
作戦中2 |
「意志を堅固にするは規律」! |
作戦中3 |
「邪悪を壊滅しうるは勇猛さ」! |
作戦中4 |
「生命を救済しうるは慈しみ」! |
高難度作戦クリア |
学校でも軍隊でも、より厳しい事態は目にしてきた。 |
★3で戦闘終了 |
ふぅ……今回もこの制服に恥じない戦いができたね! |
★2以下戦闘終了 |
敵を逃がした!各員、追撃時は十分に用心せよ! |
作戦失敗 |
先に逃げて!早く! |
基地配属 |
温室はどっちだべ? |
タッチ1 |
おお? |
信頼タッチ |
ピクニックしたくない?二人で行くべ! |
タイトルコール |
アークナイツ。 |
挨拶 |
ドクター、畑仕事に行くべ! |
逆理演算
ヴィクトリアの槍 / クルビア・監獄
元ヴィクトリア第二テンペスト特攻隊の一員だったバグパイプは、素晴らしい突撃技術を持っている。敵が想像以上に強力な場合には、素早く戦術を調整し、より強い攻撃・防御手段に切り替えるなど戦況の判断にも優れている。もっとも、チームでの作戦に慣れているので、大軍が押し寄せてきた場合に敵の突破を阻止するには、他のオペレーターの手助けが必要だろう。
コーデ
デフォルト(昇進0)
オペレーターの普段着。
実用性は制服に劣る部分もあるが、オペレーターが最も着慣れているコーディネート。
デフォルト(昇進2)
昇進後調整された服装。
オペレーターの経験に基づき細部の改善が図られ、より作戦に特化したものとなっている。戦闘向きでありながら、オペレーターが着慣れている服装を極力再現した。
WhistleWind - 栄光の導き手
バグパイプのスタッフ衣装。
「嘯風」シリーズレースクイーンの基本モデル/栄光の導き手。レースクイーンモデルを着用し、レイジアン工業が協賛した破城矛を持つバグパイプの姿は非常に爽やかで歓声が絶えない。そのため主催側から旗手を任された。
実のところレーサーたちはバグパイプを恐れていた。万が一事故が発生した場合、怪我を負うのは自分の方でしかありえないからだ。そしてこれが、主催が彼女を旗手に任命したもう一つの理由である。
モジュール
ORIGINAL / バグパイプの記章
バグパイプは率先して戦場に切り込み、後続の展開に余裕を持たせる戦術に秀でている。
外勤部門の決定に基づき
外勤任務においては先鋒オペレーターとして区分し、突撃兵の責務を担う。
特別に本記章を授与し、
その証明とする。
CHG-X / 破城矛マガジン
ヴィクトリア王立前衛学校を卒業するには、最後に課せられる卒業試験を通過する必要がある。
バグパイプに課せられた試験の内容は、「カイシャー郡南部の物流倉庫に潜入し、現地の暴徒の人質にされた一般市民を救出せよ」というものだった。
出発前、バグパイプは教官室に呼び出された。
「現地の駐在軍や警察に警戒されないように。」
「無関係の事項には関わらないように。」
「怪我をしないように。」
先生はこれらの課題を告げた。
「スリム先生、これは命令ですか?」
「はぁ……」先生は一つ溜息をすると、「まぁ、私からのお願いだと思っておいて。」と語った。
バグパイプは3つの「お願い」を真面目な顔で手帳に書き写すと、一番上に書かれていた「人助け」という文字の下に、強調のアンダーラインを引いた。
任務の前半はとても順調だった。
バグパイプは無事目標地点への潜入に成功し、コンテナの下に身を隠した。その後、そこで10時間も暴徒が現れるのを待った。
「奴は?」
「ああ、あの女はあそこの赤い車の中だ。どうする?」
「どうするもこうするもあるか。さっさと片付けちまえ。」
赤い車。バグパイプはそのキーワードを聞き逃さず、瞬時に行動を開始した。
車の警護をしていた2名の暴徒を軽々と倒し、麻酔を打たれて昏倒した市民を見つけたバグパイプは、さらに別の暴徒の会話も捉えた。
「他の奴らはおとなしくしてるか?」
「薬を打ってあるからな、ぐっすりだ。」
「身分の偽造は?」
「男爵の口添えで、警察も素早く対応してくれたよ。」
「他の住民にバレてないよな?」
「バレるもなにも、みんなサルゴンから来たいわく付きの奴らだからな。家族が探しに来ることすらねぇよ。」
「よし、じゃあ夜になったら国外に送るぞ。けっこうな数のクルビアのラボから催促されてんだ。」
バグパイプは2秒ほどためらい、さらに手帳を開くと一番上の行に3秒間目をやって手帳を閉じた。
大型トラックのエンジン音が聞こえた。バグパイプは左右を見渡すと、付近で一番大型の車両を見繕い、任務のターゲットを背負って運転席に飛び込んだ。
エンジンをかけて、一気にアクセルを踏み込む。
大型トラックは、そう遠くへ行かないうちに、倉庫の入り口に突如現れたコンテナ用クレーン車に追突されて停止した。クレーン車はかなりの勢いで走ってきたのか、倉庫の壁が半分崩れていた。
数分後、知らせを受けてやってきた警察が、目を回した暴徒12名と、左手の薬指をすりむいたバグパイプを連行した。
バグパイプは学校に戻ると、先生を訪ねた。
「申し訳ございません。お願いは一つも守れませんでした。」
先生はしばらく何も言わなかったが、やがてバグパイプに推薦状を差し出した。
「ええっ? テンペスト特攻隊? スリム先生、私なんかが本当にいいんですか?」
「ええ、推薦状はとっくに書いてあったわ。」
「ありがとうございます!」
「だけど……君が大型トラックにクレーン車で衝突した時、一緒に乗せていた人が誰かわかってる?」
「任務のターゲットですよね?」
「あれはね、意識を失った一般市民のふりをしたテンペスト特攻隊の隊員よ。本来は、彼女とその仲間たちであの十数名の暴徒を捕まえる予定だったの。でも君のおかげで、任務が前倒しに終わったみたいね。」
「じゃあ本物のターゲットはどこに?」
「ぶつけられた方のトラックの中よ。でも怪我もなく、無事に帰宅したわ。」
「えっと、じゃあ……任務完了、でいいんですか?」
「ええ」先生はバグパイプの肩を叩き、再び溜息をついた。「合格よ。正式に配属が決まれば、本物の破城弾も支給されるわ。」
バグパイプは目を大きく見開いた。スリムは合格を言い渡された学生が皆そうするように、バグパイプも歓声を上げて喜ぶだろうと予想していたが、彼女はそんな予想を遙かに上回る喜びようだった。
「道理で! 身長2メートルもある『一般市民』なんてなかなかいねぇもんなぁ! かっこ良すぎるべ! う、うちもあの人みたいな戦士と戦友になれるんですか!? うわぁ……あっ、コードネームも必要ですよね? テンペスト特攻隊ってどんなコードネーム使ってるんですか? 楽器? じゃあうち、コードネームは変えなくていいべ! 先生先生、手土産は何を持っていけばいいんでしょうか? ひき肉のゼリーは気に入ってもらえるでしょうか? それからそれから……」
「リタ、苦情は受け付けないわ。」
スリムはやれやれと言った様子でつぶやいた。彼女は素晴らしい生徒だ。将来きっと……良い兵士になるだろう。
印
バグパイプの潜在能力強化に用いられる。
ひとつかみの赤小麦。大地は生命を育み、生命は大地に恩返しをする。
指名券採用
戦闘と農業に対しては隙が無く真面目だが、電子機器や流行はからっきしだ。
元ヴィクトリア軍人・バグパイプ。真相を追ってやってきた。
紹介文
省略
登場ストーリー
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