aklib_story_暴風眺望_9-19_長き夜を照らす戦火_戦闘前

ページ名:aklib_story_暴風眺望_9-19_長き夜を照らす戦火_戦闘前

このページでは、ストーリー上のネタバレを扱っています。

各ストーリー情報を検索で探せるように作成したページなので、理解した上でご利用ください。

著作権者からの削除要請があった場合、このページは速やかに削除されます。

暴風眺望_9-19_長き夜を照らす戦火_戦闘前

ホルンは通信基地局で苦戦を強いられていた。マンドラゴラを相手に、絶体絶命となったその時、バグパイプがやってくる。


[アルモニ] まだいくつか、仕上げが残っているけれど、ヒロック郡はもう落としたも同然ね。

[アルモニ] 予想通り、駐屯軍は私たちが実力を隠しているなんて、思ってもみなかったようだし。

[アルモニ] ふふっ、それにしても……あいつらの顔を見た? ほぼ壊滅させたと思っていた相手がまた目の前に現れて、本物の亡霊を見たとでも思ったんじゃないかしら。

[アルモニ] いよいよ勝どきを上げようという時に、これまでで一番の打撃を受けたんだもの。これでヴィクトリア兵のほとんどは戦意を失っているはず――

[アルモニ] あっ、いけない。忘れるところだったわ。私の素敵なクラスメイトたちが、まだ郊外で一生懸命抵抗してるのよね。

[アルモニ] ほーんと可哀想な人たち。こんなに足掻いてるのに、何一つ変えられないなんて。きっと私たちが行動しなかったとしても、腐り切った軍隊に疲れ切って、破滅を迎えていたはずよ。

[アルモニ] ああ、それで、彼女たちの所へはマンドラゴラが向かったわ。彼女一人でも十分対処できるもの。

[アルモニ] すべては計画通りに進んでいる――

[アルモニ] ――ラフシニーが消えたことを除けば、ね。

[???] つまり、我が臣下たちは失敗したようだな。

[アルモニ] ええ。驚くほどのことじゃない……と言ったら嘘になるわね。愚か者ばかりとはいえ、彼らは決して弱くはないもの。

[アルモニ] まあ――今となってはもう、全員必要ないけれど。

[アルモニ] だって、野心家すぎるもの。我欲のために戦火を広めることばかり考えているし。その上、ラフシニーを利用して、あなたに隠れてこそこそと何か企んでいたしね。

[アルモニ] 結局は、自分自身の欲望の火に飲まれちゃったわけだけど、手間が省けてよかったわ。

[???] そう言うお前は、どうなのだ?

[アルモニ] ……えっ? やだ、もう……

[アルモニ] それ、本気で聞いてるの?

[アルモニ] 知っての通り、私はただ……終着点を見てみたいだけよ。

[アルモニ] 初めて出会った時、あなたにこう聞いたでしょう?

[アルモニ] 終着点が死と決まっている生では、いくら秩序を築いても最後には崩れる定め。なら、その道を歩んでいく人々は、否が応でも迫ってくる一つ一つの無意味な選択にどう耐えているの? って。

[アルモニ] そしたら、あなたは……私に手を差し伸べてくれた。

[アルモニ] 死んだはずの魂が躍動するさまを、見せてくれた。

[アルモニ] それから私はずっと、この目で見てみたいと思ってるの。炎がすべてを焼き尽くした後、この大地が一体どうなるのか。その終着点をね。

[???] 貪欲にして誠実な答えだな。

[アルモニ] ふふっ……私はあの愚か者たちと違って、いつ嘘をつくべきかくらい弁えているもの。

[アルモニ] それで、ラフシニーの件はどうするの?

[???] 私の妹が選んだのは、何者だ?

[アルモニ] 今のところ正体不明よ。ただ、街で大勢を救っていた連中ってことは確かだわ。

[アルモニ] 多分……医療関係の救援組織じゃないかしら?

[アルモニ] 正直、興味があるのよね。見たところ、どの国家とも無関係だと思うけど、どうして私たちに刃向かってくるのかしら。

[???] フフッ……確かに、興味深い。

[アルモニ] 誰かに探りを入れさせましょうか?

[???] 判断は任せよう、我が智将よ。

[???] 無論、いずれは私も直接対面したいものだがな。

[アルモニ] それじゃ、伝達してちょうだい。――これより、我々のターゲットはヴィクトリア兵のみとする。この命令以降、住民に手を出した者はダブリンの敵と見なす、と。

[ダブリン兵士] はい、アルモニ様。

[ダブリン兵士] しかし現状、住民すべてが我々の味方というわけではありません。

[アルモニ] それでも、まずは私たちが彼らの味方であることを信じてもらわないといけないでしょう?

[アルモニ] 散々傷付いた後の人々が必要とするのは助けであって、厳しい支配ではないのよ。

[アルモニ] そうそう、救助隊にも手出ししちゃダメよ――少なくともヒロック郡においては、住民の前では厳禁ね。

[アルモニ] 炎はもう十分に燃え盛った。そろそろ消してしまわないと、すべてが灰に還ることになる。そうなれば、私たちの苦労も水の泡よ。

[アルモニ] わかったら、すぐに行動しましょう。この傷が癒える頃には、手を下したのが誰なのか、そして地獄から救い出したのは誰なのかが――きちんと皆の頭に入っているはずよ。

[アルモニ] ダブリンの戦士は、ヴィクトリア兵とは違う――

[アルモニ] その意識は消えない傷痕と共に、蘇った都市の心臓へと永遠に刻まれるわ。

[ダブリン兵士] ……では、外の人間はどうなのでしょう? 我々が今手を引いたとして、彼らにそれを見ることができますかね?

[アルモニ] とっくに見てるわよ。見たいと思う人ならね。

[ダブリン兵士] それで、十分なのでしょうか?

[アルモニ] もちろん。何のためにこんなことをしたと思っているの?

[アルモニ] 「ターラー人の恨みを晴らすため」? あり得ないわよね。あなたも私も、ターラーとは何の関係もないんだから。

[アルモニ] 「ヒロック郡を占拠するため」? そう考えるのは傲慢な道化くらいのものよ。確かにヴィクトリアは崩壊しつつあるけれど、どの大公爵の軍隊も移動都市の一つくらいなら簡単に灰にできるもの。

[アルモニ] 私たちが今為すべきことは一つ。この炎を確実に燃え上がらせ、そしてヴィクトリア中の目にそれを見せつけることだけよ。

[アルモニ] 炎の光の中に利益を嗅ぎつけた人もいれば、憎しみを発散させた人もいて、さらには信仰を見つけた人もいる――ある意味、皆が喜ぶ結果になったと思わない?

[アルモニ] ふふっ……そろそろ行きましょう。最後の仕事を片付けなくちゃ。

[アルモニ] やるべきことを終えたら、私たちもここを離れないとね。裏切り者がいつまでも舞台の上で踊り続けるのは、下手な道化より滑稽だもの。

[アルモニ] 次の出番が来るまでは、ヴィクトリアが建ててくれたお墓でおとなしく眠るとしましょう。それでこそ、亡霊らしい振る舞いというものよね。――あなたもそう思うでしょう、ヒル?

「都市部はすべて陥落しました! 通信信号が途絶し、各隊とは連絡不能……」

「敵軍が基地へと押し寄せています! 戦力の差は歴然です、長くは持ちません!」

「報告……」

「司令部に進言します! ただちに撤退してください! 繰り返します、ただちに――うわあああっ!」

[ハミルトン大佐] ――

[ヴィクトリア兵] 大佐! 早く撤退しましょう!

[ヴィクトリア兵] この場所もすぐに攻め落とされます! 敵は既に我々を包囲して――

[ハミルトン大佐] ……撤退? どこへ撤退するというのだ?

[ヴィクトリア兵] それはここを離脱してから考えましょう! ヒロック郡はもう終わりです!

[ハミルトン大佐] 終わりだと? *ヴィクトリアスラング*!

[ハミルトン大佐] 私がいる限り、この都市が失われることはない。ここは永遠にヴィクトリアのヒロック郡だ!

[ヴィクトリア兵] しかし……! 敵はあなたを見逃しはしません! 奴らはヴィクトリア兵を誰一人逃すつもりなどないんですから……大佐、私たちと一緒に撤退しましょう!

[ハミルトン大佐] ……

[ハミルトン大佐] ならば、お前は行け。

[ヴィクトリア兵] 大佐ッ――!

[ハミルトン大佐] 私は行けと言ったはずだ。なぜまだそこに突っ立っている? 尻尾を巻いてさっさと逃げるがいい! ただし、二度とその顔を見せるなよ――私の手で殺されたくなければな!

[ヴィクトリア兵] ……わかりました。では、我々は……もう行きます。

[ヴィクトリア兵] 大佐……どうかご無事で!

[ハミルトン大佐] ……ハッ。

[ハミルトン大佐] 無事? この戦場で、か?

[ハミルトン大佐] 一人の軍人として、それはあるまじき姿というものだ。

[ハミルトン大佐] さて――軍刀はどこだ?

[ハミルトン大佐] ……ここか、我が戦友よ。高速戦艦を離れてから、君にはどれだけの間、硝煙の臭いを嗅がせていなかっただろうな。

外で響く爆発音と悲鳴とが徐々に迫り、やがてまた束の間の静寂が訪れた。

続けて、いくつもの足音が、閉じられた扉の前で止まる。

暗闇の中、大佐は椅子から立ち上がる。軍服の襟を整えて、扉の方へと歩みを進め――

背筋を伸ばして、体に染み付いた動きで軍刀を抜くと、刃を敵の息づく方へと向けた。

炎の光が、流れ込んできた。

「ヴィクトリアのハミルトン、騎兵刀と共に、参る!」

[ホルン] オーボエ、聞こえる? こちらホルン、チェロと一緒に通信塔の下へ到着したわ!

[ホルン] そちらの状況は?

[オーボエ] 一番から七番プラットフォームに至るまで、爆弾はすべて仕掛け終えました。あとは敵が来るのを待つばかりです!

[ホルン] 了解! 早速、一番から始めてちょうだい――

[ホルン] よし、陽動に成功した! 慎重に移動しましょう!

[ホルン] チェロ、あなたは塔へ!

[ホルン] オーボエは続けて、二、三番を爆破!

[ホルン] ……いや、待ってオーボエ! 術師たちが通路へ向かったわ。気を付けて!

[ホルン] ッ! 敵方に強力なエネルギーを確認! 術師の攻撃に注意し――

[ホルン] 敵との距離を保って!

[ホルン] ……!

[ホルン] 命令変更、すぐに撤退して! オーボエ、仲間を連れて通路を離れなさい!

[ホルン] あのアーツ、範囲が広すぎる……! 火球で一網打尽にしようとしているのよ!

[オーボエ] 了解。でしたら――どちらが速いか、奴らに見せてやりましょう。

[ホルン] ――ッ!

[ホルン] オーボエ……!

[ホルン] チェロ。オーボエが、少し時間を稼いでくれたわ。この隙に、あなたは、とにかく上を目指してちょうだい!

[ホルン] コントロールパネルを見つけ次第、すぐに情報を送信して!

[ホルン] 私は塔の下を守りながら、火力支援を行うわ。

[ホルン] 五分よ。五分稼いでみせる。その間は、誰にも通信塔を登らせはしないから。

[ホルン] 砲撃用意――!

[ホルン] ……チェロ、上の状況はどう?

[チェロ] あと十メートルで――ぅ、ぐっ……!

[ホルン] ――!? まさか、上にも敵が!?

[チェロ] はい……狙撃手です! 八時の方向に確認!

[ホルン] ……くっ……敵が多すぎる!

[ホルン] そちらに向かえば、塔の下を守れないし……

[ホルン] ここから撃とうにも、照準が合わない……! 射程外だわ!

[チェロ] こうなれば、構わず進むしか……ぐ、あっ!

[ホルン] ダメよ、やめなさい! コントロールパネルに着く前にあなたが死んでしまうわ……!

[ホルン] 遮蔽物を探して!

[チェロ] ですが、隊長……! このままでは、どうにもなりません! あなただって……きっと、怪我をなさってるんでしょう!?

[ホルン] この程度、問題無いわ……ごほっ……

[チェロ] 強がらないでください……もう、六分は経ってるんですよ。そちらは何人相手にしてるんですか? 二十? 三十? いや、もっとでしょうか。

[ホルン] 私、は……

[チェロ] 本当は……話してる余裕なんて、ないんじゃ……ないですか?

[チェロ] ……あと、七メートル……もう少しで――

[ホルン] ……どうしたの?

[チェロ] あっ……は、は……! 隊長、こちらは無事です! 狙撃手を片付けた奴がいます!

[ホルン] えっ……? まさか、それって……

[バグパイプ] 隊長っ!! バグパイプ、ただいま到着しました!

[ホルン] ……ふ、ふっ……あなたって、人は……

[バグパイプ] もう少しだけ持ちこたえて! 火を操ってくる敵は、うちが仕留めるから!

[ホルン] 了解! チェロ、彼女が攻撃を引き付けているうちに、早く!

[チェロ] ……隊長、コントロールパネルを開きました! あと、少しで……

[チェロ] ぐっ……!

[ホルン] チェロ!?

[チェロ] いッ……石、が……隊、長……気を、付けて……

[ホルン] なっ……何があったの!?

[バグパイプ] ――隊長!

バグパイプがホルンに向かって突っ込んでいき、二人はその勢いのまま、地面を転がった。

その時、通信塔の上方から巨大な石柱が凄まじい速度で落下して、一瞬前までホルンがいた場所に深々と突き刺さった。

[バグパイプ] この石柱……一体、どこから?

[バグパイプ] もしかして……亡霊部隊の術師!?

[マンドラゴラ] ねえ、これってあんたたちの仲間?

[バグパイプ] ッ……!! よくもチェロを!!

[マンドラゴラ] だって、あたしのものに許可なく触られるの嫌いなんだもの。

[バグパイプ] それはヴィクトリアのものだよ! ヒロック郡に侵入してきたのは亡霊部隊なんだから!

[ホルン] ――ッ!

[マンドラゴラ] ふんっ……何にも言わずに撃ってくるなんて、ずいぶん乱暴なご挨拶じゃない!

[マンドラゴラ] それがヴィクトリア軍の礼儀ってやつなの?

[マンドラゴラ] ……ちょっと、あんた! 頭イカレてんの!? そんな豆鉄砲、バカスカ撃ったところで通用しないのよ! まだわかんないわけ!?

[ホルン] ……チェロの言っていた、石……ね。

[ホルン] (小声)どこにも死角がないわ。

[ホルン] (小声)砲撃が直撃する前に、周囲の石を操って弾いているのね。

[バグパイプ] (小声)そういうアーツなのかな?

[ホルン] (小声)……チェロの身体を見て。

[バグパイプ] (小声)この傷跡、尖った石でやられたみたい。でも、どこにもそれらしいものは残ってないよ。相手は石でガードができるだけじゃなくて、形を変えて攻撃することもできるのかも。

[バグパイプ] (小声)だとしたら、厄介な相手だね。

[ホルン] (小声)相手の実力を探ってみましょう。きっとどこかに隙はあるはず。

[マンドラゴラ] チッ……そんなに死にたいの?

[マンドラゴラ] うちの戦士たちとやり合ったせいで、弾薬をほとんど使い果たしてるはずでしょ。そうやって無闇にぶっ放してると、弾切れになって手ぶらで死を待つ羽目になるわよ。

[マンドラゴラ] アルモニの奴が、あんたたちがどんだけ凄い連中なのか、何度も言い聞かせてきたんだけど――

[マンドラゴラ] まさかそのヴィクトリア軍がこの程度の実力だなんてね。手も足も出せないどころか逃げ場まで失って……それでも王立前衛学校の優等生様なの?

[マンドラゴラ] 揃いも揃って弱すぎ! 駐屯軍と大差ないんですけど!

[ホルン] ……あなた、そんなにヴィクトリア兵が嫌いなの?

[マンドラゴラ] はぁ? 別にぃ~?

[マンドラゴラ] 兵士自体は嫌いじゃないわ。皆誰かの指揮で動いて、戦場で命を投げ出す可哀想な人たちだもの。

[マンドラゴラ] あたしが嫌いなのは、あんたたちみたいな連中よ。

[マンドラゴラ] あんたたちみたいな、ただ生まれが良かったってだけで、あたしたちを踏みにじる資格があると思い込んでる連中を――

[マンドラゴラ] 逆に、あたしが蹂躙してやるの。どう? こんなに美しい光景、ほかにはないと思わない?

[マンドラゴラ] ――さあ、行きなさい。奴らを突き刺せ――!

[マンドラゴラ] へぇ。今のを防ぐなんて、まだ余力が残ってるみたいね?

[マンドラゴラ] ループス、あんたやるじゃない。あたしを見た途端、ビビって腰を抜かしちゃった貴族気取りのご同僚よりはよっぽど優秀だわ!

[マンドラゴラ] だけど理解できてないみたいね。もうあんたたちは負けたのよ!

[マンドラゴラ] ヒロック郡は今や、すべてがあたしたちのもの。そっちの仲間は皆死んだか投降したかのどっちかよ。

[マンドラゴラ] ついでに言っておくとね、あんたたちの小隊はヒロック郡に入った時からずーっとこっちの監視下にあったの。つまり、やることなすことぜーんぶ筒抜けだったってわけ。

[ホルン] くっ……駐屯軍内にスパイがいたと言いたいの?

[マンドラゴラ] あーあ、これでも通じないの? スパイがどうとかじゃなくてもっと根本的な問題なんだけど! 仕方ないからご説明して差し上げましょうか?

[マンドラゴラ] あんたたちは見捨てられてんのよ! ほかでもない、ヴィクトリアにね!

[マンドラゴラ] だからどれだけ足掻こうが無駄! 何をどう頑張ったって結果は何にも変わんないの! どう? わかった?

[マンドラゴラ] お国のために、進んで血まみれになりながら戦ってるってのに、そのヴィクトリアからは捨て駒扱いされちゃうなんて――何も知らずに死んだ兵士の方がマシなんじゃない?

[ホルン] ……つまり、単にスパイがいる、というだけの話ではなく……

[ホルン] 軍内部に多くの支持者がいて……上層部にさえも、あなたたちに加担する人物がいる、ということ?

[ホルン] だったら……あなたたちのリーダーの目的は、何?

[ホルン] ……

[ホルン] まさか……ヴィクトリアの、王冠?

[ホルン] 一体、あなたたちに何の資格があって――

[マンドラゴラ] 黙れッ!

[マンドラゴラ] あんたみたいな――アスランの下僕ごときが……! 高貴な身であるリーダーに向かって、無礼な口を利くな!

[ホルン] ふ……ふふっ……

[マンドラゴラ] なに笑ってんのよ!

[ホルン] だって、あなた矛盾してるもの。

[ホルン] お高くとまった貴族や金持ちのことは心底憎悪しているくせに、その「リーダー」とやらを何よりも高貴なものとして崇拝しているなんて――

[ホルン] こんなにおかしな笑い話があるかしら?

[マンドラゴラ] ッ……あんたに何がわかるって言うのよ!

[マンドラゴラ] リーダーが高貴なのは……血筋だけじゃないの! あの人は……あの人は強くて、優しくてっ!!

[マンドラゴラ] ……! ハン、わかったわ。そうやって時間稼ぎをして、あたしの口から情報を引き出そうとしてるのね?

[マンドラゴラ] そんな小細工、通用するとでも思ったの?

[マンドラゴラ] まあ、たとえあたしが口を滑らせたとしても、それがなんだって話よね。

[マンドラゴラ] 何せ、あんたたちがこの通信塔を登ることなんて永遠にないし――

[マンドラゴラ] あたしの話を聞いてた奴は、死人か、もうすぐそうなる連中だけだもの!

[ホルン] ……だったら、もう少し頑張らないといけないわね。子猫ちゃん。

[マンドラゴラ] チッ……ナメやがって!

[マンドラゴラ] 確かにあんたは大した実力だし、武器の制御も正確だわ。そうやって常に砲撃の向きを調整して、あたしのアーツの隙を探ろうとしているんでしょう。

[マンドラゴラ] でも、残念だったわね――あんたがそこまで手負いじゃなくて、弾薬も十分だったなら、本当にあたしを傷つけられたかもしれないのに。

[マンドラゴラ] さあ、そろそろお喋りは終わりにして――

[ホルン] ――今よ!!

[マンドラゴラ] うっ……なっ……何!? 石柱がぶつかったの……!?

[バグパイプ] ふぅ……ずーっと頑張ってたお陰で、腕がへとへとだよ!

[マンドラゴラ] あのヴイーヴルッ……!

[マンドラゴラ] デタラメに攻撃してるだけだと思ってたのに……まさか、最初からあいつの狙いは塔の下の石柱だったの!?

[マンドラゴラ] 畜生……畜生ッ! どうしてそんな作戦が!?

[バグパイプ] 隊長! あの人の周りにあった石が消えたよ!

[ホルン] ……ええ。

[バグパイプ] やっぱり、うちらの思った通りだね。あのアーツ、応用範囲は広いけど、同時にできるのは一つのことだけ――

[バグパイプ] 石を操って盾にするにしろ、トゲを作って放つにしろ、その合間には必ず隙が生まれるんだ!

[ホルン] 石柱で破壊した石の盾を再生される前に――仕掛けるわよ!

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧