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この炎が照らす先_FC-2_不幸な再会_戦闘前
物資不足の問題に直面し、ヴェンとリードは集落の住民に助けを求めに行こうと決め、セルモンはキャラバンから略奪しようとする。
[特別行動隊隊長] フィッシャー、子爵から手紙が届いたぞ。何やら急ぎの……
[特別行動隊隊長] ……フィッシャー?
[特別行動隊隊長] おい、また何か難しいことでも考えてるのか?
[フィッシャー] ……申し訳ございません。
[特別行動隊隊長] お前がパズルと向き合ってぼんやりしてる間も、あのアルモニとかいうフェリーンは休みなく動いてるんだぞ、このトレント郡でな。
[フィッシャー] ご安心ください、ぼんやりなどしていません。彼女に対する監視も少しも緩めてはいませんよ。
[特別行動隊隊長] 調査に進展はないようだがな。
[フィッシャー] もしこの観察期間で、彼女が未だヴィクトリアに対する責務に忠実であることが証明できたなら、それは裏切り者一人を捕まえるより喜ばしいことですよ。
[特別行動隊隊長] お前が喜ぶ姿なんて見たことないが。
[特別行動隊隊長] ……前の作戦でヘマをやらかして、もうこのオフィスじゃそのツラは拝めないもんだと思ってたよ。
[フィッシャー] 作戦自体は失敗してないのですから、「ヘマ」という言葉には語弊がありますよ。
[特別行動隊隊長] 病院の検査結果は?
[フィッシャー] 急性感染。傷口の中に活性源石の欠片が多数入り込んだようで……
[フィッシャー] もちろん、病状はすでに安定していますので、心配はご無用です。時折痛みは生じますが、計画には影響ありません。
[フィッシャー] しかし、診断結果はまだ上に報告しておりません。
[フィッシャー] 私にはまだ、アルモニの調査任務を遂行する能力があると自負しておりますし、この大量にある情報の断片を引き継ぎたいと思う者はいないでしょう。
[フィッシャー] このカモフラージュの向こうにある真の目的を突き止める責任は、私にあります。
[フィッシャー] ……その間、私は皆さんと距離を保ちますので、ご安心を。
[特別行動隊隊長] 俺にだって山ほど緊急事態を片付けてきた経験がある。お前に気を遣われるまでもねぇよ。
[特別行動隊隊長] 上が未だにお前の出入りを許可している以上、俺たち特別行動隊はお前の調査をサポートし続けるさ。
[特別行動隊隊長] なんだ、感謝の言葉もないのか?
[特別行動隊隊長] ハハッ、まあいい、少し冗談を言ってみたくなっただけだ。お前はいつも気を張っているからな。
[特別行動隊隊長] 子爵の手紙をちゃんと読んでおけよ。
[フィッシャー] ……これは、招待状?
[フィッシャー] なるほど。
[ヴェン] ……君の言うことを聞けって? 私たちをどこへ連れて行くつもりなんだ?
[ヴェン] これ以上、荒野の奥深くに進んでどうするんだ。君が指し示す方向には集落なんてないぞ。
[ヴェン] あそこには草一本生えてないし、野獣を狩るどころか、野イチゴすら採れないんだ。それに、いつ石混りの雨が降るかわからない……天災トランスポーターだって通ろうとしないルートだぞ!
[セルモン] あの沼を抜けるには何日もかかるってことはわかってる。食いモンなら、ヴィクトリア人のキャラバンを見つけて奪えばいいだろ。
[セルモン] それに、薬だってあの医者がたくさん持ってるしな。
[ヴェン] 彼女は医者じゃない……そもそも私たちを町まで送り届けたらそこでお別れだって約束したじゃないか。それより、君は彼女を何だと思ってるんだ? 薬箱か?
[ヴェン] 君のわがままのために、みんなは自分の持ち物や、命さえも君に差し出さなければならないとでも言うのか?
[セルモン] 黙れ、ヴェン! 文句があるなら一人で行きやがれってんだ。どうせアンタにゃできねぇだろうがな。
[ヴェン] ……
[セルモン] 臆病者は生きていけねぇぞ。
[ヴェン] セルモン!
[リード] ……
[セルモン] おっと、「リード」さんのお出ましだ。なぁ、「リード」ってのはたしか「葦」っつー意味だよな?
[セルモン] その名前、マジで気に入らねぇぜ。石やら泥と変わんねぇ、どこにでもあるんだもんな。アンタを呼んでんのか道端の草を呼んでんのかわかりゃしねぇ、ハハッ。
[リード] 何を言い争ってたの?
[ヴェン] あの……君に言わなきゃならないことがある。私たちはトゥラの町に行けなくなった。
[ヴェン] さっきラジオで言っていたんだが、トゥラにある二つの工場にダブリンへの物資提供の疑いがあるらしくてね。軍が強制的に人々を排除しようとして衝突が起きているらしいんだ。
[ヴェン] 今町に向かっても、輸送車に乗るどころか近付いただけで捕まってしまうだろうね。
[ヴェン] ハァ……せっかく強い人に協力してもらって、どうにかここまで逃げてきたっていうのに。
[セルモン] ハッ、輸送車に乗りさえすりゃ、良い暮らしが手に入るみてぇな物言いだな。
[セルモン] 工場から別の採掘場へと逃げ込めりゃ、いつか幸運が舞い込んで、輸送車がターラーじゃない場所に連れてってくれるってか……そんな簡単にいくと思ってんのか?
[ヴェン] そうやって多くの人が脱出できたのを知っている。
[セルモン] そいつらがいなくなったのを見ただけだろ。村を焼かれて、近くの荒野じゃ農作物は育たないからここを去った。だがそいつらが最終的にどこへ行ったか、生きてるか死んでるかは知らねぇだろ。
[セルモン] それにどこだったら──どこまで行けばターラーから逃げたことになるか、アンタわかってんのか? 地図にも記されてねぇんだぞ?
[ヴェン] そんな難しい問いの答えなんて、誰にもわからないさ。私が答えられないからって、君が正しいとも限らないだろう。
[ヴェン] ……やめよう。ここでの知り合いに食料を分けてもらえないか交渉してくるよ。いくらここでわめき散らしていても、食料は湧いてこないからね。
[リード] ……とても悲しそうな顔だった。
[セルモン] 当然さ、あいつは嘘が嫌いだからな。この状況で他人に借りを作るとなりゃ嘘をつかなきゃならねぇ。必ず返しに戻ってくるってな。
[リード] ……手伝ってくるよ。
[セルモン] アンタの話し方は、よそから来たヴィクトリアの将校みてーだし、誰も信じちゃくれねぇよ。それともアンタ、嘘をつくのがそんなに得意なのか?
[リード] 私はただ、人のものを奪うやり方が嫌いなだけ。
[リード] それと、キミのわがままも……私は嫌い。それこそ一番の嘘に見えるよ。
[チェン] キミの友人は確かにこの付近でダブリンを見たと言ったんだな?
[キャラバンのリーダー] そうじゃなきゃこの周辺を避ける理由なんてないでしょ? キャラバンの間でも噂は広まってるの。今は誰もが遠回りをしてでも、ここら一帯の通行を避けたいと思ってるのよ。
[キャラバンのリーダー] もしあなたたちが安全を保証してくれなければ……私たちがここまで来ることは絶対になかったわ。
[バグパイプ] うーん……もうすぐ目的地なのに、まだ何も見つかってないべ。
[キャラバンのリーダー] うーん、何日も前のことだから、すでに立ち去ってしまったのかもしれないわ。
[キャラバンのリーダー] あの時、ダブリンは先を急いでる様子だったと聞いてるわ、だから私の友人のキャラバンを無視したのかもしれないわ。
[バグパイプ] んー、その人が見たのはどれくらいの人数? それとどっちの方向に行ったかわかる?
[キャラバンのリーダー] あっちよ。人気のない荒野の方角に向かったって。具体的な人数は数えられなかったし、細かく数える勇気もなかったと言ってたわ。
[キャラバンのリーダー] もちろん嘘なんてついてないわ。私たちも、武器を持ったダブリンどもじゃなく普通のターラーのごろつき程度ならちっとも怖くないんだから。
[キャラバンのリーダー] ……ここは貧しい場所でしょ。流れてくるごろつきなんかは結構多いのよ。だから当然私たちもある程度の安全対策は心掛けてるの。
[キャラバンのリーダー] 前にオークグローブ郡が長距離移動すると知って、うちのキャラバンもこの辺りを通るルートに変更しなきゃいけなくなった時は、大枚はたいてうちの連中に武器や防具を用意してあげたくらいよ。
[バグパイプ] 待って、チェンちゃん……あそこを見て。
[チェン] ん?
[バグパイプ] あそこに……ダブリンみたいな格好をした人がいるべ。
[少し蓄えのある農場主] ハァ……最近あまりにも厳しい税条例が発表されてね。以前なら、みんなここまで困ることはなかったのに。
[少し蓄えのある農場主] ヴェン、それとそっちの異郷のお嬢さん……君たちの力になりたいのは山々なんだけど、恥ずかしいことに、十数人分の食料を分けてあげる余裕なんてないんだ。
[少し蓄えのある農場主] そもそも君たちはそんなに大人数なんだし、自分たちでどうにかできないのか?
[ヴェン] 私たちは貴族たちの獲物をこっそり狩ることだってできないんだ。君も知ってるはずだろ? スカハンナ原野ではもう何年も鎮火の鐘が鳴り続け、お腹を空かせた人間が猟をすることを阻んでる。
[少し蓄えのある農場主] よせよ。本当に餓死する直前なら、そんな決まりごとなんか気にする奴はいないだろ? そうやって人に助けを求めてるのは、ただ君たちが怠け者ってだけじゃないか!
[ヴェン] 違うよ、そんなことはない……彼らはみんな決まりを重んじているんだ。だから私は彼らに代わって食料を分けてもらおうとしてるだけで……
[少し蓄えのある農場主] ──だったら、何か担保はあるか。
[少し蓄えのある農場主] すまない、ヴェン……今はもう口約束じゃ無理なんだ。
[少し蓄えのある農場主] ……本? ダメだって、こんなものベッドの脚の高さを調整するのにも使えやしない。
[疲弊した女性の声] こんにちは、誰かいますか?
[ヴェン] 今のは──
[少し蓄えのある農場主] 無視していい。
[少し蓄えのある農場主] 病気の女がまた人を連れて物乞いに来たんだ、ほんと迷惑にもほどがある。もしドアを開けたら、あいつはドアの枠にしがみついて一時間はしつこくせがんでくるぞ。
[少し蓄えのある農場主] しかもあいつは感染者なんだ! うちのドアから石が生えやしないかと気が気じゃないよ!
[少し蓄えのある農場主] ハァ……あの物乞いたち、去年の冬には死ぬかと思っていたのに……病気になったのは可哀想だけど、あちこちで人に嫌われるようなことばかりしてるからな。
[ヴェン] でも、この声……ま、まさか? でも聞き間違うはずは……
[リード] ……
[リード] ヴェン、彼女を知ってるの?
[ヴェン] ま、まだわからない……窓の隙間から覗いて……いや、やっぱりやめておこう……
[リード] ……戦っている音がする。
[リード] 誰かが感染者たちを追い払おうとしているの?
[少し蓄えのある農場主] 違う、村の外だ。道路の方から聞こえてくる。
[少し蓄えのある農場主] これだから嫌になるよ……腹を空かせた奴は、なんだってするんだから。
[荒っぽいターラーの流民] これ以上待ってる余裕はねぇぞ! ぐずぐずしてると、キャラバンが行っちまう。
[荒っぽいターラーの流民] ヴェンの奴は、今日も食い物を手に入れられないに決まってんだ。恥ずかしげもなくあちこちで人に頭下げてっけどよ。
[荒っぽいターラーの流民] そもそも、俺たちはダブリンに加わってヴィクトリア人と戦争するんじゃねぇのかよ? だったら一足先に奴らのものを奪ったっていいだろ。
[緊張したターラーの流民] でも、私たちがこんなことしてるのを見たら、リードさんがきっと怒るわよ。
[荒っぽいターラーの流民] 構うもんか。まだ戦う力が残ってるうちに奪いに行かなきゃ。空腹で動けなくなってからじゃ遅いんだぞ?
[荒っぽいターラーの流民] それにここへ来て何日も経つってのに、キャラバンを見たのはこれが初めてだ。次いつチャンスが来るかわかんねぇだろ?
[緊張したターラーの流民] だったらリードさんを説得して一緒にやりましょうよ。そうすれば成功する確率が少しは上がるでしょ?
[セルモン] ……もういい、あいつの話はするな。アタシらの目的が、あいつに何の関係があるんだよ。
[セルモン] それともアンタは、あいつみたいなよそ者に助けられ続けることを望んでんのか?
[セルモン] 行くぞ、やるんだ。
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