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この炎が照らす先_FC-1_逃げる者に追う者_戦闘前
人目を避けたいリードは、現地の巡回隊に追われるターラーの流民たちの元を去ろうとする。同時に、ダブリンの動向を追跡しているバグパイプとチェンは、特殊なダブリン兵に遭遇したのだった。
[ターラーの流民] いい加減、帳簿を触るのをやめたらどうだ? まだリヤカー引いて物売りしてた暮らしに戻れると思ってんのかよ?
[ヴェン] いや、そんなことはないんだけど……はぁ。
[ヴェン] 後ろめたいことをしたら、書き留めておかないといけないような気がしてさ。
[ターラーの流民] たいていの医者なら傷の原因くらい一目でわかんだろ。それでも責められなかったんだから、お前は許されたってことだろ。
[ヴェン] でも彼女は医者ではなくて、薬を売る場所で働いているだけだという話だ。応急処置の知識を少しかじっている程度だから、傷口の処置ぐらいしか教えられないって……
[ターラーの流民] あいつが本当のことを言ってる保証はねぇだろ。
[ターラーの流民] 俺に言わせりゃ、ありゃただの医者じゃねぇよ。ましてや薬売りだなんてもっとありえない。あれだけの種類の薬を持って荒野に来るなんて、おかしすぎるだろ。
[ターラーの流民] あいつのスーツケースの中身はちゃんと見たか? お前商売やってんだから、どれだけの価値があるかわかるだろ?
[ヴェン] 細かくは見てないけど……
[ヴェン] ……まさか命の恩人の荷物まで奪おうとしてるわけじゃないよね?
[ターラーの流民] いやいや、一応聞いてみただけだ。
[ヴェン] ねぇ……まだパンは残ってるかい?
[ターラーの流民] ほとんどねぇな。
[ヴェン] ……申し訳ないが、一つ分けてくれないかな。
[ヴェン] 先生。
[ヴェン] いや、えっと、先生って呼ばれるのは好きじゃないんだったね……あのー、パンでも食べるかい?
[リード] ありがとう。でも私は大丈夫だから。
[ヴェン] 何を読んでるんだい?
[リード] ただの古いターラーの詩集。
[ヴェン] あっ、おぉ、ターラー語か……私はあんまり言葉を知らなくてね、ましてやターラー語の文字なんてわからないよ、ハハッ。
[リード] ……立ち話もなんだし、座って。
[ヴェン] うん、えーと…
[ヴェン] …実は昨夜のことで君にお礼を言いたいんだ。
[リード] ただ薬を少し分けてあげただけだよ。
[リード] ……傷口の洗浄や包帯を巻くところまでやってあげたかったけど、まだうまくできなくて。
[ヴェン] あんな傷口を見れば誰だって怖くなるさ。しょうがないよ。
[ヴェン] ……だけど、もしもあの時君が火を放ってくれなければ、私たちは恐らく逃げ出せていなかった。
[リード] 火……?
[リード] ……違う。私はただ通りかかっただけで、火なんて放ってない。
[ヴェン] ……そうか。わかった。君がそう言うなら、ただの偶然ってことにしておくよ。
[ヴェン] はぁ、それにしてもダブリン呼ばわりは不名誉だよね……あの兵士たちは言うこと聞かない奴をみんなダブリン扱いするんだ。私たちだけならまだしも、君みたいな優しい人には似合わない罪名だよ。
[リード] ……キミはダブリンを憎んでるの?
[ヴェン] それは……何とも言えないかな。
[ヴェン] 都市から来た君は知らないだろうから、一つ忠告しておくよ。実はしばらく前に、ダブリンの人間がこの辺りに来たんだ。
[ヴェン] ダブリンは、とあるヴィクトリアの部隊と衝突して、ヴィクトリアの方は誰一人として生き残れなかったらしい。
[ヴェン] それで都市のお偉いさん方は非常に腹を立ててね。トレント郡から兵士たちを動員して、スカハンナ原野の至る所で人を捕らえて、村もいくつも焼き払ったんだ。
[ヴェン] ……君は私たちを助けるべきじゃなかったんだ。そんなのリスクしかないのに……
[リード] ……
[リード] もし、他人の命をないがしろにしてしまったら、私はロドスとの約束を破ってしまうことになるから……
[ヴェン] え? ごめん、声が小さすぎて……
[リード] 何でもない……さっきの話、私も少しは聞いてるから、道中気を付けるよ。
[ヴェン] え、もう行くのかい?
[リード] うん。夜はもう明けたから、道を教えてもらわなくても大丈夫。
[ヴェン] そうか、わかったよ。君みたいにとてもきれいなヴィクトリア語を話すターラー人は、あんまり私たちと話したくないだろうしね。
[セルモン] おい、アンタらケリーを見なかったか? こんくらいの背丈の女で尻尾をゆらゆらさせながら歩くクセがあんだけどよ。
[セルモン] 見てねぇ? 先生、悪いがこの近くを探してきてくんねぇかな? あいつ一晩帰って来てねぇんだ。この通りだ、頼むよ。
[ヴェン] セルモン、君が頭を下げるなんて珍しい──
[セルモン] おっと。ヴェン、アンタはこっちに来て手伝ってくれよ。
[リード] ……
[バグパイプ] ありゃ、通信が可能になってる? また方向を間違えたってこと?
[チェン] そのようだな。この辺の通信設備は破壊されていない。つまり奴らはここら一帯へは来ていないということだ。
[バグパイプ] うーん……ロドスからは何かあった?
[チェン] ニュースで言ってた内容とあまり変わらない。昨晩ダブリン兵の小隊がレッドリッジで火を放ち、駐屯地の建物が一棟燃えたという話だ。
[チェン] だがその小隊の者たちは、まだこの荒野に逃げて来てはいないようだな。
[チェン] あとはどれも役に立たない情報だ。ちょうど直近の一ヶ月、この辺りには移動都市が来なかったようだし、外勤オペレーターからも異常の報告はない。
[チェン] そして、私たちも戦闘の痕跡しか発見できていない……あの痕跡から戦闘の規模を判断することはほぼ不可能だ。
[チェン] 唯一わかるのは、交戦した双方の実力がかけ離れていたということくらいだ。ヴィクトリア兵は即座に敗北したと言っていいだろう。
[チェン] ……バグパイプ、聞いてるか?
[バグパイプ] えっ?
[チェン] 部品をはめる向きが違うぞ。また考え事か?
[バグパイプ] わぁ、チェンちゃんって破城矛の構造もわかるんだね! うちなんて最初、メンテナンスの方法を覚えるのにもすっごい時間がかかったのに。
[チェン] ……全部わかるわけではないがな。
[バグパイプ] さっきはね、どうしてヒューズは手紙の中でいつも別人みたいに話すのかなって考えてたんだべ。こんなこと言っても確信はないけど……
[チェン] まあ、キミの直感は常に正しいと信じている。
[チェン] 彼には、何か言いたくて言えないことがあるんじゃないかと感じているんだろう?
[チェン] ……まるで私たちが彼を訪ねて以降、誰かに監視でもされているかのように。
[バグパイプ] そう、まさにそんな感じ!
[チェン] ならば、私たちは道を間違えていないということだ。ヒューズがくれた情報は正しい。敵の警戒を引き起こすほどにな。
[チェン] 行軍ルートは隠蔽できるが、軍備に関する原材料の流れについてはやはり情報が漏れているようだ。この数ヶ月、私たちがマークした複数のダブリンの部隊はいずれもここら辺一帯に近づいている。
[バグパイプ] トレント郡外の……無人地帯?
[チェン] ……
[バグパイプ] チェンちゃん、急にどうしたんだべ……
[チェン] 三時の方向。
[ダブリン兵士] ──
[バグパイプ] ヒロック郡の時と同じ格好……亡霊部隊だ!
[バグパイプ] 早く後をつけよう──
[チェン] 待て、バグパイプ……あいつらどこかおかしいぞ。
[バグパイプ] あ、たった数人で荒野に出てくるなんてたしかに変だね。見張りっぽいけど……囮かな?
[チェン] いや、そうとも限らんぞ。あいつらを見ていると……龍門での悲惨な光景を思い出す。
[チェン] 油断するな、ゆっくり近付くぞ。
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