aklib_story_暴風眺望_9-19_長き夜を照らす戦火_戦闘後

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暴風眺望_9-19_長き夜を照らす戦火_戦闘後

ダブリンは通信基地局を利用して、ヒロック郡とその周辺都市に駐屯軍の残虐な行いを流布した。ヒロック郡の陥落は避けられないと悟ったホルンは、バグパイプに、ヒロック郡から生きて真相を持ち出すよう命じるのだった。


[バグパイプ] たっ……倒した!?

[バグパイプ] うちら……勝ったの?

[ホルン] ……

[バグパイプ] いけない……隊長! その傷……

[バグパイプ] 何とか持ちこたえて! うちが支えるから、目を閉じちゃダメだよ――

[ホルン] ……ごほっ、げほ、ごほっ……

[ホルン] 力を……入れすぎよ……そんなに、引っ張られると……身体が、痛むんだけど……

[バグパイプ] ご、ごめん! 隊長が気を失ったらいけないと思って!

[ホルン] そう、ね……今、倒れるわけには……

[ホルン] だって……敵が……

[マンドラゴラ] ……ク……アハハ……アハハハハハッ!

[マンドラゴラ] あんたたち……それで、あたしに勝ったつもり!?

[マンドラゴラ] ハッ、愚かなヴィクトリア軍人が!

[マンドラゴラ] あたしは――ドブ臭い墓から這いずり出てきた人間なんだ! ヴィクトリアのクソ貴族に受けた借りは、こんなもんじゃない!!

[バグパイプ] ま、まだ立ち上がってくるの!?

[バグパイプ] どういうこと? さっき喰らわせた一撃……心臓は貫ぬけなかったけど、重傷は負わせたはずでしょ!

[ホルン] ……アーツ、よ。

[バグパイプ] それじゃ、あんな少しだけの石っころに、うちの矛が逸らされたってこと? すごいアーツだね。もうあんなチャンスなんて、来ないかもしれないよ……

[バグパイプ] ……敵ながら、おめーさんの意志の固さは尊敬するよ。まるでその石みたいだね。

[マンドラゴラ] チッ、あんたの賞賛なんかいらないわ!

[マンドラゴラ] あたしが欲しいのは――あんたたちの命だけよ!

[マンドラゴラ] 来なさい、『いばらの森』!!

[バグパイプ] わっ!? 地面から、すごい数の石柱が!!

[バグパイプ] って、うわわ! この辺はもう、立ってられないよ……!

[バグパイプ] うちが隊長を背負うから、向こうへ逃げよう!

[マンドラゴラ] 逃げられると思ってるの?

[マンドラゴラ] ナメんじゃないわよ――あたしは今まで、リーダーを失望させたことなんてないんだから!

[マンドラゴラ] ――え……? 何の音?

「ヒロック郡及び、その近隣にお住まいの皆さん。これはあなた方へ向けて、リアルタイムで発信しているメッセージです。」

「ご存知の通り……本日の正午、この素晴らしい都市を大きな災いが襲い、私たちの家族を傷つけ、そして故郷を破壊しました。」

「胸の張り裂けるようなこの光景を……私たちは、共に目撃したのです。」

「過去数百年にわたり、彼らは幾度も私たちにこうした苦しみを与えてきましたが――」

「これまで、私たちは声を上げませんでした。なぜなら私たちは、彼らにもまだ慈悲の心が残されている、そして私たちが耐え続ければ平和に共存し続けられる、と信じていたからです。」

「しかし、今日この日――ヴィクトリア軍は、その刃を私たちの首筋に当ててきました。」

「彼らは人為的に、鉱石病という厄災を以てこの都市を覆ってしまいました。これは天災よりも無情で、恐ろしい行いです。」

「私たちは戦争を望んではいません。それでも、抵抗しなければならないのです。」

「もし、あなたがこのメッセージを聞いて、共に立ち上がってくれるのなら――あなたがどこにいようとも、その存在は私たちの助けとなります。」

「私たちは炎を以て、数百年と積み上げられたこの国の不浄を浄化します。」

「そして、同じく炎を以て、不公平に抵抗すべく身を捧げてきたあらゆる命を慰め――」

「――自由で平和な未来への道を築き上げます。」

「私たちは敵ではありません。あなたたちの友なのです。」

「過去、現在、未来……いかなる時も、一つの家族なのです。」

「どうか記憶してください。私たちを表す名前――」

「――『ダブリン』を。」

[バグパイプ] この声明……亡霊部隊の?

[バグパイプ] 街の人たちに向けて……ううん、違う……それだけじゃない。

[バグパイプ] 今は通信基地局全部が占拠されてるし、この放送、近くにある都市五つか六つでも受信できちゃうはず!

[バグパイプ] ……そしたら、駐屯軍の悪事はこの辺の人みんなに知られてるだろうし、そこからすぐに、ほかの場所にも伝わっていっちゃうよ。

[バグパイプ] 一番マズいのは、今言ってたことの大半が事実ってところだね……これじゃ弁明しようがないよ!

[バグパイプ] そもそも、弁明したくたって手段だってない……

[ホルン] ……

[ホルン] 結局、最悪の事態は防げなかったということね。

[バグパイプ] 隊長が命懸けで通信基地局を占拠しようとした理由は、これだったんだね。こっちの情報伝達に使うだけじゃなくて、敵が先に声明を出すのを阻止するために……

[ホルン] ……私たちの負けよ、ハミルトン……

[ホルン] あなたと……そして、私。……我々は、完全に敗北した。

[バグパイプ] まだだよ! うちらは負けてない!

[バグパイプ] 黙りこくったままよりは、遅くなってもちゃんと言った方がいいに決まってるべ!

[バグパイプ] 亡霊部隊はああやって正義の味方ぶってるけど、うちらはこの目で見たじゃない! あいつらが支持者を容赦なく焼き殺すところも、一般市民を追いかけ回して殺してるところも!

[バグパイプ] うちらにはそれを伝える義務も、亡霊たちの正体を明らかにする義務もあるんだよ、隊長!

[ホルン] ……!

[ホルン] そうね、あなたの言う通りだわ。

[ホルン] この戦いは、まだ……終わってなんかない。

[バグパイプ] あれ……? 見て、あいつ……何してるんだろ? なんかぼんやりしてる。

[マンドラゴラ] ……

[マンドラゴラ] ……アルモニ……あの女……あたしを騙したの? ここに向かわせたのは、声明担当の座を奪うためだったってこと?

[マンドラゴラ] なんで……どうしてなのよっ!!

[マンドラゴラ] どうしてあんたがリーダーの代弁者なの!? あたしは下で、あんたの代わりにゴミ掃除なんかしてやってるって言うのに!!

[マンドラゴラ] クソッ……! こうなったら、ロンディニウムに……すぐにでも、ロンディニウムに行ってやるッ!!

[バグパイプ] うわっ……すんごい大風! あのフェリーン、どうして急に興奮し始めたんだろ? あんなになりふり構わずアーツを放って、本人は平気なのかな!?

[バグパイプ] ――! 気を付けて! 石柱が――!

[ホルン] ぐ、うっ――ッ!

[バグパイプ] 隊長、それ以上無理しないで! その盾、もうエネルギー残量がないじゃない! その分の負担は身体に来るんだよ!

[ホルン] ふっ……大したことじゃ、ないわ。

[バグパイプ] だけど、口から血が――

[ホルン] そのくらい、あなたが拭いてくれればいいでしょう。

[バグパイプ] ……そんな冗談、全然笑えないよ。

[バグパイプ] うちだって、隊長の盾に隠れてなんかいられない……! たとえ命令でも、そんなことできないよ!

[バグパイプ] だから――うちが突撃する! 何発か受けるくらいなら平気だし、少なくともあの人のとこまでは耐えられるべ。接近して、もう一発お見舞いしてやるんだ!

[バグパイプ] うちの破城矛なら、まだ一発分のエネルギーは残ってる! 向こうも一度にこれだけたくさんの石柱を呼び出したわけだし、限界は近いはず……きっと打ち破れるよ!

[ホルン] バグパイプ……

[バグパイプ] 手を離して、隊長! 生き延びたあとだったら、いくら罰してくれてもいいから! 逆立ちの罰でも何でも、隊長を乗っけてだってこなしてみせるから!

[ホルン] ……飛ん、だ……

[バグパイプ] ……!

[ホルン] ……これじゃ近付けないわ。あなたは飛べないもの。あの石を足場に跳んで彼女に一撃与えるなんて、現実的じゃない。

[バグパイプ] ……そんなの、やってみなきゃわかんないでしょ。

[ホルン] やめなさい。自分の言葉を忘れたわけじゃないでしょう?

[バグパイプ] えっと……どれのこと?

[ホルン] 私たちには、「伝える義務がある」。そうよね?

[バグパイプ] もちろん忘れてないよ! 絶対に、このことを伝えないといけない……そのためにも、あの人を仕留めて、通信塔に登らないと!

[ホルン] はぁ……通信塔、ね。

[ホルン] 軍上層部には、亡霊部隊に加担する人物がいる……彼女はそう言っていたでしょう?

[ホルン] であれば、私たちが塔に登ったところで……この情報は、恐らくロンディニウムには届かないわ。

[バグパイプ] それでも、へこたれてる場合じゃないよ!

[バグパイプ] 「いかなる時でも、仲間を信じよ」――そう教えてくれたのは隊長でしょ。

[ホルン] ――そうね。私は……仲間を信じてる。

[ホルン] だからこそ……あなたを、行かせないとならないの。

[バグパイプ] えっ!? どういう意味!?

ホルンは大破した盾を揺るぎなく片手で支え、もう一方の手でバグパイプの腕をぐっと握った。

[ホルン] あなたのその「一発」を、無駄にしないで。

[ホルン] 矛をしっかり抱えて、射出機能を起動しなさい。そうして、ここから飛び出すの――

[ホルン] 今の街中は、出入り口も含めて敵だらけだけど、誰もこんなことまでは予想できない。空を逃げるあなたを、止められはしないわ。

[ホルン] この場所から、すべての情報を持ち出すのよ。

[ホルン] その後、本当に信頼できる人を見つけたら、亡霊部隊の情報を外に広めてちょうだい。

[ホルン] ロンディニウムには、ヒロック郡で起きた事件の真相を知る必要があるのだから。

[ホルン] バグパイプ――生きて。ここから逃げ延びるのよ!

[ホルン] これが、私たちに残された……最後のチャンスなの!

[バグパイプ] ――ッ――

[バグパイプ] 隊長!!!

ほかに方法は残されていない。これが最終手段であることを、彼女は理解していた。

反論の言葉はどれも喉につかえて、胸が張り裂けそうだった。

彼女は己の上官を――唯一残った戦友を、見捨てなければならないのだ。

一人のヴィクトリア軍人として――

バグパイプは、戦場において、最も信頼する人からの命令に逆らうことなどないのだから。

[マンドラゴラ] まさかあんな手が残ってたなんて……!

[マンドラゴラ] ……まあいいわ。一人逃げ出したところで、どーせ何にも変わらないもの。

[マンドラゴラ] それで、あんたの方は……

[マンドラゴラ] 立ってるのもやっとのくせに、なんでおとなしく倒れようとしないわけ!?

[マンドラゴラ] チッ――今すぐ終わらせてやるわ! こんな場所、もう飽き飽きだもの!

[ジェニー] 全員揃ったよ、オリバーおじさん。

[ジェニー] それと、この辺の住民と話して、安全に街から出られそうな道を教えてもらってきたよ。

[ジェニー] だけど、この近くにはまだ、敵が……「ダブリン」の人たちがいるみたい。

[ジェニー] 住民たちは、ヴィクトリア兵が掃討された今、ダブリンが一般市民に手を出すことはないと思ってる……彼らの言うことを信じてるんだ。

[ジェニー] でも、あたしたちはまだ気を付けておかないと。

[ジェニー] あたしたちの友人――誰よりも尊敬すべき同僚を、永遠に奪い去ったのは誰なのか……彼らがどんなふうに振る舞おうとも、あたしは絶対忘れないから。

[ジェニー] そうだ、毛布を一枚もらってもいい? この子をしっかり包んであげないと。

[ジェニー] 一番近いセーフハウスに着くまでは、この子を見られるわけにはいかないからね。

[ジェニー] まだ、道のりは長いけど、きっと彼女なら、あたしたちの旅の安全を祈ってくれてるはずだよね。

[ジェニー] あっ、見て、オリバーおじさん……

[ジェニー] 今度は本当に、夜が明けるよ。

「バグパイプ。前に、あなたにこう言ったわよね。どんな犠牲を払うことになろうとも……って――」

「あれは、たとえ私たちが全員ここで命を落としたとしても、あなただけは行かなければならない、という意味なのよ。」

「だから――振り返らないで。」

「私にはわかるわ。あなたならできる、って。これは、あなたにしかできないことなんだ、って……」

破城矛が都市の残骸を飛び越えて、不毛の大地に重く突き刺さる。

バグパイプは数度転がって受け身を取ると、すぐにその場で身を起こした。

彼女は大地に刺さった武器を引き抜き、その手で握りしめる――

振り返ることはできない。

これは命令なのだ。

深く息を吸うと、あらゆる感情を心の中に押し込んで、荒野の彼方へと歩き出す。

――その行く手には、本当の朝日が昇り始めていた。

「この大地で何が起きようと、夜明けは必ずやってくるわ。」

「たとえ日が昇らなくても、歩み続ける人々が、燃える命の輝きで夜を照らし出すから。」

夜半 天気/雨

ヒロック郡 路地

[Outcast] ようやくお出ましかい? 随分遅かったじゃないか。

[「雄弁家」] ……サンクタ、ですか。

[「雄弁家」] 見たところお一人のようですが、あなたが助けたあの人は今、どちらに?

[Outcast] そんなこと、今は関係ないだろう?

[「雄弁家」] まあ、お聞きください。あなたがお強いのは存じています。ですが問題は、彼女がどのようにあなたを見つけ、護衛に引き入れたのか……ということなのです。

[「雄弁家」] ふむ。我々の知らぬ間に、ラテラーノと取引していたとは考えづらいでしょう。報告によれば、あなたにはヴィクトリアの軍人のお仲間がいたそうですからね。

[「雄弁家」] となると、彼女はやはりヴィクトリアの軍門に下ったと考えるべきでしょうか? であれば、誰があなたを送り込んだのかが気になりますね――もしや、どこぞの大公爵ですか?

[Outcast] おや。無意味な質問をしてくるとは、お前はよっぽど暇らしいな。

[「雄弁家」] 確かに、私の仲間たちは先を急いでいますけれど、私はあなたとお話ししたいと思ったものですから。

[「雄弁家」] ところで、これはご提案なのですが、あなたの雇い主が約束した報酬――それがいかなる富、いかなる地位であろうとも、我々であればより多くをご提供することができますので――

[Outcast] あっはは! 提供? 私の求めるものを、か? お前たちにはできまいよ。

[「雄弁家」] お伺いしてみないことには、わかりませんよ。ダブリンの力はあなたの想像以上かもしれません。

[「雄弁家」] ですから、まずは仰ってみてください。

[Outcast] ——

[Outcast] もしも、正義が執行せずとも広まるなら――私の銃は一体何に使えばいいのだろうな?

[「雄弁家」] ……ふむ。つまり、どうしても我々の行く手を阻むおつもりなのですね?

[Outcast] 初めからそう聞いてくれたらいいものを。

[「雄弁家」] 残念です、マダム……本当に、残念ですよ。

[「雄弁家」] ――皆さん。一斉にかかりましょう。

彼の合図で、五人の影が暗闇から現れた。

[Outcast] 「会計官」、「囚人」、「放火魔」、「劇薬学者」、「略奪者」――そしてお前、「雄弁家」。

[Outcast] どれも馴染み深い名前ばかりだ。

[Outcast] 私はこれまで、そういった肩書きを持つ人物とは嫌というほど相対してきた――

[Outcast] 「会計官」。お前はこの戦争が生み出すであろう利益を念入りに計算し、より多くの人の命を帳簿の数字に落とし込んで、そこから巨万の富を貪ろうと企んでいるな。

[Outcast] 「囚人」。お前はより悪辣な罪を犯すためだけに、幾度も脱獄し、再び刑務所に送られる、そうしたサイクルを繰り返しているのだろう。

[Outcast] 「放火魔」。お前はとうの昔に、一つの家や家庭を破壊するだけでは満足できなくなっている。じきに、一つの都市を燃やし尽くそうと、その空虚な心は満たされなくなることだろう。

[Outcast] 「劇薬学者」。お前自身はそれで学者のつもりらしいが、その名一つでは、残酷な虐殺と重ね続けた陰謀に浸るその本質を覆い隠すことなどできない。

[Outcast] ――その上、お前の次の裏切りは、いくつかの都市を死に至らしめることだろう。

[Outcast] 「略奪者」。お前はその名の通り、奪うことしか頭にない。他人の手から、金に限らずすべてを略奪するつもりだ。

[Outcast] 中でも特に熱望しているものは、人々の尊厳だ。その欲望がお前を駆り立て、一つの国家を蹂躙させんとしているのだろう。

[Outcast] そして、「雄弁家」。お前は自分の言葉という「芸術」に酔いしれている。それを政治的な武器として、争いを扇動しようとしているな。恐らく、さらに大きな戦争を引き起こす日も近いことだろう。

[Outcast] もし――お前たちを放っておけば、あの娘は死に、そしてこうした悪行が大地にもたらされることになる。

[Outcast] ゆえに――

彼女は、シリンダーに最後の一発を籠めた。

[Outcast] ここで、最後の審判を下す。

[「雄弁家」] ……

[「雄弁家」] いわゆるあなたの「信仰」のために、ですか?

[Outcast] 違うな。私にはお前が想像しているような信仰など存在しない――

[Outcast] 信じるものがあるとすれば、それは私の銃だけだ。

[「雄弁家」] ですが、あなたはたったの一人。対するこちらは、六人もいるのですよ。

[Outcast] 心配するな。弾丸なら、お前たち全員の分を籠めておいたぞ。

[「雄弁家」] あなたは、ここで死ぬと言っているのです。

[Outcast] 死ぬのは私一人ではないさ。

「Outcast、君の言い分は理解した。」

「君はこれまで数多の道を歩み、一度として振り返らずに、その銃を用いて他人に裁きを下してきた。その道行きの果てで、審判を待つ最後の一人は君自身なのだと、初めから理解していたな。」

「だが、私は君に、その果てへ辿り着いてほしくはない――君たちのうち誰一人として、そこに辿り着かせたくない。」

「運命という言葉は、それを打ち破るために用いるものだ。……たとえ君がこの結末を受け入れていようとも、私はそれを変えたいと思っている。」

「そうだ。過去が、無情にも私の失敗を宣告していたとしても、君たちが一人ずつ私を残して去って行くのだとしても、私はそれを受け入れたくはないし、受け入れることなどできない。」

「Outcast、私にチャンスをくれ。」

「生きて帰ってこい。」

[Outcast] ははっ、我が旧友よ。結局、私は最期まで君の命令を無視してばかりだったな。

六発の弾丸が、彼女のリボルバーから同時に放たれた。

六人の敵が、彼女に襲いかかる――

斧で斬りつけようとする者、毒霧を吹きつけようとする者、アーツで弾丸を防ごうとする者、その隙に路地の向こう側へ向かおうとする者――

しかし、すべての動作が、試みたその瞬間に停止する。

叫ぶことも倒れることも許されず――彼らは皆、神聖な光の中で塵と化した。

銃声が響いた瞬間、審判は下されていたのだ。

銃から放たれたまばゆい光が柱となって天を貫き、都市のほぼ全域を照らし出す。

Outcastはその只中に立ち続け、公正無私な炎の光に身を任せていた。それは、彼女を指先から、灰になるまで焼き尽くす。

「これこそが、

あるべき終わりと言うものだ。」

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