aklib_story_暴風眺望_9-5_臨界点_戦闘後

ページ名:aklib_story_暴風眺望_9-5_臨界点_戦闘後

このページでは、ストーリー上のネタバレを扱っています。

各ストーリー情報を検索で探せるように作成したページなので、理解した上でご利用ください。

著作権者からの削除要請があった場合、このページは速やかに削除されます。

暴風眺望_9-5_臨界点_戦闘後

ダブリンの幹部マンドラゴラは集会へ向かおうとするも、集会場所の情報が漏れたことを知り立ち去った。一方、バグパイプとホルンは首尾よくその集会へと紛れ込んでいた。そうして、ホルンが詩人と交流していたところへ、兵士を連れた大佐が現れ、集会場は包囲されるのだった。


[野心に満ちた男爵] 親愛なるレディ、晩餐会の準備が整いました――

[???] ――おっそいのよ。あんたたち貴族って何やらせてもほんっとノロマでクソうざいわね。

[野心に満ちた男爵] ……はっ……おもてなしが至りませんでしたことを、心よりお詫び申し上げます。

[???] 謝罪なんていらないわ。で、今日は何人来るの?

[野心に満ちた男爵] ヒロック郡の有識者はすべてご招待いたしました。近頃大いに人気を博している大詩人、シェイマス・ウィリアムズ氏も――

[???] 詩人? つまんない人選ね。あんた、貴族や商人も招待するって約束したけどそっちはどうなったわけ?

[野心に満ちた男爵] も、もちろん……もちろん、ご招待しておりますとも。

[野心に満ちた男爵] たとえば、南部地区で織物産業を牽引しているボレ卿ですとか、以前マッコイ賞を受賞されたバシール医師、それから十数箇所もの鉄工所を持つエヴァンズ氏も……

[???] へえ? 本当に来るんでしょうね? 特に最後の人なんて……

[野心に満ちた男爵] ええ、既にご到着になった方々もいらっしゃいますよ。

[野心に満ちた男爵] 何しろ、尊きお方がご来訪くださるということで……何名もの著名人が、あなたやあなたのお仲間に一目お会いしたいと他の都市から駆けつけていらしたそうでして。

[野心に満ちた男爵] ああ、それと……ご要望通り、リストを作成いたしましたので、いつでもご自由にご覧くださ――

[???] うるさい、喋りすぎ。……ま、仕事はそれなりにやってるみたいだし……下がっていいわよ。

[野心に満ちた男爵] 寛大なお褒めの言葉に感謝いたします。では、ご支度が済まれましたらお知らせください。我が屋敷の質素なホールが、あなたのご到着で明るく照らし出されることを心待ちにしております。

[???] ……で? いつまで突っ立ってるつもり? まだ何か話があるの?

[野心に満ちた男爵] 恐れながら、もう一つだけ――あの最も尊きお方、高貴なるレディにご臨席を賜る可能性は、ほんの少しでもございますでしょうか?

[???] ……あんたにそれを聞く権利はないわ。目障りだから失せなさい。

[???] 何かあったの? マンドラゴラ。落ち着かない様子だけど……

[マンドラゴラ] やめてよ、白々しい……虫唾が走るわ。あんたが人の心配なんてするわけないでしょ、アルモニ。

[アルモニ] はぁ……それじゃ、言い方を変えましょうか。――私はまだこの素敵な小説を読んでいたいのに……そうやってバカみたいに歩き回られると、灯りが遮られちゃうのよね。

[マンドラゴラ] チッ……

[マンドラゴラ] ……ねえ、あんたたち金持ちって皆こういう感じなわけ?

[マンドラゴラ] そこら中に楽器を置いて、いくつも本を買って……見た目を飾り立てておけば、空っぽの頭にまでは目がいかないとでも思ってるの?

[アルモニ] あら、飾れる見た目があるだけいいでしょ? 少なくとも、見た目も中身もすっからかんよりはマシだと思うけど。

[マンドラゴラ] あ、あんたねぇ――!

[アルモニ] はいはい、落ち着いて……なんて、言ったところで無駄そうね。それじゃあ、こうしましょう。――舞踏会でのステップをどちらの足から踏み出すべきか悩んでいるなら、私がリードしてあげるわ。

[マンドラゴラ] 何わけわかんないこと言ってんのよ!

[マンドラゴラ] あたしはもっと大事なことを考えてるの。今回は貴族や大商人が大勢来るのよ。彼らの支持さえ得られたら、ヒロック郡を占領するだけではなくて、ロンディニウムだって――

[アルモニ] ――やめて、マンドラゴラ。

[マンドラゴラ] じゃあ聞くけど、あんた、いつまでそのくだらない本を読んでるつもりなの? リーダーやあたしたちのために大事なことを考えようとは思わないわけ?

[アルモニ] 何か勘違いしてるみたいね。私がやめてほしいのは、慌ただしく歩き回ることじゃなくて……そのナンセンスな発言と、小さな脳みそで巡らせてるばかばかしい考え事の方なんだけど。

[マンドラゴラ] はぁ? 今更やめろですって? できるわけないでしょ! 今回の計画のために、人員配置だの集会の手配だの、これまでどれだけ吐き気をこらえて努力してきたと思ってんの?

[マンドラゴラ] あたしはこれ以上待てないのよ! ダブリンの炎でこの街を焼き尽くし、足元に広がる偽物の都市をズタズタに引き裂くその時が待ちきれない……!

[マンドラゴラ] それに引き替え、あんたはどうなの? 本来ならリーダーの元にあるべき栄光を、我が物顔で振りかざしてるあの恥知らずな偽物と――

[アルモニ] ――いい加減黙りなさい。

[アルモニ] あなた、一体いつから――リーダーに代わって物事を決める立場になんてなったのかしら?

[マンドラゴラ] …………

[マンドラゴラ] チッ……

[アルモニ] ――もしもし。ええ、私。そうね、私たちはまだここにいるわよ。

[アルモニ] ……へえ?

[アルモニ] ようやく、少しは面白くなってきたじゃない。

[アルモニ] マンドラゴラ。あなたの無鉄砲な計画が実行可能かなんて、議論する必要はなくなったみたいよ。

[マンドラゴラ] ……それ、あいつからの情報?

[アルモニ] 誰かがここを嗅ぎつけたんですって。今夜訪れたお客様は、あなたが招いたお友達だけじゃないみたいね。

[マンドラゴラ] ……軍人でも来たの?

[アルモニ] そんなところね。んー、もしかしたら私の顔馴染みも来てるかも。

[マンドラゴラ] チッ……本当に――

[アルモニ] はいはい、アーツユニットはしまってちょうだい。チャンスならまた来るわ。

[アルモニ] わかったら、もう行きましょ。私たちにはまだやることが残ってるもの。……ここは彼女に任せておけば、きっとすぐ面白いものが見られるわよ。

[マンドラゴラ] ……フフッ……目に浮かぶわ。このムカつく屋敷がバラバラになる光景がね。

[バグパイプ] まさかこんな簡単に紛れ込めるなんて思わなかったよ。うちはてっきり……

[ホルン] こっそり潜り込むものと思ってた? まあ、それも悪くないけど、正面から入った方が、誰かと話すには都合がいいのよ。

[バグパイプ] なるほど~……にしても、もらった情報は相当貴重なものだったんだね。今夜の集会を知ってる人、多くはなさそうだべ。

[ホルン] 貴族の秘密集会は、その多くがこうした方法で行われるの――何せ彼らは、招待状なんてありきたりでつまらないと思っているから。

[ホルン] この情報に辿り着く手段と、身分を証明できるものさえあれば、敷居をまたぐ資格があると見なされるのよ。

[バグパイプ] だけど、隊長の家がそんな有名な貴族だったなんて、初耳だよ。

[ホルン] 言ったところで何も変わらないでしょう?

[バグパイプ] それはそうだけど、うちの学生時代ってさ、クラスメートの貴族さんはいっつもグループ作っててね。授業以外の関わりはなかったから、目の前に貴族がいるって思うとちょっと新鮮だよ。

[ホルン] まさか、あんな煩わしい礼儀作法に憧れなんてないわよね? 一度しか着られないドレスとか、毎週流行りが変わるメイクとか、何かと繰り返される時候のあいさつとか、あとは――

[バグパイプ] うわわっ、その辺で勘弁して! うちも、仲良しの友達と一、二回そういうとこに行ったけど、ご飯食べるにもフォークを使う順番がどうとかで、もう頭爆発しちゃいそうだったべ。

[ホルン] ならよかった。私も、その手のことはあんまり好きじゃないのよ。

[ホルン] まあ、ただ……どんなに気に入らなくっても、生まれ持ったこの名字が、たまには役に立つってことだけは認めないとね。

[バグパイプ] ところで隊長、今日ここに集まってる人って、みんな亡霊部隊の支持者なのかな?

[ホルン] ……そうとは限らないと思うわ。

[風流人ぶった女性貴族] 先生、やっとお目にかかれましたね! あなたがおいでになると聞いて、ペニンシュラ郡から慌ててお伺いしましたの。よろしければ私のコレクション……大事な詩集にサインをいただけないかしら。

[詩人ウィリアムズ] もちろんです、麗しきレディ。身に余る光栄ですよ。

[野心に満ちた男爵] やあシェイマス、ここにいたのか! 敬愛する大詩人よ!

[野心に満ちた男爵] ついこの間、君が新しく出した歴史物語を読み終えたばかりでね。君の作品のなんと胸躍ることか! 我々ターラー人に、まだあんなにもたくさんの素晴らしき物語があったなんて知らなかったよ!

[詩人ウィリアムズ] ありがとうございます。ですが、あれは民族伝承を基に脚色を加えたファンタジーにすぎません。私の仕事は、砂に埋もれた宝物を発掘して、多くの人に見てもらうことに最大の価値があるんです。

[風流人ぶった女性貴族] まあ、なんて謙虚な方なの! ですが、あなたが描いたあのドラコ……光輝溢れるターラー文明を築き上げたゲル王は、素晴らしく聡明で偉大でしたわ。心躍る夢を見た時は、いつも出てきますし――

[野心に満ちた男爵] まったくもって仰る通りだ。私に言わせれば、君ならば、リターニアで最も偉大な音楽家のように時代を変えることさえできるだろうな!

[詩人ウィリアムズ] ははは……そんな、大げさですよ。

[野心に満ちた男爵] いやいや、大げさではないさ! 君が望むなら、ヴィクトリア中の出版社が喜んで君を受け入れることだろう。何しろ皆、君の作品が多くの言語に訳されるのを待ち望んでいるからね。

[野心に満ちた男爵] 無論そうなれば、この大地にあるすべての国が、ターラー文化独自の魅力を知ることになる。当然、それがヴィクトリアの永久不変の機械が立てる轟音に埋もれるべきではない、と気付くことだろう。

[風流人ぶった女性貴族] 本当にそうなったら素敵ですわね。より多くの国際人から支援していただけるようになれば、私たちの声が議会や公爵にもっと届きやすくなりますもの。

[貪欲な商人] いやはやその通り! 今の政治はデタラメだ! 同じヴィクトリア公民であるにもかかわらず、昔私のひいひいひい爺さんがゲル王の臣下だったというだけで、多額の相続税を払わないとならんとは!

[風流人ぶった女性貴族] まあ、エヴァンズさん! そうは仰いますけれど、あなたは寛大にも多くの同胞を雇い上げ、この素晴らしい都市で足場を築く機会をお与えになっているではありませんか。

[風流人ぶった女性貴族] あなた方の一族は、我々ターラー人の誇りですわ。

[野心に満ちた男爵] ええ、まったく。我々の同胞がまともな仕事を見つけるのは難しいことですからな。聞いた話ですが、ほかの工場では、一週間ずっと必死に働いても、ほんの少しの硬貨しか得られないそうですよ。

[詩人ウィリアムズ] ……ですがあなたの工場では、出身の違うヴィクトリア人労働者なら倍は稼げているはずです。

[貪欲な商人] う、ウォッホン、ゴホンッ……

[貪欲な商人] 少々場違いな発言かもしれないが――我々の存在を強大な隣人たちに認めさせるのは、そう簡単なことではないだろう?

[貪欲な商人] 皆さんには、今一度考えていただきたいのだよ。リターニアという国は、音楽や詩歌だけを頼りに、今日のリターニアになることなどできただろうか? とね。

[貪欲な商人] 実際問題、かの国には世にも恐ろしき術師がいたように――

[貪欲な商人] 我々ターラー人がより多くの国々に認められたいと望むなら、やはり実用的な力に頼らざるを得ないのだ。たとえば、遠方からの友人の……技術的支援を受ける、というのも一つの選択だろう。

[貪欲な商人] ちなみに、私は偶然にも、その支援を得るためのコネクションを少しばかり持っていてね。この機会に、男爵のご友人たちにも喜んで共有させていただくとしよう。

[野心に満ちた男爵] ハハッ、ぜひぜひ! まったくあなたの仰る通り、援助というのは大切ですな。どれだけ舌が回る人でも、水分補給を怠れば、次第に喉が渇いてしまって何も話せなくなりますから。

[貪欲な商人] うむ、うむ。しかし、こうしてみると……我々は皆、新時代を切望する同志のようだ。――ならば、この共通の夢に献げて乾杯といこうではないか?

[風流人ぶった女性貴族] 本当に刺激的な夜ですこと! ……あら? そういえば、ウィリアムズさんはどちらに……?

[ホルン] ご機嫌よう、ウィリアムズさん。

[詩人ウィリアムズ] ああ、こんばんは。

[ホルン] こうして急に話しかけて、お邪魔にならないといいんですが。……お仕事中でしたか?

[詩人ウィリアムズ] ははっ、いえ。ちょっとした詩を書いていただけですよ。……実はもう何日もかけているんですが、なかなか仕上がらなくて。

[詩人ウィリアムズ] 今日の集会でインスピレーションを得られないかと思ったのですが……やはり、無理に書こうとしたところでダメな時はダメですね。

[ホルン] こうした場所では、気力も体力も消耗するものですからね。少しお疲れなのでは?

[詩人ウィリアムズ] はは、お気付きでしたか。……もしチャールズの――いえ、男爵様の熱心なご招待がなければ、我が家の暖炉のそばで、本を読みつつ夜を明かしたかったのですがね。

[ホルン] 誰しも、そういうものではありませんか? 自ら社交場に向かう人は皆、生活のために仕方なく足を運んでいるのでしょう。

[詩人ウィリアムズ] いい考え方だ。気に入りました。……ときに、あなたはターラー人ではないですね?

[ホルン] ええ、そうです。この辺りでは、あまりループスは見かけませんものね。

[詩人ウィリアムズ] ふふっ、種族で出身を判断するようなことはしませんよ。

[詩人ウィリアムズ] あえて我々に伝わりやすい言葉を選ぼうとも、言葉のアクセントがあなたの出自を示しています――ロンディニウムの標準教育を受けた、ヴィクトリア貴族、といったところでしょうか。

[ホルン] さすがは大詩人、鋭いですね。

[詩人ウィリアムズ] 創作とは、観察から始まるものです。私には、あなたが彼らと違う理由でここを訪れた、ということもわかりますよ。

[ホルン] ……私をお疑いですか?

[詩人ウィリアムズ] 何を疑えと仰るんです? 私は、思想にまつわる意見交換のために来た。そして今、あなたは私と言葉を交わしてくれている。それで十分でしょう。

[ホルン] つまり……私がターラー人でなくともいい、と?

[詩人ウィリアムズ] あなたがターラー人ではないからこそ、ですよ。

[詩人ウィリアムズ] すみません、ビールを一杯……ありがとうございます。――あなたも何か飲まれますか?

[ホルン] 私は結構です。窓辺で夜風に当たれれば、それで満足ですから。

[詩人ウィリアムズ] それでは、楽しいお喋りを続けましょうか。さて、先ほどの話題は何でしたっけ?

[詩人ウィリアムズ] ……ああ、思い出しました。そう――言語や文化というものは、過去と未来の対話、あるいは、まさに今ここで私とあなたがしているような交流のために生まれたものです。

[ホルン] それも、あなたが私を気遣ってくださるからこそですよ。もしあなたがターラー語で話していたら、私は何も聞こえないのと同じようなものですから。

[詩人ウィリアムズ] ははっ。このパーティーでは、ターラー語はほとんど使われませんがね。

[ホルン] そういえば、私が読んだ限りでは、あなたの作品はどれもヴィクトリア語で書かれていましたね。

[詩人ウィリアムズ] ええ。「韻」というのは、詩人の想像力を制限するものです。たとえば、ヴィクトリアの詩歌を読むと、リターニアのそれとはまったく趣が異なりますよね。

[詩人ウィリアムズ] 私は古いターラー語で書かれた詩歌が本当に好きでしてね。そうした文字を追っていると、まるで歴史の別の側面に触れているように感じるんです。

[詩人ウィリアムズ] けれども、だからといって自分を偽るつもりはありません。

[詩人ウィリアムズ] 私は幼少期からヴィクトリア語を母語として育ちましたから、当然それで思考が形成されています。もしターラー語で文章を書けば、ぶかぶかの靴で踊るピエロのようになってしまうでしょうね。

[ホルン] ターラー文化の復興を望む方は大勢いると聞きましたが――

[詩人ウィリアムズ] ええ。もちろん、私もその一人です。

[詩人ウィリアムズ] ――我々の都市は、この大地を放浪しています。この土地は不変のものですが、常に変化し続けるものでもあるのです。

[詩人ウィリアムズ] いつの日か、ターラー語が、我々の子供たちの思考を構築する言語となる時が再び来るのかもしれません。その時が来れば、私は喜んでその変化を受け入れることでしょう。

[ホルン] ではもし、その「変化」を急速に――自然な形を逆転させるほどの勢いで、爆発的に生じさせることを望む者がいるとしたら?

[詩人ウィリアムズ] ――

[詩人ウィリアムズ] 「思想は何の役に立つ? 土に一本の羽を植え、それが羽獣になるまでを想像するのはどうだろう。」

[ホルン] ……あなたの最初の詩集からの引用ですね。私、その一文が特に好きなんです。

[詩人ウィリアムズ] ……これが、そのご質問への答えです。

[詩人ウィリアムズ] 私には、この土地を変えることはできないし、変えたいとも思いません。私は、ただ懸命に羽を植え続けるだけの人なのです。

[詩人ウィリアムズ] そして、思想とは本来自由であり、誰も干渉できないもの――ですから、一人一人の心に育った羽獣はそれぞれ違うのでしょう。誰もがこの土地の未来に異なる望みを抱くのと同じで。

[ホルン] ……わかりました、ウィリアムズさん。

[ホルン] あなたとお話しできたことを、心の底から嬉しく思います。

[バグパイプ] ――隊長、何か変だよ。

[ホルン] どうしたの?

[バグパイプ] チェロたちからの連絡が、もう四十分以上も途絶えてるんだ。……三十分ごとに連絡しろって、隊長が命令してたのに。

[バグパイプ] 向こうは今頃、兵営で駐屯軍への対応をしてるはずだよね? うちらが出発する時は、こんな任務退屈すぎる~ってチェロが不満そうにしてたけど、何かあったのかな?

[ホルン] ……

[バグパイプ] それに……なんか、周りがちょっと静かすぎると思わない?

[バグパイプ] 窓から外を見てたらさ……さっきまでは、広場をたくさんの人が行き来してたんだよ? でも急に、何かがあったみたいにみーんないなくなっちゃったんだ。

[ホルン] ……まさか、私たちをつけていたのは――駐屯軍?

その時、会場のドアが突然蹴り開けられた。

続けて、完全武装の兵士数十名がなだれ込んでくる。

[風流人ぶった女性貴族] な、何事です!? どうしてこんなにたくさんの兵が……!?

[風流人ぶった女性貴族] しかも、私に武器を向けるだなんて……! あなた方、私たちの身分を承知の上でそんなことをなさってますの!?

[貪欲な商人] だっ、誰だ!? ここをバラした奴は……!!

[貪欲な商人] クソッ……こんなところにいられるか!!

[野心に満ちた男爵] (小声)は、早くマンドラゴラ様に伝えてこい! トラブルが起きたと……

[野心に満ちた男爵] (小声)何ッ!? 全員帰っただと!? 一体いつ……いっ、一時間前!?

[野心に満ちた男爵] (小声)それを早く言え、このバカッ……!!

[ヴィクトリア兵] 全員、動くな!

[ハミルトン大佐] ――

[ハミルトン大佐] 紳士淑女の皆様。お察しの通りだが――あなた方を逮捕する。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧