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怒号光明_M8-4_うたかたの「意志」
盾兵とロドスは共闘することに同意したが、封鎖層の構造部に侵入したロスモンティス小隊メンバーが、待ち伏せに遭い生死不明に。焦ったロスモンティスは、アーツで封鎖層を破壊する。
[ロドスオペレーター] さっきのは……どういう意味だ?
[盾兵] 「ロドス、一緒に戦ってもらいたい」
[盾兵] そう言ったんだ。
[盾兵] 俺はウルサス語しか話せないし、そちらもウルサス語で話しかけてきた。聞き取れなかったとは思えないんだが。
[盾兵] お前たちの方がチェルノボーグの工業機器に詳しいだろう? その方面の訓練は俺たちよりずっと多く受けてるはずだ。俺たちは戦闘の方が得意だからな。
[盾兵] お前たちも司令塔へ行くつもりなら、あの封鎖層を止めようと動いているはずだ。道が断絶されると厄介だからな。
[盾兵] そして俺たち遊撃隊は兵力を分散する必要がある。四分の三の力を余所の感染者保護に回さないと、彼らは殺される。
[盾兵] タルラ指揮下のレユニオンは、ほとんどが狂乱状態だ。現在、チェルノボーグのあちこちで報復が起きている。
[盾兵] タルラの間抜けな護衛部隊を片づけるには、残り四分の一の遊撃隊だけで十分だが……
[盾兵] ここで助っ人が増えれば、より多くの勝機が掴める。
[盾兵] 源石祭壇はもはやその効力を失っている。こちらの魔族連中の腕もなかなかだが、あの怪異譚に出てくるような大尉ほどの超人的な力はない。
[盾兵] 俺たちには今以上の火力が必要だ。
[盾兵] 決定権を持っているリーダーは誰だ? そこにいるコータスか、それともフェリーンか? 実力的には、どちらも十分というところだが。
[ロスモンティス] アーミヤに聞いて。私はただのオペレーターだから。
[盾兵] どうだコータス、提案に同意するか?
[アーミヤ] あなたが代表しているレユニオンが、依然として感染者救済を第一目標にしている組織であり――
[アーミヤ] ウルサスの特定の政治勢力を代表している感染者団体でないなら、私たちは公的にも私的にも同意します。
[アーミヤ] ですが……私は怖いんです……
[盾兵] 何を恐れる?
[アーミヤ] レユニオンと私たちの間にある矛盾と、過去の暴動事件の傷跡は、今すぐなかったことにはできません。
[アーミヤ] 謝罪を受け入れたり、許しを請う姿勢を取ったりすることもできますが、それでは真の被害者を軽視することになってしまいます……
[アーミヤ] 特に――
[ロスモンティス] 先日、あなたたちレユニオンは、私たちの友人を殺した……そして私たちは、ついさっき、あなたたちの尊敬している人を殺した……
[盾兵] (小さくうなる)
[ロスモンティス] わかってる……私はあなたたちの家族を殺した、そうだよね?
[ロスモンティス] これは許せないことでしょ?
[盾兵] だが、お前たちも感染者だ!
[盾兵] もしこちらにお前たちとの共闘を認めない感染者がいれば、そいつは命令違反になる。
[盾兵] そして今の最優先命令は、タルラとその配下の悪党どもを叩き潰すことだ。命令に背けば処刑されるのみ。
[ロスモンティス] 家族が殺されて、我慢できるの? そんなこと……できるの?
[盾兵] 確かに、お前らは俺たちの家族を殺した。俺たちの指揮官を……俺たちのリーダーであり指標だった人、俺たちの大尉を殺した。
[盾兵] だが俺たちは、お前らがそうしたからといって手は出さない。
[ロスモンティス] 復讐したくないの?
[盾兵] もちろんしたいさ。いちいち説明させないでくれフェリーン。話を最後まで聞け。
[盾兵] 復讐はしたいが、より高尚な目標の前では個人の憎しみなんて取るに足らん。
[盾兵] もっとほかに憎むべきものがあるんだからな。
[アーミヤ] 憎しみ……
[盾兵] フェリーン、知っているだろう? そのコータスは、大尉が言っていたように、夢見がちな子供だ。
[アーミヤ] ……
[ロスモンティス] アーミヤのことをそんな風に言わないで。
[盾兵] ふんっ、他人を教化しようというそいつの傲慢な考え方を信じているなら、そいつの言う通りにすればいい!
[盾兵] お前は裏切られても死ぬまで気付かず、周りの者も救えないんだ。高尚に見えるが、実際は何の役にも立ちはしない。
[盾兵] だが俺たちは大尉を信じている。あの人はずっと俺たちに、これまでのウルサスの数限りない闘争とは違う、別の道を示してくれた……
[盾兵] 高尚な復讐と、殲滅の道だ。
[アーミヤ] 殲滅の道!?
[盾兵] そうだ、敵を殲滅する。
[盾兵] 敵を見極め、全て殲滅するんだ!
[アーミヤ] でも……でも、敵って誰ですか? 憎しみを撒き散らし、むやみに暴力を振るって戦争を引き起こし、誰かを悲劇に巻き込んでもいいと言うのですか?
[アーミヤ] あなたたちだって、そのせいで家族や友人を失ったんではないんですか? ウルサスだって――
[盾兵] 先帝は約束してくれたんだ! いつかこの戦争を終わらせると……そして俺たちもその偉大なビジョンを心から信じている。
[盾兵] お前の言うことこそさっぱりわからん。道理? 連中が道理などを重んじるはずがないだろう。救いようのない愚鈍や、殺されるべき悪人ばかりなのだから!
[盾兵] いいか、フェリーン!
[ロスモンティス] ん?
[盾兵] 敵を殺すというのは到底、愉快なものではない。理由は簡単、終わりが見えていないからだ。
[盾兵] やるなら徹底的に、殺すなら殺し尽くせ。この国にある汚いモノを一つ残らず一掃して、見渡す限りの白い雪原にする……その時こそ俺たちは、本当に愉快だと感じられるんだ!
[盾兵] 想像しろ、俺たちは奴らを殺しに行くんだ。
[盾兵] あの司令塔に居座って、俺たちの同胞をさんざん殺した陰謀家を。各都市で権力を笠に着て威張り散らす、名ばかりの統治者どもを。その他、各軍団にはびこる人間のクズや裏切り者を全て殺す!
[盾兵] そして最後に皇帝のそばで甘言を並べ、このウルサスに害を及ぼす群臣を誅殺する!
[盾兵] そして振り返り、遠くを見渡すんだ! 生きるべき者が生き延び、もう誰かのために命を落としたり、ひもじい思いをしたりすることなく幸せに暮らしているのが見えるだろう。
[盾兵] お前もそんな風にやってきたのではないのか?
[ロスモンティス] ……
[盾兵] 誰かがお前の友達を殺したら、そいつをお前が殺すんだ!
[アーミヤ] あなたたちはタルラを殺したいんですね。
[盾兵] 当然だ!
[盾兵] 奴を殺さなければ、大尉が安らかに眠れない。俺たちも、エレーナやスノーデビルに顔向けができない。レユニオンの無数の兄弟を、奴にあんな風に操られたまま無駄死にさせろとでも!?
[盾兵] 聖人や、立派な皇帝……英雄の出現を待つなんてことは、もう飽き飽きなんだ。
[盾兵] もし仮に、そういう者が現れたとしてどうなる?
[盾兵] 偉大な皇帝は亡くなり、その貴重な遺産の継承者はおらず、誰もが取るに足らない利益のために腹を探り合ったあげく、この国を引き裂いて、国民の生活を圧迫している!
[盾兵] 聖人は生き埋めにされ、英雄はさっき俺たちの目の前で死んだ!
[盾兵] お前たちにこの無念が理解できるか?
[盾兵] お前たちにも理解できるものがあるはずだ。フェリーン、お前は肉親を失ったことがあるか?
[ロスモンティス] ……
[盾兵] その目が答えを物語っているな。
[ロスモンティス] あなたとは話したくない。
[盾兵] だがお前は俺の言葉に耳を傾ける……フェリーン、お前は戦士の目を持っている。
[迷彩狙撃兵] 封鎖層がまだ上昇を続けている……
[盾兵] 止まりそうにないな。
[アーミヤ] 源石駆動の調整には時間がかかりますから。
[盾兵] ならば急げ。この扉が閉じてしまえば、ウルサスの正義の門が開くのは、また何百年も先かもしれん。
[アーミヤ] 遊撃隊は感染者のためだけに戦っているわけではないんですね。
[盾兵] 当たり前だ!
[盾兵] 感染者はあくまで理由の一つだ。理由など探せばいくらでもある!
[盾兵] 俺たち遊撃隊が雪原を征く真の理由はただ一つ。ウルサスが公正と秩序を破ったからだ。大尉は言っていた、感染者は本来こんな目に遭う必要はない、現状はウルサスの暴挙が招いたものだと。
[盾兵] 考えてみろ、この大遠征は……大尉が俺たちをここまで連れて来たのは、感染者のためだけであるはずがないだろう?
[盾兵] 俺たちは辺境から辺境を渡り、堅固な要塞都市を迂回し、帝国の命脈の制御権を奪い、様々な力を結集して長距離を一気に突き進み、腐った帝国の心臓に刃を突き立てた……!
[盾兵] コータス、考えたことくらいあるだろう? お前は感染者になったという理由だけで今の境遇に置かれているわけではない。
[盾兵] そもそも、奴らが皆を公平に扱えば、お前が感染者になる必要すらなかったかもしれない。
[盾兵] 考えてもみろ。都市に住んでいる市民や貴族、商人や芸術家、そんな者たちの中に感染者はどれだけいる?
[盾兵] それに対して、荒野や都市周辺、採掘場の者たちはどうだ?
[盾兵] この報いは、絶対に与えてやらなければならない!
[アーミヤ] 誰にですか?
[盾兵] この正しい道の前に立ちはだかる者全員にだ!
[アーミヤ] 間違ってます!
[ロスモンティス] アーミヤ……
[アーミヤ] え?
[ロスモンティス] ……
[ロスモンティス] 私たちをこんな風にした人が憎くないの?
[アーミヤ] 感染者が受けた不公平のことじゃありません。私が言ってるのは、それを感情のはけ口として利用するのはよくないということです。それではあまりにも――
[ロスモンティス] あの人たちは自分のためだけに、私たちをこんな風にしたんだよ!
[ロスモンティス] 私たちをこんな風にした怪物たち……私も……あの人たちが憎い!
[盾兵] そうだろう、フェリーン?
[アーミヤ] 違う……
[アーミヤ] 違うんです……
……ごめんなさい。
きっと痛いわ。
許してアーミヤ……これはあなたの身に起こるべきではなかったことなのに。
[アーミヤ] 違います。
[ロスモンティス] ……アーミヤ、どうして……どうしてそんなこと言うの?
[ロスモンティス] あの人たちが憎くないの? あなたの平和な暮らしを奪ったのは、あの人たちでしょ?
[ロスモンティス] 私は今までの出来事を忘れたくない……私の友達や家族を忘れたくないの!
[ロスモンティス] ホントなら私だって、好きな服を着れた……学校にだって行けた。パパやママがどんな人が知りたかった。そして私の……
[ロスモンティス] 私の……兄弟だって……ううっ……
[アーミヤ] ロスモンティスさん、落ち着いてください……落ち着いて!
[ロスモンティス] どうでもいい……
[ロスモンティス] そんなの、私はどうでもいいの。
[ロスモンティス] アーミヤが今言ったこと、そんなの……もうどうでもいいの!
[ロスモンティス] 私が、みんなの代わりに血を流すことができるなら……苦しむことができるのなら……
[ロスモンティス] 私にやらせて!
[ロスモンティス] 私たちの暮らしを壊した人たちを殺せばみんなの気が晴れるなら、それをアーミヤがやりたくないっていうんなら、私にやらせて!
[ロドスオペレーター] ロスモンティスさん、アーミヤさん、エンジニア小隊から通信が!
[ロスモンティス隊員] すみません、妙な干渉を受けて、封鎖層の駆動構造が動かなくなりました!
[ロスモンティス隊員] 隊長、聞こえたら返事を。え? あれは……レユニオン?
[ロスモンティス隊員] いや、違う! 連中は――
[ロスモンティス隊員] 隊長! 気を付けてください、ここにはウル――
[女性の声] 下がって! 飛び降りて、早く!
[ロスモンティス] ……
[ロスモンティス] どうしたの? 返事して……
[ロスモンティス] ……早く返事して! ラバカ! ブリッシュシルバー!
[ロスモンティス] いや、いやっ……
[盾兵] 封鎖層がまだ上昇を続けている!
[アーミヤ] (まさかエンジニア小隊が……待ち伏せに?)
[ロスモンティス] いや……いや、ブリッシュシルバーの感触がなくなっちゃった、もう届かないよ!
[盾兵] ……爆薬を用意しろ。ここを全部吹き飛ばせ。
[アーミヤ] 封鎖層ごと爆破したら、付近の大通りも何本か犠牲になります。まだ隠れている感染者だっているんですよ!
[盾兵] 時間がない。ぐずぐずしていたら死人がもっと増えるだけだ!
[ロドスオペレーター] 通信が完全に切れました!
[盾兵] 同意しないというなら、もっといい案を出せ!
だめ。
絶対にだめ。
[ロスモンティス] だめ。
[ロスモンティス] あなたたちが何言ってるのかは……わからない。だけど……
[ロスモンティス] 私の小隊……私の小隊のメンバーが……私……
[ロスモンティス] みんなちゃんとやってたのに、どうしてこんなことになるの!?
[ロスモンティス] 力が必要なら、何かを壊す必要があるなら、私がやればいい!!
[アーミヤ] ロスモンティスさん!
[ロスモンティス] あ……ああぁ……!
[アーミヤ] ロスモンティスさん! 指を収めてください!
[ロスモンティス] ただ……引き裂けば……いい……
[盾兵] なにっ、封鎖層の上昇を力ずくで止めたのか?
[ロスモンティス] 壊せばいいんでしょ!!!
[迷彩狙撃兵] なっ! 爆発!? いや……あのフェリーン、いったいどうやって地面を引き裂いたんだ?
[迷彩狙撃兵] ……な……何なんだ!?
[迷彩狙撃兵] あれは、まるで……
[ロドス前衛オペレーター?] シッ――
[ロドス前衛オペレーター?] (首を横に振る)
[ロドス前衛オペレーター?] お前たち、初めてフロストノヴァとタルラを見た時も、同じように驚いただろ?
[ロドス前衛オペレーター?] 俺たちも感染の症状がひどくなれば……あんなのが当たり前になるのかもな。
[ロスモンティス] はぁ、はぁ……私……
[ロスモンティス] アーミヤ……私……ちょっと寒い……頭もすごく……痛い――
[アーミヤ] ロスモンティスさん! 大丈夫、ちゃんと掴んでますから……手を放さないでください。しっかり……しっかり掴んでください!
[盾兵] 一人で封鎖層を破壊したのか?
[盾兵] 長くは持たないだろうが、俺たちがエリアを通り抜けるには十分なはずだ!
[アーミヤ] 医療オペレーター! 早く!
[ロスモンティス] う、うう……ううっ! 掴んでる、掴んでる、掴んでる……
[アーミヤ] マイナスの感情と直接作用性のアーツによる副作用……こ、これは……どれもブリッシュシルバーさんと関連のある記憶ばかり。
[アーミヤ] ロスモンティスさん……こちらを見てください、私の目を!
[盾兵] (黒い線が魔王の指からフェリーンの目に流れ込んでいる……)
[盾兵] (やはり彼女は……)
[ロスモンティス] う、う……わかってる……わかってるよ……アーミヤ……
[アーミヤ] もうこんなことはしないでください……! でも、私がそう言ってもあなたは――
[ロスモンティス] うん……ご、ごめんね……私はやめないよ。うん。
[盾兵] よくやったぞ、フェリーン。素晴らしい!
[盾兵] 兄弟たちよ、前進だ! 砲火と矢の雨の中を突き進め!
[盾兵] お前たちはしばらくここで休んでいろ、ロドス。
[アーミヤ] しばらく待っていただけますか、遊撃隊の戦士さん。
[アーミヤ] 私たちにはお互いに通信する手段がありません。そちらに元ロドスの職員がいるとしても、彼の通信機器には今回の作戦に関する通信チャンネルの権限がありません。
[アーミヤ] 本当に私たちの協力を必要としているなら……少なくともロドスのやり方を知ってもらわなければなりません。
[盾兵] ……
[盾兵] わかった。少しくらいなら待っても構わん。
[盾兵] あのフェリーンも十二分に活躍してくれたことだしな。
[ロスモンティス] (弱々しい呼吸)
[アーミヤ] ロスモンティスさん……
[ロスモンティス] 私は大丈夫。それより……まだ……戦わなきゃ。
[ロスモンティス] 行か……ないと……私のエンジニア小隊を探しに……
[アーミヤ] ……はい、わかっています。
[アーミヤ] ――――? また、チェンさんの……
[バグパイプ] 卒業したら帰っちまうのか?
[チェン] ああ。
[バグパイプ] けどおめーさん言ってたべ? ウルサスで行方不明の友達を探さないといけないから、龍門に帰っても仕方ないって。うーん、卒業したらそのままウルサスに行くんじゃ……ダメなの?
[チェン] ウルサスが私のような者に入国許可証を発行するわけない。
[バグパイプ] んなまさか……帰っちゃうなんて、あぁ本当に残念だぁ。けどチェンちゃんは頭イイんだから、上級講師研修だって受けられるべ?
[バグパイプ] 二年もやればキャリアがグーンと上向いて、どんな国でも歓迎されるのになぁ……もったいねぇべ、チェンちゃん。
[チェン] その呼び方はやめてくれ、頼むよ。
[チェン] ……ところで君はどうするつもりだ?
[バグパイプ] うち? 自分の頭の程度は知ってるべさ! 流石にバカじゃねぇとは思うけど、賢いかって言うとね……連合作戦の授業じゃ毎回ギリギリで合格って感じだもんなぁ。
[チェン] 終わったばかりの軍事戦略試験は?
[バグパイプ] そっちもギリギリ合格だったべ。毎回そうなんよ。
[チェン] そうか。ならばヴィクトリアの上位2%に入るほどの頭だ。少なくとも紙の上ではな。
[バグパイプ] けど講師はまず無理だべ。それに、うちはすぐに指揮官や技術官になるより、兵士から一歩一歩やるべきだと思うんだ。
[チェン] 怖い物知らずだな。ヴィクトリアの兵士が戦場でどんな目に遭うかなんて誰もわからないのに。
[バグパイプ] でも、敵も戦場でヴィクトリア兵に遭遇したくないはずだべさ。
[バグパイプ] ……うちは戦略マップの前に座りっぱなしで、人の命を数字でしか見られなくなるのが怖いんだ。前線や各駐屯地の兵士には、誰かがやるべきことと、やっちゃいけないことの区別を教えないと。
[バグパイプ] それに自分で戦場に立たないと、戦闘の残酷さや、戦争はなるべく回避すべきものだってこともわからないでしょ。
[チェン] ヴィクトリアを変えたいという言葉は本気だったんだな……私は君が酔った勢いで言ったんだとばかり思っていたが。
[バグパイプ] そ、そんなことねぇってば。そんなに変だったか!? うちは……ただ、良いことをしたいと思ってるだけだべ。
[チェン] ……
[チェン] ただ良いことをするというのは、簡単なことじゃない。
[チェン] だが、私が龍門に帰るのも似たような理由だよ。龍門にこれ以上悪いことが起きてほしくない。龍門で起こる事件を解決し、悪くなることを阻止したいんだ。
[バグパイプ] ……帰って警察にでもなるべか?
[チェン] 警察?
[バグパイプ] わぁ~! チェンちゃんは、そういう悪者を懲らしめるような人になるってずーっと思ってたんだよ。やっぱ思った通りだったべ!
[チェン] 勝手に結論を出さないでくれ。だが……警察か……
[チェン] それも悪くないな。
[チェン] 警察なら手がかりをたくさん握ってるはずだしな。当時のことも、今のことも……そうすればもう、策士気取りの伯父さんに頼らなくて済む。
[バグパイプ] ……うち、前はちょっと怖かったんだ。おめーさんが軍事情報科に行くんじゃないかって。チェンちゃん陰気だから、きっとすっごく怖いスパイになっちまうべ。
[チェン] *ヴィクトリアスラング*
[バグパイプ] ちょっ……! もう、うちは汚い言葉は使わんからね。言い返したくなっても我慢するべ!
[チェン] ハッ、いつまで我慢できるかな?
[バグパイプ] あ、ノックの音だべか? ちょっと待って! 今行きます!
[学院トランスポーター] チェン・フェイゼさんへの通信です。コピーは完了していますので端末をご確認ください。確実にあなたに見ていただくため、この場であなたが目を通すのを確認させてください。
[チェン] そんな面倒な……わかった、今見る。
[チェン] ……
[チェン] ……なんだって? これは……どういうことだ?
[学院トランスポーター] メッセージを確認されたようですね。学校側には機密性の高い連絡をチェックする権限がありません。もし内容について問合わせが必要でしたら、直接返信されることをお勧めします。
[学院トランスポーター] まだ何かご用件はございますか? なければこれで失礼致します。どうぞ素敵な午後を――
[バグパイプ] あっ、行っちゃった。
[バグパイプ] ……なんで廊下で行進みたいな歩き方するんだろ?
[バグパイプ] チェンちゃん顔色悪いよ。今受け取った情報にパンチされたみたいだべ。
[チェン] 私も今の自分の気持ちをどう形容していいかわからない……
[チェン] 彼らが私の友人の行方を知っていた。
[バグパイプ] それはいいことでねぇか!
[チェン] いや――
[チェン] 彼女の行方は知れたが……またも失踪したらしい。彼女は――
[チェン] 彼女は……当時自分をさらった奴を殺した……その後、また行方をくらませたようだ。
[バグパイプ] ええと……
[バグパイプ] じゃあ少なくとも――その人はまだ生きてるべ。
[チェン] その通りだな。
[チェン] ……やはり卒業したらすぐに龍門へ帰るよ。
[バグパイプ] ええ? な……なんでさ? 彼女はウルサスにいるんでねぇの? ウルサスに行ったときのために、卒業までにマフラーさ何枚か編んでプレゼントしてあげるべかって考えてたとこなのに……
[チェン] ウルサスじゃ手足が伸ばせない。だが龍門でなら、少しずつ自分のアドバンテージを広げていける。都市が相手であれば、龍門の力は私一人の力など比較にならぬほど強大だからな。
[チェン] ……そして、必ず彼女を見つけてみせるさ。
「涙鋒の技、断つに当たりて即ち断つ。」
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