aklib_story_暴風眺望_9-2_亡霊事変_戦闘前

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暴風眺望_9-2_亡霊事変_戦闘前

時間通りに取り調べ室へやってきたバグパイプとホルンは、それにもかかわらず適当にあしらわれてしまう。駐屯軍は彼女たちに嘘をつき、裁判もせずに容疑者を処刑していたのだ。


[Outcast] ヒロック郡、か……

[Outcast] ロンディニウムから近すぎず、遠すぎもしない中型の移動都市。主要産業は農業と軽工業。周辺各郡との密接な関係はなし――

[Outcast] 事前情報の通りだね。

[ブレイズ] ――Outcast、もうそっちに着いた?

[Outcast] おや、ブレイズ。ついさっき着いたばかりだよ。君、私に追跡装置でも付けているのか?

[ブレイズ] ちっがーう! こっちは一晩中呼び出し続けてたの! 十数回はかけたんだからね!

[Outcast] ははっ、それは苦労をかけたな。荒野を抜けてきたものだから、当然電波も悪くてね。

[ブレイズ] はぁ~、いいよ。それでいいってことにしとく。あ、言っとくけど私が焦ってるわけじゃないからね? 全部Miseryが急かしてくるせいなんだから!

[ブレイズ] ほら、彼ってああいう性格だし、相変わらずあれこれ気にしちゃっててさ。私の心配ならまだしも、君が任務に出るのですら、こんなに心配するんだよ。心労でシワが増えたりしないのが不思議なくらい!

[Outcast] ふふ――だが、もし彼がそんな奴じゃなかったら、Miseryなんて呼ばれてないだろう?

[ブレイズ] あははっ、そうかもね。ところで真面目な話だけど、その都市、どう思う?

[Outcast] 至って普通の都市だな。

[ブレイズ] じゃあ、情報が間違ってたのかな? ヴィクトリアには、少なくとも三、四十都市くらい、この規模のものがあるし――

[Outcast] さて、どうかな。ロンディニウムの太陽がどれほどまばゆく輝こうとも、光が届かない場所はある。

[Outcast] 君も、資料に目を通したならわかるだろう? 今現在ヒロック郡を管轄する貴族はいない。以前、二人の伯爵がここに興味を示しはしたものの、いずれも行動に移してはいないしな。

[ブレイズ] んー……それって、大してお金にならなさそうな土地だから、ってこと?

[Outcast] ああ。あるいは、ここが「普通」だからかもしれない。

[Outcast] 加えて言うとね。一見して「普通」の、辺鄙な場所であるほど、暗流に潜り込むのも容易になるものだ。ロドスがいつ動き始めるにせよ、その前途に待つものを探るにはいい機会だろうさ。

[ブレイズ] なるほどね。じゃあ、必要な時はいつでも連絡して! 私もそろそろコナー郡へ向かおうとしてたところだし、まだ君の近くにいるから!

[Outcast] 気持ちは嬉しいが、感染者の移送は簡単なことじゃない。そんな君たちの仕事に比べれば、私のこれは単なる使い走りにすぎんよ。恐らくは、事務所で茶でも啜って過ごすのだろうしな。

[ブレイズ] もう、冗談やめてよ! 君みたいなサンクタが、嵐を前にしてのんきにお茶なんか飲んでるわけないじゃん!

[Outcast] やれやれ……私も悠々自適な隠居生活を送りたいとは思ってるんだがね。

[ブレイズ] ……隠居生活? 君が? ぜ~んぜん信じらんないんだけど……

[ブレイズ] まー、いいや。お互いさっさと仕事を片付けて帰ろうじゃない。Outcast、新入りオペレーターのサンクタたちが、君の射撃の講義を待ってるってことは覚えてるよね?

[Outcast] もちろん。だが心配しなくていいさ、時には自習も大事な学びだ。

[ブレイズ] はいはい、それと最後にもう一つ。いらないとは思うんだけど、Miseryが言えってうるさいから――

[ブレイズ] 気を付けてね、Outcast。今回の君の行く手に危険がないことを願ってるよ……確かに伝えたからね!

[Outcast] 危険がない……か。

[Outcast] ははっ。安全な道なんて、私には向いてないと思うがね。

a.m. 6:50 天気/曇天

ヴィクトリア ヒロック郡駐屯地取り調べ室 廊下

[バグパイプ] 隊長〜この場所めっちゃ息苦しいよ。なんかむわっとするしさ。

[ホルン] あなた、去年ストレージシティで、連続爆破事件の容疑者に取り調べした時にも同じこと言ってたじゃない。

[バグパイプ] こんなの何度経験したって慣れないよ。うちよりチェロを連れてくればよかったのに。身長2メートルもあるんだし、威圧されて相手も多少は素直に話す気になるでしょ。

[ホルン] ……あの時みたいに、あなたが容疑者の目の前で鉄製テーブルにこぶし一発で穴を開けても、同じような効果は得られそうだけどね。

[バグパイプ] あ、あはは~……あれは、つい頭に血がのぼっちゃって。だってあの人、子供を二人も人質に取った上に、被害者家族への態度も最低だったでしょ? 隊長だってあの時はめっちゃ怒ってたよね?

[ホルン] あら、そうだった?

[バグパイプ] 容疑者の首についてた禁固装置を、指の跡が残るくらいにギュ~っとやってさ。それであの人お漏らしして、ガタガタ震えながら仲間の名前とか、爆弾の座標とか、ぜーんぶ吐いたべ。

[バグパイプ] 結局、ほとんど隊長の功績だよ。

[ホルン] 尋問に必要な手段を使っただけのことよ。

[バグパイプ] はぁ、うちはそういう手段についてはからっきしだからなぁ。尋問学の基礎理論課程なんてギリギリ合格だったし、宿題はいつも仲良しの友達に写させてもらってたし。

[ホルン] それでもいいんじゃない? 今日の任務は、ひとまず話をそばで聞いておくことなんだから。

[バグパイプ] 確かに! ……って、あれ? そういえば、もうすぐ時間だよね。どうして誰も案内の人が来ないのかな? あの大尉さん、取り調べは七時からだって言ってたよね?

[ホルン] ……ええ。時間まで、あと四分ね。

[ホルン] 失礼、ケリー大尉はいる? ここで会う約束をしているのだけど。

[ヴィクトリア兵] さあ? わからないな。

[ホルン] 七時から、ここで取り調べが行われるはずよね?

[ヴィクトリア兵] どうだか、知らないね。

[ホルン] 昨日の午後、一人の男性が、源石製品の違法取引の疑いで捕縛されたの。彼がどこに収容されているのかは知ってる?

[ヴィクトリア兵] いいや、それも知らないな。

[バグパイプ] 何にも知らないみたいだね……

[ホルン] …………

[ホルン] もしかすると、ヒロック郡とロンディニウムでは時差があるのかもしれないわね。

[バグパイプ] んえ? そんなことある?

[ホルン] 「ケリー大尉からすれば」そうなのかも、って話よ。

[バグパイプ] あははっ、そういうことね!

[ホルン] どうやら、向こうのルールに合わせるしかないみたいね。

[バグパイプ] ……

[バグパイプ] もう十分は経ってるよ?

[ホルン] 何度時間を確かめたところで、同僚の到着は早まらないわよ。

[ホルン] そうだ。ちょうどいい機会だし、あなたとは話しておかないとね。……昨日のことについて。

[バグパイプ] えっ? な、何のことだかさっぱり……

[ホルン] ごまかせると思わないことね。ちゃんと答えて。……私が退避を命じた時、どうしてあの箱に向かって突っ込んだの?

[バグパイプ] あの時の退避命令は、うち以外の人たちに出したんじゃないの?

[ホルン] ……

[バグパイプ] だって、倉庫に入る前にうちが隊長から受けた命令は、容疑者を必ず生け捕りにすることだったじゃない。

[ホルン] それは初期段階での命令でしょ。

[バグパイプ] でも、命令は命令だべ?

[バグパイプ] あの時はみんな、容疑者が爆弾に点火したとばっかり思ってたじゃない? だからうちはさ、この命令を遂行できるのは自分だけだって判断したんだよ。

[バグパイプ] うちが衝撃波を防げば、容疑者の命も守れるし、みんなのことだってもっと確実に守れるでしょ?

[バグパイプ] あっ、もちろん、隊長の盾を疑ってるわけじゃないからね! ……サルゴン傭兵の爆撃から守ってくれた時のことは、絶対忘れたりしないよ。

[ホルン] ……そういうことを言いたいんじゃないの。

[ホルン] もし……もしも、よ。箱の中身が本当に爆弾だったら、あなたは重傷を負っていたかもしれない。それどころか、命を落としていたかも。

[バグパイプ] んえ? いやいや、それはないって。盗まれた源石製品には質の高い爆薬なんてなかったし、誰かが改造したところで、うちらが実戦演習に使う破城弾ほどの威力はないでしょ?

[バグパイプ] へへっ、うちの身体は頑丈だから、そのくらいへっちゃらだべ!

[ホルン] 戦闘中はヴイーヴルの身体能力に頼りすぎちゃダメよ。ずっと言ってるじゃない。これで何回目だと思ってるの?

[バグパイプ] ん~っと……五回くらい?

[ホルン] 少なくとも十回は言った覚えがあるわ。それに、スリム先生からも教わっていると思うけど。

[バグパイプ] た、確かに教わった……かも? あは、あははは~……

[ホルン] 笑ってごまかそうとしても、私には効かないわよ。……私は、隊長として――部下全員の安全を確保する責任があるんだから。

[バグパイプ] ごめんなさい、隊長……

[ホルン] 帰ったら何をするべきか、わかってるわね?

[バグパイプ] えっと、罰としてランニングするのはいいんだけど~……夜ご飯抜くのだけは勘弁してもらえないかな。

[ホルン] …………

[ホルン] ……はぁ……

[ホルン] あなたは私の部下の中でも最高の戦士なんだけど……時々、本気で扱い方がわからなくなるわ。戦闘能力だけじゃなく、頑なに命令を遵守するところも……いつも予想を超えてくるんだもの。

[バグパイプ] 命令をちゃんと守るのは、当然のことだべ! うちが小さい頃に、お母ちゃんが教えてくれたんだよ。「ヴイーヴルの女なら最後までやり通せ」って!

[バグパイプ] 最後までやり通すっていうのは、大事なことだからね。だって、大風吹こうが大雨降ろうが、麦がぜーんぶ濡れちゃう前に収穫しないと、大事な食糧がカビちゃうでしょ?

[ホルン] ……今のは褒めてたわけじゃないわ。

[ホルン] もういいわ。私がどんなにしかめっ面をしたところで……

[ホルン] あなたは変わらないでしょうし。

[バグパイプ] 隊長のしかめっ面なんて全然怖くないって……うちは凛とした眼差しで睨みをきかせて、物凄いヴィクトリアスラングで罵ってくる人を見慣れてるからさ。

[ホルン] はいはい、いいわよ。こんな話、どのみち優秀なヴィクトリア軍人にとっては、何の意味ももたないもの。

[ケリー大尉] ……それは、一体どういう……

[ケリー大尉] そ、そんな……ほかに方法はないのでしょうか?

[ケリー大尉] ダミアンは……あ、いえ、バリーのことです。彼は、幼少期から誠実な子でした。私が保証します! 今回は、偶然道を誤ってしまっただけで……

[ケリー大尉] ……

[ケリー大尉] は……仰る通り、です……

[ケリー大尉] 申し訳、ありませんでした。はい。……ご命令に従います。

[ケリー大尉] ええ、ロンディニウムから来た彼女たちなら、まだここにいますが……

[ケリー大尉] ……わかりました。そのように伝えておきます、上官。

[ケリー大尉] どうかご安心ください。私は……何よりもまず第一に、このヴィクトリアの一軍人です。それを忘れたことなど、片時もありません。

[バグパイプ] はぁ……隊長、さっきからずーっと時計ばっかり見てるよ。

[ホルン] 私はあなたと違って、場所を選ばずぼーっとできないもの。

[バグパイプ] ぼーっとなんてしてないよ、倉庫にいたフェリーンのおにーさんのことを考えてたんだ。あの人が歌ってた歌、けっこう良かったからさ。

[バグパイプ] 理由はわかんないんだけど、うちの想像では、あの歌はきっと、トラクターを運転しながら歌うのにぴったりだべ。

[バグパイプ] 「冬ごもりの山が、牧獣の群れを背負って~」♪

[ヴィクトリア兵] ……

[バグパイプ] あれ〜、睨まれちゃった。うちの歌、そんなに下手だったかな?

[ホルン] ……歌詞、間違えてるわよ。

[バグパイプ] ありゃ!? 牧獣じゃなかったっけ? えっと、家だったかな? それとも耕運機……?

[バグパイプ] ねえ、ヒロック郡のお仲間さん! この歌の歌詞ってわかる?

[ヴィクトリア兵] ……ここで歌うのはよせ。

[バグパイプ] あっ、ごめんね。ここの規則を破っちゃったかな?

[ヴィクトリア兵] ……少なくとも、俺たちの前ではあの連中の歌を歌うな。

[バグパイプ] あの連中……ってどの連中のこと? 言ってる意味がよくわかんないんだけど。

[ヴィクトリア兵] 貴様……バカにしてるのか? ヴイーヴル……

[バグパイプ] えっ? なんで怒ってるの?

[ホルン] ……バグパイプ。

[バグパイプ] あれっ? これって――

[ホルン] いいから……お喋りは終わりにしましょう。

[バグパイプ] そうじゃなくて……隊長、向こうで誰か歌ってるみたいだよ!

[ホルン] ……

[ホルン] 本当だわ。何か聞こえる。

薄暗い廊下の奥から、先ほどの歌と同じメロディが聞こえてきた。その歌声は低く粗く、時折、激しく咳き込む音と共に途切れる。

[バグパイプ] もしかして、部屋の中にあの人がいるんじゃない?

[ヴィクトリア兵] おいっ、勝手に入るな!

[バグパイプ] あ、誰かいる! おめーさん、昨日郊外の倉庫で捕まった人?

[衰弱した青年] ごほっ、げほ……はは……昨日、っていうとダミアンのことか? あいつなら、とっくに連れてかれちまったよ……可哀想にな……

[バグパイプ] えっ!? それっていつのこと? なんでうちらに連絡きてないんだろ!?

[ホルン] ……

[ホルン] 連れていかれた、ってどこに?

[衰弱した青年] どこに? ……は、はは……どこに、だってよ……

[衰弱した青年] あいつなら、もう……

[ヴィクトリア兵] ――黙れ!

[ヴィクトリア兵] 貴様、あの男と同じ目に遭いたいのか!?

[バグパイプ] それ脅迫だよね。どうしてその人を脅すの? 昨日のおにーさんは一体どこへ行ったの?

[衰弱した青年] あぁ……は、は……あいつは……家に帰ったんだ。

[バグパイプ] 家に、帰った……?

[バグパイプ] それって釈放されたってこと? じゃあ、あの人は本当に亡霊部隊とは無関係だったの? ……ねえ、隊長――

[ホルン] そこで待ってて。……部屋に入れてちょうだい。

[ヴィクトリア兵] ダメだ。許可なく囚人と話すことは禁止されている。

[ホルン] ――

[ホルン] 退きなさい。私はケリー大尉に会わないといけないの。ここにいるのは知っているわ。

[副官ヒル] ――いいえ、いませんよ。

[バグパイプ] ん? おめーさんのこと、覚えてるよ。あのとき倉庫で怒鳴ってた副官だよね。大尉さんがいないってどういうこと?

[副官ヒル] 大尉は急用で発たれました。代理として、ご伝言を――「取り調べは一時間前に終了した」とのことです。

[バグパイプ] なっ……! うちらに間違った時間を伝えてたってこと!?

[副官ヒル] 連絡ミスがあったようですね。まあ、珍しくもないことでしょう?

[バグパイプ] 連絡ミスって……うちらのことバカにしてるの?

[バグパイプ] 隊長! この人たち、嘘ついてうちらをハメたんだよ!

[ホルン] ……重要なのはそこじゃないわ。

[ホルン] なぜ、今になって教えたの? どのみちもうこんなに待たせてるんだから、このまま時間を浪費させてもよかったはずよね?

[副官ヒル] そのご質問については……

[ヴィクトリア兵] 失礼します、副官。……(小声)……

[副官ヒル] ……そうか、わかった。

[副官ヒル] スカマンドロス中尉。あなたにある情報をお伝えするよう、命を受けました――

[副官ヒル] あなたがご関心を寄せている囚人、ダミアン・バリーですが――十分前、護送中に武器を奪い取り、兵士へ攻撃しようとしたため射殺されたとのことです。

[バグパイプ] どっ……どういうこと!? そんなのありえないよ!

[バグパイプ] だって、あのおにーさんは普通の人だったじゃない。うちらを見た時なんて、すごく怯えて身動き一つ取れなかったんだよ。そんな人が、完全武装の軍人なんかに刃向かえるわけないでしょ?

[ホルン] ……言うなれば、あなたたちは裁判もせずに容疑者を処刑した、ということね。

[副官ヒル] では確かにお伝えしましたので。

[バグパイプ] 隊長、うちら騙されたんだよ。あの人たちは、どうしてわざとうちらが容疑者と接触できないようにしたんだろう? 同じヴィクトリアの仲間じゃないの?

[ホルン] 彼らの目的が掴めていない以上、何とも言えないわ。

[ホルン] とはいえ、引き続き調査を進めるなら、自分たちだけでやるしかないということは確かね。駐屯軍のあの態度、協力する気なんてさらさらないのは明らかだもの。

[バグパイプ] はぁ……うちだってバカじゃないし、見てればわかるよ。ま、あの人たちがうちらの邪魔をしないならそれで十分と思っとこうっと。

[バグパイプ] それで、これからどうするべ? やっと手がかりが掴めたのに、またなくなっちゃったし……

[ホルン] ほかの方法を考えないとね。

[バグパイプ] あっ! そういえばあのダミアンっておにーさん、ジャガイモを仕分ける仕事をしてたみたいだよね。

[バグパイプ] 移動都市周辺の農業用地ならどこでも、都市に農作物運ぶための専用ルートがあるべ!

[バグパイプ] それを辿っていけば、農家さんの集落があるはずだよ。あのおにーさんの友達や親戚と話せたら、何か手がかりが見つかるかも!

[ホルン] ……なるほど。あなたらしいアイディアね。

[バグパイプ] でしょ? 情報収集はうちに任せてよ!

[ホルン] ええ、お願い。それじゃ、早速行動に移りましょう。

[バグパイプ] 隊長はどうするの? 一緒に来る?

[ホルン] 私は、ここに残って駐屯軍と話をつけるわ。取り調べをした以上、その記録も残っているはずだし。さすがに、尋問もせず軽率な処分を下すことはないと思うから。

[ホルン] トライアングル?

[トライアングル] 隊長、現在都市郊外にて――

[ホルン] ――ッ! 襲撃されてるの!?

[トライアングル] はい。突然姿を見せたかと思えば、こちらに気付いたようで攻撃を……

[トライアングル] 連中の戦い方、使用武器、共に以前の情報と一致しています……ドラムのアーツを用いてもなかなか攻撃が当たりません! クソッ……!

[ホルン] 必ず生きて帰りなさい! これは命令よ!

[トライアングル] 了解、隊長! お任せください! では、通信を終了します――

[ホルン] ――

[ホルン] 今のは重要な情報ね。私たちのターゲット、亡霊じみたあの部隊は――今まさにヒロック郡にいる。

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