aklib_story_怒号光明_EG-4_燃焼の断章4

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怒号光明_EG-4_燃焼の断章4

信頼とは。


[疲弊したオペレーター] おい、どういう状況だ?

[ベテランオペレーター] マズいな。下層に残ってる魔族は数人だが……

[ベテランオペレーター] どいつも経験豊富な傭兵で、かなりたちが悪い。ネジ一本で百通りの殺し方を考えつくような奴らだ。

[ベテランオペレーター] 戦闘力に関して言えば同じくらいだろうが、人数はあっちの方が倍はいるからな。

[疲弊したオペレーター] はぁ……「だがしかし!」ってオマケはないのか? そろそろ足の感覚がなくなりそうだ。

[ベテランオペレーター] あるぞ。「だがしかし!」、どうやら傭兵部隊が仲間割れをしているらしい。少なくとも外にいる一部の奴らはそうだった。今この下にいる奴らも同じかはわからんが。

[疲弊したオペレーター] 何だよ、大して役に立つ情報じゃなかったな……くっ! 痛ぇ……畜生! さっきの野郎、思いきりやりやがって……

[ベテランオペレーター] 応急処置ができるだけでもありがたいと思えよ。他のことを考えて気を紛らわせろ。

[疲弊したオペレーター] ……上の方から伝わる熱気がどんどん強くなってきてるな。さっきから、怖いくらいに大騒ぎじゃないか。それに、なんていうか……息が詰まる。

[ベテランオペレーター] 気を紛らわせろとは言ったが、そんなこと考えろとは言ってない!

[疲弊したオペレーター] アーミヤさん……アーミヤさんは大丈夫だよな? それとあの――龍門の警官も。まぁ一度しか会ったことはないけどな……でもよ、あいつらが……その……なんら、あえっ?

[ベテランオペレーター] もうよせって、呂律が回らなくなってきてるじゃねえか。どうやら血を流し過ぎたみたいだな――ちょっと待て、通信だ。

[慌ただしい声] 私だ、間もなく地上に出る――

[ベテランオペレーター] ……状況は? 敵はどうなっている?

[慌ただしい声] 運が味方してくれた。さっき塔の先端で爆発したアーツが、私たちのいたフロアを火山みたいに呑み込んでな。その隙に見張りを数名片づけた。残りの奴らも下へと逃げていった――

[ベテランオペレーター] 奴らはここを死守するつもりだと思っていたんだがな……

[慌ただしい声] もしかしたら誰もが予感していたのかもしれない。上で起こることは「戦術級」の範疇を超えていると――

[疲弊したオペレーター] なっ……何が起きた!?

[疲弊したオペレーター] うわあぁっ――

[ベテランオペレーター] 掴まれ!

[疲弊したオペレーター] な、何だ? ……ひ、火が燃え広がっているぞ!? ここに可燃物なんかあったか!?

[ベテランオペレーター] 自然発火……情報と同じだ。タルラのアーツだ……!

[疲弊したオペレーター] なに突っ立ってんだよ! どうするんだ!?

[ベテランオペレーター] うむ――こっちだ。他の連中と合流するぞ! おい、お前その足は大丈夫なのか!?

[疲弊したオペレーター] 必死で気を紛らわせてるんだよ!!

[慌てたオペレーター] 通信を全て確認した。今の時点で死亡者はいない!

[冷静なオペレーター] 焦らないで、傭兵たちはまだ近くにいるはず。状況を見て攻撃の機会を窺ってるんだと思う……

[冷静なオペレーター] 今はただ、塔の先端で起きた爆発のせいで、一時的に司令塔が……静かになっただけだから。

[慌てたオペレーター] この状況が静かだって!? ア、アーミヤさんは大丈夫かな?

[冷静なオペレーター] いや……塔の先端がああいう状況だから、それと比較して静かだってことだよ……

[疲弊したオペレーター] と、とにかく――!

[ベテランオペレーター] 警戒を怠るなよ。俺たちはまだ――

[ベテランオペレーター] ……

[疲弊したオペレーター] な、なに急に黙り込んでんだよ? おい――?

[疲弊したオペレーター] なんで上を見上げてるんだ? 塔の先端に何か……

[疲弊したオペレーター] ……待て、あ、あれは……光の玉? ほ……炎か? 光の輪か? 何だあれは?

[冷静なオペレーター] アーツ。

[疲弊したオペレーター] ……アーツ? あれが!?

[慌てたオペレーター] あっ、記録もつけてあるぞ。最初の爆音と同時に、炎と熱気が建物の天井を突き抜けていった。塔の真下からの肉眼による観測では、それはまさに――

まさに沈みゆく陽の残光だった。

まさに怒涛のごとき感染者の死だった。

まさに怒りだった。

まさに崩れゆくこの都市そのものだった。

[疲弊したオペレーター] ……あんまり感性は豊かな方じゃない俺でも、あれを見せられた後だと、言いたいことが伝わってくるぜ。

[冷静なオペレーター] あれは、レユニオンのリーダーの――

[ベテランオペレーター] 炎と熱。

[ベテランオペレーター] だが、炎と熱は……本来それほど恐ろしいものじゃないはずだ。

[冷静なオペレーター] うん、でもあの光の塊……あれは一人……二人、いや、もっとたくさんの、数えきれないほどの怒りが……

[ベテランオペレーター] あれが……タルラの力なのか?

[冷静なオペレーター] いや、もしかしたらそれだけじゃないのかも。情報としてレユニオンのリーダーのことは知ってるけれど、データにあった若い龍のイメージとあれが同じものだなんて思えないよ……

[慌てたオペレーター] い……一体、上で何が起きているんだ?

[ベテランオペレーター] ……

[冷静なオペレーター] ……わからない。

[慌てたオペレーター] アーミヤさん……

[疲弊したオペレーター] 司令塔には、ほかに誰か残ってないのか!?

[慌てたオペレーター] いや、いる!

[疲弊したオペレーター] 今すぐ助けに行くぞ!!

[ベテランオペレーター] 待て! 伏せろ!

[サルカズ傭兵] ――司令塔から離れた敵がいる! 探せ!

[サルカズ傭兵] ここは封鎖しろ。奴らに応援を呼ばせるな。

[慌てたオペレーター] お、おい、どうするんだよ!?

[ベテランオペレーター] アーミヤさんの所に戻って援護をした方が――

[冷静なオペレーター] ――いや。

[冷静なオペレーター] きっとあれはアーミヤさんしか……アーミヤさんにしかできないことだよ。彼女ならできる。必ずやり遂げる。

[冷静なオペレーター] そう信じてる。だから私もここにいるんだ。

[冷静なオペレーター] それに……

[冷静なオペレーター] アーミヤさんは約束してくれたんだ。有給休暇を取って、買い物に付き合ってくれるって……リーダーなら嘘はつかないでしょ?

[ベテランオペレーター] ……そうだな。

[ベテランオペレーター] なら、アーミヤさんが勝って戻ってくるまで、絶対に司令塔を守り抜かないとな。少なくともケルシー先生が着くまでは。

[ベテランオペレーター] 俺たちは――

[疲弊したオペレーター] ん? ――なっ! おい、何かが上空の「あれ」を切り裂いたぞ!

[疲弊したオペレーター] ――おい、見たか!? ほら、まただ!

[ベテランオペレーター] 切り裂いたって……剣か何かで? そういえば、あの龍門の警官は剣を使っていたが……

[慌てたオペレーター] け、剣であんな芸当ができるのか?

[冷静なオペレーター] ……司令塔の外にいる傭兵たちは私が食い止める。みんなは司令塔に戻って残された人たちを救出して、まだ破壊されてない撤退ルートも確保して。

[疲弊したオペレーター] 一人でどうやってあんなに大勢のサルカズを食い止めるつもりだ?

[ベテランオペレーター] 俺も一緒にやる。

[ベテランオペレーター] お前たちは今すぐ塔に戻って救出を頼む、早く。

[サルカズ傭兵] ……塔の外に出たロドスは少人数だ。他の小隊にも連絡を入れろ、包囲網を狭めるぞ。俺たちはこっちから行く。

[サルカズ傭兵] 一刻も早く防衛ラインを崩す。奴らの死こそが、我らにとって最高の切り札となるからな。

[ベテランオペレーター] 急げ!

[疲弊したオペレーター] ……ああ!

[慌てたオペレーター] お前たち、無理はするなよ。相手は大勢だ!

[冷静なオペレーター] ……こういう感じは久しぶりだね。二人で肩を並べて、敵を討つ機会を窺う――なんて。

数々の歴戦をくぐり抜けてきたオペレーター二人は、同時に武器を握る。重苦しいサルカズの脅威が目前に迫っていた。

双方ともに、目を逸らすようなことはなかった。

[ベテランオペレーター] ……確かに久々だな。

[ベテランオペレーター] さっきの有給休暇の話なんだが……荷物持ちは足りてるか?

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