aklib_story_ウォルモンドの薄暮_TW-6_蔓延する怒り_戦闘前

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ウォルモンドの薄暮_TW-6_蔓延する怒り_戦闘前

危機の最中にいたタチヤナだったが、グレースロートによって命からがら救出される。そんな中、フォリニックが反乱者の一人を尋問し、ウォルモンドで起きた暴動の真相の一部と、「レユニオン」の関与を知る。


[タチヤナ] ううっ……

[タチヤナ] ここは……

[タチヤナ] くっ――!

[タチヤナ] (頭がふらふらする……! でも、視力も……聴力も、大丈夫。)

[タチヤナ] (くるぶしは……感覚がない。)

[タチヤナ] (……静かね、みんなもういなくなったの?)

[タチヤナ] (……)

[タチヤナ] (……待って、私をこんなところに寝かせておいて……彼らは何をするつもり?)

[グレースロート] ……目覚めたのね。

[タチヤナ] いやぁーー!?

[グレースロート] ……そんなに驚かないで。

[タチヤナ] えっ? あ、あなたは? 確か、ロドスの――

[タチヤナ] ごめんなさい! 急に声をかけられたのでびっくりして――

[グレースロート] 私はグレースロート。ロドスのオペレーターよ。

[グレースロート] この近くの反乱者はみんな片付けたわ。

[タチヤナ] 片付けた……

[グレースロート] ……こんなときでも、彼らを敵とは見なしたくないのね。

[グレースロート] 安心して、みんな命に別状はないから。彼らはセベリン・ホーソーン憲兵長に引き渡したわ。

[タチヤナ] ……ありがとうございます。

[タチヤナ] あ、あの――フォリニックさんは――

[グレースロート] 無事よ。他のオペレーターが手伝いに行ってる、だけど……

[グレースロート] アントは本当に……犠牲になったの?

[タチヤナ] ……はい……申し訳ありません。

[グレースロート] だからフォリニックはあんな風に……

[タチヤナ] いくらロドスの方でも、オペレーター数名ではこの街を取り戻すことは不可能です。市街地に戻って、態勢を立て直しましょう。

[グレースロート] そうね。足を怪我してるけど、歩ける?

[タチヤナ] はい……やってみます……痛っ……

[グレースロート] 手を貸すわ。

[タチヤナ] ありがとうございます……

[グレースロート] ――もう一つ質問よ。私がアントと一緒にここに来たとき、ウォルモンドは栄えていた。

[グレースロート] でも、今は違う。どうして正規の憲兵すらいないの?

[反乱する住民] うわっ!

[エアースカーペ] 武器を置いて、改めて自分の姿を見てみろ。まともな装備も身につけてないのに、それで戦うつもりか?

[反乱する住民] はっ、余所者のお前らに何がわかる! あの貴族の回し者に手を貸して、お前らに何の得があるんだ!

[フォリニック] ……別に何も。あなたたちの政治に興味なんてないし。だけど……あなたは冬霊人?

[反乱する住民] 冬霊人――? 俺はあんな原住民たちとは違う。あいつらの抗争は支持してるけどな。

[反乱する住民] お前らはどうだ? アント先生は良い人だった。でもお前らは金持ち連中に手を貸して、弱者をいたぶってるだけだ!

[反乱する住民] ウォルモンド――いや、リターニア全体が腐りきってんだ! 今回火を放って感染者を殺したとなりゃ、次は貧乏人全員を焼き殺しちまうに違いねぇ!

[フォリニック] ……

[エアースカーペ] 証拠は?

[反乱する住民] ――今のウォルモンドには憲兵はいねぇんだ! 一人も!

[反乱する住民] 理由を知ってるか?

[エアースカーペ] ウォルモンドと集落を成していた周囲の街全部が、天災による被害を受け、憲兵が同時にケアしきれなくなったから――

[反乱する住民] クソッタレ! そんなまともな理由なら不満に思うわけねぇだろ!

[フォリニック] ――時間稼ぎはもうやめなさい。言うの、言わないの?

[反乱する住民] ――フンッ。

[反乱する住民] 結婚式のせいだ。

[エアースカーペ] ……結婚式?

[反乱する住民] 塔の上に住んでる大貴族が、別の貴族の一人娘を娶るってことで、憲兵は全員、付近の移動都市に招集されたんだよ!

[反乱する住民] 貴族の酒池肉林の「宴」は、一体どれほど続くと思う?

[エアースカーペ] ……

[反乱する住民] ああ、そういえば、それ以前に貴族たちがどちらの移動都市を動かして相手の都市に訪問するかって話で、一ヶ月も言い争ってたな――

[反乱する住民] その間、俺たちの憲兵隊は、貴族の邸宅の周囲にすし詰めにされてんだよ。メンツと名義上の警護のためにな。滑稽すぎて笑えるってか?

[反乱する住民] ――ハッ、少しも笑えねぇ。

[フォリニック] 確かに笑えないわね。だけど私が聞きたいのは、火災のことよ。

[反乱する住民] フンッ……

[反乱する住民] ……感染者を治療する医療拠点を、燃やす感染者がいると思うか? 普通しねえよな。

[反乱する住民] そんなことをするのは、感染者を目のかたきにしてる奴らに決まってる。つまり、お前たちが信じるべきは俺たち――

[反乱する住民] ――「レユニオン」だ!

[住民] 憲兵長! 反乱者たちは投降を拒んでいます――!

[セベリン] 数は多くない……

[グレースロート] 今回の抗争の本当に恐ろしいところは、みんな戦士じゃなくて、ただの一般住民だってところよ。

[グレースロート] 最悪の事態を避けるために、全力を尽くしましょう。

[スズラン] グレースロート先輩! タチヤナさん! 戻られたんですね!

[フォリニック] ……全力を尽くした後、これら全てを起こした諸悪の根源に、その対価を支払わせるわ。

[セベリン] タチヤナ!

[タチヤナ] 伯父さん……すみません、油断してしまいました……

[セベリン] ……いや、無事で何よりだ。

[グレースロート] フォリニック……無事だったのね。

[フォリニック] グレースロート……ええ。アントに同行してウォルモンドに来たのはあなただったわね、覚えてる……

[フォリニック] 何が起きたのかは聞いた?

[グレースロート] ……ええ、大体は。

[フォリニック] もしあなたが……あなたが彼女の側にいたなら、この惨劇は避けられたと思う?

[エアースカーペ] フォリニック、そんな話は――

[グレースロート] 無理よ。今回ウォルモンドが見せた多岐に渡る矛盾は、外からは解決が難しい問題だから。私がいたとしても、きっと無力だった。

[フォリニック] ……

[グレースロート] ……だけど、彼女と一緒に力を尽くすべきだった、とは思う。

[グレースロート] 彼女といてあげられなくて、ごめんなさい……

[フォリニック] そんな……違うわ。私は何をやってるの……自分の気を紛らわすためにあなたを責めるなんて。

[フォリニック] 謝らないといけないのは私のほうだわ。

[セベリン] ……皆さん。

[セベリン] まずは、タチヤナを救ってくれたことを感謝させてほしい。

[フォリニック] ……ロドスは、感染者救済を使命とする組織です。

[フォリニック] セベリン・ホーソーンさん、リターニアのこれまでの施策を考えれば可能性は低いと思ってはいますが、やはり正式に行動を開始する前に確認させてもらいます――

[フォリニック] ウォルモンドは、たとえどのような状況であっても、感染者に「特別な措置」を実行しない。このことを、ウォルモンドを代表して保証していただけますか?

[セベリン] ……スズランさんと君の調査の結果が、それを裏付けているのではないか?

[セベリン] ウォルモンドは感染者を迫害する狙いなどないし、感染者を助けるアント先生に恨みを抱くこともない。

[セベリン] これで満足か?

[フォリニック] ……

[スズラン] フォリニックお姉さん、私はセベリン憲兵長を信じます。

[エアースカーペ] 理由は?

[スズラン] えっと……あの……まだ言えません! でも私は信じます! セベリン憲兵長は感染者を迫害するような人じゃありません!

[フォリニック] リサ……では、ひとまずあなたの言い分を信じます。

[セベリン] ご理解感謝する。

[セベリン] そして、これからどうすべきか、皆の意見を聞かせてほしい。

[グレースロート] ……私はフォリニックほど、現場の状況に詳しくない。戦闘任務ではフォリニックの指示に従う。

[フォリニック] 反乱者の人数は、そこまでじゃなかった。

[フォリニック] 既に鎮圧した人たちを含めても、百人もいないと思う。

[セベリン] 普段のウォルモンドであれば、百人の暴徒など取るに足りないのだが……

[フォリニック] 憲兵の件について、面白い噂を聞きました。

[セベリン] ――ああ……それは私の軍人キャリアの中で下した、数少ない馬鹿げた決定の一つだ。もう変えられないことを討論するのは、今はよさないか?

[エアースカーペ] 一つだけいいか。その噂を俺たちに話した捕虜は、「レユニオン」を自称していた。

[スズラン] えっ?

[グレースロート] ……私たちは少し前に、単独で行動していたレユニオンと遭遇している。不平不満から暴れまわっているここの住民たちとは、比べ物にならないわ。

[グレースロート] あれは、百戦錬磨の戦士だった。もしあんなのが部隊を従えているとすれば、厄介なことになる。

[セベリン] あの武装集団か……悪いニュースだな。

[フォリニック] ……レユニオン……

[フォリニック] チェルノボーグ……ウルサス……ああ、またウルサスなの……

[フォリニック] あんな奴らの言葉なんて、一言だって信じられるわけがない!

[グレースロート] ……

[エアースカーペ] あの火事が事件の導火線になったのは明らかだろうが、干渉する要因が多すぎる。

[エアースカーペ] これまでの問題があの火事を引き起こしたのか、それとも火事が多くの問題を浮き彫りにしたのか……そして、本当にそれだけに過ぎないのか。まだ何も確定的なことは言えない。

[タチヤナ] 私たちは……戦うしかないのでしょうか?

[セベリン] ……これはウォルモンドの命運を決める選択だ。数千人の命が関わる決定を、そう簡単には下せない。

[セベリン] まずは議事堂に戻って、正式な決議をとるべきだ。

[セベリン] とはいえ……向こうは我々にその時間を与えるつもりはないようだが……

[フォリニック] ……もし彼らが本当に「レユニオン」なら、情けを掛ける必要なんてないわ。

[エアースカーペ] ……

[グレースロート] ……わかった。でもフォリニック、あなたはここに残って怪我人の治療をして。

[フォリニック] えっ、でも私がこの手で――

[グレースロート] リサ……スズランは正式な医療オペレーターじゃない。正式な医療オペレーターはあなただけなのよ。

[グレースロート] あなたは敵を倒すことじゃなくて、罪のない人々を守ることを優先して。

[フォリニック] でも……

[スズラン] フォリニックお姉さん……ここに残ってください。

[スズラン] もしフォリニックお姉さんがあんなに怖い顔で戦い続けたら……お姉さんらしくなくなっちゃいます。

[フォリニック] ……

[フォリニック] ……じゃあ……わかった、私は……残るわ。

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