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更新日:2024/05/09 Thu 13:41:13NEW!
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ここでは、現代社会を舞台にしたフィクション作品などにおける実在の商品や企業、店名、有名人などの言い換え表現について解説する。
作品の言いかえについては作中作も参照。
▷目次
概要
「フィクションはあくまでフィクション」なのだが、現代社会を舞台にした作品だと、何から何まで架空の名前ばかり出てきても現実味が薄れてしまうし、ネタを用意する労力も馬鹿にならない。
かといって、現実の商品名などをそのまま出してしまうと商標権などのややこしい問題が絡んでくる上、作品内の扱いによってはマジで実在企業の方からクレームが来たり、訴訟沙汰になる可能性がある。
顕著な例としては、1954年の初代『ゴジラ』において、銀座松坂屋と和光の時計台を特に断りもなく作中でゴジラに破壊させてしまったせいで「縁起が悪い」と関係者が激怒したことがある*1。
「魔女の宅急便」がアニメ映画化された際には、企画立ち上げ直後に「宅急便」の商標を有するヤマト運輸に話を通した。
ヤマト運輸としては、原作小説の時点で「商標を勝手に使われた」側であり*2、初め乗り気でなかったとの説もあるが、最終的には主人公の相棒キャラが、同社のトレードマークと同じ黒猫であるという縁で映画のスポンサーに入ることが決まった。各地のヤマト営業所で映画の割引券が配布されるなど、動員増にも一役買ったと言われており、「『魔女の宅急便』に憧れたから」という理由でヤマトに就職した人も結構いるそうである(2014年の実写映画版でも、ヤマトが「特別協力」としてクレジットされている)。
2023年にアニメ化を果たした「とんでもスキルで異世界放浪メシ」では、実在の企業の協力を取り付けることで「原作は言い換えだがアニメでは実在」という奇妙な状況になっている。
このように相手企業と話がつけられれば、時にはWIN-WINのコラボが実現することもあり、業界用語では「プロダクト・プレイスメント」と呼ばれる。しかし作中の固有名詞一つ一つにそれをやるのは現実的ではないし、先方にデメリットしかない取り上げ方をする場合も出てくる。対策として、「間違いなく実在のあの企業がモチーフなんだけど、名前は出していないからセーフ」という何とも微妙な言い換えが多用されることになる。
言い換えの例としては、
- 文字を伏せる
「デニーズ」→「デ○ーズ」など。一目見れば丸わかりなのだが、明言はしていないのでセフセフ。
また、会話の流れで複数回使われる時にその単語が出るたびに「〇ニーズ」「デニ〇ズ」など伏せ字の位置をずらして明らかに隠すつもりが無いようなものも。
ギャグ系作品で会話の中に出てくる分にはあまり問題はないのだが、看板などにすると違和感丸出しなので絵にしづらい難点がある。
また、アニメ化された際にこの「○」の中を単なるピー音を被せるか、それとも他のキャラの台詞を被せたりして違和感なく隠してしまうかは作品ごとの個性が出る。
『銀魂』のアニメ版ではこの手法を逆手に取り、「いつもの面々がゲーム機のPSPの話をする際、
PSPのPの部分を伏せてピー音を入れる(つまり(ピー)エス(ピー)となるので結果的に隠せていない)」というかなりきわどいネタが行われた、なんて事例も。
中には「デ○ニーズ」とかのわざとなのかどう見てもアウアウな言い換え失敗例もあり、俗にかぐや消しと呼ばれる。名前の由来は某PCゲームメーカーが使い始めた手法から。
- 捩る
後述の『はたらく魔王さま!』の店名がわかりやすいが、「マクドナルド」→「マグロナルド」のように、
元の名前の雰囲気は残しつつダジャレで全く意味の異なる名前にしてしまう。
看板などのデザインは割とやりやすい方。
例に挙げたマグロナルドの場合だと、例のM字の意匠を90度ひっくり返して手を加えることで魚の横顔にしてしまうという秀逸なデザインになっている。
- 遠回し系
「ミッキーマウス」→「千葉生息の例のネズミ」など。
遠回しすぎると通じづらいのが難点だが、あまりに直球すぎてもネタとして面白くないのでその辺の匙加減が難しい。
また言い換え表現とは少し異なるが、イニシャル・ローマ字表記にすることでわかる人にはわかるようにする…というパターンも。
- 徹底して隠す
NHKが好んで使う手法。
NHKは公共放送という立場上、基本的に特定の商品名・店名を直接使うことは出来ない為*3、不自然なカメラアングルやパッケージを剥がしたりして徹底して商品名を隠している。インタビューで社屋等が映って隠し切れないこともあるが。
厳密には、宣伝効果のある固有名詞言及がNG。例えばファストフード店を取材したニュースで店舗名は出せないが、ファストフード業界の競争率の話でマクドナルドとロッテリアがとか言うのは問題ない*4。
NHKでは「繰り返しを避けて抑制して使用する」を公式なルールとしており、こうしないと企業名のついたプロスポーツチーム(オリックス・バファローズや横浜キヤノンイーグルス等)の表現はややこしくなってしまうからだ。
なお、近年増えている命名権付施設についても同様の扱いとなっている*5。
NHKの著名な例では、50万枚以上売り上げた山口百恵のヒット曲「プレイバックPart2」だろうが「ポルシェ」を「クルマ」と歌詞を改変させていたのは語り草*6。
また、アニメ映画や元々は民放で放送されていたテレビアニメでは実在の企業や店名・商品が出たにもかかわらず、後にNHKで放送された際はそれらが架空の物に差し替えられる等の修正がされる為、それに関しては批判も多い。
なお、さすがにNHKでもちゃんと「番組の出演者」として企業を出す場合は名前を出すこともあるが、『魔改造の夜』では今までの行いを逆手にとって、SニーやYマハ発動機など、徹底的にバレバレのイニシャルで名前を隠すというセルフパロディっぽい演出も。T・DKなんて全く隠せてねーぞ!!!
また、ニュースならともかくアニメや漫画作品内でやられると、若い世代には調べようがない身内ネタとして敬遠されかねないのが難しいところ。ただし、親切に元ネタをまとめたサイト等も少なくはない。
特にここ最近はNHK朝の連続テレビ小説では「あさが来た」「半分、青い」「わろてんか」「まんぷく」「なつぞら」と実在人物の生涯を下地としたストーリーが多いこともあり、
元ネタの人が関わった商品や作品、務めた企業なども全て差し替えられているため、事前の知識無しに視聴すると混乱しやすい。そして朝ドラ放映時期が終わったあとに元となった企業がその朝ドラに出演していた女優を起用してCMを製作するのがお約束。
逆に許可される例もあり、2020年のNHK紅白歌合戦では瑛人の『香水』の歌詞にある「ドルチェ&ガッパーナ」はOKと判断された。
2019年のNHK大河ドラマ「いだてん」は昭和までが舞台ということで登場人物の中に存命者もおり、第2部主人公の勤め先である朝日新聞などが実名で流れた(NHKは「必要な範囲に限定して」企業・団体名を使っているとコメントしている)。
事実翌年の「青天を衝け」でも「三菱」や「共同運輸」(現在の日本郵船)といった企業が登場し、物語に深く関わった。
- 似た別の文字・逆の意味の文字に入れ替える
MとN、MとW、日と目、朝と昼と夜、ンとソなどを入れ替える。あるいは文字の順序を入れ替えるなど。
発音や字面、雰囲気をほとんど変えずに別物にする事が出来るため、かなり多用される。
毎夜新聞、ゴロゴロコミック、四菱重工などが代表的。
他にも「同業他社の名前を混合させる」という手もある。
例えばドラえもんを製造しているのは「マツシバロボット工場」であるが、元ネタが松下(現パナソニック)と東芝なのは明白である。
同様に松下と東芝から作ったらしい名前として『課長島耕作』の舞台「初芝電器産業」もある(作者の弘兼憲史は元松下社員)。三洋電機がパナソニックの傘下に入ったのに合わせて作中でも「初芝五洋」に名前が変わっている。
毎日+朝日の「毎朝新聞」は挙げていくときりがないくらい多数の作品に登場しており、三谷幸喜氏は連載コラムでこれについて言及したこともある*7。
日売テレビも元ネタの候補が多いが想像はつく。作中で殺人が多発しているので捩らないとクレームがつきかねない
……これに関してはアウト、というより対応が難しいケースもある。
例を挙げると「SONY」は「SANY」という名前でも商標を登録している。
これは自社が持つ商標あるいは商号そのものと紛らわしい名称を防ぐための措置であるのだが、
これによって 横山光輝の漫画『魔法使いサニー』はアニメ化を機に『魔法使いサリー』と改題される*8という大人の事情にも程がある事態が発生している。
上記の措置を行う企業は多く、 時計メーカーのCASIOは腕時計ブランド「G-SHOCK」で有名だが、
名前が似ているパチモノ商品の販売を防ぐために「A-SHOCK」から「Z-SHOCK」まで全て商標登録している。
その他にも製薬企業「LION」は、タイトルロゴを上下逆にすると「NO17」に見える事からLIONだけでなく「NO17」も商標登録している*9。
- 東京○○
日本も地名を冠した施設名が多いが、その中でも群を抜いて東京の名を冠した施設名が多く存在する。
それらは大抵の場合帝都、帝国、東都などに言い換えられている。
東都大学*10や帝都大学、東都タワー、東京スカイタワー辺りが代表的。
たまに誤解されるが、『名探偵コナン』のように施設名や組織名は言い換えられていても地名自体は「東京都」である事が多い。
また、『コナン』では東京スカイツリーをベルツリータワーと言い換えているが、高さは635mとスカイツリーより1m高い。まあ、原作に登場した際に634mと同じになってしまったのだが
なお、実在の商品名などを特に許可を得ず普通に出してしまう例もないことはない。
というか、昔はその辺の意識が緩かったのでファミコンの『燃えろ!!プロ野球』などでは、実在の野球選手名やチーム名を一切隠すことなく堂々と使用している(ただし濁点半濁点含めて4文字制限なので「北別府」→「きたへふ」、「パットナム」→「Pトナム」、「長嶋茂雄」→「Mr.ジャイアンツ」→「ミスタG」*11など一部の選手名はかなり強引)。これについては後で詳述。
また、『さんまの名探偵』は吉本興業の許可は得ているが、出演している芸人には無許可でありノーギャラだった。
原作ではセーフだった表現がアニメ化や映画化される際にアウト判定になってしまい言い換えられてしまうケースもままあり、
『金色のガッシュ!』『ロッテのおもちゃ!』はアニメ化時『金色のガッシュベル!』『アスタロッテのおもちゃ!』にそれぞれ変更され、『ヴァニシング・スターライト』小説版では原典資料で「カントリーマアム」だったお菓子が「チョコチップクッキー」とぼかされた。
場合によってはあくまでフィクションの中の名前だからと言い訳して露骨に実在商品をディスっている例もある。
他にも、作中キャラの名前としては問題ないものが「商品名」にされると商標に引っかかるというケースもあり、
ブランドのエルメスと被らないように「エルメス(MA)」のプラモが「ララァ・スン専用モビルアーマー」という表記にされたり、「エルメェス・コステロ」のフィギュアが「E・コステロ」表記にされたりしている。
逆パターンであまりにも一般名過ぎると商標に登録できない*12ので、おもちゃなどで本編に聞いた覚えのない接頭・接尾語がついているケースもある。
一例に「きかんしゃトーマス」の玩具「トーマスエンジンコレクション」では、トーマスではなくトーマスエンジンといった具合にほぼ全部の車両に「○○エンジン(機関車)」という名前が付けられているが、これはトーマスやエドワードは普通の英語圏の人名で登録できないため。
「仮面ライダー電王」も「デネブ」などは星の名前であるため、人形などはイマジンのキャラ全員に「モモタロスイマジン」「デネブイマジン」として固有名詞化させてある。
ただし、作品に直接関わらないような設定の類には普通に実在する名称が登場することもある。
例えると、漫画版「カードキャプターさくら」のキャラである大道寺知世の好きなテレビ番組「はぐれ刑事純情派」だったり、
「それゆけ!宇宙戦艦ヤマモト・ヨーコ」では主人公の好きなゲームとして『グラディウス』やバーチャロンシリーズ等実在作品が多数登場したり(但しコミケ等は置き換え)。
アーケード版「THE IDOLM@STER」には秋月律子や双海亜美&真美のプロフィールに、それぞれ秋月電子通商やゲームボーイアドバンス*13の名前を挙げていた。
言い換えられる実在の名前の例
- 商品名・店名
この手の表現では最も良く見るタイプ。日常系作品だと、デニーズやサイゼリヤをモチーフにしたファミレスが大抵出てくる。
特殊な例では渋谷109は下一桁だけ変えられるケースが殆どで、鉄道模型のトミックスが発売しているストラクチャー「大型ビル」「中型ビル」の旧製品は「102」の看板が付属していた。それ東武じゃないか
しかし、コルトパイソンなどの銃器類や、バルカンなどの重火器類、戦車や戦闘機などの兵器は言い換えられることが少なく、多くの作品でそのまま使われている(名前だけ借りているものや発射機構と間違われている場合もあるが)。
「ジープ」あたりは商標であるとすら気が付いていない人のほうが多いのではないだろうか?
ただしここら辺の事情は時間の経過に合わせてかなりの変遷を辿っているようであり、近年の作品では兵器であってもライセンスを取得しない場合、微妙に名前や形状を変えている例がほとんどである。
逆にメーカー側から正式にライセンス許諾を受け、「本物」を売りにするものもあるが。例えばACE COMBATシリーズ等。
- 金融機関
銀行は強盗の襲撃先の常連となっているほか、舞台になった作品では行員や銀行全般の不正行為がテーマになるなど、ほとんどの作品でネガティブなイメージでしか取り上げられないため実在の銀行が登場することはまずない。
変わったところでは郵便局があり、かつては公共事業体だったが2007年に民営化され「日本郵便株式会社」という特殊会社になったため、「〒」のマークも商標登録され自由に使えなくなってしまった。
『忍者に結婚は難しい』では主人公が郵便局に勤務している設定で、テレビドラマ版の勤務先は「日本総合郵便」となっている。
- 観光地
特に遊園地が多い。
殊更、著作権に非常に厳しい事で有名な「ディズニーランド」は大抵の場合そのまま使われる事はない。
言い換え例は後述するが、開き直って「ゆうめいゆうえんち」なんてのもある。
逆に観光地タイアップ作品だと普通に出てくることもあり、名探偵コナンのアニオリ回「ハウステンボスの花嫁」のように話のタイトルで使用した事もある。
- テレビ局
テレビで放送されるコンテンツの場合、他局はもとより自身の放送局の場合でも直接名前を挙げる事は少ない。自社制作のドラマ内にマスコミやテレビ局を風刺する話もあるからである。
何等かの被害に遭う場合はなおさら。
但しキー局は立地そのものにも知名度があることから、所在地名である「六本木」や「赤坂」と暗喩する例も。フジテレビだけは何故かよく破壊されがちであるが。
北海道のローカルテレビ局を舞台にした佐々木倫子の漫画「チャンネルはそのまま!」では主人公が勤務する局が「北海道☆(ホシ)テレビ」を名乗っており、それ以外の道内民放やキー局・系列局も架空名となっているが、なぜかNHKはそのまま登場する。
なお、本作は北海道テレビ放送(HTB)が制作協力でクレジットされており、☆テレビの局舎とヒゲのディレクターの描写はまんまHTBのそれである。
- スポーツチーム
かつては『巨人の星』など実在球団が出てくる作品も多数存在したが、近年は肖像権管理の厳格化や各チームのファンからクレームがつきかねないため、割と言い換えられることが多い(主にギャグ作品)。
例:『ゴーゴー!ゴジラッ!!マツイくん』…「ジャイアンツ」→「カイアンツ」、「タイガース」→「タイガンス」など。作中に登場する選手も「似たような名前や顔立ちだが、実在の人物とは関係ないオリジナルキャラ」という設定で『コロコロコミック』版では外国人選手が、『コロコロアニキ』版では日本人選手のうちマツイ・クワタ、キヨハラ*14のメイン格以外は全員登場人物の名前としては変更されている(「ウエハラ」→「ウヘハラ」(上原浩治)、「アベ」→「アヘ」(阿部慎之助)、「ホシノ」→「ホチノ」(星野仙一)など。)。ちなみに松井秀喜など一部登場メンバーは内容を把握しているとする噂がある。…いいんです?
但し元ネタ球団公認作品だとその球団に関しては特に言い換えは発生しない(『ササキ様に願いを』・『マツイ日記は知っている!』等)。
実況パワフルプロ野球シリーズは基本的にプロ野球球団の許可を得て作成されているが、アプリゲーム「栄冠ナインクロスロード」では許諾を共有していないようで、シリーズ本編の栄冠ナインから存在する「プロ野球の順位予測」「優勝した球団のファンの選手のテンションが上下する」イベントでは「パ・リーグの北海道のチーム」「セ・リーグの兵庫県のチーム」等とボカされている。お陰で「セ・リーグの東京都のチーム」がどっちを指すのか不明。
ドラフト会議でもどこのチームにへ行ったかは出てこず、何巡指名だったかだけ表記される。
ちなみに甲子園球場はクレジットされており球場はバッチシ再現されている。相変わらず高野連の名前は出てこないが。
非常に取り扱いが厄介なため、特に「宗教所属者を敵として描く」作品だと、対策として言い換えられることが多い。
例えば『とある魔術の禁書目録』では、「キリスト教」という名前は絶対に出さず、キリスト教の各宗派をモチーフにした「十字教」というオリジナル宗教になっている。
また、『戦国BASARA』シリーズでもフランシスコ・ザビエルをそのまま出したらマズイためか、ザビエルをモチーフにした「ザビー」が「ザビー教」という怪しい宗教を布教しているという別の意味でヤバそうな設定に変えられている*15。
もっとも、歴史的な負の面をテーマにしたタイプのフィクションだとむしろ言い換えずにそのまま出してしまうパターンも多いが。
これに関してもケースバイケースであり、中世ヨーロッパを舞台にした『チ。 -地球の運動について-』では、地動説が「異端」とされて研究者が拷問や処刑を受ける場面が繰り返し描かれるが、
キリスト教が地動説を全面的に攻撃・迫害していたというイメージは歴史学的には疑問視されていることもあり、「C教」という仮名の宗教になっている。
ちなみに『ダヴィンチコード』ではその辺の配慮を一切せずに実在の観光地や宗教をそのまま出したため(映画化の際にルーブル美術館からは許可は得ているが)、ローマからクレームを付けられる事態になり、
19世紀終盤の『緋色の研究』に至っては末日聖徒イエス・キリスト教会(モルモン教)をヤバすぎるカルト扱いした上リアル戒律的にもおかしい描写が多いせいで、シャーロック・ホームズシリーズ初回なのに殆どメディア化されない羽目に…。
『頑丈人間スパルタカス』においてはパソコン売ってるカルト教団「ホトトギス神秘教」をネタにしたところ、本家のカルト教団がとんでもないことをやらかして洒落にならなくなったことも。
イスラム教に関するネタは、悪魔の詩訳者殺人事件や2012年アメリカ在外公館襲撃事件など過激派信者による殺人事件や暴動に発展したケースが多々あるためか、特に言い換えられやすい。
またイスラムの教義では「偶像崇拝」を固く禁じているため、神などを「絵にする」こと自体が基本的にタブーであり、漫画・ゲームなどの媒体で取り上げるのは非常に難しい。
Fate/Grand Orderやアサシン クリードなど世界史をネタにした作品でもイスラム教関連キャラは(不自然なほどに)全く登場せず、
代わりに暗殺教団の都市伝説を元ネタにした「アサシン教団」などが登場し、作中でも現実のイスラム教の歴史とは全く無関係なオリジナルの存在として扱われている。F/GOについては後からとはいえ『豚化』なるバッドステータスが登場したため(イスラム教の基本教義では豚はとても不浄な動物とされる)、おそらくこのまま「ルーツになる地域や設定である程度察してくれ」で通すものと思われる
『聖☆おにいさん』も、キリスト教と仏教を中心に、ヒンドゥー教や地域宗教、神話などの神や聖者を多数登場させているものの、イスラム教にはほぼ言及がない*16。
ヒンドゥー教の破壊神シヴァは現代でも最高神として信仰する者がいるため、ゲームに出す場合は最強にする、
最低でも同時参戦しているヒンドゥー教の神より強くして序列を正しくする、という業界の自主規制が一部であるらしく、
Shadowverseではガネーシャ神がモデルのカードが「栄華の加護神・ヤテラントゥ」としてシヴァより強くならないように名前を言い換えられている。
こうした配慮から「現実の宗教に接触しない神話」に需要があり、
ソロモン72柱、クトゥルフ神話などは便利なフリー素材として使われている。
- 国名
こちらも物によっては取り扱いを気を付けなければならないタイプ。近年では「某国」と表現するだけの場合が多い。
80~90年代の作品では、『戦国魔神ゴーショーグン』など「アメリカ合衆国」に相当する国家を「アメリア」みたいな名称で出すことも多々あった。
珍しい例として、『ドクターK』シリーズは、基本的に「アメリカからきた」ゲストキャラが出てきたり普段は実在の国名を使っている。
しかし、架空の国が他国を軍事攻撃しようとした回では「A国」「自由の国」とぼかされた。
…どう見てもAメリカです。本当にありがとうございました。
『ダンボール戦機W』においても陰謀の中心人物がいる国(どう考えてもアメリカ)を「A国」と表現した。
日本国内の作品では歴史上の問題からか中国・韓国・北朝鮮関係は誤魔化すことが多く、『相棒』で日本と政治的対立関係にある国を「東亜民主共和国」としたほか、21世紀の現代を舞台に日本と中国の軍事衝突を描いた「空母いぶき」が実写化された際にも敵国が中国から架空の国に変更されている。
メディアミックス作品では現実の国名に緩和されるケースもある(上述の『ゴーショーグン』は小説版で「アメリカ」になった)。
一方で厳しくなるケースもあり、例えば『魔人探偵脳噛ネウロ』のとあるエピソードの犯人は「ボクの国(どう見てもアメリカ)」にやたらこだわる性格と描写されていたが、アニメ化の際には「ボクの国」関連の発言は全てカットされた。
原作漫画の描写だと「犯人が殺人を犯したのは『ボクの国』出身だから」と解釈されかねなかったため仕方ないか。
全体的な傾向として映像作品の場合は特に他国の扱いを慎重にいく傾向があるようだ。
異世界ものの作品でも、あからさまに現実の国をモデルにしていて名前だけ違う国が出てくることがある(『ストライクウィッチーズ』『異世界居酒屋「のぶ」』etc)。「合衆国」ならアメリカ、「連合王国」ならイギリスといったように、国名が全く違っても統治体制を示す言葉だけでわかるようになっているものも多い(『幼女戦記』は「合州国」だったりするが)。
変わったケースだと、古すぎて今の子供にわからんだろうと言い換えられたもので、横溝正史が1930~50年代に書いた少年向けの探偵小説で、70年代に朝日ソノラマで単行本化された際、
「満州」がモンゴル(「幽霊鉄仮面」)や香港(「仮面城」)に変更されたことがあった。(著名な角川文庫版もこれ準拠のためこっち)
また世界情勢の変化で変更されるケースもあり、並木陽の小説『斜陽の国のルスダン』では初版となる密林社版と青春アドベンチャー版で「グルジア王国」表記だった舞台名が、
宝塚版『ディミトリ~曙光に散る、紫の花~』と星海社版で舞台となった地方の国での現代ロシアとの関係悪化により英語読みの「ジョージア王国」に変更されている*17。
ちなみに国に関わる存在でも「ナチス」はやや特殊な位置づけであり、
ジョジョの奇妙な冒険で「ナチス」がアニメ化の際に「ドイツ軍」と言い換えられたり、
キャプテンアメリカの宿敵が「ナチスの秘密機関ヒドラ」から単に「ヒドラ」とされたり、
『ONE PIECE』のエースの卍マークの刺青が十字に変更されたりと、特に規制にひっかかりやすい。
ぶっちゃけこれは明文法でダメになっている国があるのも大きく、ヨーロッパでの展開を想定している場合はドイツとかで公表すると現地当局も違法判定を下さざるを得なくなるからでまず伏せられる。
一方でなぜかB級未満のパニック映画では「ナチスの秘密兵器」だの「ナチスの生物実験」だのが現代で事件を巻き起こすのがお約束になっており*18、レビュアーの知的風ハットは「ナチスはフリー素材」と表現している。
- 日本の地名
国名と違い問題になりにくい為か、日本を舞台にした作品では大抵現実と同じ地名が使われる。
そのせいで東京は何度も亡びている。
だが東京大阪など以外では、実在する集落や地方都市に非常によく似た架空の都道府県や村が生み出される事もある。
特に怪人や犯罪組織が出没したり、猟奇殺人や天変地異が起こったりする世界観だと大体こんな感じである。
具体例挙げるなら絶対可憐チルドレン(日本以外の国名は架空のもの)では殺人まで行かないものの、人が鉄の塊に変えられる事件が起こった駅は「下野駅」である。(元ネタは上野駅と思われるが見た目は全然似てない)
他の例としては米花町、童実野町等、なおこれらは全部東京都という設定である。
他にも東京、大阪など実在地名を使っている上述のドクターKシリーズでも、大地震が起こって甚大な被害が起こったところは「N県」としていた。
これは前述のゴジラで壊したらクレームが来たことからの反省であろう。
ついでに東京スカイツリーも「スカイタワー」等と言い換えられる。
東京の新たなシンボルであるが商標登録されている為使いにくいのだ。なのでまだまだ東京タワーがへし折られる羽目になる。もしくは似た名前の何かが登場する。
反面、国会議事堂などはよく登場して、破壊されたり旗を建てられたりする。この辺はアメリカ映画のホワイトハウスと同様である。
- 学校名
高校、大学名は国名、地名以上にデリケートらしく、現在、創作作品では実在する学校はほとんど舞台にならない。集英社の漫画雑誌に掲載される漫画だと主人公らが通う学校が「集英高校」なんて事がよくあったりするし、特撮関連で「城南大学」も聞いたことある人も多いだろう。
前述の通り東京大学は「帝都大学」となってたりする他、実際の地名を使っている作品でも架空の学校が作られたり、実在する校名と被ったらあからさまに異なる場所として描写している。大洗女子学園とか存在しそうだけど実在しないのである。
史実を基にして作られたドラマである「スクール☆ウォーズ」ですら、モデルとなった京都市立伏見工業高校ではなく、神奈川県にある「川浜市立川浜高等学校」という架空の場所にある高校が舞台となっている(後の映画版では「京都市立伏見"第一"工業高等学校」になっていて史実に近づいたが微妙に違う)。
原作漫画で「大作家(おおさっか)芸術大学」だったのを、テレビドラマ化にあたって大阪芸術大学でロケを行って実名のまま放送した「アオイホノオ」という作品もあるが、例外中の例外だろう。
ただしあくまで「舞台にならない」だけであり、キャラクターの肉つけの為に実在の学校の卒業/在籍/転校という展開は何個かある。*19
警察が舞台のドラマなどに良く登場する「東大卒」がその最たる例だろう。受験がテーマになっている作品となると「東大」が当たり前のように登場し、「東京大学物語」「ラブひな」「ドラゴン桜」など、フリー素材状態である。
架空感を出したい時はイニシャル表記の大学名が出ることもあるが、「T大」と「W大」に限っては東大と早大の伏せ字であることが多い。
一方小中学校は意外と名称被りが多い。カードキャプターさくらに登場する友枝小学校と同名校も福岡県築上郡に実在している。
これに関しては現実でも名称被りの学校が多数存在している等の理由が推測される。
山形県で新設校に「さくらんぼ小学校」の名前をつけようとしたが、同名のアダルトゲームブランドが別にあったため、結局「大森小学校」になったという騒動もあったので、相当ひねらないと現実の方が追い付いてきかねないのである。
パワフルプロ野球シリーズの栄冠ナインで登場するライバル高校名称は、実在の名前を用いることはしていないものの
代わりに「適当な実在地名+高校*20」という大雑把な名付けを採用しているため、実在する公立高校と被っているケースもしばしば見られる。
- 通信・ウェブサービス
「SNS」と一括で表現されたり、YouTubeやInstagram、Twitter、LINEなどはよく似た別の名前に変わっている事が多々ある。「ツブヤイター」「ニタニタ(ニヤニヤ)動画」「チェイン」「LIME」等が主な例か。
「〜スタ」という名前で写真投稿サイトが登場するのは割と定番。「ツイスタ」という悪魔合体が発生する例も。
ちょっと違うが、ウェブページのURLなどは一見架空のものに見せかけて実際に入力してみるとちゃんとしたページに飛ばされる……という事例も一部あったりする。
この場合は「知っている人だけのためのご褒美」的なものが見られるパターンも多い。
- 電話番号/メールアドレス
たとえ適当に決めたものでも偶然実在の番号に繋がってしまうと困るため、絶対にありえないものを設定することも多い(七つの子は絶対に電話番号に設定出来ない、など)。
例えば、携帯電話の番号なのに(昔はPHS用だった)「070」から始まったりする、桁数が少ない等。
ハリウッド映画の劇中に登場する電話番号に、架空の市内局番「555」が使われる事は有名(映画の中の世界が舞台の『ラストアクションヒーロー』には555ネタに言及するシーンがある)。もっとも『ジョン・ウィック:チャプター2』のようにあえて使わないケースもあるが。
〇や×などの記号や英単語が入っているものもあるが、これはリアリティが薄れる難点がある。
対処法としては、最初から電話が来ることを覚悟で編集部などに繋がる電話番号をそのまま出してしまうパターンや、プロモーション用に番号を取得してそこに電話をかけると自動応答メッセージが流れるようにするパターンがある。
ちなみにこの事例で実際にトラブルになった案件として、『サザエさん』の原作漫画において適当に登場させた蕎麦屋の電話番号がたまたま個人の家に繋がってしまいその個人の家への悪戯電話が相次いだ、という事例がある(大半は興味本位だったようだが、一部「蕎麦屋の広告目的だろう」というクレームもあったらしい)。
似たようなものに車のナンバープレートがある。例を挙げるなら「頭文字D」(テレビアニメ版)や「ゆるキャン△」では本来4桁のナンバーが5桁となったほか、「頭文字D」新劇場版および後継作の「MFゴースト」では4桁だがハイフンの位置がずらされ、陸運局名がホームとする峠の名前になっている。
実写作品ではひらがな部分に使用されない「お」「し」「へ」「ん」を使ってフィクション扱いとしている。
- 交通機関
駅名に関しては基本的にはあまり言い換えられることはない。言い換えられる時があるとすれば、駅名に固有の団体名を含むような場合である。
ただし「JR」など鉄道会社のロゴの部分が消されていたり、路線名がオリジナルだったりする。ロゴが消されている例としては『ラブライブ!サンシャイン!!』、路線名がオリジナルの例としては『交渉人 真下正義』などがある。
変わったところでは国鉄があり、職員の人間模様を描いた「カレチ」ではそのまま国鉄で登場しているが、ライトノベル「RAIL WARS! -日本國有鉄道公安隊-」では国鉄分割民営化のなかったパラレルワールドを舞台にしている点やストーリー上実在の事業者名を出すことは難しいと判断したのか「國鉄」と言い換えており、とある回で國鉄が購入した車両の元所属先は名古屋鉄道から名護屋鉄道に言い換えられている。
社名変更で紛らわしいのだと「ワイルド7」の地獄の神話編に「西急の仲土駅」という東急をひねったような社名なのに、駅そのものは京急本線の仲木戸駅(現:京急東神奈川駅)がモデルだったりするのも。
バス等も行き先だけが表示されており、どこの何バスか不明というパターンが結構多い。実写作品だと塗装である程度「どこのバス会社に協力してもらってるか」を推測できたりはするが。
架空の県などを設定している場合は個別の鉄道路線が設定される他、飛行機事故などが起きる場合はほぼ100%航空会社名は言い換えられる。不吉なんてものじゃないし。
例として墜落事故ではないが経営的に事故った会社としても、半沢直樹シリーズ第4作「銀翼のイカロス」では帝国航空という日本航空(JAL)を元にした航空会社が登場している。
山崎豊子氏の小説「沈まぬ太陽」に登場する「国民航空」はJALがモデルであると公言しており、これが原因で掲載誌の『週刊新潮』が一時期JALの機内から撤去されたこともある。
映画「ハッピー・フライト」はレアケースで、国際線のジャンボジェットがトラブルで羽田に引き返すという出来事が描かれるが、全日空が撮影に全面協力しており、機体も制服も同社のものがそのまま使われている。
交通機関でもタクシー会社の場合は営業所の撮影や車両提供で協力した会社がそのまま実名で登場することも多々ある。
『女タクシードライバーの事件日誌』では撮影に協力した国産自動車交通が実名で登場し、車両のロゴや社名表記もそのまま。更に会社が加盟している無線配車組織である東京無線の行灯・表記類もバッチリ映っている。
一方、架空の会社を使用する例もない訳ではなく『京都タクシードライバーの事件簿』では主人公が勤務しているタクシー会社は「洛帝タクシー」という架空の企業となっている。
- 国家元首、王室、皇室
日本の首相やアメリカの大統領に対してよく行われるパターン。
漫画であれば、顔は似てるのに名前だけ違うそっくりさんが頻繁に登場する。
バキシリーズでは、名前の微妙に違うアメリカ大統領が出てきて範馬勇次郎と面会するのが定番になっている。
名前自体はほぼそのままジュンイチローやタローなど下の名前の表記だけカタカナにするという手も多用される。
『テコンダー朴』は日本や韓国の政治家はそっくりさんだが、何故か金日成と金正日は実名で登場。
逆に『グ・ラ・メ!-大宰相の料理人-』だと国名は普通に出てきて、アメリカ大統領も白人の「ブッチ」から黒人の「オズマ」に代替わりするというわかりやすい置き換え方がされているが、北朝鮮だけは「N国」の「張元帥」と元ネタから遠ざけてある。
また小説『創竜伝』では作品世界の日本元首経験者の名前を明らかにしないという身も蓋もない対策をとっており、作中でそれなりに出番があるにもかかわらず内閣総理大臣の男性は最後まで「首相(→前首相→前々首相)」と呼ばれていた*21。
元首ではないが天皇を始めとする皇室や海外の王室も扱うにはかなりデリケートなネタであるためよく言い換えられており、『帝都物語』と『創竜伝』の最終巻では「東京で災害が起こったので先に皇族を東京の外に避難させた」と解説を入れ本編内に出ない理由を付けていた。
ただし、何百年も前の人物である場合はそのまま登場することもある。
何なら真面目に歴史を描く作品の場合は現在存命だろうがそのまま登場させることもある。
- 実在人物
主にメディアミックス時に発生する事態だが、実在人物の手記・回顧録でも、ドラマ・映画等他メディア化される際は架空人物に置き換えられるケースがしばしば存在する。
例えば鈴木おさむの『ブスの瞳に恋してる』は作者と妻大島美幸の生活を描いたエッセイだが、ドラマ化の際主人公が「山口おさむ」・ヒロインが「太田美幸」に変更。
犯罪で服役した人物の回顧録を実写化した『ウルフ・オブ・ウォールストリート』では、主人公(原作者)等一部人物を除くキャラ名が架空のものへと差し替えに。
古い例だと穂積隆信の『積木くずし』シリーズでは、映像化されるたびに「原典での穂積一家に当たる役」の名前が変更されていた。
他にも、現実のプロスポーツを題材とし、選手が実名で登場する漫画でも外国人選手は登場しないor名前が変えられることが多い。
これは外国人選手は肖像権が日本より厳しいからと思われる。
ファミコン時代のプロ野球ゲームはかなり事情がややこしい。当初は選手の実名が普通に使われたが、前述の通り技術的な理由で一部の選手は名前が短縮されていた。
その後1988年に「スーパーリアルベースボール」が発売。初めて日本野球機構から正式に許諾をとって実名を使用というのが売りであり、長い選手名もフルで入れられるように十分な容量が確保されていた*22。結局選手名以外のゲーム性などがおろそかになっており本作そのものの売り上げはさんざんだったのだが、本作以降しばらくの間、他社の野球ゲームでは実名を少しいじった名前しか使えなくなり、例えば清原和博は「キヨマー」(燃えプロ)や「きよすく」(ファミスタ)にされた。
反面歴史上の人物は(国家元首、王室、皇室も含め)言い換えされる事はなく、ほぼフリー状態である。
特に織田信長のフリー素材っぷりは有名と言えるだろう。
作品によって扱いは異なり、実在馬がそのまま登場する『馬なり1ハロン劇場』や、『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』等フィクション馬の親世代として実在馬が引用される例がある一方、
『みどりのマキバオー』では二冠馬や主役馬の弟妹の父馬名に「サンデーサイデンス」、その続編『たいようのマキバオー』ではサンデーサイデンスの孫な主役馬の父馬名が「タマブクロス」等脱力・下ネタ系だがモデルが分かる馬名が登場(リアル馬名も一部で存在)。
競走馬萌え擬人化企画『ウマ娘 プリティーダービー』では馬主等の許諾を取った上で、実在競走馬(一部は存命)を牡牝問わず獣耳美少女「ウマ娘」化しているが、
特にアニメ版やコミカライズでは、史実に準じたストーリーのために特定の競走馬が避けて通れないことも多く、「ディクタストライカ」*23「キンイロリョテイ」などといったように何となく実在馬っぽいが違う名前のウマ娘がしばしば登場する。リアル再現のために登場している都合上、描写をリアルと照合すればモデルは大抵推測可能。
なお、権利者が既存ウマ娘と同じなので許諾面は問題ないであろう場合でも別名で登場するため、厳密には許諾の有無ではなく、許諾を得て正式なキャラクターとして扱うか否かと実名別名が連動していると考えられる。
名前すら呼ばれないモブに関しても「呼ばないことで言い換える」ケースはあり、例えばCMシリーズ『Rivals』のウオッカvsダイワスカーレット編にはよく見るとディープスカイ号らしき勝負服カラーのウマ娘がいる。
この最たる例がアニメ1期では勝負服の色をよく見るとちゃんと着順通りに再現されていた→後でアプリに実名参戦したナリタトップロード号だろう。
- 政党
前述の国家元首と同じで、「自民党」や「民主党」をそのまま出してしまうと色々な方面から怒られるので、大抵言い換えられる。
「民自党」「公民党」とかのわかりやすいのから、少しひねったのだと「民遊党」などというのもある。場合によっては「自滅党」なんてひたすらヤバイネーミングの党も。
ただし、人名ほどはネーミングにバリエーションがなく、特に日本では政党名変更が頻繁にあるため「架空のネーミングだったのに現実に出てしまった」パターンが割と多い。後述の「希望の党」が代表的。「保守党」も2000~2002年に実在したが、それ以前から相当数の作品に架空の政党名として使われていた。
- 自社
どちらかというとセルフパロディ。
いくら自社だから商標に問題なくとも、露骨すぎると世界観が妙な感じになりやすい。
任天堂の『高速カードバトル カードヒーロー』では何天堂という会社がカードを売っている。また、カエルの為に鐘は鳴るでもナンテンドウという研究所がある。*24
完全にセルフパロディの領域だがニテン堂やホンテンドー4DSなどもあったり。
- 反社会的勢力
実在の言い換えとはズレるのだが、架空の暴力団でも本物と偶然似るとマズいので、逆に「元ネタが明らか」なネーミングがされることが多い。
実際に本物と似てしまった例としては、漫画『クライング フリーマン』が知られる。
ひょんなことからチャイニーズマフィア「百八竜」に拉致され、組織の殺し屋に仕立て上げられた陶芸家の男の悲哀、というコンセプトだったのだが、香港の結社「青幇」の一つに「百八竜」が実在していたのである。
原作者の小池一夫は百八竜により香港のホテルの一室に呼び出され、幹部から「なかなか面白い」という感想をもらい、高級時計のプレゼントまでされて面会は友好的に終わったそうだが、さすがに小池も編集部も恐れをなして、百八竜を悪の組織とする描写を自粛。
より凶悪な敵対組織を次々登場させて、主人公がそれに立ち向かう活劇漫画に変貌した。小池は「予定がすっかり狂ってしまった」と嘆いたが、独特なダークヒーローものとしてかえって人気を集め、香港で実写映画化されるなどした。
漫画の場合は掲載誌やその出版社の名前をもじるのが定番。最たるものでは『ブラックエンジェルズ』に「集英会、講談組、小学組の抗争」が出てくる。
4大少年誌の出版社の中で秋田書店だけ抗争に加わっていないが、「秋田組」だと実在の会社(カタギ)が複数あるからだという説がある。
大抵の話にヤクザが出てくる吉本新喜劇では劇場及び社名をもじった「花月組」「吉本組」がよく使われる。
とはいえやはり実在企業とかぶってしまった例はあり、例えばバキシリーズの「花山組」は北九州市に同名の土建会社がある。
『静かなるドン』では主人公が総長に就任するヤクザの名前が「新選組」をもじった「新鮮組」だが、連載開始よりも前に同名のコンビニが創業していた。
実はズッコケ三人組にも「ズッコケ文化祭事件」にて、劇中劇の学園祭の劇で悪役に暴力団と不動産会社を出す際「花山組と花山不動産」と自分たちの町の名前から仮名をつけかけ、
不動産の方は「花山不動産は実際に駅前にあるからマズイ」とそもそもベースになった昔話風脚本を原作者無許可で現代ものに改編する事自体が著作権ガン無視案件なのには気づかず劇中の実在物のため「悪井不動産」と改名させられるが、作者も知らなかったらしく花山組はそのままだったという事例も。
出版元を作中で指定暴力団呼ばわりしたことで有名な『ポプテピピック』のアニメ版では「竹生会」という反社会的勢力が登場するが、同形異音語の社会福祉法人が実在する。
- 病気や障害など、人間が持ち得る特定の症状
実在の患者や該当者への配慮として言い換えられやすい。
喧嘩商売の工藤は当初「無痛症の超人」という設定だったが、実際の無痛症への誤解を招くことから「特異体質」と変更されている。
医療漫画ブラックジャックでもクレームが来るようになったので後半は実在する病気の扱いは避けていたという。
現代の作品ではK2など、実在の病気を扱う場合は、最新の医療知識を正確に扱うことでクレームを避けている作品が多い。
専門家による監修が入っている作品もある。
「俺、高所恐怖症なんだよね~」みたいなセリフは日常会話ではよく聞くが、
実際の恐怖症は女性・男性恐怖症など立派な病気や障害の一種であるため、フィクションでは単に「高いところが苦手」「異性が苦手」などと言い換えられることが多い。
アレルギーに関しても、花粉症のようなありふれた症状から死に至る珍しく重篤なアレルギーまで幅広く、誤解を招きやすいため、
「特定の○○がなんとなく苦手」程度の軽い冗談で「○○アレルギー」と称するような表現は単に苦手と言い換え、無理やりや事故でアレルギー物質を食べてしまうようなギャグシーンも現代では避けられる傾向にある。
なお、治療が必要な実在の症状であっても「麻薬中毒者」に関しては、
そもそも麻薬が犯罪であるためか逆に一切の配慮がされず、麻薬中毒の犯罪者が今日もフィクションに大量に出てくる。
- イベント、大会名
忘れがちだがスポーツ大会やイベントの名前を使うのも色々とややこしい制約がある。
有名なのがオリンピックだろうか。同名のスーパーマーケットチェーンはあるけどそれはそれで。
実はこの名前は著作権や肖像権、知的財産権などの権利の問題が絡んできてややこしく、大抵の場合は使われない*25。
「マリオ&ソニック オリンピックシリーズ」や「パワフルプロ野球シリーズ」と言った、オリンピックを題材としたorスポーツゲームの都合上扱わなければならない場合は許可を取るが、そうでない場合はオリンピック、五輪という言い回しは登場しない。
まぁ知名度が半端なく「4年に1度行われるスポーツの国際大会、もしくは祭典」という説明で事足りるので名前を使う為だけに許可を得る必要が無いのも事実だが。
他にも高校野球漫画で「甲子園に行く」「甲子園大会出場」と言った言い回しはされるものの*26「全国高等学校野球選手権大会」「高野連」と言った名前が出てくることは余り無い。
またパワプロではワールドベースボールクラシックも基本的に別の名前で扱われている。
スポーツ以外ではコミックマーケットもそれが絡むため、そういったオタク系コンテンツを扱う作品でも「こみっくパーティー」「同人誌即売会」「お盆もしくは年末の祭典」とわかるようにぼかされる事がある。
音楽系では「パリピ孔明」で英子が出演する夏の大型音楽イベントが「サマーソニア」に言い換えられているが、元ネタである「サマーソニック」と略称は同じサマソニなので全く違和感はない。
他の事例とは少し事情が違い、被曝国たる日本特有のメディア側(≠クリエイター側)の自主規制によって言い換えられることが多い。
単に「特殊爆弾」などとぼやかされる場合もあれば、独自の呼称が設定される場合もあり、マクロスシリーズの「反応弾」や『新世紀エヴァンゲリオン』の「N²爆弾」、『ドラえもん』の「地球はかいばくだん」などが有名な例。最後のは元よりヤバくなっている気がするが気にしてはいけない。
エルフやゴブリンといったファンタジー世界を構成するお馴染みの名詞も、
どこかが版権を持っているものは「実在の商品」であるため、おおらかな時代は各作品で自由に使われていたが、近年では言い換えられるようになった。
BASTARD!!-暗黒の破壊神-が『ビホルダー』を出したら怒られて『鈴木土下座衛門』と修正されたのはあまりにも有名。
いわゆる定番種族でもエルフやドワーフなどに比べてホビット族は指輪物語の版権であり、作品のタイトルになっているので特に厳しく、
各作品で「ちっちゃくて俊敏さや技術に優れた亜人種」としてハーフリング、グラスランナー、圃人など無数の代替種族が誕生している。
「森に棲む亜人としてのエルフは指輪物語」、「ドラゴンとしてのバハムートはダンジョンズ&ドラゴンズ」など、
元ネタが明確なまま剣と魔法の世界に取り入れた要素は多々あるが、大本まで辿ると伝承や神話になる言葉の場合は版権の問題に直結しないため、言い換えられることはあまりない。
国内⇔国外での言い換え
他にもフィクションが海外に出る・海外から入る場合は、国ごとの表現規制の影響により、更に言い換えたり修正する必要が出てくる場合がある。
伝説の金属「ミスリル」はFFなどのファンタジー作品に普通に出てくるが、
指輪物語の版権に接触するため、海外に持ち出される場合は綴りを変えるなどの言い換えが用いられる。
有名な探偵シャーロック・ホームズは著作権切れの古典でありながらも、やや版権が複雑な作品であり、
「大逆転裁判」に出てくるシャーロック・ホームズは英語版ではエルロック・ショルメスにされている。
この「Sherlock holmes」を「Herlorck Sholmes」にするアナグラムは
「アルセーヌ・ルパン」シリーズに出てくるホームズのパロディキャラ「エルロック・ショルメス」が元ネタであり、こちらも日本では逆にホームズとして訳されている。
(ただしルパン原作ではショルメスはホームズと明確に別人として描写されており、慣例として訳を継承しているが厳密にはおかしい)
Fate/Grand Order中国版では実在の中国人をモデルにしたキャラクターが規制に引っかかり、
一度汎用グラへの差し替えを経たあと、設定や名前が変更され、「あくまでモデルにしただけの、別名の別人」として言い換えられている。
今では姿が元に戻ったが、一夜にして幼女が恐ろしいアサシンに代わっていた中国人FGOプレイヤーは恐怖で涙したという…
特に代表的なもの
上記の例からうかがえる通り、言い換え方にはいくつかのパターン化がある程度確立している。
このため、異なる作者の異なる作品でも同じ言い換えがされたものがいくつか存在している。
- ネズミーランド
- 夢の国
ネズミをモチーフとするキャラクターで人気の東京湾に面する関東最大級の遊園地。
他にも最初の2文字が「ディ」である事だけ合わせて「ディスティニーランド」としたり、本来の所在地に合わせて「千葉~」や「浦安~」と名付けられたりする。千葉とか言ったらファンに怒られるぞ…
- SOMY
パソコンやテレビ、ビデオカメラ、携帯音楽プレイヤー、ビデオゲーム機などで知られる大手精密電子機器メーカー。
上述のNとMを入れ替えたタイプ。更にもう少しだけ捻ってSOWYなんてのも。
- WcDonald
赤地に黄文字のWのロゴがトレードマークのハンバーガーショップ。
同じく似た文字を入れ替えた例。
ハンバーガーと一緒に子供向けのおもちゃが付いて来るセットを販売している事も多い。
『あたしンち』では「ワック」と略称で呼ばれ、ライバル店の「ムスバーガー」も出てきた。
- ヤクドナルド
上と同じ元ネタだが、こちらは元ネタの頭文字を隣の行に変えている。
『ToHeart』のあるヒロイン(関西出身)のルートにおいては、現実世界でもよく議論となる「ヤック」と「ヤクド」のどちらが正しい略称かで主人公とヒロインが言い争うシーンがある。
そのシーンの中で「ヤックだとパソコンの方のヤッキントッシュと紛らわしい」という台詞も。
物騒な言い換え表現の多い「紺田照の合法レシピ」でも同名の飲食店が登場。
その際「ドスバーガー」という店の存在も明らかになった。
- プッキー
- ポッキン
- ポッチー
チョコレートが塗られた細長い棒状のスナック菓子。
単なる日常のおやつに限らず、「2人で両端を口に咥えて食べ進め、最終的にキスするか顔を逸らしてしまうか試すゲーム」に使われる&その通称として使われるせいで名前を出さざるを得ないことがしばしばある。
- うめぇ棒
- まいう棒
- うみゃい棒
駄菓子である事を差し引いても際立って安価な、↑と比べて幾分か太い棒状のスナック菓子。
他にも、とにかく「「美味しい」の別の表現+棒」、「う」「ま」「い」のアナグラム+棒というネーミングでよく登場する。
共通しているのはとりあえず美味しそうな名前である事と灰色のドラえもんみたいなキャラクターが描かれている事である。
- Dead Bull/デッドブル
翼を授ける……かどうかは定かではないエナジードリンク。
『テイコウペンギン』にて頻繁に登場するが、これよりも前に道満晴明の漫画『オッドマン11』第4話で密かに登場していた。
ラベルはレッドブルとほぼ同じだが『テイコウペンギン』に登場するデッドブルはペンギンとパンダがラベルに描かれており、よりパロディ色が強くなっている。
- 週刊ヨンデー
毎週水曜日に発売される少年漫画雑誌。
どういう訳か他誌よりもその元ネタの雑誌に連載される漫画に登場する傾向にある。
- お台場テレビ
東京の海辺、近代に造成された埋め立て地に建設されたテレビ局。
球体状の展望台が特徴的だが、その特徴的な建物のせいか大抵ロクな目に遭わない。
- 帝都大学
- 東都大学
東京都にある有名な一流大学。
主人公らには手に負えない専門的な知識や技術的な協力を得るために訪れる、もしくは天才的頭脳を持つ主人公の在籍する大学としてよく登場する。
『ドクターX 〜外科医・大門未知子〜』は二つを合体させたような「東帝大学」が舞台となっている。
しかし、「東都大学」は最近になって現実にも登場してしまった。詳しくは後述。
- バル・ベルデ
『コマンドー』などハリウッド映画にしょっちゅう登場する架空の国。
イタリア語やスペイン語で「緑の谷」を意味する言葉だが、その実態は
「クーデターが頻発し情勢の安定しない中南米諸国っぽいのを出したいが実在国にすると問題になる」という時に登場する便利な国である。
その為、名前は共有しているがよく見ると矛盾点もかなり多かったりする。
また『戦姫絶唱シンフォギア』シリーズでも「バルベルデ共和国」名義で登場している。
余談だが「バルベルデ」という国は存在しないが地名は実在している。
バルベルデという名字もスペインを中心に実在している。
- 週刊パトス
『機動警察パトレイバー』で初登場した週刊誌。作者のゆうきまさみのその後の作品にも登場するが、
松田奈緒子による作品『重版出来!』にも登場。担当を通じてゆうきに相談して
「いくらでも使ってください」と許可をもらったとのこと。
- は~いお茶
- よ~いお茶
緑色のパッケージのペットボトル緑茶飲料。
このように「○~いお茶」という形で言い換えられることがほとんどだが、『とある科学の超電磁砲』をはじめとしたJ.C.STAFF製作のアニメでは「とりあえずお茶」という名称が使われることが多い。
その他、『ゆるゆり』では作品に沿って「わぁいお茶」となった一方、『青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない』では作品自体が伊藤園とコラボしたたためオリジナルの商品名でそのまま登場している。
実在の名前について独特な扱いをしている作品
異世界出身の魔王や勇者が普通に現代社会で暮らすことをテーマにしているため、実在店舗や企業をモチーフにした名前が多く登場する。
ネーミングセンスもなかなか秀逸で、前述の「マグロナルド」以外にも「ドコモ」→「ドコデモ」、「ケンタッキー」→「センタッキー」、「ユニクロ」→「ユニシロ」など。
ちなみに作中主に登場するマグロナルド幡ヶ谷店のモデルと思われるビルに実際に入っていたのはモスバーガーだった(現在は閉店)。
- バクマン。(アニメ版)
リアルな週刊少年ジャンプをテーマにしているため、原作では「集英社」「週刊少年ジャンプ」を始め基本的にジャンプ関連の用語は全て実在のものを使っている。
しかし、アニメ版はNHKで放送されたため、「集英社」「週刊少年ジャンプ」がそれぞれ「遊栄社」「週刊少年ジャック」に言い換えられている。なんで自分の会社の商品名を言い換えなければいけないのか……
連載作品の名前はそのまま使ってるのに…
基本的にジャンプ連載漫画だと、「ジャンプ」は「ジャンプ」として出せることが多いが、この作品では例外的に「ジャビン」に言い換えられている。
理由は第一話でムヒョとロージーがジャンプを真っ二つに割いてしまう場面があり、「流石に掲載誌をいきなり真っ二つはまずいのではないだろうか」と配慮されたため。
- 岸辺露伴は動かない(ドラマ版)
NHKでの放送に伴い、少年ジャンプは「少年ジャンボ」、集英社は「集明社」と言い換えられている。上記のアニメ版バクマン。もそうだったが、なんで自社の商品名を変える必要があるのか…
第3話では缶コーヒーのGEORGIAを「JOJOEA」として出したりと細かい変化もあるが、岸辺露伴の代表作である「ピンクダークの少年」はフィクションの作品なので言い換えられずに済んでいる。しかし岩波書店の『漱石全集』に「あの単語」はあるのだろうか……?
初期はパロディ系の店名・商品名が多かったのだが、様々なサブカル文化に触れるようになってきた中期ごろからは実在の商品名を出すことが増えてきた。
実在の車種やカメラの最新機種、プリクラ機種なんかを紹介したエピソードの他、初音ミク、艦これ、ガールズ&パンツァーなんかに触れたエピソードもある。
またバンダイから超合金両津が発売された(1996年)縁で、105巻・107巻ではリアル両さんグッズの関係者として実在するバンダイ社員太田健介(後の声優ボルケーノ太田)が作中にゲスト出演した。
大抵この手の商品名は冒頭でサラっと触れられた後に、両さんによるオリジナル商売に話が繋がるのが定番。その場合上記のような捩った商品名は両さん(もしくはその回の相手)の作る類似品に用いられる。ニコニコモータース「フュラーリテスタオッサンドナイシテマンネン!」また怪獣をモチーフにしたお菓子の商品開発エピソードでは「ゴヅラだぞ!版権うるさいから気を付けろ!」と忠告する場面も。
しかし、なぜかそんな中期以降のエピソードでも「ガンダム」は「ガムダン」だった(エピソード内でガンダムを馬鹿にしていると取られかねない表現があったためだろうか)。
なにぶん一話完結形式で40年も週刊連載していただけあってネタの数が膨大なので、パロディネーミングに現実が追い付いた事例もある。例えば「スナック菓子通選手権!の巻」(1995年)には「あまむ~ちょ」という名前の菓子が出てくるが、パロディ元の「カラムーチョ」を販売する湖池屋が、20年近く後に「あまムーチョ」を実際に発売している。
- サーキットの狼
ランボルギーニやフェラーリを筆頭としたスーパーカーが多数登場し、スーパーカーブームを巻き起こした作品。
当然実在車種ばかり登場するが、中盤で風吹がライバルの沖田から譲り受けたディーノ・246GT*27を大改造したオリジナルのレーシングカー「フェラーリ・ディーノ・レーシング・スペシャル(RS)」が登場。名称こそディーノであるがその見た目は大きく異なっている。
自動車メーカーの知的財産権管理が当たり前となり、とりわけフェラーリ社はそれが厳しいため、21世紀以降に発売されたディーノRSの製品に際しては作中で改造を手掛けた会社名を取った「ヤタベRS」に名称が変更されており、後に制作された実車の登録名もこの名前となった。
また、風吹のライバルである早瀬左近は「ナチス軍」なる暴走族を率い、その愛車であるポルシェ911カレラRSは車体にハーケンクロイツが描かれているが、近年の再録版でも特段の規制は受けていない。ただしポルシェの製品化に際してはマークを別封、パッケージに描かないなどの制約もなされている。
サンライズ公認*28、原作掲載誌も角川系という事情から、ケロロの趣味のガンプラは隠すことなく堂々と商品名を口にできている。単に商品名だけではなく、基本的にケロロが買ってきたり作ったりしているガンプラは実際のボックスアートや素組の完成状態がそのまま使われている…時々まだ商品化されていない機体のガンプラが登場するが(その最たる例が当時はMSV画稿版すらMG化されていなかったジム・スナイパーカスタムのver.Ka MGを堂々と見せびらかすケロロだろう。
しかし、アニメ版ではあの有名なパチモンプラモ「ガンガル」が「ダンガル」に言い換えられ、公式な権利を持つパクられ元がパクリ先に配慮して言い換えをするという妙な事態が発生してしまっている。
ちなみに、原作漫画では実在している商品などの固有名詞が割と多く登場しており、「ケロロ&ギロロと同い年であるドロロが少年時代に多くのゲーム&ウオッチを持っている(56話)」「クルルはアップル社のMacが好き(270話)」といった描写も見られる。
- 新海誠監督作品
リアルな風景&社会描写が中心であるためか、実在店舗が登場する頻度が非常に高い。
特に『天気の子』では、ほとんどリアル東京の街が店の名前含めてそのまま登場している(流石に廃ビル屋上の神社はモデルはあるもののフィクションだが)。
もちろん多くの店の名前は架空なのだが、その一つ「サトーココノカドー」がモデルとなった本物の店「イトーヨーカドー春日部店」をリアルジャックするという珍事が起きた事がある。
ちゃんとコウモリの形をした看板も再現する徹底ぶりで、イトーヨーカドーの悪ノリ(?)が窺える案件。
作品の舞台となるのは埼玉県「春日部」市だが作中では「春我部」市と表記されており、東武線の駅も「春我部」駅になっている(たまに「春日部」になっているが)。
しんのすけが通う幼稚園とひろしが勤める会社も漫画版は当時の掲載誌から「アクション幼稚園」「アクション商事」だが、アニメ版は出版社にちなんだ「ふたば幼稚園」「双葉商事」である(「双葉商事」は、原作も現在はこちらになっている)。
現在はまんがタウンで連載されている事もあって「タウン警察署」「タウンクリニック」など「タウン」が使用されている事が多い。
原作漫画では有名人の実名がよく登場し、アニメでも原作同様に登場していたが、2008年4月18日放送の『ちょー嵐を呼ばない園児だゾ』では、原作では記憶喪失になったしんのすけがトム・クルーズと名乗っていたが、アニメではイケメン王子に変更された例もある。
なお、原作漫画初期においてしんのすけは「コアラのマーチ」を食べていたが、商標上の問題からアニメ化以降は「チョコビ」に置き換えられており、現実でもコラボ商品として「チョコビ」が発売されている。
最初は90年代にコアラのマーチの販売元ロッテが発売。これはもともと漫画関係なくロッテが開発していたチョコ菓子を、発売にあたってクレしんとのタイアップで出したものである。かなりのヒット商品だったが後に終売。次に2006年から東ハトが、より原作の描写に近づけたスナック菓子として売り出し、季節限定の味も作られるなど定番商品となっている。
流石にアクション仮面カードは入っていないが、プレミアムバンダイで予約販売された「アクション仮面ソフビ&アクション仮面カード」はアクション仮面のソフビ人形とアクション仮面カードNo.99がチョコビ風の箱に入っている。
香川県を舞台にした本作。勇者部御用達のうどん店「かめや」にもきちんと元ネタが存在する。
オリジナルの店舗は「つるや」。鶴と亀を入れ替えるなど、正反対の意味に変えるのも他作品でよくある手法と言える。
- 探偵 神宮寺三郎シリーズ
主人公・神宮寺三郎は「タバコはマルボロ、酒はカミュという拘りがある」という設定でシリーズ最初期からかなり長い間通してきたのだが、
2018年の『プリズム・オブ・アイズ』を機に、商品名の表記が無くなり「煙を思い切り吸えるレギュラータバコとブランデーという拘りを持つ」という元の面影がほとんどなく、拘りと呼ぶにはかなり微妙なものへと変更されてしまった。
- 万代かなめは遊びたい
昔なつかしのおもちゃが多数登場する漫画。
ミニ四駆や人生ゲームなどはちゃんと許諾をとって実名を使用しているが、そうでないもの、例えば仮面ライダーは「仮面マスター」に置き換える等している。
ゲーマー四姉妹に振り回されるゲーマー大学生の日常を描いたギャグ漫画。
作中ではエンターブレインとファミ通が勤務先として登場。モンハン、ラブプラス、トモダチコレクション、ときメモ、金色のコルダなど多くのゲームが実名で登場しているが、アイドルマスターは伏せ字対応、オンラインゲームは色々なゲームを混ぜたようなタイトル(ファイナルスタードラゴンオンライン)が付けられている。
またファミ通のライバル誌の名前も「電脳GAME STATION」というどこかで聞いたような名前が付けられている。
- のたり松太郎
ちばてつや作の相撲漫画。
実在力士をモデルにした力士が多数登場するが、それらは「同じ意味・発音の別の名前」に変更されており、
千代の富士→千代の国、曙→暁など、似た音かつ似た意味・雰囲気で良い感じにアレンジされている。
またアニメ版では当時売り出し中だった「遠藤」をモチーフにした「近藤」という力士が登場している。
- ニーチェ先生~コンビニに、さとり世代の新人が舞い降りた~
元々はTwitter発の作品で、某コンビニで深夜バイトをしている原作者と同僚達の日常を描いた月刊コミックジーン連載の漫画。
(分類的には一応)エッセイ物ながら、珍しく伏字ではなく言い換えがメインで使用されている。
登場するほぼ全ての名詞が架空の物になっており、作中作としての本作も「ツブヤイッター発の、ドコカワの月刊コミックズーン連載作品」となっている。
作中では架空の名称が使われないことも多く、古畑が「ゴールデン・ハーフ」のファンクラブに入ってたり「ポンキッキーズ」を視聴していることを語ったりしている。
「サザエさん」は、当時は火曜日に再放送されていた事が事件解決のヒントとなった(ドラマを脚本した三谷幸喜は昔サザエさんの脚本を書いた経験がある)。
それどころか「SMAP」や「イチロー」がゲスト出演した時は、犯人役にもかかわらず本人扱いだったりと中々挑戦的*29。ただし、これらは肖像権の関係でCSでは再放送されていない。
そしてテレビ局が舞台の「VSクイズ王」では、正に架空の名称が関係していた。
「VSクイズ王」ネタバレのため注意
本作で古畑が犯人に対して使った逆トリックは、犯人が読んでいた「毎朝新聞」という新聞が実在しない架空の新聞であるということが肝になっている。
つまりはフィクションの世界の新聞は大抵「毎朝新聞」であること、テレビ局には小道具として架空の新聞があるということを逆手に取ったメタトリックである。
ドラえもんの劇中劇の項目に詳しいが、本作に登場する漫画・アニメ等のタイトルの多くが実在作品のオマージュ・パロディである。
…『科捜研の女』『ドクターX』はわさドラでそのまま出てきてドラえもんにアイコラ画像の素材扱いされたが。
「十甲田山」「ウルトラセブンイレブン」の様な単純なものから「建設巨神イエオン」の様な韻を踏みつつ全然別の意味にしてしまったものまで、
それこそ挙げるだけで項目になる程のパロディネーミングのオンパレードである。
そしてそれらの掲載誌すらゴロゴロコミック、コロンコロンコミックといった調子である。
また作中で度々登場するアイドル「伊藤翼」も、おそらく元ネタは実在の女優「伊藤つかさ」と思われる。
「テレビゲーム」というそのまんまの玩具が度々登場する中、ファミコンは珍しく実名で登場しており、本体だけでなく専用カセット「ベースボール」の箱絵まで描かれた。ちなみにファミコンを持っていたのはしずちゃん。
アニメ版では同じエピソードが何度も作り直されることが多い為か、放送時期に合わせて作中作の名前を変えたり、その時タイアップしている実名人物を呼び出してしまうという手段に出ることも。
例えばキャラクター商品注文機のエピソードでは原作の「かめライダー」をアニメ版で「かめライダーゼロツー」にしたら本家の方で本当にゼロツーが出てきたという珍事態も。
作中のストーリーパートにライブドア社のパロディ企業「キューブドア社」(ご丁寧にロゴマークまで似せてある)を出したものの、放送中に元ネタが不祥事を起こすという予測不能の事態に。
この「キューブドア社」は最終的に悪役ポジションとして収まったが、決して偶然では無いような……。
- ゲーム戦士 ビット!
ゲーマーの主人公が現実世界に出てきたゲームの敵キャラと戦うバトル漫画。
登場するゲームとそのキャラは「スーパートニオ」「パインクラフト」など、実際のゲームを捩った架空の名称になっている。
ちなみにライバルキャラは「ウェザードリィのミフネ」とやけにチョイスが渋く、ついでに「日本の時代劇俳優から取られた」という要素は変えられなかったのか一人だけ元ネタ準拠の名前になっている。その代わり「最強クラスのモンスター」とされていたり見た目がイケメンになっていたり*30と名前以外のところにアレンジが加わっている。
SNSやネットミームを扱う話がいくつかあるが、大体の場合名前が変えられている。
例えばフェイスブックは「フェイスグッド」ニコニコ動画は「みんなの動画」
ふたばちゃんねるっぽい掲示板は「アンテナ掲示板」
広辞苑をそのまま「千言万辞」という国語辞典として扱ったパターンもあった。
また、「アニメマスター」という架空雑誌も劇中に小道具として登場しているが、異様に気合が入った出来となっている。*31
社会風刺的かつ大体がネガティブな趣味もしくは使い方をされるので名前変更は致し方ない。
しかし例外として、殺人事件には関わっていない*32「プリキュア」は実名そのままで登場した。右京さんの口からもプリキュアとはっきり言われている。
他にも「ウルトラマン」も実名で登場した…ものの、こちらは殺人を犯した犯人が憧れていた設定にされてしまった。*33
小説の賞である直木賞の名前も登場した事がある。
他にも基本的に東京都内の話なのだが、たまに架空の村や島が登場する。
…が、そういった場所には大抵大体麻薬密売とか生物兵器保管とか、きな臭い事をやっている場合が多い。
他にも「バル・ベルデ」的な中東諸国として「エルドビア」「サルウィン」もよく登場している。
特に「サルウィン」に関してはとある重要キャラクターが向かった国なので、よく登場する。しかしそちらに行って長い時間が経つのに情勢は全く安定した様子を見せず、その人物がシリーズに復帰するまで長らく安否が心配される事態となっていた。
また、「エルドビア」は同じく東映制作の『科捜研の女』にもたびたび登場している。
S.14以降は東アジアの国として「東亜民主共和国」(東国)という国が度々登場するようになった。
日本にスパイを送り込んで優秀な頭脳の持ち主に接触させ、暗号解読方から細菌兵器まで開発させて購入しようとしているほか、「イギリス人ジャーナリストが無実の罪で処刑された」という話が出たり、とある主要人物が「あの国には人権が無い」と断言してしまうなど、きな臭さ全開である。
他にも実在する店やレストランの名前を変えてロケ地として使用する場合もある。花の里も初代はそんな感じである。
とはいえそれらの店は経営者が元少年殺人犯だったり、ゴミ捨て場から商品を盗んで売ったりする小悪党だったりするのでこの辺りは制作側のさじ加減か。
しかしS.20「米沢守再びの事件」に登場する菓子屋だけは実在する店から名前を変えず、それどころか殺害される登場人物の名字としても使用された。
その人物は相棒シリーズ屈指の人格者。正義感と人情味はあり感情的になりやすい問題に冷静に対応しようとするクレバーな男性として描かれたが、それでも殺される人物によくもまぁ名前を貸したものである。
中国産の軍艦擬人化ゲーは規制などの影響で日本艦が名前を変更されることが多い。
アズールレーンも例外ではなく重桜(日本モチーフの国家)所属のキャラクターは実在の名前から何らかの動物の名前に変更されている。
中には改変された名前なのが前提の小ネタが仕込まれているKAN-SENも*34。
しかし規制で名前を変えられることを前提としているのか、重桜所属艦は軒並みケモミミ動物系なキャラデザとなっているのが特徴的(一説にはこうすれば日本軍を畜生扱いしていることになるので公的権力も大目に見てくれるのでは、とも)。
さらに「好感度を上げ、特定の条件を満たすことでキャラの名前を変更できる」システムが存在するため中国ユーザーでも元の名前を付けることができるようになっている。
最近は規制も緩くなったようで元の名前で出ることもあるようだ。
また海外版(中国版以外)は規制がないため全員元の名前が付けられている。
また、着せ替えスキンの小物に企業のロゴがある場合は実在する企業のパロディを使用する事があり、ピアノやバイクに「GAMAHA」のロゴを付けたところ告知ツイートがYAMAHAにRTされ、その縁で公式にYAMAHAのバイクとのコラボに至った。
東京モーターショー2019に展示されたバイク(YZF-R25のエセックスカラー)は実際に制作され、YAMAHAではなくGAMAHAのロゴがついている。
2022年に鈴鹿8耐を走ったYZF-R1 ESSEX SPことIRF with AZURLANEでは流石にYAMAHAに統一されてるけど。
ちなみに両者とも所謂「痛バイク」ではなく、エセックスが持っている旗に書かれたワシをモチーフとしたグラフィックが施された「わかる人が見れば痛いと分かるバイク」である。
- 劇場版秘密結社鷹の爪シリーズ
普段の放送ではポイポン5など適当にぼかした表現が用いられるが、劇場版シリーズでは事情が変わる。
劇場版では制作予算がどれだけ残っているかを表示する「バジェットゲージ・システム」があり、CGや豪華声優などのお金のかかる演出で予算が枯渇すると、映画のクオリティが急激に低下する、予算を失った鷹の爪団がまともに活躍できず窮地に陥る*35などの影響が表れる。
これを解決するため、冒頭でも記したプロダクト・プレイスメントが導入されており、バジェットゲージが低下してくると画面内がスポンサー企業のロゴだらけになる、都合よく? 車などが悲惨な壊れ方をしてチェーン店(例えばオートバックス)に修理に持っていく、物語の流れをぶった切ってでも商品の宣伝が挿入される、最終決戦で予算を使い切った後エンディング中に宣伝をねじ込んで予備の予算を確保しておく……など、本シリーズ独自のギャグとして機能するようになっている。
- 愚行(小説)
この項目で紹介している作品の中でも特に特異なケース。1898年初版発行と非常に古い。
その内容は、「豪華客船『タイタン号』が真夜中に氷山と激突して沈没、救命ボートが足りなかったために被害が拡大した」……と1912年に起きたタイタニック号沈没事故と不気味なまでに酷似していると良く語られ、「事故を予言した小説」と紹介されることも多い。
しかし、実はこれタイタニック号沈没事故が起きた後に作者が書き直したから良く似ているだけだったりする。
船の名前やスペックをタイタニック号をモデルに変更したんだから当たり前なのだ。
言い換え表現が都市伝説を生み出すという、なかなか興味深い一件と言える。
大手ピザチェーン店「ピザハット」が番組スポンサーとしてタイアップを行っているため、作中でC.C.がピザハットのピザを食べるシーンやマスコットキャラ「チーズ君」のグッズが登場するシーンがある。
しかし『コードギアス 復活のルルーシュ』ではピザハットがスポンサーとして参加していないためピザハットを出すことができず「チーズ君」も「もこちー」に差し替えられている。
ちなみに谷口悟朗監督は『復活のルルーシュ』でC.C.にピザを食べさせるかどうか迷ったらしく「『復活のルルーシュ』ではピザを食べさせられなかった。入れるとしたら、エンドロールが明けたところでルルーシュとずっとピザを食べているとか」とコメントしている。
また、外部作品のスーパーロボット大戦シリーズでも権利上の問題からピザハットが出せないため『第3次スーパーロボット大戦Z 時獄篇』では「ピザハット」「チーズ君」を「ピザゴッド」「チーズたん」と言い換えている。
参戦作品の入れ替えの都合上、言い換え表現…というかぼかした表現をすることがある。
これは参戦枠から外された作品は版権自体も外れるため、原作の関連用語や固有名詞、エピソードについての明言がゲーム中で行えなくなるため。
特にαシリーズは第2次αに登場した『機動戦士クロスボーン・ガンダム』と『ブレンパワード』が第3次αに登場しなかった為、その作品の固有名詞を出す事ができなかった。
例えば部隊名「αナンバーズ」の名付け親が『クロスボーン』の登場人物キンケドゥなのだが、続編の第3次αでは『クロスボーン』は不参戦。
なのに「αナンバーズ」の部隊名はそのまま使われることになったため、その場にいた人間は名付け親のキンケドゥの事を思い出すが、頑なに名前を呼ばないという珍妙なことになっている。
『ブレンパワード』の方はそれほどでもないが、オルファンは「巨大な生体宇宙船」と称され会話の中にも登場していた。
また、シリーズ最終作に登場しないかつての仲間たちは「別の場所で戦っている」描写がされ、主にスーパー系のキャラが「彼らも戦っているんだな」と述べるのはある意味ではお約束となっている。
と言っても他の作品のように固有名詞をぼかしたりもじったりする方法ではなく、前述の通り「みんな」「あいつら」等代名詞を使うことがほとんどである。
中にはストーリー上重要な役割を担うはずだった版権作品が大人の事情で参戦不可能になってしまったためスパロボオリジナルで代替したケースもあるが、これは流石に極端な例だろう。
Zシリーズでは『第3次Z 時獄篇』にて『∀ガンダム』が参戦していないため「黒歴史」という表現が「黒い歴史」と微妙に濁されて使用された。「黒歴史」という単語自体は商標登録されているわけではないが、「∀ガンダム」を強く連想することからか、このような措置がなされたのだろう。
『第2次Z』ではスラングとしての「黒歴史」という表現も使用されたうえ、他のZシリーズ作品にはきちんと参戦しているため、本作だけの独自処理となっている。
他には『第3次Z天獄篇』では未参戦の『OVERMANキングゲイナー』のゲイン・ビジョウが異名である「黒いサザンクロス」をもじった「ブラック・サザンクロス」として存在が示唆された。
『Z』で未参戦のOVA版マジンカイザー*36が戦う映像を見た甲児が「俺の知らないマジンガー」と発言している。
これについては確かに言い換えではあるが、実際この甲児はカイザーの事を知らない以上名前を言えるわけがないので違和感がない展開になっている。
余談だが「参戦していない作品の固有名詞が使われない」のはゲーム中にて見られる部分では徹底しているが、没ボイスや没データでは普通に呼ばれていたりする。
例えばZのゲッターチームは真ゲッター搭乗時や別のシリーズのラスボス用の台詞があったり、宇宙世紀系ガンダムパイロットにはVもF91も出てないのに「ヴェスバー!」と叫ぶデータが残ってたり、マリュー艦長が出てないエヴァンゲリオンに援護する台詞が残ってたり等…。
珍しいところでは、「マジンカイザーの武装名を叫ぶグレンダイザーのキャラ」といったものもある。当然そういったものはチートなどを用いなければ表に出ることはないわけだが。*37
他、固有名詞以外のぼかし方だと、原作で戦争をしていないロボアニメのキャラなどが敵を撃墜することで「殺人」にならないよう、
倒された敵は脱出しているとセリフで触れたり、元人間の怪物の敵が倒されたときに爆発ではなく撤退のエフェクトで消えるなどの代替表現がなされている。
作中に登場するカードゲーム「マジック&ウィザーズ」は実在のカードゲーム「マジック:ザ・ギャザリング」、及びその販売元であるウィザーズ・オブ・コースト社をモチーフとしている。デーモンの召喚が割とそのままだったり、青眼の白龍が四枚作られたことや《巨大化》という同名のカードが登場することやカードの裏面が茶色で楕円がデザインされているのはモチーフ元の影響と思われる。
その後アニメ化しカードが商品化されるにあたり、捩ってもなお似ているということで、さらに「デュエルモンスターズ」と改名されることになった。
その他、カードゲーム漫画になる前の日常編では、明らかに実在商品の言い換えをしただろうという物が存在する。
例えば2巻にて城之内が5万で購入し、最終話まで愛着していた「エアマッスル」は当時流行ったスポーツシューズの「エアマックス」がモデル。
3巻に出てきたデジタルペットは「デジタルモンスター」がモデルだろうか。あくまでパロディの範疇ではあるが。
実在・架空を問わずパロディだらけの作品。
内容が過激・下品・不謹慎のオンパレードであるため実名が許可されることはほとんどなく、大抵はダジャレ系か文字の置き換えで対応している。
その中でもディズニーは「デュズニー」だったり「デデニー」だったり、回によって名前が違う。
カルピスは実名の場合もあればもじりの場合もある。
現実のような世界を舞台にした作品群のため、実在の商品や建築物・店名が多く登場する作品。
と同時に言い換え表現にされているものも多くあり(マクディやガルガリ君やダース・スパイダーなど)、協賛しているモノの場合は実名のままだが、そうでない場合は言い換え表現という場合が多い。
協賛していて実名で登場したものの中でも代表例をあげるのであれば、例えば上述したように実名で登場することが少ない学校名が『Steins;Gate』にてそのまま使用されている「東京電機大学」だろうか。
また『Steins;Gate』では岡部倫太郎の愛飲する「ドクターペッパー」が、原作のゲーム版ではそのままの名称だったのが、アニメ版では「ドクトルペッパー」に変更された。
その後の『Steins;Gate 0』にてドクターペッパーとコラボする…という展開になったことも。
言い換えの変化球としてはコミマ。
「コミックマーケット」という解釈もできるが、これだとコミケをそのまま使うことになる。
そのためコミマの正式名称は、一言増やした「コミックギガマーケット」とされていて、元ネタに被らないように苦心したことが窺える*38。
女子高生がキャンプをするという作品ではあるが、キャンプ場や名所はモデルは登場するも大体は店名、施設名が変えられている。
例を挙げると「ほったらかし温泉」→「ほっとけや温泉」「水明荘」→「木明荘」等
また、キャンプシーンだけでなくその準備をする話や、用品を買うためにアルバイトをする話もある為店も多く登場する。
特に「SWEN浜松店」が元となっている「カリブー」は有名であるが、実は元の店は山梨県身延駅付近ではなく名前の通り静岡県浜松市に存在する。
また、犬子と大垣千明がバイトをしている「スーパーマーケットゼブラ」と「酒の川本」も同じ位置関係で「セルバ身延店」と「河内屋身延店」として存在していたが、「河内屋」は現実世界では既に閉店している。
ただし建物はまだ現存中で、2020年4月に身延町と大和リースによってテレビアニメの酒屋の外観が再現された。(あくまで再現なので中には入れない)
なお、キャンプ場施設や店の名前は架空だが、地名や道路、温泉や寺は実在のものを使用している。
「やまなし観光協会」が山梨県のモデルになった場所をホームページにて特集を組み紹介している為、それらで紹介されている施設等はある意味半公式のような扱いとなっている。
ちなみにこのような形態が取られているのは漫画、アニメのみであり、実写ドラマでは実在商品などが登場する事が多い。
- 池井戸潤作品
ドラマ化し一大ブームメントとなった「半沢直樹」シリーズでは小説版の時点で、主人公半沢達の所属する銀行にて言い換え表現がなされている。
ちなみに内訳は、東京第一銀行と産業中央銀行、その2つが合併した世界第三位のメガバンク・東京中央銀行になったというもの。どこからどう見ても東京三菱銀行である。そしてなぜか産業中央銀行に妙に悪人が多い。
なお池井戸は元三菱銀行員で、同期入行の半沢淳一が2021年に三菱UFJ銀行頭取に就任している。
前述の通りJALをモデルとした帝国航空という会社も登場している。
そして「半沢直樹」で人気を博して以来、TBS日曜劇場で何度も放映されるドラマ作品では、作中に登場する企業が別の作品でカメオ出演を果たすことが多々ある。
特に下町ロケットで出てきた「帝国重工」は使い勝手が良いのか「陸王」「ノーサイドゲーム」でも名前が出ている。
またこれらの演出を手掛ける福澤克雄が演出した単発ドラマ「LEADERS」に出てくる「アイチ自動車(モデルはトヨタ自動車)」も「下町ロケット」にカメオ出演している。
小説の時点でも池井戸作品は世界観が共有されているのか、別の作品で聞いた会社が登場することが多い。
例えば「花咲舞」シリーズの舞台は、東京中央銀行になる前の東京第一銀行の話である。主人公の舞を含め優秀な銀行員もいるもののやっぱり悪人の方がとても多い
他、色んな作品で住友グループをモデルにした「白水グループ」が登場する。
- クッキングパパ
福岡県福岡市が舞台のため基本的に福岡市内なら博多と表記され、「香椎」「箱崎」などの一部の地名も「花椎」「函崎」と変更されているが、福岡市外及び福岡県外の地名はその名前通りになっており、一部の飲食店やキャナルシティ、KITTE博多といった商業施設もそのまま登場する。
実際に放送されているローカル番組「ももち浜ストア」(テレビ西日本)も原作では「博多浜ストア」として登場するなど、福岡県民なら知っている番組も名前を変えて登場したりしている。
物語の舞台が、中国地方にある「稲穂県」という架空の土地(モデルは広島県)。
実在しない町や村を舞台にした創作物は数あれど、今作は架空の県を作ってしまった珍しいパターンである。
他にも「岡島県」(桃、マスカット、ママカリが名物ということで岡山県)、「八雲県」(「西日本で2番目に大きい湖」と大社があるので島根県)などが登場するが、県名を言い換えるのは中国地方に限られるらしく、大阪や「愛媛県の佐田岬半島」などはそのまま出てくる。
- トリコロ(海藍の4コマ漫画)
上記に似たような事例。
この漫画でも架空の県である「長織県」が舞台である。
関東地方にあるらしいが、県庁所在地である長織市内でも無人の駄菓子屋が経営できるくらい治安のいい場所である。
そしてその架空の県に住む主人公の家に同い年の少女たちが広島県と大阪府という実在する場所からやってくるという珍しい状況になっている。
また「昭和シェル石油」を「しょうわせるしぇきゆ」と噛んで言うという凄くギリギリなところも突いてたりする。
余談だが、名前は出ていないものの携帯電話や自動車、郵便局員の制服などは現実の連載当時ものを忠実に再現してたりする。この漫画に限った事ではないかもしれないが。
こちらも「ズッコケ三人組」同様、実在の県をモデルにした舞台が登場する。
しかし、作中で殺人鬼やゴロツキが沢山出てくる関係上、風評被害を防ぐためか、その名は「M県S市」。
一応ぼかしてはいるが、「宮城県仙台市」をモデルとしているのが解りやすい。ちゃんと名物も牛タン関係。
仙台は作者の出身地であり、文庫版あとがきによれば「家族から『これここがモデルでしょ?』とよく連絡が来ていた」とのこと。
ただし作中登場した「靴のムカデ屋」は店の形状こそ違うが実在する店で、本家の方には吉良フィギュアやシアーハートアタックが置かれていたり、頼めば「吉良吉影のボタン修理」の名目で領収書を切ってくれるという。
舞台地名そのものは伏せられているものの、その代わり一部の登場人物の名前には「広瀬(川)」「八木山」「大年寺山」「作並」「苦竹」「岩切」「大倉」「中江」と実在する仙台市各区の地名が用いられている。
- ポケットモンスターシリーズ
初代は現実世界の日本が舞台だった為、「とうきょう」「きょうと」「いが」「インドぞう」「ロシア」「ちゅうごく」「アメリカ」など実在の地名が使われていたが、長期シリーズとなり「現実世界とは違う世界」という世界観に作り変えられた。
ちなみに「しんかんせん」という単語もあったが、現状そのような乗り物は登場していない。
その為、マチスはアメリカ出身からイッシュ出身になった(イッシュ地方自体が北アメリカをモデルにしているのである意味では「設定は変更されていない」が)り、キョウは伊賀でも甲賀でもない単なる忍者となり、初代リメイクのピカブイでは実在地名系は大体変更、削除される事となった(ポナヤツングスカは架空の地名なので削除されずに済んだ*39)。
また、初代に登場していたトレーナーであるボーイスカウト、ガールスカウトは、それぞれのスカウト連盟に配慮したのか、金銀発売時点で「キャンプボーイ」「ピクニックガール」に変更となった。
なお、実在する音楽グループをパロった「でんきグループ」というトレーナーはごく一部の場所にしか登場しないことが幸いしたのか、ピカブイでもそっくり度が大幅に上昇し再登場した。後に実在する方のグループのメンバーが社会問題レベルの事件を起こしてしまったが、幸い似せられた方のメンバーでは無かったので特に影響は無かった。
他にも初代の主人公の家で放映されている「おとこのこが 4にん せんろのうえを あるいてる……」映画は確実にスタンド・バイ・ミーだが、映画のタイトル名が出ていない為かずっと使われている。それどころかBUMP OF CHICKENのアカシアMVでもそれっぽいシーンが冒頭に写っている。
なお映画ネタは後の作品でもしょっちゅう見かけるが怒られた形跡はない。タイトル出してなければ問題無いのだろうか?
- ファイヤープロレスリングシリーズ
「リターンズ」まではアントニオ猪木→「ビクトリー武蔵」やジャイアント馬場→「グレート司馬」のように、技や立ち回りをできるだけ再現しながら名前をもじっている所謂「ファイプロネーム」の選手がウリだった。
最新作「ワールド」では初期収録選手がモデルのないオリジナル選手になった一方、有料DLCにおいて新日本プロレスやスターダムの選手の実名参戦が実現している。
- カイジシリーズ/中間管理録トネガワ/1日外出録ハンチョウ
特にトネガワとハンチョウでは、ツイッターやPASMOやTカードなど、実在するものが一部を除いて実名で頻繁に出てきている。
さらにトネガワはプッチンプリンや日清焼きそばU.F.Oなどの大手企業との公式コラボの漫画が掲載されたこともあった。
ハンチョウでは地下物販でブルボンのお菓子が人気ということでエリーゼやルマンドといった人気お菓子も全て実名で描かれている。
ちなみにカイジ本編では地下物販で売られていた商品の名称はアサヒビール→アソヒビール、サッポロポテト→ザッポロポテトなどと名称が変更されていた。(これらはハンチョウで描かれていた地下物販でもその変更された名称がそのまま使われていた)
- スーパードクターK、Doctor K、K2(Kシリーズ)
掲載時期が現実世界と軽くリンクしているものの、前述の通り某国に侵略する話では「A国」とぼかされたりしている。
他、紛争国や治安の悪い国でのストーリーは実際の地域ではなく都度架空の国が舞台となる。
そういった国はネタが生みやすいことと、問題のある国でもKらが圧倒的医療技術で国民の心ごと治す事が多い。
そうでなくとも邪悪な国の中枢が50万人の国民ごと核爆弾でふっとばされたりと良くも悪くも解決しちゃう為、架空の国が増える増える。
また現在連載中の「K2」は医学以外にも社会情勢もリアリティ溢れる作風に切り替わったので架空の国は余り登場しておらず、唯一の例外である「ティガワール王国」に関しても、悪役の動機もまた「今までの生活が様変わりする程の国でそれでもしきたりを守ろうとする」「王はその国の禁忌を犯しており、それに対して悩んでいる」とどこかリアリティのあるものとなっている。
そのK2でもアベノミクスをガジノミクスと言い換えたりと典型的な言い換え表現を多数行っている。
ちなみにその我治総理は後になって顔を見せたが何とは言わないが凄くそっくりだった。
とはいえ一応医学漫画の為、医学的な事に関してはそういった言い換え表現を使わず真実のみを語っている。
後の技術の進歩などで変わったりするが、少なくとも掲載当初では最新最良の事実を話しているのだが*40、K2では一度だけその法則を破った事がある。
それは「K2」25巻の「感染制御」。内容としてはR国でお茶として親しまれている植物がマラリアに非常に効果的だと判明するが、そのR国が持ち出しや研究を禁止するという物語である。
最後のコマに「作中に登場した植物は架空のものです」という一文が添えられている。
国も植物も確かに架空なのだが、しかし外国の植物を日本に持ち込むことが難しい事だけは「事実」という、非常に珍しい扱いとなっていた。
その他「K2」以降でも「東京」「秋田」「北海道」と言った都道府県が出てくる一方で、主人公一人が住んでいる村は「N県T村」とボカされている。
恐らく「小さな村にしてはやたら進んだ医療技術」「授け手という制度」などが現実離れしている為だろう。実際の地名を使ってそこにKを求めて行かれても困るし。
同様にぼかされている県などはいくつか見られる。
ただしドクターK時代の野球回ではチーム名と治療を受ける選手は架空の人物だが「落合」「原」「野村」と言ったどこかで聞いたことあるような名前と顔の人物は普通に登場していた。特に野村監督はかっこいい台詞まで言っている。
日本本土が舞台となった「彼岸島 48日後…」にて、実在するスポットが登場。
吉昭編では、ショッピングモール「JOSCO」が舞台となっている。
吸血鬼ノ塔編では、描かれている風景や施設の描写は大阪市のものであるが、作中では一切地名に関する言及は無い。
敵の本拠地も通天閣そのものであるが、「塔」としか呼ばれていない。(方言版の配信時に掲載された担当のコメントでは、「通●閣」と書かれていた)
しかし、何故か大阪城だけは実在の名称で呼ばれた。
芦ノ湖・箱根編以降は実在の地名が多く登場するようになっているが、施設名に関しては「池袋サンジョイン」「東都ドーム」にように置き換えられている。
作中で渡瀬恒彦演じる夜明日出夫が勤務しているタクシー会社は(初期の数作を除いて)大同交通という会社で、撮影協力として名を連ねていた実在の企業であった。
しかし2015年1月に大同交通は廃業して営業権を第一交通グループに譲渡。このため第38作と最終作の第39作では架空の会社として設定されるという実在の企業が架空の企業になるというかなり異例の取り扱いをしている。
また作品内で大同交通はチェッカー無線に加盟していることになっているが、チェッカー無線もまた実在する組織であり、実在した大同交通もチェッカー無線に加盟していた。
- ネプテューヌシリーズ
ゲーム業界というかゲハが元ネタになっているだけあり、世界観である「ゲイムギョウ界」を筆頭にゲームどころか、発売当時の時事ネタやサブカル関連のパロディだらけの作品となっている。
パロディだらけで挙げていたらキリがないが、メインどころでは「守護女神戦争」や「タリショック」など。
スタッフの歯止めがあまり効いておらず、某N社モチーフのブランの武器に「サードクラッシャー」と半ば蔑称を用いていたり、スネグアヨイコなど本当に苦情が来たらどうするんだと突っ込みたくなる名称も多い。
例外的に他社ゲストであるメーカーキャラは会社、ゲーム名をそのまま使っている*41。
各種特撮作品がテーマなので、作中では妙に凝った設定と共にオリジナル特撮作品が登場する。
いずれも、何かしら元ネタが存在しており、明言こそされていないが知っている人ならニヤリとできる要素になっている。あと各作品が抱える裏事情も大体現実のままである
ちなみに原作が小学館発刊のためか、「てれびくん」はそのままの名前で登場しており、たまにてれびくん編集部からのコメントまであったりする。が、流石にNHKで放送されたドラマ版では架空の雑誌名に差し替えられている。自虐入っているとはいえ、てれびくんで焼き芋するシーンがあるのでそのままの名前で流したら放送事故ものである
ちなみに同じ雑誌で公式作品(というか正式な続編)が展開されていてもそのままタイトルを出すのはダメだったようだ。
基本的には作者の子供時代の事物がそのまま登場するので、商品名などは大体そのまま。集英社なのに平然と『ドラえもん』の名前も出している。
歌手の山本リンダに至っては本作でそのままの名前で登場したことが原因で再ブレイクしたりしている。
しかし、微妙に言い換えられることもあり、まる子 おすし屋さんに行くの巻では、実在の商品「ローラースルーGOGO」が「ローラースルーゴーゴー」になっていた。あと値段も変えられていた。
- マブラヴシリーズ
大政奉還や第二次世界大戦で別の歴史を歩んでいるパラレル系の元エロゲ作品。
劇中に登場する戦術機の機体名は現実と同様だが、開発元の名称とロゴマークが変えられている。
例えば「三菱重工」⇒「光菱重工」、「ロッキード・マーティン」⇒「ロックウィード・マーディン」、「スホーイ設計局」⇒「スフォーニ設計局」となっている。
他にも「宮内庁」が「城内省」へと変化したことで、独自の武装組織を保有している。
「言い換え」を全くしない作品の例。毎回のように実在のラーメン店が登場するのだが、店名はセリフに一切出さず、看板などはボカシで描くことによって明確な言及を避けるという描写が徹底している。ただし実店を知っている人なら一発で元ネタがわかるくらいには再現度は高い。
一方で商品名は伏せ字も何もなくそのまま出てくるので、「北極ラーメン*42」「みどりラーメン*43」「おいしいラーメン*44」など、看板メニューの名前が特徴的な店は特にわかりやすい。
テレビドラマ化に当たっては実店ロケをしているので隠しようもなく、公式サイトではグルメライターの解説つきで店が紹介されている。
- 龍が如くシリーズ
本作は実在の企業が実際の名前で登場するのが特徴だが、舞台となる都市は毎回現実の都市をモデルとした架空の都市となっている。
ドイツや日本(東京も存在)といった実在の国名が舞台となる中、アメリカ合衆国は登場せず、代わりにトラキア合衆国という架空の国名が登場する。
また、ペルシア王国という架空の独裁主義国家も登場。こちらは中東に存在する国とされており、(ペルシア自体はイランの古称だが)独裁政権下のイラクがモデルと思われるが言い換えという程ではないあくまでも架空の国。
なぜ「実在」「実在に極めて近い架空」「完全に架空」の国名が混在しているかというと、原作である手塚治虫の「地上最大のロボット」では7体の世界最高基準のロボットの出身国が明言されているため。また、連載開始当初当時はイラク戦争真っただ中だったため、当該国へのいらぬ刺激を避けたという見方もある。
その他、EUがモデルとなっているユーロ連邦や現在のASEANよりも規模が大きいと思われるアセアンという地域区分など、名称以外にも現実世界と少々異なる地域区分が存在する模様。
微妙に差異が発生しているのは、PLUTOが未来ないしは現代との並行世界として描かれているためと思われる。
むしろこの作品でスレスレ感があるのはトラキア合衆国の大統領がアレクサンダーで、その相談役である巨大電子頭脳がDr.ルーズベルトという名前であることか
- やきゅうみようよ!
実在するプロ野球球団の「あるあるネタ」をモチーフにした漫画。
とはいえ他の野球系漫画と同じように、チーム名、選手名は元々の名前をもじった仮名。
だが沢村賞だけはそのまま使っていた。*45
選手名に関してはカタカナにするのではなく、漢字を同音の別の字に変える(菅野→須加野)、名前をちょっと変える(高橋遥人→高橋遥夫)といった手法が使われている。ちなみにマスコットもパチモンみたいな感じになっている。
またホークスを元にした回では孫社長も名義変更且つ女体化して登場した。
扱うネタがネタなのである意味では「言い換え表現」の宝庫であり、そういう意味でも参考になる漫画である。余談だが広島編では九里と栗林が合体し「九里林」という新たな存在になっていた。描写的には栗林選手が元と思われるが。
- とんでもスキルで異世界放浪メシ
Web版、もしくは物理書籍版(漫画版含む)では「イオン→エオン」など普通に商標を回避した名称を使っていた。
しかしアニメ化に伴いスタッフが何か血迷ったのかそれぞれの元となる企業に打診。
使用許可を見事取り付けてしまい、アニメ版ではイオンネットスーパーの画面がそのまま使われるという珍事に。
言い換え対象に自社商品の名前を組合せてパロっているのが特徴。
例えばコンビニの「7-21」や「SEVENDARAKE」等。ご丁寧にも後者はロゴの一部がアイスラッガーになっている。
STARBUCKSの言い換え「STARBOWS」に至ってはSTAR WARSのパロディ作品『スターぼうず』をそのまま流用という……
またマクドナルドが「MusashiBou's」という珍しい捩り方をされているが、これは『電光超人グリッドマン』でタイムスリップして現代にやってきた武蔵坊弁慶がマクドナルドのハンバーガーを頬張ったことが元ネタ。出てきた店舗の場所も同じである。そしてそんな中で全くパロられずかえって浮いてる「舞浜の夢の国」
なお、ボイスドラマでは「びっくりドンキー」や「ボヘミアン・ラプソディ」、「スマブラ」といった実在の名称を何故か連発する。いいのかな?
もっとも、本編中で既に言い換えられているものはそのままであり、なみことはっすに散々茶化された六花が持っていた特撮雑誌も名称は出なかった。
まあ雑誌の方は偏見で商品イメージを毀損しかねなかった為、これは仕方のないことだろう。
ところでその茶化しが入った話の前後、本編中では実在の特撮雑誌「宇宙船」が登場しているのだが…いいのかな……?
主人公・キン肉スグルの好物である「牛丼」について紆余曲折があった作品である。
もともと初期にはスグルが牛丼屋に行くシーンが何度か描かれているが、働かない方のゆでゆでたまご原作担当の嶋田によるとこの店のモデルは「なか卯」。
デビュー当時、ゆでたまごの二人は近所のなか卯で打ち合わせをすることが多く、作画担当の中井もメニューにうどんがあることも含めてなか卯のつもりで描いていたはずだとしている。
実際に大阪市住之江区で作者の家族らに取材を行ったウェブ記事(外部リンク)によれば、その店は現存していないが隣にあるサーフショップは残っており、忠実に作画されていることが確認できたという。
一方で作品には「吉野家」をもじった「吉野屋」もたびたび登場。「キン肉星国歌」として吉野家のCMソングが流れるギャグなど印象的なシーンもあり、これをアレンジした「牛丼音頭」がアニメ版で流れるに至って、読者の多くは「キン肉マンの牛丼は吉野家」と認識することになった。
なぜ本来のモデルであるなか卯の名前を出さず吉野家をクローズアップしていたかは本人の説明がないが、連載当時のなか卯は関西ローカルだったので、読者のわかりやすさを優先したとも考えられる。
しかし「トリビアの泉」で「キン肉マン」と吉野家の関係が取り上げられた際の経緯*46などから嶋田は吉野家に不満を募らせており、「キン肉マン」29(ニク)周年記念で「すき家」*47とコラボを行った際、「なぜ吉野家じゃないのか」というファンの声が相次ぐとついに爆発。
「アニメ版の吉野家はスポンサーではなく、東映の担当者と吉野家の広報の口約束のような形で登場することになった」「当時低迷*48していた吉野家は相当助かったはずなのにろくに感謝もされていない」「今回も最初は吉野家にコラボを提案しているが向こうが断った」などとぶっちゃけてプチ炎上の様相となった。
吉野家側は「一方的な発言で残念」といった声明を出したもののそれ以上多くを語らず、嶋田の言い分がどこまで真実なのかはっきりしないまま公式見解になっている状態である。
なお、初期のキン肉マンには牛丼の他に「ポテロング」「おっとっと」など森永製菓の商品も登場しているが、これは公認のコラボである*49。
当時の森永の重役の一人が漫画を気に入って応援してくれており、ゆでたまごは森永製品を登場させて謝礼をもらっていたという。
その額は「1コマ出すだけで10ページ分の原稿料と同じ」*50だったそうで、デビュー直後の二人にとって貴重な収入源であり、こちらには嶋田が折に触れて感謝の言葉を述べている。
後に大ヒットとなるアニメ版においても森永はスポンサーになったが、直後に「グリコ・森永事件」が発生したため降板。
しかし降板後も森永はキン肉マンパッケージの新商品を出しており、これはゆでたまごが恩返しのつもりで許諾したものという。
ネタ中に登場する店名や企業名、施設名などは「ピザハットリ」「スタジオアリノス」「アービバビバ」「西京東川」など実在のものをモチーフにしたものが多い。中には「カラオケ舘」「真横イン」「トミザワタケシ」など、店の名前自体がネタになっているものもある。
- ルパン三世シリーズ
「徹底した実証主義」を方針に製作されたため、「ベンツSSK」「フィアット500」「ワルサーP38」等、登場する車や拳銃はほとんど全てが実在するもの(ただし、ベンツのロゴは違うものに差し替えられている)。
特にベンツSSKなどはパイロットフィルム版にて「ヒトラーも愛用した」と明言されている。上記の通りヒトラーネタは何かと自粛の憂き目にあいやすいので、特殊なケースと言えよう。
作品によっては実際にヒトラーやナポレオン、レオナルド・ダ・ヴィンチといった実在する故人が登場したことも(たいていはクローンやルパンの変装といったからくり付きだけど)。
また、劇場版1作目『ルパン三世 ルパンVS複製人間』には、タイアップとしてお菓子の「テレパッチ」がそのまま登場しているが、こちらはスポンサー契約の都合でテレビ放映時はだいたいカットされてしまう。ルパンの潜在意識を垣間見る重要なシーンなのに……まぁそうでなくとも実写の女性のヌードが跋扈する低俗下劣な内容だからしゃーないか。
その他、PART6の第4話などは丸々ヘミングウェイの短編集をモチーフにしている。
一方で国名に関しては少々事情が特殊で、作品によって扱いが異なっている。
『PART4』以降のテレビシリーズは依然として「イタリア」「イギリス」等モチーフになった国がそのまま登場する一方、『LUPIN THE ⅢRD』シリーズでは「ヤメリカーナ」「ドロア」といった架空のものに差し替えられている。
まぁ後者は冷戦下の諸国を思いっきり皮肉った内容なので、差し替えも致し方なしか。
余談だが、PART3には劇中作として『TAMAvsGOZIRA』なる映画が登場する小ネタがある。GODZILLAじゃないのでセーフ。
- 鉄1~電車でバトル!
シスコンエンタテイメント(現シスコン)が制作したPlayStation2のソフト。
自動車の代わりに鉄道車両でレースを行うという全国版電車でD現実性度外視も甚だしいゲーム*51。
「ヤマノーテJr.」など元ネタがすぐわかりそうな名前(と外観)の車両が多数登場するが、ゲームの内容から*52鉄道会社の許諾を得られるはずがないことは百も承知だったと思われ、あくまで「架空の車両」と位置付けられている。
が、後に発売された『鉄1~電車でバトル~WORLD GRAND PRIX』には国内の車両をモデルにしたとされる車両が登場しない。
これについては鉄道会社から抗議があったからと噂されたが、真相は不明。
実在の名前でやらかしてしまった例
- 私立極道高校
週刊少年ジャンプで連載されていた宮下あきらの漫画。実在の中学校名・卒業生名・校章など(表題の「極道高校」の事ではない)をよりにもよって極道をテーマにしたこの作品にだしてしまった例。
当然、それらの学校からは大クレームの嵐であり掲載されたジャンプは回収・作品は打ち切りの憂き目というシャレにならん展開に遭ってしまった。
ちゃんとコピーライト表記も取って1990年代の実在のゲーム名・キャラクター名をそのまま出していることを売りにした作品……なのだが、実はちゃんと許諾を取れていなかったという編集部やらかし系のトラブル。
なんやかんやあって最終的には何とか和解の形になり漫画も継続したのだが、騒動の中心だったSNKプレイモア関連の描写は大幅にカットされる形になった。
ちゃんとコピーライト表記も取って様々なゲームやアニメとコラボ、キャラやBGMも原作のものが流れることを売りにした作品。
…なのだが上記ハイスコアガールでSNKプレイモア関係で揉めた際、こちらにゲスト出演していたキング・オブ・ファイターズのBGMが削除されてしまった。
シリーズが移行しキャラクターは登場していなかったのだが、もし登場してたらどこぞのルリグみたいに使用禁止になっていたことだろう。
ちなみにLoV4は東京が舞台なのだがほとんどが架空の地域、学校名で、スカイツリーは(一応商標でもあるので)スカイタワー、としまえんはとやまえん跡*53として登場している。
余談だがこれらの通りLoVシリーズは様々な作品からキャラクターが参加しており、同じスクエニのロマンシング サ・ガ2から七英雄も参戦している。
…のだがキャラクターがゲストキャラの名前を言うのはご法度だったらしく、プレイヤーキャラの一人黒曜がワグナスの事を呼ぶ際は「『七英雄は最強!』のお方」と妙な言い回していた。
- 女神転生シリーズ
古今東西の神話、伝承上の存在が「悪魔」として登場するシリーズ。むしろ実名を堂々と使ってしまうことで有名。
二作目の『女神転生Ⅱ』の時点で既に唯一神Y・H・W・H*54をラスボスとして登場させている。昔だから出来た事だろうと思っていたら、最近になって『真・女神転生Ⅳ FINAL』にてまたラスボスとして登場した。*55
それでも現在のところ問題になっていないのは、本作に登場する存在は基本的に「悪魔」であり、神や天使に属している者やそれを崇拝している教団等も「神や天使の名を騙る悪魔」と「その悪魔に騙されているカルト教団」で現実の神・天使・教団とは別物という体裁になっているからなんだとか。
余りにも見境が無いためか、開発会社のアトラスが何度か祟られている。マサカド*56を出そうとしたらスタッフがカツアゲされたりしたので名前を「マサカドこう」にしたら収まったり、ミシャクジ*57を出そうとしたらまた怪事件が起きたので「ミシャクジさま」名義にしたら収まったり。最終的に開発前にお祓いに行くことが恒例となったそうな。因みに、一度「憑いている」ままで開発してみようとお祓いに行かなかったら親会社が潰れた。
アトラスの挑戦的な態度は神だけに及ばず、『ペルソナ2 罪』では本人ではないのだがヒトラーをそのまんま過ぎる格好で出してしまった。ハーケンクロイツもしっかり登場。こちらはリメイク版でグラサンをかけ名前が「フューラー」になるなどの差し替えがなされている(本物のナチスハンターから警告状が届いたとのこと)。
- ヒットラーの復活
ペルソナ2同様ヒトラーが問題になったケース。
当初はタイトル通りヒトラーを復活させようとする悪の軍団との戦いを描いたゲームで、最終ステージでは復活したヒトラーと対峙することになる。
しかし海外版である「バイオニックコマンドー」以降はナチス要素はカットされ、名前も「マスターD」に変更されている。なお特徴的なちょび髭など妙に再現度の高い顔グラフィックには一切の修正がなされていない。
- ゲバラ
キューバ革命を題材にして「ゲバラとカストロがバティスタ大統領の配下に無双する」という内容で、実在人物の大統領をラスボスにしてFC版では勝手に殺している*58、ゲームとしては面白いが突っ込みどころの多いSNKの怪作。
日本国内では現在でも普通にダウンロードして遊べるのだが、アメリカではゲバラなどの名前を出すのがまずいと思われたらしく固有名詞を奪われ「Guerrilla War」というタイトルで、
「どこかの国で独裁者と戦う名も知れぬゲリラの男たち」の話にされた。
- おまかせ!ピース電器店
作品内でどう見てもファミ通がモデルの「バミ通」という雑誌を出してゲーム業界と絡めて批判したため、本物のファミ通から抗議が来てしまった作品。
どれだけ言い換えても、あまりに元ネタが明白だと流石にマズイこともある、ということだろうか。そもそも作者の漫画家デビュー元だったアスキーに矛先を向けてしまったのもある。
結果的に打ち切りにはならなかったが、該当エピソードは単行本未収録になった。後々、電子書籍化されたが該当エピソードは復刻されていない。
伊豆の温泉旅館を舞台にした連ドラコント「嗚呼!花の番頭さん物語」で、浜田扮する悪質な金融業者として「なにわ銀行」という名前を出したところ、本物のなにわ銀行(現:関西アーバン銀行)から抗議が来てしまう。
翌週の放送で謝罪テロップを入れたが、結果そのコントは1回で打ち切りになってしまった。
読みきり版で誘拐犯が悪事を働いた動機が『ときメモファンドで破産した』ことになっていた。微妙な結果だったのは事実なのだが当ファンドが元本割れしたと取られかねない表現だとしてコナミが正式に抗議し、小学館が謝罪することとなった。
後にアニメ化した際はそのコナミがスポンサーになりカードゲームも発売された。
実在の解熱鎮痛剤と偶然被ったと思しき「ズバリ・アドレナリン」が物理書籍化に伴い「ZBR」と表記されるようになったことや、
ほんやくチームによるエイプリルフール企画『ニンジャマスターKAI』に登場したBANZAI社以外、根本的に日本の情報がおかしいので作中では特に実在の商品が出ることもなく置き換えは見られないが、ファンが会話中に実在の物を忍殺語に置き換えてしまうことが多々ある。
例としてタキシード仮面をタキシードメンポと言い換えたり。
実際分かりづらいため、第四の壁突破キャラによる質疑応答の中で(=実質公式サイドから)苦言を呈されたことも。
化学調味料や農薬を親の仇のように叩きつつも、「味の素」のような名前は一切出てこない*59のだが、なぜかパソコン関係の話になると、「ウインドウズなんて、MS-DOSがマックをマネるために厚化粧しただけの代物だ!MS-DOSほど使いにくいものはないよ!そんなもの使うやつはマゾヒストだね、だからあれはMS-DOSじゃなくてSM-DOSってんだ!」などという誹謗中傷レベルの批判をしてしまい、マイクロソフトを怒らせ紙面に広告を載せないという事態に陥った。
なお称賛する文脈では食品も実名で出ることがあり、ヱビスビールや日本酒回で登場する各地の純米酒などの例がある。
- 玄人のひとりごと
作中で「安物の万歩計は多少の揺れだけでカウントされる」「実際の歩数は表示の6,7割くらい」という趣旨の軽口をしゃべらせたところ、メーカーの山佐時計計器株式会社から抗議が来た。
「万歩計」が同社の登録商標であることを、作者も編集者も知らなかったために起きたトラブルであった。
翌月号には編集部による「架空の歩数計を扱ったつもりでしたが、実在の商品のイメージを損なう表現となってしまいました」との謝罪文が掲載された。
現実世界が追いついた例
わざわざ「それっぽい架空の名称」を使っていたのだが、後から同じ名前のモノが本当に出現してしまったという例。
- 湾岸警察署(踊る大捜査線)
1997年にフジテレビ系で放送された刑事ドラマ。お台場のフジテレビ付近に立地する架空の警察署「湾岸署」を舞台としていたのだが、2008年、お台場のフジテレビのすぐ近くに「東京湾岸警察署」が本当にできてしまった。
住民にアンケートを行った結果圧倒的に「湾岸署がいい」という意見が多かったためこの名称になったとのこと。
- 葛飾警察署(こちら葛飾区亀有公園前派出所)
これも架空の警察署が後からできてしまった例。
亀有公園前派出所が所属する警察署は、1976年の連載当初は実在の「亀有警察署」だったが、1992年から架空の「葛飾警察署」に名称を変更。
ところが2002年に本当に「葛飾警察署」が誕生してしまったため、警察署改築ネタを行い「新葛飾警察署」に再改称という経緯をたどった。
ちなみにアニメでは一貫して「かつしか署」という名称になっている。
- 希望の党☆
2005年制作の短編映画。2012年からはYouTubeで公開されていたが、2017年に「希望の党」が本当に誕生したため削除されてしまった。
この作品は投票啓発のために、総務省所管の明るい選挙推進協会が製作したもの。
本物の「希望の党」関係者から削除要請があったわけではないようだが、同協会が公平中立の観点から削除を決定した。
ちなみに作品の内容は、投票率が下がり続けた結果急進政党「希望の党」が政権与党となってしまい、犯罪に対しての異様な厳罰化、徴兵制の導入などディストピア政策を敷くという内容。そりゃダメだわ。
- 東都大学
架空の大学名の定番というべき大学だが、2019年に「東都医療大学」が「東都大学」に改名して実在の大学になってしまった。
「東都大学」を登場させている作品はメディアの種類を問わず非常に多いのだが、今後それらがどう対応するのが注目される。
ちなみに東都大学のキャンパスは埼玉県深谷市と千葉県千葉市幕張の2箇所で東京都内にはない模様。東京都とは言っていない。いいね?
- キュウレンジャー(漫画『かめ!』)
90年代に週刊モーニングで連載されていた当時は漫画内に登場した架空の戦隊作品だったが、2017年に本家で『宇宙戦隊キュウレンジャー』が登場。
そしてその後、『かめ!』の作者がウェブと同人誌で発表したリメイク版にて、初出時期的には東映より先なのに名前が『ナゾナゾ戦隊Qレンジャー』に変更される羽目になった。
- ハッピーミーク、リトルココン、ビターグラッセ(ウマ娘 プリティーダービー)
いずれもゲーム作中にしか登場しないオリジナルのウマ娘…だったのだが、山口功一郎の所有する馬が2022年の2月に馬名登録。ただし、本人は「ウマ娘のキャラ名と同じで似た毛色」とあくまで偶然であることをアピールしており、「特徴も微妙に違っている」と続けている。そしてそのすぐ後に「ファンの方にも賛否あるとは思いますが」と書いているのでもはや確信犯である
このうちビターグラッセは6月に新馬戦を迎え、ハッピーミークも7月に入厩。今後の活躍が待たれる。
- オベイユアマスター(ウマ娘 シンデレラグレイ)
上の競走馬三頭は完全オリジナルのウマ娘の名前を借用しているが、オベイユアマスターは1988年ジャパンカップを制した「ペイザバトラー」の名前をもじったもの。*60
それが実在馬の名として、2023年5月に登録された。同年6月の新馬戦では惜しくも4着、今後の活躍が期待される。
父は朝日杯FS優勝のアジアエクスプレス、母父は高松宮記念を連覇したキンシャサノキセキとなかなかの良血統。
馬名の由来となった競走馬及びウマ娘のようにジャパンカップ優勝が期待される所ではあるが、血統的に芝2,400mは厳しいかも知れないとも…
その他にも、「のたり松太郎」に登場する架空の力士「千代の國」と同名の「千代の国憲輝」が後に出現したり*61、クレヨンしんちゃんのみさえの実家がある「熊本県アソ市」と同名の「熊本県阿蘇市」が平成の大合併により誕生したりと、この手の例も結構多い。
追記・修正はパロディ元をちゃんと把握してからお願いします。
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*2 原作者は「宅急便」が登録商標であることを知らず、出版後にヤマト運輸との話し合いが持たれ、「魔女の」とついている限りは別の言葉である、ということで手打ちになった経緯があるという。
*3 放送法83条にて広告放送の禁止が制定されている。
*4 このルールを逆手に取り、生放送の冠番組内で商品名や裏番組の名前をホイホイいうのがさだまさし。
*5 一例では大相撲春場所の開催されるエディオンアリーナ大阪は、日本相撲協会からの要請で正式名称の大阪府立体育会館が使用される。
*6 紅白の紅組トリで歌われてからは「ポルシェ」が解禁された。
*7 海外のドラマや映画作品では原則実在の新聞名が登場するため。
*8 横山光輝オールスター作品と言える『ジャイアントロボ THE ANIMATION -地球が静止する日』では「サニー・ザ・マジシャン」という名前で登場している。
*9 商標検索を見るとロゴもそのまま反転したものが登録されている。
*10 東都医療大学が2019年に東都大学に改名し、現在は実在する大学名になっている。
*11 「なかしま」にすると「中嶋」に見えてしまうため。
*12 ファッションブランドの「エルメス」は創立者の姓をそのまま企業名にして、それがブランド化したケースなので特殊。
*13 削除された理由として、任天堂ハードで出している作品が「アイドルマスターDearly Stars」しか存在していなかった事や、GBAが現役で活躍した時期を過ぎた事が考えられる。
*14 『キヨハラくん』名義での掲載分5回のみに登場。ちょうどアニキの刊行中に薬物乱用で逮捕され文字通りいなくなった。
*15 キリスト教関係者に「聖人たるザビエルを戦わせるのはマズいのでは…」としてどうすればいいか相談したところ、あの「誰が見てもキリスト教を連想しないレベルで社会通念的にマズい」レベルまで改変するのを提案されたのでそれを採用、なんて都市伝説まである。
*16 一応作品世界観の中にはいる模様?
*17 史実でも、2015年から閣議決定で同国の呼び方をグルジアからジョージアに変更している。
*18 慣例的に「明らかに悪役として描かれていれば、ドイツ国外の作品なら黙認」という扱いがされている模様。『仮面ライダーX』ヒトデヒットラーもたぶんこれであろう。
*19 マスオさんの早稲田卒など。ただしこれは設定だけで作中で言及されたことはほぼない
*20 に追加して商業とか大付属とかそれっぽい名前が追加されるパターンもある。海無し県に水産高校が生まれることも。
*21 なお同作は作品発表の間隔の長さから昭和末期に始まり令和に終わっており、結果的ではあるが政治関連で名称を確定しなくて良かったのかも知れない。
*22 「くろまて が クロマティ になる」というキャッチコピー(糸井重里作)の広告もあった。
*23 モデル馬の父がディクタス、馬名がサッカーに関するものから捩られている。モデルは十中八九サッカーボーイ号
*24 余談だがこの何天堂、任天堂が商標登録している。上記の似た名前の会社を防ぐ意味もあるだろうが、それをゲームに使う稀有な例。
*25 似ている名前であっても変更されるケースもあり、『笑っていいとも!』では出演者達による対抗ゲーム企画が『爆笑オールスター!タモリンピック』から『曜日対抗いいとも選手権』に変わった例がある。
*26 厳密には球場の名前だから、とかもあるだろうが、「高校生対象の全国大会」を指す一般名詞になってしまっているのもあると思われる
*27 序盤の「公道グランプリ編」で沖田の愛車として登場したが、この時点で沖田は結核に侵されており、レース終了とともに絶命した。
*28 というかそもそもアニメ版ケロロの制作スタジオはサンライズである。
*29 イチロー選手に関しては、脚本段階では『ハチロー』ともじった名前にする構想だったものを、本人たっての希望で同名同一人物としての出演をしている。
*30 元ネタのミフネはシナリオ単位ではともかくシリーズ全体ではそこまで上位のモンスターではなく、見た目も普通の武将といった感じである。
*31 セーラー服のような服を着た美少女吸血鬼なアニメ調のイラストが表紙になっているだけでなく「カードLOVE戦国姉貴」「メルキ」「オネエでも恋をしたい」等、実際にありそうなアニメタイトルが並べられている
*32 登場人物の重要な秘密解明の手がかりにはなったが
*33 一応「法で裁けない人間に制裁を加える」役柄ではあるが
*34 龍驤の「軽空母コンボ」。そのままでも仮面ライダーネタとして通るが、中国版では名前が梟となっているためメダルのイラストがヒヨコ(公式の饅頭)・ネコ(オフニャ?)・フクロウ(龍驤=梟当人)となり、公式のオーメダル同様ちゃんと全て動物かつ何らかの統一性のあるメダルになる。
*35 本シリーズでは「お金のかかった派手な演出の攻撃ほど強力」という扱いになっている(たまにお金の使い方の都合で絵的に派手ではなかったりする。効果音が野沢雅子や銀河万丈の演技、など)。また、逆に鷹の爪団が先に予算を大量に使い、相手がピンチになることもある。
*36 共に戦うボスボロットがTV版と細部が違うと言われているため、OVA版カイザーで確定。なお、『真マジンガー』はこの時点で作品が存在すらしていないので当てはまらない。
*37 この手のデータは下手に削除するとバグの発生源になってしまうため、マスクデータとして残しているのだと思われる。
*38 ただ作中では「コミマ」呼びがほとんどで、ギガを忘れていても問題はない。
*39 ただし、「ロシアの奥地」という文言は削除。
*40 長期連載の中で過去の話で扱った医学を「昔はこうだったが現在の治療では~」と再び扱うパターンもあるほか、連載前に判明している事実が作中人物の知識に反映されていないパターンなどはある。
*41 VⅡに登場したゴールドサァド4人を除く
*42 蒙古タンメン中本
*43 山手ラーメン本郷安庵(閉店)
*44 どうとんぼり神座
*45 この漫画以外でもスーパードクターKにて「沢村賞」は使われている他、ノーベル賞や直木賞と言った故人の名前を冠した賞はそのまま使われることも多い。「ノーベノレ賞」(「こち亀」)とか「直本賞」(「名探偵コナン」)になったりもするが。
*46 ゆでたまごは吉野家から「ネーム入りのどんぶりと湯呑」をプレゼントされており、「牛丼永久無料」の効果があるという噂があった。これの検証と銘打った企画で、嶋田がそのどんぶりを吉野家の店舗に持参するも、店員にあっさり断られて普通に料金を支払う様子がからかい気味に放送された。
*47 なか卯とは同じゼンショーグループとなっている。
*48 1980年に一度倒産し、アニメ放映当時は会社更生法による経営再建中だった。
*49 読者は経緯を知らされていなかったので、今だとステマ扱いかもしれない。
*50 「1話分の原稿料と同じくらい」と答えたこともあり、金額には揺れがある。
*51 もっとも、レースの舞台が(ゲーム内世界の視点で)仮想空間という設定なので、現実性云々を考察することに意味はないのかもしれない。
*52 閉塞や速度制限といった鉄道の安全に関する基本的な要素がないのは勿論、相手にぶつかって脱線させることが当たり前にできる。というよりそれをしないとまず勝てない。
*53 2020年にとしまえんは閉園しているが、稼働当時はまだ営業していた
*54 旧約聖書に起源を持つ。そもそもこのシリーズでは天使や唯一神は敵に回されがちである。
*55 三度目である。また、読みが失伝しているためか発音はノイズで伏せられている
*56 ご存知、平将門。メガテンの件のみならず様々な祟りの伝説を持つ。
*57 諏訪大社の祭神タケミナカタの使いともされるが、諏訪神社が本来祀っていた神ではないかとも言われる。日本の神の例に漏れず祟り神の一面を持つ。
*58 元ネタの人は革命軍の勢いを見て勝てないと悟り、亡命してゲバラより長生きしている。AC版では史実準拠で大統領が逃げていくオチ。
*59 大量生産品を批判する場合は、「大メーカー」をもじった「大銘加」などの架空ブランド名で登場させることが多い。
*60 「Pay the butler」から「Obey your master」と意味が逆転している
*61 ちなみに、モデルとなった「千代の富士」の弟子にあたる
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