風都探偵

ページ名:風都探偵

登録日:2017/08/13 Sun 01:26:30
更新日:2024/02/09 Fri 10:43:19NEW!
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ビルが溶け、人が死ぬ。
それは、この町ではありふれた出来事。
だが、この街には探偵がいる
どんなときでも助けてくれる、
二人で一人の名探偵が――



風都探偵



「「さあ……お前の罪を数えろ!」」


『風都探偵』とは、かつて平成ライダーシリーズ11作目として放送されたテレビドラマ『仮面ライダーW』の漫画作品。


脚本は三条陸、作画は佐藤まさきが担当(クリーチャーデザインは寺田克也)。
監修に塚田英明(東映)が名を連ねている。



●目次


【概要】

『仮面ライダーW』テレビシリーズのその後の風都を舞台にした“彼ら”の新しい活躍を描く正統続編である。


2017年8月7日よりビッグコミックスピリッツ誌にて連載開始。
そのため2020年途中まで同じ雑誌に「本物の仮面ライダーが大活躍する漫画」と「実在特撮をぼかしつつ特撮ヲタあるあるを描いた作品」が一緒に掲載されていた。
青年誌での連載となるためか、ニチアサでは描かれなかったバラバラ死体を始めとするグロテスク要素や、女性の乳首の露出といった性的描写なども増えている。


サブタイトルは『仮面ライダーW』と同様に最初にアルファベットが付くようになっているが、
大文字はすでに本編及び小説版でコンプしたこともあってか、本作では小文字で表記されている。
また、本編が一貫して前後編形式だったことのオマージュなのか、基本的に単行本1巻分で1つの事件を解決するフォーマットになっている。


詳しい時系列は不明だが、アクセルブースターが登場することから『W RETURNS』終了後、
照井夫妻に子供がいないことから『W』本編の5年後とファンから推測されている『ドライブサーガ 仮面ライダーチェイサー』よりは前。
これらのことと、本編最終回(2011年)に登場した小6設定の青山晶が中学生になっていることから、本作の時系列は2012~2014年の間ではないかと推測されている。
なお、オーズやドライブなどの共演経験のある別作品のライダーが登場するかは現状不明である。*1
そのため、『W』ブランドの関連作品は一通り視聴した上で本作を鑑賞することをおすすめする。


『仮面ライダー』シリーズ生誕50周年を迎えた2021年4月3日に、仮面ライダーシリーズ史上初となるアニメ化が決定。
2022年8月からU-NEXTにて先行配信が開始され、その後地上波でも放送を開始した。


アニメーション制作はスタジオKAIが担当。同社はアニメ版『ウマ娘』(2期以降)で著名であり、スタッフも一部共通しているためか、ゲスト声優陣に『ウマ娘』出演者が多かったり、背景やモブに同作を意識したネタが仕込まれている事なども話題になった。



【登場人物】

項目のあるキャラクターはリンク先を参照。


◇仮面ライダーWより引き続き登場

なお、翔太郎とフィリップは「似顔絵になっちゃダメだ」というこだわりから、
担当俳優である桐山漣や菅田将暉とは多少異なる独特の容姿となっている。
(当初、肖像権とかもあるためでは?と考察されていた)
アニメ版でのメインキャラクターの担当声優は、ゲームKAMEN RIDER memory of heroez』から引き続き起用されている。


左翔太郎仮面ライダーW
CV:細谷佳正
本作でも「二人で一人の探偵」となる主人公。
後ろ髪がボサボサ状態になり、松田優作感が大幅に上昇している。
(もともと『探偵物語』の工藤俊作のオマージュが多かったキャラだが)
「ハードボイルド」に振る舞おうとするが、結局は相変わらずの「ハーフボイルド」である。
愛機である「ハードボイルダー」と愛用する携帯電話型ガジェット「スタッグフォン」は、今作でも健在である。


序盤はフィリップと揉めているところも多少はあったりはしたものの、
第5話「tに気をつけろ5/犯人ヤツはそこにいる」にて真犯人の「ロード・ドーパント」を前に、ついに「仮面ライダーW サイクロンジョーカー」に変身した。
そして、第26話「閉ざされたk8/究極は二人で一人」にて、ついに「サイクロンジョーカーエクストリーム」に変身した…!

1巻の後日談に当たる「tに気をつけろ+α/住み着いた魔女」にて、自宅(自室?)が公開された。
…もっとも、「いつも仕事仕事でなかなか帰られていない」とのことで、現在はときめが寝泊まりしている。
(翔太郎自身はこれまで通り事務所で寝泊まりしている)


更に、回想エピソード「sの肖像」では、
幼少期は事故で両親を亡くしており、風都に住んでいた親戚に引き取られていたことが明かされた。


フィリップ(園咲来人)仮面ライダーW
CV:内山昂輝
本作でも「二人で一人の探偵」となる翔太郎の相棒。
実写媒体の『W』では普通の黒髪だったが、本作では髪の色がサイクロンやエクストリームの光っぽいグリーンで表現されている。
本作においても本を片手に持っている様子が描かれており、「『地球の本棚』の検索」も健在。*2
翔太郎が女性に夢中になるさまにジェラシーを感じていることを自覚する場面も。


第13話「最悪のm5/フィリップの結論」では、翔太郎が負傷中だったこともあり、「ファングジョーカー」に初変身する。
第8巻「bたちの宝物」では、フィリップの人間としての成長と新たな苦悩が描かれる。


鳴海亜樹子(照井亜樹子)
CV:小松未可子
鳴海探偵事務所所長。
本作でもあの「スリッパ」は健在。実写だと浮くところもあるコミカルな言動が存分に発揮される。
後述の通り夫は風都署の刑事ではあるが、ドーパントが現れた時以外は依頼人の秘密を守るようにはしている。
戸籍上は「照井亜樹子」だが、鳴海探偵事務所の所長であることもあり、仕事上は旧姓を通り名としている。
事務所で預かることとなったときめの世話を焼くが、慣れてくるうちに亜樹子の専売特許たる「身体受け止め要員」の役を取られがちになっており、ちょっと気にしている。


ミック/スミロドン・ドーパント
CV:高戸靖広
第16話「cは何処に1/猫探しの天才」より登場。
かつて「ミュージアム」こと園咲家で飼われていたネコ。実質的なミュージアム幹部唯一の生き残り。
本編ラストで身寄りを失い、現在は鳴海探偵事務所で飼われている。
そんな中でいつの間にか「第三の探偵」ポジションを確立した模様。
第17話「cは何処に2/獣の呼ぶ声」の回想シーンでのみ、ドーパント態が登場している。
他の猫に比べて知性が高い上に、猫としては老齢でもあるせいか、立ち振る舞いが「翔太郎よりもハードボイルド」ともっぱらの評価。


照井竜仮面ライダーアクセル
CV:古川慎
亜樹子の夫である風都署の刑事。
本作においても「俺に質問をするな……!」は健在。


第14話「最悪のm6/白い牙」にて、シルエットの状態で変身シーンはなかったが、
「仮面ライダーアクセル」に変身して「メガネウラ・ドーパント」の分身体を蹴散らしていた。
(「片付いたか?だと……フィリップ、俺につまらん質問をするな」とお決まりの台詞を言うファンサービスもあった)
後に第24話「閉ざされたk6/真紅の援軍」にて変身シーンが公開。
更に、第25話「閉ざされたk7/おそるべき真実」では「アクセルトライアル」への強化変身も公開された。
第64話「闇はoの巣9/俺は死なない」では、Vシネマ以降の「アクセルブースター」にも変身した。


翔太郎&フィリップほどデザインが変わっておらず、髪型やジャケット、そして『W』での演者・木ノ本氏ゆずりの眼力は健在。
また、第63話では公式Twitterの予告編にて『照井竜、散る――』というアオリとともに血まみれで倒れる姿が公開されたが、
彼の不死身っぷりを知るファンは「どうせ来週には変身してる」と何一つ心配していなかった。あとここで死んだらVシネに繋がらなくなっちゃう
実際のところはその週のラストで変身していたため読者の予想すら振り切っていたが。
ちなみに当該場面は生身で巨体のドーパントにぶん殴られたうえ、ビルから落下し地表に叩きつけられたところ。


◆風都イレギュラーズ
CV:伊丸岡篤(ウォッチャマン)、貫井柚佳(リリィ白銀)
翔太郎の友人たち。
本編後なのでサンタちゃんはペットショップを経営、「店長」と呼ばれるようになっている。
クイーンとエリザベスは大学に進学し、アイドル活動も並行して行っている。
本作にて、フランク白銀&リリィ白銀もイレギュラーズであることが判明。
フランクが開いた喫茶・白銀はイレギュラーズの情報基地と化している。


◆青山晶(あおやま あきら)
CV:小林大紀
「風都イレギュラーズ」の新たな一員であり、イレギュラーズの中では最年少の中学生。
ニチアサ版最終回である「Eにさよなら」での依頼人である。(当時小学6年生)
『自分一人では何も出来ない』とあっけらかんかつ爽やかに公言するところは変わらず、それゆえに人に頼るのが上手で、
とても可愛い女クラスメイト(翔太郎曰く「彼女」)が喜んで晶の頼み(内容は鳴海探偵事務所の依頼に関わる噂話)を引き受けるほど。
庇護欲を起こさせるタイプなのだろうか。


鳴海荘吉/仮面ライダースカル
鳴海探偵事務所の初代所長。亜樹子の父親にして、翔太郎の師となった人物。
TV版及び本作ではすでに故人となっているが、翔太郎の幼少期からビギンズナイトまでを回想するエピソード「sの肖像」にて登場。
スパイダー・ドーパント(マツ)を手に掛けて以降は、その精神的ショックから探偵業を休業して事務所に引きこもっていたが、幼少期の翔太郎と出会い…
ビギンズナイトでの彼の細かな行動も描かれる。


◆シュラウド(園咲文音)
本作ではすでに故人だが、回想エピソード「sの肖像」にて登場。
マツを手に掛けた自責の念で引きこもっていた鳴海荘吉に、ドーパント出現の報せを送り…。


◆楠原みやび
TV版では「少女…A」の依頼人だった元風都市議会議員。
本作では第8巻「bたちの宝物」に登場、ある事情で翔太郎は彼女に協力を依頼することに。
娘のあすかは写真でのみの登場だが、進学している模様。


◆ジミー中田(中田次郎)
TV版では「唇にLを」に登場したミュージシャン。
本作では第9巻「fに感謝を」に登場。
歌唱力は相変わらずではあるが、「すっごい響く」と評判で、風都感謝祭にも呼ばれている模様。
彼の唯一のファンの墨田ゆきほは回想シーンのみの登場だが、なんと劇場版「AtoZ」までに彼女と結婚し、子供も授かっていたことをさらっと明かしている。


◆轟響子
TV版では「Kが求めたもの」の依頼人として登場し、本作では「死神はlの顔」での依頼人となる女性。
園咲家の跡を引き継いで風都博物館の館長を勤めている。
相変わらず無理難題で翔太郎を振り回している模様。
TV版より服装が大胆になった。



◇本作より初登場

[[◆ときめ>ときめ(風都探偵)]]
CV:関根明良
「tに気をつけろ」より登場。本作におけるヒロインポジション。
「T字路の魔女」と呼ばれている謎の女性。何らかの影響で記憶を失っている模様。ときめきクライシスのバグスターではない
髪型は紫髪のロングヘアー。胸以外の所は透けている服を着ているという、いろいろな意味で非常にヤバイ格好で登場し、
さらには早々に裸体も披露するなど、本作がニチアサではなく青年誌の作品ということを読者に示した。


道行く人物から追い剥ぎして生活しており、風都に存在する「夕凪町」という場所のT字路で姿を消すため「T字路の魔女」と呼ばれている。
また、彼女が姿を消すT字路付近ではバラバラになった人間の死体が見つかっており、「ロード・ドーパント」となって連続殺人を行っているのではないかと疑われる。
T字路じゃなくて丁字路だ!という主張をしたいために市民を襲ってるのでは?という推測を一部読者にされることに

当初は「ROAD(ロード)」のガイアメモリを持っていると思われていたが、実際は彼女が持っていたガイアメモリは破損しており、使えない状態だった。
ロード・ドーパントの容疑は晴れたが、窃盗犯であることは変わらないため、照井竜に連行された。その際に、翔太郎にキスを残した……

一度逮捕されたものの、記憶喪失であることと、メモリの正体が不明であるということもあり、
照井竜の計らいで、保釈扱いとして鳴海探偵事務所がその身を預かることに。
亜樹子曰く「保護観察のようなもの」らしく、翔太郎の助手として働くことになった。
「最悪のm」ではフィリップと馬が合わず、いがみ合っていたが、後にフィリップが「無自覚な嫉妬」だったことを自覚して謝罪。
彼から喧嘩になる前から制作中だったピンクのスタッグフォンを受け取り、現在は良好な関係を築いている。

パズル・ドーパントとの戦いの途中、フィリップが解析を進めていたガイアメモリの回路が偶然つながる。
そして、パズル・ドーパントとの戦いの後、遂にガイアメモリが特定された。
そのガイアメモリはなんと、翔太郎のものと同じ「JOKER(ジョーカー)」だった。

事件の後、ジョーカーメモリをの修理をあらかた終え、亜樹子の立ち会いのもとでジョーカーメモリの起動ボタンを押す。
……しかし、体のどこにも生体コネクタの跡は見当たらず……?


演じる関根明良氏は、「『W』で明かされた情報をほとんど何も知らない」ときめ役の演技に説得力を持たせるべく、敢えて事実上の前作にあたる『仮面ライダーW』を視聴していないという。
それもあってか、本編でときめが仮面ライダーアクセルに変身した照井に「俺に乗れ」と言われて盛大に困惑する場面では、劇画チックな演出の力もあるが、本気で驚き、困惑しているような関根氏の演技も視聴者の笑いを誘った。


裏風都

風都そっくりの風景が広がる別世界で、本作の敵組織。出入りにはビゼルという特殊な通行手形が必要。
下の「キーワード」の項で詳述する。


◇裏風都の幹部

変身せずとも一種の超能力が使用可能である「ハイドープ」と呼ばれる存在ばかり。
また、幹部の名前には日本の紙幣の要素が見られる。


◆万灯雪侍(ばんどう ゆきじ)/オーロラ・ドーパント
CV:小野大輔
「裏風都」の住人たちを纏める男性。常に白のスーツを着込み、藤色の長髪の一部を編み込んで虹色のメッシュを入れ、金のリングで留めている。
高いカリスマ性を持ち、裏風都に関わるドーパントの実力者たちは彼を信奉し、その指示に忠実に従う。
接触はしたが見込みのなかった変身者を証拠隠滅の為に消したり等身内でない者には冷酷な性格である一方で、ハイドープに至ったドーパント変身者には寛大な性格。
各人の能力向上や行動理念には余程下手を打たない限り口は出さず見守るスタンスをとっており、精々が一葉の衝動的な快楽殺人に苦言を刺すくらい。
相手の発言を「そうは言わない」と否定し、訂正する癖がある。


ロードが作り出した「裏風都」を「私達の街」と呼び、そしてときめを知っている様子をも見せている。
ミュージアムを「旧組織」と呼ぶ一方、自分らのことは「組織」と言わず「街」と呼ぶ。
裏風都を作り上げた目的は不明だが、ミュージアムを打倒した「仮面ライダー」のことは警戒しており、
極力かかわらない方針を取りつつも、偶然出会ってしまうこともあって「人とメモリはひかれあう」因果を感じてもいる。

「超人r」の事件が終わった後、フィリップは彼の名前で検索した結果を明かす。
以前は「財団X」と関わっていたらしいことが「地球の本棚」に記されていたが、途中のページが空白になってしまっていた。


つまり、「地球の本棚」には「裏風都」へ渡ってからの記録が一切残されていないということになり……


名前の由来は「一万円札」と、肖像画に選ばれた一人である「福沢『諭吉』」か。


舞台版ではなんとかつて園咲霧彦/ナスカ・ドーパントを演じた君沢氏が演じることとなった。


五条一葉(ごじょう かずは)/スクリーム・ドーパント
CV:伊藤美来
「最悪のm」で初登場した裏風都の住人。腰まで届く黒髪のロングヘアーで、ゴスロリ風の服に身を包んだ不気味な女性。
自分が殺した相手との自撮り写真をコレクションするという悍ましい趣味の持ち主。*3
「なんて悪趣味なんでございやしょう!」
自身が気に入った相手に対しては「シュキィィィィィ」という奇声を発する。
「閉ざされたk」で戦った照井を気に入ったらしく、「pは悪魔だ」以降標的として付け狙うようになってしまった。
「闇はoの巣」で名字が判明、同時に鳥羽音吉が塾長を務める王道学習塾の出身であることも判明した。


名前の由来は「五千円札」と肖像画に選ばれた一人である「樋口『一葉』」か。


アニメ『風都探偵』で声を担当した伊藤美来氏は、かつて仮面ライダーが無関係な番組にて私物のDXオーズドライバーを持ち込んだばかりか、
しっかりと変身ポーズを再現する(しかし不具合で音が鳴らなかった)ほどの特撮・仮面ライダー好きで知られている。
また、本作の放送直前に完結した『仮面ライダーリバイス』(ラブコフの声)にも出演しており、時期の近い二作連続で仮面ライダー作品に参加することとなった。


◆千葉秀夫(ちば ひでお)/ブラキオサウルス・ドーパント
CV:藤原夏海
「最悪のm」でスクリームと共に初登場した裏風都の住人(人間態は「pは悪魔だ」で初登場)。
変身者は仕立ての良い服を着た少年。
万灯の補佐役で、単独行動をしがちな一葉を諌める姿も見られる。
目を見た相手に思念波を送り、行動を制御するという能力を持つ。
「超人r」では裏風都に誘き寄せたときめに対して使用し、餌に使ったビゼルを回収しついでにけしからん行動もとった。
「bたちの宝物」で名字が判明。


ヘルスタイン博士の肖像画に故意に消された部分があることを突き止めたフィリップ。それを解析すると、そこには今と変わらない秀夫の姿が確認できた。


そこから導き出されたのは財団Xの前身である組織に属していた「ハルバー・ヘルスタイン」の実子であること。
本名は「フィルデオ・ヘルスタイン」。偽名は父に捨てられた彼の母親「千葉房枝」から。


不老不死の実験をしていたヘルスタイン博士は息子を実験台にしており、秀夫の年齢は子供のままで止まっていたのだった。故に実年齢は60歳程度。
この事から大人びた態度や性格、上述のときめに対するセクハラ行為などが合点するであろう。


ある意味裏風都では最重要メンバーといえ万灯も重鎮かつ年上であることから二人になったときに敬語を使うこともあるが本人は大人扱いされるのが嫌いらしい。
上記で説明されているフィリップへの態度も同じく父親の所為で人生を変えられた人間に対する対応であった。


名前の由来は「千円札」と肖像画に選ばれた一人である「野口『英世』」か。


◆二階堂守(にかいどう まもる)/リアクター・ドーパント
CV:乃村健次
「pは悪魔だ」で初登場した裏風都の住人。
筋骨隆々の大男で、角刈りの頭にサングラスをつけたイカつい風貌が特徴。
一葉や秀夫のワンランク下の幹部にあたり、街のエネルギー管理と番人を務める。
ハイドープとしての能力は両目から放つ熱線で、鉄を容易く切断する威力を持つ。

蘭堂機械製作所の評判を聞きつけ、廉太郎に冷却装置の部品の製作を依頼する。
その後、裏風都に迷い込んだ廉太郎の捜索中、同じく捜索のために踏み込んだ仮面ライダーと遭遇。
リアクターに変身し、部下のロードたちと連携して排除することに成功する。


その後、冷却装置で体を冷やしていたところ、裏風都からときめと廉太郎が脱出。
さらに翔太郎が見つけ出した試作品を使ってフィリップが検索し、その性格から冷却装置を風都に置いていることを推理され、居場所を突き止められる。
協力を断った廉太郎を始末しようとするが駆けつけた翔太郎たちに妨害され、ガンナーAによって冷却装置を破壊されてしまう。
激怒してリアクターに変身するが、エクストリームとなったWには手も足も出ず圧倒される。
ときめを人質に取って武器を捨てさせるも、ダブルプリズムエクストリームを受けて膨大なエネルギーを叩き込まれ、体が耐えられずメモリブレイクされた。


しかし、まだ意識を残しており、余熱を全力で放出することで部下のロードを焼き殺し、熱暴走による爆発で裏風都への道を閉ざした。
上半身はオーロラによって回収されており、彼の手の中で看取られながら塵となって死亡した。


名前の由来は「二千円札」と表面及び透かし部分に描かれている「『守』礼門」か。


◆双見光(ふたみ ひかる)/クラブ・ドーパント→リアクター・ドーパント
「fに感謝を」で初登場した裏風都の住人。
変身者はソバカスが特徴的な青年。
元々はストリートギャング”蒼炎群“所属で「ヒカル」と名乗っていた。この組織は「ある集団」を崇拝しているようだが…?

描写からパシリや実行役を担う、組織の末端メンバーに当たるらしく、
リーダーである風吹鉄男に入手したガイアメモリの性能を見極める為、体のいい実験台として利用されていた。
そんな自分の境遇に不満を抱いてはいるが、元来小心者である彼は逃げ癖がある事も手伝ってメモリの携帯を許されていない。

対外的にはヒカルと名乗っていたが、本名はどうやら警察の捜査力でも判明しなかったらしく、9巻ラストで初めて名乗った。


使用経験のあったマグマやコックローチ等よりも、再生能力に長けたメモリと特別に相性の良い体質だったらしく、
Wとの戦いでは同じクラブメモリでドーパント化した鉄男よりも遥かに優れた自己再生能力や、
マキシマムドライブを叩き込まれても直ぐに立ち上がるほどの回復力といった鱗片を見せていた。


自分達が推し進めるとある計画の要となるはずだった『二階堂守の後継者』を探していた万灯はそんな彼の高い素質を見込み、
密かに住人の証でもある「ビゼル」とリアクターメモリを彼に支給。
Wに倒されたあと警察病院に運び込まれる途中意識を取り戻し、鉄男を焼き殺した後逃亡しドライバーを授かる。
彼が変身したリアクターは、さらなる高温かつ安定を示し、そして彼を含めた蒼炎群の崇拝する、風都史上最悪の犯罪者と同じ「青色の炎」を噴き上げていた。


名前の由来は二階堂と同じく「二千円札」と、その裏面に描かれている紫式部+源氏物語から「『光』源氏」か


◇ゲストキャラクター

+ 1巻収録「tに気をつけろ」-

◆坪崎忠太(つぼさき ちゅうた)
CV:新垣樽助
「tに気をつけろ」での依頼人。常におどおどとした態度の男性。32歳。
北海道から風都へと出稼ぎに来たのだが、T字路の魔女こと「ときめ」にバッグを盗られてしまう。
しかし、その際ときめに一目惚れしてしまったらしく、もう一度会うために鳴海探偵事務所に捜索を依頼した。

◆トードストール・ドーパント
盗られたバッグの中に入っていたのは、なんと「TOADSTOOL(トードストール)」のガイアメモリ。
一目惚れとは真っ赤な嘘で、自身のガイアメモリを取り返すのが本当の目的だった。
ミュージアムが健在だった頃に一度風都に来ており、その際にメモリを試用したことで夢中になる。
再訪した際に大金を払ってメモリを入手するも、ときめにバッグごと奪われていたのだった。
ロード・ドーパントの一件が終わった後、翔太郎はこっそりそれを抜き取った上で説得を試みるが、
説得が通じぬまま彼は「TOADSTOOL」のメモリを使おうとする。
しかし、最終的に連絡を受けて来ていた照井竜に阻まれ、そのまま逮捕されることとなった。


◆立川蓮司(たちかわ れんじ)
CV:小西克幸
夕凪町のT字路に建っている「立川ビル」のオーナー。
「T字路の魔女」の噂のせいで部屋が埋まらないと嘯いており、自身の用心棒も連続殺人の被害に遭っている。
しかし、暴力団や詐欺集団等にビルを貸しているなどの黒い噂も絶えない。

坪崎から証拠隠滅のための依頼を受けており、部下を引き連れて翔太郎とときめを抹殺しようとする。
しかし、飢餓感から暴走したサブに拳銃で顔面を殴られてしまった。その後は駆けつけた警察に部下共々逮捕されている。


ロード・ドーパント
「tに気をつけろ」におけるドーパント。巨体で、舗装道路や信号など、道路の印象をした姿をしている。
メモリの特性から凄まじい飢餓感に襲われており、T字路付近で連続殺人を繰り返している。

◆サブ
CV:興津和幸
前述の通り、ときめのメモリは破損しており、彼女は「ロード・ドーパント」ではなかった。
真犯人……そして、「ロード・ドーパント」のその正体は、立川の部下の一人の「サブ」だった。
立川に対する忠誠心はひとかけらもなく、餌を得るための隠れ蓑に過ぎなかった。
ときめと翔太郎を取り囲んだ際に反旗を翻し、立川をブン殴った上でロード・ドーパントに変身。
その場の全員を殺害して飢えを凌ごうとするも、仮面ライダーWに変身した翔太郎とフィリップに阻まれる。
「裏風都」に逃走するも「ジョーカーエクストリーム」でメモリブレイクされ、立川共々逮捕された。
……しかし、メモリに手を出した動機、そして何故人を喰ってまで「裏風都」を作り出したのかすら不明のままで……?


◆宝石強盗/コックローチ・ドーパント
ガイアメモリの力を悪用して宝石泥棒をしていたドーパント。
飛んで逃げようとするも、ヒートメタルの「メタルブランディング」によってメモリブレイクされた。
「COCKROACH(コックローチ)」のメモリは量産されているらしく(フィリップ談)、
「Cを探せ」や「Eにさよなら」の変身者とは別人である。
ちなみに雑誌掲載時のキャラクター紹介では過去に変身していた人物として「ホテルの従業員」が挙げられており、
小説「Zを継ぐ者」での事件についても触れられている。


+ 2巻収録「最悪のm」-

◆真島伸太郎(まじま しんたろう)
CV:赤羽根健治
「最悪のm」での依頼人。
風都に構えるゲーム会社「マックスソフト」のエグゼクティブプロデューサー。森口もな子の上司に当たる。
通称マジP声はバネP。

厳しく接しているものの本当は森口を大事に思っており、事件が終わった後、
殺害予告を無視してイベントを決行させようとする重役と喧嘩した末に会社を辞める事となったことを告白。
起業する道を選び、森口と二人三脚で歩いていくこととなる。


◆森口もな子(もりぐち もなこ)/風祭メグ(かざまつり -)
CV:Machico
マックスソフトで働くプログラマー。
化粧っ気もなければ着ている服にも頓着していない、まさしく喪女と言わんばかりの風貌のオタク風な女性だが、
そのもう一つの顔は、社で展開中のゲーム作品「モンスターエルドラド(通称モンラド)」のキャラクターを公式で演じるコスプレアイドルであった。
まさしく風祭メグ本人と称されるほどの再現度もさることながら、ゲーマーとしての腕前も高く、
公式イベントの対戦企画で、チートを使ってまで勝とうとしてきた相手を正攻法で返り討ちにしたこともある。


一般には正体が知られていない彼女を守ることがこの事件における依頼内容となる。

本性は見ての通りなため、アイドルをやめてプログラマーとしての仕事に集中したいと公言していたが、
無自覚ながらもファンの歓声が嬉しかったことを翔太郎に指摘されて以降、自分に自信を持てるようになった。
事件が終わった後は、真島についていくことを選び、マックスソフトを退社・独立していくこととなる。


◆小泉みどり(こいずみ -)
CV:大西沙織
もな子をメグへと変身させる社員5人組「チーム・メグたん」のリーダー。
眼鏡と編み込んだ髪型が特徴の女性で、一瞬のうちに別人のように変身させるメイクの腕前を持つ。

今回の事件の実質的な黒幕。
自分が何年も芽が出ず裏方に徹しているのに対し、容姿も人気もすべて備えているのにやる気がないもな子のことを憎んでいた。
そのため美原の連絡先を調べ上げ、シークレットライブの予定や警察の捜査情報などをリークしていた。
憎さのあまりメグの正体すら美原にリークしてしまうが、Wやときめの活躍によって失敗に終わる。
事件解決後は風都署にて事情聴取を受けることとなった。


◆美原睦夫(みはら むつお)/メガネウラ・ドーパント
CV:沖野晃司
風祭メグに対する殺害予告を送りつけた人物。なんか妙に声優陣が同じ会社が担当した別のアニメっぽくなっている
メグのシークレットライブにドーパント態で突如として現れ、マキシマムを受けてもメモリブレイクされず、逆にWを追い詰めてしまう。
その正体はゲームライターであり、「マーダー」というHNで各地で戦績を残すゲーマー。
しかし、非常にプレイスタイルが汚く、改造データすら使用する卑怯なダーティーゲーマーである。


ゲームイベントの対戦コーナーでメグ(もな子)をまさか開発者とは知らずからかおうとし、逆にボコボコにされたことに対する逆恨みが動機。
ある人物からメグの正体を知らされ、もな子を直接襲撃するもときめの奮闘によって失敗。

風都警察署病院で入院中のところ、オーロラ・ドーパントに実力の底と性根*4を見限られ殺害される。
その際、死体はボロボロになった骨の状態で発見されたという。


+ 2巻収録「cは何処(いずこ)に」-

◆中条朱美(ちゅうじょう あけみ)
「cは何処に」での依頼人。
ふくよかな体型の女性で、父の葬儀のゴタゴタの中でいなくなってしまったチャオを探してほしいと依頼する。

家族全員、本性は遺産を独占しようとするがめつい性格で、遺産の分配を巡って常に争っていた。
チャオの首輪の宝石をいち早く入手しようと依頼に訪れるが、同じ考えの全員が鉢合わせしていたのだった。


◆中条巌(ちゅうじょう いわお)
依頼人の父親で資産家。依頼対象であるチャオの飼い主。
家族には厳しく接する反面、チャオに対してだけは優しい表情を見せていたという。

実は家族との仲はまったく良くなく、自身が生きている頃から遺産を巡って争う家族達に辟易しいつも叱りつけていた。
チャオに宝石つきの首輪を贈ったのも「ただ喜んでほしい」という一心で、そう思える相手がチャオしか残っていないのだった。


◆チャオ
依頼対象のネコ。ラグドールの♀で7歳。かつては依頼人の父が飼っていたが、葬儀中に行方不明となる。

カラカル・ドーパントの発する悲痛な声に反応し、彼女を癒すために他の猫とともに下水道に留まり続けていた。
ミックに連れられた翔太郎たちに発見され、カラカルがメモリブレイクされたことで保護された。

依頼人が探していたのはチャオ自身ではなく、チャオの首輪に付けられていた宝石、「マリーナ・エメラルド」だった。
依頼人が言うには18億もする宝石らしく、遺族たちがそれを巡って争っていたのだった。
最終的にはチャオは亜樹子が引き取り、彼女の手によってその首輪は何処かへと投げ捨てられた、そして……。


◆蝶野麻友(ちょうの まゆ)/カラカル・ドーパント
結婚詐欺にあい、ヤケになってメモリに手を出してしまった女性。32歳。
ガイアメモリが不良品だったがために、不具合によって人間に戻れなくなっていた。

別件の依頼が解決して数日後、その依頼で探していたネコのチャオと対面。
彼女が一番自分を心配してずっと離れなかった子であると知り、
「退院して罪を償った*5ら……この子と一緒に暮らしていいですか?」
と、涙を流してチャオを預かることとなった。その際にフィリップはアニマルセラピーの事を語りだす。


+ 3巻収録「閉ざされたk」-

◆鏡野空也(かがみの くうや)
CV:楠大典
風都内の山間集落である錐通村に構える富豪・鏡野家の現当主。
髪をオールバックにした身なりのいい男性で、遺産を切り売りして自堕落な毎日を送っていた。
翔太郎たちを屋敷に招いた際は錐通村の古くからの風習により、『仮面夜会』と呼ばれる嫁選びの儀式を行っていた。
敷地内で殺人が起きても堂々としており、「生き残った女は怪物以上だ、もちろんその女と結婚する」などと宣う。

祖母と屋敷を失った後は、新たな一歩を踏み出す事となる。
本来環奈を花嫁として選ぼうとしていたが、祖母と家の真実を知り自分の不甲斐なさを自覚。
自分で働いた資金で依頼料を払うことで祖母の供養とすると同時に、環奈に向き合える地にしっかりと根を張れるような男になるべく一歩足を踏み出していく決意を語る。
その雄々しい姿に翔太郎から飲みに誘われるが、
実は仮面夜会を執り行う際に手に持っていたのはウィスキーに見せかけた烏龍茶。
なんと彼は下戸であった=アルコール・ドーパントには絶対になれないというオチがあった(翔太郎たちも最初からそれを知っていれば容疑者から外していたのにと嘆いていた)。


その後、131話(単行本15巻)で再登場。
ハングリードーパントの戦闘後、倒れた翔太郎を救出した。


◆久保倉環奈(くぼくら かんな)
CV:菊地美香
『仮面夜会』に参加する、花嫁候補の一人。26歳。
製薬会社に勤めるごく普通のOL。遭難して途方に暮れていた翔太郎、フィリップを鏡野邸に招いた。
ドーパントによる殺人が起きた翌晩に突然、翔太郎に「花嫁になれなくてもいいから助けて」と訴える。
大人しい女性であり、他の候補のように花嫁になろうという動機自体があまり感じられないが……?

実は一番初めにアルコールメモリを使用した人物。しかし体がメモリを受け付けずに昏倒してしまい、その時の記憶を「酔って」失っていた。
『仮面夜会』に参加したのはずっと仕事一筋だったことで趣味もなくいい年になってしまい、何か大胆なことをしたかったため。
事件解決後にそれを聞いたくるみから「パーッと大胆なことしたいなら一度自分の店に」と招待を受けていた。


◆財前暦(ざいぜん こよみ)
CV:上田瞳
『仮面夜会』に参加する、花嫁候補の一人。23歳。
関西出身の芸者の卵で、参加者で唯一和服を着ている。
鏡野邸の周辺で樹の枝に突き刺された彼女の死体が発見されたところから事件が始まる。

環奈の次にアルコールメモリを使用した人物。偶然廊下で倒れていた環奈を発見し、メモリだけを奪っていた。
翌日、夜会中に喧嘩になった蛍を殺害しようとするも、メモリとの相性が悪く中毒死してしまった。
文字通り酒に酔った表情で死亡しており、枝に刺されたのは脅かした仕返しとして蛍によって死後に行われたものである。


◆有藤蛍(ありとう けい)
CV:石上静香
『仮面夜会』に参加する、花嫁候補の一人。21歳。
元グラビアアイドルで、露出の激しい黒い衣装を着ている。
一件目の殺人の起きた翌日、浴場で何者かに殺されたらしき姿で発見される。

暦の次にアルコールメモリを使用した人物。Wが最初に戦ったアルコール・ドーパントは彼女である。
比較的体質が合っていたらしく、暦の死体を枝に突き刺した後、駆けつけたWと交戦した。
翌日、口論となったくるみを殺害しようとするも、その場所が浴場であったことが災いしてしまう。
お湯で血行が良くなったことが悪影響となり、こちらも中毒死する結果となってしまった。


◆難波くるみ(なんば -)
CV:篠原侑
嫁候補の一人。24歳。
風都市内の歓楽街で働く、典型的な「夜の女」。赤い派手なチャイナドレスを着ている。
蛍の死体の第一発見者となった。

いい子ぶって花嫁選びをかき乱そうとした環奈が気に食わず、蛍の死後に奪ったアルコールメモリで殺害しようとするが、環奈に変装したフィリップによって未遂に終わる。
彼女自身のアルコールメモリの耐性は不明だが、例え適応していても闇の女として生きる道に行かなかったのは幸運だっただろう。
その後は環奈と共に生存し、色々あったことで敵意も薄れたのか事件解決後は環奈を自分の店に誘っていた。


……つまるところ、この事件では花嫁候補がそれぞれ1人を除いて「ドーパントに変身」・「殺意を持って行動」したのに、
4人とも誰も殺しておらず、連続殺人に見えて自分から中毒死していただけという、珍妙な真相が隠れていたのだった。


◆金森大介(かなもり だいすけ)
翔太郎たちと同じタイミングで、『仮面夜会』に居合わせた客人。25歳。
木枯坂で古美術商を営んでおり、相談役として招かれたとのこと。

◆万灯雪侍/オーロラ・ドーパント
その正体はオーロラ・ドーパントこと万灯雪侍。
翔太郎たちが事件の推理を進めていったことで潮時だと判断し、スクリームとブラキオサウルスを呼び寄せる。
アルコール・ドーパントの撃破後はWたちの前に変身して現れ、「機会があればまた会おう」との言葉を残し去っていった。
なお、「金森大介」は風都の木枯坂に実在しているが、名前以外は全くの別人だった。


◆アルコール・ドーパント
今回の事件のドーパント。
後述の通り変身者は意識がはっきりしておらず、痛覚も鈍っているようだった。

『仮面夜会』の花嫁候補全員で、Wと交戦したのは前述の通り有藤蛍が変身した個体。
何者かによって生体コネクタ手術が行われ、シルバーメモリの実験体にされていると推測されたが…。


◆鏡野キク(かがみの -)
CV:八百屋杏
空也の祖母。デフォルメ体型のいかにもな老婆。
『仮面夜会』のルールのため、彼女も仮面をつけての登場だった。

◆アルコール・ドーパント(真犯人)
その正体はアルコール・ドーパントの真の変身者。
そして「ハイドープ」と呼ばれる超能力者の一人でもあり、念力で物を自由に動かすことができる。
実は昔から園咲家と裏で繋がっており*6、多くの「仕事」で鏡野家を守っていた。
しかし自分の死期を悟り、万灯の協力を受けて後継者選抜を開き、密かに花嫁候補たちに生体コネクタ手術を無断で施していた。
悪行にこそ手を染めていたが孫を想う気持ちはまごうことなき本物。
自分の死後も孫に今のような不自由ない暮らしを続けさせるため、自身の裏家業を引き継ぎアルコールメモリに適応可能な才能を持ち、
尚且つ孫を守って家を繁栄させられる選りすぐりの悪女を風都の女の中から選抜するため仮面舞踏会を開いていた。


アルコールメモリの真の変身者だけあって老体にも拘らず戦闘能力は花嫁候補とは段違いであり、
ドーパントの向上した身体能力による格闘術やアルコールを引火させるなどの能力の応用等、
「私のアルコール使いは年季が違う」との言葉に恥じないメモリを十二分に使いこなした力を見せており、
フィリップからも「ものすごい」、「有藤蛍の変身体とは全く強さが違う」と言わしめるほど。


恐るべきはガイアメモリが流通したのは十数年前、流通初期に手に入れたとしてもその頃には既に老体*7でありながら、これだけの習熟を見せている点*8


最終的にはサイクロンジョーカーエクストリームの「ビッカーチャージブレイク」でメモリを露出され、そこに直接「ダブルエクストリーム」を受けてメモリブレイクされた。
結果、老人であるキク本人へのダメージは最小限に抑えられた。
しかし、前もって自分が負けた時に屋敷に火を放つよう執事に伝えており、空也に「強くお生き…」と伝え、燃えゆく屋敷と運命を共にした…。


◆木村正(きむら ただし)
鏡野家の執事。10代の頃から鏡野家に仕えている壮年の男性。
彼もまた『仮面夜会』のルールに乗っ取り、仮面をつけている。

当主のキクに加担しており、彼女が負けた際には屋敷に火を付けるよう頼まれていた。
彼女がWに敗れると頼み通りに屋敷を燃やし、自身もキクと共に炎に呑まれた……


◆謎の分裂体
事件の真相に近づきつつあった翔太郎たちに突如襲いかかった軍勢。
その正体はブラキオサウルス・ドーパントが生み出した、マスカレイド・ドーパントを模した分身体。
ブラキオサウルス本人からは「ボーンズ」と呼ばれている。


+ 4巻収録「pは悪魔だ」-

◆菅生伝一郎(すごう でんいちろう)
「pは悪魔だ」での依頼人。29歳。職業は漫画家だが、何年も芽が出ずにアシスタントとして活動している。
作画の腕は抜群で、とても精密な絵を描けるのだが、逆に一人前になれない自分のプライドを傷つけていた。
精神的に参って飛び降り自殺しようとした際に「浮かぶ右腕」に遭遇し、1億円という誘惑に負けて自身の右腕を売り渡してしまう。
しかし「本当にやりたかったのは漫画を描くことだった」と後悔し、1億円には一切手を付けず翔太郎たちに右腕を取り戻して欲しいと依頼する。

無事に右腕が戻り、違法な人身売買に加担したことには変わりないため他の被害者の2人と共に警察に出頭。
その後、探偵事務所のメンバーをモデルにした原稿を見せに事務所に訪れていた。


◆浮かぶ右腕/パズル・ドーパント
伝一郎の腕を買い取った謎の存在。右腕のみの姿で現れ、相手の「腕」だけを高額で買い取る取引を持ちかける。
取引に応じると奪われた腕が透明になり、日常生活に支障こそないが「漫画を描く」「ピアノを弾く」といった特定の行動ができなくなる。
その正体は裏風都の住人の一人であるドーパント。翔太郎たちが自身を捜索していると感付き、バラバラだった体を組み立てて姿を現す。
翔太郎が変身したWの動きを完全に読みきって圧倒するが、ファングジョーカーに再変身されると押されてしまい撤退する。


◆ポール東城(- とうじょう)
風都に「東城整骨院」を構える整体師。小さな丸眼鏡と一つに束ねた髪が特徴の男性。
その整体の腕は抜群で、聞き込みついでに治療を受けた翔太郎は体が軽くなったと喜んでいた。

◆パズル・ドーパント
「浮かぶ右腕」ことパズル・ドーパントの正体。
被害者は全員自身の店に訪れた患者で、その中から目星をつけて後々交渉を持ちかけていた。
温厚な物腰は演技で本性は自分を神と信じて疑わない傲岸不遜な人物。腕を買ったことも「神の慈悲」として罪悪感を抱いていない。
美原とは違い既に裏風都の住人であるため一人につき1億という破格の収集手段を行えた模様(曰く裏風都では、缶ジュースを買う感覚で億単位の資金を動かせるとのこと)。
裏風都の幹部からは有能株として目をかけられていた模様であり、ドライバーが欲しいと逸る東城に、
「物事には順序がある」、「そう遠くはない」とドライバーを与える前提で諌めたり、下記の通り発破をかけられた際に万灯から「君への期待は今でも変わらない」と言われている。
ハイドープとしての能力は「触れた相手の身体能力を完全に把握する」というもので、翔太郎が変身したWが苦戦したのはこのため。


修学旅行で目にした千手観音像に心を惹かれており、多くの腕を集める中で自分もそうなれると思い込み、「万能の神になる」と豪語する。
伝一郎の時点で20人もの人間から腕を買っており、作中ではジューサーなしで果物を絞れる握力を持つM・Iという人物の腕も披露した。
正体を突きとめられたことで裏風都への立ち入りを禁止されるが、「カードの色を上げる」ことを条件に発破をかけられ逃走する。
翌日に翔太郎と伝一郎を罠に嵌め、フィリップも始末しようと事務所に現れるが、アクセルに阻まれ失敗。
さらに始末したと思っていた翔太郎が脱出に成功して現れ、怒りで限界を突破したWのジョーカーストレンジでメモリブレイクされた。
メモリブレイクされても意識ははっきりとしており、病院に収容された後は「メガネウラのようにはならない」と口を割らない宣言をしている。


◆奏利津子(かなで りつこ)
「浮かぶ右腕」の被害者の女性。
有名なピアニストだったが自分の才能に限界を感じ、世間でスター扱いされるギャップに押し潰されかけていた。
事件の二ヶ月前に「右腕」に遭遇して腕を売り渡したが、それと共に自宅に帰らず失踪していた。

右腕を売ったことに満足しており、ポールに心酔して彼の意のままに動いていた。
先に伝一郎を呼び出し、翔太郎をおびき寄せてパズル・ドーパントの罠に嵌めることに成功する。
事件の解決後は腕が戻り、ガイアメモリ犯罪の共謀容疑で警察に逮捕された。


◆浅野弘(あさの ひろし)
「浮かぶ右腕」の被害者の一人。網膜剥離で引退した元プロボクサー。
閃光のようなジャブを放ち、「右腕」が出会った中で最も強いパンチ力の持ち主。


◆近藤恭二(こんどう きょうじ)
「浮かぶ右腕」の被害者の一人。
目の病気で引退したフェンシングの選手で、鋭い剣捌きの持ち主。


+ 5巻収録「超人r」-

◆蘭堂りつか(らんどう -)
CV:石見舞菜香
「超人r」での依頼人。12歳の小学生の女の子。
警察がまったく捜査してくれなかったとして、行方不明になった祖父の捜索を依頼する。


◆蘭堂玲一(らんどう れいいち)
CV:杉崎亮
りつかの父親で、「蘭堂機械製作所」の工場経営者。
小さな工場ながら、大会社や海外から精密な部品の製作を依頼されるほどの実績を持つ。


◆蘭堂廉太郎(らんどう れんたろう)
CV:斧アツシ
「蘭堂機械製作所」の創業者。
二階堂からある部品の製作を依頼され、完成品を納品した日から行方不明となった。
過去に発注者が中東ゲリラ組織とは知らず対人地雷の一部を製作してしまい、息子と同じくらいの年の子供たちの将来を奪ってしまったという罪の意識を抱えていた。
そのため今回の依頼人である二階堂を信用できず、後を追った先で裏風都へと迷い込んでしまった。
ドーパントたちの襲撃から必死に逃走を続けていたが、同じく裏風都に誘い込まれたときめと出会い、ときめの機転によって無事に風都に帰還する。
また、工場裏手の山にある神社の祠によくお参りしており、そこに試作品を納めていたことが事件解決のきっかけとなる。


◆二階堂守(にかいどう まもる)/リアクター・ドーパント
上にある「裏風都の幹部」の内容を参照。


+ 6巻収録「sの肖像」-

◆アントライオン・ドーパント
翔太郎の「ビギンズナイト」に至るまでの回想に登場するドーパント。
誰にも相手にされないことを逆恨みした男が変身した姿で、腹いせとして子供やカップルを無差別に襲撃している。
特に女性の血を啜ることを好み、「女の子供は最高」とまで言い放つ外道。
最終的には風都中の人間を全て生贄とし、神になることを企んでいた。
はるかぜ公園に出現してカップルを襲撃し、助けに入った子供時代の翔太郎を毒針で撃墜すると男性を捕食。
翔太郎も捕食しようとするが、シュラウドの連絡を受けた鳴海荘吉に阻まれ、仮面ライダースカルと交戦。
能力でスカルを翻弄し、体液を啜ろうとするが「死んでいるも同然」のスカルには通用せず、マキシマムドライブを受け敗北。
初期型のメモリを使用していたためメモリブレイクと同時に死亡し、砂の底へと沈んでいった。


+ 7巻収録「闇はoの巣」-

◆逢瀬奈々(おうせ なな)
「闇はoの巣」での依頼人で竜巻高校三年生。
懐かしきスケ番スタイルの不良少女。
行方不明となった親友の少女沖田舞の捜索を依頼する。
舞の事は「マイマイ」と呼んで大事にしており、

きっかけは受験を控えている舞の為に露払いとして彼女にちょっかいをかけてくる生徒を根こそぎ叩きのめした時、それを見咎めた舞に勘当を仄めかす程の強い叱責をされた事にあった。
その言葉を受けた奈々は舞の為に尽くしてきた事で彼女自身にショックを受け、彼女に「復讐心」という意趣返しとしてガイアメモリ密売の噂がある王道学習塾を紹介してしまった。
そして、舞が行方不明になったと同時に親友の壊れ切った家庭を知ると同時に取り返しのつかない事になった強い後悔を抱き、鳴海探偵事務所の門を叩いた。
後に救出されるも鳥羽の手により操られ、オウル・ドーパントの宿り木形態となった舞に殺されかけるも復活した照井によって救出。
「復讐心」に身を焦がされた過去を持つ照井からの何度もの真摯な叱責を受けた事によって改心した奈々は、舞と真の意味で親友となるべく彼女の目覚めを待つのであった。


◆沖田舞(おきた まい)
行方不明となった奈々の親友。
奈々が語るところによれば裕福な家庭に生まれ、容姿と勉学に恵まれたメガネ少女……なのだが、実は家庭が破綻しており、精神が限界に近付く中で気丈に振舞いながらも、現実逃避の先を求めていたとの事。
そんな状況下でも自身の為に先走った親友を強く諫めるなど芯の強い少女ではあった様子。

◆オウル・ドーパントの宿り木
二本のオウルメモリを別々の人間に挿入し、それぞれの強みを活かした複合ドーパントの内の『強靭な肉体』の担当者。
彼女の名誉のために行っておくが、この状態は文字通り彼女自身の意思ではなくオウルの本体である鳥羽の洗脳によるもの。
強靭な肉体を欲した鳥羽にオウルとの適合率の高さを目を付けられ、上記の処置を施されて心神喪失状態のままメモリの密売人たちを図らずも手にかける羽目になってしまった。
このドーパント時には洗脳されていることも相まって舞の意志は胡乱げになるが、その時でも無意識に逃避の結果、
『大丈夫、痛いと思う前に死ぬから』と言う言葉を決め台詞の如く乱用する*9まで精神がすり減ってしまっている。
鳥羽の撃破後にメモリブレイクの反動で昏睡するが、鳥羽と違い洗脳されてドーパント化したため逆に脳にメモリの毒素が残らず、順調に回復に向かう事となった。


◆鳥羽音吉(とば おときち)
勉強が出来ない学生を対象とした学習塾『王道学習塾』の塾長。
外見は眼鏡をかけた温厚そうな肥満体形の初老の男性。
学習塾としての『王道学習塾』は作中でも勉強が出来ない生徒の学力を上げている描写があるなど、実力は確かな物。

◆オウル・ドーパント
その本性はドーパントとしての殺傷能力を人間で試し、それによって得られる遺体の損壊状況や犠牲者の恐怖の表情などを見て悦びを覚える快楽殺人鬼
加えて裏風都とも繋がりがあり、スクリームこと五条一葉にメモリを与えたのもこの男の所業。
今回の沖田舞の拉致は自らのドーパントとしての戦闘能力の補強の為。
本来、彼が発現させたオウル・ドーパントは莫大な脳容量に始まり、小柄な体躯を活かした超スピードを鳥の記憶を司るドーパントとしての飛行能力に応用できる機動力。
単体での戦闘能力も超スピード飛翔から繰り出される斬撃と小柄な体躯も合わせた目視による索敵・捕捉の難しさ、
回避力を用いた戦闘特化型ドーパントには及ばずとも使いよう次第で十分渡り合えるスペックを有した後方支援型の到達点の一つと言うべきもの。
しかし発現者である鳥羽は上記のスペックを『凄まじく強い』と自負するも、戦闘特化型とも渡り合える『大きく強い肉体』を欲していた。
そこに舞が自身の狩り場である『王道学習塾』に現れたことから彼女を拉致し、『宿り木の肉体』として改造して二つで一つの複合型ドーパントとなる。
しかし、その所業に激怒した照井と彼が発現させたアクセルブースターによって舞の宿り木をメモリブレイクされ、逃走を図るもファングトリガーによって自身のメモリもブレイクされる。
その後はメモリブレイクの反動によって昏睡。利用していた舞とは反対にオウルの能力である莫大な脳容量が仇となって深い昏睡状態に陥るという因果応報の結末を迎えた。


+ 8巻収録「bたちの宝物」-

◆弁財天源十郎(べんざいてん げんじゅうろう)
偏屈だが名の知れたカメラマン。48歳。
風都の夕日に惚れ込み、廃棄場近くに家を建てる程。異常気象のような景色になった夕焼けの景色を見て誰かが盗んだと思い、夕陽泥棒を捕まえてほしいと言った依頼人。
自宅が探し物をしている間に廃棄場にたどり着いた者達のたまり場となり始めて、「bbbベイサイドバッドボーイズ」が結成された。


◆馬場凡太(ばば ぼんた)
「bbb」の1人。大柄な男性。
昔販売されていた「風都サイダー」のビンの蓋コレクター。この蓋の裏には世界の名所が描かれていて、546種もあるが、157番「ナイアガラの滝」だけ見つかっていないとのこと。


◆暮雨川しおれ(ぼうかわ ―)
「bbb」の1人。アリ博士の小柄な女性。アリを模した着ぐるみを着ている。
なお、彼女が加わったことにより「ベイサイドバッドボーイズ&ガールズ」になっている。


◆ビリー佛田(― ぶつだ)
「bbb」の1人。旧車マニアで細目とジェット・リンクのような鷲鼻が特徴の男性。
廃棄場の車のパーツを集めて1台作って走らせるのが夢。


◆トラッシュ・ドーパント
廃棄場で警備員がドーパントに殺害される事件が起き、その時フィリップと遭遇して明らかに逡巡する様子を見せたことから、bbbの誰かが犯人だと絞られることになったが、その正体はビリーであった。
彼は元々カーレーサーだったが5年前にレース中の事故で半身不随になっており、本来なら歩けもしないはずだが、現在の彼は五体満足の体になっていた。
トラッシュメモリを買ってその力で自分を切り捨てたチームメンバーに復讐した後、後述するある理由から自分に合ったゴミを探すため風都湾岸特別廃棄場を根城にしていた。
そこに千葉秀夫が現れ、「裏風都が隠しておきたい機械を守る代わりに、廃棄場は自分のもの」という取引に応じ、廃棄場の守護者として振る舞い、調査にやってきた一般人を"処理"していた。


そんなある時、廃棄場から見る夕日に惚れ込んで廃棄場の側に住んでいた弁財天源十郎と偶然出会い……、というのがbbb結成の原点である。
そのときに咄嗟にゴミ捨て場にいる理由としてついた「スクラップ車のまだ使える部品たちをかき集めて、走れるオート三輪を一台復元したい」という嘘が、
いつの間にか本当に彼の夢になっていたというのは、上記の彼の境遇や体についての思いも少なからず反映されているようである。


探偵としてbbbメンバーの来歴を調べた翔太郎とフィリップの推理により事情を看破され、源十郎たちの前でメモリを使おうとし、正体が露見。
それでもbbbのメンバーやフィリップとの絆で改心しかかっていたが、秀夫が介入したことでドーパントに変身。
CJXと交戦するも、ビッカーシールドに挿し込んでいたヒートメモリから高熱の力を上乗せしたプリズムブレイクで、有機物を溶かす能力を封殺される。
さらにアクセルメモリを装填して放たれたビッカーファイナリュージョンで再生を上回るスピードで焼きつくされ、メモリブレイクされた。


その後は改心の兆しを見せていたが、オーロラ・ドーパントの光線からWを庇い、わずかな骨だけを残して消滅・死亡した。


bbbはフィリップにとって初めての「フィリップのほうから自発的に友情を築きにいった」友人たちであったため、その一員だったビリーの死は、フィリップの心に深い傷を残すこととなった。


◆トラッシュ・ドーパント
『廃棄物』の記憶を内包したメモリで何者かが変身したドーパント。腐敗効果を持つ黒い粘液で半身が覆われており、ゴミを食べることでダメージを回復する事ができる。


+ 9巻収録「fに感謝を」-

◆富士見ナオ(ふじみ ―)
『ふうとくん』のスーツアクター。風都タワー感謝祭目前にヒカルによって怪我を負わされ、ときめに代役を頼んだ。
かつて風都タワーがNEVERによって占拠された際に子供を助けたことから、自分の仕事に誇りを持っている。


◆深澤(ふかざわ)
依頼人で、風都タワー事務局長。風都タワー感謝祭を中止しようとしたが、ナオやときめ、ジミーの説得を受け、開催を決定した。


◆鷹岩降雄(たかいわ ふりお)
ナオの後輩にあたる人物。空手の有段者で、実際の格闘技でも世界レベルの腕前を誇る。
クラブ・ドーパント攻略のために翔太郎がナオに頼み込んで紹介してもらった。


名前の由来はWを含めた数多くの平成ライダー作品で主役のスーツアクターを務めた高岩成二氏と、高岩氏がビーファイターカブトで演じた「フリオ・リベラ」より。


◆風吹鉄男(ふぶき てつお)/マグマ・ドーパント→クラブ・ドーパント
通称テツ。「蒼炎群」のリーダー。粗暴な男で、楯突く部下には死んでもおかしくないほどの暴力を振るうのも日常茶飯事。

散々他人を利用し横暴な態度を取り続けていた彼だったが、万灯のお眼鏡に叶ったのは自身ではなく、自分が散々利用し続けて来たヒカルだった。
Wはテツとヒカルのクラブ・ドーパント2体と戦うことになったが、フィリップの目から見てもその強みたる再生能力には差が出ていたようだ。


Wとの戦いに敗れ病院へと護送される途中、意識を取り戻したヒカルが変身したリアクター・ドーパントに焼き殺されると言う、因果応報な最期を遂げた。


◆双見光(ふたみ ひかる)/クラブ・ドーパント→リアクター・ドーパント
上にある「裏風都の幹部」の項を参照。


+ 10巻収録「死神はlの顔」-

◆ルーク・ランカスター
「L」。電子工学と生物学の権威で、古代生物にも造詣の深い天才科学者。

◆ラーフ・ドーパント
「ライブテクスチャー」の力で自身の擬態を生み出して、自らの死を偽装していた。
かつて琉兵衛がガイアメモリの開発の協力者としてさり気なく、「L.A.S.T」のメンバーに誘いをかけた際*10
他の3人が得体の知れない恐怖感に囚われる中で、1人ルークだけが某人物の様に、琉兵衛が醸し出す狂気に魅了されていた事を見抜いた琉兵衛は、
自身の死後に死仮面とラーフメモリを彼の許へと届くようにしていた。


そして、それらを受け取ったルークは「自身こそが旧組織の後継者に選ばれた」と確信。ある目的の為「L.A.S.T」のメンバー達の頭脳を欲し、
次々にメンバー達の許に死仮面を送りつけてその知識を吸収し、衰弱死させていたと言うのが事件の真相である。
よって裏風都とは全く関係のない、数少ないドーパントでもある(但し、万灯は彼の存在自体は認知しており、裏風都へのスカウト対象としても見ていた)。


ちなみに、犠牲者がいかにも笑い死にしたかのような状態になるのは、知識をデータ化して吸い取る際に表情筋が上に引っ張られる為である。


尚、『知識をデータ化して吸い取る』能力は元々ラーフに備わっていた物ではなく、ルークがハイドープとして目覚めて得た能力である。


最後はサイクロンジョーカーエクストリームの『ビッカールナチャージブレイク』でテラードラゴンを模したライブテクスチャーを撃破され焦っていた所を、
既に検索で本体の居場所を掴んでいたWに死仮面をそのまま叩き斬られ、驚愕と絶望のままにメモリブレイクされた(半分に斬られていたが、変身者の排出の際は仮面は1つに戻っている)。


本当に余談になるが、琉兵衛は使用すると命に係わるゴールドランクのメモリを送っているにも関わらず、毒素を濾過する為に必要なガイアドライバーは送っていない。
本当に『後継者として指名』する為の行為なら、一緒に送りそうなものだが……(単純にドライバーを書き忘れただけの可能性もなきにしもあらずだが)。


◆吾妻仁(あづま ひとし)
「A」。アマチュア時代から持っていた天才的な発掘能力と(おそらくは発見物の)復元技術を買われて琉兵衛に招聘された、一流の調査技師。


◆咲夜栄介(さくや えいすけ)
「S」。遺伝子学者。人間の進化の変遷を解明するため、世界各地で調査・研究を行っている。


◆東堂幸三(とうどう こうぞう)
「T」。古代民族文化の第一人者で、琉兵衛からもその見識を高く評価されていた。
この「死神はlの顔」事件は、風都市内の彼の自宅に、W本編で死んだはずの琉兵衛の名前で、
過去の発掘調査でL・A・S・Tと琉兵衛が関わった「死仮面」が配達されたことから幕を開ける。


◆ラーフ・ドーパント
『笑顔』の記憶を内包したメモリで何者かが変身したドーパント

その特殊能力は「ライブテクスチャー」と呼ばれ、ラーフ最大の特徴。
その能力は、自らの皮膚を利用する事で、巨大な恐竜や人間の擬態、しまいにはテラードラゴンまで再現する事が可能としている
ちなみにテラードラゴンを再現する際、パンツの中に手を突っ込んで取り出すと言う、公式が病気レベルの下ネタ描写が描かれている。


自らを「究極のエンターテイナー」と称しており、そのふざけた身なりも含め『「人を笑わせるもの(=笑いの記憶)」ならば大体できる』というものが上記のライブテクスチャであると考えられる。
最早なんでもありとも言える能力だが、その実態はかつての園咲家が使っていたゴールドクラスの一種であり、その格に違わぬ強さを誇っている事が分かるだろう。


綿密に練られた仕掛けに相手を嵌める事でその真価を発揮する、ドーパントの中でも比較的トリッキーなカテゴリーに属している。


但し、弱点としてこれらの作り出したものは、自身が持っているパワーまでしか出す事ができない*11
即ち相手を綿密に仕掛けに嵌めてこそ真価を発揮する能力である為、何もない空間で不意打ちを食らうと、その力を十二分に発揮できないと言う事でもある。
更に、実は上記の画像の姿も作り物であり、殺人の道具でもある死仮面の裏に、電子工学的な幾何学模様があるスライムのような皮が擬態しており、それこそがラーフの本体であった。


+ 11巻収録「異端児d」-

◆出紋大騎(でもん だいき)/ディープ・ドーパント
ディープ・ドーパントの変身者。
一般的な依頼と異なり、最初から彼による犯行であることが発覚した上での依頼が持ち込まれ、翔太郎達に対し彼の素性やドーパント能力が開示されている。
一方で、あくまで彼の経歴や能力は裏風都に不都合な情報は伏せられた、教えてもよい範囲の情報であり、なおかつ出奔後の犯行に関する現在の実態は把握しきれていない。


自らを「世捨て人」・「芸術家(アーティスト)」と嘯く男性。
一人称は「ボク」。61歳。大きく目を見開いた不気味な髭面の老人。
かつては裏風都に所属していたが、現在はディープメモリの能力を応用した地下空間に、自分しか入れないプライベートビーチを作り悠々自適な生活を送っている。
趣味は絵画であり主に若い女性を中心に描いていた。
老化のためかガイアメモリの副作用か、物事を忘れやすく覚える際にペンで手の甲にメモ書きする癖がある。


饒舌かつ飄々としており、誰に対しても不遜かつ見下した態度を隠そうとしない傲慢な人物。
一方で、女性の扱いには自信があると自称しており、これまでに誘拐してきた女性にもその意思を尊重しており、
最終的には恋仲となった相手もいるし、そうならなかった相手に無理矢理に手を出したりはしていないと語る。
もっとも、モデルとして気に入ると誘拐してでも同棲するという時点で立派な犯罪者であり、
誘拐したら全裸にした上に、水着のサイズが合っていないと眠らせて着替えさせるという完全なる変質者である。


かつては財団Xの根幹企業の一つ『カイ・オペレーション』の社員であったが、その実態も知らず、年齢の割に待遇にも恵まれない窓際社員であった。
その上に重い病に侵されてしまい、若い女性ばかりを描くのも「自らと違い健康的な体」であることへの鬱屈した感情によるものであった。
そして、新たなCEOとなった万灯雪侍にその「心の闇」を見出され、秘書にまで抜擢される。
そして裏風都も含め、長らく表でも裏でも彼を忠臣として支えており、お互いに能力や機密まで知り尽くした関係であった。
そしてついにはその働きを認められ、ガイアメモリを与えられる。


適合したディープメモリによって病は完治したが、同時に奥底に深く沈めていた狂気が爆発してしまい、誰の言う事も聞かなくなって『街』から離反してしまう。
その後は、予てより目をつけていたときめを誘拐し、自らの伴侶にするべく動き始め、
わざわざ万灯や翔太郎の前に顔を出し勝利宣言と降伏勧告までするという余裕を見せつけた。
万灯すら彼が裏切るとは予想していなかったようで、再会した時には珍しく不機嫌な態度を見せている。

監禁されていたときめの調査により、過去の被害者が全員ドーパント女性であったことが判明。
その上、全員がすでに殺害されている。(本人曰く、意図しての殺害ではなく、メモリの毒素を消そうとして失敗したような言い回しだが、詳細は最後まで不明となった)。
出奔した際に、裏風都にてドーパント能力の向上に使用していた薬物等も入手しており、それを使用して被害者を「ドーパントに最適な体」に徐々に作り変えていた。
さらに、大量のガイアメモリとコネクタ装置をも所有している。おそらく、首魁の秘書という立場から所在を把握し盗み出したものと考えられる。
このため、ドーパント女性を狙ったのではなく、好みの女性に好みのガイアメモリを無理矢理使用してきた可能性が極めて高い。


地下空間は数百メートル四方程度の狭い空間であるが、これはディープの物体を削る能力で地道に掘り出した空間である。
遠景は絵画で、隔離された中でも数年は生活できる備蓄を常に確保している。
モデル女性を監禁し絵を描くだけが目的であれば、いささか下準備が根気強すぎるが、
これは上述の通り裏風都にも仮面ライダーにも手出しされない安全な空間を作り出す、いざとなれば籠城できる自身の保身の面も大きいのだろう。
また、本人の意図ではないようだが監禁した女性が全員死んでいる以上、それを隠蔽できるよう警察の目からも逃れきる必要があった。


本人は女性の意思を尊重すると語っていたが、この薬物投与には思考力を低下させ「人形」にする洗脳をかねた処置である。
つまり、本心から恋仲になったわけではなく、洗脳し女性が自身の従順な恋人になるように仕向けたという、極めて卑劣な犯行である。
結果、フィリップ達から最低の変質者、メモリ犯罪者の中でもダントツで酷い男、クズ野郎とストレートに呼ばれてしまう。


ディープの能力は強力であるが、それ単体であればせいぜい住居侵入や逃亡に便利な程度のメモリであっただろう。
しかし、悪の組織の首魁の秘書という、情報に精通した立場の人間が、知りえた情報と持ち出した道具を駆使し、
さらにその能力をより高度に使って見せたことで、メモリの能力の範疇を超えた最凶の変質者を生み出してしまったのである。


しかし、そんな増長した己の傲慢さと悪辣さが二人の怒りに火を着けることになる……。

ときめに圏外の絶望を味わわせるために携帯電話を没収しなかった結果、それが飛べる携帯電話であったことからメールは地上へ届いてしまう。
これがもとで、地下空間に電力が届いていること、微弱だが携帯電話の電波が届く場所もあることが判明してしまい、位置を特定されてしまう。
結果、エクストリームメモリの能力を拡張することでフィリップを電子化し別の機械へ転送する新技術により、スタッグフォン経由で侵入をゆるすこととなった。
さらに、事前に位置の目星がついていたため、戦闘中に地上に向けて目印を飛ばされ、アクセルによる物理的な侵入までも許してしまう。
女性を精神的にも支配下に置くための変態的な余裕が、致命的な敗因を産むこととなった。


裏風都にいた時の知識として、彼らが研究していた仮面ライダーにも精通しており、フィリップの能力にも驚かないどころか、
その状況ではファングジョーカーにしか変身できないことを知っていたために余裕を見せる。
そうしてディープに変身し戦闘に入るが、彼がファングトリガーに変身したことに動揺。
情報にない未知の形態を目の当たりにしたことで意表を突かれ、投擲された銛が直撃したことで肉体の分子構造が麻痺してしまう。
Wを知り尽くしていると思い慢心していたが、その情報とはあくまで彼が出奔する前のものであり、籠城故に最新の情報を把握できていなかったため、ここでも自らの余裕が致命傷となった。
無機物に潜ることもできなくなった彼にWはファングスクリュードルを放つも、薬品で正気を失ったときめが自分にすり寄ったことで攻撃は見当違いの方に飛び、ディープは得意げに勝利を確信。


しかし、目の前の悪魔にいい加減我慢の限界が来ていた二人は『もう一つの牙』であるファングメタルへとメモリチェンジ。
本来であれば、ただでさえ怒り心頭中の翔太郎との変身は不安定であり、ファングではなおさらなのだが、
あまりの卑劣な変態ぶりにフィリップまでブチキレていたことでその変身は難なく成功してしまう。
ソウルサイドとボディサイドから鋭利な刃を生やしたWの決め台詞を向けられたディープは、
「あいにくボクは忘れっぽいから過去の罪など数えられない」と吐き捨てるも、強烈な飛び蹴りと頭突きを顔面に叩き込まれてしまう。


俊敏な動きと強靭な硬度を持つ牙の闘志の特性から、自身にとって最大の天敵であることを理解したことで逃走を図るも、
今までの怒りをぶつけんばかりの獰猛さで襲い掛かるダブルに圧倒されたことで最初の余裕は消え、完全に戦意を喪失してしまう。
背中を見せて逃げようとするディープの口部にあるニードル(この時アジトの壁に叩きつけられたことで先端が折れ曲がっていた)を掴み上げられたことで完全に身動きが取れなくなるも、今のWに時間制限があることを察知。
意識が朦朧としているときめを人質にして必死に時間を稼ごうとするが、予定通り天井に放ったファングスクリュードルの痕跡から場所の検討を着けたアクセルブースターも地下空間に巨大な穴を空けながら参戦。
Wとアクセルによってアジトが半壊した上にときめを奪還されたことで「ボクの女を返せっ」と癇癪を起こしたように喚き散らす彼に、再び怒りを滾らせたWは壁に叩きつける。ここまでくると自らの墓穴の掘りっぷりも清々しいほどである。


翔太郎や万灯の前に現れたこともそうだが、そもそもの話ときめを誘拐した時点で彼女のスタッグフォンを破壊するなり没収しておけば、居場所を突き止められることもなかった。
結局のところ、彼の敗因は己の能力を過信していたことであり、その傲慢さが敗北の深みへとはまってしまったのだ。
誰にも追跡不可能な完全犯罪のはずの最凶の変質者だが、他の誰でもなく自らの心に負けたために数々の墓穴を掘り、その末に敗北したのである。


フィリップの指摘に図星を突かれたことで逆上したディープは、全身に触手を纏った回転攻撃で八つ裂きにしようとするも、呆気なく左足を掴まれてしまう。
そのままアクセルの作った天井の穴目掛けて高く蹴り飛ばされると、Wはマキシマムドライブ『ファングスピアバレット』を発動。
腹部を貫かんばかりの攻撃に耐え切れるはずもなく、深い地下から風都の地上へと打ち上げられたディープ・ドーパントは絶叫と共に爆散・メモリブレイクされた。



メモリブレイク後に真実を話すように告げられるが、当初は拒否。
しかし、メモリを過剰に使用した後にメモリブレイクされた際のリバウンドについての説明を受け、病に再び侵される恐怖から自白を決意。どこまでも自分本位な男である。
が、そこへ裏風都幹部勢が大量のロード・ドーパントを引き連れて集結。
元幹部を救出に来た……わけもなく、翔太郎たちに重要な秘密を明かされることを危惧した粛清である。
必死で命乞いをするも、自らはやめなかったくせにと完全に見捨てられてしまった出紋。
大勢に迷惑をかけ命を奪ったその末路は、「死ぬ」のではなく「土となる」こと。
つまり人肉を糧に裏風都の大地を生み出すロード軍団のエサとなることを以て「贖罪」とし、役に立ってもらうべきであると万灯は宣告。
直後、彼はスクリーム・ドーパントによってロード・ドーパントの集団の只中へと投げ飛ばされ、絶叫とともに全身を貪り食われるという作中屈指のむごたらしい最期を遂げたのだった。



【用語】

ガイアメモリ

ガイアメモリを製造しているミュージアムは、ニチアサ版で既に壊滅した。
しかし、それによって却ってレア化してしまい、更に高額で闇取引されていることが明かされており、相変わらず事件はいつものように起こっている。


ガイアメモリ一覧

※本作初出のメモリのみを記載する

◆ロード(ROAD)
(舗装道路で描かれた「R」)
『道』の記憶が内包されているガイアメモリ。
ドーパント態は巨体に加えて信号機や舗装道路のような意匠があちこちに見られ、背中からは薄い道路がマフラーのように長く伸びる。
超高速と超高熱を利用し、異様な空間に通じる真っ黒な「道」を作り出す能力を持つ。正確には、道を作るという能力を拡張した結果が異空間である裏風都である様子。
応用として腕から超高熱の鞭を生成して攻撃したり、両腕と足の間に生成した鞭をタイヤのように回転させることで高速移動が可能。
しかし、能力使用の「代償」として変身者自身の肉体を消費するという欠点が存在する。
ロードが作り出す道が黒いのは、肉体に含まれる血の赤黒い色が定着しているためである。
これを「補う方法」として、『[[人間を喰っている>アマゾン(仮面ライダーアマゾンズ)]]』のではないかとフィリップは推測していた。
このほか、指先からエネルギー弾を乱射したり地面に手を叩き付けて爆風を発生させる技も見せている。


後に「超人r」において、このメモリも量産されていたことが明かされ、
大量の人間や裏風都内のドーパントを食らうことでどんどん町を広げていることが発覚した。


◆トードストール(TOADSTOOL)
(傘が平らなキノコで「T」)
『毒キノコ』の記憶が内包されているガイアメモリ。
ドーパント態は巨大なキノコに手足が生え、髑髏のような顔を持つ。
回想のみの登場となっているため、能力の詳細は不明。
フィリップが言うには「魔女よりもよほど恐ろしいものになりそうなメモリ」とのこと。
なお2014年発売の『DXサウンド カプセルガイアメモリEX ガイアメモリコンプリートセレクションLIGHT&DARKNESS OF 風都』にて既に存在だけは公開されていた。


◆オーロラ(AURORA)
(中央に穴が空いたオーロラで「A」)
『オーロラ』の記憶が内包されているガイアメモリ。ランクは本来園咲家のみが使用可能なゴールドクラス。
ドーパント態は真っ黒な皮膚に口だけがあるのっぺらぼうのような姿で、頭には一房のポニーテールがある。
腰にはオーロラのように煌めく布を纏い、両手首から先もオーロラのように不定形なものとなっている。
掌から対象を焼却するビームを放つことができ、浴びたものを一瞬で骨クズと化してしまう。
また、自身のポニーテールを武器がわりにして攻撃することも可能。


◆メガネウラ(MEGANEURA)
(尻尾や足で「M」字を象ったメガネウラ)
古代の巨大なトンボ『メガネウラ』の記憶が内包されているガイアメモリ。
ドーパント態は巨大なトンボに人間の胴体がくっついた姿となっており、右腕はヤゴを模している。
四枚の巨大な羽によって飛翔能力を持ち、尻尾に生えている巨大な針を飛ばしたり、針を手持ちの武器として扱うことが可能。
さらにWとの戦闘中に小さな翅を高速で振動させ、自分以外の周囲に重圧をかける能力を獲得した。
この翅はあまりにも高速で振動しているため、ほとんど見えない状態になっている。


後にオーロラ・ドーパントから「ハイドープ」という存在になると見込まれ、勧誘と共に謎のサプリを渡される。
このサプリを飲むことで、右腕から大量のヤゴを生み出す能力にも目覚めた。ちなみに、このヤゴは本体がメモリブレイクされても消えない


◆スクリーム(SCREAM)
(苦悶に歪む顔で「S」)
『叫び声』の記憶が内包されているガイアメモリ。ランクはシルバークラス。
ドーパント態は女性のような体型で、口の中にある一つ目が特徴。
また右手の指の一部が異様に細長く、特に中指は昆虫の足のような長さとなっている。
超高周波の叫び声を発し、対象をズタズタにする能力を持つ。
この叫び声は口だけでなく、全身から自由に放つことができる。


◆ブラキオサウルス(BRACHIOSAURUS)
(首と尻尾を曲げたブラキオサウルスで「B」)
巨大な草食恐竜『ブラキオサウルス』の記憶が内包されているガイアメモリ。ランクはスクリームと同じくシルバークラス。
ドーパント態は頭部からブラキオサウルスの首の骨が生えた巨大なもので、ちょっとしたビルよりも大きい
もともと古生物系のメモリで変身したドーパントは巨大化する能力を持つが、このドーパントは常に巨大な姿に変身する。
背骨にあたる部分からは先端を鋭くした骨の一部を連射することができ、上空からの攻撃に対応している。
また、首から滴り落ちた液体を媒介としてマスカレイド・ドーパント型の分身体「ボーンズ」を生み出すことができる。
その巨大さから小回りがきかないため、狭い場所や素早い相手に対してはボーンズを使役していることでカバーしている。


◆カラカル(CARACAL)
(左下を向いたカラカルで「C」)
ネコ科動物の一種『カラカル』の記憶が内包されているガイアメモリ。
変身者が女性なためドーパント態も女性らしい体型となっており、両手の爪を鋭く伸ばす能力を持つ。
作中に登場したメモリは、使用者の意思で変身解除できない不良品であった(何者かに細工されていたわけでもなく、単に動作不良を起こしていたらしい)。


◆アルコール(ALCOHOL)
(「A」型の容器に入ったアルコール)
所謂お酒の成分となる『アルコール』の記憶が内包されているガイアメモリ。
ドーパント態は透明な球体型の頭部にアルコールが詰まり、焦点の合っていない一つ目が浮かぶ異形の姿。
胴体はぶよぶよと膨れ、肥大化した右腕とボトルのような左腕を備えている。
変身中は常に泥酔しているため痛覚が麻痺し、痛みを一切感じなくなる。
表皮からは常にアルコールの成分が滲み出ており、目から放つ熱線で着火・爆発させることが可能。


ガイアメモリでも珍しく、「アルコールによる酩酊」という現象が本人にまで及ぶ。
しかも一般のメモリよりも性能の高い、ミュージアム時代で言う『シルバークラス』のメモリであり、適合率が低いとメモリの毒素に侵され死亡してしまう。
ある程度適合していたとしても、浴場などの血行が良くなる場所で変身すると毒素が急激に回り、急性アルコール中毒のように死亡してしまう。
適合率が一定以上低い場合はむしろ一瞬で酔い潰れて変身解除されるという、トンチキなメモリ。
また、この酩酊はガイアメモリの毒素によるものであり、肝臓によるアルコール分解が不可能で毒素が抜けるまで待つしかない。
久保倉環奈が屋敷内で不定期に記憶が飛ぶ症状に見舞われつつ、アルコールの分解物であるアセトアルデヒド由来の二日酔いになっていないのはこのためと思われる。


ちなみにニチアサ時、設定上のみ存在したメモリの中に『日本酒』の記憶を内包する「サケ(SAKE)」のメモリがあったが、共通点があるかは不明。
飲料でもある酒とアルコールそのもののこちらでは用途も異なるとは推測されるが。


◆パズル(PUZZLE)
(「P」の形に組まれたパズルのピース)
『パズル』の記憶が内包されているガイアメモリ。
ドーパント態は長い尻尾のあるボディに4本の腕を持ち、前腕から先が切り離されて浮遊している。
また、真っ黒な丸い頭部を覆うようにテトリミノのような形状のブロックピースが合体している。
当初は「自らの身体をバラバラにする」「ピースを組み替えることで多少能力が変化する」程度の能力しかなかった。
しかし、後に他者との承諾の上で腕を奪い取り、その腕を付け替えることで自らの能力に上乗せする能力に目覚める。
腕を奪う際は自分のピースの一部であるキューブを使い、腕を奪った後は元の持ち主のイニシャルがキューブに刻まれる。
元々腕は2本しかなかったが、この能力に目覚めたことでいつしか4本に増加していたという。
頭部のピースは自在に形状を変化させることができ、知恵の輪のような剣や銃、鞭、肉切り包丁など様々な武器を作り出したり、
地面に大量に敷き詰めることで閉じ込めた敵を挟み潰すトラップルームの構築も可能。


◆ジョーカー(JOKER)
破損していたときめのメモリの正体。
ロゴは翔太郎のものと全く同じだが、外装はドーパントメモリ同様の化石状。
当初は破損しており起動すらできない状態だったが、後にフィリップの手で外部電源を用いる形で起動に成功。
その後、『yの魔窟』編においてときめの激しい怒りに呼応する形でメモリが覚醒、変身能力が復活した。
ドーパント態は黒い体色に複数のボディラインが走る、どこかヒーロー然とした道化師のような姿。
ライダー用のメモリと同じく、変身者の感情が高まるにつれて性能の上限を超えた力を発揮できる性質を持つ。
ときめの出力は翔太郎のそれを上回っており、生体エネルギー波を全身にまとわせて鉄壁の防御幕を形成することが可能。
また、生体エネルギー波をカードの形に圧縮して攻撃に転用することもでき、投擲武器や盾として用いられる。
さらには相手をカードの中に閉じ込めて一切の身動きや能力を封じ込め、強烈な跳び蹴りを叩き込む必殺技も有している。


◆リアクター(REACTOR)
(炉と接続されたパイプで「R」)
『炉』の記憶が内包されているガイアメモリ。
ドーパント体は各所からパイプが突き出た溶鉱炉のような姿。
首から上は蒸気で構成されており、自在に操ることができる。
スクリームやブラキオサウルスと同じくシルバークラスのメモリであり、「生きた原子炉」とまで称される戦闘能力を持つ。
全身から凄まじい量のエネルギーを無尽蔵に放出しており、仮面ライダーの装甲を溶かすほどの熱量を誇る。
また、この熱を全身に纏うことでマキシマムドライブを連続で受けても傷一つ付かないほどの防御力も備える。
胸の中央からはパイプを組み合わせた形状の棍棒を生成することができ、格闘戦用の武器として用いる。
しかし、これらの力の代償として変身を解除したとしても超高熱のエネルギーが残り続けてしまう欠点が存在する。
メモリと適合できない場合、大抵の人間はそのまま焼け死んでしまう。
作中の変身者である二階堂も余熱が長時間出て行かず、特殊な耐熱処理が施された服しか着れない状態となっている。
この欠点を克服するため、二階堂は自分自身という原子炉を冷却する装置を製作していた。
二階堂の死後はスペアメモリの適合者を探していたもののそう簡単には見つからず、少なくない犠牲者が出ている。


その後は「再生能力の高いメモリの適合者」に絞って捜索し、結果として蒼炎群の双見光が見事に適合。
炉内で燃え盛る炎はより高温で安定していることを示す蒼色となり、体内の余熱も変身解除と同時にすべて放出することに成功している。


実はTVシリーズの最初期にデザインされたドーパントであり、当時の名称は「スチーム」だった。


◆アントライオン(ANTLION)
(アリジゴクの頭部と大顎で「A」)
『アリジゴク』の記憶が内包されているガイアメモリ。
バットやスパイダーと同じく初期に開発されたメモリのため、より生物的な外見となっている。
頭部には鋭い牙を備えた大顎があり、右腕も昆虫の足のようになっている。
噛み付いた相手の体液を吸い取り、ミイラのように干からびさせることができる。
体表には無数の毒針が生えており、自在に飛ばすことが可能。
また、どのような場所にでも瞬時に砂地獄を発生させる能力も有する。
砂地獄内に潜み、あらゆる方向から伸縮自在の腕で攻撃することができる。


◆オウル(OWL)
(佇むフクロウで「O」)
『フクロウ』の記憶が内包されているガイアメモリ。
同じ内容のメモリで変身しているにもかかわらず、変身者に応じてまったく違う姿に変化する。
鳥羽が変身した個体は小さなフクロウそのものの姿をしており、目に見えない速度で飛行することができる。
仮面ライダーの視覚でさえまともに捉えるのは難しく、視力が8.0にまで上昇しているトリガー形態が裏技を使ってようやく捕捉できるレベル。
同時に膨大な頭脳領域も獲得しており、思念波を別のオウルメモリに乗せて飛ばすことで対象者の肉体を乗っ取り、自分の配下とすることも可能。
鳥羽はこの能力で沖田舞をもう一体のオウル・ドーパントに変身させていた。
こちらは首部分から木の枝のようなものが生えた巨人のような姿で、飛行能力がない代わりに凄まじいパワーを持つ。
巨人の体躯とパワーに目が向いている隙に鳥羽が超低空から接近し、上昇すると同時に鋭い爪で斬り裂くというコンビネーションを得意としている。
この巨人の正体はオウル・ドーパントの『巣』とも言える存在で、その首に鳥羽が留まることで完全態となる。
この状態では頭部と両腕にフクロウの翼を備え、巨人のパワーと小型フクロウのスピードを同時に使いこなすことができるようになる。
さらに両腕・両足を鋭い鉤爪を持つフクロウの足に変化させることができ、強力な斬撃を放つ。


◆トラッシュ(TRASH)
(ゴミ箱と蓋の隙間で「T」)
『廃棄物』の記憶が内包されているガイアメモリ。
変身当初は樹脂に白い塗装をしたフィギュアのような質感の左半身のみで顕現する。
右側の手足からは針金のようなものが露出しており、針金は自由に伸縮させられる。
周囲の廃棄物を捕食することで自身の肉体を形成する能力を持ち、右半身がどす黒いヘドロの塊のような不定形の物体で構成される。
このヘドロは有機物を瞬時に腐食・溶解させる特性を持ち、ヘドロで溶かしたものも吸収して養分とすることができる。
ヘドロを射出しての遠距離攻撃も可能だが、一度放たれてから時間が経過すると溶解させる特性は失われる。
そして驚異的な再生能力を有しており、たとえマキシマムドライブを受けても周囲に廃棄物があれば何度でも吸収し復活する。
その場の環境にこそ左右されるものの、条件さえ整えば文字通り不死身のドーパントとなる。


◆クラブ(CRAB)
(カニのハサミで「C」)
『カニ』の記憶が内包されているガイアメモリ。
作中では蒼炎群の一員である双見光と、リーダーの風吹鉄男の二者が変身した個体が登場。
カニに細身の胴体をくっつけたような奇妙な外見で、頭部にはカニのハサミが絡みつき、背中から左右どちらかにカニの足が生えている*12
背中から生えたカニの足は伸縮自在の槍として使用でき、メタルのボディを刺し貫くほどの威力を持つ。
また、頭部のハサミから放つ斬撃波は凄まじい切れ味を持ち、メタルシャフトを切断した上で戦場となっていた舞台を真っ二つに叩き割っている。
さらに高い硬度を持つ外殻の下には強い再生能力を持った泡が満ちており、傷を負った瞬間に泡が吹き出して瞬時に治癒してしまう。
攻撃がヒットした瞬間に再生が始まるため、エクストリームのメモリ無効化能力も「斬撃が届ききる前に治癒する」という力技で跳ね除けている。
唯一の弱点は背中に付いた小ガニで、これが再生の泡の生成器官となっており、破壊されると再生能力が著しく低下する。
ただし、生半可な攻撃では外殻の硬度と再生の速度を突破することはできないため、破壊すること自体が困難を極めている。


ニチアサ版でも存在は判明していたメモリで、トードストールと同じく『DXサウンド カプセルガイアメモリEX ガイアメモリコンプリートセレクションLIGHT&DARKNESS OF 風都』にも収録されている。


◆ラーフ(LAUGH)
(嘲笑う唇で「L」)
『笑顔』の記憶が内包されているガイアメモリ。
かつては園咲家の一員だけが持つことを許された『ゴールドクラス』の一本。


ドーパント態は笑顔の中央に一つ目が浮かび、マントだけを羽織った筋骨隆々の怪人といった姿。
その外見に違わぬ高いパワーを持ち、顔面の一つ目からは光線を発射する。
全身の「皮」を切り離し、あらゆる物体に変化させて自在に操るライブテクスチャーの能力を持つ。
変化させる物体の大きさに比例して消費する皮も増大し、皮を消費するにつれて小さくなっていく。
そのふざけた外見も含め、言うなれば人を笑わせる事象や存在なら何でも再現できるという文字通り何でもありの能力。
『ウェザー』や『ズー』のような概念系メモリの極地であり、ゴールドメモリも納得の性能と言える。
ただし、ライブテクスチャーで模倣できるものは外見だけであり、ラーフ以上のパワーを持つことはない。
元から怪力の部類のドーパントであるが、自身より高いパワーを持つ相手の模倣は完璧ではなくなる。
そのため、綿密に練られた仕掛けに相手を嵌めることでこそ真価を発揮する。
また、作中で見せていたドーパント態もライブテクスチャーによる分身であり、本体は死仮面の裏側に張り付いていた1枚の皮であった。


◆ディープ(DEEP)
(渦を巻きながら潜航していく様子で「D」)
『深き』記憶を内包したガイアメモリ。
ドーパント態はダイバースーツのような体にクラゲのような半透明の頭部が乗っかっているという姿。
肉体の分子構造を変化させてあらゆる無機物の中に潜り込み、重力を無視して自由に泳ぎ回ることができる。
潜航中は物理攻撃を無効化し、たとえその物体を消し飛ばすような攻撃でも即座に別の物体に潜ることで回避できる。
また、頭部からはクラゲの足のような二本の触手が生えており、表面を超高速で流動させることであらゆる物体を削り取ることが可能。
これらの能力を複合させ、風都の地下55mにある直径300mほどの空間を削り取って擬似的なプライベートビーチを作り上げている。


◆マーメイド(MERMAID)/ウィッチ(WITCH)
(体を折り曲げた人魚で「M」/箒を持った魔女で「W」
出紋大騎がときめに挿そうとしたガイアメモリたち。
それぞれ『人魚』『魔女』の記憶を内包している。
出紋は最終的にウィッチのメモリを使おうとしたが意識を取り戻したときめに拒否され、フィリップの乱入により失敗に終わっている。
また、出紋の過去の被害者には「アップル」「ビー」「フィッシュ」のメモリが使われていた。


◆シザーズ(SCISSORS)
(「S」の字に噛み合う二つのハサミ)
『ハサミ』の記憶を内包したガイアメモリ。
ドーパント態は身体のあちこちに切れ込みがあり、頭部のひとつが眼として機能する。
また、左右に計4本の腕が生えており、人差し指と中指は鋭い刃のようになっている。
この人差し指と中指を閉じることで強烈な斬撃を放つことができ、その威力はメタルシャフトすら両断するほど。
直接触れた相手を切り裂くだけでなく、遠く離れた物体であっても斬撃波を飛ばして切り裂くことが可能。
また、「物体」を切断するだけでなく「空間」を切断する特殊形態への移行も可能で、その際は体色が白く変化する。
この能力の発動時は対象となる空間に「切断」効果を持った光が発生し、その光を境界線として空間が切り開かれる。
空間そのものに作用するため、トリガーマグナムのビームのように実体のない存在すら切り裂いてしまう。
また、物体の硬度を完全に無視できるため、超硬度の特殊合金で形成された分厚い壁であってもたやすく突破する。
光は一定時間で自動的に消滅し、それに合わせて切り開かれた空間は復元される。
しかし、この光が発生している地点で何らかの動きがあった場合、慣性によって片方が切り飛ばされるという現象が起こる。
例えば腕に持った武器で攻撃しようとしていた際に肩口にこの光が発生すると、その腕があらぬ方向へと切り飛ばされることとなる。
逆に言えば「じっとしていれば切れない」ため、この光を受けても光が消えるまでその場で身動きをしなければ切り裂かれることはない。
これを逆手に取り、対戦相手に「動いて光に切り裂かれるか」「動かずにシザーズに直接切り裂かれるか」の二択を迫らせることも可能。
作中では2本登場しており、一本がドーパントへの変身に使われ、もう一本は警察が出紋大騎から押収している。


◆ディーバ(DIVA)
(歌う唇で「D」)
『歌姫』の記憶を内包したガイアメモリ。
元々は「マーメイド」「ウィッチ」と共に出紋大騎が所有していたもの。
ドーパント態は女性を模した彫像のような姿で、自らの歌を一定時間聴いた相手を支配下に置く能力を持つ。
能力の支配下にある対象の意識は失われ、能力の解除後も支配中の記憶は残らない。
一度歌を聴かせた者であれば、遠隔地からでも直接脳に歌を響かせて何度でも操り人形にできる。
戦闘においては二本の帯のような部分から触れると爆発する圧縮超高周波弾をバラ撒いて攻撃するが、接近戦には弱い。


◆デス(DEATH)
(死神の大鎌で「D」)
『死』の記憶を内包したガイアメモリ。
元々はダミー・ドーパントによって模倣されていたメモリだったが、『yの魔窟』編にて実在することが明かされた。
ドーパント態はダミー・ドーパントが変身した姿そのもので、手にした大鎌での格闘戦を得意とする。
この大鎌もまたデスの一部であるため、手放したとしても遠隔操作することが可能。
また、ローブ部分を「抜け殻」として分離させることができ、本体は黒いモヤのような身体に4つの髑髏が浮かぶというもの。
抜け殻には実体があり、攻撃を受ける直前に離脱して油断させたり、自律行動させて囮とすることも可能。
さらに、身体にある髑髏の口から伸縮自在の舌を放ち、相手を貫くことで『ガイアメモリの機能を刈り取る』という対ガイアメモリに特化した能力を持つ。
この舌は霊体のようなものでダメージこそないが、ガイアメモリの機能が仮死状態に陥り、能力の行使はおろか行動すら取れない状態となる。
この時、仮死状態となったメモリは色が抜け落ちて真っ白になり、ディスプレイに表示されるイニシャルも消失する。
効果を発揮するのは髑髏1つにつきメモリ1本だが、別の髑髏を追加で生み出せるため無効化できる数に限りはない。
なお、この能力は舌を貫通させられないと効果を発揮しないため、強力なエネルギーの防壁に守られているような相手には通用しない。
また、効果が持続するのはドーパントでいる間のみで、変身を解除すると仮死状態になったメモリの能力は元に戻ってしまう。


◆ハングリー(HUNGRY)
(震える胃で「H」)
『飢え』の記憶を内包したガイアメモリ。
ドーパント態は仮面を付け、腕・下腹部は膨らんでいて、上下が大きな口のように見える形で分離しており、下半身の断面には小人が生えている。
能力は半径100m圏内の生物に凄まじい空腹感を与えるという単純だが極めて危険な能力。
仮面には8つの目がついており、目を合わせてしまうと身体に穴が空き*13、身体の栄養分を一気に減らされて動けなくなり餓死の危険すらある。
効果範囲外に移動するなどで解除は可能だが受けた人間はあまりの栄養失調からかしばらく普通の食べ物を受け付けなくなり、動けなくなる。


更にこのメモリにはある秘密が存在しており……



◇キーワード

◆『街』
オーロラ・ドーパントたちが組織しているであろう者たち。
その目的、意図はいまだに不明。


◆『裏風都』
ロード・ドーパントが作り出したであろう風都そっくりの世界が広がる異空間。
現実世界との移動の際はある程度の座標のズレが発生し、「何もないT字路から出てくる」「人が壁の中に消えたように見える」などの現象が発生する。
「tに気をつけろ」にてロードが倒された後も消滅せずに残っており、そのまま『街』の根城となっている。
街の中では理性を失った者も含めて大量のドーパント達が徘徊している。
この街の住人にとって価値あるものは通常と異なり、己のドーパント能力向上のために大量のお金を惜しげもなく使うこともある。


見た目こそ風都そっくりであるが、風が全く吹かない道路が真っ黒地下が存在しないといった表の風都とは異なる点がある。
裏風都の裏切り者が表の風都の地下に潜伏した際には「居場所がわかっても攻め込めない」という事態が発生してしまった。


◆『ハイドープ』
ガイアメモリを長年使用し続けたことで、何らかの超能力に目覚めたドーパント。
この超能力は生身の状態でも使用することができ、その上でメモリの性能を更に引き出すことができるようにもなる。
言うなれば、メモリ版「クオークス」と言ったところか。
万灯によれば、Wもまたハイドープに近しい存在になっているとされる。
本作初出の設定だが、W本編にも、左翔太郎に近づいただけで恐怖を植え付けた園咲琉兵衛や、変身せず能力を使ったそれっぽい人物は存在している。


◆ガイアドライバーrex
『街』の住人たちの幹部クラスが用いる新たなガイアドライバー。
バックルの中央にメモリを挿していた従来型と違い、こちらは向かって左側のスロットにメモリを装填して変身する。

ドライバーの向かって右側にもスロットがあり、短時間だけ基本メモリにもう1つガイアメモリの能力をレイズ(=上乗せ)出来ることが判明した。
初披露したスクリームは左腕を『アームズ』、『シザース』、『ユニコーン』、『アイスエイジ』のメモリを次々に使い分けて、アクセルを敗北寸前まで追い詰めた。ようやくユニコーンが活躍した。


◆ビゼル
『街』の住人たちが持つ、パスポートとプリペイドカードを兼ねた一枚のカード。
これを使うことで、空間湾曲を起こして「風都」と「裏風都」の行き来が可能となる。
色によってランクが分けられており、最低ランクが「黒」、次に「銀」となる。



【本作で初公開された情報/TV版にはなかった情報】

第1話「tに気をつけろ1/魔女に恋した男」のあるページをよく見ると、
鳴海探偵事務所のドアに小さな「ペットドア」が作られている。
その理由は、第16話「cは何処に1/猫探しの天才」にて…?


第4話「tに気をつけろ4/半熟の意地」では、
風都内のある廃線にフィリップの研究施設である「ガレージ」への隠し通路があることが明かされた。
ニチアサ版でもリボルギャリーはその廃線から出撃していると思われる。


第10話「最悪のm2/死を呼ぶ羽音」では、
「仮面ライダーW サイクロントリガー」の新たなマキシマムドライブ、「トリガーストームボム」が公開された。
トリガーマグナムにトリガーメモリを挿入することで発動する。
ちなみにニチアサ版はバットショットを接続した「トリガーバットシューティング」(「さらばNよ/友は風と共に(第18話)」で披露)と、サイクロンメモリを挿入した「トリガーエアロバスター」(映画『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』で披露)だった。


第26話「閉ざされたk8/究極は二人で一人」では、
「仮面ライダーW サイクロンジョーカーエクストリーム」が登場。
その回での「ビッカーチャージブレイク」に使われたのは「サイクロン」「ジョーカー」「メタル」「トリガー」である。
(ニチアサ版では「サイクロン」「ヒート」「ルナ」「ジョーカー」。一度だけ「ジョーカー」の代わりに「メタル」を使用)。


第36話「pは悪魔だ9/切り札ジョーカーは左」では、
左翔太郎の所持する「ジョーカーメモリ」に「メモリ使用者の感情エネルギーによって性能が上がる」
…という、隠された性質が公開された。
元々ガイアメモリは精神状態に左右されやすい性質があることはニチアサ版の時点で示唆されていた。


第41話「超人r/凶熱対超熱」において、
照井竜から借りた「ビートルフォン」を使うことで、エネルギーを一点集中させる
ヒートトリガーの新たなマキシマムドライブ、「トリガービートルブラスター」が登場。


第49話「sの肖像/蘇る骸骨」では、スカルメモリの新たなる特性が公開。
変身中は使用者の肉体が「骨ゆえに死者に近い状態」となり、
痛覚もなく、吸血は勿論、攻撃に対する高い耐性を持っている『不死身のドーパント』とのこと。


第60話「闇はoの巣5/見えざる斬撃」では、
ルナトリガーの新たなるマキシマムドライブ「トリガーシャインフィールド」が公開。
ルナメモリをベルトのマキシマムスロットに装填することで発動する新たな「裏技」。
後に「fに感謝を」においてはヒートジョーカーが新技「ジョーカーバックドラフト」を使用した。


第65話「闇はoの巣10/さらなる闇の足音」では、新たなるWの形態である「ファングトリガー」が登場。
フィリップ曰く「エクストリームに至り、戦闘経験を積んだ今なら短時間の変身が可能なはず」とのこと。
アームファングを左側(=トリガーサイド)に2つ出すことで弓の形を取り、
マキシマムドライブで生成したエネルギーの矢を放つ「ファングスクリュードル」が必殺技である。
更に、第100話「異端児d7/逆襲の牙」ラスト及び、第101話「異端児d8/地を裂く咆哮」にて、二人の更なる変身…「ファングメタル」が登場。



【アニメ版の楽曲】

OP曲「Private Eye」
TV版『W』のOP曲を歌った上木彩矢 w TAKUYAがコーラスを担当するインストゥルメンタル主体曲。
作詞:藤林聖子、作曲:中川幸太郎とその他もおなじみのメンツ。


ED曲「罪と罰とアングラ」
松岡充(歌唱・作詞)と吉川晃司(作曲・コーラス)……克己ちゃん&おやっさんという名の超大物アーティストコンビによる楽曲。
映像では鳴海探偵事務所+照井が踊ったり日常を過ごしたりコーヒー噴き出したりするダンサブルな曲。
また、本作と直接は関係ないが、吉川がおやっさんをイメージした歌詞でセルフカバーした「ギムレットには早すぎる」という曲も作られている。


挿入歌「W-G-X ~W Goes Next~」
ご存知TV版OP曲「W-B-X ~W-Boiled-Extreme~」のアレンジ。歌詞の変更に加えてアップテンポになっている。
OPへの起用と違ってこの曲の存在は事前には明かされていなかったため、サプライズで話題を呼んだ。


挿入歌「Let's go ahead」
「最悪のm」のゲストキャラ・風祭メグの持ち歌。
ライブの最中にドーパントが襲ってくるという構成上必要なシーンとはいえほぼ1コーラス流れるガチのライブシーンになっており、
歌手兼業である中の人の歌唱力も相まってここだけアイドルアニメ。

(end


【単行本】

2018年3月30日に単行本として1巻、2巻が同時発売。
紙媒体版でのそれぞれの帯には、桐山漣氏と菅田将暉氏によるコメントが掲載されている。
桐山漣氏と菅田将暉氏へのインタビューが掲載された週刊ビッグコミックスピリッツが売切れたりと人気を博し、
1、2巻は同時発売直後から売り切れが相次ぎ、即座に重版された。


3巻は2018年7月4日に発売し、紙媒体版での帯には木ノ本嶺浩氏によるコメント。
および巻末には彼への(途中三条氏参加)ロングインタビューと特別プログラム「俺に質問するな!」が掲載された。
以降も帯コメントや巻末インタビューにはキャスト陣が登場している。


巻数発売日話数収録エピソード帯コメント・巻末インタビュー
W012018年3月30日1話~8話tに気をつけろ桐山漣/左翔太郎役
W029話~15話最悪のm菅田将暉/フィリップ役
16話~18話[[cは何処いずこに>cは何処に(風都探偵)]]
W032018年6月29日19話~27話閉ざされたk木ノ本嶺浩/照井竜役
W042018年10月30日28話~37話pは悪魔だ山本ひかる/鳴海亜樹子役
W052019年2月28日38話~46話超人r君沢ユウキ/園咲霧彦役
W062019年6月28日47話~55話sの肖像吉川晃司/鳴海荘吉役
W072019年11月29日56話~65話闇はoの巣なだぎ武/刃野幹夫役
W082020年3月29日66話~74話bたちの宝物飛鳥凛/園咲若菜役
生井亜実/園咲冴子役
W092020年10月30日75話~84話fに感謝を松岡充/大道克己役
W102021年3月30日85話~93話死神はlの顔寺田農/園咲琉兵衛役
ブリちゃん/ミック役
W112021年8月30日94話~102話異端児d高岩成二/スーツアクター
W122022年2月28日103話~110話迷路棟のh立木文彦/ナレーション兼、ガイアウィスパー
W132022年8月30日111話~118話gが死へ招く細谷佳正/左翔太郎役(アニメ版)
内山昂輝/フィリップ役(アニメ版)
W142023年4月28日119話~127話yの魔窟関根明良/ときめ役(アニメ版)
伊藤美来/五条一葉役(アニメ版)
W152023年11月30日128話~135話iよもう一度寺田克也/ドーパントデザイン
W16未刊136話~

(end


【余談】

仮面ライダーWに変身している際、ボディサイド側のセリフは「無地の吹き出し」、ソウルサイド側の吹き出しは「電子基盤状の模様入りの吹き出し」で表現される。
また、「サイクロンジョーカーエクストリーム」の場合は、両者の吹き出しが粒子状の模様付きになる(左方向が翔太郎、右方向がフィリップ)。


『W』の続編作品である本作の企画が発表されたのは2017年6月28日だったが、
こちらの詳細が発表される前に、ネット上でネタバレ画像が拡散していた『仮面ライダービルド』の存在から、一部では「『ビルド』が『W』の続編なのではないか」という噂が広まってしまったことがあった。
これはビルドの基本フォームであるラビットタンクフォームが、Wのヒートトリガーっぽいデザインであり、有機物と無機物の組み合わせ形態というのも、かつての『W』の雑誌インタビューにて、「半分動物で半分車みたいな案もあった」という一文があったこともあり、この早とちりがSNS上で拡散することになった模様。
結果的には『W』の続編と『仮面ライダーエグゼイド』の後番組は別作品ということが判明して沈静化したが、上記の類似点のほかにもコンセプトや設定に近いものがあるためか、かつての『W』の没設定を再構築したものでは?という意が一部でまだ残っている様子である。


本作の次回予告は『スピリッツ編集部のTwitter』で行われていたが、途中から『スピリッツ編集部「風都探偵」宣伝用Twitter』で行われるようになった。
最後に「これで決まりだ!」を入れるあたり、編集部もノリノリのようだ。
(なお、第1話が所謂「合併号」だったため、第2話の予告には「来週のスピリッツはゴルフ中継…もとい、お盆のためお休みです」という記載が)
第15話の予告では「このエピソードは、これで終わりだ!」と、最終回予告を思わせる一文になっている。


「サイクロンジョーカー」初変身となる第5話と、「ファングジョーカー」初変身となる第13話はセンターカラーとなっている。
いずれも最後のページがカラーページとなる、漫画雑誌としては異例の手法が取られている。*14
単行本では残念ながら白黒となってしまった。


2017年10月2日発売の44号の表紙が桐山漣と菅田将暉の二人である(二人は7年ぶりの共演となる)。
また、スピリッツ編集部より、グラビアメイキング動画が期間限定公開されていた(現在は公開終了)。
動画の後半では「仮面ライダーW」作中BGMの『俺たち二人で一人』が使われていた。
また、44号のグラビア枠として再会した二人は、「10年目にまた二人で変身したい」という話を交わしており…!?


第7話に登場した「TOADSTOOL(トードストール)」のガイアメモリは風都探偵オリジナルではなく、過去にプレミアムバンダイ限定として販売された「ガイアメモリ コンプリートセレクション LIGHT & DARKNESS OF 風都」に含まれているメモリの一つである。


2018年7月15日には、テレビCMが放送されるようになった。
ナレーションはもちろん立木文彦氏である。
さらに、CMの内容は当時の「新番組予告」に近い形になっている。



主人公は二人…主人公は探偵…。
主人公は、二人で一人の仮面ライダー!!の漫画!漫画!!漫画だよ!!!
CYCLONE!!/ \JOKER!!
仮面ライダーWは、続いている。
追記修正はこれで決まりだ!
(風都探偵は楽しい読書体験を作る企業・小学館の提供でお送りします)



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*1 ちなみにドライブの場合、グローバルフリーズが発生したのが2014年4月8日、ベルトさんと進ノ介が出会ったのは2014年8月8日、ドライブに変身したのが2014年10月5日。そのため世界観設定上の競合は少ない代わりに、仮にドライブが登場する場合は時系列的にかなり後になる。
*2 公式Twitter曰く、「『地球の本棚』の検索」はアシスタント泣かせとのこと。アニメ版では『地球の本棚』の背景が白背景で足元に地球、上には無数の銀河と、真っ白で殺風景だったニチアサ版に比べて多少派手になっている。
*3 しかも何を考えているのかその構図は「インスタ映え」を狙っている節がある
*4 曰く「掃除に来た」、「君を放置したままなのはこっちの風都にも申し訳ない」、「控えめに言って、クズだよね?」とのこと。最後の台詞を言うときの万灯の目はまさしくクズを見る目
*5 劇中では特に犯罪行為は行っていない様子であった。ガイアメモリは暴走せずとも薬物のように所持や使用が罪になるのかもしれない。
*6 フィリップ=園咲来人とも幼少期に会っており、来人だと気がついていた。
*7 フィリップ幼少時の回想でも今と変わらない姿であった
*8 鏡野家に嫁入りした女性は裏社会での仕事を引き受けることになるため、彼女も嫁入りした時から裏社会で生き残るために戦闘技能を磨いていた可能性もある
*9 『痛みは与えていないから苦しませてはいない』と言う逃避
*10 翔太郎は「この時、琉兵衛は既にテラーのメモリの力を手にしていたのではないか」と推測している
*11 ただし、ラーフのパワー自体はドーパントの中でも怪力の部類に入る為、よほど規格外の怪物でも作らない限り露呈しない上、問題にもならない
*12 光が変身した個体は左側に、鉄男が変身した個体は右側に伸びている
*13 空腹がメモリ能力で視覚化されたもので実体はそのまま
*14 それぞれのカラーページに変身シーンが来るようになっており、ファンを興奮させる演出となっている。

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