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プロファイル
基礎情報
【コードネーム】リィン
【性別】女
【戦闘経験】非公開
【出身地】炎国
【誕生日】3月3日
【種族】非公開
【身長】166cm
【鉱石病感染状況】
メディカルチェックの結果、非感染者に認定。
能力測定
【物理強度】標準
【戦場機動】普通
【生理的耐性】標準
【戦術立案】優秀
【戦闘技術】普通
【アーツ適性】欠落
個人履歴
尚蜀に寓居する詩人。炎国司歳台などの政府部門と関わりを持っており、尚蜀での酒杯をめぐる事件でロドスと繋がりを得て、審査の結果、来訪者として本艦に滞在することとなった。
健康診断
造影検査の結果、臓器の輪郭は明瞭で異常陰影も認められない。循環器系源石顆粒検査においても、同じく鉱石病の兆候は認められない。以上の結果から、現時点では鉱石病未感染と判定。
【源石融合率】0%
鉱石病の兆候は見られない。
【血液中源石密度】0.00u/L
リィンさんが検査に応じてくれたのは意外でした。ニェンのように大変なことになると思っていましたので。ですが、検査中のリィンさんはなんというか……どうでもいいような態度でして。そのせいか検査の結果も高かったり低かったりと安定しなくて……でもクロージャさんがそのままでいいと言うのですから、もうこのままにしておきます。
本人曰く「酒を飲んだせいかな?」らしいですよ。
――医療オペレーターハイビスカス
第一資料
「あの方の酒量はすさまじいですよ!酒の飲み方も心得ていらっしゃいますし!」とホシグマは評している。
「酒の飲み方を心得ている」とは、リィンが決して無理やり人に酒を勧めたりしないという点を指しているのだろう。もし誰かが付き合ってくれるのなら、彼女は笑顔で酒杯を渡すが、一人きりだとしても気にすることなく日がな一日悠々と手酌で飲んでいる。また、酔いを口実に好き勝手暴れたりと良からぬ振る舞いを行ったこともない。強いて言えば、大声で歌った後に尻尾で歌詞を壁に書き込んだことが唯一の酔った時の暴挙だろうか。墨痕淋漓の歌詞はある種のパフォーマンスアートとさえ言える。ことあるごとに盛大な映画を撮りたがる誰かさんや、いきなり他人を絵の中に閉じ込める誰かさんと比べれば、大して迷惑なことでもないのだ。そのため、クロージャも彼女に厳しい制限を科していない。
リィンが作る歌に興味を見せる者は少なくない。彼らは歌詞をすべて写して整理した。古典的な趣きがあり、声律は複雑で、形式も計算し尽くされている。整った対句でありながら内容は自由奔放なもの、あるいは短長の文を使い分け、密に言葉が連なっているもの……曰く、「詩・詞・賦」という炎国の古文の文体であるらしく、数百年の時と共に変化していく中で、高い芸術性を持つようになったという。詩文の中で出てくる馴染みのない炎国古代地名や、一部手に汗を握る描写は、真偽はわからないが、研究する価値がかなりある。しかし、それらの詩文を短時間で解読するのは現実的ではないため、「リィンさんにはぜひ、もうしばらく本艦に滞在していただきたい」という多数の要請が、人事部に届いた。
第二資料
皆の話によると、リィンがロドスに来てから、ニェンは随分おとなしくなったという。やれ麻雀だの、やれ映画撮影だので皆にまとわりつくことも少なくなり、何やら隠れて「秘密の仕事」に努めはじめ、また外勤任務に赴くことも増えた。そしてシーはといえば、ニェンが邪魔に来なくなったので、喜んで自分の絵の中に引きこもっている。姉妹同士の付き合い方に悩んでいるハイビスカスは、これぞ「長女の威信」と信じ、リィンに教えを乞いに行ったほどである。
「いいや、あの子たちは私を煩わしく思っているだけだよ。」
「煩わしいというのは、何も口うるさくすることだけではなくてね。おそらく、私が目に入ると、向き合わなければならないことを否応なく思い出してしまうんだろう……学生が教師を見て、明日の試験を思い出してしまうような感じだよ。」
「それが威信だっていうの?まぁ、君がそう言うなら。子供だからね、いつかは理解するようになるさ。私たちは辛抱強く見守るしかないよ。」
【権限記録】
「私たち」の長幼の序は、あの混沌の争いから生まれたんだよ。先に茫洋として何も分からぬ状態の中から抜け出し、天地が示した初めての問題の答えを出せた者が、年長者となる。もちろん……後から決めたことだったけどね。
どういう問いか?ふむ……現代の言葉で言えば、簡単極まりないものだよ――
――「我は誰か」。
はは、稚拙な問いだろう!だけど、その問いを見出すために、私たちは長い時間をかけたのだ。そして、その問いに答えを返すためにも、また長い時間をかけた。それこそ海が去り、氷が散り、滄海変じて桑田となり、まるで壮大な夢のような時がね!
その問いをどうやって見つけたかって?あの頃、大地はまだ今ほど繁栄していなかった。天地は釜であるけれど、我々は身を焦がしながらも釜の中にあることを知らず、味方を敵とみなしていた……無意味な殺し合いがどれほど続いたかは、もう忘れたよ。みなが奔走し、あるいは眠りにつき、瞼を閉じずにいた者たちがようやくその時になって、ひっそりと生じた困惑と相対することになった……そして答えを見つけられるかは、本人次第だったね。画、碁、農作、鍛冶、詩吟、互いに干渉せず、己だけで楽しみを見出した。答えはその中にあったのさ。
そして今……歳――私たちがかつて共有していた名前――その名を持つ者が、目醒めようとしている。あれが見ているこの夢は、私の夢なんかよりもずっと長いんだ。ニェンちゃんもシーちゃんもそれに気が付いているけど、ニェンちゃんはせっかちだし、シーちゃんは臆病すぎる。各々方法や考えがあったとしても、結局同じ所に集まってしまうだろう……また釜の中に逆戻りかもしれないけど、それも構わないさ。元々私たちは、そういう兄弟姉妹なんだから。
ふふ、このような付き合い方、ハイビスカスちゃんにどう伝授しろと言うのかな?ドクター。
第三資料
「逍遥」。
リィンは私やニェンのような能力を見せていないから、貴方たちが好奇心を抱くのも無理がないわ。でも彼女については、付き合いが多い上の兄二人以外、誰も多くは知らないはずよ。私たちの中でも、リィンは一番神出鬼没な方と言っていいくらいだから。
ええ……逍遥。彼女はこの言葉が好きなのよ。私からすれば、この言葉はあまりにもポジティブなイメージがつけられ過ぎて……少し現実的でない気がするんだけど、彼女はそれを体現してるわね。
彼女を留める存在なんてあるの?彼女の意志を折り曲げて、その歩みを止めるものがありうる?
私の絵ごとき、彼女は入りたければ入れるし、好きな時に去ることもできる。ニェンが鋳造した、牢獄?枷?とかも、中の酒が欲しいからとかその程度の軽い気持ちで、尻尾を一振りして何もないみたいに出入りできる。
もしかしたら、歳月だって彼女を止められないかもしれないわね。彼女の夢は千年の時も軽々と飛び越えられるわ。夢の中で彼女が何をしたのか――あるいは誰に成ったのかを、誰も知ることができないもの。
もちろん、夢なんて幻よ。そんなに怖がらなくたっていいの。でも、もしある日彼女が夢を幻だと思わなくなって、この世のすべての規則が意味あるものだと信じなくなったら、彼女がどうなってしまうのかを、私は知らない。尚蜀で再会するまで、私にとっての彼女は、俗世に関わらず何事にも無関心な存在だったわ。だけど、一番上の兄の代わりに辺境を守ったあの年月は、彼女を少なからず変えたみたいで……
とにかく、貴方たちも気を付けた方がいいわよ。あの囲碁バカ、なんかすごい陰謀を企んでいるようだし、リィンは数少ないあいつに対抗できる存在だから……あいつが次の一手を打ったら、きっとロドスは無関係でいられないでしょうね。
私に聞かないで。文句があるならニェンに言って。あるいはニェンの滞在を許可したあのケルシーにでもいいわ。はいはい、さっさと出てって。最近はイライラしたせいで、ろくに絵も描けなかったのよ。
第四資料
【権限記録】
詩を通じて私の過去の軌跡を辿るのはおやめ。知りたいことがあれば何でも教えてあげるよ。もちろん、私だってロドスに疑問を抱いているしね。
……
ああ、いろんなところを回ったよ。
最初は江南だったね。あそこの酒は甘くて、金や玉制の珍しい器があり、花は咲き虫が鳴き、流觴の詩会も風物人情も快いものだった。だけどね、一年また一年と巡って、人間が代替わりし続けても、起こる出来事は変わり映えしなかった。美しくはあるけれど、流れゆく人々の定めにどこか悄気てしまっていたよ。そんな時、偶然一番上の兄が剣を教えてくれることになって、気持ちを打ち明けたら、大兄は玉門へ行くことを勧めてくれた。
……
玉門――幾度も夢でまた帰る都市。山々は遠く、春風は届かない。砂漠の前に横たわる玉門は、孤独な巨人のようだった……炎国の精鋭が遠くの牧草地に潜んで、城は夜も昼のように明かりが灯り、天に届きそうなほどの騒がしさで、都市そのものが香餌だった。あの夜一体どれだけの死傷者が出たのか、あれほど悲惨な戦いが一体何回あったのか、もうはっきりと覚えていない。大漠にて長煙起こり、孤城にて征鼓を聴く。将兵たちの荒んだ顔も、混じり合って響く方言も、死闘前夜の笛が奏でられた時に遠く故郷を望んだまなざしも、すべて飲み込まれてしまった。誰か言う将軍には死志有り、故塁の新柳は年年生ずと……その時の私は、すでに江南から離れて炎国を百年ほど歩き回っていた。俗世を見切り、どのような人間も、目にしてきたと思っていた。だがこの大地にはいまだ私が知らぬ景色があり、湧いたことのない情がある。分かるかな?あの日、玉門の城の上に立った時初めて、天地の広大なるを知ったんだよ。
……
それから尚蜀での出来事は、繰り返すまでもなく知っているだろう……もう少し酒を持ってきてくれる?
昇進記録
「独幽せし獣あり 其の数は三
山に抵りて眠る 骨脊崢嶸たり
息は日月に薄り 音は千鐘を喑らしむ
黛のごとく黯く漆のごとく深し 鱗趾の色
山重麓を失えども 其の形を見わさず
水蛭蟥を泯ぼせども 其の声を聞かず
これを感じれば既に来業を見わし 禍福紛呈として 濁を倒し清を顛す
これに遇えば万仞を徜徉して 干戈は弭め遁れ 詩文漸く形わる
人は器を重んじ 獣は情を憫れむ
長河遠く上り 骸を其の下に埋め 吾れ自ら逍遥す」
拓本に書かれた文字は判別できる。だが、現在保有する情報では完全に解読できない。炎国司歳台には完本の解読があるらしい。
ボイス
ボイス(デフォルト) | |
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秘書任命 |
どうも懐旧の情が催されるね。ずいぶん昔にもね、私は今日と同じように、志士たちがひしめく楼閣に足を踏み入れたことがあるんだ。 |
会話1 |
然り、大炎の学士が口にする「歳」とは「吾々」であり、「カミ」でもある。秘匿するほどのことではないさ。ニェンちゃんが懸念していること、私は気にしていないよ。どうしたって、私は私でしかなく、終わる時は終わるのさ。ただ、この杯のうちにあるものや、この天地が惜しいかな。結句、私は好んでやまないのだから。 |
会話2 |
ようやく古い知り合いに、ともすれば旧友に会えるものと思っていたんだけど、まさか貴君がこんな風になっていたとは、ふっ。我を我と知らぬのなら、それは夢と何が違うんだろうね?しかし、貴君。貴君でいてもいいんだよ。我と我の問答に終わりなく、なれば我で在る方がいいさ。 |
会話3 |
心に在るを志となし、言に発するを詩となす。胸の内に渾々と湧いて尽きぬ泉を抱えているなら、書き出さない方が己に失礼というものだよ。ん?しっぽ?ははっ、もちろん筆も使うよ。しかし所詮は身外の物だからね、不便な時だってある。この身は逍遥自在なれば、しっぽを使っちゃだめだなんてことはないよね? |
昇進後会話1 |
詩詞歌賦、形こそそれぞれ異なるのだけど、相通ずるところもあるんだよ。惜しむらくは、今の子たち、堪え性がないからね。曲を聴くのも、詩を読むのも。私にしたらなんの苦にもならないことだけど、文士たちは少し不憫かな。 |
昇進後会話2 |
ニェンちゃんはせっかちだし、シーちゃんは肝が小さいけど、あの子らの今の様子を見るに、好きなものも、したいことも既に見つけたようだ。さすれば、真偽だの自他の差異だのに拘泥する必要がどこにあるんだろう。日々の他愛ない口喧嘩や喜怒哀楽、それこそが人じゃない? |
信頼上昇後会話1 |
貴君、自分のための詩を、私に詠ませてみたいと思わない?ん?なに、ただ興が乗ったんだ。筆を走らせるまでもないし、記録なんてのも野暮だよ。おっと待てよ、もし曲にすれば……それも一興!とはいえ一差し舞うには準備を要しそうだ。よし!貴君は腰掛けててくれ、半刻で戻るよ。 |
信頼上昇後会話2 |
私が酔ってる?ふっ……我なおいまだ、天開かる、月明ける、海走る、氷散るを見ず。世の人間がみな素面になるのを待ったところで、それもまた枯れ枝に新芽が一つ、ついただけ。心置きなく酔い耽るには、尚早きにすぎる……貴君よ、どうして私が酔っているなんて言える? |
信頼上昇後会話3 |
昨夜貴君の夢を見た。否、本当は貴君が私の夢を見ていたのかもしれないね。うん?覚えていない?残念、あの痛快さを分かち合えないなんて。どういうことかって?ふっ、八千年を春とし、また八千年を冬として過ごす一巡り、夢に見たのも、そのうちほんの短い秋のこと、それだけだよ。 |
放置 |
雲巒波濤、千里枯路、江山の故人たる我は、晩秋の行舟なり。 |
入職会話 |
リィンと呼んでくれたらいいよ。うちの面倒な妹二人がお世話になってるらしいけど、迷惑かけてない?ん?私に見覚えがあるの?ああ……夢の中でかもしれないね。 |
経験値上昇 |
見た目はちっともかかずらわないほど離れているのに、性質はどうも近いね。 |
昇進Ⅰ |
ん……「末将令を得たり」、と言うべきかな?ははっ、冗談だよ、本気にしないで。ただ貴君が本当に将として立つのであれば、私が再び知謀でもって佐けるのも、悪くはないように思うよ。 |
昇進Ⅱ |
ニェンちゃんの言った通りだ。この永く荒唐無稽な夢は、とっくに覚めてしかるべきだよ。 |
編成 |
長河千嶂、大荒孤城、歴々と目に在り。 |
隊長任命 |
杯を反そう、この小さな器に満ちたものがせめて、大地にありて慰めとなるように。 |
作戦準備 |
血で血を洗う争いに謀、古来より変わらないね。 |
戦闘開始 |
遠くに火を望んだところで、熱さは分からないさ。 |
選択時1 |
私に巡ってきたのかな? |
選択時2 |
懐旧の情が催されるね。 |
配置1 |
この時より、秋だ。 |
配置2 |
戦(いくさ)のための歌、悲(かなしみ)を紡ぐ詩。 |
作戦中1 |
折戟砂に沈みて、壮志未だ酬いず。 |
作戦中2 |
万物を一言に収むるは、洒々落々の境地にこそあれ。 |
作戦中3 |
戦場(いくさば)に積もる恨みはいつか散らむ。 |
作戦中4 |
胸臆を直抒すれば、酣暢淋漓たり。 |
高難度作戦クリア |
また一曲、素晴らしいものができた。ドクター、私たちは確かによく通じ合っているのかもしれないよ。 |
★3で戦闘終了 |
志かなって得意満面といったところかな。貴君よ、しかれども驕ることなかれ、だ。とはいえ……褒めるべきは褒めねばならないかな。よくやったね。 |
★2以下戦闘終了 |
ん……たまにはこういうこともあるさ、自分を責めすぎないで、あとは私に任せなさい。 |
作戦失敗 |
勝つも負けるも兵法家の常さ、時機を逸せず進退を見極められているなら、まだ終わりではないよ。 |
基地配属 |
ロドスの中は……懐かしいと言えばいいか、興味深いと言えばいいか迷うところだね。 |
タッチ1 |
うん?私に用かな? |
信頼タッチ |
どうしたの?こっちで一献傾けていく?遠慮するって?残念だね。 |
タイトルコール |
アークナイツ。 |
挨拶 |
やあ、調子はいかがかな、{@nickname}。 |
逆理演算
有無 / 尚蜀・忘水坪
器を投じて鬼が生じ、筆落ちて魂宿る。作主を呼んだところで、詮無きこと。残っているのは酔いに酔いしれ、甕を干し、興に乗った筆が走るままに任せた記憶だけである。
コーデ
デフォルト(昇進0)
オペレーターの普段着。
実用性は制服に劣る部分もあるが、オペレーターが最も着慣れているコーディネート。
デフォルト(昇進2)
昇進後調整された服装。
オペレーターの経験に基づき細部の改善が図られ、より作戦に特化したものとなっている。戦闘向きでありながら、オペレーターが着慣れている服装を極力再現した。
0011/VIII - 濯冠纓
リィンの私服。
0011ニューモデル/濯冠纓。気品あふれる白で織られた道士の装い。膝までかかる広袖と、足元まである長い裾には、吉兆とされるとある羽獣が刺繍されている。このデザインは、依頼者が昔見た夢の中での出来事から着想を得た物とのこと。
「我とは何ぞや」「我が正すべき道とは何か」「尊ぶべき法とはまた何か」――嵐立ち、雷落つるも雨降らず、朽ちた髑髏と麗しき生者が投合し、夢売る者こそ目覚めにあって、瞑想者すらも心を乱す。斯様なこの世で問答に如何なる意味があるものか。
モジュール
ORIGINAL / リィンの記章
リィンは「清平」及びその派生物を使役しての作戦行動に秀でている。
外勤部門の決定に基づき
外勤任務においては補助オペレーターとして区分し、召喚師の責務を担う。
特別に本記章を授与し、
その証明とする。
SUM-Y / 詩は短く、夢は長く
砂漠の奥から届く風が、遮るもののない牧草地を通り抜け、やがて闇夜の中でも白昼のように輝かしい移動都市へと至る。
「この風は――」
「どうした?」
「なに、束の間どのように表せばいいか分からなくなっただけだよ」
「口を開けば名句を垂れ流すリィンも、言葉に詰まることがあるんだな」
風は庭園の軒先から回り込んで、柳の枝先でくるりと回った。それで勢いが削がれたのか、リィンの頬を撫でる頃にはひどく優しい手つきになっていた。
「酒尽くすも高朋兀として相留まり、暖風は送る——」
「お前の近頃の詩を見たよ……」と、急に声が聞こえた。
「大兄……」
「暖風、薫風、東風、蓮の風、柳の風、風が橋を渡り、風が扇子に潜る……風がない場所を詠む気はないのか?」
「この世に、風がない場所なんてあるかな?」
彼女はもう、これが何度目の詩会であるか思い出せなくなっていた。この頃は似たような庭園に、似たような曲水の宴ばかり。千杯飲めども酔いもせず、見分けのつきにくい詩が百余り、詠まれた人の情だけが巡っていく。心ゆくまで楽しめたと言えばその通りなのだが、それにしてもあまりにもすぐ情感のてっぺんまでたどり着いてしまうのである。
「お前を必要とするだろうところがある……お前はそこで、新しい詩を紡ぎ出すことができるだろう」
限られた水源地を確保するために、その移動都市は山を壁とすることはなく、広大な砂漠のど真ん中に建築されていた。その姿はまるで天地のどこにも寄る辺のない孤独な巨人のようだった。風はなにものにも妨げられることなく吹きわたり、その風に巻き上げられた荒い砂粒が頬を掠れば、まるでナイフに切り付けられたようだった。
そこには風がないわけではなかった。ただ、あのような風がないというだけだった。関山遠し、春風度らず。
リィンは弓矢が届きそうな距離にある牧草地を見つめた。ほんの僅か残った精鋭が草の中に潜んでいる。甲冑には湿った稲穂が巻き付けられていて、三軍共に息をじっと潜めてその時を待っていた。闇夜の中の牧草地は、ただの牧草地のように見えた。
暗闇を呼び覚ますかのような街を餌に、牧草地を罠とした待ち伏せである。
「松明をもっと明るく燃やして」
「もう十分明るいですよ、あいつらを引き付けるには十分です」
「あの草地にいる勇士にみせるんだよ。大戦はもう目の前だ、九死に一生すらない戦いだから、誰だって思わず振り返ってしまうものさ。もっと明るくしてあげて。故郷の明かりの代わりになればいい」
長風は原上の火を滅せず、一夜にして征夫は尽く望郷す。
風が冷たい。夢から醒める。見上げてみると、山城の夜はもうとっぷりと深く、湖松酒の空の酒甕が東屋に積み上げられていた。目の前の紙には、半分しか書かれていない詩文がある。
あのような風だけが、百年という時を超えても時折夢の中にまで届くのだろう。
長き夢を悲しみ、酔いて灯を挑(かか)ぐ。他年の長風今猶お在り、旧時の鉄甲新声を踏む。
印
リィンの潜在能力強化に用いられる。
提灯。貴殿はかつてとある夜にこのような光景――夜を照らす提灯、雨のように降る矢、荒漠に飛び交う炎を夢に見たと確信している。
指名券採用
筆はどこにあるかって?彼女の尻尾をよく見るといい。
炎国より来る詩人・リィン、洒脱、豪気、逍遥自在、酒さえあればどんなものでも詩へと転ずる。
紹介文
省略
登場ストーリー
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