aklib_operator_シュヴァルツ

ページ名:aklib_operator_シュヴァルツ

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プロファイル

基礎情報

【コードネーム】シュヴァルツ

【性別】女

【戦闘経験】二十年

【出身地】レム・ビリトン

【誕生日】本人が記憶していない

【種族】フェリーン

【身長】169cm

【鉱石病感染状況】

体表に源石結晶の分布を確認。メディカルチェックの結果、感染者に認定。

能力測定

【物理強度】標準

【戦場機動】優秀

【生理的耐性】標準

【戦術立案】優秀

【戦闘技術】優秀

【アーツ適性】標準

個人履歴

元シエスタ市長SP兼市治安当局局長。セイロンと共にロドスに加入した。

隠密行動、偵察やかく乱、サバイバル、そしてクロスボウの扱いにおける造詣が深い。ドクターの護衛とともに、一部の一般オペレーターの訓練も担当している。

健康診断

造影検査の結果、臓器の輪郭は不明瞭で異常陰影も認められる。循環器系源石顆粒検査の結果においても、同じく鉱石病の兆候が認められる。以上の結果から、鉱石病感染者と判定。

 

【源石融合率】6%

病態は安定した状態に抑えられている。

 

【血液中源石密度】0.29u/L

軽度の鉱石病に感染しているが、現段階拡散の傾向は見られない。

 

鉱石病に罹患したのはかなり早かったようだが、ロドスに入る前に適切な治療を受け、正しく症状を抑えておったのが功を奏したな。病状はかなり安定しておる。

――医療オペレーターワルファリン

第一資料

真面目でめったに笑わないボディーガード。

必要な時にはドクターの護衛を務めるが、普段はセイロンの傍らで見かけられることが多い。

他者との交流を好まないため、彼女と交流を試みても、大体は冷たい反応をされる。

だが、時折彼女が傭兵や賞金稼ぎ上がりのオペレーターたちと、バーに出入りする姿を見ることもある。

第二資料

シュヴァルツには二面性がある。

戦闘中の彼女は極めて冷徹な一面を見せる。クロスボウを主な攻撃手段としているが、彼女にかかればペンや本、ロープなど、手にしたものは全て武器となる。また、一般人には少なからず備わっている自身の命と身体を大切にするという感覚が彼女には欠如している。演習で彼女が見せる戦術とそれによる進攻は防ぐことができないほど強力なものであるが、それは取り返しのつかない対価を払うことでやっと実現可能なものであることが多い。

怪物相手の戦いは他のオペレーターのほうが慣れているかもしれないが、対人、或いはそれに類する者を相手取った戦いにおいては、彼女はロドスで一二を争う存在と言えるだろう。あるオペレーターの言葉を引用すれば「彼女は人を殺すために存在している、感情のない精密機械のよう」らしい。

しかしセイロンの傍らにいる時の彼女は、クールさは相変わらずだが堅苦しい雰囲気ではない。彼女とセイロンは、単なる主従関係というよりも、いわゆる姉妹関係に近い。セイロンの前では、シュヴァルツは可愛い妹に過保護な姉のようで、どんな無理難題や要求も彼女を満足させ、どんな奇想天外な考えでも受け入れる。クールな口調は相変わらずだが、その言葉からは甘やかしっぷりが伺い知れる。

こういう時だけは、はたから見れば彼女は機械からひとりの人間に戻ったように見える。実際、ロドスに入ったばかりの彼女を恐れていたオペレーターの多くが、その様子を見て彼女への印象を変えたのである。

第三資料

シエスタ市の事件において、シュヴァルツの行動理念に注目した者は何人ほどいるだろうか。彼女は基本的にセイロンを溺愛していると言えるが、あの事件ではセイロンとは逆側の立場を選んだのだ。事情があったとはいえ、それは一つの裏切りと言えるだろう。それにより、諸々の連鎖反応が起きたこともまた事実である。

シュヴァルツがセイロンと逆側に立った本当の理由は、彼女の考え方はどちらかといえばヘルマン市長寄りであったためだと、事件が解決した今なら推測できる。確かに彼女はセイロンを溺愛しているが、何でも従うだけの木偶の坊ではない。その行動理念を踏まえれば、彼女は市長の代理人というよりも、その理解者と言うべきだろう。彼女が言っていた「血なまぐさい任務は、セイロン様には行かせないでください。そういうものは陰でしか生きられない我々に任せればいいのです。」という言葉が、その考え方を色濃く表しているだろう。

事件の洗礼を受けたとはいえ、セイロンはロドス加入後も相変わらず理想主義者である。彼女は世界の残酷さを少なからず目にしたが、事件が円満に解決したことで、そのショックも和らいだようである。もとより、全ての人が現実の残酷さに打ちのめされるべきというわけではないのだ。

今回の記録の重要性は、まさにここにある。「ならば、ロドスはそうするべきなのだろうか?」

実際、セイロンと同じような考えを持つ者は、ロドスでも少なくない。だがロドスは純粋な研究機構ではないのが現実であり、それにより我々は決して良いとは言えない物事に立ち向かうことを運命づけられている。ならば、彼らに見たこともない残酷な生活を暴く必要はあるだろうか?それともシュヴァルツが言うように、「陰でしか生きられない者に任せればいい」のだろうか?

これは今後も探っていくべき問題だ。

――資料記録員R.F.

第四資料

「……実は、慣れてしまってからは、人を殺してもあまり何とも思わないんです。殺した相手がみな仇だった時などは特に。

一人でどうやってあの一族を滅ぼしたか、詳しいことは聞かないほうがいいです、ドクター。実際、潜伏している時に見た草花のこと以外に、何も語れることはありませんし。簡単です、時を待って、そして手を下す。それだけです。

私はレム・ビリトンの商人の家庭に生まれ、両親ともに商売をしていました。しかし私が6歳のとき、両親は騙され、宝石に偽装された源石を仕入れさせられたのです。私の鉱石病は、それらをこっそり手に取って遊んでいたときに感染したものです。

両親はそれに気付くとすぐに取引相手を問い詰めに向かいましたが、帰りの途中で殺され、私も奴隷として売りに出されました。最後にとある傭兵団に選ばれ、彼らに加わったのです。

この傭兵団は戦闘の他に、大物たちからの依頼を受けることも多く、表に出せないような汚れ仕事をしていました。そして私も傭兵団で鍛錬を積み、幼いながらも殺し屋になりました。いくつかの任務を遂行した後、私の組織はある都市で「事故」を起こすという任務を受けました。

私の運命はそこで大きく変わったのです。

私の任務は旦那様の暗殺でした。しかし旦那様に接近し、機を伺っていた際に私はあの方に説き伏せられたのです。今では想像もつかないでしょうが、あの時の旦那様は……いえ、それは言わなくてもいいですね。とにかく、私は旦那様のために所属していた傭兵団を全滅させました。それから、セイロン様のお世話係兼ボディーガードとなったのです。あれは、セイロン様が3歳、私が12歳の時のことでした。

実はセイロン様も知らないことなのですが、私がセイロン様のボディーガードとなった数年間、旦那様のお手伝いもしていました……誤解しないでください、あれは自ら志願したことです。セイロン様は私が一番心に留めている方ですが、旦那様も私が最も尊敬する方です。この思いは今となってもずっと変わっていません。

……あの日、旦那様は私をシエスタに呼び戻しました。そして私の仇を見つけ出したと教えてくれたのです。出発する前に、旦那様に聞かれました。『本当に行くと決めたのか、シュヴァルツ。君はここで幸せに暮らすこともできるというのに。』と。それでも私は向かいました。でもそれは復讐のためだけではなく、決着をつけるためでもあるのです。それに私には、待ってくれてる人がいるとわかっていましたから。」

――ドクターの口述より。元の発言には下品な言葉や飲酒によるうわごとが含まれていたため、かなり文面を修正している。本人の同意を得た後、個人資料として記録する。

昇進記録

シュヴァルツのような人は、もし光の中に留まってさえいれば、その身に宿る暗闇も次第に晴れていくのではないか、という考え方もある。

しかしそれは、楽観的で無責任な考えだろうと指摘しておく。

残酷な現実として、セイロンの側にいるシュヴァルツこそが本物の彼女というより、むしろセイロンの側にいる時にだけ、自分の本性を抑えていられると言ったほうが適切であるのだから。

彼女が戦闘中に見せる冷酷さと命を軽んじる姿勢こそが、その本性に近い部分だろう。それは彼女の魂に刻まれており、どれほど光の中で生きていても、洗い流すことのできない烙印なのである。

我々は理解しておく必要がある。彼女のセイロンに対する願いは、たとえ叶えがたいものでも、決して軽蔑されるべきではない。なぜなら、暗闇を経験した者だけが、あの底知れぬ寒さがどれだけ骨身にしみるかを知っているからだ。

唯一幸いなのは、彼女自身がそれをきちんと理解していることである。

それならば、彼女の言うように、いつの日かドクターが彼女の心の中の魔物を飼いならすことができるかもしれない。その日が来ることを心から願おう。

 

ボイス

ボイス(デフォルト)
秘書任命

ドクターのスケジュールは全て把握しております。必要な際はいつでもご確認いたします。

会話1

血なまぐさい任務は、セイロン様には行かせないでください。そういうものは陰でしか生きられない我々に任せればいいのです。

会話2

セイロン様のプライバシーに関わる情報は、たとえドクターであっても教えるわけにはいきません。もちろん、ドクターの情報も決して口外することはありませんのでご安心ください。

会話3

ドクター、私に課せられた役割はあなたの話し相手ではなく警護です。おしゃべりがしたいならほかの方にどうぞ。セイロン様のようにしきりに話かけてくるのは……おやめください。

昇進後会話1

私の特技、ですか?殺し、警護、それから……紅茶を淹れることですね。そんなに驚いた顔をしないでください、紅茶を学んだのはセイロン様の紅茶があまりにも……コホン、とにかく、わりと得意なほうです。

昇進後会話2

ドクター、これまでの任務の危険性を鑑みると、私の警護に頼りきりになるのではなく、ご自身も少し護身術を身につけた方が無難です。そうでないと、私も自信を持って「いかなる状況でもドクターの安全を保証する」とは言えなくなってしまいます。

信頼上昇後会話1

……一度手を血に染めると、もう元の道には引き返せません。ドクターにはそうなってほしくありませんので、汚れ仕事は私にお任せください。

信頼上昇後会話2

私の復讐譚を聞きたいとは……そんなものを聞いても悪夢を見るだけですよ、ドクター。でも……どうしてか、ドクターになら聞いてもらいたいと思っている自分もいます。では……話が長くなりそうなので、バーにでも行きましょう。

信頼上昇後会話3

罪深い人間に待つものは破滅だけ、そんなことは分かりきっていました。しかしセイロン様やドクターに出会ってからは……もっと早くお二人に出会っていれば、私もただの人殺しになることはなかったかもしれません。……今からでも遅くない?ドクター、それは本心、ですか?

放置

……こんな場所で眠ってしまうなんて。セイロン様と同じく、まったく警戒心のない人ですね。

入職会話

セイロン様のボディガードを務めさせていただいております、シュヴァルツと申します。この度セイロン様の従者としてロドスでお世話になる運びとなりました。できれば、セイロン様とともに行動させていただけますと幸いです。よろしくお願いいたします。

経験値上昇

ロドスは化物揃いですね。こんな戦い方、今の私では何とか真似することくらいしかできません。

昇進Ⅰ

ようやくわかりました、私がロドスに必要とされる意味を……。あなたたちの理想は、私の過去なんて霞んでしまうくらい、とんでもないところにあるんですね。

昇進Ⅱ

私の過去の記憶を呼び起こしたい?いいでしょう。未だに戦いのことになると私の心から姿を現す魔物も、あなたなら飼いならせるかもしれません。どうか……私から目を離さないでいてください。

編成

任務?分かりました。

隊長任命

私の指示に従ってください。

作戦準備

行きましょう。

戦闘開始

彼らに帰り道などありません。

選択時1

お役に立てそうですか?

選択時2

はい。

配置1

悪くない位置取りです。

配置2

逃しはしません。

作戦中1

見えていますよ。

作戦中2

格好の的です。

作戦中3

この程度の数で。

作戦中4

セイロン様と違って、私は情けはかけません。

高難度作戦クリア

ドクター、またこのように危険な任務の指揮を取ることがあれば、もう少し戦場から離れていてください。

★3で戦闘終了

指示通り、一人残らず片付けました。

★2以下戦闘終了

周囲の安全は確保しました、次はどうされますか?

作戦失敗

ドクター、こちらに。あなたの安全が第一ですから。

基地配属

巡回ですか?了解しました。

タッチ1

ツッ……ドクター、怪我しますよ。

信頼タッチ

ドクター、異常はありませんか。

タイトルコール

アークナイツ。

挨拶

基地にいても、油断は禁物ですよ、ドクター。

 

逆理演算

キルゾーン / チェルノボーグ・廃棄区画

実戦経験豊かなシュヴァルツは、戦場に関する多くの知識を有している。そのため、他の狙撃オペレーターがさらに実力を発揮できるための細かい指示を出すこともできる。

また、遠距離武器の弱点を熟知する彼女は敵の弱点を見抜く観察力も鍛え上げた。シュヴァルツの攻撃は、いつも敵の防御の最も手薄な部分を貫くことができる。

最も手ごわい敵にはシュヴァルツをあてがうといい。あなたを失望させることなど万が一にもありえない。

 

コーデ

デフォルト(昇進0)

オペレーターの普段着。

実用性は制服に劣る部分もあるが、オペレーターが最も着慣れているコーディネート。

デフォルト(昇進2)

昇進後調整された服装。

オペレーターの経験に基づき細部の改善が図られ、より作戦に特化したものとなっている。戦闘向きでありながら、オペレーターが着慣れている服装を極力再現した。

I.M/I - ギフト

シュヴァルツの礼服。

Icefield・Messenger/ギフト。シュヴァルツ自身が選んだ冬のコーデ。季節外れのアイテムを使っているが、本人はその点には注意が向いていないようで、もっと重要なことに困らされているところだ。

「セイロン様は……いったいどんな贈り物をすれば喜ばれるでしょうか?」

Striker - スカイライン

シュヴァルツの戦闘服。

ストライカーシリーズ/スカイライン。レイジアン工業の製品で、都市を仮想作戦地点として設計されている。基礎的な防御力に加え、新開発された反射塗料を用いることで、スペシャリストが都市の複雑な環境の中に自然に溶け込むことができる。

青色の小動物が後ろからついてきていることをシュヴァルツはわかっている。シュヴァルツはずっとわかっている。

 

モジュール

ORIGINAL / シュヴァルツの記章

シュヴァルツは中距離の精密射撃により物理的損傷を与えることに秀でている。

外勤部門の決定に基づき

外勤任務においては狙撃オペレーターとして区分し、精密射手の責務を担う。

特別に本記章を授与し、

その証明とする。

 

ARC-X / 特注クロスボウ部品セット

「止まりなさい。」

冷たい声と同時に男の耳に届いたのは、何か鋭いものが空気を切り裂く音だった。男が無意識に音の方へ目を向けると、足のすぐそばにクロスボウの矢が深く突き刺さっていることに気が付いた。

「た、助けてくれ!」

男は腰を抜かし、そのまま尻餅をついた。

「助かりたいのなら、盗んだものを戻してきなさい。」

シュヴァルツは建物の屋根から、冷たい眼差しで男を見下ろした。

「鉱石病のせいで仕事がねぇんだよ!これ以上食わないでいりゃ飢え死にしちまうんだ!」

シュヴァルツの視線が男を刺激したのか、彼は怒りを露わにした。

「お前らだって感染者だろ!なんで見逃してくれねぇんだよ!」

シュヴァルツはしばしの沈黙の後、溜息をついた。

「これもあなたのためです。それと、仕事が見つからないならロドスに来るといいかもしれません。」

怒りが鎮まり、すでに後悔し始めていた男は、その意外な言葉を聞いて素っ頓狂な声を返した。

「い、いいのか?」

シュヴァルツはそれには答えず、踵を返した。彼女は同僚たちがその後の対応をしてくれることを知っていた。

ロドスに来て、多くの同僚ができた。加入したばかりの頃、ターゲットを射殺しかけて同僚と揉めたことを思えば、自分がこれほど同僚を信頼するようになっているのが不思議でたまらなかった。

ロドスで引き受ける任務は加入時に想像していたほど複雑ではなく、すぐに順応することができた。しかし彼女は知っている――自分と同じように戦場慣れした同僚たちがこれまで何をしてきて、これから何を成し遂げようとしているのか……そして自分は彼らの一員にはなり得ないということを。シュヴァルツはロドスの信念に共感したからではなく、あくまでセイロンの従者としてロドスに加入しただけなのだ。

ただ――

シュヴァルツは足を止め、振り返った。案の定、同行したオペレーターがうなだれる青年を慰めていた。

――感染者。

これまで長い間、いくらセイロンがこの身に巣くう鉱石病を治したがっている様子を見ても、自分が病人であるという実感は湧かなかった。この命がそれほど大事だとは思わなかったし、鉱石病にしても、それほど特別な病気だとは思ってはいなかったのだ。

しかしロドスに来てから、ある意味自分は幸運だったことに気付かされた。なぜなら、これまで鉱石病によって差別された経験が一度もないのだから。

それでも彼女は感染者なのである。

昔のシュヴァルツはセイロンが何かに怒っていても、ただ側に寄り添い、怒りが収まるのを待ってから紅茶を入れることしかできなかった。しかし最近では、少しだけセイロンのことを理解し、共感できるようになってきたように思う。

「シュヴァルツ、泥棒は捕まった?」

現地の者に地質に関する質問をしていたセイロンは、戻ってきたシュヴァルツに気付き、嬉しそうに手を振った。

シュヴァルツは頷くと、軽やかに二度三度跳躍して、セイロンの側にひらりと着地した。

「あのねシュヴァルツ、この近くで身寄りのない感染者たちが通行人を襲っているらしいの。今回の外勤任務とは関係ないけれど、どうにかならないかしら?」

「承知しました。」

――私にできることは、まだまだあるのかもしれない。

 

ARC-Y / 古い剃刀

腐った枝や葉っぱが混じり合ったジャングルの泥沼を進む以上、用心は意味をなさない。男はバランスを崩し、泥の中に勢い良く倒れてしまった。

「いつまで歩かせるつもりだ!?俺を殺すんじゃないのか!?」何とかもがいて起き上がった男は背後に向かってがなり立てる。

しかしその声は震えており、そこに男の恐怖と動揺が表れていた。

「止まっていいとは言っていません。進みなさい。」

背後から聞こえてくると思われた声は、意外にも頭上から聞こえてきた。

声のほうに目を向けると、あの恐ろしい女が太い木の上に立っていた。その顔はほとんど葉に隠れ、硬く横一線に結ばれた口元しか見えない。

カチッという音が響く。それは矢を装填した音なのだと男にはわかっていた。

心音がばくばくと高鳴っていき、森の中で聞こえるほかの音すべてを飲み込んでいく。

それはさながら、男の頭を埋め尽くしていく一つの感情のようだった。

死にたくない。

男は泥まみれの地面に手をつくと、その勢いで泥沼から這い上がり、足をもつれさせながらもジャングルの奥へと駆けていった。

けれども死は影のように付き纏い、振り払うことはかなわない。

女が引き金を引くと、飛び出した矢は男の頭をかすめ、骨が見えるほどの傷を残した。

「ああああっ!」

男の悲鳴は天にまで響いた。

「なぜだ、どうして俺が殺されなきゃならない!」

血の溢れる傷を押さえながら男はみじめに喚き散らす。

しかし、女は問いかけに応えず、冷たく指令を下すだけだった。

「道を間違えています。右に向かいなさい。」

男はぜえぜえと息を荒げて身体を引きずり、よろけながらも女が示したほうへ向かった。

そうして泥沼を進むうちに、彼はまともに進めなくなったことに気が付いた。

足を強く吸い寄せるかのように泥が纏わりつき、それを振りほどこうとすればするほど身体は深く沈んでいく。

泥はやがて男の腰までを飲み込んで、胸元までもすぐに到達しようとしていた。

「頼む、いっそ一思いに殺してくれ……!泥沼で溺れ死ぬなんて御免だ!」

逃れるすべはないと悟った男はついに泣き声をあげた。

だが、その醜態を前にしても女は欠片も動じることなく、ただ男が泥沼の中で絶えずもがく姿を眺めていた。

「三年前、あなたは防護措置もさせずに未成年労働者を採掘場に送り、源石の採掘をさせていましたね。」

「その後鉱脈が活性化したせいで爆発が起こり、坑道は崩落して、全員が生き埋めになりました。」

「あなたはきっと、これほどの規模の事故であれば、子供たちが生きているはずがないと思ったのでしょう。だから救援を出さず、死にゆく子供たちを放置した……」

「ですが一人だけいたのです。剃刀一つで外への道を掘り進め、その場を逃れた強い子が。」

「彼は一瞬たりとも休まずに、七時間も掘り続けていたそうです……」

「それが何だ!お前と何の関係がある!?」取り乱した男は泣き叫ぶ。

「何の関係もありません。」

「私はただ、自分も子供の頃に剃刀を一つ持っていたことを思い出しただけです。もっとも、私はそれを使って土を掘っていたわけではなく――」

女は一度言葉を止め、そして続けた。

「……他人の喉笛を掻き切っていたのですが。」

「とはいえ、大差はないでしょう。我々が剃刀一つで生き残った者同士であることには違いないのですから。」

「――あなたも今、生き残りたいと強く思っているのでは?」

女はポケットからぼろぼろの古い剃刀を取り出し、泥沼へと投げ込んだ。

「さあ、その想いを見せてください。」

 

シュヴァルツの潜在能力強化に用いられる。

一挺のクロスボウ。よくメンテナンスされており、使い勝手も良好。各所に残る引っ掻き傷や欠損箇所は凄惨な戦いをくぐり抜けたことを物語る。

 

指名券採用

気弱なオペレーターは、彼女と一緒に任務に出さないことをお勧めします。

ロドスオペレーター・シュヴァルツ。陰からあなたを警護する。

 

紹介文

省略

 

登場ストーリー

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