蒼の通史

ページ名:蒼の通史

 本稿ではトナン大陸の大部分を支配する恩の歴史に登場する青龍族の国・蒼の詳細を記載する。

 

青龍族の説明

 青龍族とはトナン大陸東部に位置する広大な砂漠、句芒乾原に住む部族である。恩には主に玄武族、青龍族、朱雀族白虎族の4つの部族が居住していて、それぞれに玄冥野、句芒乾原、祝融山脈辱収湖というテリトリーが存在する。彼らが信奉する伝説に神獣伝説というものがあって、それに登場する4つの神聖な獣の一つ、青龍がその名のもとである。また句芒乾原には角江という唯一の河川が流れていて、その下流の東を心龍、西を房芒、それらの北を氐句という。

 青龍族の最も重要な家畜はラクダで、その用途は騎乗だけでなく、皮は衣服や住居に利用され、青龍族の主要な食料はその肉や乳であり、ラクダは衣食住を賄う生活の基盤であった。また多くのラクダを扱う者は、少数の人材でそれらを率いる統率力が必要で、軍事的な技術を獲得することとなり、青龍族の特徴である機動性を持った軍団の形成を助けた。

 

初期の蒼

 彼らは広大な砂漠に点在するいくつかのオアシスに寄り添うようにして都市を建設し、やがて国家の様相を見せるようになった。その一つが蒼である。蒼はもともと角江の中流に作られた国家で、心龍、氐句、房芒のちょうどあいだにあって、その都市を尾正といった。蒼を治めた瑠氏の出自は不明であるが、多くのラクダの扱いに長けたことから、富裕な財力を持っていたことは間違いない。

 

瑠鱗による拡大

 蒼の拡大の開始は部族の統一を果たした青龍瑠龍の先代の瑠鱗のときである。彼は心龍の諸国を数度にわたって攻撃し、領土に加えた。その背景には北方の氐句の国・氐の領土拡大によって敗北した国の有力者が賊徒化し、財政を圧迫したことがあった。これにより先述の賊徒が北に追いやられ、玄冥野に侵入し、玄武族を圧迫した。

 瑠鱗は氐ともしばしば争ったが、その途中、戦死した。嫡男の瑠江が続いて指揮を執ったが、これも戦死した。

 

瑠龍の統一

 父と兄が戦死したため次男の瑠龍が王となったが、その当面の課題は先代から続く財政難と氐の脅威、それと急な領土拡大による王権の不安定であった。彼は財政の健全化のために、定期的な徴兵と、武器・ラクダなどを一定量納めさせる血駱の制と呼ばれる税制度を施行した。これによって財政は安定し、権力が一本化された。また房芒の諸侯を懐柔したのち、武力で押さえつけ、その勢いに乗って氐も攻略し、初となる部族の統一に成功した。これと同時期に弟の静鱗が武将として実力をつけ始め、有用な戦術を多く考案したため、統一への足掛かりとなった。

 

統一後の動き

 瑠龍は青龍族を統一すると神獣青龍を名に冠して青龍瑠龍と自称し、族長となったことを内外に知らせ、これより先、族長となった者が神獣を名に冠する慣例が生まれた。青龍瑠龍は統一後も他部族への侵攻を続け、祝融山脈東部の井山、星山を続けて攻略し、柳江の流域、玄冥野南部の危江流域の室冥も領土に加えた。また静鱗が星山攻略のときに著した兵法書「山戦記」は理論的・文学的にも名作で、文化的な成果の乏しい青龍族では希有である。

 青龍瑠龍は征服活動に並行して、尾正から少し離れた亢青に壮大な宮殿の建造をはじめ、財政は圧迫された。また功の厚い静鱗を粛正し、人心を失うきっかけとなった。

 

蒼の滅亡

 青龍瑠龍は先述のように横暴な行動を繰り返したが、没し、甥の瑠宣が王となった。しかし即位間もなく家臣によって暗殺され、心龍・室冥、氐句、房芒、井山・星山の4つに分裂し、蒼は滅亡した。

 

関連項目

恩の歴史