デジモンアドベンチャーtri. 第6章「ぼくらの未来」
公開日…2018年5月5日公開
上映時間…98分
興行収入…7千万円(※5章…1億5百万円 1章…2億3千万円)
概要
高校生(中学生)となった選ばれし子どもたちが新たな脅威『感染デジモン』と戦い、その謎に迫る全6章の劇場公開作品最終章。
デジタルワールドでアルファモン、ジエスモン、オメガモン、そしてラグエルモンが激しく争う。
その最中、太一と西島が地割れに巻き込まれて消息を絶つ。
オファニモンフォールダウンモードとラグエルモンが融合し、オルディネモンとなって現実世界に侵攻。各地の感染デジモンたちも行動を開始する。
→実際には6章中盤までオルディネモンは現実世界へ侵攻しておらず、各地の感染デジモンも特に何もしていませんでした。訂正させていただきます。
問題点
何を目指した作品なのか最初から最後まで不明なまま完結した物語
『誰が敵なのか』
『敵の目的は何なのか』
『具体的に太一達はどうすればいいのか』
という根本的な部分が最後まで不明瞭なまま、物語は一応の完結を迎えた。
- 誰が敵なのか
「一体…オレたちの敵は誰なんだ?! オレたちは…一体何と戦っているんだ!?」
諸悪の根源であるメイクーモン自体は撃破に成功するものの、太一らは5章に至るまで一貫してメイクーモンの保護を主張していたため、なし崩し的な展開となってしまった点は否めないだろう。
→まず第一に、明確な『敵』を設定するべきだった。
糸を引いていた『謎の男』がいたにも関わらず、「こいつ(やその背後にいるイグドラシル)を倒そう」という方向には進まずにメイクーモンの暴走に対応することに終始したこともまた「敵は誰なんだ」になってしまった要因だろう。
→彼は全ての元凶であるアポカリモンの因子ごとそのまま野放しであり、根本的にはなにひとつ解決していない。
→かと思えば、結局は太一らの関知しない所で一方的にシャットダウンされてしまい、観劇の上でカタルシスの無いものに仕上がってしまった。
→『メイクーモンの暴走』『姫川の暗躍』という要素を残すとしても、その背後にいたイグドラシルや謎の男との決着は子ども達の手でつけるべきだった。
- 何を表現したかったのかが不明
今作で太一ら『選ばれし子どもたち』は、仲間の殺処分という極めて辛い経験をすることとなった。
『大人になる過程として辛い選択をする物語』を表現したい、という思惑は、内外に渡って言及されてきた。
しかし作中での太一らの行動は極めて不可解であり、『比較的妥当な対応をしていれば』今作の辿った結末は回避できた可能性が極めて多い。
(例1:クワガーモンとの乱戦→ヤマトらの参戦がもっとスムーズだったら各個撃破は可能だった。
(例2:パートナー感染への対処→『パートナーを喪った経験があるからこそ』タケルが事実を開示していれば…
(例3:02組への支援要請→クワガーモン戦の時点で現有戦力では対応不可と判明。情報共有の必要性もあった。
(例4:会議不足→知らなかった情報ではなく、開示していなかった情報のせいで対応が後手に回るという最悪の対応。
太一らの不用意な行動と、02時を遥かに下回る劣悪な対応は、間違いなく事態悪化の一因となっている。
その結果『望まない結末を強いられる』というある種大人的な経験をしたところで、そこに成長も意味も無い。
※『望まない結末』=「仲間(メイクーモン)の殺害」という図式について
メイクーモンとの交流や内面描写が交戦・暴走のシーンと比較してあまりに不足していたことは致命的な問題と言える。
なぜなら「メイクーモンは仲間である」という図式よりも「メイクーモンは敵である」という図式のほうが自然に成立してしまったためである。
→『望まない結末』を描写したかったのならば、なおのことメイクーモンと芽心の描写に力を入れるべきだった。
→「本人ら自体は過去の戦いとまったく関係ない」「視線=思惑を追いにくい目のデザイン」などを始めとする感情移入を妨げるような要素はどんな些細な物でも排除するべきだった。しかし現実は真逆となっている。
ただでさえゲスト(後付け追加)キャラクターには慎重な構築が求められるだけに、芽心とメイクーモンの仕上がりは成功とは言い難い。
→「芽心の既存のキャラと被らないデザイン=必要性があってのデザインではない」「A子→芽心」「デザインが猫である→監督が猫を飼っているため」「鳥取出身→ウォーゲームのオマージュ」など、設定構築の時点で慎重さに著しく欠ける。
それぞれ「キャラクターの内面を表すデザイン」「意味のある名前」「他のパートナーとの差別化をした上で展開を考慮したデザイン」「登場する際に自然な出身地などの人物背景」を設定するべきだった。
-
新プロジェクト、改め、劇場版デジモンアドベンチャー(仮題)、改め、デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION 絆が発表された。
太一が22歳の時系列の物語。
劇中で語られなかった謎(良く言えば伏線)は膨大に残っており、それらを回収しながら進む物語になると思われる。
『大人になったかつての子どもたち』へ向けた作品でありながら、その鑑賞に堪えうるものでは無かった点
- 整合性の無い脚本
具体的に挙げれば
・描写があまりに不安定なリブートの影響
・聞こえが良いだけで中身のないセリフ
・不可解な行動ばかりとる登場人物たち
など、全体的に稚拙かつ不合理な展開が目立つ。
地割れに巻き込まれて生死不明となった太一が無傷で説明も無しに『02組が自爆装置付きの現実世界への転送機能が付いた生命維持装置に繋がれた小部屋』で目を覚ますなど一作品として見ても非常に粗が目立つ。
- リブートによる『記憶削除』の描写
・リブートを受け、パートナーデジモンたちは初期化されてしまった。しかし、その描写には矛盾があまりにも多い。
→デジタマの段階でパートナーの情報を刷り込まれているため、パートナーデジモンたちは太一らのことを知っているはず。
→記憶が消えただけ、といわんばかりに究極体へと苦も無く進化する。
→ヒカリのホイッスルを所持するニャロモン(4章)
→「めいちゃんが好きだよ」と発言するアグモン(5章)
→ヤマトと空と太一の関係を知っているピヨモン(5章)
→ヤマトがバンドを組んでいることを知っているピヨモン(6章)
など、不自然な描写は枚挙に暇がない。
- 02最終回へと繋がる物語
当初から「tri.は02最終回へと繋がる物語である」と明言されてきた。
いわゆる『無印』『02』の続編と銘打っている以上当たり前のことではあるのだが、その最低限のラインすらクリアできているとは言い難い。
→『人類とデジモンとの共存(人類はデジモンを敵視)』『デジタルワールドとの自由通行(ゲートは封鎖)』『ヤマトと空の婚姻(また太一を交えて三角関係に)』など、逆に解離すら見られる。
→『及川の蝶(リブートにより及川の行為自体が消滅)』『消息不明のブイモン・ワームモン・ホークモン・アルマジモン』『適当な動機で宇宙を目指すヤマト』など02最終回に繋がるには不自然な描写も目立つ。
-
放置された要素、膨大な伏線の数々
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無印・02から引き続き放置された伏線の数々
tri.では感染デジモン・歪み・リブートといった様々な新要素が織り込まれた。
しかし、それらに付随する形で生じた膨大な伏線は、そのまま放置されてしまった。
→一方で封印されたデーモンや宇宙からの敵、「デジモンとの共存への道筋で立ちふさがった壁」など、テレビ版で残された伏線の多くが回収されないままとなった。
結果として、過去作の不明点や補完はおろかtri.作中の謎の多くが解明されないまま完結してしまった。
登場キャラクター関連
- メイクーモン
リブートの影響を受けなかった理由
→詳細は不明。
その正体・「ライブラ」の意味について
全てのデジモンのデータを内包している存在であることが判明。
→すべてのデジモンの記憶や経験など、あらゆるデータがメイクーモンに集約されている。
→一方で、単純に内包されているだけならば、当然リブートで初期化される。外部にバックアップが存在する、もしくはメイクーモン自体がデジタルワールドから切り離されたバックアップである可能性が考えられるが、詳細は不明。
しかし、全てのデジモンのデータを内包していた理由は作中で一切説明されることが無かった。
→メイクーモンのデータに混入したアポカリモンの因子は、デジモンの怨念の集合体である。それが影響している可能性は考えられるが、本編内に裏付けとなりうる描写は無い。
→また、アグモンらがアポカリモンの死後の記憶を取り戻していることから、メイクーモンが独自に持つ特性である可能性が高い。
→後述の通りメイクーモンは死亡するが、それが他のデジモンのデータに影響を与えた描写は見られない、単なる予備データの保管を担っていたと考えられる。
全デジモンのデータを内包する、という極めて重要な設定にも関わらず、その説明は充分とは言い難い。
その結果、特に記憶を取り戻すことが主軸となった終盤の展開全体が描写不足な物となってしまった。
暴走に至った経緯
メイクーモンは『暴走に対する抑止力となる本来の優しい性格や芽心との記憶にロックがかけてられていたために』自身が内包するアポカリモンの影響を受け、暴走したとされている。しかし、ロックをかけた者の正体とタイミングは不明。
そのロック解除に必要なパスワードは、メイクーモンにとっての大切な言葉である「DANDAN」。
しかし、パスワードにメイクーモンに関係のある言葉が設定されているのは不自然。
→記憶にロックを掛けた者=メイクーモンの暴走を望む者であり、つまりメイクーモン本人や芽心ではありえない。
芽心のデジヴァイスが黒く染まったタイミングから考えても、ロックはインペリアルドラモン戦の前後に暴走を望むイグドラシル側の手によってかけられたと考えるのが自然である。
→一方で、パスワードが「DANDAN」であることから、メイクーモン自身がロックをかけた可能性も考えられる。
メイクーモン自身が本来の自分や大切な記憶にロックをかけた=外部からの干渉から自衛していたと仮定することもできるのだが、その結果が暴走と破壊、そして死という結末であるならば救いはない。
デジヴァイスの封印と記憶のロックの矛盾
メイクーモンの記憶に対するロックが解除された瞬間、芽心のデジヴァイスの封印もまた解かれた。
しかしデジヴァイスの封印(画面の鎖模様)は芽心がメイクーモンと初めて出会った段階ですでに施されていた。
→2章終盤まではメイクーモンが比較的安定していたこと、記憶に対するロックのパスワードが「DANDAN」であることをから、少なくともデジヴァイスが封じられたタイミングと記憶が封じられたタイミングは別であり、両者に関連性はないことは明白である。
したがって、記憶のロックと同時にデジヴァイスの封印まで解かれるのは不自然。
デジヴァイスは何のためにロックされていたのか
詳細は不明。
→芽心のデジヴァイスにはオメガモンをマーシフルモードに変化させる力があったことから、力を恐れた黒幕、あるいは悪用を恐れたホメオスタシスにロックをかけられた可能性が考えられる。
→なぜ芽心のデジヴァイスにそんな力があるのか、なぜパスワードが「DANDAN」なのかについて説明がつかない。
しかし、デジヴァイスのロックに関する説明は作中には存在せず、なぜロックがかかっていたのか、そして記憶の封印との関連も不明。
『死』という結末
tri.では全編に渡って、太一たちはメイクーモンを殺すべきか否かについて揉めていた。
→それ以上のレベルの話し合いは、残念ながらなされていない。
そして遂に、5章で他ならぬ芽心から殺処分を提案された。
メイクーモンの処遇について上記の経緯を経て迎えた6章で、メイクーモンはオメガモンにより排除されることとなった。
まだメイクーモンとしての自我と感情が残っている。
メイクーモンの意思とは関係なく、イグドラシルの手で戦わされている。
→メイクーモンの心自体が凶悪な存在に歪んでしまったわけではない以上、黒幕であるイグドラシルを倒せば救いの道はある。
オルディネモンに同時に取り込まれたテイルモンが無傷で救出される。
→それならば、メイクーモンも同じように切り離すことは充分考えられる。
全てのデジモンのデータをバックアップ出来る特異な存在である。
→リブート対策という観点だけ見ても極めて重要なデジモンであり、無配慮に排除していい存在ではない。
等の点は一切顧みられることなく、オルディネモンの姿から戻れないまま、最終的にオメガモンマーシフルモードの虞玲刀(グレイトウもしくはグレイ“ソード”)で文字通り一刀両断され死亡。
→これにより、全6章を通じてメイクーモン自身の内面が描かれることはほとんど無かった。
→せっかくのゲストデジモンでありながら、感染ウィルスをバラ撒いて甚大な被害をもたらし、その挙句処分された害獣でしかなかったことは残念。
ある意味、今作品における最大の被害者とも言える。
芽心とメイクーモンの「その後」
無印や02ではタケルのパートナーであるパタモンや賢のパートナーであるワームモンが死に、その後はじまりの町と呼ばれるデジモンが生まれ変わる地で再会した。
現実世界で死んだデジモンがはじまりの町に行けるという描写はない(無印で現実世界で死んだウィザーモンは02で幽霊のようになっている)が、デジモンハリケーンにおいてはメイクーモンのように暴走し悪の存在となってしまったパートナーを討ったウォレスは、その後にパートナーとのデジタマと再会している。
メイクーモンにはこのような救済は一切なく、tri.において芽心とメイクーモンが再会することはなかった。
ヴィシャスモードではないメイクラックモン
ラジエルモン
第6章公開までの期間に様々なメディアで情報が公開された、メイクーモンの本来の完全体・究極体。
「デジモンハリケーンのケルビモン(善)のようなポジションで登場するのでは」との予想が多かったが、一切登場せず。
→登場させるつもりが無いなら何故この2体のデジモンは作られたのだろうか。
- 西島と太一
前章終盤に一緒に崩落に巻き込まれた2人は、中盤に真っ暗な空間で目を覚ます。
太一はかすり傷ひとつ負っておらず、西島は腹部の大量出血。
→同時に崩落に巻き込まれたにしては不自然すぎる。
二人は謎の施設で、02組がカプセルのような物に収容されているところを発見する。
西島はこの段階でようやく太一に秘匿していた情報を開示する。
太一は西島から姫川が暴走した理由を聞く。
西島は姫川を止められなかった事を悔いており、仲間だからこそやらなければいけないということを太一に説く。
→しかし西島は近くにいながらそれに気づくことすら出来なかったからリブートが起きてしまったのであり、メイクーモンを倒す決断が出来ない子どもたちのように、気づいたが引き金を引けなかったというのであれば後悔するのもわかるのだが、西島はその段階にすら至っていない。
→事が終わってから「ああしていれば」などと言っても、起きてしまった後にそのことを知ったから言えることだとしか思えない。
→そもそもパートナーとの再会を願って自らの意思で凶行に及んだ姫川と、特に目的もなくアポカリモンの因子やイグドラシルの策略で凶暴にさせられているメイクーモンを同列に語るには前提が違いすぎる。
→とは言え確かに現在進行形で暴れているメイクーモンに関してはどうしてでも止めるべきだというのは間違ってはいないのだが、姫川がパートナーを失ったことが原因で凶行に及んだ以上、パートナーを失った芽心がいずれ第二の姫川になる可能性は否定できない。自ら望んだことでもあるが…
→西島は長年近くに寄り添っていても姫川の心の傷を癒すことはできず、彼女を止められなかった。
→子どもたちは故郷に帰った芽心に対し、浮ついた雰囲気で「仲間だ」と薄っぺらい台詞を吐くだけである。
その後、謎の男が現れ、生命維持装置を停止された大輔達を救うため現実世界に転送させる必要がある、しかし転送すれば施設が爆散する、という唐突な展開となる。
02組を助けるには現実世界へ即時転送する必要があるが、施設は爆発する。空いている転送装置はひとつだけ。
西島か太一か、どちらかしか生還できないという二択を強いられる。
・転送装置は2人ぐらい入れそうな大きさ
・生命維持装置さえ起動させれば爆発の心配は無いのだが、再起動を1度も試していない
など不自然な点も多いが、ともかく西島は太一を半ば騙すような形で転送装置に閉じ込め、現実世界へと送り出す。
西島が自らの死を覚悟して太一に未来を託す…という展開であるが、西島は重傷を負っている以上どうせ放っといても死ぬ(実際爆発を待たずに息絶えているような描写がある)のでいまひとつ二択になっておらず、こうなるであろうことは視聴者には容易に予想がつき、事実そうなった。
そして、展開上西島が重傷を負わなければならない理由だが、特に見当たらない。西島が五体満足だったとしても、物語を進める上で何一つ不都合はない。むしろ安易に西島に重傷を負わせたことで、上記の「太一が無傷なのに西島が重傷なのはおかしい」「どうせ西島は死にそうだし二択になってない」という疑問や問題を生んでいる。あまりにも雑な展開。
『02組の子どもたちだけが囚われた自爆装置付き現実世界への転送装置付き生命維持装置のある密室』といういくらなんでもご都合主義すぎる舞台であるが、
・密室である以上「崩落した先がたまたま施設だった」というのは考えづらいためにイグドラシルが連れてきたのだろうが、何故崩落に巻き込まれた二人を助けるような真似をしたのか?
・「イグドラシルの慈悲」という台詞から察するにイグドラシル側の施設だと思われるが、何故イグドラシルの敵である02組が生命維持装置で生かされているのか?
・あんな回りくどい状況を作らなくても施設に自爆装置があるのなら爆破してしまえば太一も西島も02組も全員排除出来る。にも関わらず、何故わざわざ選択肢を与えたのか?何故馬鹿正直に転送できるようにしてあるのか?
→脅威にならない存在だとしてわざわざ殺す理由もないだろうが、わざわざ助けたり生かしたり逃したりする理由はもっとないはずである。
・どう考えても西島が犠牲になるしか選択肢はない状況だが、せっかく捕らえた02組を逃してまでパートナー不在の西島を排除する理由があるのか?
→大体、西島を排除したいのであればあんな回りくどい状況を作らなくても感染デジモンの一体でもけしかけてやればいいだけである。協力者の姫川が近くにいたし、仮にその姫川に止められていたのだとしても、彼女の失踪後などタイミングはいくらでもある。
と総じて不自然かつ不合理で必然性に欠けており、「西島が命と引き換えに太一を助ける」という構図を作りたかっただけという脚本の都合が透けて見える。
かつての選ばれし子どもたち
こうして否応無しの展開の中で西島は(恐らく)命を落とした。
また彼自身のパートナーデジモン・ベアモン→ローダーレオモン→バイフーモンの活躍も回想シーンのみに留まった。
→西島大吾という『かつて選ばれし子どもたちだった人物』を扱いきれなかったことは明白と言える。
- 02組
早急な治療が必要な状況であり、謎の施設の生命維持装置の中で辛うじて眠っていたが、謎の男に電源を切られてしまう。
カプセルに映る姿はグレーのシルエットのみ。
→台詞もなければビジュアルもない。舞台装置の一つくらいの扱いでしかない。
シルエットは5人。一乗寺賢の隣のオールバックを逆立てたような髪形の人物は不明。
→本物のゲンナイとの説が主流。ただし作中での言及や説明は以下略。
→2018年5月25日のコメンタリーにて、生命維持装置に収容されていた5人目の人物は本物のゲンナイであると公言。どのような経緯で収容されていたのか等は一切不明。
登場しなかった理由について
イグドラシルの行動にいち早く気づき、そして排除されていたこと、そしてそれを知らされていなかったのはイグドラシルやホメオスタシス、選ばれし子どもたちを利用しパートナーデジモンと再会するためリブートの実行を企てた姫川の仕業であることが西島から告げられる。
→太一達が今まで02組に全く触れようとしなかった理由はわからない。
→また、何故02組はイグドラシルの行動に気づいた時点で太一達(特に伊織と京のジョグレス相手であるタケルとヒカリ)に相談や協力を頼まなかったのか?という新たな疑問も生まれた。
その後の扱い
光子郎から電話口で、病院に搬送されたという連絡がされるのを最後に彼らは完全に舞台からフェードアウトする。
その際、「それよりも重要な点はデジタルワールドで彼らを助け出した人物がいるということです」と光子郎が発言。
→これまでの02組への反応も併せ、あまりに冷淡な物言い。
また、本編終了後、タケルのモノローグにて無事退院したことが判明する。もちろん姿は見せず。
彼らのパートナーデジモン
このように02組にはいちおう言及はあるものの、彼らのパートナーデジモン達は一緒におらず、姿も見せず、言及もない。
→2章のインペリアルドラモンが何だったのかも謎のままであるが、ブイモンとワームモンが行方不明である点や各媒体における『感染デジモン』との表記、なによりその特異性から考えると…
- イグドラシル
現実世界をデジタルワールドに飲み込もうとしたイグドラシルであるが、飲み込んで、支配して一体どうするつもりなのか、何が目的なのか不明。
また、デジタルワールドで現実世界を飲み込む、という方針自体すらも、唐突に光子郎が言い出したことに過ぎず、やっていることの規模の割にその目的は曖昧なまま物語が進行する。
はた迷惑な存在であることには違いないが、結局何もわからないまま、最終的にホメオスタシスによって強制シャットダウンされたことが語られる。
最初っからそうしろ
- 謎の男
前述のとおり事あるごとに選ばれし子どもたちの前に姿を現し、時にはたった1人で長台詞を喋って現在の状況について視聴者に説明してくる。
→説明不足なホメオスタシスやイグドラシルを始めとする強引な展開を補完するための解説役にされてしまっている感はぬぐえない。
姿の理由
黒いゲンナイと同じ姿をしていることが判明した後も、現実世界ではなぜかカイザーのような姿を保持。
第4章にて現実世界用のアバターであると本人が語っているがそもそも現実世界用に『黒いゲンナイとは別の姿』が必要な理由は結局不明のままだった。
「まだその姿を使っているのか」とハックモンが発言。
→また、アバターがカイザーに似た姿である理由も同様に不明のまま。
勝ち逃げ
最終的にメイクーモンの体内に混入していたアポカリモンの欠片を回収し、何事もなく去っていった。
→明言されたわけではないためアポカリモンの欠片ではない可能性はある。
メイクーモンを殺した一方で、メイクーモンを暴走させ利用した実質的な黒幕であるこいつには完全にノータッチ。
「次はデーモンか、ディアボロモンか…!」
アーマゲモン「」
ヴァンデモン「いや私に任せろ」
→幼稚な言動と迷惑な行動で散々引っ掻した上に、何のお咎めもなしに逃げていくというまさにストレスの溜まるキャラクターのお手本である。
そもそもこいつは何者なのか
何故ゲンナイと同じ姿をしているのか、ゲンナイと同じような存在ならば何故ホメオスタシスではなくイグドラシル側にいるのか、そもそもこれが本当の姿なのか、一切が不明。
イグドラシル側の存在らしいが、直轄のエージェントであるのか、ただイグドラシルを利用していただけなのかも不明。前述のイグドラシル強制シャットダウンによってどうなったかも不明。もし一緒に停止したのならば、あまりにもしょうもなさすぎる結末。
結局ほとんどの情報が明かされることなく、「謎の男」として登場したこいつは最後まで「謎の男」のまま終わった。
- ホメオスタシス
現実世界のリブート
なんだそりゃ?と言いたくなる単語。地球や宇宙が創世された時からリセットされてしまうのかと思った視聴者がいたようだが、現実世界の電子機器を初期化するというもの。
ホメオスタシスはこの「現実世界のリブート」を最終手段として用意。
→しかし、仮に成功したとしてもメイクーモンが初期化するだけの話であり、根本的な解決にはならない。
→また、メイクーモンは既に一度リブートを受けた上で再び暴走している。その事実がある以上、リブートで事態解決ができると考えるのはあまりにも浅はかな発想であると言わざるを得ない。
権限
ホメオスタシスの持っている権限は強く、前述の通りイグドラシルを一方的に強制シャットダウンできるほど。
→それなのになぜ今回の事件を静観し続けたのか詳細は不明。
- 選ばれし子どもたち
前章の最後、ヤマトが他の子どもたちに「座り込んでどうなる?」「立ち止まるな!」と発破をかけた場面で終わったのだが、今章は子どもたちが座り込んでいる場面から始まる。旧作との齟齬どころか、tri.の章と章の間だけでも連携が取れていない。
また前章で太一はメイクーモンを殺すことに決めたが、彼が崩落に巻き込まれた後有耶無耶になってしまい、残された他の子どもたちはメイクーモンを最優先するスタンスをそのまま保持。
→そのため、またしてもメイクーモンを殺す殺さないでうだうだやることに。
→しかし最終的に太一が決めた通りメイクーモンを殺害することで収拾をつけたので、これまでの全てが茶番となった。
→結局、今作で選ばれし子どもたちがしたことと言えば優柔不断なまま結末をダラダラと引き延ばして被害を大きくしただけであり、結果論ではあるが最初からホメオスタシスに任せておけば丸く収まったのではと思わずにはいられない。
→オルディネモンに対しても「メイちゃんを探さなきゃ」「メイクーモンが現れました!」など、仮にもテイルモンが同化している中で不自然な発言が目立つ。
また、崩落に巻き込まれた太一の心配こそするが具体的に探したりはしない。
→こういった前章までも見られた、口では心配したり問題を提起するものの、実際の行動に移したり解決手段を導き出すということがないというのは最後までそのままである。
ヤマト
太一の代わり
「太一の代わりになれるのはヤマトしかいないよ。太一もそれを望んでるんじゃない?」(ガブモン)
→無印にて、みんなからどこか一歩引いていたヤマトは、友情に厚くみんなを引っ張る太一と自分との違いに壁を感じ、「どうして自分の紋章が友情なんだ」と悩んでいて、それがヤマトにとって一つの大きな課題だった。
「なにも、太一みたいに突っ走るだけが正しいわけじゃない。きっと、ヤマトにはヤマトにしかできないことがあるはずだよ!」(無印44話「迷いの森のジュレイモン」より引用)
ガブモンはそう言って、ヤマトにしか出来ないことを二人で探そうと、選ばれし子どもたちから離れたヤマトの傍にずっと付き添い続けた。
それを他でもないガブモンが「太一の代わりになれる」などと言い出す。
→また「ずっと一緒にいるよ」など、ヤマトとの絆を感じさせるような話もしていたが、リブートされて記憶はないはずなのでまるで重みがない。
「俺たちは俺たちのやり方で世界を救ってやる」
予告映像にもあったシーン。行方不明になった太一のゴーグルを手にこの言葉を口にする。
もはや言うまでもないことだろうが、もちろん口だけである。
太一やヒカリが戻ってくるまでうだうだやっていただけである。
結局選んだのはホメオスタシスのメイクーモンを処分することで事態を収めるという考えと同じである。俺たちのやり方とは…
最大の山場
太一が予備校へと通い始めたことを知り、「だったら俺は宇宙でも目指すか」とつぶやく。
→「ヤマトは今はまだバンドを続けていきたいと思っているはずです。でも『02』の最後では宇宙飛行士になっていて……(笑)。僕たち製作陣も、その変遷が最大の山場になると思っています(笑)。」
と第1章パンフレットで元永氏から公言されていた結果はぼそっと唐突に呟くだけ。最大の山場とは…
光子郎
オルディネモンによる破壊活動を回避するため、ハックモンは現実世界のリブートを提案。その影響として現実世界の電子機器も初期化されるのだという。
他の子どもたちが受け入れつつある中、『電子機器が初期化してしまったら文明は破綻する』と、彼は唯一それ以外の方法を求めて離脱する。
→確かに文明の崩壊というのも最悪人類が滅亡しかねない重大な問題かつ深刻な被害であることは間違いないのだが、目の前で現在進行形で行われている世界自体の消滅と天秤にかければどちらが重要かは考えるまでもなく、いまいちピンと来ない。
→実際光子郎以外の子ども達は「このまま滅亡するくらいなら…」とそこまで深刻にはなっていなかった。
マンションで「何か方法があるはずだ」とパソコンに向かうが、結局何も打開策を見つけることが出来ないままヒカリの『天啓』を伝達され戻ってくる。烏龍茶飲みに戻っただけである
ヒカリ
ショックで熱を出し、倒れる。
キーヴィジュアルを飾った前章よりもセリフ・出番共に多いものの、「メイクーモンを殺さないで」「お兄ちゃんを許さない」と言いながら「だから私も戦う」と言ってテイルモンをホーリードラモンへと究極進化させ参戦する等言動がいまひとつ噛み合わない。
殺したくないのは他の子どもたちも一緒だが、メイクーモンを放置するわけにもいかないので何かしら決断は下さなければいけない。その判断が許せないのであれば、自分が何か他の道を探し提示するべきなのだが、文句を言うだけである。
そして結局自分も参戦し、共犯になる。ならば自分も同罪であり、太一に「許さない」などと言う資格はない。支離滅裂である。
芽心
限界になって遂に倒れてしまったヒカリを前に、ようやく自分とメイクーモンが諸悪の根源であることを自覚。と思ったのも束の間、
「メイちゃんが何をしたっていうの?!これ以上苦しめないで!」
→ジエスモンの攻撃で墜落したオルディネモンが、イグドラシルに再び利用されそうになって発言。
結局なにひとつ、まったく成し遂げることもなく、話の本筋の外に追いやられたまま、パートナーを喪い鳥取へと戻っていった。
→1999年の夏から2005年まで、実に6年間もずっと一緒にいながらメイクーモンの本質=アポカリモンの因子について、その背負ったものの重さについて、彼女が理解することは無かった。
「ボクたちはずっと、仲間だから!」(アグモン)
鳥取へ帰った芽心に電話で伝えられたセリフ。
→自身も望んだこととは言え、パートナーを殺した相手からこんなことを言われる彼女の心境やいかに。
ちなみにこの場面は緊張して赤面する太一→にやつきながら急かす周囲→アグモンが割って入って発言、という流れ。
腫れ物に触るような態度もよくないかもしれないが、パートナーを失い傷心のまま帰郷した彼女に電話するのに何を浮わついているのだろう?
今作ではメイクーモンの暴走に心を痛める芽心に追い討ちをかけるようなことを言っては中身が伴ってないまま「仲間だ」とだけ強調するというのを何度にも渡って繰り返してきたが、結局それは最後まで変わらなかった。
-
パートナーデジモンたち
メイクーモンの内部に全てのデジモンのデータが保存されていたため、全ての記憶を取り戻す。
→第6章で主要デジモン達が記憶を取り戻す事は視聴者全員が分かり切っていたであろうし当然の流れ。
だがリブート自体を無かったことにしてリブート前のデジタルワールドに戻さないと02最終回に向けて矛盾が生じてしまうという事はどうなるのか、との視聴者達の推測は悪い方向に裏切られてしまった。
そのため02最終回で舞っている蝶は及川と全く無関係な蝶ということになった。またヴァンデモン・ピノッキモン・ピエモン等の闇の勢力は記憶を持ったまま復活してしまった。
「ゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハンゴハン」
お願いですからもう勘弁して下さい。
記憶
テントモンが3章の出来事を覚えていない等、確実に全ての記憶が失われていたことが分かった。
→一方でピヨモンが『ヤマトにヘンテコなラブソングを歌われたの?』と発言をする。(少なくとも劇中では、リブート後のピヨモンはヤマトのバンド活動を知らない)
→「ボクはメイちゃんのこと大好きだよ」というアグモンの発言も再び回想シーンとして登場するが、5章でも述べた通りこの時点でアグモンはメイクーモンと面識が無い。
- オメガモンマーシフルモード
オルディネモンとの戦闘の最中、芽心のデジヴァイスが光を放ち、とりあえず変化する。
大砲からはレーザーのようなエネルギーが絶え間なく発射され、切り裂くような攻撃が可能。
刀部分は必要に応じて角度が変わり、刀身がエネルギーをまとって伸びることでその場から動かず攻撃が可能。
これらの変化により、二つの武器による攻撃のビジュアルは「ビームを伸ばして斬る」というほぼ同じものになった。
マントが翼に変化したが、オメガモンは元々飛ぶことが出来る上にその場からほとんど動くことなく戦闘が終了したのでデザインの変化以上の意味は不明。
そもそも何故変化したのか
オルディネモンは万全の状態では究極体達を一蹴していたものの、それまでオメガモンとは戦っておらず、実際に戦ってもより強い力が必要だと感じるような描写はない。
→しかもオルディネモンはバックアップやテイルモンの分離の影響で既にボロボロになっており、オメガモンをはじめとした究極体が集まれば充分倒せたと考えられる。
→メイクーモンを救うための形態と思いきや、普通に殺しただけなのでこの形態になる必要は特になく、存在意義がわからない。
公開前の事前情報
6章公開前の事前情報でオメガモンマーシフルモードのデザインや名称は公開されていた。これは劇場公開・配信で観る視聴者へのサプライズとして情報を隠しておくべきだったのでは、との疑問の声が多い。
オメガモンマーシフルモードについてのラバーストラップやバトルスピリッツのカードやデジヴァイスCSAやデジモンリンクスの情報も劇場公開・配信に先駆けて公開されていた。様々な商品展開も含めて予定調和だったのかもしれないが、疑問を感じる。
- ウィザーモン
精神的に追い込まれたヒカリの意識を、オルディネモンの中のテイルモンとメイクーモンの元へと導く。
→セリフ等は無し。
→リブートで復活した『現在実在するほうのウィザーモン』ではなく、無印終盤にヴァンデモンに殺害されたほうのウィザーモン、もしくはそのイメージと思われるが詳細は不明。
→第4章で謎の男が、人間世界で死んだデジモンは転生できないがリブートすればあいつもこいつも~と発言した時から、多くの視聴者が、ウィザーモンが復活して活躍することを期待していた。ウィザーモンは現実世界で死んだため転生できないデジモンの代表として多くのデジモンファンに認識されている。
というか第4章の謎の男の一連の台詞に該当しそうなデジモンは、無印で現実世界に侵攻して次々と倒されたヴァンデモン軍の雑兵を除くと、ウィザーモンとピコデビモンとパンプモンとゴツモンとベリアルヴァンデモンと第2章で再び死亡したレオモンぐらいしか該当する者はいない。
→第5章劇場上映で表示された第6章のキービジュアルにウィザーモンの帽子が描かれていたことからウィザーモンの活躍が期待されており、公式ツイッターでもこのことに触れていた。しかしその結果はとても短い出番に留まった。
- デビモン
感染デジモン相手に戦っていたホーリーエンジェモンが謎の男が歪みから連れてきたデビモンに敗北する。
多少は強化されているのだろうが、過去作では完全体でありながらダークマスターズのリーダーであるピエモンを倒したりブラックウォーグレイモンをあと一歩まで追い詰めたりと暗黒デジモンなら究極体相手だろうと無類の強さを誇ったホーリーエンジェモンが進化前のエンジェモンに一方的に敗れた成熟期のデビモンに倒されるというのは明らかにおかしい。
- ハックモン
公開事前情報PVでヤマトの台詞「俺たちはもう選ばれし子どもたちじゃない。選ぶしかない。どんなに辛くても。自分たちの未来を」の直後にハックモンの台詞「これが…選ばれし子どもたちの力…」と流れるシーンがあり、多くの突っ込みが入った。
また、公開事前情報PVで「イグドラシル、ホメオスタシス。どちらの思惑通りに進んだところで世界は救われない。」との台詞が強調された。無印で太一達を導いた神聖な存在をこんな悪者扱いにすることがまず間違っている。
- 国立情報処理局
望月教授を中心として序盤会議を行う。だけ。
→結局彼らが組織として行動していた必要性はなく、感染デジモンからなる一連の事件解決に貢献できていたかには疑問が残る結末となった。
- 軍隊
選ばれし子どもたちが様子見をしている中、戦車や戦闘機などを出動させオルディネモンに攻撃を加える。
国立情報処理局との関係は不明。
ミサイルや大砲があまり効果がないと見るや電磁網発生装置を使用。デジタルの存在であるデジモン相手には比較的有効で、オルディネモンと召喚(生産?)したデジモンを一時的に閉じ込めた。
→これに対してミミは「やめて!デジモン達を巻き込まないで!」空は「こんなのひどすぎる」と発言。
→は?
→これまでの章でデジモンは世間から危険な存在であると認識されており、またオルディネモンは実際に現実世界に建物の破壊など大きな影響を既に与えているため、国民の安全のため排除にかかるという判断は至極真っ当である。
この発言はオルディネモンの翼から出てきた黒いデジモンが電磁網でダメージを受けているのを見ての発言だが、このデジモン達は感染デジモンであり、つまり手を出さなければ無害というわけでもなんでもなく、現実世界に危害を加えようとしている存在であることには変わりない。「巻き込まないで」も何も、向こうから巻き込みにきているのだから仕方がないだろう。
そもそもひどすぎるなどと言っているが、この発言が出る前に自分達だってしっかりオルディネモンや黒いデジモンを攻撃している。軍が兵器を使って攻撃するのは非道だが、自分達がデジモンを使って攻撃するのはいいとでも言うのだろうか?全てにおいて意味不明すぎる発言。
デジモンに対する見方
攻撃を受け撃墜される機体もあったが、パートナーデジモンが戦闘に参加してからはオルディネモンの攻撃から助けられている。
→のだが、「デジモンが我々の味方を…?」などといった彼らの行動に心を打つようなセリフは一切ない。
→これまでのtri.では世間から「デジモン=悪」と認識される描写は多く、この行動はデジモンに対する偏見や悪評を挽回する絶好のチャンスだったはずである。別にそのために助けたわけではないだろうが、身を呈して助けたのにこれでは報われない。
→本編終了後も依然世間のデジモンに対する風当たりは強い。恩知らずにも程がある。
将来的に好転する可能性を示してはいるものの、少なくとも今作では02最終回におけるデジモンと人間の共存からは遠ざかったと言わざるを得ない。
- 放置された人物
姫川マキ
暗黒の海で行方不明になった姫川マキは一切登場せず、その消息は不明。
一応西島が彼女について言及はするのだが、言及しておきながら彼女自身がどうなったのか明かされることはない。
後述するがメイクーモンの内部にあらゆるデジモンの記憶がバックアップされており、全てのデジモンは記憶を取り戻した。
→したがって、バクモンも完全に姫川のことを思い出したとされるが、その後どうなったのかも不明。
メモリアルブックによれば、量子の海に分解されて消滅したらしい。残酷過ぎるから作中では出さなかったとのこと。
→処遇に関する是非は置いておいても、「姫川はどうなった?」と疑問の声が多数上がっていたことから考えても明らかに描写不足。
アルファモン
こちらも一切登場しない。
なぜイグドラシルの尖兵として行動していたのか、なぜ02組が倒された現場に居合わせたのか、なぜ王竜剣を所持しているのか、なぜメイクーモンを追っていたのか、なぜクワガーモンを握りつぶしたのか、など、あらゆる疑問点について一切説明されることはなかった。
描写、演出関連
- オルディネモンとの戦闘
6章全体を通してオルディネモンとの戦闘を繰り返すが、
・究極体でも止められない
・倒すわけにいかない相手と戦って具体的にどうするのか
・メイクーモン、テイルモン救出の目途がまったく立たない
・そもそもオルディネモンの行動方針と目的が不明
など、あらゆる点が不明のため、いまひとつ何をしているのか、どう行動するのが正解なのか判断しようがない。
- パワーバランス
中盤オルディネモンと初めて交戦するも、究極体がさらに究極体の力を取り込んだ存在であるオルディネモンの前に必殺技(映像は流用)もまったく通用せず、衝撃波のようなもので吹き飛ばされ瞬殺された。
そんな相手なのに、再び戦闘に入った時には何故か成熟期、完全体で戦いを挑む。
にも関わらず(究極体の時と比べて)善戦してしまう。
敵が強大な戦闘力なのに進化可能な最終進化形態ではなく成熟期・完全体で戦いを挑む所謂「舐めプ」は過去の章でも度々指摘されていたが、今章でも健在。
-
進化バンク
最終章である本章でも進化バンクは多用され、またその使用方法についても残念ながら適切とは言い難い結果となった。
また、ホーリードラモンへの進化バンク以外は全て過去の章で流れたもの。
→ワープ進化の進化バンクなどが追加されることは無かった。
→また、オメガモンへの融合も1章終盤のものが背景だけ差し替える形でまるごと流用された。
つまり5章と同様であり、ある意味『進化バンクに該当する』ようにはなった。また、第6章のBDでは全ての進化バンクを纏める「進化シーン集」との映像特典が収録されており、オメガモンへの融合のシーンもこの映像特典に含まれているため、製作陣はこのシーンを「バンク」として扱っているのだと思われる。
特に1度目の究極進化が問題であり、一旦完全体に進化してから究極体へ進化するため極めてテンポが悪い。
→完全体進化から直接究極体へ進化してしまうと当然完全体の活躍を描くことが出来ず、また完全体の状態で善戦してしまうと究極体へ進化する意味が無くなるというジレンマに陥る。
このため、どうしても劣勢が目立つ爽快感の無い展開となりがち。まぁ究極体に進化しても全然歯が立たないんだけどね
同じ進化バンクが何度も繰り返し使用される
同じ進化バンクが何度も流れる点は、これまでの章でも度々問題点として取り上げられてきた。
6章では特にその傾向が強く、基本オルディネモンに瞬殺されることもあり戦闘シーンより進化シーンの方が長いという始末。
進化と同時に流れ始めた曲が進化が終わった時点で2番の途中まで終わっているなどザラ。
特に、Butter-Flyが大音量で流れるシーンは盛り上がるべきシーンのはずなのだが、そこで過去の章で既に流れたアグモン→グレイモン→メタルグレイモン→ウォーグレイモンの進化バンクを流されても盛り上がりに欠ける視聴者が多かったであろう。無印と02ではどちらも最終回の1つ前の回で挿入歌と共に進化バンクを大量に流し続けるシーンがありそれらは盛り上がるシーンであったが、tri.で大音量の挿入歌と共に進化バンクを長時間流すシーンは、それらとは状況が様々な点で異なる。
⇒分割バンク1セット目
ガブモン→ガルルモン
テントモン→カブテリモン
パルモン→トゲモン
ピヨモン→バードラモン
ゴマモン→イッカクモン
⇒分割バンク2セット目
ガルルモン→ワーガルルモン
カブテリモン→アトラーカブテリモン
トゲモン→リリモン
バードラモン→ガルダモン
イッカクモン→ズドモン
⇒分割バンク3セット目
ワーガルルモン→メタルガルルモン
アトラーカブテリモン→ヘラクルカブテリモン
リリモン→ロゼモン
ガルダモン→ホウオウモン
ズドモン→ヴァイクモン
⇒分割バンク4セット目
ガブモン→ガルルモン
テントモン→カブテリモン
パルモン→トゲモン
ピヨモン→バードラモン
ゴマモン→イッカクモン
⇒ガルルモン→ワーガルルモン(単独進化)
⇒パタモン→エンジェモン(単独進化)
⇒エンジェモン→ホーリーエンジェモン(単独進化)
⇒アグモン→グレイモン(単独進化)
⇒グレイモン→メタルグレイモン(単独進化)
⇒メタルグレイモン→ウォーグレイモン(単独進化)
⇒オメガモン
⇒テイルモン→エンジェウーモン(単独進化)
⇒エンジェウーモン→ホーリードラモン(単独進化)(6章で唯一新規で公開された進化バンク)
⇒オメガモン→オメガモンマーシフルモード(単独進化、一応記載)
- ギャグ描写
太一の安否が不明となったりメイクーモンがオルディネモンになったりと全体的に陰鬱とした空気の6章であるが、それでもこの作品は容赦無くギャグ描写を入れてくる。
→その内容も緊迫した場面でアグモンが飯を要求する、パートナーに弱音を吐く場面で他のデジモン達が覗き見ている、などこれまでの章でも散々見られた光景ばかりであり、はっきり言ってワンパターン。
深刻になりすぎるのも問題ではあるが、兄やテイルモンを失った上に惨状の一端を担ってしまったことに苦しむヒカリをタケルが必死に励ますというシリアス真っ只中な場面でパタモンが男女の仲を茶化すなど空気も読めてない。
気になる点
演出関連
- Butter-fly
終盤、芽心とアグモンを救うため太一が姿を現したシーンで~tri.Version~が流れる。
直後、参戦を決意したヒカリがテイルモンをホーリードラモンへ進化させるシーンでアレンジバージョンが流れる。
全てが終わり、芽心に電話するシーンでシネマサイズを意識した導入からエンディング~tri.Version~(選ばれし子どもたち,デジモンシンカーズ,宮崎歩,AiM with 和田光司)へと移る。
印象的なシーンのすべてで再三この曲が流れる。
→曲自体はよくても、いささか多用しすぎではないだろうか。
- オルディネモンと停電
冒頭、街が停電の暗闇に包まれる。しかし次のシーンでは普通にビルに明かりが灯っている。
光子郎のオフィスは問題なく稼働していることから、停電は一時的なものであり他の住民は電気を消して生活していると考えられるが詳細は不明。
- ヘリの出撃シーン
なぜか青空へ向かって上昇していく。
日本列島を中心に広範囲が闇に覆われたため、航続距離的にみても矛盾している。
- 機能的にも役に立たないゴーグル
序盤、光子郎のオフィスのベランダでヤマトが使用する。
しかし『ガブモンが目視で発見』⇒『ヤマトがゴーグルを着用』という流れなので『歪みの前兆を可視化する』ためのゴーグルがまったく役に立っていない。
- 映像の使いまわしが多い。
→1章の『レインボーブリッジ~太一が起きるまで』
→心配そうにヒカリの顔を見つめるタケルとパタモン
→1章の「だんだん」と言う芽心
→太一と話し合う観覧車のシーンをまるごと流用
など、多数の流用が見られる。
他に描写するべきことが山積みなこともあって、尺の無駄遣いであることは否めない。
- 止め絵が異常に多い
敵を前に5秒ほど口をポカーンと開けている、などあまりにも目に余る。
- いつの間にか再進化したパルモンたち
5章で瞬殺され幼年期に戻っていたオメガモン以外のパートナーデジモンが、直後の本章序盤ではいつの間にか成長期に進化している。
登場キャラクター関連
- 丈の彼女
そういえば出てこなかった。
公式の対応
- デジモン質問募集について
公式ツイッターは2018年4月16日に、2018年4月20日に開催の『デジモンアドベンチャー tri. 第4章~第6章一挙上映』に向けて、登壇する出演者へ向けた質問を「#デジモン質問募集」にて受け付けた。回答はイベントの第4章コメンタリー中に行なう予定とのことだった。
だがこのハッシュタグはtri.全体への罵詈雑言のようなツイートで多くが埋め尽くされた。
そして2018年4月20日開催のコメンタリーでは、tri.スタッフは質問に答えるノートを持ってきていたのだが、劇場が暗くてノートが見えない、とのことで一つも質問に答えなかった。
- 第6章の第4週目入場者プレゼント
第6章の第4週目入場者プレゼントはデジモンイラストポストカード。公式ツイッター曰く、「第4週目入場者プレゼントは渡辺けんじさん描き下ろしのデジモンイラストポストカード!メイクーモンに花束を渡すアグモン達がso cute‼︎な一枚です!」とのこと。
だが、メイクーモンを殺したアグモン達がメイクーモンに手向けの花を送っているような内容であり、疑問を感じざるを得ない。
→物語の都合に振り回され続け悲惨な末路を辿ったメイクーモンへの労い、そして監督への皮肉だろうか。作中で救済さえあればそうは見えなかっただろうが…
- 公開前事前情報で、第1章~第5章に描かれた印象的なシーン をまとめた「100 秒で見るこれまでの tri.」を公開
tri.のこれまでの内容は100秒で収まる程度の内容しかなかったということだろうか…?
tri.と似た放送形式である「機動戦士ガンダムUC全7章」でも最終章の前にそれまでの章をまとめた似たような公式まとめ動画「100秒でわかる!機動戦士ガンダムUC」があったが、tri.の方は中途半端。
評価点
登場キャラクター関連
パートナーデジモンたち
全編通して緊張感のないパートナーデジモン達であったが、オルディネモンとの決戦を前に語り合うシーンでは気合を入れていた。
ガブモン
ベランダでのヤマトとの会話は「太一の代わり」発言には疑問が残るものの、その他の部分はリブートされて記憶がないということに目を瞑れば好評。
ハックモン
ホメオスタシスの代理人として現実世界のリブートを芽心の父や選ばれし子どもたち人間側に提示する。
ホメオスタシスの判断を一方的に告げるだけで心なき執行者のように思われ、ヤマトに胸ぐらを掴まれたりしていた。
しかし芽心の不安を汲み取って彼女の迷いに回答を与え、また「デジモンとパートナーの絆は特別」と選ばれし子どもたちを駒程度にしか見ていなかったホメオスタシスの代理人とは思えない発言をした。
また、リブートに関しても「我々にとっても本意ではない」と語る描写も。
バックアップのことを知ると、リブートの必要が無くなったとして、停止をホメオスタシスに進言した(と思われる)。
さらに終盤、バックアップ起動の苦しみから歪みを使いデジタルワールドへ逃れようとしたオルディネモンの前にジエスモンの姿で現れ、翼を切り落としてこれを阻止。歪みから撤退する。
他の登場人物がひたすら悩むが特に何も出来なかったり、ろくに心情も描写されないままひたすら暴走を続けたり、否応無しに犠牲になったり、悪の限りを尽くし勝ち逃げしたり、そもそも登場すらせず存在がフェードアウトする中で、今章のハックモンに関しては(設定面では気になる部分はあれど)概ねいい役回りを与えられたと言える。
公開日について
6章の公開日は2018年5月5日で、公式側は「選ばれし子どもの日」と強調した。公開日が5月5日になったのはスケジュール上の全くの偶然でその後声優陣から「選ばれし子どもの日」との表記が提唱されたとのこと。確かに日付を覚えるには分かりやすい。
コメント
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>> 返信元
草
今の仮面ライダーもこんな感じだよね
>『02組の子どもたちだけが囚われた自爆装置付き現実世界への転送装置付き生命維持装置のある密室』といういくらなんでもご都合主義すぎる舞台
なんか笑った
なんというか頭の悪い大人の残酷設定=リアル^q^に荒らされて黒歴史化してしまったといったところか^^;
多少悲惨な結末だろうと、筋がとってればいいのだが、いろいろ稚拙なうえに逃げて開き直った脚本と演出にしかみえないな
第6章の興行収入は「11,200万円」です
※キネマ旬報 2019 No.1805 3月下旬特別号 映画業界決算特別号 P.52 第1章データが語る2018年映画界 東映株式会社 より
>> 返信元
だんだん
どんなに最低な最後でも和田さんの声でbutter-fly最終回verっぽいのが流れて懐かしいなと現実逃避したのは俺だけじゃないはず
そして選ばれし子供たちverになった途端に現実に戻されたのも俺だけじゃないはず…
>> 返信元
すっきりして見易くなったと思います
ありがとうございます
内容を整理しました。
また、記事作成規定に見出しの種類を追加し、一部を試験的に再編集を行いました。
今となっては別項目を作って移動するほどの価値もなく、大した情報が無い事自体が問題点になるという事でもないなら消した方がいい
消しましょうよ
本編公開後から相当時間経ってますし、大した伏線にもなってなかったですし
あと他の項目ですでに書かれていることもありますし
>> 返信元
いつもありがとうございます。
移転予定部分については、当時私が先行PVから読み取った情報の纏めが元となっています。
実は本wikiが立ち上げられた頃から次章先行PVの情報を掲載していた時期があったのですが、それらは次章の項目や伏線の項目へと分散していきました。
移転予定部分については正直存在を忘れていましたので、ひとまず私の判断で削除いたします。本編をご覧になるまでもなく、大した情報はありませんので…。
特に反対がないようであれば削除いたします。
この状態で目次を残す意味無くないか?
最終章だから書く事が多くなるのは分かるし書き方は規定に沿ってるけど、記事が長過ぎ・項目多過ぎなページで見出しに見出し1~3が使えないと見辛い
とりあえず移転予定部分だけでもどうにかした方がいい思うんだがどこに移転する予定なんだコレ
中項目と小項目の違いが見てわからない。フォントを変えるなり色を変えるなり、何とかわかりやすくしてほしいな。
>> 返信元
このページには「概要」「問題点」「気になる点」「評価点」という大項目があり、「問題点」の下に「登場人物に関する問題点」「描写、演出に関する問題点」という中項目がある、という構造になっていると読めるので、「問題点」そのものは空白という訳ではなく、安易に削除すると構造が崩れてしまうと思います
しかし、大いなる暗黒~という文章が入る事と、各人物毎の問題の詳細を述べた小項目部分が長過ぎる事で、構造が把握しにくくなっている面もあるかと思われます
「概要」と「問題点」の間辺りにでも目次を設置した方がいいかもしれません
>> 返信元
問題点の項目自体、特別に書くことがないなら 消した方がいいんじゃないかな?
「問題点」のすぐ下、大いなる暗黒云々という文がここに置かれる必要性が判らないのですが削除していいですか
デジモンは答えも見つからずに永遠に迷走し続けるんだろうな
デジモンtriは選ばれし子供達の存在意義がない、ホメオスタシスがシャットダウンしてジエスモンがメイクーモン殺せばすんだ話だし選ばれし子供がいなくても解決できる、結局殺す以外の方法が思いつかなかったわけだし
意味なんかないと思う。いや本気で。
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