進化バンク

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進化バンク

シリーズ屈指の低クオリティバンクの数々


進化バンクの概要

日常パートと戦闘パートの境目であり、また新たな形態への進化をドラマチックに演出する。
過去デジモンアニメシリーズにおいて、進化バンクは重要な役目を担っていた。
デジモンの最新最先端作品として、デジモンアドベンチャーtri.の進化バンクは既存のそれと同等、あるいはそれ以上を求められていた。

しかし、本作の進化バンクは残念ながらその期待に応えるものではなかった。

 

デジモンアドベンチャーtri.の進化バンク

その仕上がりについてはご自身の目で確かめていただきたいが、ここではtri.の進化バンクについて可能な限り具体的にその問題点について、順を追って列挙したい。
  • 非常に簡素な描写
デジモンファンにはお馴染みのBraveHeartのイントロが tri.versionバックに流れ、デジヴァイスが映る。しかしモニターの中に様々な言語で『進化』と表示されるだけで、作中に散見される“止め絵”も同然。

  • 分かりにくい導入
光に包まれたデジヴァイスから一転。
金色のリングが幾つも浮かび、球体状らしき謎の空間に突入する。
→金色のリングは、複数連結されたトンネルの繋ぎ目のようなものであり、白いパイプを観客の視点が抜けて球状の空間に突入している、らしい。
→謎の空間も奥行きを感じさせる要素は無い。ただ地味な灰色の壁が広がっているだけ。
※この点は後に2章で背景オブジェクトの追加という形でテコ入れがされているが、画面が煩雑になっただけに終わっている。

  • 六角形のプレートが飛来。
パートナーデジモンをサッカーボールの要領で組み合わさって包み込む。
→成長期から成熟期への進化バンクが3DCG。セル画ではない。
→決して重厚とは言えないビニール人形のような質感は、本作のデジモンの生々しい肉体描写とも相反している。

  • デジモンを包み込んだ球体が白く変化。
陰影や質感その他が皆無の完全な白い丸。デジモンテイマーズの進化シーンに類似した演出だが、背景や球体に紋章の色やイメージカラーを付けるといったキャラクター毎に差別化を図るということもない。
  • 球体が六角形のプレートとなって散らばり、中からデジタルデータらしい見た目の成熟期が姿を現わす。

体表にびっしりと0.1.「2」が書かれ、忙しなく明滅。

→別にこの辺は問題点に挙がっていないが、やや地味な印象。

  • 緑色のよく分からないリングをくぐり、表面にテクスチャが出現していく。
この点については流石にまずいと思ったらしく、2章からは金色のホーリーリングっぽい物をくぐる形に修正。
さらに0と1のエフェクトが吹き上がるようになった。

  • 重量感・躍動感皆無の動きを見せた後、名乗りを上げ決めポーズを取る。
この段階で既に挿入歌は歌い出しに入っており、名乗りの音声が歌詞に紛れてしまう。
→ポーズ中はユラユラと揺れ、締まりのない印象ばかり与える。
→アニメーションディレクターが「今までにないポーズで賛否両論あると思う」と発言するほどの奇抜な決めポーズが目立つ。
特にイッカクモンやリリモンの仕上がりは酷いの一言。
→セル画で表現される完全体以降は基本的に作画の情報量こそ細かいが、『デッサンの狂ったエンジェウーモン』『顔が半分隠れたセラフィモン』を始め散々な仕上がりな物も目立つ。
ロゼモンの背景の薔薇やヴァイクモンの背景の鎖、セラフィモンの背景の剣など、どこからどこまでがデジモンなのか一目で見にくい画面構成も気になる。

  • ここまでの流れが冗長に行われ、バンク中にBraveHeartのイントロが終わりボーカルが入ってくる

過去のシリーズでは、進化バンクは曲のイントロと同じ尺で行われ、進化が終わり戦闘に入ると同時にボーカルが始まるという、進化・戦闘を盛り上げるためのルールが存在した(デジクロスのパターンが多く、また参加人数により尺もバラバラになりがちなクロスウォーズは除く)。
有名なパイルドラモンの音ハメはこのルールがあったから生まれたようなものであるし、またデュークモンなどテイマーズの究極進化においては個別に専用のイントロが用意されるといったこだわりっぷりであった。
しかし、tri.においてこのルールは守られておらず、イントロが終わってもぐだぐだと進化が続いている。
→当然、曲が中途半端なところで戦闘が始まり、メリハリや盛り上がりに欠ける。
もっとも、仮にここが守れていたとしても後述のバンク多用のせいで意味のないものにはなっていたかもしれないが…


疑問点

3DCGで成長期-成熟期の進化バンクが作られたことについて
セル画と比較してモデリングさえしてしまえば後は動かすだけであり、仕上がりから見ても非常に軽微な労力で作られたことが分かる。
→『2』は感染を意味していることが後に判明。感染を除去したリブート後は0と1のみに戻っている。
→7体分の進化バンクを感染前後で描き分けるにあたって、セル画ではほぼ倍の手間が掛かるのに対し3DCGならば表面のテクスチャを変更するだけで対応できる。
以上のことから、3DCGの起用は制作側の怠慢と考えられるが、理由は不明。
 
ただし、勘違いしないで欲しい。歴代作品(それこそ無印の主役級のメタルグレイモンやウォーグレイモン等)でもCGを駆使した進化バンクは数多くあり、その大半は好評であることからCGそのものが原因とは言い難い。
今回の場合はCGの質感の悪さに加えて、成長期~成熟期のデジモンのデザインが動物的であった事から安っぽさが際立つ事が問題と思われる。
 
tri.は全ての進化バンクを3DCGで作って欲しかった、という声も多く挙がっている。
 
ワープ進化をしないことについて
ウォーグレイモン・メタルガルルモンのように、テンポよく且つ別格の特別感を演出していたワープ進化が、今作においてはまったく使われない。

→ワープ進化を使うタイミングが無いというわけでは無い。
逆に全ての章でパートナーデジモンたちが律儀に成長期-成長期-完全体-究極体へと進化バンクを次々に繋げて進化している。
ワープ進化のバンク一本を流せばよりテンポ良く、かつ印象的に進化できると思うと残念でならない。
→理由としては不明だが、すでに究極体のバンクを作っている以上「手が回らないから」という理由は考え難い。

→5章公開現在、ワープ進化について制作側がコメントしたことは無い。

一方で、一段階ずつ進化バンクを挿入する点についてはコメントがパンフレットに掲載されていた。

「進化、超進化、究極進化と、一つずつ進化シーンを入れるのは、元永監督のこだわりと聞きました。」

(第4章パンフレット浪川大輔氏のインタビューコメントより)

元永監督の項目も参照。

 
ワープ進化は、「変形玩具で、成熟期→完全体に変形する玩具と成長期→究極体に変形する玩具を出してアグモン・ガブモンの進化形態の成長期~究極体を全て揃えたい」という狙いから考案された演出。
渡辺けんじ氏やボルケーノ太田氏などがTwitterやニコ生で、
・メタルグレイモンは変形玩具の都合で黄色い体色になった
・ウォーグレイモンについても、ブレイブシールドは変形の際の余剰パーツ流用のために必要なのでデザインの終盤で追加された、と公言している。
 
本作の進化バンクの冗長な扱い方によって、ワープ進化という形式は玩具販促の面だけではなく演出・テンポ面にとっても重要な要素であったことを、デジモンファン達は再確認することになった。

 
 
同じ進化バンクを何度も流す

今作は約25分×50話前後(1200分超)のテレビアニメとは異なり、約90分×全6章(約540分)の、映画が中心の有料視聴(映画・有料配信・OVA)という放送形式。尺の無駄遣いが許されず高い作画が求められている。同じ映像を何度も流す必要性があらゆる意味で感じられない。

※特に第2章では88分の間にパルモン→トゲモンの進化バンクが2回流れた、など。

そもそも、1本の「映画」の中で全く同じ1分位の映像を2回流すというのは、明らかにおかしい。

アニメ映画でも洋画でも邦画でも、一般的な映画で、回想シーンとして同じ映像を少しだけ流すことはたまにあっても、全く同じ1分位の映像を1本の映画内で2回流す映画なんて早々ない。

 

総評

単純に歴代作品と比較しても、それぞれキャラクター毎に差別化されている部分も少なく、演出やテンポの悪さが目立つ。

そして同じ映像を何度も流す。

結論として、尺稼ぎ及び迫力不足な進化バンクという印象が強い。

 

その他

  • 偶然の一致か、今作の進化バンクはこれまでの進化シーンの要素に似通った点を多く含んでいる。
→無印のベース音
→ディアボロモンの逆襲におけるオメガモンが球状のエリアに突入しながら進化するシーン
→フロンティア同様の六角形の物体
→テイマーズの『皮膚の下のデジタルデータ』
→セイバーズのように上へと迫り上がるデジモン
など。
似通っているだけであり、真偽はともかくまったく活かされていない点が惜しまれる。
  • 5章の同時進化
まずメタルグレイモンが単独でウォーグレイモンへ進化。
それに続く形で
ホーリーエンジェモン
リリモン
ガルダモン
アトラーカブテリモン
ワーガルルモン
ズドモン
が同時に進化。その上、全員が完全に同じタイミングで「◯◯モン進化ァ!!!」と叫ぶため、まったく聞き取れない。
また進化後の名乗りも多少ずらしてはいるものの音声の重複が酷い。
→初公開となるワーガルルモン、メタルガルルモンの進化バンクもひとまとめにされ、まともに見ることすら出来ない有様。
→同じ進化バンクを何度もフルで流すべきではない、という批判が公式に届いたのか、同時進化自体は一応の改善と言える。
 
6章でもこういった同時進化は多用された。

  • 進化ルートについて
「ズドモン→ヴァイクモン」「エンジェウーモン→ホーリードラモン」について取りざたされる事が偶にある。
ただしこの2つについては実の所問題点というほどのものとは言えない点がある。
 
ヴァイクモンについては当初ゴマモンの究極体はプレシオモン、ヴァイクモンはシャッコウモンの進化系として用意されており、「デジタルカードアリーナ」でもそうした扱いで登場していた事からの批判だが、
TCGではズドモンからの進化ルートも設定されている。何よりヴァイクモンの設定は「イッカクモンとズドモンのリーダー」であり設定的には何ら問題はない。
というよりシャッコウモンとヴァイクモンには誠実の紋章以外の関連性が特に存在しない。なお現在ではシャッコウモンからは「スラッシュエンジェモン」が進化先として設定されている事が多い。「デジモンペンデュラムZ」でも進化ルートに採用されていた事からこちらで落ち着いたと思われる。
なおヴァイクモンへの進化はPSP「デジモンアドベンチャー」の時点で既に設定されている。
 
ホーリードラモンについてはそもそもとして02劇場版「デジモンハリケーン」で扱いは悪かったが既に登場済み。
PSP版など、一時期はオファニモンに取って変わられた事もあったがTri以降はグッズにおいてもホーリードラモンに戻っている。
なおこの進化ルートは元々セガサターン版でテイルモン、エンジェウーモンと当時に登場したためである(当時は究極体は存在しなかったが)。
 

LAST EVOLUTION 絆/THE BIGINNINGでは

ラスエボでは、アグモン→グレイモンとグレイモン→メタルグレイモンの進化シーンがそれぞれ1度だけ流れた。2つとも無印の進化バンクを再現しつつも、出来の良い手描きの進化シーンになっており評価が高い。ラスエボスタッフとtri.スタッフの理解の差が冒頭から如実に現れた点と言える。

更にビギニングでは02組の全成熟期進化、およびエンジェウーモンへの超進化、全ジョグレス進化、インペリアルドラモンへの究極進化、ファイターモードへのモードチェンジが全て再現されるという大盤振る舞い。さすがにジョグレス進化以降はCGになっていたものの当然ながら美麗グラフィックとなっており迫力は激増しており、手描きだったシルフィーモンやシャッコウモンも元の演出を尊重しながらも初のCG化を果たしており凄まじい好待遇である。

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コメント

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名無し
ID:OTgwNjg5Z

>> 返信元

何も考えずたれ流してループさせてた改善策がそれかよ ホント演出クソだな

返信
2023-11-20 20:12:13

名無し
ID:YWY1ZWE0O

>> 返信元

そう!ディアボロモンの逆襲のインペリアルドラモンまでの流れめちゃくちゃかっこ良いんよ!
ついでに言うとサビ前のドラム音と弾丸連射が音ハメになってるのも気持ちいいのだ!

返信
2023-10-30 21:51:18

名無し
ID:YWY1ZWE0O

ビギニングについて
ただしブイモンとワームモンは二回進化演出あるけどね...
パイルドラモンも含めて

そしてBGMとのマッチ具合も話題に入ってたから言うけど、コロコロ変わってて、進化演出が入るたびにBGMが最初に戻るから最後まで聴けなかったのも残念
せめて1番サビ終わりまでは流してほしかった
というかBeat Hitの冒頭のドラム音と音ハメして気持ちいいのはパイルドラモンだけだから、他は最初に戻す必要なかったんだけど

返信
2023-10-30 21:49:31

名無し
ID:NGMwMTgzM

>> 返信元

装甲娘戦機の1話で各キャラの変身シーンをダラダラと流しまくった事には嫌な汗が出た
幸いにもそのシーンはほぼ1話だけしかやらなかったんだが…それはそれで何か物足りないものもある

返信
2022-08-24 15:15:04

名無し
ID:NDI4ZTc4Y

複数世代跨いで進化するのは過去作でもやってたが、ディア逆のインペリアルドラモンやセイバーズの進化バンクみたいに上手いこと繋げてたやつはいいやり方だったと思うわ
triは個々のバンクが長い上に出来も微妙なのに、それらを繋げるでもなくダラダラ流すだけ
オマケにそうなってまでワープ進化廃した理由が「監督の拘り」でしかないってのもまた…

返信
2022-08-24 06:58:03

名無し
ID:NGUyYzM2M

ガルルモンからのワーガルルモンに進化するシーンなんかワーガルルモンがだっちゅ~のポーズになってたから、そこが吹いた+引いたわ

返信
2022-07-18 08:49:46

名無し
ID:NjliNWQyZ

>> 返信元

多分だけどデジモンの育成ギアのこと。たまごっちのデジモン版のあれ。

返信
2021-08-28 22:02:07

名無し
ID:ODhmNWRmN

バンクの意味わかってる?

返信
2020-07-06 10:59:13

名無し
ID:YTMyNTJlN

YOUTUBEでtri.の進化バンクを切り貼りしたMADを見たら、tri.の進化バンクの出来はそんなに悪くないように感じた。悪いのはバンクの出来そのものではなく、同じバンクを何度も流すことだと思うわ。全6章通して同じ進化バンクは1回流したらそれ以上流すべきじゃなかった。

返信
2020-07-05 16:50:42

名無し
ID:MzQyZWI3N

何故ワープ進化を使わなかったのか…
成熟期や完全体の活躍も描きたかったからといえば聞こえはいいけど実際は進化、超進化、究極進化とバンクを挟む事で尺繋ぎをする為だけ。もしワープ進化が採用されていればもっと色々かけたはず

返信
2019-06-04 12:36:11

名無し
ID:MzdlZWMxN

>・なぜ3DCGで成長期-成熟期の進化バンクが作られたのか。
>以上のことから、3DCGの起用は制作側の怠慢と考えられるが、理由は不明。
自分はtri.の全ての進化バンクをCGで作って欲しかった。リアルタイムで過去作を見てた時、CGのメタルグレイモンとワーガルルモンの進化バンクは格好良いのに対してセル画のアトラーカブテリモン以降はショボいし手抜き間に溢れていて嫌だった。パイルドラモンに対するシルフィーモンとシャッコウモンも同様。サクヤモンは凄い出来のセル画だけど。ニコ生で角銅さんが「当時超進化シリーズが出るデジモンの進化バンクに優先してCGの予算があてられた」とか言ってたこともあった。

返信
2019-03-16 19:40:15

名無し
ID:OWYzMmZmM

究極進化別にあってもいいけどさ
完全体までをセル画、究極体をコテコテのCGにして究極進化の特別感を演出してほしかったね

返信
2019-03-14 03:49:32

名無し
ID:OGVkZTRiN

>> 返信元

ちょっとなんのゲームの話ししてるのか分からない…

返信
2019-01-04 21:10:54

名無し
ID:NWViMjc1O

言ってることはなんとなくわかるけど02の時には既に子供心にインペリアルドラモンの順進化のテンポの悪さ感じてた(あれはモードチェンジもあるが)しそれを何体分もやるtriを観たら改めてワープ進化は必要な演出だったとしか思わなかったわ
こだわりとか言って尺削っといて「やりたいこともっとあったけど尺が足りなかった」とか意味不明だし、結局6分割とかやってる始末

返信
2019-01-04 17:26:11

名無し
ID:ZTNjM2U0N

個人的には、原作ゲームとの乖離点だったワープ進化に対して一つの答えとして嫌いじゃない。

返信
2019-01-02 12:58:39

名無し
ID:N2NkMTZjN

>> 返信元

それで尺無駄に使ってテンポ悪くするんじゃ元も子もないと思うけど

返信
2019-01-02 12:44:49

名無し
ID:ZTNjM2U0N

無印リアル世代組だけどワープ進化の廃止は個人的に良かった。ワープ進化だと、子供心に成熟期~完全体と同一線上にないように感じたし、当時は完全体までの進化が軽く見えた。何で完全体までいけてそこからいけないのかって疑問もあったし。

あと、今回の演出は完全体と究極体の比較もしやすかった。アトラーカブテリモンとヘラクルカブテリモンは特に良かった。パワーアップ感がわかったから。テンポの問題はあるけど、本来のゲームの設定だとこっちが正規だろうし。

返信
2019-01-02 12:17:37

名無し
ID:NDkzYjYyM

>> 返信元

ワープ進化がどうかしましたか?
これ公式じゃありませんよね?

返信
2018-05-05 14:54:10

名無し
ID:ZGJkMWYzM

ワープ進化
https://m.youtube.com/watch?v=CcXWv-YH6xI

返信
2018-05-05 14:20:33

名無し
ID:Y2NjZjUxM

進化バンクの感染前後変更の手間と言っても、今はセル画にもデジタルテスクチャ貼って簡単で差分も作れるし、ホントあの素人が頑張って作りました!レベルのしょぼい3D進化シーンは理解出来ない。
15年前のぼくウォのオリジナル進化シーンの方がシンプルなのにデジタル世界感あって監督のセンスの差と凄さが分かる。

返信
2018-04-19 02:23:08

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