デジモンアドベンチャーtri. 第3章「告白」
公開日…2016年9月24日
上映時間…106分
興行収入…1億3千5百万円(※2章…1億6千5百万円 1章…2億3千万円 )
概要
高校生(中学生)となった選ばれし子どもたちが新たな脅威『感染デジモン』と戦い、その謎に迫る全6章の劇場公開作品第3作目。
パルモンとゴマモンが究極進化し、インペリアルドラモンを撃破する。その直後、メイクーモンがレオモンを惨殺し『歪み』へと姿を消した。
その後デジタルワールドはメイクーモンの影響で大きなダメージを受け、最終手段『リブート』が実行される。
感染してしまったパートナーデジモンたち諸共デジタルワールドのすべてが初期化され、残された太一たち選ばれし子供はデジタルワールドへ向かう。
問題点
リブート
- 今作最大の問題点。
→別項も参照。
→デジモンたちの記憶もろとも、デジタルワールドを初期化するという禁じ手中の禁じ手。
- 実施に至った経緯
感染デジモンの発生をきっかけに歪みによってデジタルワールドの均衡が崩れ、全世界が崩壊する危機が迫った。
そこでホメオスタシスはリブートによる初期化によって崩れてしまったデジタルワールドの均衡を正すことを決定した。
→歪みによる世界崩壊についてはホメオスタシスが口頭で述べただけであり、その原理や詳細などは不明。
- 不自然な描写
リブートに関連して、不自然かつ唐突な展開が続くこととなった。
→無印・02はもちろん3章に至るまでリブートに関する伏線は一切ない。極めて唐突な展開であることは否めない。
→ホメオスタシスがデジモンたちにだけ知らせる。子供たちはなぜか感知せず。
・デジモンたちの記憶が全て消去される。過去の経験や冒険の記憶、パートナーや仲間との思い出も全てが消えた。
※しかし記憶の有無についての整合性には疑問がある。→ヒカリのホイッスルを持つニャロモンなど。
その上、この3章終盤にて早くもリブートが無意味であった可能性が示唆されてしまう。
→究極体同士の激突。
初期化されたはずのデジタルワールドで最終進化系のデジモンが平然と活動。
→アグモンたちが感染した経緯はこの段階はもちろん完結した現在においても不明。
当然再感染の予防やルートの特定といった建設的な対応はなされず。
→また、全ての元凶であるメイクーモンについてはリブートでは対処できない。
事実3章終盤に一切の影響を受けずにデジタルワールドを彷徨っていた。
過去作のファンが視聴者層の大半を占めていた今作の中で、
・これまでに積み重ねてきた経験や思い出を消し去る。
・デジタルワールドに容易なリセットの概念を持ち込む。
といった過去作を軽視する姿勢には疑問を感じざるを得ない。
それ以上に、ここまで大掛かりな賛否両論の仕掛けを組み込みながら、以降の章でまったく活かせていない点は極めて重大な問題である。
登場キャラクター関連
この3章を境に、キャラクターについての描写が破綻し始めた。
- アグモン
食べることしか考えられず、「それっておいしいの?」「おなかすいた」などの言葉を脈絡も無く連発。
→思考力がほぼ消滅し、無印や02当時には考えられないほどに知能が低下。
- 泉光子郎
→必死に感染について調査を進めるも原因が分からず悩む。が、感染の実態が2進法(0と1)のデータで構成されたデジモンが3進法(0と1と2)に書き換えられることで暴走するというトンデモ理論のため解明を成し遂げても対策のしようがなく、今一つ報われない。
→一方で感染の根源と判明したメイクラックモンについて調べもしない=感染についての肝心な調査を怠るなど、行動に一貫性がない。
→挙句リブートで記憶を失っても戦うと覚悟を決めていたテントモンを前に「それなら方法はある!」とすんなり善後策を考案。
パートナーデジモンたちが最初から光子郎に相談していれば良かっただけではないか、という事態に。
→また、これまで過剰すぎた烏龍茶ネタがさらに増え、キャラが完全に崩壊。
- 太刀川ミミ
目の前でレオモンがまたも死亡したにも関わらず特に悲しむことなく平然と生活。
→正確にはメイクーモンがレオモンを殺してしまったことにショックを受けた芽心を必要以上に庇い、パルモンが感染するかもしれない事態に追い込まれてもなお芽心から情報を引き出そうとする光子郎と衝突。
→芽心以外のことに意識を向けることができているとは言い難く、光子郎ともオフィスの掃除をするものの和解どころか会話すらしない。
- 高石タケル
パタモンが感染していることに気づいて隔離していたサーバールームから連れ出す。
その上パタモンとガブモンをサーバールーム外で接触させる等、身勝手な行動が目立つ。
→かつてパタモンを失った経験を持つ彼が、碌に対策を模索しようともせずに劇中のような短絡的な行動をとったことには疑問を感じる。
- 望月芽心
感染の危険に怯えるデジモンたち、必死に善後策を講じる子どもたちの前で何食わぬ顔で過ごし、逆に元気づけてもらっておきながら、3章ラストで「メイクーモンが感染源だったことを知っていて黙っていた」ことを告白。
→タケルがパタモンの感染について芽心に告白した段階ですでに知っていた模様。
・上記の告白を聞き、それでも「一緒にデジタルワールドにパートナーデジモンたちを探しに行こう」と説得するタケルの誘いを拒否。メイクーモンを取り巻く問題から解放され「ほっとしている」とまで涙ながらに発言する。
→「望月さんのせいじゃない」と言うタケルに、「お前のせいだと罵られたほうが気が楽」と返すなどあくまで自分本位。
→それでも考え直し、デジタルワールドに向かおうと急ぐものの太一たちはすでに出発したあと。わざわざ制服に着替えてから追う点も真剣さが感じられないなど、とにかく良い印象がない。
※ちなみに4章では特に説明もなくデジタルワールドに来ていたため、結果としては無意味に彼女の 評価が下がっただけに終わった。
- レオモンの死
→序盤に芽心がショックを受ける描写がある程度で、それ以降話題に上ることもほとんどない。
彼が死んだことはストーリー上何ら影響はなく、直後リブートによって彼もまた復活したと思われる。
→レオモンは『歩く死亡フラグ』とまで言われるほどの経歴を持つデジモンではあるものの、この雑な退場は「レオモンが死ぬことは恒例だから」程度の理由ではないかと言われるほど。
- 02組
→別項も参照。
3章にもなってようやく連絡が取れないことに気づく。
→一乗寺家のマンションをタケルとヒカリが訪れて留守を確認。(明言すらされていないものの)他の02組にメールを送るも返事が無い、などの今更すぎる行動が重なる。
タケルはその際「もっとちゃんと調べてみよう」と発言しているものの、その後一切02組に触れることはなかった。
また中盤、ヤマトが直接姫川に02組の安否を尋ねるも、「選ばれし子どもたちの安否はすべて把握している」という姫川の一言であっさりと納得。把握しているという行方について尋ねることなく引き上げてしまう。
→ちなみに実際には02組の安否については姫川自身も知らない模様。
3章ラストにて黒いD-3とディーターミナルが登場する。独自に解析を進めたという姫川に対し、その場にいた太一たちは出どころについて一切尋ねなかった。
→本作において02組に対する無印組の関心は異常なまでに低く、この点が無印組そのもののキャラクター造形にまで重大な影響を及ぼし物語の整合性に著しい悪影響を与えている。
- デジモンカイザー=謎の男
2章で登場した彼の正体が『ゲンナイ』に似た謎の男と判明。(つまり結局何者なのかは不明のまま)
→彼がデジモンカイザーを模した『アバター』を使っていた理由については説明もなく、必要性もないため単なる話題作りのためにデジモンカイザーという要素を取り入れたとも考えられる。
作画・演出関連
- メイクラックモン戦
歪みにメイクラックモンを押し返す、という方針のもと戦うものの、その理由は不明。分かりにくい戦闘シーンの作画も相まってまったく見ごたえがない。
→理由については、リブートによって感染前の段階まで初期化することが目的と思われる。が、リブートの範囲等詳細については6章で完結した現在も不明のため、確証は持てない状態となっている。
→メイクーモン・メイクラックモン共に「だがーっ!」と叫ぶため緊迫した戦闘の最中に観る者の脱力を誘う。
→一方パートナーデジモンたちもリブートが起きるかどうかという極限状態で全力を出さない。挙句発症して敵に回ったメタルグレイモンが勝手にウォーグレイモンに進化する。
→メイクラックモン一体に総出でもまったく敵わず、結局ヘラクルカブテリモンも防戦一方のままリブートが実行されるため事実上敗北。歯がゆい戦闘シーンがまたしても続く結果に。
→本作全体に言えることではあるが特にこの戦闘以降、子供たちは指示ひとつ出さずオロオロ見ているだけの要らない子と化す。
- 制服でデジタルワールドへ向かう選ばれし子どもたち
キャンプ場から突然デジタルワールドへ迷い込んだ無印と違い、本作では予め充分な準備期間があり、その上ゲートが閉じていることから帰れる保証もない旅に出発することになる。
→にも関わらず全員が学校の制服姿(スカートやローファー)、かつ非常に軽装で食料も空の持参した保存性皆無の弁当のみ。
→当時小学5年生の児童数名とそのパートナーデジモンのみで構成された集団『デジモンテイマーズ』を遥かに下回る装備一式であり、それまでの経験がまったく活かされていない。
→全員が制服姿なのは作画並びに服飾デザイン面での手間を減らす狙いがある、との意見が出るほどに不自然極まりない。
その他
公式の対応
- 「和田光司と水谷優子に捧ぐ」
冒頭に歴代デジモンアニメシリーズで多くの歌を歌った和田光司氏と武之内空の本来の声優である水谷優子女史が亡くなった事に対しての哀悼の意を表した文が表記される。
→しかし、実際の内容がこの体たらくでは、むしろお二方に謝れと言いたくなること請け合い。
- キャストコメントでの「この章が起承転結でいうところの「転」になるのだなと強く感じました。」との発言や事前情報の発言について。
3章のキャストコメントに以下の発言がある。
>この章が起承転結でいうところの「転」になるのだなと強く感じました。
他にも3章公開前事前情報や2章パンフレットなどで、3章は全6章を通じて話が大きく動く、転機、山場、との旨の発言が多くあった。
恐らく3章事前のそれらの発言はリブートのことを指していたのであろう。確かにリブートは全6章通して(良くも悪くも)話を大きく動かした。
だが、全6章の全ての章で話が大きく動かなければならないのでは?全6章の全ての章で起承転結の転にならなければならないのでは?と疑問に感じざるを得ない。全6章は120分位の一本の映画に収めることができる内容だったのでは?と改めて思わざるを得ない。
3章の他のキャストコメントでは以下の発言がある。
>第2章までが起承転結の「起」とするならば、本作はまさしく「承」の編でございます。
どっちなんだよ。
- 応援上映
2016年10月12日、第3章の応援上映が開かれた。公式ツイッター曰く、
超進化上映は新宿バルト9にて、本日10月12日(水)19時から! スクリーンの中の台詞へのツッコミOK! 「いつかなんて待ってたら、あっという間に大人になっちまうよな!」 \まったくだよ!/
とのこと。
上映の前から、第3章は応援上映に向いていない内容であり盛り上がらないのでは、との声が多く、案の定あまり盛り上がらない応援上映だったようである。
作画・演出関連
- 怪文章
破滅の時は来た デジモンは再び解き放たれる 脆弱なるデジタル基盤に依存したお前たちの世界は砂上の楼閣に過ぎない 今こそ崩壊の序曲を奏でよう
→唐突に登場した怪文章。『暗黒を知り超えてゆけ』とは違い日本語表記で、こちらも詳細は不明。
→オルディネモンの襲来と、それに呼応した各地のデジモンの行動を指すと思われる。
- ヘラクルカブテリモンへの進化
苦戦の末カブテリモンから一時テントモンに退化するも、その後カブテリモンへの進化バンクを飛ばしてアトラーカブテリモン⇒ヘラクルカブテリモンへと進化。
→頑なにワープ進化をしない理由は不明。
- ヒカリのホイッスル
デジタルワールドで幼年期にまで退化していたパートナーデジモンたちが所持していた。
→リブートが行われた直後であり、無印最終回でテイルモンに譲られたその笛が(ドラマCDで紛失したことは別にして)なぜ現存するのかは不明。
- 進化バンク
→ダサい、見栄えが悪い、テンポが悪いという低クォリティを維持。
→エンジェウーモンが妙にケバいと評判。
- ミミと模擬店の生徒
→ ミミから歩み寄ることなく他の生徒が理解を示す形で和解。結局相手の意思は無視して自分のやりたいことを押し通しただけとなってしまった。
→ロゼモンに進化した後に和解してしまったことでミミ自身が得たものは人の気持ちを考えない自己中の精神そのものとなってしまった。
→『ロゼモン進化への伏線』とも成り得たこともあり、和解については2章内に収めるべきだった。
- 望月教授
デジモンの研究者である時点で過去作と矛盾している。
芽心の発言によればメイクーモンと彼女が出会う以前から何らかの施設で研究に携わっていた。
→ゲンナイがデジモンに関する情報を改竄・秘匿したため碌な研究資料がないはず。
“ゲンナイと名乗る情報提供者”から情報を『故意に』与えられていたのか、光が丘爆弾テロ事件を契機に開設された研究機関なのか、もしくは02の39話で語られた『お台場霧事件』を機に設立されたという機関なのか。その詳細は不明。
→いずれのパターンにせよ過去作とは矛盾する。
- ホメオスタシスとパートナーデジモンたち
ホメオスタシスは無印にてヒカリに憑依し、太一やアグモンたちとコンタクトをとったことがある。
しかし、今作でデジモンたちは「まるで初めて対面したかのように」驚いていた。
リブートする前から記憶が消えている
評価すべき点
楽曲関連
- オープニング曲「Butter-Fly~tri.Version~」
- 挿入歌「brave heart~tri.Version~」
- エンディング曲「僕にとって」
背景も止め絵とはいえ枚数も増え、僅かに改善。
美術関連
- 第3章のキービジュアル
ヘラクルカブテリモン、パタモン、メイクラックモンVM、光子郎、タケルが映ったキービジュアル。
演出関連
- パタモンとタケル
- 最後の時間を過ごそうとするデジモンたち
- 知ることについて光子郎に語るテントモン
- 奮戦するヘラクルカブテリモン
- 1章と比較して遥かに感動的に「再会」する子供たちとパートナーデジモンたち
コメント
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久しぶりにアニマックスでやってたので見た内容は変わらずおそまつな内容だったけどパタモンとタケルの会話は不覚にも泣いてしまった
>> 返信元
分ける意味ないと思ったのでまとめたよ
なんだここの「その他」と「その他細かい問題点」
感染した経緯はパートナーデジモン達が感染の元凶であるメイクーモンと同じ空間に長く居たからではないでしょうか?(デジタルワールドでの感染と矛盾しますけど)
この章では芽子とメイクーモンが東京に来てから異常が確認される様になった事と感染デジモンが0と1の二進法から0と1と2の三進法になっている事を発見されるなど、起承転結の「承」から「転」に物語が移行する重要な場面でしたのに完璧におじゃんでしたね。
アグモンは5章になっても腹減ったしか言わないし光子郎はウーロン茶ネタばっかでほんと酷い
まともにセリフも思いつかないなら仕事断れば良かったのに
ヒカリのホイッスルて無くしてたんですねマジでクソだなハツカネズモン
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