aklib_story_喧騒の掟_CB-3_722P.M._戦闘後

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喧騒の掟_CB-3_7:22P.M._戦闘後

悠々と街を歩くバイソンとモスティマは、飴屋の前を通りかかったところでマフィアに狙われてしまう。 逃げるためにバイソンは貨物船に飛び乗ったが、モスティマは姿を消していた。


[ジェイ] ふあぁ——もうこんな時間か……早く帰って寝るとすっか……。

[ジェイ] ん、ここいらに海鮮の屋台を出したら、べらぼうに客入りが良さそうだな。おんや? あれは?

[ワイフー] ……。

[ジェイ] お~い。

[ワイフー] 動くな!

[ジェイ] 痛ててて! 俺だよ、俺だって! 手ぇ放せ!

[ワイフー] なんだ、あなたがどうしてここにいるんです?

[ジェイ] ……店閉めて帰ぇるところだ。

[ジェイ] アンタこそ、こんなところでボケっと——違うな、すぐに手を捻り上げられるんだからボケっとはしてねぇか……。

[ワイフー] 先ほど、橋で交通事故があったのは知ってますか?

[ジェイ] ……アンタ、テスト勉強はどうした?

[ワイフー] 適度な息抜きがないと、明日テスト用紙を見たときに、頭が真っ白になってしまいますからね。

[ジェイ] へぇへぇ、さいですか。

[ジェイ] そういや、さっきお客さんが話していたのを小耳に挟んだけどよ。怪我人とかねぇといいよな。

[ワイフー] ええ……事務所で聞いたところ、この一件には厄介な連中が関係しているとか……。

[ジェイ] 先に言っておくがよ、俺ぁ、殺し屋だの暴力団だのには、一切関わりねぇからな。アンタだって知ってるだろ?

[ワイフー] あなたがそういう人だというのは、知人ならみんな良く知ってますよ——でもね、こんな見た目だから、疑われないほうがおかしいでしょう?

[ジェイ] ……ケッ、そりゃそうか。

[ワイフー] 二時間前には龍門の外れの高速道路で、ガス爆発も起きています。

[ワイフー] 高速道路でガス爆発ですよ? ガスが原因の爆発って、おかしいと思いませんか?

[ジェイ] おい。アンタ、まさか……。

[ワイフー] 言ったでしょう。適度な息抜きですよ。

[ジェイ] ……やれやれ、分かったよ。

[ジェイ] でもよ、それって本当に息抜きになってんのかい?

[モスティマ] そろそろかな。ここは街の中心部だし、奴らは思うように動けないはずだよ。

[モスティマ] ところで、さっき君が選んだの抹茶味だったっけ? じゃあこっちが君の分だね。どうぞ。私のオゴリだよ。

[バイソン] あ、はい……。ありがとうございます。確かに怪しい奴は見ませんでしたけど。でも……ちょっとのんびりしすぎじゃないですか?

[モスティマ] そうかな。ここのはオススメ度五つ星なんだよ。そこら辺のマフィアなんかよりも、ずっとすごいんでしょ?

[モスティマ] ところで、君はテキサスたちと連絡とれるの?

[バイソン] いえ、別れたのが突然のことだったので……。

[モスティマ] なら問題ないね。急がなくても大丈夫。

[バイソン] ……。

[モスティマ] ほら、アイスクリーム溶けちゃうよ。そんなにピリピリしないの。

[バイソン] あ、ぼくはただ……。さっきまでカーチェイスして橋から落ちて……でもいまはアイス食べて…って状況の変化が激しすぎて、頭が追いついてないです。少し冷静になるべきですね。

[モスティマ] 遠路はるばるシラクーザからわざわざ龍門にやってきたマフィアたちだよ。単に安魂祭を楽しむためというわけではないでしょう?

[バイソン] (小声)……奴らにほかの目的があるとすれば、一つはぼくだ。でもそれ以上のことはまだよくわからない。

[バイソン] (小声)幸いぼくたちはまだ奴らに発見されていない。従って、この隠密状態を生かして、むしろ先手を打って事態の調査をすべきでは……。

[バイソン] (小声)でもどうしたらいい?スキを狙って逆に奴らを追跡してみるとか?いや、やっぱり先にテキサスさんたちに連絡を……。

[モスティマ] フフ、なんだかテキサスたちよりも、君の方がよほど普通のトランスポーターに見えるね。

[バイソン] あっ、ごめんなさい。突然独り言を言い出して。

[モスティマ] いや、君の考え方は間違ってないよ。

[モスティマ] ただ、マフィアの連中に別な目的があると分かっているなら、確かに今は軽率に動くべきではないね。

[モスティマ] 今はテキサスたちを信じようか。あんな感じだけどペンギン急便はとても強いんだ。

[モスティマ] 「強い」って表現される運送会社があるのも変な話だけど、うん……まぁいいでしょ。どうせ私も不満を言う資格はないし。

[モスティマ] 私たちが街をブラブラしたり、風景を眺めたりしているうちに、みんなが既に敵を一網打尽にしてるかもしれないよ?

[バイソン] ……そ、そうでしょうか?

[モスティマ] あっ……。

[バイソン] モスティマさん?

[モスティマ] あの飴屋さん見える?

[バイソン] 店というより、屋台に見えますが。

[モスティマ] うん、とても年季入ってるよね。

[モスティマ] 何年も前、龍門に来たばかりの頃にここに来たことがある。

[モスティマ] あの時はね……手元にお金が無くて、元気もなかったんだけど、あの飴を見たら一瞬で吸い寄せられたんだ。

[バイソン] そう……なんですか。

[モスティマ] その時は長旅の途中でね。ちょっとしたトラブルに遭ってたんだからさ。まぁ、トランスポーターの仕事なんてみんなそんなものなんだけどね。

[モスティマ] ちょっと見ていこうよ。

[バイソン] ……。

[女の子] わぁ! カラフルなお星さまだ!

[女の子] おじいさん、おじいさんはどうしてお星さまをとれるの?

[老人] それは秘密だよ。みんなにそう簡単には言えないんだ。

[男の子] これのどこがお星さまだよ! ただのフルーツキャンディーに色をつけただけじゃんか!

[女の子] えー、でもこんなにきれいなキャンディー、ぜんぜん見たことないよ……ほしくないの?

[男の子] う、うるせー! なぁ! マシュマロある?

[老人] もちろんあるとも。さぁ、手をお出し。

[女の子] え——こんなマシュマロよりも、わたしはあっちのほうが……。

[男の子] フルーツキャンディーはきらいなんだ! 甘すぎんだもん! それにベロが変な色になるだろ!

[老人] 欲しいなら二つとも持って行きなさい。せっかくの安魂夜だ、お金はいらないよ。

[老人] もう夜も遅い。すぐにおうちに帰って寝るんだよ!

[女の子] ありがとう、おじいさん!

[男の子] おじぎしてんなよ! 早くあっちのおもちゃ屋さん見にいこうぜ! 今日限定の騎士だってよ!

[老人] 最近の子供たちは本当に元気だのう。

[老人] さて君たちも何か欲しいものはあるかね? ヴィクトリアから輸入したフルーツグミがおすすめだよ。安魂夜のロウソク飾りも付けてあげよう。

[モスティマ] うーん……。

[モスティマ] まだ大丈夫だよ、おじいさん。長くて深い夜は、今始まったばかりだしね。

[老人] おお、その通りだとも。君たちのような若者だと、繁華街のお祭り騒ぎに行くのだろう?

[バイソン] (モスティマさん、この方は……。)

[モスティマ] ……おじいさんも今夜のイベントに参加するの?

[老人] まさか。わしはもう骨と皮ばかりの老いぼれだ。だが代わりにわしのキャンディーたちが参加してくれるだろう。

[モスティマ] 今年の式典は特別かな? 外国からのお客様までいるみたいだね。

[老人] この街も長い時間寂れているからな。たまにはこういうドンチャン騒ぎも必要だろうて。

[老人] ドンチャン騒ぎにもっと多くの客人が参加して、色々な事が起きてくれると、とても面白いと思わんかね?

[モスティマ] 確かにそうだね。

[老人] 安魂夜は本来、亡者の魂を安らかに送るためのもの。生きている人間が楽しむのが何よりの供養になる。

[老人] ところで、本当に何も要らんのかね? 昔の君はショーケースを外から食い入るように見入っていたものだが。

[モスティマ] 覚えていてくれたんだね。ちょっと恥ずかしいな。

[老人] はは、忘れられるわけなかろうて。

[モスティマ] 残念だけど、仕事の前にオヤツを食べすぎるのは良くないからね。

[老人] そうかい……なら達者でな。若者たちよ。

[老人] 暇になったらで構わないから、またおいで。

[モスティマ] うん、きっとね。

[バイソン] ……。

[モスティマ] ドンチャン騒ぎか。今日はここ数年で龍門の一番盛大なイベントと言われてるみたいだね。

[モスティマ] ……バイソンくん?

[バイソン] ごめんなさい、ちょっと考え事を……。

[モスティマ] この状況だもんね。君が何を考えてるかなんてバレバレだよ。

[モスティマ] バイソンくん、考える事も大切だけど、たまには直感で動くのも大切だよ。

[バイソン] 直感……モスティマさんみたいなトランスポーターでも、直感を信じるんですか?

[モスティマ] 正確に言うなら「臨機応変」ってね。例えば、私たちはいま橋の上に立っていて、下には小型の貨物船がやってくる。

[バイソン] はい?

[モスティマ] そして、前後には三人ずつ、変装したマフィアが、ゆっくりと近づいてきている。

[バイソン] ——!

[モスティマ] カムフラージュしようとしても遅すぎるかな。奴らはだいぶ前から私たちを狙ってる。

[モスティマ] さっきの飴屋さんから。

[バイソン] ぼ、ぼくたち、囲まれてるんですか?

[モスティマ] そうだよ。でもこの辺は観光客が多いからね。私たちがここで戦ったら巻き込んでしまう。

[モスティマ] しかし残念ながら、相手はその辺の配慮はしていないようだ。

[バイソン] ……この状況、どうすれば?

[モスティマ] じゃあ、跳ぼうか。

[バイソン] えっ、なんて?

[モスティマ] だから跳び降りるよ、さぁ今だ!

[バイソン] また橋の上から——?

[モスティマ] だから君は考えすぎだ。柵を跳び越えて、全力で下に飛び降りるんだよ。こう・やっ・て——!

[バイソン] ま、待って——

[バイソン] ぷはっ! 橋の上から一日に二度も落ちるなんて……。

[バイソン] これは……キャンディー? どうして船を使ってキャンディーを輸送してるんだろう?

[バイソン] だけど、どうにか奴らを振り切れましたね。モスティマさ——

[バイソン] ——。

[バイソン] モスティマさん?

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