旅に出よう、滅びゆく世界の果てまで。

ページ名:旅に出よう_滅びゆく世界の果てまで。

登録日:2010/10/15(金) 17:55:17
更新日:2023/10/03 Tue 13:45:11NEW!
所要時間:約 5 分で読めます



タグ一覧
電撃文庫 ライトノベル 隠れた名作 萬屋直人 方密 スーパーカブ



著者:萬屋直人
絵師:方密
既刊:1巻


一応、続刊になっているが、2008年3月以降、未だに刊行されていない。作者のブログで続編があることが公表されている。





≪あらすじ≫
喪失症が蔓延し、少しずつ記憶と記録が失われる世界。少年と少女は、一台のスーパーカブで旅をする。はるか遠い世界の果てを目指して――。
少年と少女の旅の日々を描く。




  • 喪失症について

この作品の舞台となる世界で蔓延している架空の病気だが、厳密な意味での病気ではない。
原因、発症条件、治療法などはすべて不明。
喪失症の症状は段階的に表れる。これらの症状の進行には大幅な個人差があり、突然急速に進行したり逆にある段階で止まったりすることもある。


1.名前の喪失
最初の症状。
発症者の名前を誰ひとりとして思い出せなくなる。これは本人も例外ではなく、また紙などに書かれた名前に関しても、その部分が白紙化することで失われる。
ただし、失われる名前は本名だけであり、「取締役」「秘書」といった役職や、「姫」などといったあだ名は失われない。
この症状は薬、都市などの無機物にも発症する。
そのため、この世界の道路標識は地名が消えたものがほとんどである。無機物に発症した場合、この先の段階に進むことはない。


2.顔の喪失
発症者の顔を映した写真、絵画が白紙になり、さらに誰も発症者の顔を思い出せなくなる。


3.色の喪失
発症者の体から色がなくなる。最初は色白程度だが、最終的には白黒映画のような完全なモノクロとなる。


4.影の喪失
光が発症者を透過するようになり、影がなくなる。


5.存在の喪失
発症者は最後に存在を失い、この世から消える。
その際、その人が残した文章や絵、その人に関する記述やデータなど、その人の痕跡がすべてこの世から消え、
残るものはその人のそばにいた人たちの記憶のみであり、それさえも顔や名前が思い出せない希薄なものである。


ただし人と関連があるとわかるものであり、「誰が誰について書いたのかわからない文章」などは消えない。



≪登場人物≫


少年
スーパーカブの運転手兼整備係。
少女のブレーキ役として、基本的に温厚。だがその気になれば、人の弱みを刺激することも躊躇しない。
喪失症で家族を失い消沈していた所に少女から旅をもちかけられ、二人で旅を始めた。



少女
料理の担当。
あまり深く考えて行動する方ではない。途中で本来の目的を忘れることも多く、食べすぎや飲みすぎでダウンすることもしばしば。
寝つきは早いが低血圧なので朝に弱い。寝相も悪い。さらに酒癖も悪い。
『少年の彼女』と言われたりすると慌てふためくが、「少年は自分のもの」と言っちゃうくらい好き。



スーパーカブに乗って旅を続けるこの作品の主人公達。
両者共に喪失症にかかっているが、症状としてはまだ軽い。
旅を始めて3ヶ月になる。
互いに思いを寄せているが、それ以上の進展がなく未だに友達以上恋人未満といった関係。
首都から北へ旅をはじめ、北にある島(おそらく北海道)を旅していたが、先生の提案により能登半島へと進路を変えた。
「どこに行くのか?」と尋ねると、声を揃えて、



「「世界の果てまで」」


と答えている。



道中で出会った人々
第1章 夢


取締役
若くしてある大企業の取締役社長だったが、喪失症にかかったのを機に仕事をやめて、北の島であこがれていた農作業をしている。
喪失症がかなり進行しており、イチゴが実る来年の5月まで、もたないのではないかと少年と少女は危惧している。


秘書
仕事を放り投げた取締役を追って、彼と共に農作業をしている。取締役に思いを寄せている。
喪失症にかかっているがまだ軽い。
なかなかの大食い。



第2章 翼


ボス
仲間達と共に人力グライダーを作りドーバー海峡を渡る偉業を成し遂げようとしていた青年。
仲間達が全員喪失症によっていなくなり、夢が挫折。絶望していた時に少年と少女と出会う。
少年少女が出会ったときには既に色を完全に喪失しており、喪失症の末期であった。
「ボス」というあだ名を付けたのは少女。



第3章 旅



心臓が弱く、喪失症もかなり進行している。少年と少女と同じ年頃の内気な美少女。
少年と少女の影響により、自身も旅に出る決意をする。少年から日記帳を貰い、そのお礼に、少女の前で少年にキスをした(頬に)。


先生
姫の体調を診ている養護教員。少し意地悪な性格をしている。喪失症もまだそれ程進行していない。
姫に誘われて彼女の旅に付き添う事に同意している。だが、サイドカーに乗る自分を想像して、交代でバイクに乗ることを提案している。


老人達
先生と姫のいる校舎内に住んでいる。喪失症にはかかっておらず、一様に元気で、少女にちょっかいを出す。




追記・修正、よろしくお願いします。


[#include(name=テンプレ2)]

この項目が面白かったなら……\ポチッと/
#vote3(time=600,10)

[#include(name=テンプレ3)]


  • 次巻を心待ちにしている -- 名無しさん (2014-07-25 16:53:16)
  • なんか、この記事を読んだだけで、せつなさがこみ上げて来る・・・・・・。特に、取締役のところで。 -- 名無しさん (2014-12-15 12:42:44)
  • 学校の図書室にあって読んだなぁ、単発でも違和感はそこまで無い話とはいえ新刊出て無かったのか -- 名無しさん (2023-07-24 14:06:11)

#comment

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧