登録日:2022/03/07 Mon 03:24:54
更新日:2024/06/18 Tue 10:02:21NEW!
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G15勝のライアンの娘 真女王伝説
週刊100名馬 No.73 表紙より
『ウマ娘 プリティーダービー』におけるメジロドーベルはこちら→メジロドーベル(ウマ娘 プリティーダービー)
【データ】
誕生:1994年5月6日
父:メジロライアン
母:メジロビューティー
母父:パーソロン
調教師:大久保洋
主戦騎手:吉田豊
馬主:メジロ商事
生産者:メジロ牧場
産地:伊達市
セリ取引価格 -
獲得賞金:7億3,342万円
通算成績:21戦10勝
主な勝鞍:98'エリザベス女王杯(G1)
【誕生】
1994年5月6日生まれの牝馬。父はメジロライアン、母はメジロビューティー。
馬主名義はメジロマックイーンと同じメジロ商事。
当時デビュー3年目の若手である吉田豊騎手が一貫して手綱を握った。
ドーベルの母メジロビューティーはドーベルの前年にサンデーサイレンスとの仔を出産していたのだが、同馬は出産直後に重度の黄疸を発症、輸血による処置が施されていたものの死亡したため、血液検査に出すことに。
その結果ビューティーの血液型が非常に特殊で、血液型が適合するのが日本にいる種牡馬の22%しかおらず、また父メジロライアンはその22%に含まれていなかった。しかもこの結果が発覚したのは、ビューティーがドーベルを身籠っていた時のことである。
両親の血液型が異なる場合、免疫力をつける前に母馬の乳を飲んでしまうと貧血を起こしてしまい、生命の危険があった。しかし、馬は初乳を飲むことで免疫力をつけるという性質があったため、初乳を飲まないわけにもいかない。
そこで、ドーベルは出産を控えていた別の牝馬から初乳を貰うことで何とか事なきを得た。
かくして無事に誕生したドーベルだが、1995年の初頭に骨折。かなりの重症だったが、社台ファームの獣医師の協力を受けて手術が行なわれ、無事成功している。
生い立ちから神様飛ばしすぎと言われてもおかしくない。
生まれのメジロ牧場もまた、マックイーンやライアン、パーマーら1987年生まれの世代から不振の時期が続いており、改革が行なわれていた。
メジロドーベルやメジロブライトはその最初の世代だった。
【戦歴】
1996年7月13日の新潟競馬場の3歳新馬戦芝1000mでデビュー。
新馬戦を勝利し、4戦3勝で迎えた阪神3歳牝馬ステークス*1。当日はデイリー杯3歳ステークス(当時)でメジロブライトを5馬身差で下したシーキングザパールが1.5倍の1番人気となっており、ドーベルはそれに次ぐ5.8倍の2番人気に。
第3コーナーから進出を開始し、シーキングザパールが伸びを欠く中直線で抜け出し、2着に2馬身つけての勝利。吉田豊騎手も重賞初勝利をGIで果たすこととなる。
走破タイム1分34秒6は前年のレコードを0.1秒更新していたほか、関東馬の優勝はメジロラモーヌ以来の快挙となった。
1997年は桜花賞の前哨戦・チューリップ賞から始動するも折り合いがつかず3着。本番の桜花賞は後方からレースを進め、直線から追い込むも先に抜け出したキョウエイマーチに4馬身差の2着に。
続く優駿牝馬もキョウエイマーチとメジロドーベルで人気を二分し、ドーベルは3.4倍の2番人気。
押し出されるように先頭に立ったキョウエイマーチとは逆に後方からレースを進め、また折り合いがついたこともあり、最終直線からど真ん中を突き破ると2着に2馬身半の差をつけて勝利。一方キョウエイマーチは距離適性の問題か11着と惨敗。
これにより父メジロライアンが為しえなかったクラシック級競争初制覇となった。
夏の休養を挟み、オールカマー1着を経て最終戦・秋華賞へ。
キョウエイマーチとメジロドーベル、そしてNHKマイルカップを制したシーキングザパール*2の3強を形成。
……と思われたが、シーキングザパールが気管の疾病で出走回避したため、再びメジロドーベル・キョウエイマーチの対決に。
最終直線で抜け出したキョウエイマーチをラスト100mのところで捉え、2馬身半つけて勝利。
なおキョウエイマーチはこれ以降スプリント路線に舵を切ったため、ドーベルとの対決はこれが最後となった。
年末の有馬記念のファン投票では、エアグルーヴ、バブルガムフェローに次ぐ第3位に推される。
バブルガムフェローは出走を回避し、マーベラスサンデー、エアグルーヴに次ぐ3番人気でレースを迎え、レースは中団を追走。最終コーナーで先団に進出するも直線での伸びを欠き、シルクジャスティスの8着と惨敗。
しかし最優秀4歳牝馬及び最優秀父内国産馬のタイトルを獲得。
翌1998年は産経大阪杯から始動し、年度代表馬エアグルーヴと顔合わせ。
苦手とするスローペースや、最終直線で進路を失うアクシデントもあったが、エアグルーヴに3/4馬身差の2着。
目黒記念では5着、宝塚記念では覚醒したサイレンススズカの5着に敗れ、休養に入る。
函館で調整を重ね、府中牝馬ステークスを勝利しエリザベス女王杯へ。
このレースを「ジャパンカップへのステップレース」と位置付けるエアグルーヴ*3も出走しており、ドーベルは4.6倍の2番人気に推される。
レースは苦手とするスローペースで進み、折り合いがつかないタイミングもあったが、徐々に落ち着きを取り戻すと最終コーナーでラチ沿いに抜け出し、
2着ランフォザドリームに1馬身1/4、3着エアグルーヴとはそこからさらに3/4馬身差をつけて勝利。
牝馬としては史上初のG1競走4勝となったほか、上がり3Fが33秒5という当時としては破格のタイムを叩き出していた。
有馬記念にはまたしてもファン投票3位に選出され出走するも折り合いを欠いてしまい、グラスワンダーの9着と見せ場なく惨敗。
しかしエアグルーヴや日本馬初の海外G1を勝利したシーキングザパールを抑えて最優秀5歳以上牝馬に選出された。
1999年は中山牝馬ステークスから始動。楽な顔ぶれと思われていたが斤量差5.5kgが響いたのか9番人気ナリタルナパークの2着。しかもこの後負傷が発覚し、長期療養へ。
復帰戦は毎日王冠に出走するも6着。しかし調整を重ねていくうちに調子は上向いていき、次戦エリザベス女王杯出走時には前年以上にまで整っていた。
追う立場から追われる立場となったエリザベス女王杯。1番人気を前年の二冠牝馬ファレノプシスに譲り、ドーベルは2番人気。
3番人気にはファレノプシスと同期でオークス馬エリモエクセルが入り、「3強」の構図となった。
レースはスローペースで展開。最終600m付近で他馬と接触するなどで攻めあぐねていたファレノプシスとエリモエクセルを抑えて抜け出すと、追い込む後続を3/4馬身抑えて勝利。
史上初のエリザベス女王杯連覇であるとともに、牝馬G1の勝利数を5に更新。全体で見ても「皇帝」シンボリルドルフの7勝に次いで、ナリタブライアンと並ぶ2位タイ(当時)につけた。
当初は有馬記念への出走も検討されていたが、有終の美を飾れたとして出走せず、引退。通算戦績は21戦10勝。
年度表彰では前年に続き最優秀5歳以上牝馬のタイトルを獲得。史上初の4年連続年度代表表彰を受けた馬となったほか、2000年にJRA主催の「20世紀の名馬大投票」では19位に選出された。
上記の通り牝馬として史上初のGI5勝、4年連続JRA賞受賞と非常に優れた実績を残した名馬であるのだが、いかんせん牡馬混合戦だとてんでダメだったのが尾を引いているのか過小評価されてしまうことも多い。
GI2勝ながら牡馬とも互角にやりあって生涯安定した成績を残し続けたエアグルーヴの方が格上と見るファンもいる。
勝った時の走りを見るに「牡馬相手だと勝てない実力」とは思えないのだが…。
【引退後】
引退後は繁殖牝馬入り。
現役時代に活躍した事からドーベルは大きな期待をかけられ、サンデーサイレンスやスペシャルウィーク、アグネスタキオン、キングカメハメハにディープインパクトといった大物種牡馬とも交配されたが、直仔に目立った活躍馬は出ず。
2011年4月には業績不振からメジロ牧場が解散すると、設備を引き継いだレイクヴィラファームに繋養されることに。
2016年に繁殖牝馬も引退すると、その後は離乳した当歳馬を率いるリードホース*4として活動。
2018年には函館競馬場でお披露目式も行われ、2017年12月の落馬事故で長期療養中だった吉田豊騎手も駆け付けた。
2023年9月現在も存命。
レイクヴィラファームのリードホースとして引き続き活動しているが、老齢ということもあって冬季は別の馬とリードホースを交代するようになった。
2021年からは、産駒で騙馬となったホウオウドリーム*5がその任を担っている。
2022年8月にタイキシャトルが死去した為、現在この世代のGⅠホースで存命なのはメジロドーベルのみ。
これからも長生きしつつ、牧場にいる仔馬たちの成長を見守り続けてほしいものである。
余談だが、すっかり老成したドーベルのことを、ファンやレイクヴィラファームのスタッフは「姐さん」と呼んで敬っている。ネットではレイクヴィラファームの生い立ちから「ネオメジロ総帥」と呼ぶ声もあるが
【創作作品での登場】
雰囲気はクールビューティーだがあがり症の乙女で、「混合戦で振るわなかった」せいか男性が苦手な設定に。
アプリではプレイヤーの性別設定でしばしば会話内容が様変わりするという気合が入った仕様でそれを強く印象付けてくる。逆に混合戦で暴れてたのに馬っ気出したヤツのせいか男嫌い設定だったエアグルーヴの方は無かったことになったが。
エアグルーヴに対してはカッコいい先輩として憧れているという設定。
「メジロ家」の一員としての出番に加えて、父のライアンや同期のブライトもウマ娘化されているため、そこの絡みも多い。
更に余談だが、史実で交配した種牡馬のウマ娘化率が妙に高い*6。
【余談】
主戦騎手・吉田豊
メジロドーベルの主戦で『東の豊』*7こと吉田豊騎手はなにかと面白エピソードや癖がある人物で例を挙げると
- 競馬学校の学生だった時代、寮長だった渡辺薫彦以外の同期全員とお菓子買いに脱走し大目玉を食らった。
- パチンコ好き。ある時パチンコ屋で台を打っていた所、自分の打っていた台があまりに当たらないことに腹を立て、店に許可を取り弁償も約束した上で台を破壊した。
- 更に麻雀・競輪好きでもあり競輪は佐賀競馬配信にゲスト出演した幸に暴露された。
- 「世界の矢作*8」「帽子の男*9」の異名を持つ関西の名伯楽・矢作芳人調教師*10とは、矢作師が調教助手だった頃からの付き合い。矢作師が技術調教師だった頃にドバイ遠征に行った際には、飛行機代やホテル代を自費で出して矢作師をドバイに招待した。その恩もあって2022年中山記念からパンサラッサの騎乗を矢作師から依頼され、同馬と共にドバイターフ、そして日本馬初のサウジカップ制覇を成し遂げた。
- 天才と謳われながらも数々の問題によってJRAから追い出され、競馬関与禁止処分が言い渡されている田原成貴(元騎手・調教師、現競馬評論家*11)と接点がある。*12
- 実弟の吉田隼人もJRA騎手であり、ユキチャンの初期の手綱を握ったり、ソダシを白毛馬初のG1馬に導くなど、白毛馬に縁がある。
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▷ コメント欄
- ネオメジロ総帥。メジロハマーン様か -- 名無しさん (2022-03-07 13:05:36)
- 2020年の時にドーベル馬房生放送があったけど、隠しカメラなのかドーベルは始終ケツからカメラに面しているせつ盗撮な感じが半端ない -- 名無しさん (2022-03-07 20:06:30)
- 轟轟轟ブランドとポーズが似てるとか言われててちょっと笑った -- 名無しさん (2022-03-08 13:21:10)
- 史上最も女王と言うにふさわしい存在の牝馬でしたね -- 名無しさん (2022-03-08 13:23:09)
- 種付け嫌いだったスペが2回戦を求めた程の名牝ってのは割と有名な話らしいな -- 名無しさん (2022-03-08 17:46:09)
- 牡牝混合のG1レースでは全く走らなかったから、極度の牡嫌いなんだなと思ってた。 -- 名無しさん (2022-03-08 19:01:25)
- 98年は日経新春杯からでは?まあ自分もアレ(8着惨敗、オマケに似合わない黒メンコ)は忘れたい黒歴史だけど -- 名無しさん (2022-03-08 23:58:02)
- ↑4 よっぽど体の相性がよかったのかな -- 名無しさん (2022-03-09 00:10:10)
- そういえば父ライアンとの絡み話って聞いたことないな。ライアンも晩年はレイクヴィラだったんだから少しくらい逢わせてあげても良かった気が。 -- 名無しさん (2022-03-09 11:31:05)
- 「エアグルーヴとはレースセンスの差で負けていただけであって、実力が劣っていたわけではない」「可能であればマイルがベストの馬なのでその距離でなら牡馬ともいい勝負が出来ただろう」というのも結果論というか机上の空論に過ぎないのだろうか? -- 名無しさん (2022-03-09 19:37:32)
- ここまで大久保洋吉の名前なし -- 名無しさん (2022-03-11 22:36:06)
- シャトルが逝ってしまった今、97世代最後の生き残りになってしまった... -- 名無しさん (2022-09-18 09:59:25)
#comment(striction)
*2 マル外のため、桜花賞と牝馬優駿には出走できなかった
*3 当初鞍上は武豊が務めるはずだったのだが、アドマイヤベガの新馬戦で斜行降着により騎乗停止処分を受けたため横山典弘が代役を務めた。なおこの2週間前がサイレンススズカの「沈黙の日曜日」である
*4 子馬の群れを見るリーダー的な役割を担う馬のこと。人間で言うところの保育士に近い仕事をする。
*5 父ルーラーシップ
*6 9頭のうち、実装済みの馬が5頭、実装予定だったとされる馬が2頭、明言はされていないが存在が示唆されている馬が1頭
*7 同じ名前の武豊は栗東所属に対し彼は美浦所属のためこう呼ばれることがある
*8 海外遠征に積極的かつ多くの実績を残してきたことから。
*9 メディアに登場する際、よくつば付き帽子を着用した姿で出演することから。
*10 主な管理馬はリスグラシュー、コントレイル、ラブズオンリーユー、マルシュロレーヌ、パンサラッサなど。
*11 東京スポーツ所属。ちなみに田原の処分は無期限のため、予想に必要な情報は田原の指示を受けた東スポの記者がトレセンなどに出向いて取集している。
*12 ただし彼のように田原と交流したいと思っている人は少なくないようで、2023年調教師を引退した池添騎手の父・池添兼雄氏は引退後彼とゴルフ出来るのを楽しみにしていたという。ちなみに幸は田原とは兄弟弟子の関係で、田原が競馬界に居た頃は何かと面倒を見て貰っていた。他にも田原の調教師時代に管理馬に乗っていた岩田康誠騎手はyoutubeでの田原の配信を見て別動画に出演した際にそれに関するコメントを返したり、福永祐一と四位洋文(いずれも元騎手・現調教師)が対談の際に騎手生活末期の田原に言及したりと、JRA関係者が間接的に田原に言及することは現在もちょくちょくある。
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