黒曜石の火心/Obsidian Fireheart(MtG)

ページ名:黒曜石の火心_Obsidian Fireheart_MtG_

登録日:2011/03/27(日) 20:02:26
更新日:2023/11/20 Mon 10:56:52NEW!
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mtg 黒曜石 燃え 神話レア 安い 強い 優秀 良カード 放火 黒歴史 4/4 猛火カウンター 火の心 燃え続ける フレーバーテキスト ←ではなくて効果の説明



黒曜石の火心は、Magic the Gatheringのゼンディカーで登場した神話レアのクリーチャーである。



黒曜石の火心/Obsidian Fireheart (1)(赤)(赤)(赤)
クリーチャー - エレメンタル
(1)(赤)(赤):猛火カウンターが置かれていない土地1つを対象とし、その上に猛火カウンターを1個置く。その土地の上に猛火カウンターが置かれている限り、それは「あなたのアップキープの開始時に、この土地はあなたに1点のダメージを与える。」を持つ。(この土地は、黒曜石の火心が戦場を離れた後も燃え続ける。)
4/4



色拘束が強く、赤いデッキ以外ではほぼ使え無いが、4マナ4/4という赤にしては珍しく、極めて優秀なクリーチャースペックを誇る。



能力はバーン効果。
カウンターを相手の土地に乗せる事で、相手のアップキープ時にダメージを与える。
相手にしてみれば、自分の土地から発生するダメージの為、非常に対処し難い。


与えるダメージは一つにつき1点と微々たるものだが、毎ターンカウンターを一つ増やしていくだけで、大体5ターンくらいで相手を殺せる。



地味に一つの土地に一個しかカウンターが乗らない為、あくまでも土地一個は1点のダメージとなる為、自分で土地を破壊するのも躊躇われる。





特筆すべきは


(この土地は、黒曜石の火心が戦場を離れた後も燃え続ける。)


このテキスト。
フレーバーテキストではありません。


土地が燃えます


言おうとしている事は分かる。


『猛火カウンターの乗っている土地は黒曜石の火心が、戦場から離れても「あなたのアップキープの開始時に、この土地はあなたに1点のダメージを与える。」を失わない。』


って事だろ


イメージ優先で書かれたと思われるが、もうちょっと書き方ってもんがあると思う。
が燃えたらヤバいだろ。
アカデミーが燃えたらただの火事だ。
平地が燃えたらそれは「野火」って別カードだ。
ヴァラクート?これ以上噴火させてどうする?
海に沈んだ都市に至ってはそもそもどうやったら燃やせるんだ。


しかし、この能力は優秀である事は間違いない。


クリーチャーやアーティファクトなどの場に存在するダメージソースは場から離れたら、効果が無くなるのが普通である。
しかし、コイツは無くならない。


ある意味では『紋章』に近いシステムである。


故に、黒や青などのコントロール系デッキと戦っている時に、一度でも能力を起動出来ればそれだけで相手にとっては致命傷になりかねない。


現在の環境を支配しているジェイスコントロールデッキ達にも強い。



コントロール側にしてみれば赤には火力呪文を筆頭にカウンターしたいカードがあり、


「所詮は赤の4/4クリーチャーだろ、カウンターが勿体ないぜ!ジェイスでバウンスしてしまえばお終いだぜ!。HAHAHA!」


と侮って通してしまい、一度でも能力を起動されると途端につらくなる。
何度か能力を起動されてしまえば発狂モノである。


事実、筆者は発狂した。


自分の土地が燃えるのである。たまったものじゃない。
刻一刻とダメージを与えられ、明確に死(敗北)が近づいてくるのである。


他でも無い自分の土地によって!





テキストがカオスだからといって弱い訳では無い。


赤は戦いの中盤は、マナが余りがちになる。
相手ターン中にやる事はせいぜい稲妻を飛ばすくらいのもの。
ましてカウンターを構える訳では無いので、赤はスライ的な発想が大事である。


このカードは余ったマナを永続的なダメージに変える事が出来る優秀な能力である。




メイン投入しても腐らない能力、コントロールにも強く、4マナ4/4というビートにも強いという、汎用性が高く使いやすい優秀なカードである。



しかし、このカードはさほど使用されない。
理由は、


  • 色拘束が重い
  • 赤の4マナ帯には槌のコスや峠の英雄、などの優秀なカードがある。
  • ボードアドバンテージに直結しない。
  • ウィニーなどに無力
  • 土地が燃える?ヴァラクートじゃないの?

などがあげられる。




ちなみにこのカード。神話レアにも関わらず安い。
シングル販売が200円切っているところもあるほど安い。


ジェイス一枚で50枚くらい買える。



が、値段と強さが直結しないのがMtGの面白いところである。




一応、コイツの効果によって乗った猛火カウンターでしかダメージは発生しないので注意。



(この項目は、wiki篭もりがアニヲタを離れた後も追記・編集し続ける。)




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……というのが、発売当時からあまり編集されていないこのカードの記事である。


ただこの時期にスタンダードをプレイしていた人間としてはこのカードは別段強くないし優秀でもない
というのもこの時期のスタンダードは相当な大魔境だった。


  • 除去が乱れ飛んでいた

アラーラ~ミラディンの傷跡時代は除去の梁山泊と言えるレベルであり、クリーチャーというのはよほど優秀な仕事をしないと弱い時代。
ほぼ同期の《悪斬の天使》はミラディンの傷跡時代になると「出してすぐに仕事をしない」という評価に落ちぶれていたが、
それだって出した次のターンに仕事を始める(一応ライフ回復を持つ壁としての仕事は出したターンにもできる)のである。
ところでこのカードは4マナで出して次のターンに3マナを支払ってようやく土地に火をつけられて、その火が燃え始めるのがさらに次のターン。
つまり2ターン後に仕事を始めるというクッソ重いカードであり、1~2ターン生き延びてもらわないとそもそも役割を果たせない。
他にも「能力目当てで採用するカードなのに能力を起動する前にバウンスされるとまったく仕事をできない=バウンスにかなり弱い」など、当時のクリーチャーとしては致命的な弱点が多い。


  • 合うデッキがまったくなかった

この時期の赤単といえば《稲妻》の再録でミラージュ時代の再来と言えるレベルで赤単の軽量カードが優秀だった。
このカードは出すのに4マナ、能力を使うのに3マナ、その次のターンからようやく1点ダメージを与えるようになる。ぶっちゃけ高速道路に三輪車で来るようなレベルの愚行
アラーラの断片~ゼンディカー時代といえば、3色土地があるので3色以上のグッドスタッフデッキが多く、特に「続唱ジャンド」は恐ろしいほどにアドバンテージを稼いでくる。
このカードは出したところでまったくアドバンテージを稼がないどころか、「3マナ支払ってようやく仕事が始まる」「色拘束がやたら強くて出すのも難しい」。多色デッキでこのカードを運用したがるのは、シェーキーズに寿司を求めるレベルの愚行である。
つまりこのカードはデッキの方向性が合うデッキがまったくないのだ。
一応《地層の鎌》というカードを用いた中速赤単に採用されることはあったが、それだって必須枠といえるほどではないし、このデッキを覚えている人間が非常に少ないことからもお察しである。
プロテクション(赤)がいても能力で攻撃を通せる?ご冗談、そんなことしてたら《悪斬の天使》みたいなもっとヤバいの出すまでの時間稼がれるだけだ。あの時期の赤がプロテク相手にできることは文字通り祈ることだけだ*1*2
確かにこのカードは「継続的なダメージ源を提供する」という独特な役割はあるが、色拘束に見合わないのである。


  • ほかに強いカードがいくらでもあった

赤単で使うことを考えても、たとえば当時のジャンド・ナヤ対策に《消しえる火》というカードがある。4マナでプレイヤーに6点与えられるという強烈なカードだ。
《チャンドラ・ナラー》は5マナと重いが、+1能力を使えば相手のライフに圧をかけながら奥義の存在で相手に対処を迫れるし、-X能力を使えば除去としても使える。
同じく5マナの《包囲攻撃の司令官》は出したターンにゴブリンを3体並べるのでその時点でもうある程度仕事を終えてしまう。
さらにエルドラージ覚醒で登場した《カルガの竜王》は元手が軽いし、余ったマナを注ぎ込んでいけばどんどん強くなっていく。
こういったカードと比較するとどうしても様々な点が見劣りしてしまい、カードを採用する理由がほとんどない。
他の色のことを考えると、4マナ域に限っても《遍歴の騎士、エルズペス》《野生語りのガラク》《血編み髪のエルフ》《精神を刻む者、ジェイス》など優秀な連中がそろい踏みしており、
それらに負けないような仕事をすることが求められる。ミラディンの傷跡以降のことは言うまでもないだろう。


  • 「コントロール相手に強い」というのが幻想だった

上述の説明には「青や黒相手に一度でも起動できれば致命傷」と書いてあるが、これが完全に幻想である。
確かに額面上はコントロール相手に強いのだが、この時期はMTGの歴史上でも稀にみるレベルで青が弱かった*3
そのためコントロールデッキは「タップアウトコントロール」という、強力なカードを次々と展開したり相手のカードを徹底的に除去して「インスタントをあまり構えない」タイプのデッキが多かった。
そしてそういったデッキは、出しただけでライフを回復できる隠れ家サイクルや《カビーラの交差路》を出されるとそれだけで燃やした分を数回分帳消しにされてしまう。
このカードがよしんばうまく回って土地が毎ターン3つ燃え続けるようになったとしても、《悪斬の天使》のようにそれ以上のライフを回復してくるカードがあったらまったく意味がない。
つまりプレイヤーが頭の中で想像するほどうまくハマる仮想敵がいなかったのである。


  • 他のカードとのシナジーがまるで見込めなかった

これが一番大事なんだけど、こんな弱点が多いくせに他のカードと一切シナジーしないのである。
たとえばLvアップクリーチャーや《墨蛾の生息地》《ファイレクシアの十字軍》《黒の太陽の頂点》などは「増殖」とシナジーを持つ。こういったシナジー重点のカードは使っていても楽しいし、爆発力も随一だ。
しかしこのカードにはそういったものが一切ないので、なおのこと「単体で仕事をすること」が求められた。土地の上の猛火カウンターをいくつ増やしても、与えられるダメージは1点だしね。



つまりこのカード、別にさっぱり強くないのである。
確かに複数回起動できれば強いのだが、それを許してもらえるようなゆったりした時代ではなかった。
上述の評価を読んだとき、特に「発狂した」という文章を読んだときにスタンダード時代の赤を握っていた編集者が思ったことは


「そりゃ侮って複数回起動させたら発狂するわ、この理屈なら《ニッサ・レヴェイン》だって立派に強いよ」


である。
200円というのも一般的には当時の神話レアの最安値*4であり、ぶっちゃけ同時期に収録された《巣穴の煽動者》の方がレガシー実績がある分優秀とすら言えた。



一応擁護すると、能力自体は弱いわけではない。
この時期のスタンダードの赤にはドローなんて存在しなかった。そのためマナフラッドを起こした時のマナの注ぎ先があると安心だったのだが、《黒曜石の火心》はその役割を見事に果たしてくれる。
また、無色かつ「自分のターンの開始時」のダメージ源なので防ぎようがないというのもある。うまいこと火をつけられれば、確かに対戦相手は発狂とまではいかずとも苦戦は必至だろう。
最近ではトーナメント実績のある《目覚めた猛火、チャンドラ》の+2能力で相手に与える紋章がこれと同じような機能を持っている。あの能力に苦戦したプレイヤーも多いのではないだろうか。この能力も弱いわけではない。


だが問題は、たとえば《悪斬の天使》を出されたら赤は発狂する間もなく悶死するし、《コーの火歩き》を出されたらその時点で赤は発狂する。相性差がそれくらいえげつない時代だったのである。
《目覚めた猛火、チャンドラ》の紋章が強いと言ったって、あちらは一切マナを食わず、さらにチャンドラ自身を固くしながら使える「詰め」の能力である。もちろん他の仕事もできるし環境にも合致している。
こちらはマナをやたら食う。しかも色拘束も非常にきつい。環境にまったく合っていなかった。ぶっちゃけチャンドラが強いからこっちも強いはずという意見は、タイヤとドーナツを同一視するようなレベルの愚行なのだ。



ついでに言うと「燃え続ける。」という注釈文も、当時にしたって別にまったく珍しい効果ではない
確かにこのカードの機能をうまく示した名文ではあるが、《エイヴンの擬態術士》《水銀の泉》のように本体が離れても機能し続けるカードはすでに複数存在していた。特にエイヴンの方はスタンダードで同時期に使われ、トーナメント実績もあるカードだ。
このカードの注釈文のせいで、注釈文のないこれらのカードは「本体が離れたら機能を失うのでは?だって機能を失う《成金、グヮファ・ハジード》に注釈はないし、火心にはよく目立つ注釈文があるじゃないか」という疑問のやり玉に挙げられるなど、
むしろこの注釈文のせいで他のカードの機能が疑問視されることになってしまったのだ。
これは当時ちゃんとプレイしていないと分からないことだろう。テキストがカオスというより、テキストの外でカオスをもたらしたという方が正しい。



トーナメントの採用実績がないというより、「燃え続ける」という物珍しい注釈文以外は見るべきところのないごくごくありふれたカード
これがなかったら《大巨人のスフィンクス》とか《ヘルカイトの突撃者》みたいに、テキストどころか名前すら覚えられずに忘れられていくだけのカードだったはずだ。
そしてこの「燃え続ける」という注釈文にしても、「ルール文章(厳密には注釈文)をフレーバー・テキスト扱いするな」とか「別に継続するってこと書いてるだけじゃん?これが面白いの?」とか思う人もいるわけで、
筆者も当時の友人(MTGをプレイしていなかった)に話したところ「なんかめんどくさい文章のゲームなんだね」と逆に顔をしかめられた。
《黒曜石の火心》で検索しても今や安売りされている通販サイトくらいしかヒットしないし、当時からしても存在を忘れられる類だ。



つまり別に強くないし、それ以外の点だって諸手を挙げて面白がられたカードというわけではない。
その後にこの手の「フレーバー・テキスト風の注釈文」を持つカードがほぼない*5ことを考えても、この試みは失敗に終わったと言えるだろう。
しかしライトなアニヲタ彼らが残したカジュアルな記録もまた、標として残しておくべきことかもしれない*6
こういう風にライトなプレイヤーがあることないことで楽しむのもまたTCGの、そしてアニヲタwikiの楽しみ方なのだから。




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  • フレーバーテキストにしても問題ない響き>土地は燃え続ける -- 名無しさん (2014-04-25 01:08:58)
  • トップメタじゃないし4枚積むカードでもない(4マナはこの手のデッキじゃ重い)けど優秀であることには変わりない -- 名無しさん (2016-06-29 09:41:19)
  • 個人的には注釈文が無い方がかっこよかったと思う -- 名無しさん (2016-07-16 11:25:04)
  • 基本セット2020の目覚めた猛火、チャンドラの紋章はかなりイメージ近い感じ -- 名無しさん (2019-12-07 22:14:32)

#comment

*1 出されたら負けるのでその前に殺せることを祈る。そして出されたら負けを覚悟しながら弱い対策カードを使う……という意味。冗談のように聞こえるだろうが、この時期の赤単はそういうデッキである。
*2 当時の赤単は清水直樹氏が公式サイトで赤をさんざんバカにしたり、晴れる屋サイトの前身であるhappymtgで「掲載されるデッキに《稲妻》すら入っていないのにデッキ名に「赤単バーン」という名前をつける」ことが流行するなど、上級者にものすごく侮蔑されていた。そのため赤単の研究がそんなに進まなかったというのもある。貧乏デッキだし白の適当なカード出すだけでビタ止まりするからしょうがないんだけどね。モダンで赤が実績を残し始めるまでの「赤をあからさまに格下に見る空気」は経験していないと分からないだろう。
*3 時のらせん~ローウィンで青が異様に強すぎた反動。特にローウィンが落ちてワールドウェイクが出る前の3ヶ月間の青は長いMTG史の中でも頭一つとびぬけて弱い時期で、それをたった1枚で支えたのが《精神を刻む者、ジェイス》だった。ジェイスの法外な高額化は実はこういった事情にも反映されている。
*4 神話レアというレアリティ自体が特別視されていたことからご祝儀価格ビジネスが成り立っていた。
*5 召集の「助けになる」くらいだろうか?
*6 この時期…というかオデッセイ~イニストラードあたりまでだろうか、そういった時期は「カジュアルにMTGを遊ぶ」というのが不当なレベルで見下されており、「大会運営側のミスで勝利扱いになったことを美談として扱う公式記事」なんていうのもあったほどである。そんな時代にカジュアルで遊んでいた記録なんてなかなか残るわけがなく、これがカジュアルに遊ぶフォーマットとしてEDHが考案されたことにもつながってくる。

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