キングカメハメハ

ページ名:キングカメハメハ

登録日:2012/01/07(土) 12:54:37
更新日:2023/08/08 Tue 16:55:22NEW!
所要時間:約 16 分で読めます



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競走馬 種牡馬 競馬 サラブレッド 変則二冠 g1馬 リア充 ←種付け料的な意味で ←一発600万 キングカメハメハ 夢の第11レース 04年クラシック世代 ダービー馬 最強の大王 安藤勝己 ロードカナロア アパパネ ドゥラメンテ 金子真人 持込馬 松田国英 鹿毛 キングマンボ産駒 死のダービー 屈腱炎 リーディングサイアー 故馬





大王、降臨。


ヒーロー列伝No.58より




キングカメハメハとは、日本の元競走馬、種牡馬である。
NHKマイルカップと東京優駿(日本ダービー)の双方を制した史上初の「変則二冠馬」であり、種牡馬としても大成した。




【データ】


生誕:2001年3月8日
死没:2019年8月9日(18歳没)
父:Kingmambo
母:マンファス
母父:Last Tycoon
生産者:ノーザンファーム
馬主:金子真人
調教師:松田国英(栗東)
主戦騎手:安藤勝己
生涯成績:8戦7勝[7-0-1-0]
獲得賞金:4億2973万3000円
主な勝鞍:'04年NHKマイルカップ、'04年東京優駿


【誕生】


キングカメハメハは母馬が妊娠した状態で日本へ輸入され、日本国内で出産された「持込馬」として生まれた。
ちなみに日本で活躍した持込馬としては古くはマルゼンスキーが、キングカメハメハ以降だとエイシンフラッシュが有名である。


父は大種牡馬ミスタープロスペクターの仔で、G1を10勝したミエスクを母に持ち、自身もフランスのG1を3勝している超良血馬。日本で活躍した産駒にはエルコンドルパサーがいる。後に、孫に当たるエイシンフラッシュも国内で活躍した。
母は未勝利だが、キングカメハメハ以前にもサンタアニタダービー馬を出している名繁殖牝馬である。


当時の日本ではまだ馴染みの薄いミスタープロスペクター系であり、サンデーサイレンスの血も持っていなかったため、
後述の事情もあって生まれたときからすでに種牡馬としての活躍まで期待されていたという。


セレクトセールに上場され、8190万円で日本最強の個人馬主こと金子真人氏*1が落札。
預託先は松田国英厩舎が選ばれた。
松田国英師は競走馬に対し繁殖としての生活まで意識した管理を行うことで有名であり、同師の元に預けられたことがキングカメハメハの運命を大きく左右することとなる。


【デビュー】


秋の京都競馬場でデビューし、新馬戦を快勝。その後のエリカ賞も勝利し、競走馬として上々のスタートを切る。
しかし、好事魔多し。
年明け初戦の京成杯(G3)ではマイネルマクロスの逃げを捉えられず、フォーカルポイントにも置いてけぼりにされるという屈辱的な敗北を喫してしまう。


この結果を受け、陣営はキングカメハメハに中山競馬場は向かないと認識。
厳しい調教を開始するとともに、春からの路線変更を決断する。


【路線変更】


ここからは少々ディープな話になる。
日本の競馬は中長距離……すなわち2000m以上のレースを重視しており、クラシックと言われる3歳牡馬の王道路線は
すべて2000m以上の距離に設定されている。*2
特に東京優駿(日本ダービー)世代頂上決戦・競馬に携わる人間すべての夢・競馬の祭典とまで言われるレースであり、
ある程度期待されている馬ならとりあえずクラシック路線を進むのが一般的である。
3歳馬には裏街道としてNHKマイルカップを中心としたマイル路線もあるのだが、明らかな短距離馬でもなければ積極的にこちらを選ぶ理由はなく、
クラシックに出られない負け組集団と揶揄する向きも未だ根強い。


さて、春のクラシックは中山2000mの皐月賞、そして東京2400mの東京優駿である。
前述したとおり、キングカメハメハに中山競馬場は向かない。つまり皐月賞は諦めるということになる。
一方で、キングカメハメハはKingmanboの血を引いている。Kingmanboは欧州のマイルG1を3勝しており、
キングカメハメハも本質的には短距離向きの馬であると予想される。
東京1600mで行われるNHKマイルカップに出走すれば、好結果を出すことは疑いない。


中山以外のステップレースを使って東京優駿に挑むか、潔くマイル路線に切り替えるか。
しかし、そこは競走馬の繁殖生活まで意識した管理を行う松田国英師である。
キングカメハメハが種牡馬として成功できるよう、最大限の配慮をもって春からの方針を決定した。



NHKマイルカップと


東京優駿を


両方とも制覇する!



………(゜Д゜)


マイルのG1と中距離王道路線のG1。その両方を勝てば、確かに種牡馬としての評価は圧倒的に高まるだろう。*3
しかしどう考えても無茶である。
同じ東京開催のレースとはいえ、走る距離は800mも違う。求められる適性も異なる。
しかも、それぞれの路線の頂点を狙い、必勝を期してメイチの仕上げで臨んでくるライバルたちを相手に、自分だけ中2週というハードなスケジュールで挑まねばならないのだ。
実際松田厩舎からはかつてクロフネがNHKマイルカップを手土産にダービーに向かうも5着に沈み、
皐月賞→マイルカップ→ダービーというもっとハードな日程を組んだタニノギムレットは3着・3着・1着という結果だった*4



その挑戦を、誰もが無謀と思った……


【最強の大王】




『誰が乗っても、勝てる馬だった』

―――― 安藤勝己



敗戦から1ヶ月間を空け、阪神開催のすみれS(OP)と毎日杯(G3)を連勝。(なお、回避した皐月賞を制したのはダイワメジャー)
予定通りNHKマイルカップに出走する。
当日は水を含んだ馬場だったがまるで意に介さず激走し、2着コスモサンビームに5馬身差の圧勝
高いスピード能力を示すとともに、「こいつやっぱりマイラーじゃね?」との評価を得る。


そして迎えた東京優駿。
NHKマイルカップの勝ちっぷりから2400mへの適性を疑問視する声もあり、最終的には2倍台の1番人気となった。
レースでは因縁のマイネルマクロスがまたも爆走。
前半1000mを57秒台という殺人的なラップを刻んだが、キングカメハメハは動じることなく後方に待機。
直線で外に持ち出し、坂の入口で早くも先頭に立つ。
最後はハーツクライの追い込みを退け、レコードタイムでの勝利



「今、最強の大王が降臨した!キングカメハメハ強し!

今、最強の大王が府中のターフに舞い降りました!」


──2004年東京優駿実況(三宅正治)



松田国英師のプランを完遂するとともに、鞍上のアンカツこと安藤勝己にダービージョッキーの称号をプレゼントした。
安藤騎手は今でもこの馬にはかなり思い入れがあるようで、とあるインタビューでは歴代最強馬は何かと聞かれてキングカメハメハと答えており、本人のTwitterアカウントのヘッダー画像もキングカメハメハである。


マイルと中距離のG1…それも世代頂上決戦たるダービーを、ともに圧倒的なパフォーマンスで制覇。
まさしく世代の頂点に座すに相応しい最強の大王である。



……しかし、激走の代償はあまりに大きかった。



天皇賞(秋)へ向けてまずは神戸新聞杯(G2)を快勝したが、直後に屈腱炎を発症。
古馬戦を迎えることなく競走馬を引退し、種牡馬入りすることとなった。やっぱり松国タイマーからは逃れられなかったよ…
この超高速決着となったダービーは、4着キョウワスプレンダ・11着フォーカルポイント・12着コスモサンビーム・13着マイネルデュプレが故障で長期離脱(コスモサンビームは後に心臓麻痺で急死)、16着マイネルマクロスが屈腱炎を発症し引退、マイネルブルックは最後の直線で脱臼して競走中止・予後不良、3着ハイアーゲームもこれ以降一気に成績が低迷という死屍累々の様相を呈しており、勝ったキングカメハメハすらもこの結果となってしまったことから、「死のダービー」と呼ばれることとなった。


ちなみに出走馬のうちダイワメジャーは重度の喘鳴症を患って「ダメジャー」と揶揄される低迷期に入るも、手術の結果引退までG1を5勝する奇跡の復活を遂げ、
2着のハーツクライも低迷するもこちらは単なる晩成型であり、後に2004年有馬記念であのディープインパクトを打ち破るジャイアントキリングを成し遂げている。


8戦7勝、唯一敗れた1戦も馬券から外れることはなかった。
1つ下でかつ馬主が同じディープインパクトとの対決が見られなかったのは非常に惜しいところである。


【種牡馬として】


種牡馬入りにあたっては実績と血統が非常に高く評価され、社台グループの未来を背負うエースとして迎えられた。
当時の社台グループはサンデーサイレンス亡き後の競馬界を担う非サンデー系種牡馬の確保を急務としており、そのための切り札であったエルコンドルパサーやエンドスウィープは早逝し、ウォーエンブレムは栗毛フェチのロリもといミニコン特殊性癖でまるで役に立たずといった具合であったため、彼は新たな切り札として最高級の待遇で迎えられ、良質な繁殖牝馬を多く回された。
初年度はあまり大物を出せず、短距離での小銭稼ぎをメインとしていた時期もあったのだが、育成ノウハウが確立されてからは一変。
後述するがアパパネ、ロードカナロアドゥラメンテなどのG1馬を含む多くの重賞馬を輩出し、押しも押されもせぬ超一流種牡馬となった。
産駒はどちらかと言うと短距離に強い傾向があるが、ジャパンカップ馬を1頭、天皇賞(秋)馬を2頭出すなど中距離に対応出来ないわけでもない。
長距離戦線は流石に適正外と言わざるを得なかったが、直系の孫世代からは長距離GIを勝つような馬も何頭か出始めており、また直子にも長距離重賞で連対できる馬が出現し始めるなど、全くの可能性が無かった訳でもない。
また芝・ダート適性に関してはどちらでも活躍馬を出し、世代によっては後者の勝利が上回ることも。
ちなみにサンデーサイレンス以降のリーディングサイアーでサンデーサイレンスの血を引いていない種牡馬は現在のところ彼だけである。
所謂コルトサイアー、フィリーサイアーというわけでもなく、牡馬にも牝馬にも代表と言える活躍馬を多数輩出しており、それ故か後継にもかなり恵まれている。


母父としても優秀で2017年以降毎年のようにG1で勝つ馬が現れており(2021年現在)、2020年には14年連続でBMSリーディングトップに君臨していたおなじみのサンデーサイレンスからその地位を奪取した。
日本の血統表から直系、牝系問わずその名が消えることはまず無いだろう。


しかし、酷使に次ぐ酷使のためか体調はみるみるうちに悪化し、後年は種付頭数を制限せざるを得なくなった。
2019年には種付けを見送られ、そのまま惜しまれつつ種牡馬を引退。2022年クラシック世代がラストクロップとなった。
この頃には病状がかなり進行していたようで、同年8月9日に息を引き取った*5
その遺骨は、同年に急逝したディープインパクトの隣に埋葬されている。


既に孫たちも種牡馬入りし始めており、今後は最強の大王の血を受け継ぐ子孫たちの活躍に期待したいところである。


【代表的な産駒】


  • アパパネ

2年目産駒にして代表産駒その1。産駒初のG1馬にして7年ぶり史上3頭目の牝馬三冠馬であり、勝利した重賞全てがG1という生粋のG1ハンター。
阪神ジュベナイルフィリーズを制しており、2歳G1から続けて牝馬三冠を達成しているのは現状アパパネのみ。
ヴィクトリアマイルでも前世代の最強馬ブエナビスタを破っており、エリザベス女王杯を勝てば牝馬限定G1完全制覇と王手を掛けていた。
しかし、2年連続で欧州の刺客スノーフェアリーのすんごい脚に手も足も出ず3着に敗れ、翌年に屈腱炎を発症したために無念の引退となった。
繁殖牝馬としてはディープインパクト、ディープの死後は彼の兄ブラックタイドと交配しており、ディープとの間にもうけた4頭の仔はすべて勝ち上がり、その中から4番仔アカイトリノムスメが2021年にクイーンカップで産駒初の重賞制覇、続けて秋華賞で産駒初のG1制覇を達成。繁殖牝馬としても成功を収めた。


  • ルーラーシップ

2年目産駒。女帝エアグルーヴを母に持つ超良血であり、ハイレベル世代・2010年クラシック世代の一角。
とにかく出遅れが多かったゲート難であり、勝って負けてを綺麗に繰り返す「オセロ」とも揶揄される戦績を積み立てた個性派。それでも善戦や勝利してきたため、そのポテンシャルは高かったといえる。
5歳で香港のクイーンエリザベスⅡ世カップを勝利し、晴れてG1ホースとなった。
またその年には、天皇賞(秋)・ジャパンカップ・有馬記念と秋古馬三冠レースで3連続3着というミホシンザン以来の史上2頭目の珍記録も。
特にラストランとなった有馬記念でゲートオープンと同時に思いっきり立ち上がったことは、今も語り草となっている。
それでも白い方のシップと違ってしっかり馬券に食い込んできたのだから大したものである。
種牡馬としては、出遅れ癖やアクの強い一面をしっかり受け継ぎ7歳まで走り続けた菊花賞馬キセキや、コーフィールドカップ(豪)を勝ち、種牡馬としてトルコに渡った事で5代連続で違う国のG1獲得の珍記録に王手をかけたメールドグラースなどを輩出している。


  • ローズキングダム

2年目産駒。10年クラシック世代の一角で、繁殖牝馬「ローザネイ」から始まり代々薔薇の名を冠するG1善戦マンの牝系「薔薇一族」出身。
2歳で朝日杯フューチュリティステークスを勝利し、薔薇一族初のG1勝利を獲得と、デビューからいきなり快調な滑り出し。
クラシック三冠も敗れたものの好走を見せ、ジャパンカップではブエナビスタの降着により繰り上がりで優勝となった。
しかしそこで燃え尽きてしまったのか、古馬になってからは時折善戦もするものの惨敗続きに。
6歳の新潟大賞典で11着に沈んだのを最後にターフを去った。
その後ブリーダーズスタリオンステーションにて種牡馬として繋養されていたが、2018年に頭を強く打ち麻痺が残るという事故に見舞われ、そのまま種牡馬を引退。
引退後は功労馬としてヴェルサイユファームで繋養され、2002年ダービー馬のタニノギムレットたちと彼の柵破壊芸にビビりながらも仲良くやっている様子。


3年目産駒にして代表産駒その2。ロードホースクラブの代表馬でもある。
あの三冠馬オルフェーヴルの同期にして、サクラバクシンオーと双璧をなす日本最強スプリンター。2021年現在でもスプリンターズステークスのレコードホルダーである。
デビューが2歳の12月と遅めで3歳までは下積みの日々であったが、当時からその実力は示しつつあった。
迎えた4歳、高松宮記念こそ同厩の先輩のカレンチャンの3着に敗れた(翌年はしっかりリベンジした)が、主戦騎手が福永祐一から岩田康誠に交代すると快進撃が始まる。
なんとスプリンターズステークスと香港スプリントを連覇してしまったのである。
特に香港スプリントはそれまで日本の一流スプリンターが挑んでは尽く跳ね返されてきた*6ため、日本馬として初制覇どころかいきなり連覇までしたのはとんでもない快挙である。
特に引退レースとなった2年目の香港スプリントでは着差が付きづらいスプリントで5馬身差で圧勝というもう規格外としか言いようのない走りを見せた。
おまけに春のマイル王決定戦こと安田記念でも、マイラーたちを差し置いて優勝している。
2013年にはオルフェを差し置いて年度代表馬に選出され、2018年にはついにJRA顕彰馬となった。
界隈が三冠馬オルフェーヴルに沸く裏で、誰も疑わないスプリントの絶対王者として君臨した。
種牡馬としても、初年度からあのアーモンドアイに、親子2代で香港スプリント(と高松宮記念)制覇のダノンスマッシュ、マイルCS馬ステルヴィオを輩出し、
2年目も皐月賞馬サートゥルナーリアにJBCスプリント馬レッドルゼル、3年目にはドバイターフとサウジカップという海外で芝とダート双方のG1を制したパンサラッサ、5年目にNHKマイルC馬ダノンスコーピオンと、後述のドゥラメンテの夭逝も相まり後継種牡馬としての地位を確固たるものとしている。
種牡馬としては全体的にスプリンターの排出が多いものの、アーモンドアイやサートゥルナーリア、パンサラッサのような中距離馬も輩出できているあたり、父同様距離の守備範囲も繁殖牝馬次第ではかなり効く模様。
“大王”を継ぐのは“龍王”*7ということか。
詳細は項目参照。


  • ベルシャザール

3年目産駒。産駒として中央ダートG1一番乗りを果たした。
当時G1でなかったホープフルSに勝ちクラシックでも期待されたが、カナロアと同じ年ということはつまりオルフェがいたというわけで……でもダービー3着になるあたり意地は示した。
4歳になってノド鳴りや骨折、繋靭帯炎などに悩まされて長期休養。5歳に復帰してダート路線に移ると下記のホッコータルマエ含むGI級勝ち馬9頭がそろうジャパンカップダート*8に勝利した。
翌年はドバイワールドカップにタルマエと一緒に挑戦したが大敗し、肢も限界を迎え引退。体の弱さがなんだかもったいない馬であった。
種牡馬としてはやはりダートがメイン。


  • ホッコータルマエ

4年目産駒。実はキンカメ産駒の賞金王である。
Jpn1で7勝、G1で3勝。1つ下のコパノリッキーと共に当時のダート路線を支配した。
3歳時は重賞勝利はあれど善戦マンだったが4歳時に地方交流路線にも目を向けると交流GⅠ級4勝を挙げた。その後も東京大賞典を連覇したりチャンピオンズカップを制したりと、ダートを荒らし回った。
7歳で史上初のG1級競走10勝を達成。翌年にコパノリッキーの11勝に抜かれたものの、史上屈指の強世代と名高い2012年クラシック世代はダートでも強かったのである。
ドバイWCには3年連続で出走しており、2回目は5着と好走を見せたが、他は残念ながら振るわず。
引退して種牡馬入りした後は地方競馬で活躍する産駒が主。ダートの子はダートということか。
また、キングカメハメハ産駒で唯一、ウマ娘にも登場している。
ウマ娘としての彼女は個別記事を参照。


  • ハタノヴァンクール

4年目産駒。上記ホッコータルマエの同期のダート馬。
3歳時はジャパンダートダービーに勝利するなどタルマエより先にG1級の栄光を手にした。翌年も川崎記念に勝利。12年クラシック世代はダートでも(以下略)
しかしJBCクラシックにて屈腱炎を患い4歳で引退。種牡馬入りは静養で時間がかかった。
一時は同格くらいであったタルマエの活躍に比べると空気な気はする。


  • ラブリーデイ

5年目産駒。金子氏の所有馬「ポップコーンジャズ」との子で、やはりこの馬も金子真人HDが馬主となっている。
4歳まではいまいち勝ちきれない脇役止まりだったが、5歳になるといきなり中山金杯・京都記念を連勝。
そしてあの「120億円事件」で有名な宝塚記念でついに悲願のG1獲得。
勢いそのままに京都大賞典、そして2つ目のG1である天皇賞(秋)と怒涛の勝ちっぷりを見せる。
その後のジャパンカップと有馬記念でも好走し、この年の最優秀4歳以上牡馬に選出。善戦マンから一転して大躍進の年となった。
6歳でさらなる飛躍が期待されたが、流石にモーリスやキタサンブラックなどに世代交代を余儀なくされ、引退となった。


7年目産駒にして代表産駒その3。アドマイヤグルーヴとの間に生まれた、現代日本競馬の結晶とも言える良血中の良血。
そして、圧倒的な力で二冠を達成しながらも怪我に泣かされ続けた。
名前に違わぬ荒々しい気性で不安視されながらも、他の馬を子供扱いするかの如き勝ちっぷりで皐月賞とダービーを制覇。
だが、骨折が発覚したためにその後のクラシックを棒に振ることとなり、三冠の夢は幻となってしまった。
翌年のドバイシーマクラシックでは暴れたために蹄鉄を付けないまま走り、結果2着という何気にとんでもないことをしでかしている。
帰国後の宝塚記念では重馬場ゆえに苦戦し2着、さらにはレース後に躓き故障。競走能力喪失と診断され、そのまま引退。
あのキタサンブラックには一度として先着を許しておらず、一時は凱旋門賞への挑戦も視野に入るほどだったが、まるで父親のように未完の大器としてターフを去っていった。
ならば種牡馬として夢の続きをと期待されていたが、2021年8月に急性大腸炎を発症し、わずか9歳で急逝。5世代の産駒を残すのみとなった。
素晴らしい力を持ちながら、とことん運命に翻弄され続けた馬生であった……。
それでも初年度から菊花賞馬かつ春古馬二冠馬タイトルホルダーを、2年目も牝馬二冠馬スターズオンアースを輩出しており、種牡馬としても大成し得る馬だった。本当に夭逝が惜しまれる…。
詳しくは項目参照。


  • レッツゴードンキ

7年目産駒。こんな名前だが牝馬である。
桜花賞を4馬身差で圧勝し、早くも期待を持たれていた。……が、そこからは善戦はするもののあと一歩が届かないシルバーコレクターに。
7歳まで中央・地方・海外と色々な場所で走り続けたが、とにかくあと一歩が届かない。
結局最後の勝鞍は5歳の京都牝馬ステークスであり、通算成績はまさかの36戦3勝。
それでも合計5億以上稼いでおり、その名前や長く走り続けた活躍、競馬記事やパドックでの妙にかわいい姿もあって、愛された存在であった。香港に同行したお姉様もとい姉貴分のスマートレイアーとのキマシ仲良さそうな写真は多くのファンを虜にしたとか。
引退後はイギリスへ渡り、ガリレオ・フランケル親子と交配。その2年後、ガリレオとの第1子と一緒に、フランケルとの第2子を身籠った状態で帰国した。


  • ブチコ

7年目産駒。金子氏が所有する白毛馬「シラユキヒメ」の第9子で、一応白毛扱いだがその名の通りダルメシアンの様なブチの毛並みを持つレア過ぎる馬。ちなみに全妹ブッチーニもブチ柄だったり。
成績自体は16戦4勝(重賞未勝利)と微妙だったが、ゲートをブチ抜いて暴走し目の怪我で競走除外・ゲートをすり抜けてラチに脚をブチ当て競走除外、
最後はゲートをブチコわし一応大外に枠変更されて完走するもゲート難が酷すぎて引退と、ブチはブチでもぶち壊す方に縁がある馬だった。
そして引退後繁殖牝馬となり、第1子ソダシ(これも金子氏の所有馬クロフネが父親)が世界初の白毛のG1馬となった。第2子ママコチャはキンカメの毛並みが隔世遺伝したのか鹿毛だが。


ちなみに2021年の「アイドルホースオーディション」*9のSTEP1で見事10位にランクインしたものの、いざSTEP2へという段階で毛色の再現が困難という理由で除外されてしまい話題になった。
つくづく競走中止に縁のある馬である。


  • ミッキーロケット

8年目産駒。ミッキー軍団の代表馬の1頭。
重賞勝利は地道に重ねていたが、皐月賞・菊花賞・大阪杯・宝塚記念・天皇賞(秋)と大舞台ではコンスタントに出走するもなかなか勝てず。
だが、5歳で天皇賞(春)を9番人気から4着に食い込むと、宝塚記念では7番人気から香港馬ワーザーから逃げ切り、ついにG1勝利。
これは鞍上の和田竜二にとっても、テイエムオペラオー以来の17年ぶりとなるG1勝利であった。
その後は天皇賞(秋)5着、有馬記念4着。次の年も現役続行の意向を見せていたが、脚部不安を発症しそのまま引退、種牡馬となった。


  • レイデオロ

9年目産駒。母の父がシンボリクリスエス・母の母がディープインパクトの半姉レディブロンドという血統を持つ。
ホープフルステークスで勝利、皐月賞では5着に敗れるもダービーでは後の大阪杯馬スワーヴリチャードを退け見事勝利。定年退職が近付く名門・藤沢和雄師に悲願のタイトルを捧げた。
その後も順調に重賞を勝ち、ジャパンカップでもシュヴァルグランの2着ではあったが古馬を相手に健闘した。
次の年はドバイシーマクラシックで4着も、天皇賞(秋)で2勝目のG1勝利を上げ、有馬記念でも2着となった。
しかし迎えた5歳、2度目のドバイシーマクラシックで6着に敗れるとそのまま燃え尽きてしまったかのように凡走を繰り返し、有馬記念7着を最後に引退となった。
種牡馬としては、ロードカナロア産駒の短距離傾向が顕著になってきていることや、良血ながらサンデーサイレンスの血が入っていないので繁殖牝馬の選択肢がある程度広いこと、ディープインパクト系の牝馬とウインドハーヘアのクロスを試せるという事もあり、クラシックホースを輩出するための後継として期待が寄せられている。


  • チュウワウィザード

10年目産駒。チュウワ軍団の代表馬。従兄妹にダートGI4勝の同期ルヴァンスレーヴやリアルダビスタで知られるシュシュブリーズがいる。
同期には東京大賞典4連覇のオメガパフュームがおり、2つ下のテーオーケインズも含めてこの時代のダートの一角を占める存在。
デビューは3歳からと遅めだったがダートで掲示板を外さない活躍をし、4歳のJBCクラシックでGI級を初制覇。翌年にはチャンピオンズカップで中央GIも制した。
2021年には昨年コロナ禍で中止になった海外遠征にも挑戦。サウジカップは初めて掲示板を外す大敗だったが、ベルシャザールもタルマエも苦戦したドバイWCでは先行からしぶとく粘り2着入線した。
その後も帝王賞で着外になった以外は健闘を続け、川崎記念を圧勝してから挑んだ2度目のドバイWCでは追い込みで3着に飛び込んだ。
だが2022年帝王賞では当時のダート王者テーオーケインズは降したものの伏兵メイショウハリオに勝利を阻まれ2着なんかシルコレ化してない?となり、その後JBCを前に繋靱帯炎で無念の引退となった。


  • スタニングローズ

14年目産駒で、キングカメハメハのラストクロップ世代の一頭。薔薇一族の一頭でローズキングダムの姪にあたる。
2歳期は5戦1勝と微妙だったが、3歳期フラワーカップを勝ちキングカメハメハ産駒全14世代全てでの重賞馬樹立を達成
続くオークスではドゥラメンテの娘スターズオンアースの前に2着だったものの、秋に紫苑ステークスを手土産に秋華賞へ挑み見事勝利。坂井瑠星騎手に初G1を捧げている。




今、最強の項目が降臨した!
追記、修正も良し!
今、最強の項目がアニヲタWikiに舞い降りました!


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  • 誰が乗っても、勝てる馬だった……バルジュー以外は -- 名無しさん (2020-10-11 08:52:04)
  • もしも引退せずディープインパクトと対戦していたらどっちが勝っていたかな? -- 名無しさん (2021-07-25 18:00:55)
  • それは分からない。個人的にはキングカメハメハの不戦敗ということで。 -- 名無しさん (2021-09-04 19:56:17)
  • 東京2000……つまり秋天のような舞台ならキンカメはディープに勝てたと思う。2400以上の舞台だと、ディープの長距離経験や春天で見せたような末脚と呼ぶにはあまりにも長いロングスパートで押し切るイメージ湧く -- 名無しさん (2021-09-10 10:31:23)
  • 現役時代の担当厩務員や引退後の社台の関係者曰く「めっちゃ大人しくて絵に描いたような優等生って感じの子」だったそうな -- 名無しさん (2022-12-17 19:59:53)
  • 同じ変則2冠達成したディープスカイが種馬として振るわなかったのはサンデー系飽和の宿命なのか、肌馬の質が良くなかったのか、両方?(母系が今ひとつだったとか別の理由も?) -- 名無しさん (2022-12-17 21:34:09)
  • ついに馬主から許可が下りたのか、ディープインパクトと共にゼンノロブロイのストーリーで存在を示唆されたな。 -- 名無しさん (2022-12-17 22:12:17)

#comment

*1 1945年生まれ。機械メーカーの営業職・技術職を経て1976年にCAD/CAMベンダーの「図形処理技術研究所(現:図研)」を創業。創業社長として一介のベンチャー企業に過ぎなかったこの会社を東証一部(現東証プライム)上場企業にするまでに成長させた。個人馬主としても非常に有名で、キングカメハメハの他には説明不要な無敗の三冠馬・ディープインパクトなど名だたる名馬たちを所有。当項目内の言及だけでも他にクロフネ、ブラックタイド、アパパネ、ラブリーデイ、ブチコ、ソダシ、アカイトリノムスメなど。リアルウイポと呼ばれるのも納得
*2 中山競馬場・芝2000mの皐月賞、東京競馬場・芝2400mの東京優駿(日本ダービー)、京都競馬場・芝3000mの菊花賞。いずれも最高格付のG1競走。
*3 なおこのローテーションはどちらかというと日本の3歳牡馬クラシック三冠のモデルとなったイギリスの牡馬クラシック三冠に非常に近い。イギリスでは一戦目となるイギリス2000ギニーは8ハロン、すなわち1600m戦であり、2000m戦である皐月賞から東京優駿に向かうローテーションよりも、1600m戦であるNHKマイルカップから東京優駿に向かうローテーションの方が原典に忠実であるといえる。事実、松田師はテレビ番組においてイギリス2000ギニーからダービーステークスに向かうローテーションを意識したことを語っている。
*4 ただしタニノギムレットについては、皐月賞では騎乗ミス、NHKマイルカップでは明確に不利を受けており、力負けとは見られていない
*5 晩年には白内障を患って目が不自由となっており、ノーザンファーム代表の吉田勝己氏は「人間でいうところの糖尿病に近い症状だったのでは」と推測している
*6 ロードカナロアが挑む前年にカレンチャンが5着になったが、これでも当時は初の掲示板入りであり大健闘と言われたレベル
*7 香港での表記。王はロード(Lord)の直訳、カナロアはポリネシアに伝わる海神で水神=龍という連想から。
*8 翌年からチャンピオンズカップになった
*9 京都競馬場が主催した企画で人気投票で上位に入った五頭がぬいぐるみ化されるという物

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