歩兵戦闘車

ページ名:歩兵戦闘車

登録日:2012/05/14(月) 14:54:34
更新日:2023/11/07 Tue 13:51:34NEW!
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歩兵戦闘車
(英:IFV=Infantry Fighting Vehicle 又は ICV=Infantry Combat Vehicle)


歩兵戦闘車とは、車内に完全武装の歩兵を収容し、強力な火砲を搭載して積極的な戦闘参加を前提とされた装甲戦闘車両である。


第二次大戦後~冷戦期にかけて確立された比較的新しいカテゴリーの兵器であり各国の機甲部隊、機械化歩兵の足として活躍している。




【特徴】


主に機械化歩兵部隊で運用され、歩兵1個分隊ないし半個分隊を収容し主力戦車に随伴して戦場を機動出来る。


車両本体も口径20mm以上の機関砲や対戦車ミサイルを搭載して、敵歩兵や軽装甲目標のみならず敵主力戦車をも撃破し得る火力を誇る。


また、車内から歩兵が乗車戦闘を行えるよう銃眼が設置される場合もあるが、装甲防護力の低下を招くため近年ではオミットされることが殆ど。


機甲部隊に随伴する必要上、不整地走破能力に長け、射撃時の安定性も高い装軌車両であることが一般的だが価格も高い。


冷戦時代の装甲兵員輸送車や歩兵戦闘車は浮航性が要求された影響で軽量化志向にあり、装甲防御はせいぜい重機関銃に抗する程度だった。
しかし冷戦終結後に低烈度紛争の脅威に晒されると、戦車以外の装甲戦闘車両も生存性や防護力重視の設計・改修が実施されるようになっている。
複合装甲や増加装甲の採用によって、正面であれば歩兵戦闘車が搭載する機関砲のAPFSDSや携行対戦車火器のHEATに耐えられる物も登場している。
とはいえ戦車にはなれないし、敵わない。


近年ではより安価な装輪式の車両も採用されている。




【歴史】


上述のように歩兵戦闘車は大戦後に生まれたカテゴリーの兵器である。


ナチスドイツの装甲戦力を中心とした電撃作戦では、脚の遅い歩兵をハーフトラック等の非装甲車両で輸送することで問題を解決した。


しかし、所詮非装甲車両。
あまりに打たれ弱く、歩戦協調が敵の砲撃等に簡単に分断された。
この欠点を克服し、ついでに戦車の援護もしようと生み出されたのが歩兵戦闘車である。


まず1954年、フランス陸軍がAMX-VCI装甲兵員輸送車へ実験的に20mm機関砲を搭載した。これが歩兵戦闘車の嚆矢ということができる。


そして1950年代後半、冷戦の最前線たる西ドイツ陸軍では、アメリカ製のM113装甲兵員輸送車ではなく、国産のHS.30歩兵戦闘車を採用した。
これは当初より20mm機関砲を備え、また兵員室には半個分隊を収容できるようになっていた。


しかしながら両国とも予算や信頼性の都合上、大量配備とまでは行かなかったようである。


それから10年ほど後の1966年、ソビエト連邦軍がBMP-1を発表した。


BMP-1は、大口径低圧砲と対戦車ミサイルによる強力な攻撃力と、強化された装甲による防護能力を備え、兵員室には1個分隊をまるごと収容できるうえに、
ここには銃眼が設置されNBC兵器による汚染状況下でも密閉された兵員室から歩兵が射撃できるようにされた。


このBMP-1、実際の性能は全くたいしたことなかったのだが、発表当時は西側諸国にいわゆる「BMPショック」と言われる大きな衝撃を与えた。


これを受け西側ではドイツのマルダー、フランスのAMX-10Pなど、歩兵戦闘車の開発・配備を急いだ。


中でも特にアメリカがBMP-1に衝撃を受けており、それまで研究されながらも試作車の一両も完成していなかった歩兵戦闘車の開発は急ピッチで進められ、
後年にM2ブラッドレーが誕生する。




【主な国家のIFV】


【アメリカ】

  • M2ブラッドレー

アメリカ陸軍で運用中の歩兵戦闘車。
愛称は第二次世界大戦で活躍した同国のブラッドレー元帥から。



【イギリス】

  • ウォーリア

イギリスのIFV。



【ドイツ】

  • マルダー

ドイツ連邦軍で今なお主力の歩兵戦闘車。
ミラン対戦車ミサイルを発射可能。
後継となるプーマに取って代わられる予定。


  • プーマ

マルダーに代わるドイツの最新IFV。
砲塔が無人化されている。
特筆すべきはその装甲防護力で、最大時には主力戦車を上回る車体重量となる。



【日本】

1989年に制式化された日本唯一の歩兵戦闘車。
教育部隊を除けば、事実上の機甲師団である第7師団隷下部隊でのみ運用されている。
現在、後継となる共通戦術装軌車を検討中。


  • 共通戦術装輪車

即応機動連隊向けの装甲戦闘車両として計画されているファミリー化構想。
30mm機関砲を搭載する無人砲塔の歩兵戦闘型や有人砲塔の偵察戦闘型、120mm迫撃砲を搭載する機動迫撃砲型が開発されている。
16式機動戦闘車と同様に被空輸性が重視されていて、重量はC-2輸送機に収容可能な26トン以下とされている。



【フランス】

  • VBCI

AMX-10Pの後継として開発されたフランスの装輪式歩兵戦闘車。



【イタリア】

  • VCC-80 ダルド

イタリアの装軌式歩兵戦闘車。
カミリーノ歩兵戦闘車がやっつけ的な車両だったのに対し、ダルドは本格的なIFVとなっている。


  • フレシア

こちらは装輪式。
同国のチェンタウロ戦闘偵察車をIFV化したもの。



【スウェーデン】

  • strf9040

兵器の国産化に熱心なスウェーデン製IFV。
基本型では40mm機関砲を装備しており、それだけで敵戦車を撃破可能。
また各国に輸出されており、バリエーションも多い。



【ロシア】

  • BMP-1

BMPシリーズの一発目となる車両。
上述のように西側諸国に多大な衝撃を与えた。
が、主砲の低圧砲は命中精度が低い、兵員の居住性も劣悪と実際はイマイチな車両だった。


  • BMP-3

冷戦末期に登場したBMPシリーズ最新型。
先代の2種類とは開発元が異なり、居住性などもある程度改善された模様。
しかし搭載火砲は相変わらず重武装。



【台湾】

  • 雲豹

台湾の国産装輪式歩兵戦闘車。



【韓国】

  • K-21

韓国の国産歩兵戦闘車。
同国が自国開発した他の兵器同様、重大な欠陥に見舞われた。
なんと渡河中に浸水、沈没。
2度目の沈没では下士官1名が溺死した…。






追記・修正はK-21に乗車してお願いします。


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  • 大戦略シリーズではよくお世話になるユニット。
    ・部隊の先頭で索敵
    ・脆弱な歩兵を安全に輸送
    ・基地に配備して敵兵を迎撃
    ・弱ったヘリ位なら削りor撃破


    と、ほぼ何でもこなす出来る子。 -- 名無しさん (2013-08-13 12:14:30)
  • やはり韓国は格が違ったw -- 名無しさん (2013-09-01 09:54:31)
  • 韓国・・・やるなw -- 名無しさん (2014-02-14 18:54:46)
  • ↑3 最近は、索敵は索敵車の役目になってるけどね!w -- 名無しさん (2016-10-20 13:04:42)
  • そし -- 名無しさん (2016-10-20 13:04:53)
  • ↑ミス; そして韓国。浸水してどうする、そして沈没してどうするw -- 名無しさん (2016-10-20 13:05:19)
  • IFVは高コストだということを指摘する記述を強調した方がいいと思います。旧ソ連でさえ、BMPシリーズを広範に配備していません。装甲車としてはBTRシリーズの方が運用数は多かったですし、西ドイツや湾岸戦争前後のアメリカでさえそうです。>近年ではより安価な装輪式  兵装と充分な装甲(+ベクトロニクス)を充実させると必然と高価になります。VBCIやボクサーの調達費はとてもじゃないですが「安価」とは言えないですよ。 -- 名無しさん (2021-06-23 16:23:15)

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