第18章 岡山弁で
王子ゃー砂漠ぅーわたりょーて、出くわしたんはたーった1輪の花だけじゃった。花びらが3つしかのーて、やっちもねー花じゃ※1。
「なんしょん」ゆーて、王子が言うたら、
「なんもしょーらんで」ゆーて、花が言うた。
「人間は、どけーおるんなら?」ゆーて、王子はてーねーに聞いた。
花ぁいつじゃったか、むかーしいっぺんだけ行列が通りょんのを見たことがあった。
「人間かぁ? おるのはおるんじゃねぇんかなあ、6人か、7人ぐれぇ。何年か前に見たんじゃけど、どけー行きょーんか全然分からんのんよ。風任せじゃけえーなあ。あの人らぁー根っこがねぇーけぇ、でぇれぇ※2難儀するじゃろーなあ。」
「ほんなら、げーさんせー。」ゆーて、王子が言うた※3。
「げーさんせー。」ゆーて、花が言うた。
[注釈]
- 「やっちもねー」はしようもない、つまらないという意味。
- 「でぇれぇ」はとても、すごくという意味。
- 「げーさんせー」は失礼しますという意味で、辞去、訪問、謝罪などの際に使う岡山弁。古い岡山弁で、若年層ではほとんど使われない。
※編集者注:[翻訳者紹介]ならびに[ことばの解説]はあのときの王子くん 第19章 岡山弁でをご覧ください。

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