アクセントを表すにあたっては、有核(アクセントの上下があるもの)の場合はアクセントが下がるところ(「下がり目」「核」「滝」などと呼ばれる)を ' で示し、無核(アクセントが下がらないもの。いわゆる平板型)の場合は語末に = を付すこととする。(以下の例は共通語のアクセント)
- は'し(箸)
- はし'(橋)
- はし=(端)
筆者が普段話すアクセント(京阪式アクセントと呼ばれる)は、どこで下がるかだけでなく、最初が高い音から始まるか低い音から始まるかでも意味が変わってくる。例えば、「ふるとき」を「ふるとき」と発音すると「振る時」になり、「ふるとき」と発音すると「降る時」になる。「と」のあとが下がるのは同じだが、そこまでを高く言うか低く言うかの違いが重要となる。ここでは、高い音から始まるもの(高起式)は語頭に ‾ を、低い音から始まるもの(低起式)は語頭に _ を付すこととする。(以下の例は筆者のアクセント)
- ‾ふると'き(振る時)、_ふると'き(降る時)
- ‾いしやき'いも:高起式有核の例。「いしやき」は高く、「いも」は下がる。共通語では「い」と「し」の間に僅かな上昇があるが、京阪式では起こらない。
- ‾さつまいも=:高起式無核の例。厳密には僅かに音が下がっていくものの、上ずったような、全て高い音に聞こえる。共通語では「さ」と「つ」の間に僅かな上昇があるが、京阪式では起こらない。
- _ふかし'いも:低起式有核の例。低い音で始まり、「し」で一気に高くなって「いも」は下がる。
- _じゃがいも=:低起式無核の例。低い音で始まり、最後の「も」で一気に高くなる。いわゆる尻上がり。「_じゃがいも= ‾が=」のように後ろに高起式の語が続くと、「も」も低いままで、後ろの高起式がぐっと高くなる(一部例外あり)。
単語ではなく文や連語のアクセントを表す際には、上記の表記方法では文全体の高低を十分に表しきれず、また見づらくなるため、日本語の音調表記を試行錯誤している教ロ氏の方式(こちらを参照)を部分的に採用する。
- [ ] :高い音から始まり、その後じわじわ下降していって、 ] の後に一気に下がる。ただし、] の後ろに再び [ が続く場合は、下降がリセットされて [ から高くなる。
- { } :低い音から始まり、その後じわじわ上昇していって、 } を挟んで大きな上下が起こる。ただし、 } の後ろに [ が続く場合は [ から高くなる。
- ] や } の後ろ(つまり、下がり目の後ろ)に [ も { も来ず、一気に下がったあと緩やかに下降していく箇所には、何もカッコを付けない。教ロ氏の方式では ( ) で括るが、見やすさのために不採用とした。
例えば、「それ何ですか?」と「それなんですか?」のアクセントには微妙な違いがあるが(郡史郎氏の論文参照)、単に高いか低いかだけで表すと「高高低低低低高?」で書き分けができない(スペースを工夫するなどの余地もあるが)。表記②では以下のように書き分け可能となる。
- [それ]{何ですか}?
- [それ]なんですか?
なお、表記①でも書き分け可能であるが、以下のようになんとなく見づらい(えらい主観的やな)という欠点がある。
- ‾それ= _何ですか=?
- ‾それ'なんですか?
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