あのときの王子くん 献辞 北海道函館方言で

ページ名:あのときの王子くん 献辞 北海道函館方言で

あのときの王子くん_あちこちのことばで

北海道、函館方言で

 

レオン・ウェルトさ

わらしゃんど、すまねな。おらぁこの本コひどりのおどなさけでやるんだ。だどもまんずきけっで。きちっとわげあっでのごどなんだすけ。

そのおどなだばな、おらのこの世でいっちばんの友だちなんだぁ。

そればっかしでねぐてな、その人だっけえまあたぁーいしてきっぷあんべのいい人でな、わらすの本コでもはあよぉぐおぼえでけるんだ。

しかもな、その人だばいまフランスさえでな、こったらさみながで腹へらしてせづねぐでどもなんねでいるんだっけえ。それだば助けでやねばわがねっしょや。

まだおめーあやづけでぐだめがすってばな、この人だっで前だばぼんずだったすけ、おらだばそのぼんずさこの本コばけでやるっでごどでいがべよ。おどなもだもおがる前だばえ、みなぼんずだべよ。(みなそったらごどもおぼえでねぇでえるが。)

そいだば、けでやる人さこって書き直すじゃ。

 

(めんこいわらしだったころの)

レオン・ウェルトさ


[翻訳者紹介]

道民の人(どうみんのひと)

1990年代生まれの北海道渡島半島、函館市周辺の漁村育ち。父方はその漁師町へ幕末頃に、母はその山間部へ明治中期頃に入植した農家の出。変なペンネームは「北海道民だから」「地元が大好きだから」と最初に名乗ったものが年を追うごとに変えづらくなってしまって今にまで至っているというしょうもない理由による。


[ことばの解説]

北海道の言葉というと、標準語に比較的近い札幌方面のものと、大泉洋氏のような田舎くさくて牧歌的な北海道訛りのどちらかの印象が強いところですが、私の地元である渡島半島や函館近傍はとても訛りが強く、また同じ北海道内でも「函館の人は喋ると怒っているように見える」と言われるほど特殊な方言です。その根源は対岸の津軽弁や南部弁、秋田弁を主体にした東北方言と、日本海航路を経由して伝えられた北陸弁や上方の語彙、それに漁師が使用する浜言葉が混ざったもので、ある意味で日本の辺縁部に残る津軽弁や薩摩弁などにも引けを取らない難解なものです。各地の移民の言葉が混ざり合った北海道弁らしい、まさに極北のカオス方言と思っております。また、東北の方言にも、函館の方言にも、口語としての発話には独特のリズムや抑揚がありまして、これを掴みにくい文章ではずいぶん読みづらいと存じますが、この「カオス」な函館弁をなにとぞお楽しみいただけたら……と願っております。

シェアボタン: このページをSNSに投稿するのに便利です。

コメント

返信元返信をやめる

※ 悪質なユーザーの書き込みは制限します。

最新を表示する

NG表示方式

NGID一覧