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_あか'みち:五個荘町は昭和55年(1980年)度に県から「バイコロジーモデル町」に指定され、町内各地にカラー舗装(主に赤色)の自転車・歩行者道が整備された。バイコロジー事業は私の幼少期には既に下火になっていたが、今も町内には赤い舗装の道が多く残されている。それを子供時代の筆者は「赤道」と呼んでいた。
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‾あかる=:開く。筆者は「‾あからん=(‾あか'らん)」という形でしか使わないが、祖父母らは「‾あ'かった」などの形も使っていた。
例:[あかん]、[ふた] [ぜんぜん] [あか]らん
訳:ダメだ、フタが全然開かない -
‾あかん=:だめ。いけない。祖父母は「‾あ'かへん」とも言った。丁寧語形「あきまへん」はコテコテすぎて筆者は言わないが、共通語に寄せた「‾あきません=」なら、使用への抵抗感が薄れる。あかん ならんも参照。
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‾あ'ざ:大字の略。市町村の下位区分を指すものとして、もっとも馴染みがある言い方。市町村合併によって「大字○○」から「○○町」になったが、「町」は「自治体としての町」あるいは「市街地」を指す語というイメージが強く、今でも「あざ」という意識がある。
例:[あざの よりあい] [いって]{くる}わ
訳:字の会合に行ってくるよ -
‾あつくろ'しい:「暑苦しい」の別の言い方。鬱陶しく思う気持ちがやや強まっているように感じる。
例:{あさ}から [あつくろ]しー[な]
訳:朝から暑苦しいな -
_あっこ=、_あっこ' :あそこ。「あすこ」とも言う。「あこ」とは言わない。
例:{あっこ}わ [もともと] [か]わが [ながれ]たったんや
訳:あそこは元々川が流れていたんだ -
_あつつ=:熱いこと。主に子供に対して使う。例えば、熱い容器に触れようとする子どもに「{あつつ}や[で]」と注意したり、熱々の食べ物を口に入れてびっくりしている子どもに「{あー}{あつつ}」と笑いながら声をかけたり。
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‾あらけ'ない:荒っぽい。粗暴である。大味である。
例:[あらけ]ない [しあい]や[な]ー
訳:大味な試合だなあ、または、ラフプレイの多い試合だなあ -
‾い'かい:大きい。「‾で'かい」や「‾ご'つい」に押されて、理解語彙。
例:[ほんな] [いっ]かい {こえ} {ださ}んでも [きこえ]たーるがな
訳:そんな大声を出さなくても聞こえているってば -
‾いがむ=:真っすぐになっていない。「‾えがむ=」とも言う。主に「‾いがんでる=」または「‾いがん'だーる(=歪んでいる)」という形で使う。
例:[ほれ] [ちょっ]と [いがんだ]らへんか?
訳:それちょっと傾いていないか? -
‾いきとみ'ない:行くことに対して消極的な状態。「行きたくない」とほぼ同義だが、強いて言うなら、「行きとみない」の方が拒否の気持ちが弱いように感じる。行けと言われれば行くけれど、行かないで済むなら行きたくない……ぐらいの気持ち。「~とみない」は本来「しとみない」「食べとみない」など幅広い動詞に使える表現であるが、筆者は「行く」ぐらいにしか使わず、使用頻度も低い。
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_いっぱいこ=:大量。数の多さよりも量の多さについて使うことが多い気がする。もっとも、使用頻度はあまり高くない。「半分こ」の「こ」と同類と思われる。
例:{かばん} {いっぱいこに} {なった}ーる
訳:かばんがぱんぱんになっている -
‾いっぺん=:一回。一度。「一度に」「一気に」という意味で「いっぺんに」と言う時は「‾いっ'ぺんに」と発音する。または「一度も」は「_いっぺん'も」と発音する。
例:[いっぺん] [やってみ]たら [わかる]ほん
訳:一度やってみれば分かるよ -
‾いぬ=:帰る。立ち去る。理解語彙。「いぬる」は筆者の周囲では聞かない。
例:{おまん}なんか、[いんでま]え!
訳:お前なんか、帰ってしまえ! -
‾う'い:申し訳なく思う気持ちや気の毒に思う気持ちを表す。漢字で書くと「憂い」。理解語彙。アクセントの内省も覚束ない。
例:[わ]ざわざ [う]ちまで [きても]ろて、[う]い[こっ]ちゃ
訳:わざわざ家まで来てもらって、悪いねえ -
_うてる= :衝撃が加わるなどして、果実の一部分が傷んで腐る。その部分だけ取り除いたらまだ食べられそうな状態。主に「_うててる=」または「_うてた'ーる」(=傷んでいる)という形で使う。
例:[この] {トマ}ト {うてても}たーるがな
訳:このトマト、傷が付いてしまっているじゃない -
‾うわぐつ=:「‾体育館シュ'ーズ」とも言った。「うわばき」はドラえもんの漫画で知った言葉。
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_ええ=:良い。子供時代の筆者にはコテコテの俚言という認識があり、「_いい=」を多用していた。
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‾え'ぐい:エグ味を感じるという意味のほか、筆者の同世代では「えげつない」と同じ意味合いでよく使われる。筆者の感覚ではスラング感が強く、好んで使わない。
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‾えげつ'ない:「凄まじい」「ひどい」ということを大げさに表現する時に使う。
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‾え'らい:偉い。非常に。とんでもない。だるい。くたびれた。特に「だるい、くたびれた」という意味での使用頻度が高い。例えば、走って息が切れそうな時や、風邪で咳が止まらない時に思わず出るのが「{ああ}{えら}」。類義語に「_しんど'い」があるが、「しんどい」は心身両面に使い、「家計がしんどい」のように抽象的な使い方もよくするのに対し、「えらい」は身体的苦痛以外ではほとんど使わないように感じる。「とんでもない」という意味で使う際、強調して言うと「_えっら'い」になる。
例:[あかん]、[ちょっ]と [は]しっただけで [え]らいわ
訳:ダメだ、ちょっと走っただけでだるいよ -
_おあがり=:風呂から上がった人にかける言葉。入浴中の人に「風呂から上がりなさいよ」とかける言葉のように思えるが違う。言われたほうは「_おさき'い」と返すのが常(次の入浴者がいない場合は除く)。
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_おーき'に:ありがとう。理解語彙に近く、日常での使用頻度は「_ありがと'う」の方が圧倒的に高い。「[お]ー[き]に」や「[お]ーきに」と言う人もいるが、筆者の周囲では少数派。
例:{おーき}に [え]らい {すんません}[な]ー
訳:大変ありがとうございました -
‾おーさら'しい:大げさである。理解語彙に近い。
例:[おーさら]しー [やっ]ちゃ[な]ー
訳:大げさな奴だなあ -
_おーばんやき=:大判焼き。今川焼きを指す言い方は地域によって様々だが、筆者が一番馴染みのある言い方はこれ。平和堂のフードコートなど筆者の周囲では「大判焼き」の名前で売られていることが多いため、そこから刷り込まれたと思われる。「回転焼き」は大阪弁の俚言集で知った言葉。
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_おく'どさん:かまど。理解語彙……というかおくどさん自体がもう生活の場にない。
例:[ま]えわ {ここに} {おく}どさんが {あった}んや
訳:前はここにかまどがあったんだ -
‾おせーる=:教える。「[おせても]ろた(=教えてもらった)」や「[おせたろか](=教えてやろうか)」のように連用形で現れやすい。理解語彙。
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‾お'せた、‾おせて'もた:意図せず何かをやらかした時に「壊した」「折った」「割った」ではなく「壊れた」「折れた」「割れた」のように表現することがあるが、筆者の方言では「押せた」「書けた」「触(さわ)れた」にもその用法がある。北海道などの「押ささった」のニュアンスに近いと思われる。
例:{ごめん} {ごめん}、[おせて]もた(押したらあかんボタンにうっかり触れたあとの台詞)
訳:ごめんごめん、押すつもりはなかったけど押してしまった
例:[うわ]、{かけて}もた!(マジックで何かを書いていた時に下の紙に裏写りした時の台詞)
訳:うわ、裏写りしてしまった! -
_おちょ'か:ちょかちょかすること、つまり落ち着きのない行動。例えば、子供が部屋のなかを走り回っていたり、要らんものを触って遊んでいたりする時に「{おちょ}か[せんとき]!」と言う。すぐちょかちょかする人のことを指すこともある。ちょかちょかする人のことは「_ちょか'」とも言う。
例:{あのこわ} {ほんまに} {おちょ}かや[な]ー
訳:あの子は本当に落ち着きがないなあ -
_おった=、_おって=:「落ちた」「落ちて」をこう言うことがある。「落ちる」を「落つ」と言うことはないので、上一段活用動詞の五段活用化ではなく、単に「落ちた」「落ちて」の発音が変化したものと思われる。
例:[どこに] {おった}ったん?
訳:どこに落ちていたの? -
_おっち'ん:ちんと座ること。つまり正座。主に子供に対して使う。「_おっちょ'ん」とも言う。
例:{おっち}ん [しとき]
訳:正座していなさい -
‾おと'つい、‾お'とつい:おととい。
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‾お'なご:「女を下に見る言い方で嫌い」という考えの母の元で育ったため、理解語彙止まり。そんな母だが、ヤンチャな我が家の雌犬を指して「‾やんちゃめろ=」という表現を使ったことがある。めろ(=女郎)はいいのか。
例:[う]ちわ [おなごのほ]ーが [ち]から [つ]よいわ
訳:我が家は女の方が力が強いよ -
_おぶ'くさん:仏壇に供える冷めたご飯。お仏飯。
例:{おぶ}さん {おそなえ} [してきて]
訳:お仏飯をお供えしてきて -
‾おぼ'こい:子供っぽい。初々しい。基本的には可愛がる意味合いで使うが、「いい歳していつまで経っても……」という意味合いで使うこともある。
例:[おぼ]こい [かお] [してやーる][な]ー
訳:歳のわりに幼い顔をしておられるなあ -
‾おぼ'たい:「重たい」をしばしばこう言う。「重い」は「おぼい」にならない。
例:{あー} {おぼた}。{もってら}れへんわ
訳:ああ重たい。持っていられないよ -
‾おぼわる=:頭に入る。「覚える」の他動詞形。気付かなかった方言。
例:[ほんな] [ぱっ]ぱ [ぱっ]ぱ [い]われたかて、[いっ]ぺんに [おぼわ]らへんがな
訳:そんな矢継ぎ早に言われたって、一度に覚えられないよ -
_おんなし=:同じ。「_おんなじ=」とも言うが、「おんなし」の方がよく使う。
例:{なんべん} [やっ]たかて {おんなし}や
訳:何度やっても同じだ
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