「話し相手と自分」または「会話のなかで話題にしている人物と自分」の間での上下関係や親しさの度合いなどに合わせて変える言葉遣いのことを「待遇表現」という。「すみませんが、今仰ったことをもう一度お願いします」のように目の前の話し相手に対して使う待遇表現を「聞き手待遇」や「対者待遇」といい、「田中さんもそのように仰ったそうです」のようにその場にいない会話の中の人物に対して使う待遇表現を「第三者待遇」や「素材待遇」という。待遇表現のうち、目上やあまり親しくない人物に対して使う言葉遣いが「敬語」と呼ばれるものである。
筆者の方言には待遇表現に使う助動詞が複数ある(下図参照)。対者待遇の使い方は共通語に近いが、素材待遇の使い方は共通語と大きく異なる。尊敬語「はる」を例にとると、対者待遇として使う時は共通語の「られる」などと同じく目上に限られるが、素材待遇として使う時は対者待遇の時よりも使う対象や頻度が拡大し、尊敬語というよりも単に第三者であることを示す記号に近くなる。
左に行くほど敬意が高くなる | ||||||||
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「られる」などの共通語の尊敬語 (対者・素材両用) |
(対者・素材両用) |
(素材限定) |
(素材限定) |
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ある やある(対者・素材両用) | ||||||||
目上に使う | 目上以外にも使うことがある | 目上には使えない |
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