aklib_story_孤島激震_MB-4_勇敢かつ無鉄砲_戦闘後

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孤島激震_MB-4_勇敢、かつ無鉄砲_戦闘後

サイレンスは未知だった多くのことへ、そして自分が今行おうとしていることへの恐れを、メイヤーに打ち明けた。慰めることができないメイヤーだが、少なくとも彼女に一時の勇気を与えられた。


[メイヤー] それで……カフカと知り合ったことに何か問題でもあるの?

[サイレンス] 違う、カフカと知り合ったことが問題なんじゃなくて……

[サイレンス] 私はカフカと知り合ってから、彼女にまともな生活を送ってほしいと思っていた。もう人に言えないようなことするのを辞めて。

[サイレンス] だから私のできる範囲で彼女に仕事を紹介した。一時はライン生命のメンバーになってもらおうとさえした、最終的に失敗したけど。

[サイレンス] でも、やはりカフカにはもっと良い生活を送ってほしいと思う。彼女には良い人になってほしいと……でもこの場合の「良い」は、私のライン生命での生活を基準としたものだった。

[メイヤー] ん? ライン生命での生活は確かに悪くはないと思うよ?

[サイレンス] それは、自分たちが何に加担しているか知らないことが前提の話。

[メイヤー] でも科学研究に携わる者として、自分たちが何をしているかくらい理解してるはずじゃないの?

[サイレンス] いいえ、研究の内容のことではなくて、その背後にあるものを指してる。

[サイレンス] 研究が成功したら、それがどんな影響をもたらすのか。その成果が何に使われるのか。これは今私たちが研究すべきものなのか……

[サイレンス] 「炎魔」事件の後、会社内部で起きたいくつかの事柄を通じて私はこう考えるようになった。

[サイレンス] 私はあなたやほかの同僚と同じように、自分たちの研究は正しく、方向性も理想的なものであると思っていた。

[サイレンス] でも本当にそうなの?

[サイレンス] イフリータの一件から、私は疑問を抱くようになった。

[サイレンス] それが理由で、私はしばらくライン生命を離れて、ロドスに向かおうと思ったの。

[メイヤー] サイレンスはずっとそんなことを考えてたんだね……

[サイレンス] ロドスに来てから、科学研究を行う一方で、過去に軽視していたいくつかのデータに注目し始めた。

[サイレンス] これらのデータは先生が私にくれたもの。どうしてそれらの会社や場所に関するデータを私にくれたのか、以前はよくわからず、脇に置いておいた。

[サイレンス] でもこれらのデータの分析と研究を進めるにつれ、その中に色んな問題が存在していることにようやく気付いた。

[サイレンス] 初めてそれらの問題に気付いた夜、私は一睡もできなかった。

[メイヤー] アンソニーに関すること?

[サイレンス] 違う。アンソニー、もしくはサイモン社のことは、その中の一部……ほんの一部にすぎない。

[サイレンス] 同じようなことがたくさん起こってる、ライン生命だけではなく、クルビアにおいても。

[サイレンス] そして私はようやく目が覚めた。気が付いたんだ。ライン生命という会社に対して、クルビアという国に対して、私の理解はあまりにも浅すぎた。

[サイレンス] それでも、私は引き下がらない。イフリータの身に起きたことや、アンソニーの身に起きていることが、まともなものとは思えない。

[サイレンス] だから私は、アンソニーの一件に手を出そうと決心した。

[サイレンス] でも、少しやり過ぎてしまったのかもしれない。

[サイレンス] 今の私の感覚はあの日と同じ。意識を失ったイフリータをサリアが実験場から抱えて出てくるのを見た時のように、頭から冷水を浴びせられたような感覚。

[メイヤー] あの実験で一体何が起きたの?

[サイレンス] わからない。

[メイヤー] え?

[サイレンス] 自分が何をしているか、私はずっとわかっていると思っていた……でも今になってやっと気付いた。本当はわかっていなかったと。

[サイレンス] 私にわかっているのはただ一つ……もう絶対にイフリータをあんな目に遭わせてはいけないということだけ。

[サイレンス] これは恐らく、今の私が唯一やり通せること……

[メイヤー] ……サイレンス、ちょっと飲みすぎたんじゃない? 酔い醒ましにお茶でも淹れてくるよ。

[サイレンス] うん……

[メイヤー] ……ごめんサイレンス。どうやって慰めればいいかわからないよ。

[サイレンス] 別にあなたのせいじゃないよ、メイヤー。

[サイレンス] 過去の自分が、あまりに無知だったせいだから。

[メイヤー] サイレンスはもうたくさんのことを知ってると思うよ。ただ誰もが不得意な分野を持ってるってことなんだよ。

[サイレンス] でもメイヤー、私は本当に悔やみきれないの。

[サイレンス] もし私がもう少し多く知っていれば、もう少し早く知っていれば、今のようにはならなかったかもしれない。

[メイヤー] でも今知ったとしてもきっと間に合うよ。

[メイヤー] ミュルジス主任もきっとサイレンスのことをすごいと思ってるはずだし。

[メイヤー] あのさ、サイレンス。

[サイレンス] ん?

[メイヤー] 今のサイレンスは私の何人かの同僚に似てる気がするの。

[メイヤー] 新しい知識を知ったら、自分が過去に学んできたものが、少しも意味ないって思えてきて、「どうしてもっと早くこの学問に出会わなかったんだ」って嘆き始める。

[メイヤー] それが間違ってるとは言わないけど、でも私はそれこそ無意味だと思うな。これまで努力したものは本当に役に立たなくなったの? 新しいものが絶対に良いものなの?

[メイヤー] もしそれが本当に良いものなら、本当に役に立つと思ったんなら、これまでと同じように努力してまたそれを学べばいいじゃない。焦ることなんてないでしょ。

[メイヤー] ほら、お茶飲んで酔いを醒まして。

[サイレンス] あなたが言ってるのとは少し違う、これは学問じゃないから……

[サイレンス] でも、でもメイヤーの言うことも一理ある、確かに……

[メイヤー] あーあ、もういいから、私が飲ませてあげるよ。まったく、サイレンスはお酒が弱いんだから。

メイヤーは、テーブルにうつ伏せになりかけたサイレンスを支え、少しずつお茶を彼女の口に流し込んだ。

[メイヤー] どう、少しは楽になった?

[サイレンス] スー……フゥ……

[サイレンス] だいぶ良くなった、ありがとう、メイヤー。

[メイヤー] もし気持ち悪かったら、もうこのまま帰ろうか?

[サイレンス] ……いえ、そういうわけにはいかない。

[メイヤー] まだミュルジス主任と話をするの?

[サイレンス] うん。

[メイヤー] さっすがサイレンスだね、こんなに早く立ち直るなんて。

[サイレンス] ……実は全く立ち直れてないけど。

[サイレンス] このまま逃げ出して、今すぐ帰れたらどんなにいいかと思う。

[サイレンス] でもこんな機会は滅多にない。辛くても最後までやり遂げないと。

[サイレンス] さっきのメイヤーの話……今の私の問題を解決できないけど、それでも一つ正しいと思うことがある。

[サイレンス] 私にできるのは、これまでと同じように努力してそれを学んで、新しい「知識」を受け入れることだけ。

[サイレンス] でも、まだほかに準備しなくちゃならないことがある。

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